説明

歩行型管理機

【課題】
歩行型管理機を用いての畝立て作業を、機材の取り換えの手間を要することなく能率よく行えるようにする。
【解決手段】
エンジン4を有する走行機体と、該走行機体の後方にハンドル15を延出し、該エンジン4の駆動力で動力伝達機構を介して耕耘軸9を回転させ、該耕耘軸9に備えた耕耘爪10の回転により耕耘する歩行型管理機において、前記耕耘軸9より後方で走行機体の後部に抵抗棒13を配置し、前記耕耘爪10で耕起した土を押圧して畝を成形する培土板14を、前記抵抗棒13に取り付けるにあたり、抵抗棒13に形成した上下の係止部17a,17bに挟持可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耕耘作業等を行うための歩行型管理機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハンドルを後方に延出した走行機体に耕耘爪を装備するとともに、前記走行機体の後部に抵抗棒を配置し、前記耕耘爪で耕起した土を押圧して畝を成形する培土板を、前記耕耘爪と抵抗棒との間に配置した歩行型管理機は知られている。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−178058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1の歩行型管理機においては、使用する培土板の形状や大きさが一定であるため、同じ大きさの畝しか作ることが出来ないので、例えば、作物の種類によって畝間隔を広くしたい場合や、逆に狭くしたい場合、その都度、培土板を取り外して別の培土板を取り付けなければならないという煩雑な作業をしいられていた。
しかも、培土板の取外や交換作業も、一々、固定ピンや連結ボルト等での固定が必要で交換作業が煩わしかった。
【0005】
そこで本発明は、歩行型管理機を用いての畝立て作業時の培土板の取り換えの手間を少なくすることが可能な歩行型管理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、エンジンを有する走行機体と、該走行機体の後方にハンドルを延出し、該エンジンの駆動力で動力伝達機構を介して耕耘軸を回転させ、該耕耘軸に備えた耕耘爪の回転により耕耘する歩行型管理機において、前記耕耘軸より後方で走行機体の後部に抵抗棒を配置し、前記耕耘爪で耕起した土を押圧して畝を成形する培土板を、前記抵抗棒に取り付けるにあたり、抵抗棒に形成した上下の係止部に挟持可能に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る本発明によると、エンジンを有する走行機体と、該走行機体の後方にハンドルを延出し、該エンジンの駆動力で動力伝達機構を介して耕耘軸を回転させ、該耕耘軸に備えた耕耘爪の回転により耕耘する歩行型管理機において、前記耕耘軸より後方で走行機体の後部に抵抗棒を配置し、前記耕耘爪で耕起した土を押圧して畝を成形する培土板を、前記抵抗棒に取り付けるにあたり、抵抗棒に形成した上下の係止部に挟持可能に構成したので、異なる形状の畝を作る際には、特別な工具を使うことなく簡単に交換作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】歩行型管理機の側面図である。
【図2】抵抗棒単体の要部背面図である。
【図3】歩行型管理機の抵抗棒に培土板を装着した状態を示す側面図である。
【図4】角形状の畝を作る際に使用する培土板を抵抗棒に取り付けた状態を示す背面図である。
【図5】V溝形状の畝を作る際に使用する培土板を抵抗棒に取り付けた状態を示す背面図である。
【図6】台形状の畝を作る際に使用する培土板を抵抗棒に取り付けた状態を示す背面図である。
【図7】丸い形状の畝を作る際に使用する培土板を抵抗棒に取り付けた状態を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施の形態を図1乃至図4に沿って説明する。
【0010】
1は車軸耕耘式の歩行型管理機であって、該歩行型管理機1は、前後方向に沿う機体フレーム2を備え、該機体フレーム2の下側に、前低後高状に傾斜するチェンケース3が配置される一方、機体フレーム2の上側に、動力源であるエンジン4が搭載されている。
【0011】
エンジン4の左側面部には、エンジン4の動力をチェンケース3内の動力伝達機構に伝達するベルト伝動機構(図示せず)と、これを覆うベルトカバー5が設けられている。 また、エンジン4の上部には、ステー6を介して燃料であるガスボンベ7が設けられると共に、ガスボンベ7の周囲を覆うエンジンカバー8が設けられている。
【0012】
チェンケース3の下部には、エンジン動力で駆動される耕耘軸9が設けられている。耕耘軸9は、チェンケース3の下部から左右に延出しており、その複数の耕耘爪10が適宜設けられている。
【0013】
本実施形態の耕耘軸9は、チェンケース3に突設される固定耕耘軸と、該固定耕耘軸に着脱自在に設けられて軸長を延長する延長軸とを備えて構成されており、例えば、通常の耕耘作業時には、延長軸を取り付けて耕耘幅を広く確保する一方、中耕作業時には、延長軸を取り外して機体幅を狭くすることができるようになっている。
【0014】
また、チェンケース3の後端部には、後部ヒッチ12が一体的に設けられている。この後部ヒッチ12には、抵抗棒13が固定され、該抵抗棒13に本発明の要部となる培土板14が装着されるようになっている。
【0015】
さらに、チェンケース3の上端部には、ハンドルフレーム15Fが後方に向け突設されている。そして、ハンドルフレーム15Fの上部にはハンドル15が延出している。
該ハンドル15は、左右のハンドル15L、15Rで構成されている。そして、左側のハンドル15Lには、主クラッチレバー16が設けられ、右側のハンドル15Rには、スロットルレバーが設けられている。
【0016】
図3は、前進走行によって歩行型管理機1の通過跡左右に畝を形成してゆく外盛り式の畝立てを行う仕様とした歩行型管理機1が示されており、培土板14を抵抗棒13の前面に形成した係止部17a,17bに装着している。耕耘軸9に装着された耕耘爪10を反時計方向(図1の矢印参照)に高速で回転駆動して耕起しながら耕耘爪10の回転によって前進し、歩行型管理機1の後部において圃場に突入された抵抗棒13による前進抵抗を加減することで、所望の速度で前進しながら耕起を行うようになっている。
【0017】
前記耕耘爪10は、耕耘軸9に耕耘爪10を植設されており、この例では、複数種の耕耘爪10を所定の配列に配置して、所定の放射方向に亘って耕起した土を左右に跳ね上げる外盛り仕様に構成されたものが用いられる。
【0018】
また、前記後部ヒッチ12には、上下方向に途中から後方に屈曲形成した抵抗棒13の前面の上下二箇所に培土板14を装着する係止部17a,17bが形成されている。
該係止部17a又は17bのどちらか一方へ最初に培土板14を挟み込んでから次に残りの係止部17a又は17bに培土板14を取り付ける。
なお、培土板14は、若干固い材質である弾性部材で構成することで、係止部17a,17bに挟み込んだ時にしっかりと抵抗棒13に係止することが出来る。
また、上記係止部17a,17bは、図1に示すように、上端H及び下端Lに至るほど抵抗棒13から離間し、中間部Mが最も抵抗棒13に接近して培土板14の板厚以下の隙間となるように略逆「く」の字状に形成されており、該係止部17a,17bは各々対向する側が解放され且つ弾性を有している。
以上の構成により、該係止部17a,17bと抵抗棒13との間に培土板14を挟持することが可能となる。
【0019】
また、係止部17a,17bに対して挟持される培土板14の形状を予め複数用意しておくことで、図5乃至図7に示すようにV溝状の畝、台形状の畝、丸形状の畝を作ることが可能であり、作物の形態に合わせて色々な畝を作ることが出来る。
【0020】
さらに、係止部17a,17bに対して必ずしも背面視で中央に培土板14を取り付ける必要はなく、作業形態によっては、例えば、圃場の隅で機体が入りにくく作業がしづらい所にあっては、該係止部17a,17bに対して左右どちらかに培土板14をオフセットして取り付けることで、狭い場所でも容易に畝を作ることが出来る。
【符号の説明】
【0021】
1 歩行型管理機
4 エンジン
9 耕耘軸
10 耕耘爪
13 抵抗棒
14 培土板
15 ハンドル
17a 係止部
17b 係止部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを有する走行機体と、該走行機体の後方にハンドルを延出し、該エンジンの駆動力で動力伝達機構を介して耕耘軸を回転させ、該耕耘軸に備えた耕耘爪の回転により耕耘する歩行型管理機において、前記耕耘軸より後方で走行機体の後部に抵抗棒を配置し、前記耕耘爪で耕起した土を押圧して畝を成形する培土板を、前記抵抗棒に取り付けるにあたり、抵抗棒に形成した上下の係止部に挟持可能に構成したことを特徴とする歩行型管理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−110276(P2012−110276A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262442(P2010−262442)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】