歩行型管理機
【課題】
後方フェンダで後方への泥土もしくは石の飛散を防止としての役割と畝立て作業時の培土器としての役割を持てるように容易に切り換えることが可能な歩行型管理機を提供する。
【解決手段】
エンジンからの動力を該エンジンの下方にロータリ部材に伝達し、該エンジンの下方でかつ、前記ロータリ部材の上方にフェンダを備えた歩行型管理機において、該フェンダの後端に、上端側を支点として上下回動する後方フェンダを機体の左右に分割して配置し、該後方フェンダを回動自在な回動許容状態と、機体の左右幅方向で中央側に向けて左右いずれかのフェンダ若しくは左右両方のフェンダを移動させることで左右両方のフェンダを互いに近接させた状態で、下方回動位置で回動不能に固定した下限固定状態とに切換え可能に構成したものである。
後方フェンダで後方への泥土もしくは石の飛散を防止としての役割と畝立て作業時の培土器としての役割を持てるように容易に切り換えることが可能な歩行型管理機を提供する。
【解決手段】
エンジンからの動力を該エンジンの下方にロータリ部材に伝達し、該エンジンの下方でかつ、前記ロータリ部材の上方にフェンダを備えた歩行型管理機において、該フェンダの後端に、上端側を支点として上下回動する後方フェンダを機体の左右に分割して配置し、該後方フェンダを回動自在な回動許容状態と、機体の左右幅方向で中央側に向けて左右いずれかのフェンダ若しくは左右両方のフェンダを移動させることで左右両方のフェンダを互いに近接させた状態で、下方回動位置で回動不能に固定した下限固定状態とに切換え可能に構成したものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、耕耘作業等を行うための歩行型管理機に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、エンジンからの動力をロータリ部材に伝達し、該エンジンの下方かつ、前記ロータリ部材の上方にフェンダを設けると共に、該フェンダの後方を被覆する後方フェンダを備えた歩行型移動農機が公知となっている。この歩行型移動農機は、該フェンダの後端に、上端側を支点として上下回動する後方フェンダを設け、回動自在な回動許容位置と、上方又は下方で固定可能な上限固定位置と下限固定位置とに切換える切換え部材を備えたもので、畝立て作業を行う際には、後方フェンダを上限固定位置へ回動させて、その下方に別途、培土器を取り付けていた。（例えば、特許文献１参照）
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００９−４５０６８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
上述した特許文献１の歩行型移動農機においては、耕耘作業と畝成形作業をそれぞれ別々に行うので作業に手間がかかるとともに、耕耘作業から畝成形作業への切換えに際して、後部ヒッチへ培土器を装着する必要があり、その取り換えに手数がかかるという問題があった。
また、移動車輪をヒッチに装着するタイプにあっては、移動車輪を上方に反転させた状態の後に、該ヒッチに培土器を装着しなければならず操作に手間がかかるという問題もあった。
【０００５】
そこで本発明は、このような点に着目してなされたものであって、歩行型移動農機を用いての畝立て作業を、機材の取り換えの手間を要することなく、能率よく行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、エンジンからの動力を該エンジンの下方にロータリ部材に伝達し、該エンジンの下方でかつ、前記ロータリ部材の上方にフェンダを備えた歩行型管理機において、該フェンダの後端に、上端側を支点として上下回動する後方フェンダを機体の左右に分割して配置し、該後方フェンダを回動自在な回動許容状態と、機体の左右幅方向で中央側に向けて左右いずれかのフェンダ若しくは左右両方のフェンダを移動させることで左右両方のフェンダを互いに近接させた状態で、下方回動位置で回動不能に固定した下限固定状態とに切換え可能に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【０００７】
請求項１に係る本発明によると、エンジンからの動力を該エンジンの下方にロータリ部材に伝達し、該エンジンの下方でかつ、前記ロータリ部材の上方にフェンダを備えた歩行型管理機において、該フェンダの後端に、上端側を支点として上下回動する後方フェンダを機体の左右に分割して配置し、該後方フェンダを回動自在な回動許容状態と、機体の左右幅方向で中央側に向けて左右いずれかのフェンダ若しくは左右両方のフェンダを移動させることで左右両方のフェンダを互いに近接させた状態で、下方回動位置で回動不能に固定した下限固定状態とに切換え可能に構成したので、通常の耕耘作業を行う際には左右に分割した配置した幅広い状態による後方フェンダで後方への泥土もしくは石の飛散を防止出来、また、畝立て作業時にあっては、耕耘作業時の後方フェンダでは畝幅が広すぎ、また、左右の後方フェンダ間に隙間が生じることで畝立て作業を行うことが出来ないものであるが、それを、本願においては、機体の左右幅方向で中央側に向けて左右いずれかのフェンダ若しくは左右両方のフェンダを移動させることで左右両方のフェンダを互いに近接させた状態で、下方回動位置で回動不能に固定した下限固定状態に切換え可能に構成したことで、後方フェンダを略一枚状の板に構成して培土器としての機能を発揮することで後方フェンダを有効に活用することが出来、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【０００８】
【図１】本発明実施の形態に係る歩行型管理機の平面図である。
【図２】本発明実施の形態に係る歩行型管理機の側面図である。
【図３】通常の耕耘作業状態を示す後方フェンダの背面図である。
【図４】畝立て作業状態を示す後方フェンダの背面図である。
【図５】後方フェンダの固定位置及び回動許容位置を示す後方ヒッチ周りの側面図である。
【図６】後方ヒッチの貫通孔周りの右側面図である。
【図７】後方ヒッチの左側面図である。
【図８】後方ヒッチの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【０００９】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。図１，図２に示すように、本発明に係る歩行型管理機３０は、上下に細長く構成されたミッションケース３１、エンジン３２、該エンジン３２の駆動力により回転して耕耘するロータリ爪（ロータリ部材）３３及び上方への泥土及び石の跳ね上がりを防止するフェンダ５０を備えている。
【００１０】
機体フレームとして構成されるミッションケース３１は、縦長の略々長方形状の部材であり、上下方向に亘って傾斜して配設されている。該ミッションケース３１の上部にはエンジン３２が搭載されていると共に、ミッションケース３１の下端部において機体の左右方向に耕耘軸３３ａが延設されており、該耕耘軸３３ａにはロータリ爪３３が設けられている。
【００１１】
また、上記エンジン３２の上方には、大径の燃料キャップ３４を備えた燃料タンク３５が配設され、その側方にはリコイルロープ３８及びマフラ３７が配設されている。なお、上記、燃料タンク３５は、タンクカバー３６によって覆われているため、給油の際に燃料がこぼれても高温のマフラ３７に滴下することはない。
【００１２】
ミッションケース３１の上端には、ハンドルフレーム４０が機体上部に向かって設けられており、該ハンドルフレーム４０から左右ハンドル４１Ｌ，４１Ｒが延設されている。歩行型管理機３０は、該左右ハンドル４１Ｌ，４１Ｒによって方向操作されると共に、左ハンドル４１Ｌには、デッドマンクラッチからなる主変速用クラッチレバー４２が配設され、右ハンドル４１Ｒには、アクセルレバー４３が配設されている。
【００１３】
一方、ミッションケース３１の中途部には、前方ヒッチ５１及び後方ヒッチ５が設けられており、フェンダ５０がその上部に固設されている。一枚の板状部材からなる該フェンダ５０は、エンジン３２の下方に位置して該エンジン３２を支承すると共に、機体左右方向に突出して設けられたロータリ爪３３の上方を覆って泥土及び石などの上方への飛散を防止している。
【００１４】
次に本発明の要部である後方フェンダ１について説明する。
【００１５】
図３乃至図５に示すように後方フェンダ１は左右に分割して、後方ヒッチ５の後部に配設され、左右フェンダ板２，３、切換え部材７、スプリング６及び連結シャフト４からなる。上記左右フェンダ板２，３は、共に略々四角形状の板状部材からなり、その上端部の機体内側から中途部に亘り、円筒状に形成されたシャフト取付け部２ａ，３ａが設けられている。該シャフト取付け部２ａ，３ａに嵌挿した連結シャフト４をクレビスピン８，８及びスナップピンによって固定可能に構成されている。
【００１６】
上記、後方ヒッチ５には、貫通孔５ａが設けられており、該貫通孔５ａに連結シャフト４が軸受９を介して挿通される。該連結シャフト４の両端には、左右フェンダ板２，３が固設されていると共に、後方ヒッチ５を挟んで機体後方視左側（Ｘ１方向）では、スプリング６が左フェンダ板３と後方ヒッチ５との間に配設されている。該スプリング６は、左フェンダ板３の取付け部３ａの端面と、後方ヒッチ５の貫通孔５ａから機体左側方（Ｘ１方向）に突出した軸受９の突出側の端面とに当接し、後方フェンダ１をＸ１方向へと常に付勢している。
【００１７】
また、後方ヒッチ５を挟んで機体後方視右側（Ｘ２方向）では、図６乃至図８に示すように、位置決めプレート７´が後方ヒッチ５の右端面に固設されると共に、右フェンダ板２の取付け部２ａから機体内側（Ｘ１方向）に向って回動ピン７ａが突設されている。該回動ピン７ａは後述する位置決めプレート７´の凹部７ｃ，７ｄ，７ｅに嵌挿され、それらによって後方フェンダ１の位置決めがなされる切換え部材７を構成する。
【００１８】
図６乃至図８に示すように上述の位置決めプレート７´は、中心に連結シャフト４を挿通する挿通孔７ｂを有する板状部材であり、その外周には、回動ピン７ａが嵌挿される複数の凹部７ｃ，７ｄ，７ｅを有している。該凹部７ｃ，７ｄ，７ｅは、位置決めプレート７´の外周の左右両側及び下部に設けられており、左右両凹部７ｃ，７ｄは、回動ピン７ａと略々同じ形に形成され、該左右両凹部７ｃ，７ｄの間に形成される下凹部７ｅは、一定の幅を持って形成されている。回動ピン７ａは、左右両凹部７ｃ，７ｄにおいて回動不能に固定され、下凹部７ｅにおいてその一定幅の範囲内で回動自在である。
【００１９】
後方フェンダ１は、回動ピン７ａが右凹部７ｄに嵌挿されると図示しない上限固定位置となり、左凹部７ｃに嵌挿されると下限固定位置ｂとなる。また、下凹部７ｅに回動ピン７ａが嵌挿されると後方フェンダ１は回動許容位置となる。下凹部７ｅの右端部に回動ピン７ａが位置すると後方フェンダ１は図示しない上方位置にあり、左端部に回動ピン７ａが位置すると後方フェンダ１は下方位置ｄとなる。
【００２０】
一方、後方ヒッチ５の後部には円筒状に形成された取付け筒５ｂが設けられている。該取付け筒５ｂには、土中に没入することによって機体の不用意な移動を抑え、機体を安定して操作することを可能とする抵抗棒５２ａが取付けられる。
【００２１】
以下、本実施形態に係る管理機の耕耘作業と畝立て作業について説明する。
【００２２】
作業者は、管理機３０を使用して耕耘、培土などの作業を行う際、目的に応じて抵抗棒５２ａを後方ヒッチ５の取付け筒５ｂに装着する。通常の耕耘作業を行う場合、作業者は、上記取付け筒５ｂに抵抗棒５２ａを装着すると共に、後方フェンダ１を回動許容位置ｃ〜ｄに設定してリコイルロープ３８を引いてエンジン３２を始動させる。
【００２３】
エンジン３２が始動すると、作業者は、左右ハンドル４１Ｌ，４１Ｒを握り、抵抗棒５２ａを圃場に沈下させ、左ハンドル４１Ｌに設けられた主変速用クラッチレバー４２を握り、耕耘軸３３ａに設けられたロータリ爪３３を回転駆動させ、耕耘作業を行う。
【００２４】
また、作業者は、後方フェンダ１をＸ２方向に押し付けながら固定位置まで回動させることによって、後方フェンダ１を固定位置に固定可能であり、より深く耕耘する際には後方フェンダ１を上限固定位置にしてロータリ爪３３をより深く土中に沈める。
【００２５】
また、耕耘作業を行う際には、後方フェンダ１を回動許容位置にしておく。
その後、左フェンダ板３のシャフト取付け部３ａを連結シャフト４から取外すために、シャフト取付け部に設けられた孔Ａからスナップピン８とクレビスピンを外し、スプリング６を連結シャフト４の外周から外し、再度、スプリング６が無い状態で、左フェンダ板３のシャフト取付け部３ａを連結シャフト４の機体中央方向（Ｘ２方向）まで嵌挿させてシャフト取付け部に別途設けた孔Ａ´にクレビスピン８とスナップピンで固定し、その後に、後方フェンダ１を下方回動位置で回動不能に固定した下限固定状態とにする。
それにより、ロータリ部材３３をダウンカット方向（図２の矢印参照）に高速で回転駆動して耕耘しながらロータリ部材３３の回転によって前進し、圃場に突入された抵抗棒５２ａによる前進抵抗を加減することで、所望の速度で前進しながら耕耘および左右への土上げを行いながら、耕耘されて柔らかくなった土を略々四角形状の後方フェンダ１で押圧移動させ、左右フェンダ板２、３の下端辺２ｂ、３ｂで畝の底面Ｂを押圧成形するとともに、左右フェンダ板２、３の傾斜する側端辺２ｃ、３ｃで左右の畝の側面Ｓを押圧成形する。
【００２６】
したがって、後方フェンダ１の本来の機能である後方への泥土もしくは石の飛散を防止することに加えて、後方フェンダ１の左右フェンダ板２、３の間隔を変更して下方回動位置で回動不能に固定した下限固定状態ｂとすることで畝を成形する培土器としての機能を持たせることが可能となり、管理機３０の作業の幅が広がり、作業効率を向上させることができる。
【００２７】
なお、後方フェンダ１を培土器として使用する場合、本実施例では、下方回動位置で回動不能に固定した下限固定状態ｂで使用すると説明したが、下限固定状態ｂに限定されるまでもなく、例えば、回動許容位置の下方位置ｄで使用することも可能である。
【符号の説明】
【００２８】
１ 後方フェンダ
７ 切換え部材
３２ エンジン
３３ ロータリ部材（ロータリ爪）
５０ フェンダ
ｂ 下限固定位置
【技術分野】
【０００１】
本発明は、耕耘作業等を行うための歩行型管理機に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、エンジンからの動力をロータリ部材に伝達し、該エンジンの下方かつ、前記ロータリ部材の上方にフェンダを設けると共に、該フェンダの後方を被覆する後方フェンダを備えた歩行型移動農機が公知となっている。この歩行型移動農機は、該フェンダの後端に、上端側を支点として上下回動する後方フェンダを設け、回動自在な回動許容位置と、上方又は下方で固定可能な上限固定位置と下限固定位置とに切換える切換え部材を備えたもので、畝立て作業を行う際には、後方フェンダを上限固定位置へ回動させて、その下方に別途、培土器を取り付けていた。（例えば、特許文献１参照）
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００９−４５０６８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
上述した特許文献１の歩行型移動農機においては、耕耘作業と畝成形作業をそれぞれ別々に行うので作業に手間がかかるとともに、耕耘作業から畝成形作業への切換えに際して、後部ヒッチへ培土器を装着する必要があり、その取り換えに手数がかかるという問題があった。
また、移動車輪をヒッチに装着するタイプにあっては、移動車輪を上方に反転させた状態の後に、該ヒッチに培土器を装着しなければならず操作に手間がかかるという問題もあった。
【０００５】
そこで本発明は、このような点に着目してなされたものであって、歩行型移動農機を用いての畝立て作業を、機材の取り換えの手間を要することなく、能率よく行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、エンジンからの動力を該エンジンの下方にロータリ部材に伝達し、該エンジンの下方でかつ、前記ロータリ部材の上方にフェンダを備えた歩行型管理機において、該フェンダの後端に、上端側を支点として上下回動する後方フェンダを機体の左右に分割して配置し、該後方フェンダを回動自在な回動許容状態と、機体の左右幅方向で中央側に向けて左右いずれかのフェンダ若しくは左右両方のフェンダを移動させることで左右両方のフェンダを互いに近接させた状態で、下方回動位置で回動不能に固定した下限固定状態とに切換え可能に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【０００７】
請求項１に係る本発明によると、エンジンからの動力を該エンジンの下方にロータリ部材に伝達し、該エンジンの下方でかつ、前記ロータリ部材の上方にフェンダを備えた歩行型管理機において、該フェンダの後端に、上端側を支点として上下回動する後方フェンダを機体の左右に分割して配置し、該後方フェンダを回動自在な回動許容状態と、機体の左右幅方向で中央側に向けて左右いずれかのフェンダ若しくは左右両方のフェンダを移動させることで左右両方のフェンダを互いに近接させた状態で、下方回動位置で回動不能に固定した下限固定状態とに切換え可能に構成したので、通常の耕耘作業を行う際には左右に分割した配置した幅広い状態による後方フェンダで後方への泥土もしくは石の飛散を防止出来、また、畝立て作業時にあっては、耕耘作業時の後方フェンダでは畝幅が広すぎ、また、左右の後方フェンダ間に隙間が生じることで畝立て作業を行うことが出来ないものであるが、それを、本願においては、機体の左右幅方向で中央側に向けて左右いずれかのフェンダ若しくは左右両方のフェンダを移動させることで左右両方のフェンダを互いに近接させた状態で、下方回動位置で回動不能に固定した下限固定状態に切換え可能に構成したことで、後方フェンダを略一枚状の板に構成して培土器としての機能を発揮することで後方フェンダを有効に活用することが出来、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【０００８】
【図１】本発明実施の形態に係る歩行型管理機の平面図である。
【図２】本発明実施の形態に係る歩行型管理機の側面図である。
【図３】通常の耕耘作業状態を示す後方フェンダの背面図である。
【図４】畝立て作業状態を示す後方フェンダの背面図である。
【図５】後方フェンダの固定位置及び回動許容位置を示す後方ヒッチ周りの側面図である。
【図６】後方ヒッチの貫通孔周りの右側面図である。
【図７】後方ヒッチの左側面図である。
【図８】後方ヒッチの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【０００９】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。図１，図２に示すように、本発明に係る歩行型管理機３０は、上下に細長く構成されたミッションケース３１、エンジン３２、該エンジン３２の駆動力により回転して耕耘するロータリ爪（ロータリ部材）３３及び上方への泥土及び石の跳ね上がりを防止するフェンダ５０を備えている。
【００１０】
機体フレームとして構成されるミッションケース３１は、縦長の略々長方形状の部材であり、上下方向に亘って傾斜して配設されている。該ミッションケース３１の上部にはエンジン３２が搭載されていると共に、ミッションケース３１の下端部において機体の左右方向に耕耘軸３３ａが延設されており、該耕耘軸３３ａにはロータリ爪３３が設けられている。
【００１１】
また、上記エンジン３２の上方には、大径の燃料キャップ３４を備えた燃料タンク３５が配設され、その側方にはリコイルロープ３８及びマフラ３７が配設されている。なお、上記、燃料タンク３５は、タンクカバー３６によって覆われているため、給油の際に燃料がこぼれても高温のマフラ３７に滴下することはない。
【００１２】
ミッションケース３１の上端には、ハンドルフレーム４０が機体上部に向かって設けられており、該ハンドルフレーム４０から左右ハンドル４１Ｌ，４１Ｒが延設されている。歩行型管理機３０は、該左右ハンドル４１Ｌ，４１Ｒによって方向操作されると共に、左ハンドル４１Ｌには、デッドマンクラッチからなる主変速用クラッチレバー４２が配設され、右ハンドル４１Ｒには、アクセルレバー４３が配設されている。
【００１３】
一方、ミッションケース３１の中途部には、前方ヒッチ５１及び後方ヒッチ５が設けられており、フェンダ５０がその上部に固設されている。一枚の板状部材からなる該フェンダ５０は、エンジン３２の下方に位置して該エンジン３２を支承すると共に、機体左右方向に突出して設けられたロータリ爪３３の上方を覆って泥土及び石などの上方への飛散を防止している。
【００１４】
次に本発明の要部である後方フェンダ１について説明する。
【００１５】
図３乃至図５に示すように後方フェンダ１は左右に分割して、後方ヒッチ５の後部に配設され、左右フェンダ板２，３、切換え部材７、スプリング６及び連結シャフト４からなる。上記左右フェンダ板２，３は、共に略々四角形状の板状部材からなり、その上端部の機体内側から中途部に亘り、円筒状に形成されたシャフト取付け部２ａ，３ａが設けられている。該シャフト取付け部２ａ，３ａに嵌挿した連結シャフト４をクレビスピン８，８及びスナップピンによって固定可能に構成されている。
【００１６】
上記、後方ヒッチ５には、貫通孔５ａが設けられており、該貫通孔５ａに連結シャフト４が軸受９を介して挿通される。該連結シャフト４の両端には、左右フェンダ板２，３が固設されていると共に、後方ヒッチ５を挟んで機体後方視左側（Ｘ１方向）では、スプリング６が左フェンダ板３と後方ヒッチ５との間に配設されている。該スプリング６は、左フェンダ板３の取付け部３ａの端面と、後方ヒッチ５の貫通孔５ａから機体左側方（Ｘ１方向）に突出した軸受９の突出側の端面とに当接し、後方フェンダ１をＸ１方向へと常に付勢している。
【００１７】
また、後方ヒッチ５を挟んで機体後方視右側（Ｘ２方向）では、図６乃至図８に示すように、位置決めプレート７´が後方ヒッチ５の右端面に固設されると共に、右フェンダ板２の取付け部２ａから機体内側（Ｘ１方向）に向って回動ピン７ａが突設されている。該回動ピン７ａは後述する位置決めプレート７´の凹部７ｃ，７ｄ，７ｅに嵌挿され、それらによって後方フェンダ１の位置決めがなされる切換え部材７を構成する。
【００１８】
図６乃至図８に示すように上述の位置決めプレート７´は、中心に連結シャフト４を挿通する挿通孔７ｂを有する板状部材であり、その外周には、回動ピン７ａが嵌挿される複数の凹部７ｃ，７ｄ，７ｅを有している。該凹部７ｃ，７ｄ，７ｅは、位置決めプレート７´の外周の左右両側及び下部に設けられており、左右両凹部７ｃ，７ｄは、回動ピン７ａと略々同じ形に形成され、該左右両凹部７ｃ，７ｄの間に形成される下凹部７ｅは、一定の幅を持って形成されている。回動ピン７ａは、左右両凹部７ｃ，７ｄにおいて回動不能に固定され、下凹部７ｅにおいてその一定幅の範囲内で回動自在である。
【００１９】
後方フェンダ１は、回動ピン７ａが右凹部７ｄに嵌挿されると図示しない上限固定位置となり、左凹部７ｃに嵌挿されると下限固定位置ｂとなる。また、下凹部７ｅに回動ピン７ａが嵌挿されると後方フェンダ１は回動許容位置となる。下凹部７ｅの右端部に回動ピン７ａが位置すると後方フェンダ１は図示しない上方位置にあり、左端部に回動ピン７ａが位置すると後方フェンダ１は下方位置ｄとなる。
【００２０】
一方、後方ヒッチ５の後部には円筒状に形成された取付け筒５ｂが設けられている。該取付け筒５ｂには、土中に没入することによって機体の不用意な移動を抑え、機体を安定して操作することを可能とする抵抗棒５２ａが取付けられる。
【００２１】
以下、本実施形態に係る管理機の耕耘作業と畝立て作業について説明する。
【００２２】
作業者は、管理機３０を使用して耕耘、培土などの作業を行う際、目的に応じて抵抗棒５２ａを後方ヒッチ５の取付け筒５ｂに装着する。通常の耕耘作業を行う場合、作業者は、上記取付け筒５ｂに抵抗棒５２ａを装着すると共に、後方フェンダ１を回動許容位置ｃ〜ｄに設定してリコイルロープ３８を引いてエンジン３２を始動させる。
【００２３】
エンジン３２が始動すると、作業者は、左右ハンドル４１Ｌ，４１Ｒを握り、抵抗棒５２ａを圃場に沈下させ、左ハンドル４１Ｌに設けられた主変速用クラッチレバー４２を握り、耕耘軸３３ａに設けられたロータリ爪３３を回転駆動させ、耕耘作業を行う。
【００２４】
また、作業者は、後方フェンダ１をＸ２方向に押し付けながら固定位置まで回動させることによって、後方フェンダ１を固定位置に固定可能であり、より深く耕耘する際には後方フェンダ１を上限固定位置にしてロータリ爪３３をより深く土中に沈める。
【００２５】
また、耕耘作業を行う際には、後方フェンダ１を回動許容位置にしておく。
その後、左フェンダ板３のシャフト取付け部３ａを連結シャフト４から取外すために、シャフト取付け部に設けられた孔Ａからスナップピン８とクレビスピンを外し、スプリング６を連結シャフト４の外周から外し、再度、スプリング６が無い状態で、左フェンダ板３のシャフト取付け部３ａを連結シャフト４の機体中央方向（Ｘ２方向）まで嵌挿させてシャフト取付け部に別途設けた孔Ａ´にクレビスピン８とスナップピンで固定し、その後に、後方フェンダ１を下方回動位置で回動不能に固定した下限固定状態とにする。
それにより、ロータリ部材３３をダウンカット方向（図２の矢印参照）に高速で回転駆動して耕耘しながらロータリ部材３３の回転によって前進し、圃場に突入された抵抗棒５２ａによる前進抵抗を加減することで、所望の速度で前進しながら耕耘および左右への土上げを行いながら、耕耘されて柔らかくなった土を略々四角形状の後方フェンダ１で押圧移動させ、左右フェンダ板２、３の下端辺２ｂ、３ｂで畝の底面Ｂを押圧成形するとともに、左右フェンダ板２、３の傾斜する側端辺２ｃ、３ｃで左右の畝の側面Ｓを押圧成形する。
【００２６】
したがって、後方フェンダ１の本来の機能である後方への泥土もしくは石の飛散を防止することに加えて、後方フェンダ１の左右フェンダ板２、３の間隔を変更して下方回動位置で回動不能に固定した下限固定状態ｂとすることで畝を成形する培土器としての機能を持たせることが可能となり、管理機３０の作業の幅が広がり、作業効率を向上させることができる。
【００２７】
なお、後方フェンダ１を培土器として使用する場合、本実施例では、下方回動位置で回動不能に固定した下限固定状態ｂで使用すると説明したが、下限固定状態ｂに限定されるまでもなく、例えば、回動許容位置の下方位置ｄで使用することも可能である。
【符号の説明】
【００２８】
１ 後方フェンダ
７ 切換え部材
３２ エンジン
３３ ロータリ部材（ロータリ爪）
５０ フェンダ
ｂ 下限固定位置
【特許請求の範囲】
【請求項１】
エンジンからの動力を該エンジンの下方にロータリ部材に伝達し、該エンジンの下方でかつ、前記ロータリ部材の上方にフェンダを備えた歩行型管理機において、該フェンダの後端に、上端側を支点として上下回動する後方フェンダを機体の左右に分割して配置し、該後方フェンダを回動自在な回動許容状態と、機体の左右幅方向で中央側に向けて左右いずれかのフェンダ若しくは左右両方のフェンダを移動させることで左右両方のフェンダを互いに近接させた状態で、下方回動位置で回動不能に固定した下限固定状態とに切換え可能に構成したことを特徴とする歩行型管理機。
【請求項１】
エンジンからの動力を該エンジンの下方にロータリ部材に伝達し、該エンジンの下方でかつ、前記ロータリ部材の上方にフェンダを備えた歩行型管理機において、該フェンダの後端に、上端側を支点として上下回動する後方フェンダを機体の左右に分割して配置し、該後方フェンダを回動自在な回動許容状態と、機体の左右幅方向で中央側に向けて左右いずれかのフェンダ若しくは左右両方のフェンダを移動させることで左右両方のフェンダを互いに近接させた状態で、下方回動位置で回動不能に固定した下限固定状態とに切換え可能に構成したことを特徴とする歩行型管理機。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公開番号】特開２０１２−１５２１７７（Ｐ２０１２−１５２１７７Ａ）
【公開日】平成２４年８月１６日（２０１２．８．１６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−１５７５６（Ｐ２０１１−１５７５６）
【出願日】平成２３年１月２７日（２０１１．１．２７）
【出願人】（０００００１８７８）三菱農機株式会社 (1,502)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年８月１６日（２０１２．８．１６）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年１月２７日（２０１１．１．２７）
【出願人】（０００００１８７８）三菱農機株式会社 (1,502)
【Ｆターム（参考）】
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