説明

歩行型耕耘機

【課題】耕耘装置の後部に移動用の尾輪を装着して耕耘作業を行なう歩行型耕耘機において、前記尾輪の陥没跡を目立たないように整地する。
【解決手段】耕耘装置15の上方を覆う耕耘カバー22の後部にリヤカバー25を上下揺動自在に支持すると共に、前記リヤカバー25の後端に錐体30を取り付けることによって、当該当該リヤカバー25の自重による整地作用に加えて、その後端部の接地荷重を錐体30分ほど増加させることができるので、耕耘装置15により耕耘した圃場表面Gを効率よく整地できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耕耘装置の上方を覆う耕耘カバーの後部にリヤカバーを上下回動自在に支持した歩行型耕耘機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自走機体の後部にロータリ型耕耘装置を連結した歩行型耕耘機においては、その耕耘ロータの上方を覆うロータリカバーと後方を覆う上下2つの後カバーを設け、これら上下2つの後カバーのうち、下側の後カバーのみを上下揺動自在に構成することによって、耕耘ロータの点検作業をやり易くすると共に、耕耘した圃場表面を下側の後カバーの自重により整地できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭62−107604号公報(第4−6頁、図1−図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した特許文献1の後カバー(下部カバー)の自重による整地作用は十分なものではなく、特にロータリ耕耘装置の後部に移動用の尾輪を装着して耕耘作業を行なう場合は、この尾輪の陥没跡を目立たないように整地することが困難であり、この不具合を改善することを期待されていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決することを目的として創案したものであって、耕耘装置の上方を覆う耕耘カバーの後部にリヤカバーを上下揺動自在に支持した歩行型耕耘機において、前記リヤカバーの後端に錐体を取り付けたことを第1の特徴としている。
そして、耕耘装置の後部に移動用の尾輪を備えることを第2の特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、耕耘カバーの後部に上下揺動自在に支持したリヤカバーの後端に錐体を取り付けたことによって、当該リヤカバーの自重による整地作用に加えて、その後端部の接地荷重を錐体分ほど増加させることができるので、耕耘装置により耕耘した圃場表面を効率よく整地できるようになる。
そして、耕耘装置の後部に移動用の尾輪を備える場合には、この尾輪の陥没跡が目立たないように圃場表面を整地することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明が適用される歩行型耕耘機11の側面図であって、この歩行型耕耘機11は、機体フレームを構成する側面視で略へ字状のミッションケース12が中央に配設されており、このミッションケース12の前側下部に車軸13を軸架して走行車輪14を取付ける一方、ミッションケース2の後側下部にはロータリ耕耘装置15の耕耘軸16を横架すると共に、該耕耘軸16の周囲に図示しない複数本の耕耘爪を植設している。
【0007】
そして、ミッションケース12の前方に取付けたエンジンフレーム17上にエンジン18を載置してあり、このエンジン18の一側に配設したベルトカバー19内に設けられている図示しないプーリー、Vベルト等を介して、エンジン18の駆動力をミッションケース12内に伝達すると共に、該ミッションケース12内の変速機構によって変速された動力を走行車輪14やロータリ耕耘装置15に伝達するように構成してある。
【0008】
また、ミッションケース12の上部から後上がり傾斜でハンドル20が延出してあり、このハンドル20の握り部20aをオペレータが把持した状態で歩行型耕耘機11を走行させながらロータリ耕耘装置15を回転駆動させることによって、圃場の耕耘作業を行なうことができるようになっている。
【0009】
尚、ハンドル20には、操作具としてメインクラッチレバー21が設けてあり、このメインクラッチレバー21を操作することによって、エンジン18とミッションケース12との間に介設した図示しないテンションクラッチ機構を介して、当該エンジン18とミッションケース12間の動力の断接がなされる。
【0010】
そして、ロータリ耕耘装置15の上方を覆う耕耘(ロータリ)カバー22は、側面視で略湾曲状に形成されると共に、この耕耘カバー22の中央に一体的に固着したロータリフレーム23を介してミッションケース12に螺設されている。
【0011】
また、耕耘カバー22の左右両側には、サイドカバー22aを付設すると共に、耕耘カバー22の前後には、ロータリ耕耘装置15から放擲される耕耘土壌の飛散を防止するゴム製のフロントカバー24と鉄板製のリヤカバー25を取付けている。尚、ロータリフレーム23の後端には、高さ調節可能な尾輪26を設けている。
【0012】
更に詳しくは、フロントカバー24は、図1及び図2に示すように、ロータリフレーム23と耕耘カバー22の左右前端部とを強固に固着するプレート状の補強部材27L,27Rに、側面視で円弧状に形成した図示しない押さえ板を介して挟まれた状態で螺設してあり、それによってフロントカバー24は、前記押さえ板の前端形状に沿って彎曲癖が付けられた状態で垂れ下がり、当該フロントカバー24と図示しない耕耘爪が直接干渉しないように構成してある。
【0013】
また、上述したリヤカバー25は、上下2つのカバー25a,25bからなり、これら上下2つのリヤカバー25a,25bのうち、上側のリヤカバー25aは、耕耘カバー22の後部に横設した取付ステー28に複数の蝶番29を介して上下揺動自在に取り付けてある。
【0014】
一方、下側のリヤカバー25bは、上側のリヤカバー25aの後端に複数の蝶番29を介して上下揺動自在に取り付けられると共に、この下側のリヤカバー25bの後端下面に棒状の錐体30を横設している。尚、本実施例では、外観上の違和感がないように下側のリヤカバー25bの下面側に棒状の錐体30を溶接固定しているが、下側のリヤカバー25bの上面側に棒状の錐体30を横設してもよく、更には当該リヤカバー25bに対して錐体30を着脱できるように取り付けてもよい。
【0015】
即ち、上述の如くリヤカバー25bの後端下面に棒状の錐体30を取付けることによって、当該リヤカバー25bの自重による整地作用に加えて、その後端部の接地荷重を錐体30分ほど増加させることができるので、ロータリ耕耘装置15により耕耘した圃場表面Gを効率よく整地できるようになる。
【0016】
更に詳しくは、従来は、ロータリ耕耘装置15の後部に移動用の尾輪26を装着して耕耘作業を行なう場合、下側のリヤカバー25bの自重のみによる整地作用は十分なものではなく、図3(a)に示すような尾輪26の陥没跡Tを目立たないように整地することが困難であったが、本実施例の如く下側のリヤカバー25bの後端に棒状の錐体30を取り付けることによって、図3(b)に示すように尾輪26の陥没跡Tが目立たないように圃場表面Gを整地することができる。
【0017】
この時、図1に示すように、ロータリ耕耘装置15により圃場表面Gから深さHの耕耘がなされ、更に図1には、この耕耘作業状態における尾輪26及び下側のリヤカバー25bの圃場表面Gに対する相対的な高さ位置を図示している。そして、下側のリヤカバー25bの後端には、図2に示すように、平面視で鋸刃状の整地作用部Eを設けてあり、それによって図3(b)に示すような略波形の整地断面が形成されるようになっている。
【0018】
また、上側のリヤカバー25aの後端に上下揺動自在に取り付けられている下側のリヤカバー25bには、この下側のリヤカバー25bを図1に二点鎖線で示すように上方に揺動させた状態で、上側のリヤカバー25aの略中央に上下回動可能に設けたフック31に係止させる係合孔H1(図2参照)を設けてあり、それによってロータリ耕耘装置15を構成する複数本の耕耘爪の機体後側からの点検作業をやり易くしている。
【0019】
尚、上述の如く下側のリヤカバー25bを上方に揺動させてフック31で係止した二点鎖線で示す状態では、ロータリ耕耘装置15による深い耕耘がなされる一方、下側のリヤカバー25bを上下揺動自在に垂れ下げた実線で示す状態では、ロータリ耕耘装置15による比較的浅い耕耘がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】歩行型耕運機の側面図。
【図2】耕耘カバー及びリヤカバーの平面図。
【図3】リヤカバーによる整地作用状態をモデル的に示す圃場面の断面図。
【符号の説明】
【0021】
2 伝動ケース
15 耕耘装置
22 耕耘カバー
25 リヤカバー
26 尾輪
30 錐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘装置(15)の上方を覆う耕耘カバー(22)の後部にリヤカバー(25)を上下揺動自在に支持した歩行型耕耘機において、前記リヤカバー(25)の後端に錐体(30)を取り付けたことを特徴とする歩行型耕耘機。
【請求項2】
耕耘装置(15)の後部に移動用の尾輪(26)を備える請求項1に記載の歩行型耕耘機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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