説明

歩行型農作業機

【課題】
小型の農作業機械、収穫物、資材等を搭載することができる歩行型移動農機を提供することを課題としている。
【解決手段】
車輪2aの前方にロータリ装置3aを設け、ロータリ装置3aより後方の上方位置にエンジン4を設け、該ロータリ装置3aの上方を覆うロータリカバー17を、エンジン4の下方位置から前方に延設させて取り付けた歩行型農作業機において、ロータリカバー17より前方に出退自在な支持部材18を設け、該支持部材18に収納用のカゴ20を取り付け可能に構成している。
また、支持部材18の端部を、機体の持ち上げ用の持ち手18aに設けても良い。
そして、ロータリカバー17より出退自在な支持部材18の上面に、収納用カゴ20を固定載置する部材Cを設けても良い。
更に、ロータリカバー17より出退自在な支持部材18を、ロータリカバー17の略全幅に亘っても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行型管理機等の歩行型農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータリ装置を備えた歩行型農作業機が公知となっている。該歩行型農作業機には、ロータリカバーの上方のスペースに、ステーとブラケットを介して収納用カゴをロータリカバーの高い位置に取り付けて、該収納カゴ内に農作業で使用するツール、例えば鎌や鍬、あるいは作物等を入れることができるようにしたものは知られている。
【特許文献1】特開2007−49934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のものは、収納用のカゴをロータリカバーに取り付けるために、別途、ステーやブラケットを準備しなければならない等の欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための本発明の歩行型農作業機は、車輪の前方にロータリ装置を設け、ロータリ装置より後方の上方位置にエンジンを設け、該ロータリ装置の上方を覆うロータリカバーを、エンジンの下方位置から前方に延出させて取り付けた歩行型農作業機において、ロータリカバーより前方に出退自在な支持部材を設けて、該支持部材に収納用のカゴを取り付け可能に構成したことを第1の特徴としている。
【0005】
第2に、支持部材の端部を、機体の持ち上げ用の持ち手に設けたことを特徴としている。
【0006】
第3に、ロータリカバーより出退自在な支持部材の上面に、収納用のカゴを着脱自在に固定載置する部材を設けたことを特徴としている。
【0007】
第4に、ロータリカバーより出退自在な支持部材を、ロータリカバーの略全幅に亘って設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
以上のように構成される本発明の構造によると、ロータリカバーより出退自在な支持部材を設け、該支持部材に収納用のカゴを取り付け可能に構成したことにより、ロータリカバーに収納カゴ専用の取付け部材を設ける必要がなく、また、ロータリカバーの裏面に進退自在な突出部材を設けることで、ロータリカバー自体の強度も向上することができる。
【0009】
また、ロータリカバーより出退自在な支持部材の端部を機体の持ち上げ用の持ち手に取り付けたことにより、機体の持ち上げ用の持ち手と、ロータリカバーより支持部材を出退する際の引手を兼用することができる。
【0010】
そして、ロータリカバーより出退自在な支持部材の上面に、収納用のカゴを着脱自在に固定載置すべく予め固定部材を設けることで、収納用のカゴ等を固定することが可能となり、歩行型農作業機の振動によって収納用のカゴ等が支持部材から脱落したりすることもない。
【0011】
さらに、ロータリカバーより出退自在な支持部材を、ロータリカバーの略全幅に亘って設けたことにより、収納用のカゴ等の大きいものであっても、ロータリカバーの略全幅を使って収納用のカゴを支持部材に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1,図2は、本発明を採用した歩行型農作業機である歩行型管理機の側面図及び平面図である。側面視において下方が二叉に分かれたミッションケース1が機体フレームを構成している。
【0013】
ミッションケース1の二叉に分かれた一方の下端側となる下方後方に車軸2を介して車輪2aが設けられている。車輪2aはミッションケース1の左右両側に設けられている。ミッションケース1の二叉に分かれた他方の下端側となる下方前方側には、ロータリ軸3を介して耕耘装置であるロータリ3aが設けられている。
【0014】
ミッションケース1の上部には、エンジン4が搭載されている。エンジン4の上方には燃料タンク(図示せず)が配置され、該燃料タンクの上方はボンネット6によって覆われている。ミッションケース1内には、車輪2a用の走行駆動力を変速する走行変速機構と、ロータリ3a用のロータリ駆動力を変速するロータリ変速機構とを備えたトランスミッションTが設けられている。
【0015】
エンジン4からトランスミッションTには伝動機構等を介して駆動力が伝動されている。伝動機構側にはメインクラッチが設けられている。エンジン4からトランスミッションTへの駆動力の伝動はメインクラッチによって入り切り自在となっている。メインクラッチの入り作動によって、エンジン4からトランスミッションTに駆動力が伝動され、車輪2a及びロータリ3aが回転駆動される。
【0016】
ミッションケース1の後方には、斜め上方に向かって左右一対のブラケット8が固定されている。該ブラケット8の後端には、平面視で略U字状をなし、後方斜め上方に向かって突出するハンドル9が前後揺動可能に取り付けられている。該ハンドル9には、前述のメインクラッチの入り切りを操作するクラッチ操作レバー10が揺動自在に設けられている。該クラッチ操作レバー10によって車輪2a及びロータリ3aの駆動を入り切り操作することができる。
【0017】
ミッションケース1からは、後方に向かって車輪2a及びロータリ3aの駆動変速を操作する主変速レバー11が突設されている。該主変速レバー11はレバーガイド12を介して後方に向かって突出している。該主変速レバー11はレバーガイド12に沿って、揺動操作が可能となっている。該主変速レバー11の揺動操作によって走行速度(車輪2aの駆動速度)の変速操作や、ロータリ3aの駆動速度及び回転方向の変速操作を行うことができる。
【0018】
本歩行型管理機は、上記構造により、車輪2aを接地させて作業者がハンドル9を持ち、エンジン4を作動させ、主変速レバー11を任意の位置に設定操作すると共に、クラッチ操作レバー10を入り作動させることによって、後方側の車輪2aの駆動によって機体が走行し、この機体の走行と同時に回転するロータリ3aにより耕耘作業を行うことができる。
【0019】
ミッションケース1の前方には、ゲージ輪アーム13を介してゲージ輪14が自由回転自在に設けられている。車輪2aとゲージ輪14とが接地しながら機体は走行する。ゲージ輪アーム13をゲージ輪設定レンジG内を揺動させてゲージ輪14の高さ位置を設定することによって耕耘深さを設定調節することができる。
【0020】
上記ミッションケース1のエンジン4とロータリ3aとの間の位置には、平面視で略逆U字状をなす杆状の持ち手18aを有する支持部材18の両基端部が固定されている。該持ち手18aはロータリ3aの上方を迂回するように経由して機体の前方に延出している。持ち手18aの前方側は、ゲージ輪アーム13を支持するブラケット16の上方に位置している。
【0021】
ロータリ3aの上方は、エンジン4の下方位置から前方に延出するロータリカバー17によって覆われている。該ロータリカバー17は樹脂による一体成形品であり、持ち手18aが支持フレームを構成している。該ロータリカバー17はロータリ3aの概ね上方のみを、ロータリ3aの回転軌跡に沿って覆う。尚、該ロータリカバー17の裏面には、後述する持ち手18aと一体的に出退自在な支持部材(平板)18が設けられている。
【0022】
作業者は、通常、前方の持ち手18aと後方の持ち手9aを持つことによって機体を持ち上げることができる。
【0023】
持ち手18aを有する支持部材18の基端部18bが、ミッションケース1の両側方に突出するボスにボルトAを介して取り付けられている。
【0024】
そして、機体前方に出退自在な支持部材18が杆状部材19に装入され、該杆状部材19に対して支持部材18を入り込ませた通常の耕耘作業状態と、杆状部材19に対して支持部材18を引き出せる状態にしている。そして、該支持部材(平板)18には別途用意した収納カゴ20を着脱自在に載置固定出来るように構成するために、収納カゴ20底面に設けた孔Oと該支持部材18とを係止具22によって固定出来る構成となっている。
【0025】
具体的には、図5に示すように、杆状部材19に対してスライド調節可能で先端部に持ち手18aを有する支持部材18は、該支持部材18には前後2つの差込孔15a、15bが上下方向に穿設されており、その差込孔15a、15bには杆状部材19先端に設けた係止具22の係止ピン22aが選択的に差込まれ、支持部材18の出退長さが調節される。
上記ピン22aはスプリング22bにより弾力的に差込まれ、引抜く時は弾力に抗してロータリカバー17の中途部に設けられた孔から上方に引抜かれる。
【0026】
19aは杆状部材19に軸方向に穿設されたスライドガイド溝であり、15bは持ち手18a側に突設され、上記スライドガイド溝19a内に収納されて持ち手18aと一体的な支持部材18のスライド量を規制しながら案内するガイドピンである。
【0027】
そして、持ち手18aはロータリ3aの上方を迂回するように経由して機体の前方に延出している。作業者は、通常の耕耘作業において、ハンドル9のパイプ9aを後方の持ち手とし、且つ持ち手18aを前方の持ち手とすることによって機体を簡単に持ち上げることができる。
【0028】
ミッションケース1の前端部分には、ブラケット16がボルトBで固定されている。該ブラケット16には、ゲージ輪アーム13が上下揺動自在に軸支されている。該アーム13の先端側には、前側昇降車輪14が自由回転自在に軸支されている。
【0029】
図4に示されるように、前述のロータリ3aの上方は、ロータリカバー17によって覆われている。該カバー17は、ミッションケース1を介して支持部材18に取り付けられており、支持部材18はカバー17のフレームの一部ともなっている。これにより支持部材18がカバーのフレームを兼用し、コストダウンが図られている。また支持部材18が上記のようにミッションケース1に強固に固定されているため、支持部材18をフレームとするカバー17もミッションケース1側に強固に安定して取り付けられる。
【0030】
上記ロータリカバー17の前方より、支持部材18を有する持ち手18aを持って、杆状部材19に対して常時は係止具22によって固定されている。
その後、耕耘作業が終わってから圃場で使った鎌や鍬、収穫した作物等を運搬す際には、ロータリカバー17の中途部に設けられた孔から係止具22を操作することで、ピン22aを前方の差込孔15aからスプリング22bに抗して上方へ引き抜き、杆状部材19に対して支持部材18を引き出して、ピン22aを後方の差込孔15bに差し込む。
そして、支持部材18に収納カゴ20の底面に設けられた孔Oに係止具22を設置することで、収納カゴ20を支持部材18に固定するように構成されている。
【0031】
従って、持ち手18aと一体的な支持部材18の上面に、別途用意した収納カゴ20を設置することが可能となり、その際、収納カゴ20が支持部材18から機械の振動等により脱落したりしないように支持部材18の上面には、収納カゴ20を着脱自在に載置固定出来るように、図2に示すように適宜、収納カゴ20を固定出来るように孔Oが設けてある。
即ち、図4に示すように、支持部材18に設けられた孔Oには、収納カゴ20固定用の固定部材Cが収納カゴ20の四隅に取り付けられており、収納カゴ20の大きさに応じて、どの孔Oに収納カゴ20を固定するかを決めてから、固定部材Cにより収納カゴ20を支持部材18に固定する。
【0032】
そして、支持部材18は、ロータリカバー17の略全幅に亘って設けられており、収納カゴ20が大きいもの迄でも取り付けられるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】歩行型管理機の側面図である。
【図2】歩行型管理機の平面図である。
【図3】要部の拡大側面図である。
【図4】支持部材をロータリカバーから延出させて収納カゴを取り付けた状態を示す拡大側面図である。
【図5】支持部材の側面図である。
【符号の説明】
【0034】
2a 車輪
3a ロータリ
4 エンジン
17 ロータリカバー
18 支持部材
18a 持ち手
20 収納カゴ
22 係止具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪の前方にロータリ装置を設け、ロータリ装置より後方の上方位置にエンジンを設け、該ロータリ装置の上方を覆うロータリカバーを、エンジンの下方位置から前方に延設させて取り付けた歩行型農作業機において、ロータリカバーより前方に出退自在な支持部材を設けて、該支持部材に収納用のカゴを取り付け可能に構成したことを特徴とする歩行型農作業機。
【請求項2】
支持部材の端部を、機体の持ち上げ用の持ち手に設けた請求項1の歩行型農作業機。
【請求項3】
ロータリカバーより出退自在な支持部材の上面に、収納用のカゴを着脱自在に固定載置する部材を設けた請求項1の歩行型農作業機。
【請求項4】
ロータリカバーより出退自在な支持部材を、ロータリカバーの略全幅に亘って設けた請求項1の歩行型農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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