説明

段ボール製トレー

【課題】トレー内における緩衝体の位置決めが確実、容易な段ボール製トレーを提供する。
【解決手段】段ボール製トレーにおいて、第1の外板2の先端縁中間部に、開口側へ向かって拡がる突出部8を設け、折曲片6を内側に折り曲げ、第2の外板3を起立させ、頂板4を水平方向に、内板5を下方へと順次折り曲げ、第2の外板3と内板5との間に折曲片6を挟み込み、内板5の縁先端部にあるロック片7を、底壁1と外板3との境に設けたロック片用切り込み9に差し込み、更に発泡スチロール等からなる緩衝体11をトレー構造体12の内側4隅の側壁13に当接配置させ、底壁1の一対の対向端縁にある第1の外板2との接合部を中心として、突出部8を内側に折り曲げ、開口側に向かって拡がる突出部8の両側外縁17を緩衝材11の側面部19に当接させた構成にしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主として、家電機器に使用する簡易組立式の段ボール製トレーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来段ボール製のトレーとして、底壁1の周縁各片に4枚の側壁2を連設した段ボール製トレーにおいて、隣り合う側壁2を折込片4で繋ぎ、この折込片4に45゜の罫線16を形成し、一対の側壁2と折込片4の境界をブリッジ部17を除いて全切罫線18とし、側壁2の起立に伴い折込片4に沿って折り込まれるようにする。。また、他対の側壁2を抱き込む抱込板6に連設した差込片7を底壁1の下方へ回して上げつつ、差込穴8に差し込まれロックされているものがあった(例えば、特許文献1参照)。
また、輸送の際には、前記底壁1の4隅に発泡スチロール等の緩衝体を配置し、前記側壁2と前記緩衝体の側面とが当接するように配置し、段ボール製のトレーの4隅に配置した緩衝体の上面側部に家電機器の脚等を載せていた。
【0003】
【特許文献1】特開2003−11951号公報(要約、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のごとき従来の構成では、トレー内に内包する緩衝体の位置決めが困難であり、製品本体を緩衝体の上面部に載せる際に、前記緩衝体を正確な位置に配置させるために、かなりの手間がかかり、製造工程で多大な時間ロスが発生するという問題点があった。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、トレー内に内包する緩衝体の位置決めを容易とし、組立工程時に手間のかからない、作業が高効率となる段ボール製トレーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決するため、底壁1の一対の対向端縁に第1の外板2を、他方の対向端縁に第2の外板3、頂板4および内板5をそれぞれ順次連結形成すると共に、第1の外板2の両側縁にそれぞれ折曲片6を連接形成し、内板5の縁先端部にそれぞれロック片7を形成した段ボール製トレーにおいて、前記第1の外板2の先端縁中間部に、開口側へ向かって拡がる形状を有する突出部8を設ける。前記折曲片6を内側に折り曲げ、第2の外板3を起立させ、頂板4を水平方向に、内板5を下方へと順次折り曲げ、第2の外板3と内板5との間に前記折曲片6を挟み込み、且つ内板5の縁先端部にあるロック片7を、底壁1と第2の外板3との境に設けたロック片挿入のためのロック片用切り込み9に差し込み、発泡スチロール等からなる緩衝体11をトレー構造体12の内側4隅の側壁13に当接し、底壁1の一対の対向端縁にある第1の外板2との接合部を中心として、突出部8を内側に折り曲げ、開口側に向かって拡がる突出部8の両側の突出部外縁17を緩衝体11の側面部19に当接するように構成したものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の底壁1の一対の対向端縁に第1の外板2を、他方の対向端縁に第2の外板3、頂板4および内板5をそれぞれ順次連結形成すると共に、第1の外板2の両側縁にそれぞれ折曲片6を連接形成し、内板5の縁先端部にそれぞれロック片7を形成した段ボール製トレーにおいて、前記第1の外板2の先端縁中間部に、開口側へ向かって拡がる形状を有する突出部8を設ける。前記折曲片6を内側に折り曲げ、第2の外板3を起立させ、頂板4を水平方向に、内板5を下方へと順次折り曲げ、第2の外板3と内板5との間に前記折曲片6を挟み込み、且つ内板5の縁先端部にあるロック片7を、底壁1と第2の外板3との境に設けたロック片挿入のためのロック片用切り込み9に差し込み、発泡スチロール等からなる緩衝体11をトレー構造体12の内側4隅の側壁13に当接し、底壁1の一対の対向端縁にある第1の外板2との接合部を中心として、突出部8を内側に折り曲げ、開口側に向かって拡がる突出部8の両側の突出部外縁17を緩衝体11の側面部19に当接するように構成したことにより、底トレー内の緩衝体11の位置決めが確実に行われ、作業性が向上する包装体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、この発明の実施の形態に係る段ボール製トレーの展開基板を示す展開図である。
図2は、図1の展開基板を組み立てた状態を示す第1ステップ組み立て斜視図である。
図3は、図2の第1ステップ組み立て図のコーナー部に緩衝体を当設した状態を示す第2ステップ組み立て斜視図である。
図4は、図3のコーナー部の拡大斜視図である。
以下、図に従い本実施の形態における段ボール製トレーの構成を説明する。
【0009】
図1において、段ボール製トレーの底壁1の一対の対向端縁に第1の外板2を、他方の対向端縁に第2の外板3、頂板4および内板5をそれぞれ順次連結形成すると共に、第1の外板2の両側縁にそれぞれ折曲片6を連接形成し、内板5の縁先端部にはそれぞれロック片7を形成した構成となっている。そして、第1の外板2の先端縁中間部には、開口側に向かって拡がる突出部8が設けられている。また、底壁1と第2の外板3との境にロック片用切り込み9を設けている。さらに、内板5の中間部に頂板4に向かって拡がる内板の切り込み10を設けた構成となっている。
【0010】
上記の図1の展開基板を図2に示す第1ステップ組み立て図の形態に組み立てるには、まず、第1の外板2に対して底壁1の方向に折り曲げる。そして、折曲片6を内側に折り曲げる。次いで、第2の外板3を起立させ、頂板4を水平方向に、内板5を下方に順次折り曲げるとともに、第2の外板3と内板5との間に折曲片6を挟み込んで、内板5の縁先端部にあるロック片7を、底壁1と第2の外板3との境に設けたロック片用切り込み9に差し込む。
【0011】
次に、図3に示す第2ステップ組み立て図の形態に組み立てるには、まず、発泡スチロール等からなる緩衝体11を図2に示すトレー構造体12の内側4隅の側壁13に当接するように、底壁1の上面に配置する。次に、第1の外板2の先端縁中間部には、開口側に向かって拡がる突出部8を、底壁1の一対の対向端縁にある第1の外板2との接合部を中心として、内側に折り曲げる。このとき、開口側に向かって拡がる突出部8の両側の突出部外縁が緩衝体11の側面と当接するようにする。さらに、内板5の中間部に頂板4に向かって拡がる内板の切り込み10の内側に形成される係止片14を引き出し、緩衝体11の側面部19と当接するように、係止片14を内側に折り曲げる。
【0012】
上記構成のトレー構造体12では、トレー構造体12内部4隅に配置された緩衝体11を、開口側に向かって拡がる突出部8の両側の突出部外縁17が緩衝体11の側面部19と当接し、さらに内板5の中間部に形成される係止片14の両側の係止片外縁18が緩衝体11の側面部19と当接するように構成されているので、前記緩衝体11はトレー構造体12の内部の所定の位置に確実に配置され、前記トレー構造体12と前記緩衝体11との組み立て時、また、前記緩衝体11の上面部に家電機器の脚等を載せる組み立て工程時に、前記トレー構造体12と前記緩衝体11に対する家電機器の位置決めが容易に実施可能となる。
【0013】
なお、図4に示すように、緩衝体11と突出部8または係止片14との当接部で、緩衝体11の側面部19の一面または複数面の水平方向に凹溝部16を設ける構成にしてもよい。この構成により、突出部8または係止片14の突出部外縁17または係止片外縁18が緩衝部材11の側面部19の凹溝部16に差し込まれるので、前期トレー構造体12に対する緩衝体11の位置決めが確実になる。
【0014】
また、段ボール構造体12のフルート方向(中芯の凹凸方向)を、底壁1と第2の外板3との境に平行にすると、第1の外板2を折り曲げて形成される壁に垂直となる方向の強度向上があり、クランプ運搬時で前記トレーの第1の外板2を折り曲げて形成される壁に垂直となる方向でクランプフォークで掴まれて持ち上げられた場合でも、前記トレーの折れや曲がりの発生を抑止することができ、フォークの掴み荷重に対し前記トレーがつっぱるので、機器の損傷を確実に防止することができる。
【0015】
さらに、図1におけるフルート方向を示す展開説明図(図5)に示すように、段ボール構造体12のフルート方向15を、底壁1と第2の外板3との境に角度を設定すれば、第1の外板2を折り曲げて形成される壁に垂直または平行となる方向の強度向上が同時に図られ、クランプ運搬時で、前記トレーの左右どちらかの方向にフォークの掴み荷重が作用した場合でも、機器の損傷を確実に防止することができる。
【0016】
この発明においては、主として家電機器に使用するための組立式の段ボール製トレーについて述べたが、4隅に発泡スチロール等の緩衝体11を配置し、開口側に向かって拡がる突出部8の両側の突出部外縁17が緩衝体11の側面部19と当接し、さらに内板5の中間部に形成される係止片14の両側の係止片外縁18が緩衝体11の側面部19と当接するように構成され、上記の構成要素を有するトレー構造体であれば、計測器等の各種機器にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明に係る段ボール製トレーの展開基板を示す展開図である。
【図2】図1の展開基板を組み立てた状態を示す第1ステップ組み立て斜視図である。
【図3】図2の第1ステップ組み立て図のコーナー部に緩衝体を当設した状態を示す第2ステップ組み立て斜視図である。
【図4】図3のコーナー部の拡大斜視図である。
【図5】図1におけるフルート方向を示す展開説明図である。
【符号の説明】
【0018】
1 底壁、2 第1の外板、3 第2の外板、4 頂板、5 内板、6 折曲片、7 ロック片、8 突出部、9 ロック片用切り込み、10 内板の切り込み、11 緩衝体、12 トレー構造体、13 側壁、14 係止片、15 フルート方向、16 凹溝部、17 突出部外縁、18 係止片外縁、19 側面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁の一対の対向端縁に第1の外板を、他方の対向端縁に第2の外板、頂板および内板をそれぞれ順次連結形成すると共に、第1の外板の両側縁にそれぞれ折曲片を連接形成し、該内板の縁先端部にそれぞれロック片を形成した段ボール製トレーにおいて、前記第1の外板の先端縁中間部に、開口側へ向かって拡がる突出部を設け、前記折曲片を内側に折り曲げ、また第2の外板を起立させ、頂板を水平方向に、内板を下方に順次折り曲げ、第2の外板と内板との間に折曲片を挟み込み、該内板の縁先端部にあるロック片を、底壁と第2の外板との境に設けたロック片用切り込み部に差し込み、更に発泡スチロールからなる緩衝体をトレー構造体の内側の4隅の側壁に当接配置させ、底壁の一対の対向端縁にある第1の外板との接合部を中心として、突出部を内側に折り曲げ、開口側に向かって拡がる該突出部の両側の突出部外縁を前記緩衝体の側面部に当接させたことを特徴とする段ボール製トレー。
【請求項2】
前記内板の中間部に頂板に向かって拡がる内板の切り込み部を設け、該内板の切り込み部の内側に形成された係止片を引き出し、該係止片を内側に折り曲げ、該係止片の両側の係止片外縁と前記緩衝体の側面部とを当接させたことを特徴とする請求項1記載の段ボール製トレー。
【請求項3】
前記緩衝体と突出部または係止片との当接部において、該緩衝体の側面部に凹溝部を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の段ボール製トレー。
【請求項4】
前記トレー構造体の段ボールのフルート方向を、底壁と第2の外板との境に対し、0〜90度の間に角度設定したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の段ボール製トレー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−262953(P2009−262953A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113926(P2008−113926)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】