説明

殺菌性組成物及び有害菌類の防除方法

【課題】 殺菌性組成物を提供する。
【解決手段】 (a)式(I):
【化1】


[式中、Bは置換可複素環基であり;R1及びR2は各々独立にアルキルであり;Xはハロゲン、アルキル又はアルコキシであり;nは0〜5の整数である]で表されるカルボン酸アミド誘導体又はその塩と、(b)アゾール系化合物、アニリノピリミジン系化合物、トリアゾロピリミジン系化合物、ストロビルリン系化合物、N−ハロゲノチオアルキル系化合物、ピリジナミン系化合物、重炭酸塩、無機硫黄系化合物、ジチオカーバメート系化合物、有機塩素系化合物、ジカルボキシイミド系化合物、アミン系化合物、フェニルピロール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ジニトロベンゼン系化合物、ピペリジン系化合物、モルフォリン系化合物等から成る群から選択された少なくとも1種の殺菌性化合物の相乗有効量を含有する殺菌性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種有害菌類の防除効果を格段に向上させた殺菌性組成物及び有害菌類の防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2及び3には、後記式(I)に包含される化合物が殺菌剤として有用であることが記載され、必要に応じて他の殺菌剤との混用・併用が可能であるとの記載がある。しかしながら、式(I)の化合物と、他の特定の殺菌剤の相乗有効量を使用したときに、顕著に優れた殺菌効果をもつことは知られていない。また、特許文献4及び5には、後記式(I)に包含される化合物が、殺線虫剤などの有害生物防除剤として有用であることが記載されている。
【0003】
【特許文献1】国際公開公報 WO06/016708
【特許文献2】国際公開公報 WO07/069777
【特許文献3】特開2007−210924号公報
【特許文献4】欧州公開公報 第1256569号公報
【特許文献5】欧州公開公報 第1428817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
後記式(I)で表されるカルボン酸アミド誘導体は、濃度範囲や施用場面によっては特定の有害菌類に対してその防除効果が十分でなかったり、残効性が比較的短かったり、耐雨性が弱かったりして、特定の病害に対し実用上、十分な防除効果を示すとはいえない場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前述の問題点を解決すべく研究した結果、特に、後記式(I)で表されるカルボン酸アミド誘導体と、特定の殺菌性化合物を混合使用すると、各化合物を単独で使用した場合に比して、予想できないような優れた殺菌活性が得られるとの知見を得、本発明を完成した。すなわち本発明は、(a)式(I):
【0006】
【化1】

【0007】
[式中、BはYで置換されてもよい複素環基であり;R1及びR2は各々独立にC1-12アルキルであり;Xはハロゲン、C1-12アルキル又はC1-12アルコキシであり;Yはハロゲン、C1-12アルキル又はC1-12ハロアルキルであり;nは0〜5の整数である]で表されるカルボン酸アミド誘導体又はその塩と、(b)アゾール系化合物、アニリノピリミジン系化合物、トリアゾロピリミジン系化合物、ストロビルリン系化合物、N−ハロゲノチオアルキル系化合物、ピリジナミン系化合物、重炭酸塩、無機硫黄系化合物、ジチオカーバメート系化合物、有機塩素系化合物、ジカルボキシイミド系化合物、アミン系化合物、フェニルピロール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ピペリジン系化合物、ジニトロベンゼン系化合物、モルフォリン系化合物、シアノアセトアミド系化合物、亜リン酸系化合物、有機リン系化合物、カルボキサミド系化合物、キノリン系化合物、銅系化合物、カーバメート系化合物、抗生物質、グアニジン系化合物、オキシムエーテル系化合物、4−キノリノール誘導体化合物、シアノメチレン系化合物、キナゾリノン系化合物及びベンゾイルピリジン系化合物から成る群から選択された少なくとも1種の殺菌性化合物の相乗有効量を含有する殺菌性組成物に関する。また本発明は、前記殺菌性組成物の殺菌有効量を有害菌類又はそれが生育する場所に施用し、有害菌類を防除する方法に関する。また本発明は、前記(a)式(I)のカルボン酸アミド誘導体又はその塩の殺菌有効量と、前記(b)の殺菌性化合物の殺菌有効量とを、有害菌類又はそれが生育する場所に施用し、有害菌類を防除する方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
前記(a)式(I)のカルボン酸アミド誘導体又はその塩と、前記(b)の殺菌性化合物の相乗有効量を含有する殺菌性組成物(以下本発明組成物と略す)は、特に、低薬量で種々の有害菌類、例えば、卵菌類、子嚢菌類、担子菌類、不完全菌類を防除することができ、それらに起因する各種植物病害を効率的に防除することができる。その殺菌活性は、意外にも、それぞれ単独の殺菌活性が単に相加的に加えられる以上の効果、即ち相乗的殺菌活性を奏する。このように、前記(a)式(I)のカルボン酸アミド誘導体又はその塩と、前記(b)の殺菌性化合物の相乗有効量を含有する本発明組成物は、各薬剤を単独で施用する場合に比べ低薬量で施用できるため、施用地域又はその周辺の環境負荷の軽減にも有効である。また、殺菌スペクトラムが拡大され、さらには長期間にわたって殺菌活性が持続する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
前記式(I)中、Xで表される置換基が2以上の場合、これら置換基は同一でも相異なっていてもよい。Bに含まれる置換基としてのYの置換数は1又は2以上であってよく、2以上の場合、これら置換基は同一でも相異なっていてもよい。
【0010】
前記式(I)中のBで表される置換基の複素環部分としては酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群から選択された少なくとも1種の原子を1〜4個含有する3〜6員複素環が望ましく、例えばオキシラニルのような3員複素環;フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、ジオキソラニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリルなどの5員複素環;ピラニル、ピリジル、ピペリジニル、ジオキサニル、オキサジニル、モルホリニル、チアジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニル、トリアジニル、ジヒドロオキサチイニル、ジヒドロオキソオキサチイニル、ジヒドロジオキソオキサチイニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチイニルなどの6員複素環;などが挙げられる。これらの中でも、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群から選択された少なくとも1種の原子を1〜2個含有する5員又は6員複素環基がさらに望ましく、ピリジル、チエニル又はピラゾリルが最も望ましい。また、Bで表される置換基の具体例としては、3-トリフルオロメチル-2-ピリジル、3-メチル-2-チエニル、1-メチル-3-トリフルオロメチル-4-ピラゾリルなどが挙げられる。
【0011】
前記式(I)中のアルキル又はアルキル部分は、炭素数1〜12の直鎖又は分枝状のもの、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、n−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デカニル、ウンデカニル、ドデカニルなどが挙げられる。
【0012】
前記式(I)中のハロゲン又は置換基としてのハロゲンとしては、弗素、塩素、臭素又は沃素の各原子が挙げられる。置換基としてのハロゲンの数は1又は2以上であってよく、2以上の場合、各ハロゲンは同一でも相異なってもよい。また、ハロゲンの置換位置はいずれの位置でもよい。
【0013】
前記式(I)のカルボン酸アミド誘導体の塩としては、農業上許容されるものであればあらゆるものが含まれるが、例えばナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;塩酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩のような無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩のような有機酸塩などが挙げられる。
【0014】
前記式(I)のカルボン酸アミド誘導体には、各種異性体、例えば光学異性体、幾何異性体などが存在するが、本発明には各異性体及び異性体混合物の双方が含まれる。尚、本発明には、当該技術分野における技術常識の範囲内において、前記したもの以外の各種異性体も含まれる。また、異性体の種類によっては、前記式(I)とは異なる化学構造となる場合があるが、当業者であればそれらが異性体の関係にあることが十分認識できる為、本発明の範囲内であることは明らかである。
【0015】
前記式(I)のカルボン酸アミド誘導体又はその塩は、前記した特許文献1、2又は3に開示された製造方法によって製造できる。
【0016】
前記式(I)のカルボン酸アミド誘導体の中で、望ましいものを以下に列記する。
(1)BがYで置換されてもよい5員又は6員複素環基である前記式(I)のカルボン酸アミド誘導体。
(2)Bの複素環基が、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選択された少なくとも1種の原子を1〜2個含有するものである前記(1)のカルボン酸アミド誘導体。
(3)Bの複素環基がピリジル、チエニル又はピラゾリルである前記(1)のカルボン酸アミド誘導体。
(4)Bが3-トリフルオロメチル-2-ピリジル、3-メチル-2-チエニル又は1-メチル-3-トリフルオロメチル-4-ピラゾリルである前記式(I)のカルボン酸アミド誘導体。
(5)N-[(3', 4'-ジクロロ-1,1-ジメチル)フェナシル]-3-トリフルオロメチル-2-ピリジンカルボキサミド(化合物No.1)、N-[(3', 4'-ジクロロ-1,1-ジメチル)フェナシル]-3-メチル-2-チオフェンカルボキサミド(化合物No.2)、N-[(3', 4'-ジクロロ-1,1-ジメチル)フェナシル]−1-メチル-3-トリフルオロメチル-4-ピラゾールカルボキサミド(化合物No.3)、N-[[2'-メチル-4'-(2-プロピルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]-3-トリフルオロメチル-2-ピリジンカルボキサミド(化合物No.4)、N-[[2'-メチル-4'-(2-プロピルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]-3-メチル-2-チオフェンカルボキサミド(化合物No.5)、N-[[2'-メチル-4'-(2-プロピルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]-1-メチル-3-トリフルオロメチル-4-ピラゾールカルボキサミド(化合物No.6)、N-[[4'-(2-プロピルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]-3-トリフルオロメチル-2-ピリジンカルボキサミド(化合物No.7)、N-[[4'-(2-プロピルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]-3-メチル-2-チオフェンカルボキサミド(化合物No.8)、N-[[4'-(2-プロピルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]−1-メチル-3-トリフルオロメチル-4-ピラゾールカルボキサミド(化合物No.9)、N-[[2'-メチル−4'-(2-ペンチルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]-3-トリフルオロメチル-2-ピリジンカルボキサミド(化合物No.10)及びN-[[4'-(2-ペンチルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]-3-トリフルオロメチル-2-ピリジンカルボキサミド(化合物No.11)から成る群から選択された少なくとも1種の前記式(I)のカルボン酸アミド誘導体。
【0017】
前記(b)の殺菌性化合物について、以下に説明する。殺菌性化合物は、ISO(国際標準化機構)で一般名が承認済のものは一般名で示す。それ以外のものは化学名で示し、ISOで一般名が予備承認済か或はISOに一般名を申請中のものは、その一般名を併記する。
【0018】
アゾール系化合物としては、例えば、トリアジメホン(triadimefon)、トリフルミゾール(triflumizole)、ペンコナゾール(penconazole)、フルシラゾール(flusilazole)、マイクロブタニル(myclobutanil)、シプロコナゾール(cyproconazole)、テブコナゾール(tebuconazole)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)、N-プロピル-N-[2-(2,4,6-トリクロロフェノキシ)エチル]イミダゾール-1-カルボキサミド(プロクロラズ(prochloraz))、メトコナゾール(metconazole)、エポキシコナゾール(epoxiconazole)、プロチオコナゾール(prothioconazole)、トリアジメノール(triadimenol)、ジフェノコナゾール(difenoconazole)、フルキンコナゾール(fluquinconazole)、エニリコナゾール(eniliconazol)、イマザリル(imazalil)、ビテルタノール(bitertanol)、エタコナゾール(etaconazole)、プロピコナゾール(propiconazole)、ファーコナゾールシス(furconazole‐cis)、テトラコナゾール(tetraconazole)、オキスポコナゾールフマル酸塩(oxpoconazole fumarate)、フルトリアホール(flutriafol)、フェンブコナゾール(fenbuconazole)、ブロムコナゾール(bromuconazole)、ジニコナゾール(diniconazole)、トリシクラゾール(tricyclazole)、プロベナゾール(probenazole)、シメコナゾール(simeconazole)、ペント-4-エニル(2RS)-2-[フルフリル(イミダゾール-1-イルカルボニル)アミノ]ブチレート(ペフラゾエート(pefurazoate))、イプコナゾール(ipconazole)、イミベンコナゾール(imibenconazole)、シアゾファミド(cyazofamid)、ヒメキサゾール(hymexazol)、アミスルブロム(amisulbrom)及びフベリアゾール(fuberiazole)などが挙げられる。これらの中でも、トリフルミゾール、マイクロブタニル、シプロコナゾール、テブコナゾール、ヘキサコナゾール、オキスポコナゾールフマル酸塩、プロクロラズ、メトコナゾール、エポキシコナゾール、プロチオコナゾール、ジフェノコナゾール、テトラコナゾール、トリシクラゾール、シアゾファミド又はヒメキサゾールが望ましい。
【0019】
アニリノピリミジン系化合物としては、例えば、メパニピリム(mepanipyrim)、ピリメサニル(pyrimethanil)、シプロジニル(cyprodinil)又はフェリムゾン(ferimzone)が挙げられる。
【0020】
トリアゾロピリミジン系化合物としては、5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン(化合物α)などが挙げられる。
【0021】
ストロビルリン系化合物としては、例えば、アゾキシストロビン(azoxystrobin)、クレソキシムメチル(kresoxim‐methyl)、メトミノストロビン(metominostrobin)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、(2E)-2-(メトキシイミノ)-2-[2-[(3E,5E,6E)-5-(メトキシイミノ)-4,6-ジメチル-2,8-ジオキサ-3,7-ジアザノナ-3,6-ジエン-1-イル]フェニル]-N-メチルアセタミド(オリザストロビン(orysastrobin))、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)及びメチル 3-メトキシ-2-[2-((((1-メチル-3-(4'-クロロフェニル)-2-プロペニリデン)アミノ)オキシ)-メチル)フェニル]プロペノエート(エネストロビン(enestrobin))などが挙げられる。これらの中でも、アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、トリフロキシストロビン、ジモキシストロビン又はピラクロストロビンが望ましい。
【0022】
N−ハロゲノチオアルキル系化合物としては、例えば、キャプタン(captan)、キャプタホル(captafol)及びフォルペット(folpet)などが挙げられる。これらの中でも、キャプタン又はフォルペットが望ましい。
【0023】
ピリジナミン系化合物としては、例えば、フルアジナム(fluazinam)などが挙げられる。
【0024】
重炭酸塩としては、例えば、重炭酸ナトリウム(sodium bicarbonate)、重炭酸カリウム(potassium bicarbonate)などが挙げられる。これらの中では、重炭酸カリウムが望ましい。
【0025】
無機硫黄系化合物としては、硫黄(sulfur)、多硫化石灰(calcium polysulfide)、硫酸亜鉛(zinc sulfate)などが挙げられる。これらの中では、硫黄が望ましい。
【0026】
ジチオカーバメート系化合物としては、例えば、マンゼブ(mancozeb)、マンネブ(maneb)、ジネブ(zineb)、ポリカーバメート(polycarbamate)、メチラム(metiram)、プロピネブ(propineb)及びチラム(thiram)などが挙げられる。これらの中でも、マンゼブが望ましい。
【0027】
有機塩素系化合物としては、例えば、クロロタロニル(chlorothalonil)、フサライド(fthalide)及びキントゼン(quintozene)などが挙げられる。これらの中でも、クロロタロニルが望ましい。
【0028】
ジカルボキシイミド系化合物としては、例えば、プロシミドン(procymidone)、イプロジオン(iprodione)及びビンクロゾリン(vinclozolin)などが挙げられる。これらの中でも、プロシミドン又はイプロジオンが望ましい。
【0029】
アミン系化合物としては、例えば、スピロキサミン(spiroxamine)及びジクロフルアニド(dichlofluanid)などが挙げられる。これらの中でも、スピロキサミンが望ましい。
【0030】
フェニルピロール系化合物としては、例えば、フルジオキソニル(fludioxonil)及びフェンピクロニル(fenpiclonil)などが挙げられる。これらの中でも、フルジオキソニルが望ましい。
【0031】
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、メトラフェノン(metrafenone)(3'-ブロモ-2,3,4,6'-テトラメトキシ-2',6-ジメチルベンゾフェノン)などが挙げられる。
【0032】
ピペリジン系化合物としては、例えば、フェンプロピジン(fenpropidin)などが挙げられる。
【0033】
ジニトロベンゼン系化合物としては、例えば、メプチルジノキャップ(meptyldinocap)などが挙げられる。
【0034】
モルフォリン系化合物としては、例えば、フェンプロピモルフ(fenpropimorph)、トリデモルフ(tridemorph)、ドデモルフ(dodemorph)、ジメトモルフ(dimethomorph)及びフルモルフ(flumorph)などが挙げられる。これらの中でも、ジメトモルフ又はフェンプロピモルフが望ましい。
【0035】
シアノアセトアミド系化合物としては、例えば、シモキサニル(cymoxanil)などが挙げられる。
【0036】
亜リン酸系化合物としては、例えば、亜リン酸、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸カルシウムなどが挙げられる。これらの中でも、亜リン酸カリウムが望ましい。
【0037】
有機リン系化合物としては、例えば、ホセチルアルミニウム(fosetyl‐Al)、トルクロホスメチル(tolclofos‐methyl)、S−ベンジル O,O−ジイソプロピルホスホロチオエート、O−エチル S,S−ジフェニルホスホロジチオエート、アルミニウムエチルハイドロゲンホスホネート、エジフェンホス(edifenphos)及びイプロベンホス(iprobenfos)などが挙げられる。これらの中でも、ホセチルアルミニウム又はトルクロホスメチルが望ましい。
【0038】
カルボキサミド系化合物としては、例えば、フルトラニル(flutolanil)、3,4-ジクロロ-2'-シアノ-1,2-チアゾール-5-カルボキシアニリド(イソチアニル(isotianil))、メプロニル(mepronil)、ゾキサミド(zoxamid)、チアジニル(tiadinil)、カルボキシン(carboxin)、オキシカルボキシン(oxycarboxin)、チフルザミド(thifluzamide)、フラメトピル(furametpyr)、ペンチオピラド(penthiopyrad)、ボスカリド(boscalid)、N-(3',4'-ジクロロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)-3-(ジフルオロメチル)-1-メチルピラゾール-4-カルボキサミド(ビキサフェン(bixafen))、N-[2-[3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジル]エチル]-α,α,α-トリフルオロ-o-トルアミド(フルオピラム(fluopyram))、3-(ジフロロメチル)-1-メチル-N-[(1RS,4SR,9RS)-1,2,3,4-テトラヒドロ-9-イソプロピル-1,4-メタノナフタレン-5-イル]ピラゾール-4-カルボキサミドと3-(ジフロロメチル)-1-メチル-N-[(1RS,4SR,9SR)-1,2,3,4-テトラヒドロ-9-イソプロピル-1,4-メタノナフタレン-5-イル]ピラゾール-4-カルボキサミドの混合物(イソピラザム(isopyrazam))、シルチオファム(silthiofam)及びフェンヘキサミド(fenhexamid)などが挙げられる。これらの中でも、フルトラニル又はフェンヘキサミドが望ましい。
【0039】
キノリン系化合物としては、例えば、キノキシフェン(quinoxyfen)などが挙げられる。
【0040】
銅系化合物としては、例えば、塩基性塩化銅(copper oxychloride)、水酸化第二銅(cupric hydroxide)、塩基性硫酸銅(Copper sulfate)、ボルドー液(bordeaux mixture)及び有機銅(oxine copper)などが挙げられる。これらの中でも、塩基性塩化銅が望ましい。
【0041】
カーバメート系化合物としては、例えば、チオファネートメチル(thiophanate‐methyl)、ベノミル(benomyl)、カーベンダジム(carbendazim)、チアベンダゾール(thiabendazole)、ピリベンカルブ(pyribencarb)、ジエトフェンカルブ(diethofencarb)、プロパモカルブ塩酸塩(propamocarb hydrochloride)、イプロバリカルブ(iprovalicarb)、メチル [S-(R,S)]-3-[(N-イソプロポキシカルボニルバリニル)アミノ]-3-(4-クロロフェニル)プロパノエート(バリフェナール(valiphenal))及びベンチアバリカルブ−イソプロピル(benthiavalicarb-isopropyl)などが挙げられる。これらの中でも、チオファネートメチル、ピリベンカルブ又はプロパモカルブ塩酸塩が望ましい。
【0042】
抗生物質としては、例えば、ポリオキシン(polyoxins)、バリダマイシン(validamycin)及びカスガマイシン(kasugamycin)などが挙げられる。これらの中でも、ポリオキシン又はカスガマイシンが望ましい。
【0043】
グアニジン系化合物としては、例えば、イミノクタジン(iminoctadine)及びドディン(dodine)などが挙げられる。これらの中でも、イミノクタジンが望ましい。
【0044】
オキシムエーテル系化合物としては、例えば、シフルフェナミド(cyflufenamid)などが挙げられる。
【0045】
4−キノリノール誘導体化合物としては、例えば、WO2001/92231公報の第8〜14頁に記載の化合物1〜11が挙げられる。これらの中でも、同公報に化合物2として記載されている2,3-ジメチル-6-t-ブチル-8-フルオロ-4-アセチルキノリン(化合物β)が望ましい。
【0046】
シアノメチレン系化合物としては、例えば、WO2001/47902公報の第27〜57頁に記載されている化合物No.1〜236が挙げられる。これらの中でも、同公報に化合物No.120として記載されている2-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニルチオ)-2-(3-(2-メトキシフェニル)チアゾリジン-2-イリデン)アセトニトリル(化合物γ)が望ましい。
【0047】
キナゾリノン系化合物としては、例えば、プロキンアジド(proquinazid)などが挙げられる。
【0048】
ベンゾイルピリジン系化合物としては、例えば、WO2002/02527の表1〜表18及びWO2004/039155の第1表〜第2表に記載されている化合物が挙げられる。これらの中でも、4-(2,3,4-トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-2,5-ジクロロ-3-トリフルオロメチルピリジン(化合物A)、4-(2,3,4-トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-2-クロロ-3-トリフルオロメチル-5-メトキシピリジン(化合物B)、3-(2,3,4-トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-5-ブロモ-4-クロロ-2-メトキシピリジン(化合物C)又は3−(2,3,4−トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-5-クロロ-2-メトキシ-4-メチルピリジン(化合物D)が望ましい。
【0049】
本発明組成物の(b)の殺菌性化合物としては、上記したものの中でも、トリフルミゾール、マイクロブタニル、シプロコナゾール、テブコナゾール、ヘキサコナゾール、N-プロピル-N-[2-(2,4,6-トリクロロフェノキシ)エチル]イミダゾール-1-カルボキサミド(プロクロラズ)、メトコナゾール、エポキシコナゾール、プロチオコナゾール、ジフェノコナゾール、テトラコナゾール、トリシクラゾール、オキスポコナゾールフマル酸塩、シアゾファミド、ヒメキサゾール、メパニピリム、ピリメサニル、シプロジニル、フェリムゾン、5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、トリフロキシストロビン、ジモキシストロビン、ピラクロストロビン、キャプタン、フォルペット、フルアジナム、重炭酸カリウム、硫黄、マンゼブ、クロロタロニル、プロシミドン、イプロジオン、スピロキサミン、フルジオキソニル、メトラフェノン、フェンプロピジン、メプチルジノキャップ、ジメトモルフ、フェンプロピモルフ、シモキサニル、亜リン酸カリウム、ホセチルアルミニウム、トルクロホスメチル、フルトラニル、フェンヘキサミド、キノキシフェン、塩基性塩化銅、チオファネートメチル、ピリベンカルブ、プロパモカルブ塩酸塩、ポリオキシン、カスガマイシン、イミノクタジン、シフルフェナミド、2,3-ジメチル-6-t-ブチル-8-フルオロ-4-アセチルキノリン、2-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニルチオ)-2-(3-(2-メトキシフェニル)チアゾリジン-2-イリデン)アセトニトリル、プロキンアジド、4-(2,3,4-トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-2,5-ジクロロ-3-トリフルオロメチルピリジン、4−(2,3,4−トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-2-クロロ-3-トリフルオロメチル-5-メトキシピリジン、3-(2,3,4-トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-5-ブロモ-4-クロロ-2-メトキシピリジン及び3−(2,3,4−トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-5-クロロ-2-メトキシ-4-メチルピリジンから成る群から選択された少なくとも1種がさらに望ましい。
【0050】
本発明組成物は、低薬量で有害菌類を防除できる殺菌性組成物として有用であり、特に、農園芸用の殺菌性組成物として有用である。農園芸用の殺菌性組成物として用いた場合、本発明組成物は、例えば卵菌類(Oomycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)、不完全菌類(Deuteromycetes)などに属する有害菌類を防除でき、なかでも子嚢菌類(Ascomycetes)、不完全菌類(Deuteromycetes)などに属する有害菌類の防除に特に有効である。
【0051】
前記有害菌類のより具体的な例としては、例えば以下のようなものなどが挙げられる。
卵菌類として、ジャガイモまたはトマト疫病菌(Phytophthora infestans)、トマト灰色疫病菌(Phytophthora capsici)のようなファイトフィトラ(Phytophthora)属;キュウリべと病菌(Pseudoperonospora cubensis)のようなシュウドペロノスポーラ(Pseudoperonospora)属;ブドウべと病菌(Plasmopara viticola)のようなプラズモパラ(Plasmopara)属;イネ苗立枯病菌(Pythium graminicola)、コムギ褐色雪腐病菌(Pythium iwayamai)のようなピシューム(Pythium)属などが挙げられる。
【0052】
子嚢菌類として、イネ稲こうじ病菌(Claviceps virens)のようなクラビセプス(Claviceps)属;コムギうどんこ病菌(Erysiphe graminis)のようなエリシフェ(Erysiphe)属;キュウリうどんこ病菌(Sphaerotheca fuliginea)、イチゴうどんこ病菌(Sphaerotheca humuli)のようなスファエロテカ(Sphaerotheca)属;ブドウうどんこ病菌(Uncinula necator)のようなウンシニュラ(Uncinula)属;リンゴうどんこ病菌(Podosphaera leucotricha)のようなポドスファエラ(Podosphaera)属;エンドウ褐紋病菌(Mycosphaerella pinodes)、リンゴ黒点病菌(Mycosphaerella pomi)、バナナブラックシガトカ病菌(Mycosphaerella musicola)、カキ円星落葉病菌(Mycosphaerella nawae)、イチゴ蛇の目病菌(Mycosphaerella fragariae)のようなミコスファエレラ(Mycosphaerella)属;リンゴ黒星病菌(Venturia inaequalis)、ナシ黒星病菌(Venturia nashicola)のようなベンチュリア(Venturia)属;オオムギ網斑病菌(Pyrenophora teres)、オオムギ斑葉病菌(Pyrenophora graminea)のようなピレノホーラ(Pyrenophora)属;インゲン菌核病菌、キュウリ菌核病菌、キャベツ菌核病菌、ハクサイ菌核病菌、トウガラシ菌核病菌、ピーマン菌核病菌、タマネギ菌核病菌又はナタネ菌核病菌のような各種菌核病菌(Sclerotinia sclerotiorum)、コムギ雪腐大粒菌核病菌(Sclerotinia borealis)、トマト小粒菌核病菌(Sclerotinia minor)、アルファルファ菌核病菌(Sclerotinia trifoliorum)のようなスクレロティニア(Sclerotinia)属;ラッカセイ小菌核病菌(Botryolinia arachidis)のようなボトリオリニア(Botryolinia)属;イネごま葉枯病菌(Cochliobolus miyabeanus)のようなコクリオボーラス(Cochliobolus)属;キュウリつる枯病菌(Didymella bryoniae)のようなディディメラ(Didymella)属;コムギ赤かび病菌(Gibberella zeae)のようなジベレラ(Gibberella)属;ブドウ黒痘病菌(Elsinoe ampelina)、カンキツそうか病菌(Elsinoe fawcettii)のようなエルシノエ(Elsinoe)属;カンキツ黒点病菌(Diaporthe citri)、ブドウ枝膨病菌(Diaporthe sp.)のようなディアポルセ(Diaporthe)属;ブドウブラックスポット病菌(Guignardia bidwellii)のようなグイナルディア (Guignardia) 属;リンゴモニリア病菌(Monilinia mali)、モモ灰星病菌(Monilinia fructicola)のようなモニリニア(Monilinia)属;ブドウ晩腐病菌(Glomerella cingulata)のようなグロメレラ(Glomerella)属などが挙げられる。
【0053】
担子菌類として、イネ紋枯病菌(Rhizoctonia solani)のようなリゾクトニア(Rhizoctonia)属;コムギ裸黒穂病菌(Ustilago nuda)のようなウスティラゴ(Ustilago)属;エンバク冠さび病菌(Puccinia coronata)、コムギ赤さび病菌(Puccinia recondita)、コムギ黄さび病菌(Puccinia striiformis)のようなプクシニア(Puccinia)属;コムギ又はオオムギ雪腐小粒菌核病菌(Typhula incarnata, Typhula ishikariensisis) のようなティフラ(Typhula)属などが挙げられる。
【0054】
不完全菌類として、コムギふ枯病菌(Septoria nodorum)、コムギ葉枯病菌(Septoria tritici)のようなセプトリア(Septoria)属;ブドウ灰色かび病菌、カンキツ灰色かび病菌、キュウリ灰色かび病菌、トマト灰色かび病菌、イチゴ灰色かび病菌、ナス灰色かび病菌、インゲン灰色かび病菌、アズキ灰色かび病菌、エンドウ灰色かび病菌、ラッカセイ灰色かび病菌、トウガラシ灰色かび病菌、ピーマン灰色かび病菌、レタス灰色かび病菌、タマネギ灰色かび病菌、スターチス灰色かび病菌、カーネーション灰色かび病菌、バラ灰色かび病菌、パンジー灰色かび病菌又はヒマワリ灰色かび病菌のような各種灰色かび病菌(Botrytis cinerea)、タマネギ灰色腐敗病菌(Botrytis allii)、タマネギのボトリチス属菌による葉枯れ症を引き起こす病原菌(Botrytis squamosa, Botrytis byssoidea, Botrytis tulipae)のようなボトリティス(Botrytis)属;イネいもち病菌(Pyricularia oryzae)のようなピリキュラリア(Pyricularia)属;テンサイ褐斑病菌(Cercospora beticola)、カキ角斑病菌(Cercospora kakivola)のようなサーコスポーラ(Cercospora)属;キュウリ炭そ病菌(Colletotrichum orbiculare)のようなコレトトリカム(Colletotrichum)属;リンゴ斑点落葉病菌(Alternaria alternata apple pathotype)、ナシ黒斑病菌(Alternaria alternata Japanese pear pathotype)、ジャガイモ夏疫またはトマト輪紋病菌(Alternaria solani)、キャベツ又はハクサイ黒斑病菌(Alternaria brassicae)、キャベツ黒すす病菌(Alternaria brassicola)、タマネギ又はネギ黒斑病菌(Alternaria porri)、イネ腹黒米病菌(Alternaria padwickii)のようなアルタナリア(Alternaria)属;コムギ眼紋病菌(Pseudocercosporella herpotrichoides)のようなシュウドサーコスポレラ(Pseudocercosporella)属;ブドウ褐斑病菌(Pseudocercospora vitis)のようなシュウドサーコスポーラ(Pseudocercospora)属;オオムギ雲形病菌(Rhynchosporium secalis)のようなリンコスポリウム(Rhynchosporium)属;モモ黒星病菌(Cladosporium carpophilum)のようなクラドスポリウム(Cladosporium)属;モモホモプシス腐敗病菌(Phomopsis sp.)のようなホモプシス(Phomopsis)属;カキ炭そ病菌(Gloeosporium kaki)のようなグロエオスポリウム(Gloeosporium)属;トマト葉かび病菌(Fulvia fulva)のようなフルビア(Fulvia)属;キュウリ褐斑病菌(Corynespora cassiicola)のようなコリネスポーラ(Corynespora)属;イネ褐色米病菌(Curvularia intermedia, Curvularia clavata, Curvularia inaequalis, Curvularia ovoidea)のようなカーブラリア (Curvularia)属;イネ紅変米病菌(Epicoccum purpurascens)のようなエピコッカム (Epicoccum)属;などが挙げられる。
【0055】
本発明組成物は、前述した各種有害菌類を防除できることから、各種病害を予防的又は治療的に防除することができる。特に本発明組成物は、農園芸分野で問題となる各種病害、例えばイネのいもち病、ごま葉枯病、紋枯病又は苗立枯病;ムギ類のうどんこ病、赤かび病、赤さび病、黄さび病、網斑病、斑葉病、雪腐病、裸黒穂病、眼紋病、雲形病、葉枯病又はふ枯病;カンキツの黒点病又はそうか病;リンゴのモニリア病、うどんこ病、黒点病、斑点落葉病又は黒星病;ナシの黒星病又は黒斑病;モモの灰星病、黒星病又はフォモプシス腐敗病;ブドウの黒とう病、晩腐病、褐斑病、枝膨病、うどんこ病又はべと病;カキの炭そ病、円星落葉病又は角斑病;ウリ類の炭そ病、うどんこ病、つる枯病、褐斑病又はべと病;トマトの輪紋病、灰色疫病、葉かび病又は疫病;バナナのブラックシガトカ病;テンサイの褐斑病;エンドウの褐紋病;アブラナ科野菜の黒斑病;ジャガイモの疫病又は夏疫病;イチゴのうどんこ病又は蛇の目病;豆類、野菜類、果樹類、花卉類など種々の作物の灰色かび病又は菌核病;等の各種病害の防除に有効であり、中でも、キュウリ、インゲン、アズキ、ダイズ、エンドウ、ラッカセイ、トマト、イチゴ、ナス、トウガラシ、ピーマン、レタス、タマネギ、ブドウ、カンキツ、スターチス、カーネーション、バラ、パンジー、ヒマワリなどの灰色かび病又は菌核病の防除に特に有効である。
【0056】
また本発明組成物は、フザリウム菌、ピシウム菌、リゾクトニア菌、バーティシリウム菌、プラズモディオホーラ菌等の植物病原菌によって引き起こされる土壌病害の予防的又は治療的防除にも有効である。
また、本発明組成物はベンズイミダゾール、ストロビルリン、ジカルボキシイミド、フェニルアマイド、エルゴステロール生合成阻害剤などの薬剤に対する各種抵抗性有害菌類の防除にも有効である。
更に本発明組成物は、優れた浸透移行性を有していることから、本発明組成物を含有する有害生物防除剤を土壌に施用することによって土壌中の有害菌類の防除と同時に、茎葉部の有害菌類をも防除することができる
【0057】
本発明組成物の有効成分である前記(a)式(I)のカルボン酸アミド誘導体又はその塩(以下成分(a)と略す)と、前記(b)の殺菌性化合物(以下成分(b)と略す)は、従来の農薬製剤と同様に、各種補助剤と混合して粉剤、粒剤、顆粒水和剤、水和剤、水性懸濁剤、油性懸濁剤、水溶剤、乳剤、液剤、ペースト剤、エアゾール剤、微量散布剤等の種々の形態に製剤して使用されるが、本発明の目的に適合するかぎり、通常の当該分野で用いられているあらゆる製剤形態にすることができる。製剤に使用する補助剤としては、珪藻土、消石灰、炭酸カルシウム、タルク、ホワイトカーボン、カオリン、ベントナイト、カオリナイト、セリサイト、クレー、炭酸ナトリウム、重曹、芒硝、ゼオライト、澱粉等の固型担体;水、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ジオキサン、アセトン、イソホロン、メチルイソブチルケトン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アルコール等の溶剤;脂肪酸塩、安息香酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキル硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、アルキルジグリコールエーテル硫酸塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルアリールリン酸塩、スチリルアリールリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩のような陰イオン系の界面活性剤や展着剤;ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリセライド、脂肪酸アルコールポリグリコールエーテル、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、オキシアルキレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルアリールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステルのような非イオン系の界面活性剤や展着剤;オリーブ油、カポック油、ひまし油、シュロ油、椿油、ヤシ油、ごま油、トウモロコシ油、米ぬか油、落花生油、綿実油、大豆油、菜種油、亜麻仁油、きり油、液状パラフィン等の植物油や鉱物油等が挙げられる。これら補助剤は本発明の目的から逸脱しないかぎり、当該分野で知られたものの中から選んで用いることができる。また、増量剤、増粘剤、沈降防止剤、凍結防止剤、分散安定剤、薬害軽減剤、防黴剤等通常使用される各種補助剤も使用することができる。有効成分としての成分(a)及び成分(b)と各種補助剤との配合割合は、一般に0.005:99.995〜95:5、望ましくは0.2:99.8〜90:10である。これら製剤の実際の使用に際しては、そのまま使用するか、又は水等の希釈剤で所定濃度に希釈し、必要に応じて各種展着剤を添加して使用することができる。
【0058】
本発明組成物において、成分(a)と成分(b)との適当な混合重量比は、気象条件、対象作物、使用方法、製剤形態等の違いによって異なり、一概に規定できないが、通常1:70,000〜70,000:1、望ましくは1:1,000〜70,000:1である。また、成分(a)と成分(b)との、さらに望ましい混合重量比を成分(b)の殺菌性化合物毎に記載すると、例えば、成分(b)がアゾール系化合物である場合は1:100〜70,000:1であり;成分(b)がアニリノピリミジン系化合物である場合は1:100〜500:1であり;成分(b)がN−ハロゲノチオアルキル系化合物、ピリジナミン系化合物、重炭酸塩、無機硫黄系化合物、ジチオカーバメート系化合物、ジカルボキシイミド系化合物、モルフォリン系化合物、シアノアセトアミド系化合物、亜リン酸系化合物、カルボキサミド系化合物及び抗生物質から成る群から選択された少なくとも1種の殺菌性化合物である場合は1:500〜200:1であり;成分(b)が銅系化合物及び/又はカーバメート系化合物である場合は1:1,000〜200:1であり;成分(b)がベンゾフェノン系化合物である場合は1:100〜40,000:1であり;成分(b)がキノリン系化合物及び/又はベンゾイルピリジン系化合物である場合は1:100〜5,000:1であり;これら以外の化合物の場合は1:100〜200:1である。
【0059】
本発明組成物の施用は、通常一般に行なわれている施用方法すなわち、散布(例えば散布、噴霧、ミスティング、アトマイジング、散粒、水面施用等)、土壌施用(混入、灌注等)、表面施用(塗布、粉衣、被覆等)等により行うことができる。また、いわゆる超高濃度少量散布法(ultra low volume)により施用することもできる。この方法においては、活性成分を100%含有することが可能である。施用に際しては、有害菌類への施用と、それらが生育する場所(当該有害菌類の発生前でも、発生後でもよい)への施用を任意に選択できる。また、成分(a)と成分(b)は、各々別々に製剤したものを施用時に混合して施用しても、両者を一緒に製剤したものを施用してもよい。製剤したものは、そのまま施用しても、水等で希釈して施用してもよい。
【0060】
本発明組成物の施用量は、気象条件、対象作物、使用方法、製剤形態等の違いによって異なり、一概に規定できないが、茎葉処理の場合、有効成分としての成分(a)と成分(b)の総量が、通常0.1〜10,000ppm、望ましくは1〜4,000ppm、さらに望ましくは1〜2,000ppmの濃度となるよう施用し、土壌処理の場合、有効成分としての成分(a)と成分(b)の総量が、通常10〜100,000g/ha、望ましくは200〜20,000g/haとなるよう施用する。
【0061】
また、本発明組成物は、他の農薬、肥料、薬害軽減剤などと混用或は併用することができ、この場合に一層優れた効果、作用性を示すことがある。他の農薬としては、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、除草剤、抗ウイルス剤、誘引剤、植物ホルモン、植物成長調整剤などが挙げられる。
【0062】
上記他の農薬中の、殺菌剤の有効成分化合物(一般名;一部申請中を含む、又は日本植物防疫協会供試試験コード)としては、例えば、メタラキシル(metalaxyl)、メタラキシル-M(metalaxyl-M)、メフェノキサム(mefenoxam)、オキサジキシル(oxadixyl)、オフレース(ofurace)、ベナラキシル(benalaxyl)、ベナラキシル−M(benalaxyl-M、別名キララキシル(kiralaxyl、chiralaxyl))、フララキシル(furalaxyl)、シプロフラム(cyprofuram)のようなフェニルアミド系化合物;
トリホリン(triforine)のようなピペラジン系化合物;
ピリフェノックス(pyrifenox)のようなピリジン系化合物;
フェナリモル(fenarimol)、フルトリアフォル(flutriafol)のようなカルビノール系化合物;
ファモキサドン(famoxadone)のようなオキサゾリジノン系化合物;
エタボキサム(ethaboxam)のようなチアゾールカルボキサミド系化合物;
フェナミドン(fenamidone)のようなイミダゾリジン系化合物;
フルスルファミド(flusulfamid)のようなベンゼンスルホンアミド系化合物;
シフルフェナミド(cyflufenamid)のようなオキシムエーテル系化合物;
フェノキサニル(fenoxanil)のようなフェノキシアミド系化合物;
アトラキノン系化合物;
クロトン酸系化合物;
【0063】
トリアジメホン(triadimefon)、トリフルミゾール(triflumizole)、ペンコナゾール(penconazole)、フルシラゾール(flusilazole)、マイクロブタニル(myclobutanil)、シプロコナゾール(cyproconazole)、テブコナゾール(tebuconazole)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)、N-プロピル-N-[2-(2,4,6-トリクロロフェノキシ)エチル]イミダゾール-1-カルボキサミド(プロクロラズ(prochloraz))、メトコナゾール(metconazole)、エポキシコナゾール(epoxiconazole)、プロチオコナゾール(prothioconazole)、トリアジメノール(triadimenol)、ジフェノコナゾール(difenoconazole)、フルキンコナゾール(fluquinconazole)、エニリコナゾール(eniliconazol)、イマザリル(imazalil)、ビテルタノール(bitertanol)、エタコナゾール(etaconazole)、プロピコナゾール(propiconazole)、ファーコナゾールシス(furconazole‐cis)、テトラコナゾール(tetraconazole)、オキスポコナゾールフマル酸塩(oxpoconazole fumarate)、フルトリアホール(flutriafol)、フェンブコナゾール(fenbuconazole)、ブロムコナゾール(bromuconazole)、ジニコナゾール(diniconazole)、トリシクラゾール(tricyclazole)、プロベナゾール(probenazole)、シメコナゾール(simeconazole)、ペント-4-エニル(2RS)-2-[フルフリル(イミダゾール-1-イルカルボニル)アミノ]ブチレート(ペフラゾエート(pefurazoate))、イプコナゾール(ipconazole)、イミベンコナゾール(imibenconazole)、シアゾファミド(cyazofamid)、ヒメキサゾール(hymexazol)、アミスルブロム(amisulbrom)、フベリアゾール(fuberiazole)のようなアゾール系化合物;
【0064】
メパニピリム(mepanipyrim)、ピリメサニル(pyrimethanil)、シプロジニル(cyprodinil)、フェリムゾン(ferimzone)のようなアニリノピリミジン系化合物;
5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンのようなトリアゾロピリミジン系化合物;
アゾキシストロビン(azoxystrobin)、クレソキシムメチル(kresoxim‐methyl)、メトミノストロビン(metominostrobin)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、(2E)-2-(メトキシイミノ)-2-[2-[(3E,5E,6E)-5-(メトキシイミノ)-4,6-ジメチル-2,8-ジオキサ-3,7-ジアザノナ-3,6-ジエン-1-イル]フェニル]-N-メチルアセタミド(オリザストロビン(orysastrobin))、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、メチル 3-メトキシ-2-[2-((((1-メチル-3-(4'-クロロフェニル)-2-プロペニリデン)アミノ)オキシ)-メチル)フェニル]プロペノエート(エネストロビン(enestrobin))のようなストロビルリン系化合物;
キャプタン(captan)、キャプタホル(captafol)、フォルペット(folpet)のようなN−ハロゲノチオアルキル系化合物;
【0065】
フルアジナム(fluazinam)のようなピリジナミン系化合物;
重炭酸ナトリウム(sodium bicarbonate)、重炭酸カリウム(potassium bicarbonate)のような重炭酸塩;
硫黄(sulfur)、多硫化石灰(calcium polysulfide)、硫酸亜鉛(zinc sulfate)のような無機硫黄系化合物;
マンゼブ(mancozeb)、マンネブ(maneb)、ジネブ(zineb)、ポリカーバメート(polycarbamate)、メチラム(metiram)、プロピネブ(propineb)、チラム(thiram)のようなジチオカーバメート系化合物;
クロロタロニル(chlorothalonil)、フサライド(fthalide)、キントゼン(quintozene)のような有機塩素系化合物;
プロシミドン(procymidone)、イプロジオン(iprodione)、ビンクロゾリン(vinclozolin)のようなジカルボキシイミド系化合物;
スピロキサミン(spiroxamine)及びジクロフルアニド(dichlofluanid)のようなアミン系化合物;
フルジオキソニル(fludioxonil)、フェンピクロニル(fenpiclonil)のようなフェニルピロール系化合物;
【0066】
メトラフェノン(metrafenone)(3'-ブロモ-2,3,4,6'-テトラメトキシ-2',6-ジメチルベンゾフェノン)のようなベンゾフェノン系化合物;
メプチルジノキャップ(meptyldinocap)のようなジニトロベンゼン系化合物;
フェンプロピジン(fenpropidin)のようなピペリジン系化合物;
フェンプロピモルフ(fenpropimorph)、トリデモルフ(tridemorph)、ドデモルフ(dodemorph)、ジメトモルフ(dimethomorph)、フルモルフ(flumorph)のようなモルフォリン系化合物;
シモキサニル(cymoxanil)のようなシアノアセトアミド系化合物;
亜リン酸、第一亜リン酸ナトリウム、第一亜リン酸カリウム、第一亜リン酸カルシウム第二亜リン酸ナトリウム、第二亜リン酸カリウム、第二亜リン酸カルシウムのような亜リン酸系化合物;
ホセチルアルミニウム(fosetyl‐Al)、トルクロホスメチル(tolcofos‐methyl)、S−ベンジル O,O−ジイソプロピルホスホロチオエート、O−エチル S,S−ジフェニルホスホロジチオエート、アルミニウムエチルハイドロゲンホスホネート、エジフェンホス(edifenphos)、イプロベンホス(iprobenfos)のような有機リン系化合物;
【0067】
フルトラニル(flutolanil)、3,4-ジクロロ-2'-シアノ-1,2-チアゾール-5-カルボキシアニリド(イソチアニル(isotianil))、メプロニル(mepronil)、ゾキサミド(zoxamid)、チアジニル(tiadinil)、カルボキシン(carboxin)、オキシカルボキシン(oxycarboxin)、チフルザミド(thifluzamide)、フラメトピル(furametpyr)、ペンチオピラド(penthiopyrad)、ボスカリド(boscalid)、N-(3',4'-ジクロロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)-3-(ジフルオロメチル)-1-メチルピラゾール-4-カルボキサミド(ビキサフェン(bixafen))、N-[2-[3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジル]エチル]-α,α,α-トリフルオロ-o-トルアミド(フルオピラム(fluopyram))、3-(ジフロロメチル)-1-メチル-N-[(1RS,4SR,9RS)-1,2,3,4-テトラヒドロ-9-イソプロピル-1,4-メタノナフタレン-5-イル]ピラゾール-4-カルボキサミドと3-(ジフロロメチル)-1-メチル-N-[(1RS,4SR,9SR)-1,2,3,4-テトラヒドロ-9-イソプロピル-1,4-メタノナフタレン-5-イル]ピラゾール-4-カルボキサミドの混合物(イソピラザム(isopyrazam))、シルチオファム(silthiofam)、フェンヘキサミド(fenhexamid)のようなカルボキサミド系化合物;
キノキシフェン(quinoxyfen)のようなキノリン系化合物;
塩基性塩化銅(copper oxychloride)、水酸化第二銅(cupric hydroxide)、塩基性硫酸銅(Copper sulfate)、ボルドー液(bordeaux mixture)、有機銅(oxine copper)のような銅系化合物;
【0068】
チオファネートメチル(thiophanate‐methyl)、ベノミル(benomyl)、カーベンダジム(carbendazim)、チアベンダゾール(thiabendazole)、ピリベンカルブ(pyribencarb)、ジエトフェンカルブ(diethofencarb)、プロパモカルブ塩酸塩(propamocarb hydrochloride)、イプロバリカルブ(iprovalicarb)、メチル [S-(R,S)]-3-[(N-イソプロポキシカルボニルバリニル)アミノ]-3-(4-クロロフェニル)プロパノエート(バリフェナール(valiphenal))、ベンチアバリカルブ−イソプロピル(benthiavalicarb-isopropyl)のようなカーバメート系化合物;
ポリオキシン(polyoxins)、バリダマイシン(validamycin)、カスガマイシン(kasugamycin)のような抗生物質;
イミノクタジン(iminoctadine)、ドディン(dodine)のようなグアニジン系化合物;
2,3-ジメチル-6-t-ブチル-8-フルオロ-4-アセチルキノリンのような4−キノリノール誘導体化合物;
2-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニルチオ)-2-(3-(2-メトキシフェニル)チアゾリジン-2-イリデン)アセトニトリルのようなシアノメチレン系化合物;
【0069】
4-(2,3,4-トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-2,5-ジクロロ-3-トリフルオロメチルピリジン、4-(2,3,4-トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-2-クロロ-3-トリフルオロメチル-5-メトキシピリジン、3-(2,3,4-トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-5-ブロモ-4-クロロ-2-メトキシピリジン、3−(2,3,4−トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-5-クロロ-2-メトキシ-4-メチルピリジンのようなベンゾイルピリジン系化合物;
その他の化合物として、プロキンアジド(proquinazid)、イソプロチオラン(isoprothiolane)、ピロキロン(pyroquilon)、ジクロメジン(diclomezine)、クロルピクリン(chloropicrin)、ダゾメット(dazomet)、メタムナトリウム塩(metam‐sodium)、UBF-307、ジクロシメット(diclocymet)、Syngenta 446510(mandipropamid、 dipromandamid)、フルオピコリド(fluopicolide)、カルプロパミド(carpropamid)、BCF051、BCM061、BCM062などが挙げられる。
【0070】
次に、前記した本発明の殺菌性組成物のうち、前述されていない望ましい組み合わせのいくつかを例示する。
(1) (a)前記式(I)のカルボン酸アミド誘導体又はその塩と、(b)アゾール系化合物、アニリノピリミジン系化合物、ストロビルリン系化合物、N−ハロゲノチオアルキル系化合物、ピリジナミン系化合物、ジチオカーバメート系化合物、有機塩素系化合物、ジカルボキシイミド系化合物、アミン系化合物、フェニルピロール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ピペリジン系化合物、モルフォリン系化合物、シアノアセトアミド系化合物、有機リン系化合物、カルボキサミド系化合物、キノリン系化合物、銅系化合物、カーバメート系化合物、抗生物質、グアニジン系化合物及びベンゾイルピリジン系化合物から成る群から選択された少なくとも1種の殺菌性化合物の相乗有効量を含有する殺菌性組成物。
【0071】
(2) (b)の殺菌性化合物が、トリアジメホン、トリフルミゾール、ペンコナゾール、フルシラゾール、マイクロブタニル、シプロコナゾール、テブコナゾール、ヘキサコナゾール、N-プロピル-N-[2-(2,4,6-トリクロロフェノキシ)エチル]イミダゾール-1-カルボキサミド、メトコナゾール、エポキシコナゾール、プロチオコナゾール、トリアジメノール、ジフェノコナゾール、フルキンコナゾール、エニリコナゾール、イマザリル、ビテルタノール、エタコナゾール、プロピコナゾール、ファーコナゾールシス、テトラコナゾール、オキスポコナゾールフマル酸塩、フルトリアホール、フェンブコナゾール、ブロムコナゾール、ジニコナゾール、トリシクラゾール、プロベナゾール、シメコナゾール、ペント-4-エニル(2RS)-2-[フルフリル(イミダゾール-1-イルカルボニル)アミノ]ブチレート、イプコナゾール、イミベンコナゾール、シアゾファミド、ヒメキサゾール、アミスルブロム、フベリアゾール、メパニピリム、ピリメサニル、シプロジニル、アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、トリフロキシストロビン、ピコキシストロビン、(2E)-2-(メトキシイミノ)-2-[2-[(3E,5E,6E)-5-(メトキシイミノ)-4,6-ジメチル-2,8-ジオキサ-3,7-ジアザノナ-3,6-ジエン-1-イル]フェニル]-N-メチルアセタミド、ジモキシストロビン、ピラクロストロビン、フルオキサストロビン、メチル 3-メトキシ-2-[2-((((1-メチル-3-(4'-クロロフェニル)-2-プロペニリデン)アミノ)オキシ)-メチル)フェニル]プロペノエート、キャプタン、キャプタホル、フォルペット、フルアジナム、マンゼブ、マンネブ、ジネブ、ポリカーバメート、メチラム、プロピネブ、チラム、クロロタロニル、フサライド、キントゼン、プロシミドン、イプロジオン、ビンクロゾリン、スピロキサミン、ジクロフルアニド、フルジオキソニル、フェンピクロニル、メトラフェノン、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、トリデモルフ、ドデモルフ、ジメトモルフ、フルモルフ、シモキサニル、ホセチルアルミニウム、トルクロホスメチル、S−ベンジル O,O−ジイソプロピルホスホロチオエート、O−エチル S,S−ジフェニルホスホロジチオエート、アルミニウムエチルハイドロゲンホスホネート、エジフェンホス、イプロベンホス、フルトラニル、3,4-ジクロロ-2'-シアノ-1,2-チアゾール-5-カルボキシアニリド、メプロニル、ゾキサミド、チアジニル、カルボキシン、オキシカルボキシン、チフルザミド、フラメトピル、ペンチオピラド、ボスカリド、N-(3',4'-ジクロロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)-3-(ジフルオロメチル)-1-メチルピラゾール-4-カルボキサミド、N-[2-[3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジル]エチル]-α,α,α-トリフルオロ-o-トルアミド、シルチオファム、フェンヘキサミド、キノキシフェン、塩基性塩化銅、水酸化第二銅、塩基性硫酸銅、ボルドー液、有機銅、チオファネートメチル、ベノミル、カーベンダジム、チアベンダゾール、ピリベンカルブ、ジエトフェンカルブ、プロパモカルブ塩酸塩、イプロバリカルブ、メチル [S-(R,S)]-3-[(N-イソプロポキシカルボニルバリニル)アミノ]-3-(4-クロロフェニル)プロパノエート、ベンチアバリカルブ−イソプロピル、ポリオキシン、バリダマイシン、カスガマイシン、イミノクタジン、ドディン、4-(2,3,4-トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-2,5-ジクロロ-3-トリフルオロメチルピリジン、4−(2,3,4−トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-2-クロロ-3-トリフルオロメチル-5-メトキシピリジン、3-(2,3,4-トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-5-ブロモ-4-クロロ-2-メトキシピリジン及び3−(2,3,4−トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-5-クロロ-2-メトキシ-4-メチルピリジンから成る群から選択された少なくとも1種である前記(1)に記載の組成物。
【0072】
(3) (b)の殺菌性化合物が、シプロコナゾール、テブコナゾール、N-プロピル-N-[2-(2,4,6-トリクロロフェノキシ)エチル]イミダゾール-1-カルボキサミド、メトコナゾール、エポキシコナゾール、プロチオコナゾール、ジフェノコナゾール、テトラコナゾール、オキスポコナゾールフマル酸塩、シアゾファミド、メパニピリム、ピリメサニル、シプロジニル、アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、トリフロキシストロビン、ピラクロストロビン、キャプタン、フォルペット、フルアジナム、マンゼブ、クロロタロニル、プロシミドン、イプロジオン、スピロキサミン、フルジオキソニル、メトラフェノン、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、シモキサニル、ホセチルアルミニウム、フルトラニル、フェンヘキサミド、キノキシフェン、塩基性塩化銅、チオファネートメチル、ピリベンカルブ、ポリオキシン、イミノクタジン、4-(2,3,4-トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-2,5-ジクロロ-3-トリフルオロメチルピリジン、4-(2,3,4-トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-2-クロロ-3-トリフルオロメチル-5-メトキシピリジン、3-(2,3,4-トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-5-ブロモ-4-クロロ-2-メトキシピリジン及び3−(2,3,4−トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-5-クロロ-2-メトキシ-4-メチルピリジンから成る群から選択された少なくとも1種である前記(2)に記載の組成物。
【0073】
次に本発明に係わる試験例を記載するが、これらは本発明を限定するものではない。なお、各試験例における化合物No.は、前記式(I)のカルボン酸アミド誘導体の例示における化合物No.である。
試験例1(コムギうどんこ病予防効果試験)
直径7.5cmのポリ鉢でコムギ(品種:農林61号)を栽培し、1.5葉期に達した時に各供試化合物を所定濃度に調整した混合薬液をスプレーガンにて、1苗あたり10ml散布した。薬液が乾燥した後、うどんこ病菌の分生胞子を振り掛け接種し、20℃の恒温室内に保った。接種7〜8日後に胞子形成面積を調査し、下記計算式によって対無処理発病面積率を求め、その結果を第1−1表〜第1−101表に示した。
対無処理発病面積率=(a/b)×100
a:処理区の平均胞子形成面積
b:無処理区の平均胞子形成面積
また、コルビーの式により理論値を計算し、第1−1表〜第1−101表の( )内に示した。対無処理発病面積率(実験値)が理論値よりも低いことから、本発明組成物は、相乗効果を有するといえる。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
【表4】

【0078】
【表5】

【0079】
【表6】

【0080】
【表7】

【0081】
【表8】

【0082】
【表9】

【0083】
【表10】

【0084】
【表11】

【0085】
【表12】

【0086】
【表13】

【0087】
【表14】

【0088】
【表15】

【0089】
【表16】

【0090】
【表17】

【0091】
【表18】

【0092】
【表19】

【0093】
【表20】

【0094】
【表21】

【0095】
【表22】

【0096】
【表23】

【0097】
【表24】

【0098】
【表25】

【0099】
【表26】

【0100】
【表27】

【0101】
【表28】

【0102】
【表29】

【0103】
【表30】

【0104】
【表31】

【0105】
【表32】

【0106】
【表33】

【0107】
【表34】

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【表35】

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【表36】

【0110】
【表37】

【0111】
【表38】

【0112】
【表39】

【0113】
【表40】

【0114】
【表41】

【0115】
【表42】

【0116】
【表43】

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【表44】

【0118】
【表45】

【0119】
【表46】

【0120】
【表47】

【0121】
【表48】

【0122】
【表49】

【0123】
【表50】

【0124】
【表51】

【0125】
【表52】

【0126】
【表53】

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【表54】

【0128】
【表55】

【0129】
【表56】

【0130】
【表57】

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【表58】

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【表60】

【0134】
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【表63】

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【表66】

【0140】
【表67】

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【表73】

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【0148】
【表75】

【0149】
【表76】

【0150】
【表77】

【0151】
【表78】

【0152】
【表79】

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【表80】

【0154】
【表81】

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【表82】

【0156】
【表83】

【0157】
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【0158】
【表85】

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【表86】

【0160】
【表87】

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【表88】

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【表89】

【0163】
【表90】

【0164】
【表91】

【0165】
【表92】

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【表93】

【0167】
【表94】

【0168】
【表95】

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【表96】

【0170】
【表97】

【0171】
【表98】

【0172】
【表99】

【0173】
【表100】

【0174】
【表101】

【0175】
試験例2(キュウリうどんこ病予防効果試験)
直径7.5cmのポリ鉢でキュウリ(品種:四葉)を栽培し、1.5葉期に達した時に各供試化合物を所定濃度に調整した混合薬液をスプレーガンにて、1苗あたり10ml散布した。薬液が乾燥した後、うどんこ病菌の分生胞子懸濁液を噴霧接種し、20℃の恒温室内に保った。接種7〜12日後に胞子形成面積を調査し、前記試験例1と同様にして対無処理発病面積率を求め、その結果を第2−1表〜第2−112表に示した。
また、コルビーの式により理論値を計算し、第2−1表〜第2−112表の( )内に示した。対無処理発病面積率(実験値)が理論値よりも低いことから、本発明組成物は、相乗効果を有するといえる。
【0176】
【表102】

【0177】
【表103】

【0178】
【表104】

【0179】
【表105】

【0180】
【表106】

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【表107】

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【0183】
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【表111】

【0186】
【表112】

【0187】
【表113】

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【表114】

【0189】
【表115】

【0190】
【表116】

【0191】
【表117】

【0192】
【表118】

【0193】
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【0194】
【表120】

【0195】
【表121】

【0196】
【表122】

【0197】
【表123】

【0198】
【表124】

【0199】
【表125】

【0200】
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【0201】
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【表130】

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【表131】

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【表135】

【0210】
【表136】

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【0214】
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【表141】

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【0220】
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【0230】
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【0274】
【表200】

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【表201】

【0276】
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【0280】
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【0281】
【表207】

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【表208】

【0283】
【表209】

【0284】
【表210】

【0285】
【表211】

【0286】
【表212】

【0287】
【表213】

【0288】
試験例3(コムギふ枯病予防効果試験)
直径7.5cmのポリ鉢でコムギ(品種:農林61号)を栽培し、1.5葉期に達した時に各供試化合物を所定濃度に調整した混合薬液をスプレーガンにて、1苗あたり10ml散布した。薬液が乾燥した後、ふ枯病菌の分生胞子懸濁液を噴霧接種し、20℃で7日間管理した(最初の3日間は高湿度条件下で管理)。その後、病斑面積を調査し、下記計算式によって対無処理発病面積率を求め、その結果を第3−1表〜第3−14表に示した。
対無処理発病面積率=(a/b)×100
a:処理区の平均病斑面積
b:無処理区の平均病斑面積
また、コルビーの式により理論値を計算し、第3−1表〜第3−14表の( )内に示した。対無処理発病面積率(実験値)が理論値よりも低いことから、本発明組成物は、相乗効果を有するといえる。
【0289】
【表214】

【0290】
【表215】

【0291】
【表216】

【0292】
【表217】

【0293】
【表218】

【0294】
【表219】

【0295】
【表220】

【0296】
【表221】

【0297】
【表222】

【0298】
【表223】

【0299】
【表224】

【0300】
【表225】

【0301】
【表226】

【0302】
【表227】

【0303】
試験例4(インゲン灰色かび病予防効果試験)
直径12.0cmのポリ鉢でインゲン(品種:大正金時)を栽培し、2.5葉期に達した時に各供試化合物を所定濃度に調整した混合薬液をスプレーガンにて、1苗あたり10ml散布した。薬液が乾燥した後葉を切り取り、葉上にペーパーディスク(φ8mm)を置き、そこへインゲン灰色かび病菌胞子懸濁液(1.0×106個/ml)を120μl滴下接種した。このものを、20℃の湿潤条件下で3日間管理した後に、病斑面積を調査し、前記試験例3と同様にして対無処理発病面積率を求め、その結果を第4−1表〜第4−19表に示した。
また、コルビーの式により理論値を計算し、第4−1表〜第4−19表の( )内に示した。対無処理発病面積率(実験値)が理論値よりも低いことから、本発明組成物は、相乗効果を有するといえる。
【0304】
【表228】

【0305】
【表229】

【0306】
【表230】

【0307】
【表231】

【0308】
【表232】

【0309】
【表233】

【0310】
【表234】

【0311】
【表235】

【0312】
【表236】

【0313】
【表237】

【0314】
【表238】

【0315】
【表239】

【0316】
【表240】

【0317】
【表241】

【0318】
【表242】

【0319】
【表243】

【0320】
【表244】

【0321】
【表245】

【0322】
【表246】

【0323】
試験例5(イネいもち病抗菌性試験)
予め培養して得たイネいもち病菌の菌叢を直径4mmのコルクボーラーにて打ち抜き、所定濃度に調整した混合薬剤を含むPSA培地上に移植した。25℃で3日間静置培養した後に、菌叢の直径を測定した。下記計算式によって対無処理発病率を求め、その結果を第5−1表〜第5−3表に示した。
対無処理発病率=(a/b)×100
a:処理区の平均菌叢直径(mm)
b:無処理区の平均菌叢直径(mm)
また、コルビーの式により理論値を計算し、第5−1表〜第5−3表の( )内に示した。対無処理発病率が理論値よりも低いことから、本発明組成物は、相乗効果を有するといえる。
【0324】
【表247】

【0325】
【表248】

【0326】
【表249】

【0327】
試験例6(灰色かび病抗菌性試験)
予め培養して得た灰色かび病菌の菌叢を直径4mmのコルクボーラーにて打ち抜き、所定濃度に調整した混合薬剤を含むPSA培地上に移植した。25℃で3日間静置培養した後に、菌叢の直径を測定した。前記試験例5と同様にして対無処理発病率を求め、その結果を第6−1表〜第6−3表に示した。
また、コルビーの式により理論値を計算し、第6−1表〜第6−3表の( )内に示した。対無処理発病率が理論値よりも低いことから、本発明組成物は、相乗効果を有するといえる。
【0328】
【表250】

【0329】
【表251】

【0330】
【表252】

【0331】
試験例7(灰色かび病抗菌性試験)
シャーレ中のPSA培地上に、灰色かび病菌の胞子懸濁液(胞子濃度2×10個/ml)を、シャーレ1枚あたり300μl撒き、風乾した。そこへ、化合物No.2の薬液(30ppm)に浸漬した濾紙と、フルアジナムの薬液(30ppm)に浸漬した濾紙を交差させて置いた(各々の濾紙は、風乾した0.7cm×8cmのものを用いた)。20℃で4日間放置した後、灰色かび病菌の繁殖状況(図1の写真)を観察した。図1中、横置濾紙は化合物No.2に浸漬したものであり、縦置濾紙はフルアジナムに浸漬したものであり、白く濁った部分は灰色かび病菌が繁殖している部分である。
横置濾紙の両端付近は灰色かび病菌の繁殖部分と接しており、化合物No.2(30ppm)単用では十分な防除効果が得られないことが判る。また、縦置濾紙の両端付近は灰色かび病菌の繁殖部分と接しておらず、フルアジナム(30ppm)単用で一定の防除効果が得られることが判る。これに対し、濾紙が交差している付近においては、灰色かび病菌の繁殖部分と広範囲にわたって接しておらず、化合物No.2とフルアジナムとを混用すると優れた防除効果が得られることが判る。
この防除効果を数値化した。フルアジナムの単用区に相当する縦置濾紙の両端から灰色かび病菌の繁殖部分までの距離を4箇所(図2中の矢印部分)測定し、平均したところ5mmであった。一方、化合物No.2とフルアジナムの混用区に相当する濾紙が交差している部分から灰色かび病菌の繁殖部分までの距離を4箇所(図3中の矢印部分)測定し、平均したところ17mmであった。
【0332】
試験例8(灰色かび病抗菌性試験)
フルアジナム30ppmをオキスポコナゾールフマル酸塩30ppmに代える以外は前記試験例7と同様に試験を行った。その結果、オキスポコナゾールフマル酸塩の単用区に相当する縦置濾紙の両端から灰色かび病菌の繁殖部分までの距離(平均値)は7.5mmであった。一方、化合物No.2とオキスポコナゾールフマル酸塩の混用区に相当する濾紙が交差している部分から灰色かび病菌の繁殖部分までの距離(平均値)は13.3mmであった。
【0333】
次に本発明組成物の製剤例を記載するが、本発明における配合成分、配合割合、剤型等は記載例のみに限定されるものではない。
製剤例1
(a)カオリン 78重量部
(b)β−ナフタレンスルホン酸ソーダホルマリン縮合物 2重量部
(c)ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルサルフェート 5重量部
(d)含水無晶形二酸化ケイ素 15重量部
以上の各成分の混合物と、式(I)の化合物と、エポキシコナゾールとを8:1:1の重量割合で混合し、水和剤を得る。
【0334】
製剤例2
(a)式(I)の化合物 0.5 重量部
(b)エポキシコナゾール 0.5 重量部
(c)ベントナイト 20 重量部
(d)カオリン 74 重量部
(e)リグニンスルホン酸ソーダ 5 重量部
以上の各成分に適量の造粒所要水を加え、混合、造粒して粒剤を得る。
【0335】
製剤例3
(a)式(I)の化合物 2重量部
(b)エポキシコナゾール 3重量部
(c)タルク 95重量部
以上の各成分を均一に混合して粉剤を得る。
【図面の簡単な説明】
【0336】
【図1】試験例7の灰色かび病抗菌性試験の結果を示す写真である。
【図2】試験例7の灰色かび病抗菌性試験の結果を図式化し、縦置濾紙の両端から灰色かび病菌の繁殖部分までの距離を測定した4箇所を矢印で示した図である。
【図3】試験例7の灰色かび病抗菌性試験の結果を図式化し、濾紙が交差している部分から灰色かび病菌の繁殖部分までの距離を測定した4箇所を矢印で示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式(I):
【化1】

[式中、BはYで置換されてもよい複素環基であり;R1及びR2は各々独立にC1-12アルキルであり;Xはハロゲン、C1-12アルキル又はC1-12アルコキシであり;Yはハロゲン、C1-12アルキル又はC1-12ハロアルキルであり;nは0〜5の整数である]で表されるカルボン酸アミド誘導体又はその塩と、(b)アゾール系化合物、アニリノピリミジン系化合物、トリアゾロピリミジン系化合物、ストロビルリン系化合物、N−ハロゲノチオアルキル系化合物、ピリジナミン系化合物、重炭酸塩、無機硫黄系化合物、ジチオカーバメート系化合物、有機塩素系化合物、ジカルボキシイミド系化合物、アミン系化合物、フェニルピロール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ピペリジン系化合物、ジニトロベンゼン系化合物、モルフォリン系化合物、シアノアセトアミド系化合物、亜リン酸系化合物、有機リン系化合物、カルボキサミド系化合物、キノリン系化合物、銅系化合物、カーバメート系化合物、抗生物質、グアニジン系化合物、オキシムエーテル系化合物、4−キノリノール誘導体化合物、シアノメチレン系化合物、キナゾリノン系化合物及びベンゾイルピリジン系化合物から成る群から選択された少なくとも1種の殺菌性化合物の相乗有効量を含有する殺菌性組成物。
【請求項2】
BがYで置換されてもよい5員又は6員複素環基である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Bの複素環基が、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選択された少なくとも1種の原子を1〜2個含有するものである請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
Bの複素環基がピリジル、チエニル又はピラゾリルである請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
Bが3-トリフルオロメチル-2-ピリジル、3-メチル-2-チエニル又は1-メチル-3-トリフルオロメチル-4-ピラゾリルである請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
式(I)の化合物が、N-[(3', 4'-ジクロロ-1,1-ジメチル)フェナシル]-3-トリフルオロメチル-2-ピリジンカルボキサミド、N-[(3', 4'-ジクロロ-1,1-ジメチル)フェナシル]-3-メチル-2-チオフェンカルボキサミド、N-[(3', 4'-ジクロロ-1,1-ジメチル)フェナシル]−1-メチル-3-トリフルオロメチル-4-ピラゾールカルボキサミド、N-[[2'-メチル-4'-(2-プロピルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]-3-トリフルオロメチル-2-ピリジンカルボキサミド、N-[[2'-メチル-4'-(2-プロピルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]-3-メチル-2-チオフェンカルボキサミド、N-[[2'-メチル-4'-(2-プロピルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]-1-メチル-3-トリフルオロメチル-4-ピラゾールカルボキサミド、N-[[4'-(2-プロピルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]-3-トリフルオロメチル-2-ピリジンカルボキサミド、N-[[4'-(2-プロピルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]-3-メチル-2-チオフェンカルボキサミド、N-[[4'-(2-プロピルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]−1-メチル-3-トリフルオロメチル-4-ピラゾールカルボキサミド、N-[[2'-メチル−4'-(2-ペンチルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]-3-トリフルオロメチル-2-ピリジンカルボキサミド及びN-[[4'-(2-ペンチルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]-3-トリフルオロメチル-2-ピリジンカルボキサミドから成る群から選択された少なくとも1種の化合物である請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
(b)の殺菌性化合物が、トリアジメホン、トリフルミゾール、ペンコナゾール、フルシラゾール、マイクロブタニル、シプロコナゾール、テブコナゾール、ヘキサコナゾール、N-プロピル-N-[2-(2,4,6-トリクロロフェノキシ)エチル]イミダゾール-1-カルボキサミド、メトコナゾール、エポキシコナゾール、プロチオコナゾール、トリアジメノール、ジフェノコナゾール、フルキンコナゾール、エニリコナゾール、イマザリル、ビテルタノール、エタコナゾール、プロピコナゾール、ファーコナゾールシス、テトラコナゾール、オキスポコナゾールフマル酸塩、フルトリアホール、フェンブコナゾール、ブロムコナゾール、ジニコナゾール、トリシクラゾール、プロベナゾール、シメコナゾール、ペント-4-エニル(2RS)-2-[フルフリル(イミダゾール-1-イルカルボニル)アミノ]ブチレート、イプコナゾール、イミベンコナゾール、シアゾファミド、ヒメキサゾール、アミスルブロム、フベリアゾール、メパニピリム、ピリメサニル、シプロジニル、フェリムゾン、5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、トリフロキシストロビン、ピコキシストロビン、(2E)-2-(メトキシイミノ)-2-[2-[(3E,5E,6E)-5-(メトキシイミノ)-4,6-ジメチル-2,8-ジオキサ-3,7-ジアザノナ-3,6-ジエン-1-イル]フェニル]-N-メチルアセタミド、ジモキシストロビン、ピラクロストロビン、フルオキサストロビン、メチル 3-メトキシ-2-[2-((((1-メチル-3-(4'-クロロフェニル)-2-プロペニリデン)アミノ)オキシ)-メチル)フェニル]プロペノエート、キャプタン、キャプタホル、フォルペット、フルアジナム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、硫黄、多硫化石灰、硫酸亜鉛、マンゼブ、マンネブ、ジネブ、ポリカーバメート、メチラム、プロピネブ、チラム、クロロタロニル、フサライド、キントゼン、プロシミドン、イプロジオン、ビンクロゾリン、スピロキサミン、ジクロフルアニド、フルジオキソニル、フェンピクロニル、メトラフェノン、フェンプロピジン、メプチルジノキャップ、フェンプロピモルフ、トリデモルフ、ドデモルフ、ジメトモルフ、フルモルフ、シモキサニル、亜リン酸、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸カルシウム、ホセチルアルミニウム、トルクロホスメチル、S−ベンジル O,O−ジイソプロピルホスホロチオエート、O−エチル S,S−ジフェニルホスホロジチオエート、アルミニウムエチルハイドロゲンホスホネート、エジフェンホス、イプロベンホス、フルトラニル、3,4-ジクロロ-2'-シアノ-1,2-チアゾール-5-カルボキシアニリド、メプロニル、ゾキサミド、チアジニル、カルボキシン、オキシカルボキシン、チフルザミド、フラメトピル、ペンチオピラド、ボスカリド、N-(3',4'-ジクロロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)-3-(ジフルオロメチル)-1-メチルピラゾール-4-カルボキサミド、N-[2-[3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジル]エチル]-α,α,α-トリフルオロ-o-トルアミド、3-(ジフロロメチル)-1-メチル-N-[(1RS,4SR,9RS)-1,2,3,4-テトラヒドロ-9-イソプロピル-1,4-メタノナフタレン-5-イル]ピラゾール-4-カルボキサミドと3-(ジフロロメチル)-1-メチル-N-[(1RS,4SR,9SR)-1,2,3,4-テトラヒドロ-9-イソプロピル-1,4-メタノナフタレン-5-イル]ピラゾール-4-カルボキサミドの混合物、シルチオファム、フェンヘキサミド、キノキシフェン、塩基性塩化銅、水酸化第二銅、塩基性硫酸銅、ボルドー液、有機銅、チオファネートメチル、ベノミル、カーベンダジム、チアベンダゾール、ピリベンカルブ、ジエトフェンカルブ、プロパモカルブ塩酸塩、イプロバリカルブ、メチル [S-(R,S)]-3-[(N-イソプロポキシカルボニルバリニル)アミノ]-3-(4-クロロフェニル)プロパノエート、ベンチアバリカルブ−イソプロピル、ポリオキシン、バリダマイシン、カスガマイシン、イミノクタジン、ドディン、シフルフェナミド、2,3-ジメチル-6-t-ブチル-8-フルオロ-4-アセチルキノリン、2-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニルチオ)-2-(3-(2-メトキシフェニル)チアゾリジン-2-リデン)アセトニトリル、プロキンアジド、4-(2,3,4-トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-2,5-ジクロロ-3-トリフルオロメチルピリジン、4−(2,3,4−トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-2-クロロ-3-トリフルオロメチル-5-メトキシピリジン、3-(2,3,4-トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-5-ブロモ-4-クロロ-2-メトキシピリジン及び3−(2,3,4−トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-5-クロロ-2-メトキシ-4-メチルピリジンから成る群から選択された少なくとも1種である請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
(b)の殺菌性化合物が、トリフルミゾール、マイクロブタニル、シプロコナゾール、テブコナゾール、ヘキサコナゾール、N-プロピル-N-[2-(2,4,6-トリクロロフェノキシ)エチル]イミダゾール-1-カルボキサミド、メトコナゾール、エポキシコナゾール、プロチオコナゾール、ジフェノコナゾール、テトラコナゾール、トリシクラゾール、オキスポコナゾールフマル酸塩、シアゾファミド、ヒメキサゾール、メパニピリム、ピリメサニル、シプロジニル、フェリムゾン、5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、トリフロキシストロビン、ジモキシストロビン、ピラクロストロビン、キャプタン、フォルペット、フルアジナム、重炭酸カリウム、硫黄、マンゼブ、クロロタロニル、プロシミドン、イプロジオン、スピロキサミン、フルジオキソニル、メトラフェノン、フェンプロピジン、メプチルジノキャップ、ジメトモルフ、フェンプロピモルフ、シモキサニル、亜リン酸カリウム、ホセチルアルミニウム、トルクロホスメチル、フルトラニル、フェンヘキサミド、キノキシフェン、塩基性塩化銅、チオファネートメチル、ピリベンカルブ、プロパモカルブ塩酸塩、ポリオキシン、カスガマイシン、イミノクタジン、シフルフェナミド、2,3-ジメチル-6-t-ブチル-8-フルオロ-4-アセチルキノリン、2-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニルチオ)-2-(3-(2-メトキシフェニル)チアゾリジン-2-リデン)アセトニトリル、プロキンアジド、4-(2,3,4-トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-2,5-ジクロロ-3-トリフルオロメチルピリジン、4−(2,3,4−トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-2-クロロ-3-トリフルオロメチル-5-メトキシピリジン、3-(2,3,4-トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-5-ブロモ-4-クロロ-2-メトキシピリジン及び3−(2,3,4−トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-5-クロロ-2-メトキシ-4-メチルピリジンから成る群から選択された少なくとも1種である請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
(a)のカルボン酸アミド誘導体又はその塩と、(b)の殺菌性化合物との混合重量比が1:70,000〜70,000:1である請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の組成物を、有害菌類又はそれが生育する場所に施用することを特徴とする有害菌類の防除方法。
【請求項11】
請求項1に記載の(a)式(I)で表されるカルボン酸アミド誘導体又はその塩と、(b)の殺菌性化合物とを、有害菌類又はそれが生育する場所に施用することを特徴とする有害菌類の防除方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−132681(P2009−132681A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264385(P2008−264385)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000000354)石原産業株式会社 (289)
【Fターム(参考)】