説明

気液混合吹き出しノズル

【課題】液体や気液混合流体の流れを阻害せずに、溶解物質や懸濁固形物が気体送入管内に付着し難く、一様な気液混合流体を気泡塔内に吹き込み易いノズルを提供する。
【解決手段】溶解物質又は固形物が含まれている或いは生成される液体が送入される液体送入管13を、上流側大径管部15と下流側小径管部16とレデューサー17で構成し、気体送入管14を、内径を小径管部の内径よりも小径に形成するとともに、先端側を下流側に斜めに向けて管軸芯Yが大径管部の管軸芯X1に鋭角θで略交差する姿勢で大径管部内に入り込ませて、液体送入管の途中箇所に接続し、大径管部の管内断面積から、大径管部内の気体送入管部分18の大径管軸芯X1方向での投影面積を差し引いた差し引き面積Sが、小径管部の管内断面積以上になるように、大径管部の内径を設定して、液体A中に気体Bを混入してある気液混合流体Cを気泡塔内に吹き込み可能に構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶解物質又は懸濁する固形物が含まれている液体、或いは気液の反応により溶解物質又は固形物が生成される液体が送入される液体送入管の途中箇所に、気体が送入される気体送入管を連通接続して、気液混合流体を気泡塔内に吹き込み可能に構成してある気液混合吹き出しノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
上記気液混合吹き出しノズルは、液体を空気や空気以外の気体と接触させて処理する気泡塔内に、液体中に気体を混入してある気液混合流体を吹き込むことができるように、液体が送入される液体送入管の途中箇所に、気体が送入される気体送入管を連通接続して構成してある。
従来の上記気液混合吹き出しノズルは、図8に示すように、径が一定の直管状の液体送入管13の途中箇所に、液体送入管13と略同径の気体送入管14を液体送入管13の管軸芯Xに対して直交する方向、或いはそれよりも大きな角度をなす方向から接続して、気体送入管14に送入された気体Bを液体送入管13内で液体A中に混入できるように、気体送入管14の気体出口20を液体送入管13の管内周面に開口させてあり、液体送入管13は、気液混合流体Cを所定流量で気泡塔内に吹き込むことができる径に設定してある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特公昭52−15064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
気体送入管14の気体出口20を液体送入管13の側方に開口させてあるので、図8に示すように、気体Bの液体Aへの混入箇所近くから、液体Aが気体送入管14内に逆流したり、その液沫aが気体送入管14内に飛散し易く、液体送入管13に送入される液体A中に溶解物質や懸濁する固形物が含まれている場合や、液体Aとその液体Aに混入させた気体Bとの反応によって溶解物質や固形物が生成される場合には、それらの液体中の溶解物質や懸濁固形物が気体出口20近くの気体送入管14内に付着して固着に至り、更に、その付着物Dが肥厚して、流れの阻害や閉塞に繋がり易い欠点がある。
また、気体出口20から液体送入管13内に流入した気体Bが気体送入管14側に偏って流れて、液体送入管13を流れる液体全体に気体Bを分散して混入させ難く、その結果、気体Bを一様に混入させた気液混合流体Cを気泡塔内に吹き込み難い欠点があり、この欠点は液体送入管13の径が大きくなるほど顕著となっている。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、液体送入管内における液体や気液混合流体の流れを特に阻害することなく、液体送入管に送入される液体中に溶解物質や懸濁する固形物が含まれている場合や、液体とその液体に混入させた気体との反応によって溶解物質や固形物が生成される場合でも、溶解物質や懸濁固形物が気体送入管内に付着し難く、しかも、気体を一様に混入させた気液混合流体を気泡塔内に吹き込み易い気液混合吹き出しノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1特徴構成は、溶解物質又は懸濁する固形物が含まれている液体、或いは気液の反応により溶解物質又は固形物が生成される液体が送入される液体送入管の途中箇所に、気体が送入される気体送入管を連通接続して、気液混合流体を気泡塔内に吹き込み可能に構成してある気液混合吹き出しノズルであって、前記液体送入管を、上流側の大径管部と、大径管部よりも内径が小さい下流側の小径管部とをレデューサーで一連に接続して構成し、前記気体送入管を、その内径を前記小径管部の内径よりも小径に形成するとともに、その先端側を下流側に斜めに向けて管軸芯が前記大径管部の管軸芯に対して鋭角で略交差する姿勢で前記大径管部内に入り込ませて、前記液体送入管の途中箇所に接続し、前記大径管部の径方向に沿う管内断面積から、前記大径管部内に入り込んでいる気体送入管部分における前記大径管部の管軸芯方向での投影面積を差し引いた差し引き面積が、前記小径管部の径方向に沿う管内断面積以上になるように、前記大径管部の内径を設定してある点にある。
【0006】
〔作用及び効果〕
気体送入管を、その先端側を下流側に斜めに向けて管軸芯が前記大径管部の管軸芯に対して鋭角で略交差する姿勢で液体送入管内に入り込ませて、気体送入管の開口を気液合流点のやや後方に位置させてあるので、気体の液体への混入箇所近くから、液体が気体送入管内に逆流したり、液沫が気体送入管内に飛散し難い。
その上、液体送入管を、上流側の大径管部と、大径管部よりも内径が小さい下流側の小径管部とをレデューサーで一連に接続して構成し、気体送入管の内径を小径管部の内径よりも小径に形成するとともに、その先端側を大径管部内に入り込ませてあるので、気体の送入量を不必要に増大させることなく、気体送入管における気体の流速を増大させて、液体の気体送入管内への逆流や、液沫の気体送入管内への飛散を効果的に防止できる。
また、気体送入管を、その先端側を液体送入管内に入り込ませて、液体送入管の途中箇所に接続してあるので、液体送入管の管軸芯近くで気体を液体に混入させて、液体送入管を流れる液体全体に気体を分散して混入させ易い。
更に、大径管部の径方向に沿う管内断面積から、大径管部内に入り込んでいる気体送入管部分における大径管部の管軸芯方向での投影面積を差し引いた差し引き面積が、小径管部の径方向に沿う管内断面積以上になるように、大径管部の内径を設定してあるので、気体送入管の先端側を大径管部内に入り込ませてありながら、液体送入管内における液体や気液混合流体の流れを阻害して圧力損失を増大させるおそれが少ない。
従って、液体送入管内における液体や気液混合流体の流れを特に阻害することなく、液体送入管に送入される液体中に溶解物質や懸濁する固形物が含まれている場合や、液体とその液体に混入させた気体との反応によって溶解物質や固形物が生成される場合に、溶解物質や懸濁固形物が気体送入管内に付着し難く、しかも、気体を一様に混入させた気液混合流体を気泡塔内に吹き込み易い。
【0007】
本発明の第2特徴構成は、前記大径管部と前記小径管部とを、それらの管軸芯を前記大径管部の内周側半径と前記小径管部の内周側半径との差分だけ互いに偏芯させて、前記レデューサーで一連に接続し、前記気体送入管の先端側を、前記小径管部の小径管軸芯よりも前記大径管部の大径管軸芯側から、前記大径管部内に入り込ませてある点にある。
【0008】
〔作用及び効果〕
大径管部と小径管部とを、それらの管軸芯を大径管部の内周側半径と小径管部の内周側半径との差分だけ互いに偏芯させて、大径管部を、小径管部との内径の差の分だけ小径管部の一側方に膨出させた状態で、レデューサーで一連に接続し、気体送入管の先端側を、小径管部の小径管軸芯よりも大径管部の大径管軸芯側から、つまり、大径管部のうちの小径管部の一側方に膨出している箇所から大径管部内に入り込ませてあるので、小径管部への液体の流入の妨げにならないように、気体送入管を大径管部内に入り込ませ易い。
【0009】
本発明の第3特徴構成は、前記大径管軸芯と前記小径管軸芯とを略水平方向に沿わせて、かつ、前記大径管軸芯が前記小径管軸芯よりも上方に位置するように、前記小径管部を前記気泡塔に接続可能に構成してある点にある。
【0010】
〔作用及び効果〕
大径管軸芯と小径管軸芯とを略水平方向に沿わせて、かつ、大径管軸芯が小径管軸芯よりも上方に位置するように、小径管部を気泡塔に接続可能に構成してあるので、大径管部のうちの小径管部の一側方に膨出している部分を小径管部よりも上側に位置させて、小径管部を気泡塔に接続することができ、大径管部に懸濁物質などの固形分が溜まり難い。
【0011】
本発明の第4特徴構成は、前記大径管部に入り込んでいる前記気体送入管の先端面を、前記大径管部の管軸芯に略沿う形状に形成してある点にある。
【0012】
〔作用及び効果〕
大径管部に入り込んでいる気体送入管の先端面を、大径管部の管軸芯に略沿う形状に形成してあるので、液体が大径管部の管軸芯に沿って圧力損失が少ない状態で流れ易い。
【0013】
本発明の第5特徴構成は、前記気体送入管の先端の一部が、前記大径管部又は前記レデューサーの内周面に略一点で接するように、前記気体送入管を前記大径管部内に入り込ませてある点にある。
【0014】
〔作用及び効果〕
従って、液体送入管における液体の流れができるだけ妨げられないように、気体送入管の大径管部内への入り込み量を少なくすることができると共に、大径管部又はレデューサーの内部に入り込ませてある気体送入管部分により、気体送入管の開口が液体送入管の下流側に向いているので、気体送入管への液体の逆流防止の効果を得ることもできる。
【0015】
本発明の第6特徴構成は、前記気体送入管の先端面を略二つの面で形成して、一方の先端面部分を前記大径管部又は前記レデューサーにおける貫通部の内周面側でその内周面に沿う形状にすると共に、他方の先端面部分を前記気体送入管の管軸心に直交又は略直交する形状にして、前記気体送入管を前記大径管部内に入り込ませてある点にある。
【0016】
〔作用及び効果〕
従って、気体送入管の大径管部への入り込み量をより一層少なくして、より液体の流れを妨げなくすることができると共に、大径管部又はレデューサーの内部に入り込ませてある気体送入管部分により、気体送入管の開口が概ね液体送入管の下流側に向いているので、気体送入管への液体の逆流防止の効果を得ることもできる。
【0017】
本発明の第7特徴構成は、前記液体送入管は、前記大径管部よりも上流側を、前記レデューサーと大径側の直径が同じもう一つのレデューサーを用いて、管径が縮径されたものである点にある。
【0018】
〔作用及び効果〕
既に装着されている従来の気液混合吹き出しノズルを、本発明にかかる気液混合吹き出しノズルに取り替える場合、液体送入管の直径は吹き出し部の直径と同じの場合が多い。そのため、別のレデューサーを当該レデューサーに接合し、それを介して液体送入管を接合することにより、径方向に沿う管断面積から、気体送入管の管軸芯方向の投影面積を差し引いた面積が小径管の径方向に沿う断面積以上となるように確保することが出来、本発明にかかる気液混合吹き出しノズルを装着することが出来る。
【0019】
本発明の第8特徴構成は、前記気体送入管における気体の流速を15m/s以上に設定してある点にある。
【0020】
〔作用及び効果〕
例えば、気体送入管における気体の流速を2m/s程度に設定してあると、液体の気体送入管内への逆流や、液沫の気体送入管内への飛散が起きるが、気体送入管における気体の流速を15m/s以上に設定してあるので、液体送入管内の流速に比べて気体の流速が格段に大きく、液体の気体送入管内への逆流や、液沫の気体送入管内への飛散を効果的に防止できる。
【0021】
本発明の第9特徴構成は、前記気泡塔が燃料ガスの脱硫設備における脱硫液の再生塔であり、前記液体が脱硫液であり、前記気体が前記脱硫液と反応させる空気である点にある。
【0022】
〔作用及び効果〕
気泡塔が燃料ガスの脱硫設備における脱硫液の再生塔であり、液体が脱硫液であり、気体が脱硫液と反応させる空気であるので、液体送入管に送入される脱硫液中には溶解物質や懸濁する固形物が含まれており、脱硫液と空気との反応によって溶解物質や固形物が生成されるが、液体送入管内における脱硫液や気液混合流体の流れを特に阻害することなく、溶解物質や懸濁固形物が気体送入管内に付着し難く、しかも、空気を一様に混入させた気液混合流体を再生塔内に吹き込み易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示している。
〔第1実施形態〕
図1は、硫化水素(H2S)を含む燃料ガスをアルカリ性の脱硫液と接触させて、脱硫液中に硫化水素を溶存成分として溶け込ませることにより脱硫する燃料ガスの脱硫設備における脱硫液の再生装置を示し、脱硫液中の硫化水素を空気の気泡によって酸化分解し、その酸化により固形物としての硫黄(S)や、チオ硫酸塩などの溶解物質を生成せしむるために、脱硫液中の硫化水素を空気によって酸化し、分解する脱硫液の再生塔(気泡塔の一例)1と、硫化水素が溶け込んでいる脱硫液(液体の一例)A中に空気(気体の一例)Bを混入してある気液混合流体Cを再生塔1内に吹き込む本発明による気液混合吹き出しノズル3とを備えている。
【0024】
前記再生塔1は、気液混合吹き出しノズル3をその吹き出し口4がその底部に開口するように接続して、脱硫液A中に空気Bを混入してある気液混合流体Cが底部から吹き込まれ、脱硫液Aの出口が上方に接続されている。
【0025】
そして、再生塔1内に吹き込まれた気液混合流体Cの脱硫液中の硫化水素を空気によって酸化し、酸化により生成された固形の硫黄と溶解塩を含む脱硫液を再生脱硫液として抜き出すように構成されている。
【0026】
前記気液混合吹き出しノズル3は、図2に示すように、脱硫液Aが送入される円筒状の液体送入管13の途中箇所に、空気Bが送入される円筒直管状の気体送入管14を連通接続してある。
【0027】
前記液体送入管13は、上流側の直管大径管部15と、大径管部15よりも内径が小さい下流側の直管小径管部16とをレデューサー17で、大径管部15の大径管軸芯X1と小径管部16の小径管軸芯X2とが同芯の一連に接続して構成してあり、気体送入管14を、その内径を小径管部16の内径よりも小径に形成するとともに、その先端側を下流側に斜めに向けて管軸芯Yが大径管部15の管軸芯X1に対して鋭角θで交差する姿勢、つまり、気体送入管14の管軸芯Yが、大径管軸芯X1に対して液体送入管13への挿通箇所よりも下流側で斜めに鋭角θで交差する姿勢で大径管部15内に管軸芯X1の近傍まで入り込ませて、液体送入管13の途中箇所に接続してある。
【0028】
また、図2(ロ)に示すように、大径管部15の径方向に沿う管内横断面積から、大径管部15内に入り込んでいる気体送入管部分18における大径管軸芯X1方向での投影面積を差し引いた差し引き面積(図中のハッチング部分)Sが、小径管部16の径方向に沿う管内横断面積以上になるように、大径管部15の内径を設定してある。
【0029】
そして、脱硫液Aの気体送入管14内への逆流や、液沫aの気体送入管14内への飛散が少なくなるように、気体送入管14における空気Bの流速を15m/s以上に設定して、脱硫液A中に空気Bを混入してある気液混合流体Cを再生塔1内に吹き込み可能に構成してある。
【0030】
〔第2実施形態〕
図3は、本発明による気液混合吹き出しノズル3の別実施形態を示し、気体送入管14の先端面19の一部21が大径管部15の内周面又はレデューサー17の内周面に略一点で接するように、気体送入管14を大径管部15内に入り込ませてある。
【0031】
本実施形態によれば、液体送入管13における脱硫液Aの流れができるだけ妨げられないように、気体送入管14の大径管部1内への入り込み量を少なくすることができる。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0032】
〔第3実施形態〕
図4は、本発明による気液混合吹き出しノズル3の別実施形態を示し、気体送入管14の先端面19を略二つの面で形成して、一方の先端面部分19aを大径管部15又はレデューサー17における貫通部の内周面側でその内周面に沿う形状にすると共に、他方の先端面部分19bを、管軸芯Yに対して直交又は略直交している形状にして、気体送入管14を大径管部15内に入り込ませてある。
【0033】
本実施形態によれば、第2実施形態に比べて、気体送入管14の大径管部1への入り込み量を一層少なくして、より脱硫液Aの流れを妨げなくすることができる。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0034】
〔第4実施形態〕
図5は、本発明による気液混合吹き出しノズル3の別実施形態を示し、大径管部15と小径管部16とを、それらの管軸芯X1,X2を大径管部15の内周側半径と小径管部16の内周側半径との差分Zだけ互いに偏芯させて、レデューサー17で一連に接続し、気体送入管14の先端側を、小径管軸芯X2よりも大径管軸芯X1側から、大径管部15内に入り込ませてある。
【0035】
前記気液混合吹き出しノズル3は、大径管軸芯X1と小径管軸芯X2とを鉛直方向に沿わせて、小径管部16を再生塔1の底部に連通接続可能に構成しても良いが、本実施形態では、大径管軸芯X1と小径管軸芯X2とを略水平方向に沿わせて、かつ、大径管軸芯X1と小径管軸芯X2とを鉛直方向に沿って上下に配置して、大径管軸芯X1が小径管軸芯X2よりも上方に位置するように、小径管部16を再生塔1の横側部に連通接続可能に構成してある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0036】
〔第5実施形態〕
図6は、本発明による気液混合吹き出しノズル3の別実施形態を示し、大径管部15に入り込んでいる気体送入管14の先端面19を、大径管部15の管軸芯X1に略沿う形状に形成してある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0037】
〔第6実施形態〕
図7は、本発明による気液混合吹き出しノズル3の別実施形態を示し、略一定の内径を備えた液体送入管13の途中箇所に、液体送入管13の内径と略同じ内径の小径端部21とその小径端部21よりも大径の大径端部22とを備えた二つのレデューサー17(17a,17b)を、大径端部22どうしを同芯状に一体に接続して構成してある拡径管部20を同芯状に接続してある。
【0038】
そして、気体送入管14を、その内径を液体送入管13の内径よりも小径に形成するとともに、その先端側を下流側に斜めに向けて管軸芯Yが拡径管部20の管軸芯Xに対して鋭角(本実施形態では45度の角度)θで略交差する姿勢で拡径管部20内に入り込ませて、その拡径管部20に接続してある。
【0039】
前記拡径管部20の大径端部22における径方向に沿う管内断面積から、拡径管部20内に入り込んでいる気体送入管部分18における拡径管部20の管軸芯X1方向での投影面積を差し引いた差し引き面積が、液体送入管13の径方向に沿う管内断面積以上になるように、大径端部22の内径を設定してある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0040】
図1に示す脱硫装置の再生塔1に、図7に示す本実施形態による気液混合吹き出しノズル(本実施形態ノズル)3を取り付けた場合と、図8に示す従来の気液混合吹き出しノズル(従来型ノズル)3を取り付けた場合との夫々について、約6ヶ月の期間に亘って実験運転を行った。
【0041】
実験条件を以下に示す。
本実施形態ノズル 従来型ノズル
液体送液管の内径 41.2mm 41.2mm
吹き出し口の内径 41.2mm 41.2mm
レデューサーの大径端部の内径 49.5mm −−−−
気体送入管の内径 16.2mm 27.2mm
気体・液体各送入管のなす角度 45度 90度
液体の種類 脱硫液 脱硫液
気体の種類 空気 空気
液体送入流量 35m3/h 35m3/h
気体送入流量 11m3/h 11m3/h
気体送入時の流速 15m/s 5.4m/s
【0042】
上記実験運転の結果、従来型ノズルでは、気体送入管14の断面全体にわたり枝状に成長した固形物の生成が認められたが、本実施形態ノズルでは、気体送入管14の内面に固形物の付着や生成は全く見られなかった。
【0043】
〔その他の実施形態〕
1.本発明による気液混合吹き出しノズルは、溶解物質又は懸濁する固形物が含まれている液体が送入される液体送入管の途中箇所に、気体が送入される気体送入管を連通接続してあっても良い。
2.本発明による気液混合吹き出しノズルは、溶解物質又は懸濁する固形物が含まれ、か
つ、気液の反応により溶解物質又は固形物が生成される液体が送入される液体送入管の途中箇所に、気体が送入される気体送入管を連通接続してあっても良い。
3.本発明による気液混合吹き出しノズルは、脱硫液の再生塔以外の各種用途に使用する気泡塔内に、気液混合流体を吹き込み可能に構成してあっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】再生装置の概略図
【図2】(イ)気液混合吹き出しノズルの縦断面図,(ロ)(イ)におけるII-II線矢視図
【図3】第2実施形態を示す気液混合吹き出しノズルの縦断面図
【図4】第3実施形態を示す気液混合吹き出しノズルの縦断面図
【図5】第4実施形態を示す気液混合吹き出しノズルの縦断面図
【図6】第5実施形態を示す気液混合吹き出しノズルの縦断面図
【図7】第6実施形態を示す気液混合吹き出しノズルの縦断面図
【図8】従来技術の説明図
【符号の説明】
【0045】
1 気泡塔(脱硫液の再生塔)
13 液体送入管
14 気体送入管
15 大径管部
16 小径管部
17 レデューサー
18 気体送入管部分
19 先端面
19a 一方の先端面部分
19b 他方の先端面部分
A 液体(脱硫液)
B 気体(空気)
C 気液混合流体
S 差し引き面積
X1 管軸芯(大径管軸芯)
X2 管軸芯(小径管軸芯)
Y 管軸心
Z 差分
θ 鋭角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶解物質又は懸濁する固形物が含まれている液体、或いは気液の反応により溶解物質又は固形物が生成される液体が送入される液体送入管の途中箇所に、気体が送入される気体送入管を連通接続して、気液混合流体を気泡塔内に吹き込み可能に構成してある気液混合吹き出しノズルであって、
前記液体送入管を、上流側の大径管部と、大径管部よりも内径が小さい下流側の小径管部とをレデューサーで一連に接続して構成し、
前記気体送入管を、その内径を前記小径管部の内径よりも小径に形成するとともに、その先端側を下流側に斜めに向けて管軸芯が前記大径管部の管軸芯に対して鋭角で略交差する姿勢で前記大径管部内に入り込ませて、前記液体送入管の途中箇所に接続し、
前記大径管部の径方向に沿う管内断面積から、前記大径管部内に入り込んでいる気体送入管部分における前記大径管部の管軸芯方向での投影面積を差し引いた差し引き面積が、前記小径管部の径方向に沿う管内断面積以上になるように、前記大径管部の内径を設定してある気液混合吹き出しノズル。
【請求項2】
前記大径管部と前記小径管部とを、それらの管軸芯を前記大径管部の内周側半径と前記小径管部の内周側半径との差分だけ互いに偏芯させて、前記レデューサーで一連に接続し、
前記気体送入管の先端側を、前記小径管部の小径管軸芯よりも前記大径管部の大径管軸芯側から、前記大径管部内に入り込ませてある請求項1記載の気液混合吹き出しノズル。
【請求項3】
前記大径管軸芯と前記小径管軸芯とを略水平方向に沿わせて、かつ、前記大径管軸芯が前記小径管軸芯よりも上方に位置するように、前記小径管部を前記気泡塔に接続可能に構成してある請求項2記載の気液混合吹き出しノズル。
【請求項4】
前記大径管部に入り込んでいる前記気体送入管の先端面を、前記大径管部の管軸芯に略沿う形状に形成してある請求項1〜3のいずれか1項記載の気液混合吹き出しノズル。
【請求項5】
前記気体送入管の先端の一部が、前記大径管部又は前記レデューサーの内周面に略一点で接するように、前記気体送入管を前記大径管部内に入り込ませてある請求項1〜3のいずれか1項記載の気液混合吹き出しノズル。
【請求項6】
前記気体送入管の先端面を略二つの面で形成して、一方の先端面部分を前記大径管部又は前記レデューサーにおける貫通部の内周面側でその内周面に沿う形状にすると共に、他方の先端面部分を前記気体送入管の管軸心に直交又は略直交する形状にして、前記気体送入管を前記大径管部内に入り込ませてある請求項1〜3のいずれか1項記載の気液混合吹き出しノズル。
【請求項7】
前記液体送入管は、前記大径管部よりも上流側を、前記レデューサーと大径側の直径が同じもう一つのレデューサーを用いて、管径が縮径されたものである請求項1〜6のいずれか1項記載の気液混合吹き出しノズル。
【請求項8】
前記気体送入管における気体の流速を15m/s以上に設定してある請求項1〜7のいずれか1項記載の気液混合吹き出しノズル。
【請求項9】
前記気泡塔が燃料ガスの脱硫設備における脱硫液の再生塔であり、
前記液体が脱硫液であり、前記気体が前記脱硫液と反応させる空気である請求項1〜8のいずれか1項記載の気液混合吹き出しノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−212908(P2008−212908A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60461(P2007−60461)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(591027444)大阪ガスエンジニアリング株式会社 (18)
【Fターム(参考)】