説明

水圧破砕試験方法

【課題】測定システムの剛性を容易に大きくすることができ、応力集中による孔壁の破壊を抑制可能で、大深度の大孔径ボーリング孔でも精度良く地盤の応力を評価することができる水圧破砕試験方法を提供する。
【解決手段】ボーリング孔1に挿入されたボーリングロッド2の内部に、パイロット孔掘削装置11を挿入してボーリングロッド2の先端に設置し、パイロット孔掘削装置11によりボーリング孔1の孔底にボーリング孔1の径より小径の試験孔3を掘削する。掘削後、パイロット孔掘削装置11をボーリングロッド2の内部から引き上げる。その後、先端にパッカー24を有する水圧破砕測定装置12をボーリングロッド2の内部に挿入し、パッカー24を膨張させて試験孔3の孔口を塞ぐ。その試験孔3の内部に高圧水を送水しつつ、その送水量および試験孔3の内部の水圧の時間変化を水圧破砕測定装置12により測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボーリング孔における水圧破砕試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水圧破砕試験方法は、深部岩盤の応力状態を測定する方法として最も一般的に行われている。従来の水圧破砕試験方法では、まず、ボーリング孔内の測定深度に、上下一対のパッカーを有する遮水装置を降ろす。各パッカーを膨張させて孔壁に密着させ、各パッカーの間に隔離された試験区間を形成する。試験区間に水を圧入して加圧し、加圧によって孔壁にき裂が生じた後、水の圧入を停止して圧力を解放させ、さらに、再加圧、圧力の解放を繰り返す。き裂の発生・閉口・再開口するときの圧力を測定し、その測定結果に基づいて地盤の応力を評価している(例えば、非特許文献1、2参照)。
【0003】
しかし、従来の水圧破砕試験方法では、き裂が開口するときのき裂開口圧の値を正確に測定できないため、測定されたき裂開口圧から最大応力の大きさを精度良く評価できないという問題点があった。これは、従来の水圧破砕試験方法では測定システムの剛性が小さいことが主な原因である。具体的には、流量計から試験区間までの加圧系を構成する材料が軟らかく、かつ、加圧系を占める水の体積が大きいためである。したがって、加圧系を硬い材料で作成し、内容積を小さくすることにより測定システムの剛性を大きくすれば、真のき裂開口圧の測定が可能になり、その測定結果から最大応力を正しく評価することができるようになる(例えば、非特許文献3、4参照)。
【0004】
【非特許文献1】ゾーバック、他(Zoback,M.D.,et al.),「プリリミナリイ ストレス メジャーメント イン セントラル カリフォルニア ユージング ザ ハイドローリック フラクチァリング テクニック(Preliminary Stress Measurements in Central California Using the Hydraulic Fracturing Technique)」,(米国),ピュア アンド アプライド ジオフィジックス(Pure Appl. Geophys.),1977,115,p.135−152
【非特許文献2】林一夫、他(Hayashi,K.,et al.),「イン シツ ストレス デタミネーション バイ ハイドローリック フラクチァリング − ア メソッド エンプロイイング ア アーティフィシャル ノッチ(In Situ Stress Determination by Hydraulic Fracturing − A Method Employing an Artificial Notch)」,(米国),インターナショナル ジャーナル オブ ロック メカニクス アンド マイニング サイエンス アンド ジオメカニクス アブストラクト(Int.J.Rock Mech.Min.Sci.& Geomech.Abstr.),1989,26,p.197−202
【非特許文献3】伊藤高敏,林一夫,「水圧破砕地殻応力計測における縦き裂開口挙動の解析」,日本機械学会論文集(A)編,1991,57,p.1715−1719
【非特許文献4】伊藤高敏、他(Ito T.,et al.),「ハイドローリック フラクチァリング リオープニング プレッシャー アンド ザ エスティメーション オブ マキシマム ホリゾンタル ストレス(Hydraulic fracturing reopening pressure and the estimation of maximum horizontal stress)」,(米国),インターナショナル ジャーナル オブ ロック メカニクス アンド マイニング サイエンス アンド ジオメカニクス アブストラクト(Int.J.Rock Mech.Min.Sci.& Geomech.Abstr.),1999,36,p.811−826
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の水圧破砕試験方法により大深度の応力を評価しようとする場合、当然ながら大深度のボーリング孔を掘削する必要がある。大深度のボーリング掘削では、ボーリング孔の直径を大きくすることが一般に必須である。一方、問題となる測定システムの剛性は、装置の変形と内容積による効果のみならず、試験区間のボーリング孔が変形する効果の影響を受ける。ボーリング孔は直径が大きいほど変形しやすくなるため、従来の水圧破砕試験方法測定システムでは測定システムの剛性が低下するという課題があった。
【0006】
一方、従来の水圧破砕試験方法による応力測定の適用深度が深くなると、ボーリング孔壁面にかかる応力が大きくなるため、その応力によって壁面の一部が壊れ、ボーリング孔が円形を保てなくなることが多い。しかも、岩体の強度には寸法依存性があるため、大深度でボーリング孔の直径が大きくなるほど壁面の破壊が起き易くなるという課題があった。ボーリング孔が円形でなければ、等方均質弾性体内の円孔(ボーリング孔)まわりの応力分布に基礎をおいて解析理論が構築されている水圧破砕試験方法を適用することは、当然できない。
さらには,たとえ測定対象深度ではボーリング孔が円形であったとしても,測定深度が深くなると,当然ながらパッカーより上側には長い裸孔部があることになり,いずれかの部分のボーリング孔壁面が壊れ,そのかけらが落ちてパッカー表面とボーリング孔壁面の間に挟まってしまう事態が相対的に起き易くなる。そして,それが原因でパッカーがボーリング孔内に抑留される危険性が増える。
このように、従来の水圧破砕試験方法では、大深度の大孔径ボーリング孔を利用して、精度良く地盤の応力を評価することができないという課題があった。
【0007】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、測定システムの剛性を容易に大きくすることができ、応力集中による孔壁の破壊を抑制可能で、大深度の大孔径ボーリング孔でも精度良く地盤の応力を評価することができる水圧破砕試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る水圧破砕試験方法は、ボーリング孔の孔底に前記ボーリング孔の径より小径の試験孔を掘削し、前記試験孔の孔内で水圧破砕試験を行うことを、特徴とする。
【0009】
本発明に係る水圧破砕試験方法は、ボーリング孔の孔底にボーリング孔の径より小径の試験孔を掘削するため、ボーリング孔が大孔径であっても、試験孔の孔壁の変形や応力集中による孔壁の破壊を抑制することができる。また、小径の試験孔の孔内で水圧破砕試験を行うため、試験孔の孔内の水の体積を小さくすることができ、測定システムの剛性を容易に大きくすることができる。このため、大深度の大孔径ボーリング孔でも精度良く地盤の応力を評価することができる。試験孔は、数メートルオーダーの短いものが好ましい。
【0010】
本発明に係る水圧破砕試験方法は、ボーリング孔に挿入されたボーリングロッドの内部に、ワイヤーラインによりパイロット孔掘削装置を挿入して前記ボーリングロッドの先端に設置し、前記パイロット孔掘削装置により前記ボーリング孔の孔底に前記ボーリング孔の径より小径の試験孔を掘削し、前記試験孔の掘削後、前記パイロット孔掘削装置を前記ワイヤーラインにより前記ボーリングロッドの内部から引き上げ、前記パイロット孔掘削装置の引き上げ後、先端にパッカーを有する水圧破砕測定装置を前記ワイヤーラインにより前記ボーリングロッドの内部に挿入し、前記パッカーを膨張させて前記試験孔の孔口を塞ぎ、その試験孔の内部に高圧水を送水しつつ、その送水量および前記試験孔の内部の水圧の時間変化を前記水圧破砕測定装置により測定することが好ましい。
【0011】
この構成では、パイロット孔掘削装置によりボーリング孔の孔底にボーリング孔の径より小径の試験孔を掘削するため、ボーリング孔が大孔径であっても、試験孔の孔壁の変形や応力集中による孔壁の破壊を抑制することができる。また、小径の試験孔の内部に高圧水を送水して水圧破砕試験を行うため、試験孔の内部の水の体積を小さくすることができ、測定システムの剛性を容易に大きくすることができる。このため、大深度の大孔径ボーリング孔でも精度良く地盤の応力を評価することができる。なお、パイロット孔掘削装置としては、特開2004−339844号公報に記載のパイロット孔掘削装置を好適に用いることができる。
【0012】
パイロット孔掘削装置および水圧破砕測定装置を、ボーリング孔に挿入されたボーリングロッドの内部を通して昇降させるため、ボーリング孔壁の崩壊による抑留事故を防ぐことができる。また、ワイヤーラインを利用してパイロット孔掘削装置および水圧破砕測定装置を昇降させるため、作業効率がよい。
【0013】
高圧水の送水パターンとして、まず、試験孔の内部に送水して加圧し、加圧によって試験孔の孔壁にき裂が生じた後、送水を停止して圧力を解放させ、さらに、再加圧、圧力の解放を繰り返すようにするのが好ましい。水圧破砕測定装置で、き裂の発生・閉口・再開口するときの圧力を測定することにより、その測定結果に基づいて地盤の応力を評価することができる。
【0014】
本発明に係る水圧破砕試験方法で、前記水圧破砕測定装置は高圧発生装置を有し解析用コンピュータに接続されており、前記試験孔の内部に高圧水を送水するとき前記高圧発生装置により前記試験孔の内部に高圧水を送水し、高圧水の送水量および試験孔の内部の水圧の時間変化の測定結果を前記解析用コンピュータに送信し、前記解析用コンピュータは受信した前記測定結果を記憶し、記憶された前記測定結果に基づいて解析を行ってもよい。この構成では、ボーリングロッドの内部で高圧発生装置により試験孔の内部に高圧水を送水するため、ボーリングロッドの内部に高圧水を送るための高圧ホースを挿入する必要がない。このため、水圧破砕測定装置のボーリングロッドの内部への挿入作業が容易である。なお、解析用コンピュータによる解析では、例えば、試験孔に直交する面内の地盤の応力の最大値および最小値を求めることが好ましい。
【0015】
本発明に係る水圧破砕試験方法で、前記ボーリングロッドは後端に高圧ポンプが接続され、前記試験孔の内部に高圧水を送水するとき前記高圧ポンプにより前記ボーリングロッドの内部を通して前記試験孔の内部に高圧水を送水し、前記水圧破砕測定装置は記憶手段を有し、高圧水の送水量および試験孔の内部の水圧の時間変化の測定結果を前記記憶手段に記憶してもよい。この構成では、ボーリングロッドの後端に接続された高圧ポンプにより、ボーリングロッドの内部を通して試験孔の内部に高圧水を送水するため、ボーリングロッドの内部に高圧水を送るための高圧ホースを挿入する必要がない。また、測定結果を水圧破砕測定装置の記憶手段に記憶するため、測定結果を送信するためのケーブルも不要である。このため、水圧破砕測定装置のボーリングロッドの内部への挿入作業がさらに容易である。試験が終了したならば、水圧破砕測定装置を引き上げた後、記憶手段に記憶された測定結果を解析用コンピュータに送信して解析を行うことが好ましい。解析用コンピュータによる解析では、例えば、試験孔に直交する面内の地盤の応力の最大値および最小値を求めることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、応力集中による孔壁の破壊を抑制可能で、測定システムの剛性を容易に大きくすることができ、大深度の大孔径ボーリング孔でも精度良く地盤の応力を評価することができる水圧破砕試験方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図4は、本発明の実施の形態の水圧破砕試験方法を示している。
図1乃至図4に示すように、本発明の実施の形態の水圧破砕試験方法は、水圧破砕試験測定システムにより実施される。
【0018】
図1および図2に示すように、水圧破砕試験測定システムは、パイロット孔掘削装置11と水圧破砕測定装置12と高圧ポンプ13と高圧ホース14と解析用コンピュータ15と接続ケーブル16とを有している。
【0019】
図1に示すように、パイロット孔掘削装置11は、ボーリング孔1に挿入されたボーリングロッド2の内部に、ワイヤーライン(図示せず)により挿入可能で、本体21と掘削部22とを有している。本体21は、ボーリングロッド2の内部に挿入可能な径を有し、後端でワイヤーラインにより吊上げ可能になっている。掘削部22は、本体21の径より小さい径を有し、ダブルコアチューブ(図示せず)と、その先端に取り付けられた小口径ビット(図示せず)とを有している。小口径ビットは、ボーリング孔1より小径の試験孔3を掘削可能になっている。掘削部22は、ボーリングロッド2の先端から試験孔3を掘削可能な長さで突出するよう、本体21の先端に設けられている。
【0020】
図1および図2に示すように、水圧破砕測定装置12は、ボーリングロッド2の内部にワイヤーラインにより挿入可能で、測定部23とパッカー24とを有している。測定部23は、ボーリングロッド2の内部に挿入可能な径を有し、後端でワイヤーラインにより吊上げ可能になっている。パッカー24は、測定部23の径より小さい径を有し、ボーリングロッド2の先端から試験孔3の孔口付近に挿入可能な長さで突出するよう、測定部23の先端に設けられている。パッカー24は、ボーリングロッド2を孔底に押し付けると、膨張して試験孔3の孔口を塞ぐよう構成されている。水圧破砕測定装置12は、高圧ポンプ13により試験孔3の内部に高圧水を送水するとき、その送水量および試験孔3の水圧の時間変化を測定するようになっている。
【0021】
図2に示すように、高圧ポンプ13は、地上に設置され、高圧ホース14により水圧破砕測定装置12に接続されている。高圧ポンプ13は、高圧水を発生し、その高圧水を高圧ホース14を通して送水可能になっている。なお、高圧水は、水圧破砕測定装置12を介して試験孔3に送水される。
【0022】
図2に示すように、解析用コンピュータ15は、地上に設置され、接続ケーブル16により水圧破砕測定装置12に接続されている。解析用コンピュータ15は、水圧破砕測定装置12で測定された高圧水の送水量および試験孔3の水圧の時間変化の測定結果を、接続ケーブル16を介して水圧破砕測定装置12から受信し、記憶するとともにモニタ可能になっている。解析用コンピュータ15は、記憶された測定結果に基づいて、例えば、試験孔3に直交する面内の地盤の応力の最大値および最小値を求めるなど、各種解析が可能になっている。接続ケーブル16は、アーマードケーブルから成っている。
【0023】
本発明の実施の形態の水圧破砕試験方法は、まず、図1(a)に示すように、水圧破砕試験を行う大深度の測定深度までワイヤーライン式大孔径ボーリング孔1を掘削する。図1(b)に示すように、そのボーリング孔1に挿入されたボーリングロッド2の内部に、ワイヤーラインによりパイロット孔掘削装置11を挿入して、ボーリングロッド2の先端に設置する。図1(c)に示すように、パイロット孔掘削装置11により、ボーリング孔1の孔底にボーリング孔1の径より小径の短い試験孔3を掘削する。試験孔3の長さは、例えば、数メートルオーダーである。
【0024】
図1(d)に示すように、試験孔3の掘削後、パイロット孔掘削装置11をワイヤーラインによりボーリングロッド2の内部から引き上げる。このとき、パイロット孔掘削装置11の掘削部22から回収されるボーリングコアを観察して、水圧破砕試験を実施する試験孔3が天然き裂と交差していないかどうかを確認する。もしもボーリングコアに天然き裂が含まれている場合は、試験孔3が天然き裂と交差しているので、再度、大孔径ボーリング孔1および試験孔3の掘削を行う。
【0025】
試験孔3が天然き裂と交差していないことが確認されたならば、図1(e)に示すように、水圧破砕測定装置12をワイヤーラインによりボーリングロッド2の内部に挿入し、先端のパッカー24がボーリングロッド2の先端から突出して試験孔3の孔口付近に配置されるよう設置する。図1(f)に示すように、ボーリングロッド2を孔底に押し付け、パッカー24を膨張させて、試験孔3の孔口を塞ぐ。これにより、試験孔3がパッカー24によって密閉される。
【0026】
図2に示すように、高圧ポンプ13から高圧ホース14を通して試験孔3の内部に高圧水を送水しつつ、その送水量および試験孔3の内部の水圧の時間変化を、水圧破砕測定装置12により測定する。高圧水の送水パターンとして、まず、試験孔3の内部に送水して加圧し、加圧によって試験孔3の孔壁にき裂が生じた後、送水を停止して圧力を解放させ、さらに、再加圧、圧力の解放を繰り返すようにする。
【0027】
水圧破砕測定装置12により測定された測定結果を、接続ケーブル16を介して解析用コンピュータ15により受信し、モニタするとともに記憶する。その記憶された測定結果に基づいて、解析用コンピュータ15により解析を行う。解析としては、例えば、き裂の発生・閉口・再開口するときの圧力から、試験孔3に直交する面内の地盤の初期応力の最大値および最小値を求め、地盤の初期応力を評価することができる。
【0028】
なお、水圧破破砕試験の終了後、水圧破砕測定装置12をワイヤーラインによりボーリングロッド2の内部から引き上げて回収し、引き続き大孔径ボーリング孔1を掘削することができる。
【0029】
本発明の実施の形態の水圧破砕試験方法では、パイロット孔掘削装置11によりボーリング孔1の孔底にボーリング孔1の径より小径の試験孔3を掘削するため、ボーリング孔1が大孔径であっても、試験孔3の孔壁の変形や応力集中による孔壁の破壊を抑制することができる。また、小径の試験孔3の内部に高圧水を送水して水圧破砕試験を行うため、試験孔3の内部の水の体積を小さくすることができ、測定システムの剛性を容易に大きくすることができる。このため、大深度の大孔径ボーリング孔1でも精度良く地盤の応力を評価することができる。
【0030】
パイロット孔掘削装置11および水圧破砕測定装置12を、ボーリング孔1に挿入されたボーリングロッド2の内部を通して昇降させるため、ボーリング孔1の孔壁の崩壊による抑留事故を防ぐことができる。また、ワイヤーラインを利用してパイロット孔掘削装置11および水圧破砕測定装置12を昇降させるため、作業効率がよい。
【0031】
本発明の実施の形態の水圧破砕試験方法では、パイロット孔掘削装置11により掘削される試験孔3から採取されるボーリングコアから、試験箇所の岩盤の健全性、すなわち天然き裂の有無を予め確実に確認することができる。また、水圧破砕試験終了後に行われる通常のコアボーリングにより、試験深度から円筒形のボーリングコアを回収することができる。このため、そのコアの方位が既知であれば、水圧破砕試験により発生した人工き裂の方位を求めることができ、試験孔3の軸と垂直な平面内の最大応力の方位を求めることができる。さらに、大口径のボーリング孔1の径にかかわらず、試験孔3の径を同一にできるため、他のボーリング孔で実施した測定結果との比較が容易である。
【0032】
図3に示すように、水圧破砕測定装置12は高圧発生装置(図示せず)を有し、試験孔3の内部に高圧水を送水するとき、高圧発生装置により試験孔3の内部に高圧水を送水してもよい。この構成では、ボーリングロッド2の内部で高圧発生装置により試験孔3の内部に高圧水を送水するため、ボーリングロッド2の内部に高圧水を送るための高圧ホース14を挿入する必要がない。このため、水圧破砕測定装置12のボーリングロッド2の内部への挿入作業が容易である。
【0033】
図4に示すように、ボーリングロッド2は後端に高圧ポンプ13が接続され、試験孔3の内部に高圧水を送水するとき、高圧ポンプ13によりボーリングロッド2の内部を通して試験孔3の内部に高圧水を送水し、水圧破砕測定装置12は記憶手段(図示せず)を有し、高圧水の送水量および試験孔3の内部の水圧の時間変化の測定結果を記憶手段に記憶してもよい。この構成では、ボーリングロッド2の後端に接続された高圧ポンプ13により、ボーリングロッド2の内部を通して試験孔3の内部に高圧水を送水するため、ボーリングロッド2の内部に高圧水を送るための高圧ホース14を挿入する必要がない。また、測定結果を水圧破砕測定装置12の記憶手段に記憶するため、測定結果を送信するための接続ケーブル16も不要である。このため、水圧破砕測定装置12のボーリングロッド2の内部への挿入作業がさらに容易である。試験が終了したならば、水圧破砕測定装置12を引き上げた後、記憶手段に記憶された測定結果を解析用のコンピュータに送信して解析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態の水圧破砕試験方法の手順を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す水圧破砕試験方法の試験状態を示す縦断面図である。
【図3】図2に示す水圧破砕試験方法の水圧破砕測定装置の変形例を示す縦断面図である。
【図4】図2に示す水圧破砕試験方法の水圧破砕測定装置および高圧水の送水方法の変形例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 ボーリング孔
2 ボーリングロッド
3 試験孔
11 パイロット孔掘削装置
12 水圧破砕測定装置
13 高圧ポンプ
14 高圧ホース
15 解析用コンピュータ
16 接続ケーブル
21 本体
22 掘削部
23 測定部
24 パッカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボーリング孔の孔底に前記ボーリング孔の径より小径の試験孔を掘削し、前記試験孔の孔内で水圧破砕試験を行うことを、特徴とする水圧破砕試験方法。
【請求項2】
ボーリング孔に挿入されたボーリングロッドの内部に、ワイヤーラインによりパイロット孔掘削装置を挿入して前記ボーリングロッドの先端に設置し、
前記パイロット孔掘削装置により前記ボーリング孔の孔底に前記ボーリング孔の径より小径の試験孔を掘削し、
前記試験孔の掘削後、前記パイロット孔掘削装置を前記ワイヤーラインにより前記ボーリングロッドの内部から引き上げ、
前記パイロット孔掘削装置の引き上げ後、先端にパッカーを有する水圧破砕測定装置を前記ワイヤーラインにより前記ボーリングロッドの内部に挿入し、
前記パッカーを膨張させて前記試験孔の孔口を塞ぎ、その試験孔の内部に高圧水を送水しつつ、その送水量および前記試験孔の内部の水圧の時間変化を前記水圧破砕測定装置により測定することを、
特徴とする水圧破砕試験方法。
【請求項3】
前記水圧破砕測定装置は高圧発生装置を有し解析用コンピュータに接続されており、前記試験孔の内部に高圧水を送水するとき前記高圧発生装置により前記試験孔の内部に高圧水を送水し、高圧水の送水量および試験孔の内部の水圧の時間変化の測定結果を前記解析用コンピュータに送信し、
前記解析用コンピュータは受信した前記測定結果を記憶し、記憶された前記測定結果に基づいて解析を行うことを、
特徴とする請求項2記載の水圧破砕試験方法。
【請求項4】
前記ボーリングロッドは後端に高圧ポンプが接続され、前記試験孔の内部に高圧水を送水するとき前記高圧ポンプにより前記ボーリングロッドの内部を通して前記試験孔の内部に高圧水を送水し、
前記水圧破砕測定装置は記憶手段を有し、高圧水の送水量および試験孔の内部の水圧の時間変化の測定結果を前記記憶手段に記憶することを、
特徴とする請求項2記載の水圧破砕試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−9645(P2007−9645A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195296(P2005−195296)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(505252517)ジオテクノス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】