説明

水溶性天然ガス付随水を用いた食品類、植物・動物用品、化学品、薬品及びその製造方法

【課題】 広い産業用途が期待されている水溶性天然ガス付随水の新たな用途開発を目的とするものであり、農業用、漁業用。医療用、食品用、化粧品用、化学品用などの各分野での応用商品開発を目的とする。

【解決手段】 水溶性天然ガス付随水を含有する植物栽培用肥料、植物活性剤、植物成長補助剤、及びそれらを用いた植物栽培方法である。また、水溶性天然ガス付随水を用いた海藻類、魚介類の養殖方法、微生物の培養方法である、また、水溶性天然ガス付随水を含有する食品であり、化粧料組成物、石鹸類、浴用剤、又は育毛剤であり、抗菌・防腐剤、又は脱臭剤であり、医薬品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性天然ガス付随水を用いた、食品類、植物栽培用品、魚介類養殖用品、海藻類養殖用品、微生物の培養方法、化粧品類や石鹸類や脱臭剤などの化学品、薬品類及びそれらの製法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境汚染及び脱石油が叫ばれている近年、代替エネルギーとして天然ガスが注目を集めている。
【0003】
天然ガスは、メタンガスを主成分とした可燃性のガスで、大気を汚染する硫黄酸化物や煤塵を発生せず、酸性雨や人体への影響が問題とされる窒素酸化物の発生も少ない。また、特に地球温暖化の原因とされる燃焼による二酸化炭素の発生量は、石炭・石油など他の化石燃料と比べ約2割から3割は少ない。
【0004】
また、天然ガスは国内でも採取できるという大きな特色がある。そこで国内において有効利用が進められている。
【0005】
天然ガスの利用方法を大きく分けると、原料用と燃料用の二つに分けられる。原料用として、天然ガスは一酸化炭素及び硫黄分を含まないため各種の化学原料製造用として利用され、また医薬品原料にも用いられているが開発段階である。
【0006】
燃料用としては、天然ガスの性質が空気より比重が軽く拡散しやすいこと、また燃焼範囲が狭いことから爆発の危険が小さいこと、さらに従来の都市ガスより発熱量が約2倍から2.4倍高いこと等から都市ガス原料の82%の需要を満たしている。
【0007】
また、熱エネルギーを大量に必要とするガラス工場などの窯業燃料として、また硫黄分などの不純物を含まないため真空管・ブラウン管の電子工業、あるいはステンレス製造の熱処理、ガラス工芸品や陶芸晶の加工燃料などに利用されている。その他、サービス業として圧縮ガスの家庭用、あるいは天然ガス自動車の燃料として利用されている。
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【0008】
一方、水溶性天然ガス付随水の利用方法としては、温泉施設へそのままの状態で供給したり、ヨード製造の原料として使われている。
【0009】
ヨードはその優れたエックス線吸収能力を利用して、医薬診断用エックス線造影剤として利用され、また単体ヨードが本来保有する抗微生物作用を利用して殺菌消毒剤として利用されている。
【0010】
さらにヨード欠乏症の治療や予防のための製剤、その他写真感光剤、除草剤、工業用触媒、安定化剤、液晶表板の偏光フィルムなど広い産業用用途ととして期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−82023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、このように広い産業用途が期待されている水溶性天然ガス付随水の用途開発をすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は諸課題を解決するために、請求項1では、水溶性天然ガス付随水を含有する植物栽培用肥料、植物活性剤、植物成長補助剤、及びそれらを用いた植物栽培方法である。
【0014】
水溶性天然ガス付随水に含有するヨード分と豊富なミネラル成分を含有する肥料、植物活性剤、植物成長補助剤とするものである。
【0015】
ヨードの含有量は、海藻中に含まれている含有量に近い状態が好ましく、0.1〜5.0%程度が良く、好ましくは、0.2〜2.0%程度、さらに好ましくは、0.3〜0.8%程度が良い。
【0016】
また、これらの水溶性天然ガス付随水を含有する植物栽培用肥料、植物活性剤、植物成長補助剤を用いて植物を栽培することを特徴とする植物栽培方法である。
【0017】
水溶性天然ガス付随水は、地下500m以上の地底からくみ上げたものであり、数万年前から存在する水であり、ミネラルが豊富に含まれており、特にヨード分と塩分が多く含まれている。
【0018】
ヨード分を濃縮して使用しても良い。また、塩分を調整して使用しても良い。
【0019】
精製処理としては、懸濁物質除去処理、軟水化処理、活性炭による吸着濾過処理、塩分調整処理、ヨード分調整処理を行うものである。
【0020】
請求項2では、水溶性天然ガス付随水を用いた海藻類、魚介類の養殖方法である。
【0021】
水溶性天然ガス付随水に含有するヨード分と豊富なミネラル成分を含有する餌を用いた魚介類の養殖方法とするものである。また、水溶性天然ガス付随水を用いた海水中での海藻類の栽培方法である。
【0022】
養殖に使用する餌においては、そのヨードの含有量は、海藻中に含まれている含有量に近い状態が好ましく、0.1〜5.0%程度が良く、好ましくは、0.2〜2.0%程度、さらに好ましくは、0.3〜0.8%程度が良い。
【0023】
塩分は予め除去処理など調整をしても良い。
【0024】
請求項3では、水溶性天然ガス付随水を用いた微生物の培養方法である。
【0025】
水溶性天然ガス付随水を用いて微生物を培養するものであり、そのヨード分により、抗菌作用が発揮され、有用菌のみが繁殖するものである。
【0026】
請求項4では、水溶性天然ガス付随水を含有する食品とするものである。
【0027】
水溶性天然ガス付随水に多く含まれるヨード(ヨー素)は、体内で甲状腺ホルモンを合成するのに必要なため、人にとって必須元素である。人体に摂取、吸収されると、ヨー素は血液中から甲状腺に集まり、蓄積される。
【0028】
現代社会においては、この必須元素である、「ヨー素」が不足しがちになっており、各種のヨード入り食品が開発されている。例えば、ヨード含有卵等が広く知られている。
【0029】
しかしながら、ヨードを高含有する水溶性天然ガス付随水を用いた食品は開発されていない。
【0030】
食品においては、そのヨードの含有量は、海藻中に含まれている含有量に近い状態が好ましく、0.1〜5.0%程度が良く、好ましくは、0.2〜2.0%程度、さらに好ましくは、0.3〜0.8%程度が良い。
【0031】
請求項5では、水溶性天然ガス付随水を含有する化粧料組成物、石鹸類、浴用剤、又は育毛剤である。
【0032】
水溶性天然ガス付随水に多く含まれているヨード(ヨウ素)は、その抗菌・殺菌作用により消毒薬としてもよく用いられる。
【0033】
この抗菌作用と、豊富なミネラル分による、皮膚に対する栄養成分の補給や保湿作用を有するものである。
【0034】
それらのヨードの含有量は、海藻中に含まれている含有量に近い状態が好ましく、0.1〜5.0%程度が良く、好ましくは、0.2〜2.0%程度、さらに好ましくは、0.3〜0.8%程度が良い。
【0035】
請求項6では、水溶性天然ガス付随水を含有する抗菌・防腐剤、又は脱臭剤である。
【0036】
該水溶性天然ガス付随水にアルコール溶液、グリセリン溶液、ポリビニルピロリドンの錯化合物等を混合して殺菌剤としても良い。また、そのヨード分を調整し、濃縮処理をしても良い。
【0037】
殺菌剤においては、そのヨードの含有量は、0.5〜10.0%程度が良く、好ましくは、1.0〜5.0%程度、さらに好ましくは、1.5〜2.0%程度が良い。
【0038】
請求項7では、水溶性天然ガス付随水からなる精製水を用いてなる医薬品である。
【0039】
水溶性天然ガス付随水に含有するヨード分の殺菌、抗菌作用作用を活用して、医薬品とするものである。
【0040】
医薬品においては、そのヨードの含有量は、海藻中に含まれている含有量に近い状態が好ましく、0.1〜5.0%程度が良く、好ましくは、0.2〜2.0%程度、さらに好ましくは、0.3〜0.8%程度が良い。
【発明の効果】
【0041】
本発明は以下の効果を奏する。
1)水溶性天然ガス付随水の有効成分により、植物を活性させ、成長促進させる効果を有する。
2)水溶性天然ガス付随水の有効成分により、魚介類、海藻類を活性させ、育成状況の良い養殖を実現できる。
3)水溶性天然ガス付随水の有効成分により、微生物を活性させ、効果的な培養を実現できる。
4)水溶性天然ガス付随水の有効成分を含有する新たな食品を提供できる。
5)水溶性天然ガス付随水の有効成分を含有する新たな化粧組成物、石鹸類、浴用剤、育毛剤を提供できる。
6)水溶性天然ガス付随水の有効成分を含有する抗菌・防腐剤、脱臭剤を実現できる。
7)水溶性天然ガス付随水の有効成分を含有する医薬品を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による水溶性天然ガス付随水の処理システムの一実施例を示す全体概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0044】
図1は本発明の一実施例を示す水溶性天然ガス付随水の処理システムの全体概要図である。
【0045】
地下500mから取水した水溶性天然ガス付随水をセパレータ装置1により天然ガスとその付随水とに分離し、付随水を付随水原水タンク2に貯留する。
【0046】
本発明による処理システムは、水溶性天然ガス付随水原水の懸濁物除去処理を行う一次処理システム3と、第一次処理水20を軟水化処理及び汚染物質除去処理を行う二次処理システム4と、第二次処理水21の塩分除去処理を行う三次処理システム5と、第二次処理水21と第三次処理水22とミネラルウォーターあるいは、海洋深層水と混合して成分調整する処理水調合システム6とで構成されている。
【0047】
一次処理システムは3、砂−アンスラサイド(無煙炭)からなる二層濾過器(DMF)7とその処理水を貯留する一次処理水タンク8とで構成されている。
【0048】
DMFは、砂利層7aの上部に、アンスラサイト層7bと、砂層7cとが順に形成されている2層の濾過層を有する濾過塔である。また、該濾過層の逆洗処理が行えるように、逆洗水の供給ノズル7dと、逆洗水の排出ノズル7eが設けられている。尚、濾過効率を高めるために、DMFの上流側に配管に凝集剤を投入しても良い。
【0049】
二次処理システムは、軟水器9と、活性炭濾過器10と、二次処理水タンク11とで構成されている。軟水器9は、イオン交換樹脂を充填した樹脂筒であり、逆洗・再生が行えるものが良い。樹脂は、例えばNa型強酸性陽イオン交換樹脂などが使用でき、硬度成分をNa+イオン交換し、軟化させることができる。
【0050】
活性炭濾過器10は、筒体に粒状活性炭と、抵抗を小さくして集水しやすくするための珪砂とが全体60%程度充填されているものである。逆洗・再生が行えるものが良い。
【0051】
三次処理システムは、水温調整装置12と、pH調整装置13と、逆浸透膜装置14と、三次処理水タンク15とで構成されている。
【0052】
水温調整装置12は、水温計と、過熱ヒータと、冷却ファンと、その制御器により、処理水の温度を設定温度に自動的に調整・維持できるようにしたものである。設定温度は、20℃〜25℃に調整する。
【0053】
pH調整装置13は、pH計と、pH調整剤注入装置と、その制御器により、処理水のpHを設定pH範囲内に自動的に調整できるようにしたものである。pHの設定範囲は、6.5〜7.0に調整する。
【0054】
逆浸透膜装置14は、逆浸透膜を有する複数のモジュールと、このモジュールに高圧処理水を送り込むための高圧ポンプとからなり、逆浸透膜を透過した透過水の排出ノズルには圧力計が設けられており、制御器により、透過水出口圧力により、高圧ポンプが制御されている。
【0055】
処理水調合システム6は、希釈水タンク16と、海洋深層水タンク17と、調合装置18とで構成されている。希釈タンク16は、ミネラルウォーターあるいは純水などが貯留されたタンクであり、調合装置18は、二次処理水21と、希釈水あるいは海洋深層水とを調合して第四次処理水23を調合し、三次処理水22と、希釈水あるいは海洋深層水とを調合して第五次処理水24を調合するための調合装置である。
【0056】
このように構成された水溶性天然ガス付随水の処理システムにおいては、以下のように処理を行う。
【0057】
1)随水原水タンク2からポンプ(図示しない)により、一次処理システム3のDMF7に送水される。DMF7において、砂層7cとアンスラサイト層7bを通過して懸濁物質が除去される。処理水は、一次処理精製水タンク8に貯留される。この一次処理水は、ヨード分と塩分が多く含まれており、さらにミネラル成分も含まれている。
【0058】
2)一次処理水20は、さらに二次処理システム4に送水され、最初に軟水器9に送られ硬度成分が除去され、軟水化される。次に活性炭濾過器10に送られ、汚染物質などが吸着濾過され、処理水は、二次処理水タンク11に貯留される。
【0059】
3)二次処理水21は、さらに三次処理システム5に送水され、最初に、水温調整装置12に送られ、水温20℃に調整される。次にpH調整装置13に送られ、pH7.0に調整される。さらに、逆浸透装置14に送られ、塩分が除去され、三次処理水タンク15に貯留される。
【0060】
4)上記で処理された、二次処理水21と、三次処理水22は、処理水調合システム6に送水される。調合装置18において、希釈水あるいは海洋深層水と、二次処理水21、あるいは三次処理水22が調合され、塩分あるいはヨード分の調整された、高度利用処理水(四次処理水23、五次処理水24)ができる。
【0061】
例えば、抗菌作用を発揮させるヨード含有浴用剤用の処理水の場合には、二次処理水21をそのまま使用できる。
【0062】
また、抗菌効果を発揮させる皮膚外用剤用の処理水の場合には、塩分除去された三次処理水22をそのまま使用できる。
【0063】
また、食品保存剤用の処理水の場合には、二次処理水21に希釈水を調合して塩分濃度及びヨード分濃度を希釈した処理水とすることができる。
【0064】
また、ヨード入り飲料用の処理水の場合には、塩分が除去された三次処理水22にミネラルウォーターを加えてヨード分を調整した処理水とすることができる。
【0065】
また、海洋深層水入りの健康飲料用の処理水の場合には、三次処理水22に海洋深層水を混合して処理水とすることができる。
【0066】
このように、第一次処理水20、第二次処理水21、第三次処理水22、第四次処理水23、第五次処理水24をその用途に従って、使用することができる。
【0067】
植物栽培用肥料、植物活性剤、植物成長補助剤、植物栽培用水としては、第一次処理水20、第二次処理水21が好ましい。
【0068】
海藻類、魚介類の養殖用、微生物培養用としては、第一次処理水20、第二次処理水21などが好ましい。
【0069】
食品用としては、第三次処理水22、第四次処理水23、第五次処理水24などが好ましい。
【0070】
化粧料組成物、石鹸類、浴用剤、又は育毛剤用としては、第一次処理水20、第二次処理水21などが好ましい。
【0071】
抗菌・防腐剤、又は脱臭剤用としては、第三次処理水22、第四次処理水23、第五次処理水24などが好ましい。
【0072】
医薬品用としては、第三次処理水22、第四次処理水23、第五次処理水24などが好ましい。
【符号の説明】
【0073】
1 セパレータ装置
2 付随水原水タンク
3 一次処理システム
4 二次処理システム
5 三次処理システム
6 精製水調合システム
7 DMF(二層濾過器)
8 一次処理精製水タンク
9 軟水器
10 活性炭濾過器
11 二次処理精製水タンク
12 水温調整装置
13 pH調整装置
14 逆浸透膜装置
15 三次処理精製水タンク
16 希釈水タンク
17 海洋深層水タンク
18 調合装置
20 第一次処理水
21 第二次処理水
22 第三次処理水
23 第四次処理水
24 第五次処理水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性天然ガス付随水を含有する植物栽培用肥料、植物活性剤、植物成長補助剤、及びそれらを用いた植物栽培方法。
【請求項2】
水溶性天然ガス付随水を用いた魚介類、海藻類の養殖方法。
【請求項3】
水溶性天然ガス付随水を用いた微生物の培養方法。
【請求項4】
水溶性天然ガス付随水を含有する食品。
【請求項5】
水溶性天然ガス付随水を含有する化粧料組成物、石鹸類、浴用剤、又は育毛剤。
【請求項6】
水溶性天然ガス付随水を含有する抗菌・防腐剤、又は脱臭剤。
【請求項7】
水溶性天然ガス付随水からなる精製水を用いてなる医薬品。

【図1】
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【公開番号】特開2011−109915(P2011−109915A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265824(P2009−265824)
【出願日】平成21年11月23日(2009.11.23)
【出願人】(500272716)オー・ピー・エナジー株式会社 (1)
【Fターム(参考)】