説明

水田用除草剤組成物

【課題】 水田用除草剤組成物を提供すること。
【解決手段】 (a) 除草性ジフルオロメタンスルホンアミド誘導体と、(b)プレチラクロール、ブタクロール、アラクロール、メトラクロール等の公知除草剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の除草性化合物及び/又は(c)ダイムロン、イソキサジフェン、フルラゾール等の薬害軽減剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を有効成分として含有することを特徴とする水田用除草剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水田用除草剤組成物に関する。より詳しくは、本発明は、除草性ジフルオロメタンスルホンアミド誘導体と、ある種の公知の除草性化合物とを有効成分として含有する水田用除草剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】

【0003】
【化1】

【0004】
式中、
Xはハロゲンを示し、
YはCH又はNを示し、
は水素を示し、そして
は水素又はヒドロキシを示すか、或いは
及びRは一緒になって、それらが結合している炭素原子と共にC=Oを形成していてもよい、
で表されるジフルオロメタンスルホンアミド誘導体は公知の化合物である(特許文献1参照)。これらの誘導体のうちのいくつかは水田雑草に対して良好な防除効果を現す。しかしながら、実際の使用場面においては、期待に反し、十分な満足のいく除草効果を現さない場合もみられ、また、水稲に対して薬害も観察される。実際の施用場面においては、除草効果に影響を与える多くの潜在的要素が存在するため、様々な使用に対応できる性質を兼ね備えた単一の活性化合物を提供することは実際上困難なことである。特に、防除対象雑草の種類や発生地域の条件等によって、活性化合物の効果は異なる。更に、農業生産のコスト削減、環境への影響等を配慮して、より一層低薬量で有効な作用効果を現す薬剤の開発が強く望まれている。
【0005】
このような要望を満たすべく、除草剤の特性を改善する一つの方法として、他の活性化合物と混合して使用することがよく行われている。しかしながら、例えば、活性化合物の分解、作用効果の拮抗作用等のために、この混合物によっても、必ずしも期待できる効果が得られないことがしばしば生ずる。
【特許文献1】国際公開WO 2005/096818号パンフレット
【発明の開示】
【0006】
今回、本発明者らは、下記に示す組成物が水田における雑草防除及び稲の薬害の点で極めて優れたそして望ましい効果を現すことを見い出した。
【0007】
かくして、本発明は、
(a) 式
【0008】
【化2】

【0009】
式中、
Xはハロゲンを示し、
YはCH又はNを示し、
は水素を示し、そして
は水素又はヒドロキシを示すか、或いは
及びRは一緒になって、それらが結合している炭素原子と共にC=Oを形成していてもよい、
で表されるジフルオロメタンスルホンアミド誘導体と、
(b) プレチラクロール、ブタクロール、アラクロール、メトラクロール、アセトクロール、クロメプロップ、ブロモブチド、ベンフレセート、インダノファン、ピラゾレート、ベンゾフェナップ、ピラゾキシフェン、ピラクロニル、オキサジクロメホン、ベンスルフロンメチル、アジムスルフロン、イマゾスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、ジクロスルファムロン、エトキシスルフロン、ハロスルフロンメチル、オルソスルファムロン、シノスルフロン、メトスルフロンメチル、ペノキススラム、チオベンカルブ、ピリブチカルブ、モリネート、ジメタメトリン、シメトリン、カフェンストロール、キンクロラック、アニロホス、メフェナセット、フェントラザミド、ペントキサゾン、オキサジアルギル、オキサジアゾン、ベンゾビシクロン、メソトリオン、AVH301(コードNo.)、シハロホップブチル、メタミホップ、ビスピリバックNa塩、ピリフタリド、ピリミスルファン、ピリミノバックメチル、クロメトキシニル、オキシフルオフェン、ジチオピル、MCPA、MCPB、2,4−D、ダイムロン、クミルロン、キノクラミン及びクロマゾンからなる群より選ばれる少なくとも1種の除草性化合物、及び/又は
(c) 薬害軽減剤として、ダイムロン、イソキサジフェン、フルラゾール、フェンクロラゾールエチル、フェンクロリム、クロキントセットメチル、オキシベントニル、フルキソフェニム、メフェンピルジエチル、フリラゾール、R−29148(コードNo.)、ベノキサコル、ジクロルミド及びジシクロノンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を有効成分として含有することを特徴とする水田用除草剤組成物を提供するものである。
【0010】
本発明の上記組成物によれば、驚くべきことに、各活性化合物をそれぞれ単独で使用し
た場合と比較して、それぞれの単独使用による効果の和よりも、実質的に高い除草効果(相乗効果)を現し、その結果、雑草防除を行うに際し、これまで用いられてきた個々の薬剤濃度を実質的に減じることが可能となる。同時に、該組成物によれば、幅広い除草スペクトルを獲得することができ、また、処理適期幅を長期にわたりひろげることが可能であり、例えば、水稲栽培においては、移植直後の雑草発生始期から生育期までのいずれの時期に用いても優れた除草効果を現し、かつその効力の持続性が長期に及び、残効性に優れ、イネに対する薬害もなく優れた除草効果が得られる。
【0011】
本発明の組成物における式(I)の化合物(a)において、好ましくは、
Xはフッ素又は塩素を示し、
YはCH又はNを示し、
は水素を示し、そして
は水素又はヒドロキシを示すか、或いは
及びRは一緒になって、それらが結合している炭素原子と共にC=Oを形成していてもよい。
【0012】
さらに、本発明の組成物において、式(I)の化合物(a)の好適具体例としては下記表Aに示すものを挙げることができる。
【表A】

【0013】
これらの化合物はそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる

【0014】
他方、本発明の組成物において、上記式(I)の化合物(a)と組み合わせて使用される除草性化合物(b)は、前記のとおりであり、それらのうちの好適例としては、(b−1)アニロホス、(b−2)プレチラクロール、(b−3)カフェンストロール、(b−4)シハロホップブチル、(b−5)ペノキススラム、(b−6)ピラクロニル、(b−7)ビスピリバックNa塩、(b−8)フェントラザミド、(b−9)メフェナセット、(b−10)オキサジクロメホン、(b−11)ベンフレセート、(b−12)ベンスルフロンメチル、(b−13)エトキシスルフロン、(b−14)ブロモブチド、(b−15)AVH301
を挙げることができる。
【0015】
以上に述べた除草性化合物(b)はそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて式(I)の化合物(a)と混合使用することができる。
【0016】
また、本発明に従い上記式(I)の化合物(a)と組み合わせて使用される薬害軽減剤としての化合物(c)は、前記のとおりであり、そのうちの好適例としては、(c−1)ダイムロン、(c−2)メフェンピルジエチル、(c−3)イソキサジフェンを挙げることができる。
【0017】
上記の薬害軽減剤としての化合物(c)はそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせ式(I)の化合物(a)と混合使用することができる。
【0018】
上記除草性化合物(b)及び薬害軽減剤としての化合物(c)は、例えば、The Pesticide Manual第13版(British Crop Protection Council発行、2003年)に記載されている。
【0019】
本発明の組成物において、式(I)の化合物(a)と除草性化合物(b)との混合比は、該組成物の種類、適用時期、適用地域、施用方法等に応じて比較的広い範囲にわたり変えることができるが、一般には、式(I)の化合物(a)1重量部に対し、除草性化合物(b)の少なくとも1種を0.05〜200重量部、好ましくは0.1〜100重量部の範囲内で使用することができる。具体的に式(I)の化合物(a)1重量部あたりの除草性化合物(b)の個々の使用割合の好例として次のものを例示することができる。
【0020】
アニロホス(b−1):0.5〜50重量部、好ましくは1〜20重量部、
プレチラクロール(b−2):0.5〜50重量部、好ましくは1〜20重量部、
カフェンストロール(b−3):0.5〜50重量部、好ましくは1〜20重量部、
シハロポップブチル(b−4):0.3〜30重量部、好ましくは0.5〜10重量部、
ペノキススラム(b−5):0.2〜10重量部、好ましくは1〜5重量部、
ピラクロニル(b−6):0.5〜50重量部、好ましくは1〜20重量部、
ビスピリバックNa塩(b−7):0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部、
フェントラザミド(b−8):0.5〜50重量部、好ましくは1〜20重量部、
メフェナセット(b−9):2〜200重量部、好ましくは5〜50重量部、
オキサジクロメホン(b−10):0.2〜10重量部、好ましくは1〜5重量部、
ベンフレセート(b−11):0.5〜50重量部、好ましくは1〜20重量部、
ベンスルフロンメチル(b−12):0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部、エトキシスルフロン(b−13):0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部、
ブロモブチド(b−14):2〜200重量部、好ましくは5〜50重量部、
AVH301(b−15):0.5〜50重量部、好ましくは1〜30重量部。
【0021】
本発明の組成物において、式(I)の化合物(a)と薬害軽減剤としての化合物(c)
との混合比は、該組成物の種類、適用時期、適用地域、施用方法等に応じて比較的広い範囲にわたり変えることができるが、一般には、式(I)の化合物(a)1重量部に対し、薬害軽減剤としての化合物(c)の少なくとも1種を0.05〜200重量部、好ましくは0.2〜100重量部の範囲内で使用することができる。具体的に、式(I)の化合物(a)1重量部あたりの化合物(c)の個々の使用割合の好例として次のものを例示することができる。
【0022】
ダイムロン(c−1):0.5〜100重量部、好ましくは1〜20重量部、
メフェンピルジエチル(c−2):0.05〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、イソキサジフェン(c−3):0.05〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部。
【0023】
本発明の組成物は水田雑草に対して強力な除草効果を現す。従って、該組成物は、水田用除草剤組成物、特に、水稲用選択性除草剤として使用することができる。
【0024】
本発明の組成物は、水田に発生する各種の雑草に対して使用することができる。その例としては以下に述べるものが挙げられる:
【0025】
次の属の双子葉植物:タデ属(Polygonum)、イヌガラシ属(Rorippa)、キカシグサ属(Rotala)、アゼナ属(Lindernia)、タウコギ属(Bidens)、アブノメ属(Dopatrium)、タカサブロウ属(Eclipta)、ミゾハコベ属(Elatine)、オオアブノメ属(Gratiola)、アゼトウガラシ属(Lindernia)、ミズキンバイ属(Ludwigia)、セリ属(Oenanthe)、キンポウゲ属(Ranunculus)、サワトウガラシ属(Deinostema)など。
【0026】
次の属の単子葉植物:ヒエ属(Echinochloa)、キビ属(Panicum)、スズメノカタビラ属(Poa)、カヤツリグサ属(Cyperus)、ミズアオイ属(Monochoria)、テンツキ属(Fimbristylis)、オモダカ属(Sagittaria)、ハリイ属(Eleocharis)、ホタルイ属(Scirpus)、サジオモダカ属(Alisma)、イボクサ属(Aneilema)、スブタ属(Blyxa)、ホシクサ属(Eriocaulon)、ヒルムシロ属(Potamogeton)など。
【0027】
本発明の組成物は、具体的には、例えば、次の代表的な水田雑草に関して使用することができる。
【0028】
植物名 ラテン名
双子葉植物
キカシグサ Rotala indica Koehne
アゼナ Lindernia procumbens Philcox
チヨウジタデ Ludwigia prostrate Roxburgh
ヒルムシロ Potamogeton distinctus A. Benn
ミゾハコベ Elatine triandra Schk
セリ Oenanthe javanica
単子葉植物
タイヌビエ Echinochloa oryzicola Vasing
コナギ Monochoria vaginalis Presl
マツバイ Eleocharis acicularis L.
クログワイ Eleocharis Kuroguwai Ohwi
タマガヤツリ Cyperus difformis L.
ミズガヤツリ Cyperus serotinus Rottboel
ウリガワ Sagittaria pygmaea Miq
ヘラオモダカ Alisma canaliculatum A. Br. et Bouche
ホタルイ Scirpus juncoides Roxburgh
【0029】
しかしながら、本発明の組成物の使用はこれら雑草に何ら限定されるものではなく、他の雑草に対しても同じように適用することができる。
【0030】
本発明の組成物は、水田雑草の防除のために使用するに際して、通常の製剤形態にすることができる。その製剤形態としては、例えば、液剤、エマルジョン、水和剤、懸濁剤、粉剤、可溶性粉剤、粒剤、懸濁エマルジョン濃厚物、固型剤(ジャンボ剤)、浮遊性粒剤、重合体物質中のマイクロカプセル等を挙げることができる。
【0031】
これらの製剤はそれ自体既知の方法によって調製することができる。例えば、前記の式(I)の化合物(a)と、除草性化合物(b)及び/又は化合物(c)を、拡展剤、即ち、液体希釈剤及び/又は固体希釈剤、必要な場合には、界面活性剤、即ち、乳化剤及び/又は分散剤及び/又は泡沫形成剤を用いて混合することによって、本発明に従う製剤を調製することができる。
【0032】
拡展剤として水を用いる場合には、例えば有機溶媒を補助溶媒として使用することができる。液体希釈剤としては、例えば、芳香族炭化水素類(例えば、キシレン、トルエン、アルキルナフタレン等)、塩素化芳香族又は塩素化脂肪族炭化水素類(例えば、クロロベンゼン類、塩化エチレン類、塩化メチレン等)、脂肪族炭化水素類[例えば、シクロヘキサン等又はパラフィン類(例えば、鉱油留分、鉱物及び植物油等)]、アルコール類(例えば、ブタノール、グリコール及びそれらのエーテル又はエステル等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、強極性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等)などの有機溶媒及び水を挙げることができる。
【0033】
固体希釈剤としては、例えば、アンモニウム塩、粉砕天然鉱物(例えば、カオリン、クレー、タルク、チョーク、石英、アタパルガイト、モンモリロナイト、珪藻土等)、粉砕合成鉱物(例えば、高分散ケイ酸、アルミナ、ケイ酸塩等)などを挙げることができる。また、粉剤のための固体担体としては、例えば、粉砕且つ分別された岩石(例えば、方解石、大理石、軽石、海泡石、白雲石等)、無機又は有機物粉の合成粒、有機物質細粒体(例えば、おがくず、ココやしの実のから、とうもろこしの穂軸、タバコの茎等)などを使用することができる。
【0034】
乳化剤及び/又は泡沫剤としては、非イオン又は陰イオン乳化剤[例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル類(例えば、アルキルアリールポリグリコールエーテル類、アルキルスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アリールスルホン酸塩類等)]、アルブミン加水分解生成物等を挙げることができる。
【0035】
分散剤としては、例えば、リグニンサルファイト廃液、メチルセルロースなどが適当である。
【0036】
固着剤も、製剤(粉剤、粒剤、乳剤)に使用することができ、該固着剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、天然又は合成ポリマー(例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート類等)、天然燐脂質類(例えば、セファリン類又はレシチン類)、合成燐脂質類等を挙げることができる。更に、添加剤として鉱物油又は植物油類も使用することができる。
【0037】
着色剤を使用することもでき、該着色剤としては、無機顔料類(例えば、酸化鉄、酸化チタン、プルシアンブルー等)、アリザリン染料、アゾ染料又は金属フタロシアニン染料のような有機染料類、そして更に、鉄、マンガン、ボロン、銅、コバルト、モリブデン又は亜鉛の塩のような微量要素を挙げることができる。
【0038】
製剤は、一般に、式(I)の化合物(a)と除草性化合物(b)及び/又は化合物(c)を合計で0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜90重量%の範囲内の濃度で含有することができる。
【0039】
本発明の組成物は、雑草を防除するために、そのまま或いはその製剤の形態で使用することができ、また、使用時にタンク混合することも可能であり、更に他の公知の活性化合物、特に、通常水田に使用される活性化合物、例えば、殺菌剤、殺虫剤、植物生長調整剤、植物栄養剤、土壌改良剤等を含有することも可能である。
【0040】
本発明の組成物は、そのまま或いはそれら製剤の形態で、又は該製剤から更に希釈して調製した施用形態、例えば、散布用調製液(ready-to-use solution)、乳剤、懸濁剤、粉剤、水和剤又は粒剤の形態で使用することができる。これらの形態の製剤は、通常の方法、例えば、液剤散布(watering)、噴霧(spraying, atomizing)、散粉、散粒等の方法で水田に施用することができる。
【0041】
本発明の組成物は、田植前、田植時又は田植後の水田に施用することができる。施用しうる該組成物の量は実質的な範囲で変えることができる。その施用量は、例えば、式(I)の化合物(a)と、除草性化合物(b)及び/又は化合物(c)の合計量として0.01〜5kg/ha、好ましくは0.06〜4.5kg/haの範囲内とすることができる。
【0042】
本発明の組成物の優れた効果を以下の実施例によりさらに具体的に説明する。しかし、本発明はこれのみに限定されるべきものではない。
【実施例】
【0043】
生物試験例及び製剤例
<供試化合物>
(a)成分(a−1):化合物No.1(前記表A参照)
(a−2):化合物No.3(同上)
(a−3):化合物No.11(同上)
(b)成分 前記の(b−1)〜(b−15)
(c)成分 前記の(c−1)〜(c−3)
<供試薬剤の調製>
担体:アセトン5重量部
界面活性剤:ベンジルオキシポリグリコールエーテル1重量部
上記の担体及び界面活性剤と1重量部の活性化合物((a)成分及び(b)成分又は(c)成分)とを混合し、得られる製剤を水で希釈して所定薬量の供試薬剤(調合剤)を調製する。
【0044】
試験例1:水田雑草に対する除草剤組成物の効果試験
<試験方法>
温室内において、水田土壌を詰めた500cmポットに、コナギ、一年生広葉雑草(アゼナ、キカシグサ、ミゾハコベ、ヒメミソハギ等)、ミズガヤツリ、ウリカワの各種子または塊茎を接種し、約2〜3cmの湛水条件とした。各雑草の1.5〜2葉期に、各活性化合物の調合剤の所定希釈液および下記表中の各除草剤を各々単独または同時に水面施用した。処理後、3cmの湛水状態を保ち、処理3週間後に除草効果を調査した。除草効果の評価は、完全枯死を100%とし、0%を効果無しとした。
<結果>
第1表〜第3表に示す。表中、MOOVPはコナギ、BBBBBは一年性広葉雑草、CYPSEはミズガヤツリ、SAGPYはウレカワをそれぞれ表わす。
【0045】
【表1−1】

【0046】
【表1−2】

【0047】
【表2−1】

【0048】
【表2−2】

【0049】
【表3−1】

【0050】
【表3−2】

【0051】
試験例2:薬害軽減効果試験
<方法>
温室内において、水田土壌を詰めた1000cmポットに、2〜2.5葉期水稲を移植深度2cmで移植し、約2〜3cmの湛水条件とした。移植5日後に各活性化合物の調合剤の所定希釈液および下記表中の各除草剤を各々単独または同時に水面施用し、処理後3cmの湛水状態を保持した。処理2週間後に水稲薬害程度を調査した。薬害評価は、完全枯死を100%とし、0%を薬害無しとした。
<結果>
第4表に示す。
【0052】
【表4】

【0053】
製剤例1
活性化合物(a−1) 3重量部、活性化合物(b−1)4重量部、ベントナイト(モンモリロナイト) 32重量部、タルク(滑石)58重量部及びリグニンスルホン酸塩 3重量部の混合液に、水 25重量部を加えて良く捏化し、押し出し式造粒機により10〜40メッシュの粒状とし、40〜50℃で乾燥して粒剤とする。
【0054】
製剤例2
0.2〜2mmに粒径分布を有する粘土鉱物粒 96重量部を回転混合機に入れ、回転下に液体希釈剤とともに活性化合物(a−1)2重量部及び活性化合物(b−2) 2重量部を噴霧し均等にしめらせた後、40〜50℃で乾燥して粒剤とする。
【0055】
製剤例3
活性化合物(a−1) 4重量部、活性化合物(b−3)4重量部、エチレングリコール 10重量部、ポリオキシアルキレントリスチリルフェニルエーテル 3重量部、キサンタンガム 10重量部、14%シリコールオイルエマルジョン 0.5重量部及び水 68.5重量部の混合物をよく撹拌した後、粉砕機(ダイノーミルKDL型)で粉砕し、水性懸濁製剤とする。
【0056】
製剤例4
活性化合物(a−1) 5重量部、活性化合物(b−4)15重量部、リグニンスルホン酸ナトリウム塩 30重量部、ベントナイト15重量部及び焼成ケイソウ土粉末 35重量部を充分に混合し、これに水を加えてよく混練した後、0.3mmのスクリーンで押し出し乾燥して、顆粒状水和剤とする。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の水田用除草剤組成物は、前記試験例に示したとおり、各種の水田雑草に対して的確な防除効果を現すと共に、優れた残効性を現す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 式
【化1】

式中、
Xはハロゲンを示し、
YはCH又はNを示し、
は水素を示し、そして
は水素又はヒドロキシを示すか、或いは
及びRは一緒になって、それらが結合している炭素原子と共にC=Oを形成していてもよい、
で表されるジフルオロメタンスルホンアミド誘導体と、
(b) プレチラクロール、ブタクロール、アラクロール、メトラクロール、アセトクロール、クロメプロップ、ブロモブチド、ベンフレセート、インダノファン、ピラゾレート、ベンゾフェナップ、ピラゾキシフェン、ピラクロニル、オキサジクロメホン、ベンスルフロンメチル、アジムスルフロン、イマゾスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、ジクロスルファムロン、エトキシスルフロン、ハロスルフロンメチル、オルソスルファムロン、シノスルフロン、メトスルフロンメチル、ペノキススラム、チオベンカルブ、ピリブチカルブ、モリネート、ジメタメトリン、シメトリン、カフェンストロール、キンクロラック、アニロホス、メフェナセット、フェントラザミド、ペントキサゾン、オキサジアルギル、オキサジアゾン、ベンゾビシクロン、メソトリオン、AVH301(コードNo.)、シハロホップブチル、メタミホップ、ビスピリバックNa塩、ピリフタリド、ピリミスルファン、ピリミノバックメチル、クロメトキシニル、オキシフルオフェン、ジチオピル、MCPA、MCPB、2,4−D、ダイムロン、クミルロン、キノクラミン及びクロマゾンからなる群より選ばれる少なくとも1種の除草性化合物、及び/又は
(c) 薬害軽減剤として、ダイムロン、イソキサジフェン、フルラゾール、フェンクロラゾールエチル、フェンクロリム、クロキントセットメチル、オキシベントニル、フルキソフェニム、メフェンピルジエチル、フリラゾール、R−29148(コードNo.)、ベノキサコル、ジクロルミド及びジシクロノンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を有効成分として含有することを特徴とする水田用除草剤組成物。
【請求項2】
式(I)において、
Xがフッ素又は塩素を示し、
YがCH又はNを示し、
が水素を示し、そして
が水素又はヒドロキシを示すか、或いは
及びRは一緒になって、それらが結合している炭素原子と共にC=Oを形成していてもよい、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式(I)の化合物(a)1重量部に対し、少なくとも1種の除草性化合物(b)を0.05〜200重量部の範囲内で含有する請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
式(I)の化合物(a)1重量部に対し、薬害軽減剤としての少なくとも1種の化合物(c)を0.05〜200重量部の範囲内で含有する請求項1に記載の組成物。

【公開番号】特開2007−186460(P2007−186460A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−6422(P2006−6422)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(000232564)バイエルクロップサイエンス株式会社 (23)
【Fターム(参考)】