説明

水貯留槽用の構造部材

【課題】凹凸部を有する設置面上に設置する場合においても、設置面と構造部材との接地面積の減少を抑制することにより耐荷重性及び安定性のある並置積層構造体を構築することが可能な水貯留槽用の構造部材を提供する。
【解決手段】水貯留槽用の構造部材11は、基台12と、その基台12に立設された脚部13とを備え、複数個を並置しつつ積層した状態にすることによって並置積層構造体を構築する。基台12は、少なくとも1つの脚部13を有する複数個のブロック台15A−Dとそのブロック台15間を連結する連結部30とを一体成形してなる。連結部30は、曲げ手段を設けることによって、並置積層構造体における積層方向に自身を屈曲又は湾曲させ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平方向に並置しつつ、上下方向に積層した状態にすることによって水貯留槽の貯留空間を確保する並置積層構造体を構成する水貯留槽用の構造部材に関する。
【背景技術】
【0002】
人口が集中している地域では、建造物、アスファルト舗装等によって地面が覆われることにより、雨水等の地下への浸透が阻害されている。このような状況下では、集中豪雨の発生等によって水害が発生し易いが、こうした水害を防止する対策の一つとして、水貯留槽の設置が有効である。水貯留槽は、その槽内に雨水等を流入させることで、地中に多量の雨水等を一時的に貯留したり、貯留した雨水等を土壌へ浸透させたりする設備である。そうした水貯留槽の貯留空間は、複数の構造部材によって確保されている(例えば特許文献1参照。)。特許文献1の構造部材11は、図7(a)に示すように、基台12と同基台12の裏面に立設された複数の脚部13とを備え、地面を採掘して形成した穴の底面に複数の構造部材11を水平方向に並置しつつ、上下方向に積層した状態にすることによって貯留空間を確保するように構成されている。具体的には、基台12の表面に凹設された係合部12aに脚部13を係合させるようにして積み上げることにより並置積層構造体を構築する。
【特許文献1】特許第3867960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記地面を採掘して形成した穴の底面、すなわち、並置積層構造体の設置面Tを完全に平らに形成することは困難であり、上記設置面Tには多少の凹凸が存在する。このような凹凸が過度になると、安定した並置積層構造体を構築することが困難になるとともに、構築された並置積層構造体の耐荷重性の低下を招く。たとえば、図7(b)に示すように、設置面Tに存在する凹部上に構造部材11の脚部13が位置した場合、設置面に対して一方の脚部13が浮く状態(図7(b)の実線部分)、或いは脚部13がともに片当りする状態(図7(b)の鎖線部分)となる。そのため、設置面Tと脚部13との接地面積が大幅に減少されて構造部材11の設置状態が不安定になる。とくに、上記一方の脚部13が浮く状態は、構造部材11に作用する荷重の偏りを招く。これらの点は、脚部13が凸部上に位置する場合にも同様である。このような状態のまま、更に上段に構造部材11を積み上げていくと、局所的に過大な荷重が作用することとなり、構造部材11の歪みや並置積層構造体のずれを招いて並置積層構造体の耐荷重性を低下させる。また、凹凸面上に脚部13が位置する構造部材11には、上記一方の脚部13が浮いた状態と上記両脚部13がともに片当りする状態との間を変移するようなぐらつきが生じる。このぐらつきは、その上段に積み上げられる構造部材11にも伝達されていくため、並置積層構造体全体の安定性を著しく低下させる。
【0004】
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、凹凸が存在する設置面T上に設置する場合においても、設置面Tと構造部材11との接地面積の減少を抑制することにより耐荷重性及び安定性のある並置積層構造体を構築することが可能な水貯留槽用の構造部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の水貯留槽用の構造部材は、基台と、該基台に立設された脚部とを備え、複数個を並置しつつ積層した状態にすることによって水貯留槽の貯留空間を確保して並置積層構造体を構成する水貯留槽用の構造部材であって、前記基台は、少なくとも1つの前記脚部を有するブロック台が複数個、連結部を介して連結されるとともに前記ブロック台及び連結部が一体成形されてなるものであり、前記連結部は、前記並置積層構造体における積層方向に自身を屈曲又は湾曲可能にする曲げ手段を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、並置積層構造体における積層方向に連結部を屈曲又は湾曲させてブロック台の位置を変更することで、ブロック台毎にその高さ位置を調節することが可能である。これにより、設置面に凹凸が存在していたとしても、その凹凸形状に合わせて接地面積が大きくなるようにブロック台毎の位置を変更することができる。そのため、設置面に対して一部のブロック台(又はそのブロック台に立設される脚部)が浮いた状態、或いは全てのブロック台が片当りする状態になることはなく、設置面と構造部材との接地面積の減少が抑制されるとともに、構造部材に作用する荷重の偏りが最小限に抑制される。よって、凹凸が存在する設置面上に設置する場合であっても、耐荷重性及び安定性のある並置積層構造体の提供に寄与する。
【0007】
請求項2に記載の水貯留槽用の構造部材は、請求項1に記載の発明において、前記曲げ手段は、前記連結部が延設される方向に沿って形成されていることを特徴とする。請求項2に記載された発明によれば、連結部の曲げ方向を特定の方向に規定することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の水貯留槽用の構造部材によれば、凹凸が存在する設置面上に設置する場合においても、設置面と構造部材11との接地面積の減少を抑制し、耐荷重性及び安定性のある積層構造体を形成することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本実施形態を具体化した一実施形態について図1〜3に基づいて詳細に説明する。図1及び図2に示すように、水貯留槽用の構造部材11は、平面四角状の基台12と、その基台12の裏面に立設された脚部13とが樹脂材料により一体に成形されたものである。この構造部材11は、地中において並置積層構造体を構築するために用いられる。具体的には、地面を掘削して形成した穴の底面に構造部材11の表面を合わせるように並置した後に、基台12の裏面同士と表面同士とを合わせるようにして構造部材11を順次積層することで並置積層構造体が構築される。このように形成された並置積層構造体は、水貯留槽の貯留空間を確保するとともに貯留空間上における地面を支持する機能を果たす。
【0010】
図1及び図2に示すように、基台12は、略正方形状をなす4つのブロック台15A〜Dを備えるとともに、各ブロック台15は連結部30によって一体に連結されている。ブロック台15A〜Dは、それぞれ同一形状をなすものであるため、ここではブロック台15Aについてのみ説明する。ブロック台15Aは四角枠状の基板20を備えている。図1に示すように、この基板20は、枠体21と、枠体21の内部において縦横に延びる縦リブ22、横リブ23とから形成されている。
【0011】
図3(b)に示すように、枠体21は、内立枠21a、外立枠21b、及び内立枠21aと外立枠21bの表面側の端部間を結ぶ中枠21cとから形成されている。図1に示すように、縦リブ22は、第1縦リブ22a及び第2縦リブ22bからなり、その両端部は内立枠21aに接続されている。同様に、横リブ23は、第1横リブ23a及び第2横リブ23bからなり、その両端部は内立枠21aに接続されている。これら縦リブ22及び横リブ23の表面側の端面は、枠体21の表面に対して面一となるように形成されている。そして、基板20の内部は、縦リブ22及び横リブ23によって縦横に9つの領域に分割されている。
【0012】
図1及び図2に示すように、この分割された基板20内の領域のうち、四隅に位置する領域には、裏面方向に脚部13がそれぞれ立設されている。脚部13は、基台12の表面に開口する四角筒状をなすとともに、その基端から先端に向かうにしたがって縮径する四角錐台状に形成されている(図3(a)参照。)。この脚部13は、その基端において基板20と一体に連続形成されるものである。また、脚部13の先端には凹凸状をなす嵌合部14が形成されている。この嵌合部14は、基台12の裏面と別の基台12の裏面とを合わせるようにして構造部材11を積層する際に、別の構造部材11に形成される嵌合部14と嵌合される。こうした嵌合により、積み上げを終えた構造部材11がずれるという不具合が抑制される。
【0013】
基板20において、脚部13間に位置する領域のうち、縦リブ22と内立枠21aとが対向する領域は、区画縦リブ22cによって横方向に2分割されるとともに、その外側領域はさらに区画横リブ23cによって縦方向に2分割されている。その一方の領域には、表面方向に嵌合凸部25が立設されるとともに、他方の領域には、裏面方向に嵌合凹部26が凹設されている(図3(a)参照。)。こうした嵌合凸部25及び嵌合凹部26は、基台12の表面と別の基台12の表面とを合わせるようにして構造部材11を積層する際に嵌合される。こうした嵌合により、積み上げを終えた構造部材11がずれるという不具合が抑制される。
【0014】
なお、図2に示すように、基台12の裏面側は、その全面に渡って被覆されているが、その被覆面は、基板20及び脚部13と一体に形成されるものである。また、上記被覆面には表裏に開口する貫通孔24が複数貫設され、これら貫通孔24は水の流路及び空気抜きとして機能する。
【0015】
次に、連結部30について説明する。上述したとおり、連結部30は、ブロック台15間を連結する部位であり、本実施形態においては、基台12の略中央に4つの連結部30が十字状となるように配設される(図1参照。)。連結部30は略長方形状の板状部材であり、図3(b)に示すように、その長辺側の側面において隣接するブロック台15が有する外立枠21bと接合されている。本実施形態では、連結部30は、その厚みが外立枠21bと等しくなるように形成されている。なお、この連結部30は、外立枠21bと一体に形成されるものである。
【0016】
連結部30は、その延設方向に沿って延びる屈曲線L(又は屈曲線M)を軸として二等分されるように形成されるとともに、並置積層構造体10における積層方向に屈曲可能に形成されている。具体的には、図1に示すように、連結部30における屈曲線L(又は屈曲線M)上には、連結部30を表裏に貫通する複数の貫通孔31が並設されるとともに、断面略三角形状のスリット32が連結部30の表裏面の屈曲線L(又は屈曲線M)に沿ってそれぞれ形成されている。これにより、連結部30の屈曲線L(又は屈曲線M)上における剛性が局所的に低下されて、屈曲線L(又は屈曲線M)を軸とした連結部30の屈曲を可能としている。なお、屈曲線L及び屈曲線Mが交差する部位においては、屈曲線L及び屈曲線Mの交点を中心とした貫通孔31が形成されている。本実施形態においては、貫通孔31とスリット32とにより連結部30を屈曲可能とするための曲げ手段を構成している。
【0017】
図1及び図2に示すように、本実施形態の基台12は、ブロック台15A〜Dを四隅に配置するとともに、その間に4つの連結部30が全体として十字状をなすように配置されている。ブロック台15A〜Dは、縦リブ22及び横リブ23の延設方向がすべて同一の方向となるように配置されている。
【0018】
また、基台12は、ブロック台15A〜Dと連結部30とを一体成形して形成されるものであり、上記連結部30の屈曲動作は、基台12全体の屈曲動作となる。図4(a)及び(b)に示すように、屈曲線Lを軸として連結部30を並置積層構造体10における積層方向の上方向、すなわち連結部30の裏面同士を接近させるように屈曲させると、基台12は、屈曲線Lを軸としてブロック台15Aに立設される脚部13とブロック台15Bに立設される脚部13の先端同士を接近させるように屈曲する(図4(a)及び(b)の二点鎖線部分)。また、屈曲線Lを軸として連結部30を並置積層構造体10における積層方向の下方向、すなわち連結部30の裏面同士を離間させるように屈曲させると、基台12は、屈曲線Lを軸としてブロック台15Aに立設される脚部13とブロック台15Bに立設される脚部13の先端同士を離間させるように屈曲する(図4(a)及び(b)の一点鎖線部分)。このような、基台12の屈曲作用は、ブロック台15A−B間に限られるものではなく、隣接するブロック台15A〜D間の全てにおいて同様の屈曲作用を有する。
【0019】
次に、本実施形態の構造部材11の積層状態について説明する。本実施形態では、設置面Tに対して構造部材11の表面を合わせるように構造部材11を水平方向に並置した後に、基台12の裏面同士と表面同士とを合わせるようにして構造部材11を順次積み上げることで、並置積層構造体が構築される。具体的には、基台12の表面同士を重ね合わせるようにして嵌合凸部25と嵌合凹部26とを嵌合させるとともに、脚部13の先端同士をつき合わせるようにして嵌合部14同士を嵌合させる。このとき、積層された構造部材11がずれるという不具合は、嵌合凸部25と嵌合凹部26との嵌合、及び嵌合部14同士の嵌合によって抑制される。
【0020】
上述したように、構造部材11を並置する設置面Tが平らに形成されず、設置面T上に凹凸が存在することがある。たとえば、図5に示すように、設置面Tに存在する凹部上に構造部材11を設置すると、従来の構成ではブロック台15Aは、設置面Tに対して浮いた状態となる(図5の鎖線部分)。これに対して、本実施形態の構造部材11では、この状態から、屈曲線Lを軸としてブロック台15Aに立設される脚部13とブロック台15Bに立設される脚部13の先端同士を離間させるように連結部30を屈曲させて、ブロック台15Aを下方に位置変更させることで、ブロック台15Aは設置面Tと当接する(図5の実線部分)。このとき、ブロック台15Aの位置変更に伴って、隣接するブロック台15Bの位置が変更されることはなく、設置面Tとブロック台15Bの基板20全体との設置状態は正常のまま維持される。
【0021】
一方、図6に示すように、設置面Tに存在する凸部上に構造部材11を設置すると、従来の構成ではブロック台15A、15Bともに設置面Tに対して片当たり状態となる(図6の鎖線部分)。これに対して、本実施形態の構造部材11では、この状態から屈曲線Lを軸としてブロック台15Aに立設される脚部13とブロック台15Bに立設される脚部13の先端同士を接近させるように連結部30を屈曲させて、連結部30の周辺を下方に位置変更させることで、ブロック台15Bと設置面Tとの間には正常な設置状態が形成される(図6の実線部分)。
【0022】
このとき、設置面Tの形状に合わせた連結部30の屈曲に伴って、各ブロック台15に立設される脚部13の高さ位置も変更されることになる。つまり、図5に示す場合には、ブロック台15Aの脚部13が、その先端がブロック台15Bの脚部13の先端に対して離間する方向に傾斜しつつ、下方に位置変更される。また、図6に示す場合には、とくに、ブロック台15Aの脚部13及びブロック台15Bの連結部30側の脚部13が、その先端同士が接近する方向に傾斜しつつ下方に位置変更される。しかし、図5及び図6に示すように、その上段に積層される構造部材11の連結部30を上述と同様に屈曲させることで、脚部13に形成される嵌合部14同士の間に当接関係が形成される。この点は、基台12の表面同士を合わせるように積層する場合に限られるものではなく、基台12の裏面同士を合わせるように積層する場合においても同様であり、上下段の構造部材11の嵌合凸部25及び嵌合凹部26の間に当接関係が形成される。
【0023】
このようにして構造部材11上に新たな構造部材11を積層するとともに、構造部材11を水平方向に並置する作業が繰り返されることで、並置積層構造体が構築される。そして、並置積層構造体を設置した水貯留槽上の整地等が行われることで、水貯留槽の設置が完了する。
【0024】
次に本実施形態における作用効果について、以下に記載する。
(1)本実施形態では、脚部13を有する4つのブロック台15と、各ブロック台15を連結する連結部30とを一体成形することで基台12を形成している。また、連結部30に曲げ手段である貫通孔31及びスリット32を設けることで、並置積層構造体10における積層方向、すなわち隣接するブロック台15に立設される脚部13の先端同士を接近又は離間させる方向に連結部30を屈曲可能としている。これにより、連結部30を屈曲させてブロック台15の位置を変更することで、ブロック台15毎にその高さ位置を調節することが可能となる。これにより、設置面Tに凹凸が存在していたとしても、その凹凸形状に合わせて接地面積が大きくなるようにブロック台15毎の位置を変更することができる。そのため、設置面Tに対して一部のブロック台15が浮いた状態、或いは全てのブロック台15が片当りする状態になることはなく、設置面Tと構造部材11との接地面積の減少が抑制される。よって、構造部材11に作用する荷重の偏りが最小限に抑えられるとともに、設置面Tの凹凸部に起因するぐらつきの発生が抑制される。
【0025】
また、設置面Tの形状に合わせて最下層の構造部材11が屈曲変形されることに伴って、その構造部材11に設けられる嵌合部14の高さ位置も変更されることになるが、その上段に積層する構造部材11を同様に屈曲変形させることにより上下段の構造部材11間に当接関係が形成される。そのため、設置面Tの形状に合わせて最下層の構造部材11を屈曲変形させたとしても、上段に積層される構造部材11との間において嵌合不良が発生することが抑制される。
【0026】
したがって、本実施形態の構造部材11によれば、凹凸が存在する設置面T上に設置する場合であっても、耐荷重性及び安定性ある並置積層構造体を構築することができる。
(2)本実施形態では、連結部30における屈曲線L(又は屈曲線M)上には、曲げ手段としてスリット32が形成されており、連結部30における屈曲線L(又は屈曲線M)上は、連結部30の他の部位よりもその厚みが薄肉に形成される。これにより、連結部30の屈曲線L(又は屈曲線M)上における部位の剛性が局所的に小さくなり、屈曲線L(又は屈曲線M)を軸として連結部30を屈曲させることが容易となる。また、スリット32は、連結部30の表面及び裏面のそれぞれに形成されているため、連結部30の表面同士を接近させる方向及び離間させる方向の両方向に屈曲させることが容易である。
【0027】
(3)本実施形態では、連結部30における屈曲線L(又は屈曲線M)上には、曲げ手段として連結部30を表裏に貫通する複数の貫通孔31が並設されている。これにより、連結部30の屈曲線L(又は屈曲線M)上における部位の剛性が局所的に小さくなり、屈曲線L(又は屈曲線M)を軸として連結部30を屈曲させることが容易となる。また、貫通孔31は、連結部30を表裏に貫通しているため、水の流路及び空気抜きとしても機能させることができる。
【0028】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 本実施形態では、連結部30は、並置積層構造体における積層方向に屈曲可能に形成されていたが、連結部30は、同積層方向に湾曲可能に形成されていてもよい。このように形成した場合においても、本実施形態の構造部材11と同様の作用効果を奏する。
【0029】
・ 本実施形態の構造部材11は、基台12の裏面同士と表面同士とを合わせるようにして積層する構成を採用したが、基台12の表面側と裏面側とを合わせるようにして積層する構成であってもよい。たとえば、基台12の表面に、脚部13に形成される嵌合部14と嵌合可能な被嵌合部を設け、その被嵌合部と嵌合部14とを嵌合させるようにして構造部材11を積層する構成としてもよい。
【0030】
・ 本実施形態では、基台12は、4つのブロック台15A〜Dを備えていたが、ブロック台15の数はこれに限られるものではなく、2つ以上であればいくつ備えていてもよい。
【0031】
・ 本実施形態では、略正方形状のブロック台15を採用したが、ブロック台15の形状はこれに限定されるものではない。たとえば、長方形状のブロック台15を採用してもよいし、三角形状のブロック台15を採用してもよい。また、本実施形態では、ブロック台15を縦2×横2となるように配置していたが、ブロック台15の配置構成はこれに限られるものではない。たとえば、一列に配置してもよいし、縦2×横4となるように配置してもよい。三角形状等のブロック台15を採用した場合には、斜め方向にブロック台15を配置することも可能である。
【0032】
・ 本実施形態では、基板20を形成するブロック台15A〜Dは全て同一形状となっていたが、異なる形状のブロック台15を組み合わせて基台12を形成してもよい。
・ 本実施形態では、基板20は、枠体21と、枠体21の内部において縦横に延びる縦リブ22、横リブ23とから形成されていたが、基板20の構成はこれに限られるものではなく、たとえば、1枚の板状部材により形成してもよい。
【0033】
・ 本実施形態では、一つのブロック台15に対して4本の脚部13が立設されていたが、脚部13の数はこれに限られるものではなく、何本であってもよい。また、脚部13は、ブロック台15の四隅に立設されていたが、ブロック台15の裏面側のどの位置に立設されていてもよい。
【0034】
・ 本実施形態では、脚部13は、四角筒状をなすとともに、その基端部から先端部に向かうにしたがって縮径する四角錐台状に形成されていたが、脚部13の形状はこれ限られるものではなく、円筒状であってもよいし、円錐台状であってもよい。また、ブロック台15の対向する端部間にわたって脚部13を設けてもよい。
【0035】
・ 嵌合凸部25及び嵌合凹部26の構成は、本実施形態の構成に限られるものではなく、基台12の表面同士を連結させることが可能であればどのように構成されていてもよい。
【0036】
・ 本実施形態では、連結部30は、基板20の外立枠21bに接合されていたが、連結部30の接合位置はこれに限られるものではない。たとえば、内立枠21aのみによって枠体21を形成し、連結部30を内立枠21aに接合させてもよい。
【0037】
・ 本実施形態では、連結部30は、その厚みが外立枠21bの幅と等しくなるように形成されていたが、外立枠21bの幅よりも薄くなるように形成してもよい。この場合、連結部30は、上下方向において外立枠21bのどの位置に接合されていてもよい。また、外立枠21bの幅を変更してもよい。この場合、連結部30の曲げ動作の妨げとならないように、その幅を縦リブ22及び横リブ23の幅よりも小さくすることが望ましい。
【0038】
・ 本実施形態では、連結部30は、略長方形状の板状部材であったが、連結部30の形状はこれに限定されるものではない。たとえば、連結部30を複数の棒状部材としてもよく、この場合には、連結部30はブロック台15間に間隔を空けて平行に配置される。
【0039】
・ 本実施形態では、連結部30は、一本の屈曲線L(又は屈曲線M)に沿って曲げ手段を設けていたが、複数の屈曲線のそれぞれに沿って曲げ手段を設け、複数箇所で屈曲可能としてもよい。たとえば、連結部30の中央を逆V字状に突出させ、その頂部及び裾部にそれぞれ曲げ手段を平行に設ける。このように構成した場合、連結部30は、隣接するブロック台15方向に伸縮可能となるため、隣接するブロック台間の距離を調節することができる。これにより連結部30を屈曲させた際に、ブロック台15の水平状態を維持したまま、ブロック台15の高さ位置を調節することができる。そのため、構造部材11を屈曲状態にしたとしても、その脚部13が上下に配置される構造部材11の脚部13に対して片当り状態で当接することが抑制されるとともに正常な嵌合関係が形成され易くなる。
【0040】
・ 本実施形態では、連結部30に貫通孔31を複数個設けたが、貫通孔31は一つでもよい。
・ 本実施形態では、連結部30に断面略三角形状のスリット32を設けたが、スリット32の形状はこれに限られるものではない。たとえば、略四角形状にしてもよいし、半円状のスリット32としてもよい。
【0041】
・ 本実施形態では、曲げ手段として連結部30に貫通孔31及びスリット32を設けたが、いずれか一方のみを備える構成であってもよい。また、スリット32は連結部30の表裏面に設けたが、いずれか一方のみを備える構成であってもよい。また、曲げ手段は、貫通孔31及びスリット32に限られるものではなく、連結部30の剛性を局所的に小さくすることのできる構成であれば他の構成を採用してもよい。
【0042】
・ 前記構造部材11は、水貯留槽内の水を水貯留槽の壁から土壌へ浸透させる機能を有する水貯留槽に適用してもよい。すなわち、水貯留槽とは、少なくとも水を貯留する機能を有する槽であることを示し、水を貯留する機能に加えて水を土壌に浸透させる機能を有する水貯留槽を含む。こうした水貯留槽の場合、積層構造体と土壌との間に水浸透シートを配置させることで、その水浸透シートを通じた水は土壌に浸透される。
【0043】
・ 前記構造部材11は、雨水を貯留して水害を防止する水貯留槽に限らずに、農業用水の水貯留槽、防火用水用の水貯留槽、噴水用の水を貯留する水貯留槽等に適用することもできる。
【0044】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について記載する。
・ 前記曲げ手段は、前記連結部を貫通する貫通孔であることを特徴とする水貯留槽用の構造部材。上記構成によれば、貫通孔が形成されることで、連結部の剛性が局所的に小さくなり、連結部を屈曲させ易くなる。また、同貫通孔は、連結部を貫通するように形成されているため、構造部材内に流入した水の流路、及び空気抜きとしても機能する。
【0045】
・ 前記連結部には、複数の曲げ手段が平行に配置されていることを特徴とする水貯留槽用の構造部材。
・ 前記連結部は断面波形状に形成されており、前記連結部の屈曲時に前記連結部は伸縮可能であることを特徴とする水貯留槽用の構造部材。
【0046】
・ 前記連結部は前記ブロック台間において伸縮可能であることを特徴とする水貯留槽用の構造部材。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態の構造部材を示す斜視図。
【図2】本実施形態の構造部材を示す斜視図。
【図3】(a)は、図2におけるX−X線断面図。(b)は、図3(a)の連結部を示す拡大図。
【図4】(a)は、図2におけるY−Y線断面図。(b)は、図4(a)の連結部を示す拡大図。
【図5】本実施形態の構造部材を設置面に設置した状態を示す側面図。
【図6】本実施形態の構造部材を設置面に設置した状態を示す側面図。
【図7】(a)は、従来の構造部材を積層した状態を示す斜視図。(b)は、従来の構造部材を設置面に設置した状態を示す側面図。
【符号の説明】
【0048】
T…設置面、10…並置積層構造体、11…構造部材、12…基台、13…脚部、15,15A,15B,15C,15D…ブロック台、30…連結部、31…貫通孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、該基台に立設された脚部とを備え、複数個を並置しつつ積層した状態にすることによって水貯留槽の貯留空間を確保して並置積層構造体を構成する水貯留槽用の構造部材であって、
前記基台は、少なくとも1つの前記脚部を有するブロック台が複数個、連結部を介して連結されるとともに前記ブロック台及び連結部が一体成形されてなるものであり、前記連結部は、前記並置積層構造体における積層方向に自身を屈曲又は湾曲可能にする曲げ手段を備えたことを特徴とする水貯留槽用の構造部材。
【請求項2】
前記曲げ手段は、前記連結部が延設される方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の水貯留槽用の構造部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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