説明

油性物質燃焼装置及び油性物質の燃焼方法

【課題】 油性物質、水及び気泡を撹拌混合して得られる気泡含有油水分散液又は気泡含有油を供給ポンプにより燃焼バーナーに導いて燃焼させる際、低圧力であっても、油性物質を安定して持続的に且つ高い熱効率で燃焼させることのできる油性物質燃焼装置を提供する。
【解決手段】本発明の油性物質燃焼装置は、油性物質を燃焼させる燃焼装置であって、油性物質、水及び気泡、又は油性物質及び気泡の撹拌混合により気泡含有油水分散液又は気泡含有油が調製される混合タンクと、燃焼バーナーと、前記気泡含有油水分散液又は気泡含有油を混合タンクから燃焼バーナーに供給する供給ポンプを備えているとともに、前記混合タンク内に、気泡含有油水分散液又は気泡含有油を通過させて噴出させることにより気泡含有油水分散液又は気泡含有油中に微細気泡を発生させる環状スリットを備える微細気泡発生装置が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油水混合液中の油性物質又は油性物質そのものを安定して持続的に且つ効率よく燃焼させることのできる油性物質燃焼装置及び油性物質の燃焼方法に関する。より詳しくは、油水混合液又は油性物質を高い圧力を要することなく燃焼バーナーに送液でき、油性物質の不完全燃焼を防止して、油性物質を安定して持続的に完全燃焼させることのできる油性物質燃焼装置及び油性物質の燃焼方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、環境の保全及び資源の有効利用等の観点から、油水混合液(油水分散液、油水乳化液、油水エマルジョン液)を用いて、効率的な燃焼を得る試みが行われている。
【0003】
油水混合液を用いた燃焼装置では、安定した燃焼を持続させるために、乳化剤の使用の有無にかかわらず、燃焼系に油水混合液を供給する際に高い圧力が必要であった。これは、油水混合液を油水の分離を防止しつつ燃焼ノズルに送液するとともに、燃焼ノズルでの油水混合液の噴霧を良好にして安定した燃焼を得るためである。しかし、このような従来の油水混合液を用いた燃焼装置では、高圧を取り扱うことにより、コストの増大、安全性の低下、装置の大型化等の問題があった。
【0004】
例えば、特許第3928969号公報には、円筒形の撹拌槽と、その撹拌槽内に油と水とをそれぞれ給送する定量ポンプと、その撹拌槽内に回転可能に設けられた油と水とを撹拌して混合燃料を生成する撹拌手段と、その撹拌手段で生成された混合燃料を送出する高圧ポンプと、ノズルと空気導入筒とを一端部に有する燃焼室と、一端が前記高圧ポンプに他端が前記ノズルにそれぞれ接続され前記燃焼室周壁に巻回された中間加熱部を有する燃料供給管と、一端がブロワーに他端が前記空気導入筒にそれぞれ接続された給気管とを備えた油水混合液の燃焼装置が開示されている。この燃焼装置では、物理的な撹拌のみで油と水の撹拌を行い、油水分離を防ぎつつ安定してノズルから噴射燃焼することができ、界面活性剤等の乳化剤を要することもなく比較的低燃費で油水混合燃料を燃焼できるという利点がある。しかし、この燃焼装置では、物理的な撹拌のみで油水混合液を調製しているので、油水分離の防止と、良好な噴霧を行い安定した燃焼を得るためには10MPaを超える高圧が必要である。このため、コスト、安全性、設備等の点で不利である。また、この燃焼装置は、油の燃焼効率の点でも必ずしも充分満足できるものではなく、煤塵やすすが発生することもあった。
【0005】
また、特開昭52−25807号公報には、水と重油を混合し、粘度を下げるために空気を添加し比重を軽くすることによって泡状化し、噴射を良好にしながら燃料重油を20〜30%節約して熱効率を高めることを特徴とした熱効率を高めうる重油節約装置が開示されている。この文献には、この装置を用いると、約20〜30%加水乳化した燃料油の噴霧された油粒子が熱せられ蒸発、ガス化する過程において、中心部に水粒子を含んだ油粒子が加熱されて蒸発する瞬間、水が蒸発するときに小爆発を起こし、水の周囲を取り囲んだ油粒子が数十乃至数百の微粒子に分散され、0.05mmの油粒子になって噴射爆発され、噴射された粒子は0.001mm以下の分子群の状態に分離され、ガス化を早めて空気との混合燃焼が行われるので、過剰空気量が少ない場合にも完全燃焼されて、煙突から排出される未燃焼分は著しく減少し、良好な熱効率が得られると記載されている。しかし、この装置においても、油水の分離防止と油水混合液の良好な噴霧を確保するため、また送液ポンプが気泡の蓄積により送液不能となるのを防止するため、空気と水と重油を高圧の圧縮混合機内で混合分散する必要がある。
【0006】
一方、液体燃料にガス気泡を混合、分散させることを特徴とする燃料の改質方法が開示されている(特許文献3)。しかし、この方法では加熱効率が必ずしも十分高いとはいえず、さらに効率よい油性燃料の燃焼方法が求められている。
【0007】
【特許文献1】特許第3928969号公報
【特許文献2】特開昭52−25807号公報
【特許文献3】特開2002−181326
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、油性物質、水及び気泡、又は油性物質及び気泡を撹拌混合して得られる気泡含有油水分散液又は気泡含有油を供給ポンプにより燃焼バーナーに導いて燃焼させる際、送液ポンプが気泡の蓄積により送液不能となるのを防止できるとともに、低圧力であっても、気泡含有油水分散液又は気泡含有油中の油性物質を安定して持続的に且つ高い熱効率で燃焼させることのできる油性物質燃焼装置、及びそれを用いた油性物質の燃焼方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の気泡発生装置を用いて得られる気泡含有油水分散液又は気泡含有油は、発生する気泡が極めて微細であるため、気泡及び油水の分散安定性が高く、低圧力であっても安定して気泡含有油水分散液又は気泡含有油を燃焼バーナーに供給できるとともに、低圧力であっても良好な噴霧が可能であり、従って、気泡含有油水分散液又は気泡含有油中の油性物質を安定して持続的に且つ高い熱効率で完全燃焼させることができること、また気泡含有油水分散液又は気泡含有油供給ポンプが気泡の蓄積により送液不能となるのを防止できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、油性物質を燃焼させる燃焼装置であって、油性物質、水及び気泡、又は油性物質及び気泡の撹拌混合により気泡含有油水分散液又は気泡含有油が調製される混合タンクと、燃焼バーナーと、前記気泡含有油水分散液又は気泡含有油を混合タンクから燃焼バーナーに供給する供給ポンプを備えているとともに、前記混合タンク内に、気泡含有油水分散液又は気泡含有油を通過させて噴出させることにより気泡含有油水分散液又は気泡含有油中に微細気泡を発生させる環状スリットを備える微細気泡発生装置が設けられていることを特徴とする油性物質燃焼装置を提供する。
【0011】
前記油性物質燃焼装置において、微細気泡発生装置における環状スリットは、内径側から外径側に向かって間隙最小部から拡大するように設けられた流路拡大部を備えているのが好ましい。
【0012】
前記微細気泡発生装置は、略円盤状のステータと、ステータ内部に設けられ、周方向に回転する回転体と、ステータにそれぞれ設けられた液流入口及び気泡形成ガス流入口と、上部ステータと下部ステータの対向面周縁部に周方向に設けられ、ステータ内部で形成された気泡含有油水分散液又は気泡含有油を通過させて噴出させることにより気泡含有油水分散液又は気泡含有油中に微細気泡を発生させる環状スリットからなる微細気泡分散撹拌機でであるのが好ましい。
【0013】
また、前記微細気泡発生装置は、周方向に回転する略円盤状の回転体を備え、該回転体の下部にそれぞれ設けられた液流入口及び気泡形成ガス流入口と、該回転体を形成する互いに対向する円盤周縁部に周方向に設けられ、該回転体の対向する円盤内部で形成された気泡含有油水分散液又は気泡含有油を通過させて噴出させることにより、気泡含有油水分散液又は気泡含有油中に微細気泡を発生させる環状スリットからなる微細気泡分散撹拌機であるのも好ましい。
【0014】
前記油性物質燃焼装置においては、さらに、供給ポンプから燃焼バーナーへ供給される気泡含有油水分散液又は気泡含有油の一部を混合タンクに戻す循環ラインを備えていてもよい。
【0015】
油性物質としては、重油、灯油、植物油及び廃油から選択される少なくとも1種の油性物質を用いることができる。
【0016】
気泡含有油水分散液又は気泡含有油における油性物質と水との混合割合は、油性物質:水(重量比)=60:40〜100:0の範囲であるのが好ましい。
【0017】
本発明は、また、油性物質と水と気泡、又は油性物質と気泡とを混合撹拌して得られる気泡含有油水分散液又は気泡含有油を燃焼バーナーに供給して油性物質を燃焼させる方法であって、前記の油性物質燃焼装置を用いることを特徴とする油性物質の燃焼方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、特定構造を有する微細気泡発生装置を用いるため、油水分散液又は油性物質中に気泡径の極めて小さい微細気泡(超微細気泡)が発生する。このため、得られる気泡含有油水分散液又は気泡含有油における気泡の分散安定性及び油水の分散安定性が著しく高く、低圧力であっても安定して気泡含有油水分散液又は気泡含有油を燃焼バーナーに供給できるとともに、低圧力であっても油水混合液又は油性物質の良好な噴霧状態を可能とする。従って、気泡含有油水分散液又は気泡含有油中の油性物質を安定して持続的にしかも高い熱効率で完全燃焼させることができる。また、気泡含有油水分散液又は気泡含有油中の気泡の径が極めて小さいので、供給ポンプが気泡の蓄積により送液不能となるのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の油性物質燃焼装置の一例を示す概略図である。この例では、水供給タンク1から水が、油供給タンク2から油性物質が、それぞれポンプ17a及び17bにより、所定の割合で混合タンク5に定量給送される。18a及び18bは、それぞれ、水供給タンク1及び油供給タンク2の開閉弁であり、3a及び3bは、それぞれ、水及び油性物質の流量を測定する流量計である。混合タンク5には、水供給タンク1から供給された水、油供給タンク2から供給された油性物質、及び気泡を混合撹拌するための撹拌機(ミキサー)4が備え付けられている。なお、撹拌機(ミキサー)4は必ずしも備え付ける必要はない。また、混合タンク5の底部には、微細気泡発生装置(エアレーター)6が設置されている。なお、微細気泡発生装置6の設置部位は、必ずしも混合タンク5の底部でなくてもよく、混合タンク5の側部であってもよい。
【0020】
油性物質としては、液状又は半固体の比較的極性の低い物質、例えば、重油、灯油、ガソリン、軽油、ナフサ、流動パラフィン、イソパラフィン、ミネラルスピリット、キシレン、トルエン、ワセリン等の鉱物油;ひまし油、アボガド油、オリーブ油、マカデミアンナッツ油、サフラワ油、胡麻油、大豆油、つばき油、綿実油、菜種油、アーモンド油等の植物油;黄卵油、トータ油、馬油、魚油等の動物油類;アラキドン酸、イソステアリン酸、ウンデシル酸、オレイン酸、軟質ラノリン酸、リノール酸、リノレン酸等の高級脂肪酸類;イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデシルアルコール、ヘキシルデシルアルコール等の高級アルコール類;イソステアリン酸イソセチル、オクタン酸セチル、オクタン酸セトステアリル、オレイン酸デシル、ステアリン酸イソセチル、ミリスチン酸イソプロビル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ラウリン酸ヘキシル等の高級エステル類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン等のシリコーンオイル類;ポリアルキレングリコール、液状エポキシ樹脂、液状ブタジエン樹脂等の液状樹脂類などが挙げられる。油性物質として廃油も使用できる。油性物質は、一成分のみで構成されていてもよいし、二以上の成分で構成されていてもよい。油性物質としては、特に、重油、灯油、植物油、廃油(例えば、廃植物油、廃鉱物油等)が好ましい。
【0021】
気泡含有油水分散液又は気泡含有油における油性物質と水との混合割合は、通常、油性物質:水(重量比)=60:40〜100:0の範囲であり、好ましくは油性物質:水(重量比)=60:40〜99.99:0.01(例えば、60:40〜99.9:0.1)、より好ましくは油性物質:水(重量比)=70:30〜98.5:1.5、さらに好ましくは油性物質:水(重量比)=75:25〜98.5:1.5、特に好ましくは油性物質:水(重量比)=80:20〜98:2の範囲である。油性物質:水の値が低すぎると、水の温度上昇及び蒸発に多くの熱が使われるので熱効率が低下しやすくなり、また燃焼の際の火炎の状態が不安定になりやすい。また、油性物質の混合割合が高すぎると、液の粘度が高くなり、ライン等に詰まりが生じやすくなる。気泡含有油水分散液又は気泡含有油としては、環境保護の観点からは、気泡含有油水分散液がより好ましい。気泡含有油水分散液を用いる場合には、排気中におけるスス(煤)や、窒素酸化物、二酸化硫黄の量を低減できるというメリットがある。
【0022】
撹拌機4としては、特に限定されず、液撹拌に通常用いられるものを使用できる。
【0023】
微細気泡発生装置6は本体部61とモーター部62とで構成されており、本体部61は混合タンク5内の気泡含有油水分散液又は気泡含有油中に置かれている。微細気泡発生装置6の本体部61には、混合タンク5内の気泡含有油水分散液又は気泡含有油を該本体部61内に流入させる液流入口と、コンプレッサー7から供給される気泡形成ガス(空気)を該本体部61内に流入させる気泡形成ガス(空気)流入口と、流入した液及び気泡形成ガスを撹拌、混合すると共に、得られた気液混合液(気泡含有油水分散液又は気泡含有油)に吐出流を発生させる回転体(撹拌翼)と、気液混合液を混合タンク5内の気泡含有油水分散液又は気泡含有油中に噴出させる環状スリットとを備えている。本体部61内で形成された気液混合液をして環状スリットを高速で通過、噴出させることにより、気泡径が極めて小さい超微細気泡が多数生成し、混合タンク5内に微細気泡を多数含む気泡含有油水分散液又は気泡含有油が調製される。この気泡含有油水分散液又は気泡含有油は本発明において燃料として使用される。
【0024】
微細気泡発生装置6では、例えば環状スリットの構造、気泡混合液の環状スリットにおける通過速度、本体部61への気泡形成ガスと液の供給割合等を調整することにより、気泡含有油水分散液又は気泡含有油中の微細気泡の気泡径、気泡径分布、及び気泡の個数を制御することができる。気泡の個数、気泡径、気泡径の分布等は、パーティクルカウンタを用いて測定することができる。
【0025】
微細気泡発生装置6によれば、気泡径5μm以下(あるいは5μm未満)の気泡を多数発生させることができる。例えば、水中で微細気泡を発生させた場合、気泡径2〜5μmの気泡の個数が、20〜30℃において、例えば100個/mL以上、好ましくは300個/mL以上、さらに好ましくは1000個/mL以上、特に2000個/mL以上の微細気泡含有水を得ることができる。本発明では、このような微細気泡(超微細気泡)を含む気泡含有油水分散液又は気泡含有油を燃料として用いるため、低圧力であっても安定して気泡含有油水分散液又は気泡含有油を燃焼バーナーに供給でき、低圧力であっても油水混合液又は油性物質を微細な粒子として噴霧でき、しかも気泡含有油水分散液又は気泡含有油供給ポンプが気泡の蓄積により送液不能となるのを防止できる。
【0026】
なお、上記微細気泡発生装置6では、通常、気泡径が5μmを超える気泡(例えば、気泡径5〜50μmの気泡)も発生する。例えば、水中で微細気泡を発生させた場合、上記微細気泡発生装置6により得られる微細気泡含有水中に含まれる気泡径2〜50μmの気泡の個数は、20〜30℃において、一般に100個/mL以上、好ましくは300個/mL以上、より好ましくは1000個/mL以上、さらに好ましくは2000個/mL以上である。
【0027】
前記環状スリットは、内径側から外径側に向かって間隙最小部から拡大するように設けられた流路拡大部を備えているのが好ましい。環状スリットがこのような構造を有すると、気泡混合液が高速で通過して噴出することにより、気泡混合液中に気泡径の極めて小さい微細気泡が発生する。これは、気泡混合液が、内径側から外径側に向かって間隙最小部から連続的に拡大する流路(流路拡大部)を通過する際に、(i)流路の広がりに気泡の膨張速度が追いつかず、気泡が破壊される現象、(ii)溶存した気泡形成ガスが、間隙最小部から流路拡大部に通過する際に生じる減圧作用によりガス化する現象、又は(iii)前記(i)と(ii)が同時に生じる現象が生じているためと推測される。
【0028】
上記好ましい環状スリットの構造においては、少なくとも内径側から外径側に向かって間隙最小部から拡大するように設けられた流路拡大部を備えている限り特に制限されず、例えば、間隙最小部の内径側に、間隙最小部に向かって連続的に流路が縮小する流路縮小部を有していてもよい。また、環状スリットは、内径側から外径側に向かって段階的に流路断面積が増える構造、内径側から外径側に向かって段階的に流路断面積が減少する構造、内径側から外径側に向かって連続的に流路断面積が増える構造、内径側から外径側に向かって連続的に流路断面積が減少する構造を有していてもよい。
【0029】
本発明では、超微細気泡を効率よく発生させる観点から、環状スリットは、内径側から外径側に向かって間隙最小部から連続的に流路断面積が増える流路拡大部を備えることが好ましい。
【0030】
本発明では、通常、環状スリットは、本体部61及びモーター部62から構成される微細気泡発生装置6(モーター付きエアレーター)の本体部61に設けられている。モーター部62としては、キャンドモーターが好適に用いられる。
【0031】
微細気泡発生装置6の本体部61は、例えば、略円盤状のステータ(対向する上部ステータと下部ステータとで構成されている)と、ステータ内部に設けられ、周方向に回転する回転体と、ステータの任意の部位(例えば、下底部)にそれぞれ設けられた液流入口及び気泡形成ガス流入口(気泡供給管)と、上部ステータと下部ステータの対向面周縁部に周方向に設けられ、ステータ内部で形成された気泡混合液を通過させて噴出させることにより気泡混合液中に微細気泡を発生させる環状スリットとで構成することができる。
【0032】
このような本体部61を有する微細気泡発生装置では、例えばモーター部62を用いること等で動力を発生させることにより、本体部61にコンプレッサー7から供給される気泡形成ガス(空気)と本体部61に吸い込まれた液とが混合され気泡混合液となり、さらに該気泡混合液が高速で環状スリットを通過するので気泡混合液中に気泡径の極めて小さい微細気泡が発生する。
【0033】
図3は、微細気泡発生装置6の本体部61の一例を示す概略断面図である。図3において、201は回転軸、202は気泡形成ガス経路、203はボルト、204は孔部、205は液流入口(液取り入れ口)、206は回転体、206aは回転体206の円盤、206bは回転体206の遠心翼、207は上部ステータ部、208は下部ステータ部、209は環状スリット、209aは環状スリット209の流路縮小部、209bは環状スリット209の間隙最小部、209cは環状スリット209の流路拡大部、210は流路を示す。
【0034】
回転軸201は、モーター部62とつながっており、モーター部62によって高速回転(例えば3600〜4000rpm)可能である。また回転軸201には、回転体206が設けられており、回転体206は円盤206aと複数の遠心翼206bにより構成されている。このため、回転軸の高速回転により、本体部61内部に液流入口205から油水混合液又は油性物質が吸い込まれ、さらに本体部61内部で吸い込まれた油水混合液又は油性物質と気泡形成ガス経路202を通じて供給される気泡形成ガスとが混合され、気泡混合液となり、さらにまた該気泡混合液は、環状スリット209を本体部61の内部側から外部側に向かって高速で通過して噴出する。該気泡混合液が環状スリット209を高速で通過して噴出する際に気泡混合液中に微細気泡が発生して微細気泡混合液となる。なお、気泡は回転体206の高速回転作用によって細かく裁断されていると推測される。
【0035】
また、本体部61には、孔部204を備えている。このため、液を溜める初期のときに内部に残留する気体を排出できる。従って、可動時にステータ内に気体が残留することによって回転体206が機能しないことを防止することができる。また、気体供給量が過剰であれば、この孔から出てくるので、目視にて、ガス供給量を調整できる。
【0036】
図4は、微細気泡発生装置6の本体部61の他の例を示す概略断面図である。この本体部は、周方向に回転する略円盤状の回転体(対向する円盤上部307と円盤下部308とで構成されている)を備え、該回転体の下部にそれぞれ設けられた液流入口305及び気泡形成ガス流入口302と、該回転体を形成する互いに対向する円盤周縁部に周方向に設けられ、該回転体の対向する円盤内部で形成された気泡含有油水分散液又は気泡含有油を通過させて噴出させることにより、気泡含有油水分散液又は気泡含有油中に微細気泡を発生させる環状スリットとで構成されている。図4において、301は回転軸、302は気泡形成ガス経路、303はボルト、305は液流入口(液吸い込み口)、306bは回転体の遠心翼、307は円盤上部、308は円盤下部、309は環状スリット、309aは環状スリット309の流路縮小部、309bは環状スリット309の間隙最小部、309cは環状スリット309の流路拡大部、310は流路、311は撹拌翼を示す。
【0037】
このような本体部61を有する微細気泡発生装置においても、例えばモーター部62を用いること等で動力を発生させることにより、本体部61にコンプレッサー7から供給される気泡形成ガス(空気)と本体部61に吸い込まれた液とが混合され気泡混合液となり、さらに該気泡混合液が高速で環状スリットを通過するので気泡混合液中に気泡径の極めて小さい微細気泡が発生する。
【0038】
回転軸301は、モーター部62とつながっており、モーター部62によって高速回転(例えば3600〜4000rpm)可能である。また回転軸301には、回転体が設けられており、回転体は円盤上部307と円盤下部308と複数の遠心翼306bと複数の撹拌翼311により構成されている。このため、回転軸の高速回転により、本体部61内部に液流入口305から油水混合液又は油性物質が吸い込まれ、さらに本体部61内部で吸い込まれた油水混合液又は油性物質と気泡形成ガス経路302を通じて供給される気泡形成ガスとが混合され、気泡混合液となり、さらにまた該気泡混合液は、環状スリット309を本体部61の内部側から外部側に向かって高速で通過して噴出する。該気泡混合液が環状スリット309を高速で通過して噴出する際に気泡混合液中に微細気泡が発生して微細気泡混合液となる。回転体に設けられた遠心翼306bにより、別途ポンプを要することなく液体をより一層確実に流すことができる。また、回転体の外面に撹拌翼311を設置することにより、タンク内の気泡含有油水分散液又は気泡含有油の撹拌がより効率よく行われる。なお、気泡は回転体の高速回転作用によって細かく裁断されていると推測される。前記、遠心翼306b、撹拌翼311は、それぞれ、設けられていなくてもよいが、設けられているのがより好ましい。
【0039】
気泡形成ガス(空気)の供給量としては、特に制限されないが、例えば、微細気泡発生装置6において超微細気泡を、油水混合液又は油性物質1ml中に100個以上発生させる場合、0.01L/min以上であるのが好ましい。
【0040】
混合タンク5で気泡含有油水分散液を調製する際、必要に応じて乳化剤を添加することができる。
【0041】
混合タンク5で調製された気泡含有油水分散液又は気泡含有油は、供給ポンプ8により、切り替え弁9a、9bを通って、円筒状の燃焼バーナー11の一方の端部の略中央部に設けられたノズル12に送液され、ノズル12により燃焼バーナー11内に噴射(噴霧)される。10は気泡含有油水分散液又は気泡含有油供給ラインである。なお、気泡含有油水分散液又は気泡含有油供給ポンプ8で送液される気泡含有油水分散液又は気泡含有油の一部は、必要に応じて、外部循環ライン15を通じて再び混合タンク5に送液される。循環される気泡含有油水分散液又は気泡含有油は、良好な分散状態を保持するとともに、気泡含有油水分散液又は気泡含有油中の気泡をさらに裁断するため、スタティックミキサー16によって撹拌混合した後、混合タンク5に戻されるのが好ましい。なお、気泡含有油水分散液又は気泡含有油供給ライン10の適宜な箇所に、同様な理由でスタティックミキサーを設けてもよい。18c、18d、18eはそれぞれ開閉弁である。燃焼バーナー11には、燃料としての気泡含有油水分散液又は気泡含有油を噴射するノズル12のほか、点火用の着火バーナー14が設けられている。そして、燃焼バーナー11内では、ノズル12から噴射され霧状となった気泡含有油水分散液又は気泡含有油中の油性物質が、送風機(ブロアー)13より導入される空気により燃焼する。
【0042】
供給ポンプ8としては、気泡含有油水分散液又は気泡含有油を送液可能なものであれば特に限定されないが、例えば、容積式定量ポンプ等が好ましく用いられる。このようなポンプを用いれば、ポンプが気泡の蓄積により送液不能となるのを防止できる。
【0043】
気泡含有油水分散液又は気泡含有油を供給ポンプ8で送液する際の液温は、通常、10〜60℃、好ましくは20〜40℃である。また、送液の際の圧力(供給ポンプ8の吐出側の圧力)は、通常、0.5〜10MPa(ゲージ圧)、好ましくは1〜5MPa(ゲージ圧)である。本発明では、油性物質の粘度が高くても水と微細な気泡により微分散しているので、送液圧力を低圧にすることができる。このため、コストや安全性に優れているとともに、装置をコンパクト化できるという大きな利益が得られる。
【0044】
本発明では、前記特定の構造を有する微細気泡発生装置を用いるので、気泡含有油水分散液又は気泡含有油中の気泡の気泡径は著しく小さい。この微小気泡により油水分散液は乳化され、空気が溶解飽和された状態となる。気泡含有油水分散液は、噴霧により、油性物質粒子が水を内部に含有している形態の油水粒子となり、油性物質粒子が加熱により気化する際、内部の水が瞬間的に水蒸気爆発を生じ、油性物質粒子は飛散・分散するとともに、油水粒子中に存在している空気が急激に膨張するため、さらに微細な油性物質微粒子となる。そして、本発明の油性物質燃焼装置では、油性物質がこのような非常に微細な油性物質微粒子の状態からガス化して燃焼するので、完全燃焼し(ススの生成が極めて少なく)、燃焼効率が著しく高い。また、窒素酸化物や二酸化硫黄の生成も非常に少ない。一方、気泡含有油は、噴霧により、ノズル出口で油中に存在する微細気泡の急激な膨張によって微細な油性物質微粒子になるとともに、微細気泡に含まれる酸素によって燃焼が進行し、さらに周囲の空気も混合して燃焼が進行する。そのため、燃焼効率が著しく高い。
【0045】
このように、本発明の油性物質燃焼装置及び油性物質の燃焼方法によれば、油性物質を熱効率よく燃焼させることができ、また環境面でも優れている。
【0046】
図2は、本発明の油性物質燃焼装置によって得られる熱の利用形態の一例を示す概略図である。この例では、燃焼バーナー11のノズル12とは反対側の端部の先に円筒状の熱交換器101が付設されている。熱交換器101には、下部に水供給ライン103からの水を流入させる水流入口(図示せず)、上部に熱交換された水を排出する水排出ライン104と接続する水排出口(図示せず)、及び燃焼バーナー11側の端部の上部に燃焼後のガスを排気する排気口(排気筒)102が設けられている。熱交換器101において、燃焼バーナー11の延長上(長さ方向)には、燃焼バーナー11の径と同程度の径を有する空洞が設けられており、該空洞は熱交換器101のほぼ端部まで達している。この空洞に、燃焼バーナー11内で生成した火炎が噴射される。前記空洞の回りには、多数の伝熱管が長さ方向に配設されており、水供給ライン103から流入した水はこの伝熱管の中を通り、そこで熱を受け取った後、水排出ライン104から排出される。
【0047】
本発明の油性物質燃焼装置によって得られる熱を利用する熱負荷としては、例えばボイラなどが挙げられる。
【実施例】
【0048】
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0049】
なお、実施例で用いた微細気泡発生装置6は、エアレーター(本体部)[(株)帝国電機製作所で開発中のマイクロバブルエアレーター]及びモータ部で構成されている。エアレーター(本体部)は、図2で示されるように、略円盤状のステータと、ステータ内部に設けられ、周方向に回転する回転体と、ステータの下底部にそれぞれ設けられた液流入口及び気泡形成ガス(空気)流入口と、上部ステータと下部ステータの対向面周縁部に周方向に設けられ、ステータ内部で形成された気液混合物を通過させて噴出させることにより気液混合物中に微細気泡を発生させる環状スリットとで構成されている。前記環状スリットは、間隙最小部、及び流路拡大部から構成され、内径側から外径側に向かって間隙最小部から連続的に流路断面積が増える流路拡大部を備えている。
【0050】
各部位の寸法は以下の通りである。ステータ部207、208の直径a:200mmφ、回転体206の直径b:130mmφ、遠心翼206bの幅(高さ):8mm、環状スリット209の間隙最小部209bのギャップc:0.2mm、遠心翼206bと下部ステータ部との距離(ギャップ)d:4mm、液流入口205の直径:10mmφ、環状スリット209の流路拡大部209cにおける拡がり角度(断面での拡がり角度)θ:5°、回転体206の回転数:3600rpm、気泡形成ガス経路202からの空気供給量(コンプレッサーにて供給):0.1〜0.2L/minである。なお、この微細気泡発生装置(回転体206の直径b:130mmφ)を用いた場合の微細気泡の発生個数(水道水26L使用;20〜30℃)をパーティクルカウンタ[パーティクルセンサの仕様:型式「Liquilaz-E20P」、測定粒径範囲2〜125μm、試料流量20mL/min、最大可測濃度10000個/mL、周辺装置(シリンジサンプラ、データ処理専用ソフト「Sampleersight」)]で測定したところ、気泡径2〜5μmの気泡の個数は約3800個/mL、気泡径2〜50μmの気泡の個数は約5700個/mLであった。上記エアレーターを用いた場合、パーティクルカウンタで測定した粒径分布から、気泡径2μm未満の気泡、あるいは気泡径数百ナノメーター以下のナノバブルも多数発生しているものと推測される。
【0051】
また、実施例で用いた円筒状の燃焼バーナー11及び円筒状の熱交換器101の仕様は以下の通りである。燃焼バーナー11の本体部の外径:355.6mmφ、燃焼バーナー11の本体部の長さ:500mm、熱交換器101の外径:1180mmφ、熱交換器101内に配設された伝熱管の数:36本、該伝熱管の外径:60.5mmφ、該伝熱管の長さ:1800mm、熱交換器101の保有水量:1503リットル。
【0052】
(実施例1)
図1で示される油性物質燃焼装置を用い、微細気泡発生装置6を作動させ、重油(油性物質;エクソンモービル社製、商品名「FOA 01」)と水と気泡(空気)とから得られる気泡含有油水分散液[重油と水の割合:重油/水(重量比)=70/30]を、供給ポンプ8により、0.27kg/minの供給速度で燃焼バーナー11へ送液し、ノズル12から噴射して、気泡含有油水分散液中の重油を燃焼させた。なお、図2で示されるように、油性物質燃焼装置の燃焼バーナー11のノズル12とは反対側の端部の先に円筒状の熱交換器101を設置し、重油の燃焼により得られた熱を熱交換器内の伝熱管を通過する水の温度上昇に用いた。
熱交換器101への水の流量を200kg/minとし、安定運転時における熱収支をとった。その結果、重油1kg当たりの水の温度上昇は、3.39K(ケルビン)/kgであり、燃焼加熱効率(水の顕熱/理論燃焼熱量)は、0.566(比較例1の1.01倍)であった。供給ポンプ8の吐出側の圧力は、3MPa(ゲージ圧)であった。
【0053】
(実施例2)
図1で示される油性物質燃焼装置を用い、微細気泡発生装置6を作動させ、重油(油性物質;エクソンモービル社製、商品名「FOA 01」)と水と気泡(空気)とから得られる気泡含有油水分散液[重油と水の割合:重油/水(重量比)=80/20]を、供給ポンプ8により、0.27kg/minの供給速度で燃焼バーナー11へ送液し、ノズル12から噴射して、気泡含有油水分散液中の重油を燃焼させた。なお、図2で示されるように、油性物質燃焼装置の燃焼バーナー11のノズル12とは反対側の端部の先に円筒状の熱交換器101を設置し、重油の燃焼により得られた熱を熱交換器内の伝熱管を通過する水の温度上昇に用いた。
熱交換器101への水の流量を200kg/minとし、安定運転時における熱収支をとった。その結果、重油1kg当たりの水の温度上昇は、3.54K(ケルビン)/kgであり、燃焼加熱効率(水の顕熱/理論燃焼熱量)は、0.589(比較例1の1.05倍)であった。供給ポンプ8の吐出側の圧力は、3MPa(ゲージ圧)であった。
【0054】
(実施例3)
図1で示される油性物質燃焼装置を用い、微細気泡発生装置6を作動させ、重油(油性物質;エクソンモービル社製、商品名「FOA 01」)と水と気泡(空気)とから得られる気泡含有油水分散液[重油と水の割合:重油/水(重量比)=90/10]を、供給ポンプ8により、0.32kg/minの供給速度で燃焼バーナー11へ送液し、ノズル12から噴射して、気泡含有油水分散液中の重油を燃焼させた。なお、図2で示されるように、油性物質燃焼装置の燃焼バーナー11のノズル12とは反対側の端部の先に円筒状の熱交換器101を設置し、重油の燃焼により得られた熱を熱交換器内の伝熱管を通過する水の温度上昇に用いた。
熱交換器101への水の流量を200kg/minとし、安定運転時における熱収支をとった。その結果、重油1kg当たりの水の温度上昇は、3.67K(ケルビン)/kgであり、燃焼加熱効率(水の顕熱/理論燃焼熱量)は、0.610(比較例1の1.08倍)であった。供給ポンプ8の吐出側の圧力は、3MPa(ゲージ圧)であった。
【0055】
(実施例4)
図1で示される油性物質燃焼装置を用い、微細気泡発生装置6を作動させ、重油(油性物質;エクソンモービル社製、商品名「FOA 01」)と水と気泡(空気)とから得られる気泡含有油水分散液[重油と水の割合:重油/水(重量比)=97.5/2.5]を、供給ポンプ8により、0.38kg/minの供給速度で燃焼バーナー11へ送液し、ノズル12から噴射して、気泡含有油水分散液中の重油を燃焼させた。なお、図2で示されるように、油性物質燃焼装置の燃焼バーナー11のノズル12とは反対側の端部の先に円筒状の熱交換器101を設置し、重油の燃焼により得られた熱を熱交換器内の伝熱管を通過する水の温度上昇に用いた。
熱交換器101への水の流量を200kg/minとし、安定運転時における熱収支をとった。その結果、重油1kg当たりの水の温度上昇は、3.67K(ケルビン)/kgであり、燃焼加熱効率(水の顕熱/理論燃焼熱量)は、0.610(比較例1の1.08倍)であった。供給ポンプ8の吐出側の圧力は、3MPa(ゲージ圧)であった。
【0056】
(実施例5)
図1で示される油性物質燃焼装置を用い、微細気泡発生装置6を作動させ、重油(油性物質;エクソンモービル社製、商品名「FOA 01」)と気泡(空気)とから得られる気泡含有油[重油のみ(水を含まず)]を、供給ポンプ8により、0.37kg/minの供給速度で燃焼バーナー11へ送液し、ノズル12から噴射して、気泡含有油中の重油を燃焼させた。なお、図2で示されるように、油性物質燃焼装置の燃焼バーナー11のノズル12とは反対側の端部の先に円筒状の熱交換器101を設置し、重油の燃焼により得られた熱を熱交換器内の伝熱管を通過する水の温度上昇に用いた。
熱交換器101への水の流量を200kg/minとし、安定運転時における熱収支をとった。その結果、重油1kg当たりの水の温度上昇は、3.73K(ケルビン)/kgであり、燃焼加熱効率(水の顕熱/理論燃焼熱量)は、0.622(比較例1の1.10倍)であった。供給ポンプ8の吐出側の圧力は、3MPa(ゲージ圧)であった。
【0057】
(比較例1)
微細気泡発生装置6を作動させることなく、重油(油性物質)と水とから得られる油水分散液を燃料として用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、重油1kg当たりの水の温度上昇は、3.37K/kgであり、燃焼加熱効率(水の顕熱/理論燃焼熱量)は、0.563であった。供給ポンプ8の吐出側の圧力は、3MPa(ゲージ圧)であった。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は本発明の油性物質燃焼装置の一例を示す概略図である。
【図2】図2は本発明の油性物質燃焼装置によって得られる熱の利用形態の一例を示す概略図である。
【図3】図3は微細気泡発生装置の本体部の一例を示す概略断面図である。
【図4】図4は微細気泡発生装置の本体部の他の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 水供給タンク
2 油供給タンク
3a,3b 流量計
4 撹拌機(ミキサー)
5 混合タンク
6 微細気泡発生装置
61 本体部
62 モーター部
7 コンプレッサー
8 気泡含有油水分散液又は気泡含有油供給ポンプ
9a,9b 切り替え弁
10 気泡含有油水分散液又は気泡含有油供給ライン
11 燃焼バーナー
12 ノズル
13 送風機
14 着火バーナー
15 外部循環ライン
16 スタティックミキサー
17a,17b ポンプ
18a,18b,18c,18d,18e 開閉弁
101 熱交換器
102 排気口
103 水供給ライン
104 水排出ライン
201,301 回転軸
202,302 気泡形成ガス(空気)経路
203,303 ボルト
204 孔部
205,305 液流入口
206 回転体
206a 円盤
206b,306b 遠心翼
207 ステータ部(上部ステータ部)
208 ステータ部(下部ステータ部)
209,309 環状スリット
209a,309a 流路縮小部
209b,309b 間隙最小部
209c,309c 流路拡大部
210,310 流路
307 円盤上部
308 円盤下部
311 撹拌翼

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油性物質を燃焼させる燃焼装置であって、油性物質、水及び気泡、又は油性物質及び気泡の撹拌混合により気泡含有油水分散液又は気泡含有油が調製される混合タンクと、燃焼バーナーと、前記気泡含有油水分散液又は気泡含有油を混合タンクから燃焼バーナーに供給する供給ポンプを備えているとともに、前記混合タンク内に、気泡含有油水分散液又は気泡含有油を通過させて噴出させることにより気泡含有油水分散液又は気泡含有油中に微細気泡を発生させる環状スリットを備える微細気泡発生装置が設けられていることを特徴とする油性物質燃焼装置。
【請求項2】
微細気泡発生装置における環状スリットが、内径側から外径側に向かって間隙最小部から拡大するように設けられた流路拡大部を備えている請求項1記載の油性物質燃焼装置。
【請求項3】
微細気泡発生装置が、略円盤状のステータと、ステータ内部に設けられ、周方向に回転する回転体と、ステータにそれぞれ設けられた液流入口及び気泡形成ガス流入口と、上部ステータと下部ステータの対向面周縁部に周方向に設けられ、ステータ内部で形成された気泡含有油水分散液又は気泡含有油を通過させて噴出させることにより気泡含有油水分散液又は気泡含有油中に微細気泡を発生させる環状スリットからなる微細気泡分散撹拌機である請求項1又は2記載の油性物質燃焼装置。
【請求項4】
微細気泡発生装置が、周方向に回転する略円盤状の回転体を備え、該回転体の下部にそれぞれ設けられた液流入口及び気泡形成ガス流入口と、該回転体を形成する互いに対向する円盤周縁部に周方向に設けられ、該回転体の対向する円盤内部で形成された気泡含有油水分散液又は気泡含有油を通過させて噴出させることにより、気泡含有油水分散液又は気泡含有油中に微細気泡を発生させる環状スリットからなる微細気泡分散撹拌機である請求項1又は2記載の油性物質燃焼装置。
【請求項5】
さらに、供給ポンプから燃焼バーナーへ供給される気泡含有油水分散液又は気泡含有油の一部を混合タンクに戻す循環ラインを備えている請求項1〜4の何れかの項に記載の油性物質燃焼装置。
【請求項6】
油性物質が、重油、灯油、植物油及び廃油から選択される少なくとも1種の油性物質である請求項1〜5の何れかの項に記載の油性物質燃焼装置。
【請求項7】
気泡含有油水分散液又は気泡含有油における油性物質と水との混合割合が、油性物質:水(重量比)=60:40〜100:0の範囲である請求項1〜6の何れかの項に記載の油性物質燃焼装置。
【請求項8】
油性物質と水と気泡、又は油性物質と気泡とを混合撹拌して得られる気泡含有油水分散液又は気泡含有油を燃焼バーナーに供給して油性物質を燃焼させる方法であって、請求項1〜7の何れかの項に記載の油性物質燃焼装置を用いることを特徴とする油性物質の燃焼方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−117116(P2010−117116A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292865(P2008−292865)
【出願日】平成20年11月15日(2008.11.15)
【出願人】(000150877)株式会社帝国電機製作所 (24)
【出願人】(302056871)清和工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】