説明

注出キャップ

【課題】容器体Aに装着したキャップ本体Bに対して蓋体Dを着脱可能に嵌合させた形態の注出キャップに於いて未使用を表現するバージンシール機構を設けた注出キャップを提案する。
【解決手段】キャップ本体Bは、容器体Aの口頸部4外周に抜け出しを防止して周壁10を嵌合するとともに、頂壁11の中央透孔12を栓部材Cで閉塞して容器体A上端開口を液密に閉塞している。栓部材は、透孔12に嵌合させた筒部31より延設したフランジ部30を頂壁11裏面に当接係止させ、筒部31の上端部に薄肉切断部33を介して棒栓34を立設し、棒栓上端部外周に摘み部35を突設して構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は注出キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
容器体の口頸部に装着し、未使用を表現できるバージンシール機能を備えた注出キャップが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
前者は、注出キャップ本体の頂壁の上に、該頂壁に形成した注出口を閉じる蓋体を重ねて、該蓋体の後部を注出キャップ本体に開閉自在にヒンジ結合し、また、その蓋体の頂壁の適所に破断開口部を形成して、該破断開口部の内面からボスを垂設し、該ボスの下縁に外向きの鈎部を形成し、かつ、該ボスに対応させて注出キャップ本体の頂壁の適所にボス挿通孔を穿設し、該ボス挿通孔にボスを挿通させるとともに、鈎部を孔縁に係合させている。
【0004】
また後者は、注出キャップ本体の頂壁上に、該頂壁に形成した注出口を閉じる蓋体を重ねて、該蓋体の後部を注出キャップ本体に開閉自在にヒンジ結合し、また、その注出キャップ本体の上周縁適所から薄肉破断部を介してシール板を立ち上げるとともに、該シール板を上記蓋体の外側に対峙させ、かつ、該シール板と蓋体との間に離脱可能な支持手段を講じてなり、蓋体の開蓋に伴うシール板の離脱により、開蓋のあったことを表示する如く構成している。
【特許文献1】特開平7−291325号公報
【特許文献2】特開平7−300149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記各注出キャップは、いずれもキャップ本体に対してヒンジを介して開閉可能に蓋体を設けた形態のものであり、それらにバージンシール機能を付与したものである。本発明では、キャップ本体に対して蓋体を螺着等の係止手段をもって着脱自在に嵌合させた形態の注出キャップにバージンシール機能を付与したものを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の注出キャップは、容器体に装着するキャップ本体と、該キャップ本体に着脱可能に装着する蓋体とから構成している。
【0007】
キャップ本体は容器体の口頸部外周に抜け出しを防止して周壁を嵌合し、また、頂壁の中央透孔を栓部材で閉塞して容器体上端開口を液密に閉塞して容器体に装着する。抜け出しを防止する手段として、口頸部外周の所定位置に凹設した凹部と、キャップ本体周壁に揺動可能に画成した揺動板内面に突設した係合突部との係合により行う。この場合容器体に対してキャップ本体を螺合させる如く構成し、螺合終点位置で両者が係合する如く配置させると良い。また、上記抜け出しを防止する手段に加えて、螺合終点位置で容器体外周の係止突片を、装着キャップ周壁内面に突設した係止板で乗り越え係合させて螺脱方向への回動を防止する手段を設け、より確実な抜け出しの防止を図っても良い。この様に構成することにより容器体へのキャップ本体への装着が容易となる。尚、容器体に対してキャップ本体を抜け出しを防止して嵌合させる別の手段として、上方から打設して突条相互の乗り越え係合により抜け出しを防止する如く構成することも可能である。
【0008】
栓部材は比較的柔軟な合成樹脂等により形成する。装着キャップの透孔に嵌合させた筒部より延設したフランジ部を装着キャップ頂壁裏面に当接係止させるとともに、筒部の上端に薄肉切断部を介して棒栓を立設し、また、棒栓上端部外周に摘み部を突設して構成している。摘み部の形態としては、棒栓の先端部外面より突設して容易に掴める形態であれば良く、弾性変形して透孔を通過できる形態であれば更に良い。例えば、棒栓の先端部より外方に突設した平板状のものが挙げられる。また、棒栓の先端部外面より突設した突起状の連結部を介して棒栓の周囲に環状部を延設した形態のものが好ましく採用できる。また、環状部の一部を切断した開環状であっても良い。
【0009】
蓋体は装着キャップ外周に周壁を嵌合させて着脱可能に装着したものが使用される。その係止手段としては螺合によるものが好ましく採用できる。また、蓋体の周壁下端部により揺動板の外面を圧接する如く構成することにより、容器体嵌着時の揺動板の変形を強制してより確実な係合を行える如く構成すると良い。更に、キャップ本体の上面に筒部を立設し、蓋体裏面の環状位置に周方向複数係合突片を突設し、蓋体に螺着に際して前記筒部外周と係合突片内周とを係合させる如く構成しても良い。
【0010】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、キャップ本体Bと、該キャップ本体Bに着脱可能に嵌合した蓋体Dとからなり、キャップ本体Bは、容器体Aの口頸部4外周に抜け出しを防止して周壁10を嵌合するとともに、頂壁11の中央透孔12を栓部材Cで閉塞して容器体A上端開口を液密に閉塞してなり、栓部材Cは、透孔12に嵌合させた筒部31より延設したフランジ部30を頂壁11裏面に当接係止させるとともに、筒部31の上端部に薄肉切断部33を介して棒栓34を立設し、且つ、棒栓34上端部外周に摘み部35を突設した。
【0011】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、摘み部35を変形させつつ強制的に透孔12を貫通させて栓部材Cをキャップ本体Bに嵌着固定する如く構成した。
【0012】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、摘み部35を、棒栓34外面より突設した連結部35a と、連結部35a を介して棒栓34の周囲に延設した環状部35b とから構成した。
【0013】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第3の手段のいずれかの手段に於いて、口頸部4外周に凹部6を凹設するとともに、キャップ本体周壁10に凹部6と係合する係合突部15を設け、係合突部15は周壁10の所定位置を揺動可能に画成した揺動板18内面に突設した。
【0014】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第4の手段に於いて、凹部6に係合突部15が係合した状態で、キャップ本体Bに嵌合した蓋体Dの周壁40により揺動板18外面を圧接係止する如く構成した。
【0015】
第6の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第4の手段又は第5の手段のいずれかの手段に於いて、容器体口頸部4に対してキャップ本体Bを螺着係止する如く構成するとともに、凹部6下方の容器体A外面とキャップ本体周壁10内面との間に螺脱方向への回動を防止する機構を設けた。
【0016】
第7の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第6の手段のいずれかの手段に於いて、キャップ本体Bの頂壁11上に立設した注出筒部22外周面の係止突条23下面に、蓋体頂壁41裏面の環状位置に周方向複数突設した係合突片44の係合突起45を乗り越え係合する如く構成した。
【発明の効果】
【0017】
本発明の注出キャップは、注出口部分を栓部材Cの棒栓34により閉塞しているため、また、キャップ本体Bは容器体Aに抜け出しを防止して嵌合させているため、容器の未使用を表現できる。また、キャップ本体Bの注出口部分を別体で形成した栓部材Cにより形成し、棒栓34を切り取ることにより開封する如く構成しているため、切断が容易な材料を選択できる利点がある。
【0018】
また、摘み部35を変形させつつ強制的に透孔12を貫通させて栓部材Cをキャップ本体Bに嵌着固定する如く構成した場合には摘み部35が掴み易く薄肉切断部33の切断がより容易となる。また、摘み部35を、棒栓34外面より突設した連結部35a と、連結部35a を介して棒栓34の周囲に延設した環状部35b とから構成した場合には、キャップ本体Bに嵌着する際にキャップ本体Bの透孔12より充分大きい摘み部35として形成しても、透孔12を容易に通過させることができて、組み付け操作が容易となる。
【0019】
また、口頸部4外周に凹部6を凹設するとともに、キャップ本体周壁10に凹部6と係合する係合突部15を設け、係合突部15は周壁10の所定位置を揺動可能に画成した揺動板18内面に突設した場合には、キャップ本体Bを容器体Aに対して螺合形態で装着して容易に装着することができる。
【0020】
また、凹部6に係合突部15が係合した状態で、キャップ本体Bに嵌合した蓋体Dの周壁40により揺動板18外面を圧接係止する如く構成した場合には、キャップ本体Bの容器体Aへの装着時に外方へ弾性的に変形した揺動板18の現状復帰を強制的に確実に行えるため、凹部6と係合突部15の係合がより確実強固なものとなる。
【0021】
また、上記凹部6と係合突部15との係合手段に加えて、容器体口頸部4に対してキャップ本体Bを螺着係止する如く構成するとともに、凹部6下方の容器体A外面とキャップ本体周壁10内面との間に螺脱方向への回動を防止する機構を設けた場合には、キャップ本体Bの容器体Aに対する抜け出しをより確実に防止できる。
【0022】
また、キャップ本体Bの頂壁11上に立設した注出筒部22外周面の係止突条23下面に、蓋体頂壁41裏面の環状位置に周方向複数突設した係合突片44の係合突起45を乗り越え係合する如く構成した場合には、振動等により螺子が弛む等の不都合を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0024】
図1乃至図3は本発明注出キャップの一例を示し、図中1は注出キャップを示す。該注出キャップ1は、容器体Aに装着させるキャップ本体Bと、キャップ本体Bに嵌着固定した栓部材Cと、キャップ本体Bに着脱可能に嵌合させる蓋体Dとから構成している。
【0025】
容器体Aは、筒状の胴部2の上端縁より肩部3を介して口頸部4を起立して構成しており、合成樹脂により形成されている。肩部3から口頸部4下部に至る部分より外方へ、廻り止め用の係止突片5を複数突設している。また、口頸部4の上下方向中間部で周方向所定位置に別の廻り止め機構を構成する凹部6を形成しており、凹部6は対向位置に二箇所設けている。口頸部4の上部は小外径に形成し、その小外径部分に螺条7を周設している。
【0026】
キャップ本体Bは、周壁10上端縁より頂壁11を延設し、頂壁11中央の透孔12に栓部材Cを嵌着している。周壁10は、上方から小外径の上部周壁部10a と、上部周壁部10a の下端より延設した傾斜壁部10b を介して下方へ延設した中外径の中部周壁部10c と、中部周壁部10c の下端縁より外方へ延設したフランジ部10d の外周縁より下方へ延設した大外径の下部周壁部10e とから構成している。上部周壁部10a には内周には螺条13を周設し、外周にも螺条14を周設している。中部周壁部10c には上記凹部6に係合する一対の係合突部15を設けている。各係合突部15は、中部周壁部10c の所定位置に穿設した矩形状の窓16内に、上縁を薄肉の弾性連絡部17により揺動可能に連結した揺動板18の内面下部にそれぞれ突設している。また、フランジ部10d 下面から下部周壁部10e 上部に至る部分から係止板19を突設している。各係止板19の内周縁部より周方向に突条20を延設している。
【0027】
また、頂壁11裏面の所定位置にはシール筒21を垂設し、透孔12の外方所定位置には注出筒部22を立設している。そして、例えば、容器体A上方より、口頸部4の螺条7に上部周壁部10a の螺条13を螺合させるとともに、凹部6に係合突部15を嵌合させ、更に、係止突片5に係止板19を係合させて周壁10を口頸部4外周に螺合させている。凹部6と係合突部15との嵌合に至るまでの間、弾性連絡部17を中心に揺動板18が弾性的に外方へ傾きつつ回動し、螺合終点時で両者が嵌合する如く構成している。また、係止突片5と係止板19との係合はキャップ本体Bの螺脱方向への回動を防止する如き係合であり、この場合も螺合終点時に一回だけ係止板19が係止突片5を乗り越える如く構成している。従って、周壁10を口頸部4外周へ一端螺着すれば、取り外しが困難となる。シール筒21は口頸部4内周に密嵌させてこの部分の液密性を保持する。
【0028】
栓部材Cは全体を比較的柔軟な合成樹脂により形成しており、キャップ本体頂壁11下面の透孔12周縁部に当接させたフランジ部30を、透孔12に嵌合させた筒部31より延設している。筒部31の外周には環状の係合凹部32を周設し、頂壁11の透孔12周縁部が嵌合する如く構成している。また、筒部31の上端部内周縁に薄肉切断部33を介して棒栓34の下端外周を連結している。棒栓34は上端部に摘み部35を突設している。摘み部35は図3に示す如く外面上端部より突設した連結部35a と、該連結部35a 介して棒栓34の周囲に延設した環状部35b とから構成している。
【0029】
そして、頂壁11の下方から摘み部35を透孔12に無理やり通過させ、係合凹部32を透孔12周縁の頂壁11縁部に嵌合させて装着する。摘み部35を透孔12に通過させる際には、連結部35a の部分を頂部として環状部35b が傾斜状態となり、その傾斜状態から楕円状に変形して容易に通過させることができる。フランジ部30は透孔12周縁の頂壁11下面に上面を当接し、外周縁下面にシール筒21に突設した係止突条24を係合させる。
【0030】
蓋体Dは、周壁40上端縁より頂壁41を延設し、周壁40内周には螺条42を周設している。また、頂壁41の中央部は栓部材Cの突出部分が収納される凹部を形成し、凹部周縁の頂壁41裏面よりシール筒43を垂設し、更にシール筒43外方の頂壁41裏面所定位置に周方向複数の係合突片44を垂設している。
【0031】
そして、周壁40の螺条42を上部周壁部10a 外周の螺条14に螺合させてキャップ本体Bに装着する。その際周壁1の内面下端部により各揺動板18の外面を当接係止し、係合突部15の凹部6からの外れを防止している。また、シール筒43は注出筒部22内周に密に嵌合してその部分に液密性を付与している。また、各係合突片44内周の係合突起45を注出筒部22外周に設けた係止突条23下面に係合させる。
【0032】
上記した注出キャップ1を使用する場合には、まず、蓋体Dを螺脱した後、摘み部35を掴んで引っ張る等することにより薄肉切断部33が切断して図2に示す如く、注出口aが開口する。そして、容器体Aを傾けて内容物を注出口aから注出する。尚、揺動板18は図2に示す如く成形時に外方へ開いた状態で成形されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明注出キャップの半断面図である。(実施例1)
【図2】本発明注出キャップの開封時の説明図である。(実施例1)
【図3】本発明に於ける栓部材の拡大斜視図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0034】
1…注出キャップ
A…容器体
2…胴部,3…肩部,4…口頸部,5…係止突片,6…凹部,7…螺条
B…キャップ本体
10…周壁,10a …上部周壁部,10b …傾斜壁部,10c …中部周壁部,
10d …フランジ部,10e …下部周壁部,11…頂壁,12…透孔,13…螺条,
14…螺条,15…係合突部,16…窓,17…弾性連絡部,18…揺動板,19…係止板,
20…突条,21…シール筒,22…注出筒部,23…係止突条,24…係止突条,
a…注出口
C…栓部材
30…フランジ部,31…筒部,32…係合凹部,33…薄肉切断部,34…棒栓,
35…摘み部,35a …連結部,35b …環状部
D…蓋体
40…周壁,41…頂壁,42…螺条,43…シール筒,44…係合突片,45…係合突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ本体Bと、該キャップ本体Bに着脱可能に嵌合した蓋体Dとからなり、キャップ本体Bは、容器体Aの口頸部4外周に抜け出しを防止して周壁10を嵌合するとともに、頂壁11の中央透孔12を栓部材Cで閉塞して容器体A上端開口を液密に閉塞してなり、栓部材Cは、透孔12に嵌合させた筒部31より延設したフランジ部30を頂壁11裏面に当接係止させるとともに、筒部31の上端部に薄肉切断部33を介して棒栓34を立設し、且つ、棒栓34上端部外周に摘み部35を突設したことを特徴とする注出キャップ。
【請求項2】
摘み部35を変形させつつ強制的に透孔12を貫通させて栓部材Cをキャップ本体Bに嵌着固定する如く構成してなる請求項1記載の注出キャップ。
【請求項3】
摘み部35を、棒栓34外面より突設した連結部35a と、連結部35a を介して棒栓34の周囲に延設した環状部35b とから構成してなる請求項2記載の注出キャップ。
【請求項4】
口頸部4外周に凹部6を凹設するとともに、キャップ本体周壁10に凹部6と係合する係合突部15を設け、係合突部15は周壁10の所定位置を揺動可能に画成した揺動板18内面に突設してなる請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の注出キャップ。
【請求項5】
凹部6に係合突部15が係合した状態で、キャップ本体Bに嵌合した蓋体Dの周壁40により揺動板18外面を圧接係止する如く構成してなる請求項4記載の注出キャップ。
【請求項6】
容器体口頸部4に対してキャップ本体Bを螺着係止する如く構成するとともに、凹部6下方の容器体A外面とキャップ本体周壁10内面との間に螺脱方向への回動を防止する機構を設けてなる請求項4又は請求項5のいずれかに記載の注出キャップ。
【請求項7】
キャップ本体Bの頂壁11上に立設した注出筒部22外周面の係止突条23下面に、蓋体頂壁41裏面の環状位置に周方向複数突設した係合突片44の係合突起45を乗り越え係合する如く構成してなる請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の注出キャップ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−137688(P2008−137688A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−324723(P2006−324723)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】