説明

洗浄装置付き吸引車

【課題】水および消毒液をそれぞれ異なる圧力で噴出することが可能な洗浄装置付き吸引車の提供。
【解決手段】水タンク部20内の水を吸引し、ホース70を介して洗浄ノズル71から噴出させるためのポンプ6と、ポンプ6の吐き出し圧力を制御する圧力制御弁61と、水タンク部20からポンプ6へ水を供給する水供給配管22と、水タンク部20へ圧力制御弁61による調圧時の余水を戻す水戻し配管23と、消毒液タンク部30からポンプ6へ消毒液を供給する消毒液供給配管32と、消毒液タンク部30へ圧力制御弁61による調圧時の余分な消毒液を戻す消毒液戻し配管33と、ポンプ6の吸い込み側、水供給配管22および消毒液供給配管32に接続される第1三方弁21aと、圧力制御弁6のリリーフ側、水戻し配管23および消毒液戻し配管33に接続される第2三方弁21bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯留槽から工場廃液、農業廃液やし尿などの廃水や汚泥などをタンクに吸引、回収するための吸引車であって、回収処理後の貯留槽やタンクなどを洗浄する機能を備えた洗浄装置付き吸引車に関する。
【背景技術】
【0002】
貯留槽から工場廃液、農業廃液やし尿などの廃水や汚泥などをタンクに吸引、回収する吸引車が知られている。また、この種の吸引車では、回収処理後の貯留槽やタンクなどを洗浄するための洗浄装置を備えたものもある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の吸引車は、図6に示すように、内部を水タンク90a、汚泥タンク90bならびに消毒液タンク90cに区割したタンク90と、汚泥タンク90b内を減圧・加圧するためのバキューム装置とを備える。また、水タンク90a内の水または消毒液タンク90c内の洗浄液は、中間コック91,92ならびにストレーナ93を介して1台のプランジャポンプ94によりホース95を介して洗浄ノズル96より噴射されるようになっている。
【0004】
このような吸引車によれば、貯水槽内の汚泥をバキューム装置によって吸い出して汚泥タンク90bに収容し、汚泥の排出作業が終わると水タンク90a内の水を中間コック91ならびにストレーナ93を介して高圧噴出水として洗浄ノズル96より噴出させて、貯水槽内を洗い、続いて消毒液タンク90c内の消毒液を中間コック91ならびにストレーナ93を介して洗浄ノズル96より噴出させることによって貯水槽内を消毒することが可能である。
【0005】
【特許文献1】実開昭53−128612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図6に示すように、この吸引車では、水タンク90aおよび消毒液タンク90cは、中間コック91,92およびストレーナ93を介してプランジャポンプ94に接続されており、中間コック91,92の開閉により、水あるいは消毒液が洗浄ノズル96より噴射されるようになっている。ところが、この吸引車では、プランジャポンプ94は直接洗浄ノズル96に接続されており、洗浄ノズル96から噴射される水あるいは消毒液の圧力、流量調整ができない構造となっている。
【0007】
そこで、本発明においては、水あるいは消毒液の圧力、流量調整が容易かつ水と消毒液との切り換え操作が容易な洗浄装置付き吸引車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の洗浄装置付き吸引車は、廃水または汚泥を吸引、回収する回収タンク部と、水を貯留する水タンク部と、消毒液を貯留する消毒液タンク部と、水タンク部内の水を吸引し、ホースを介して洗浄ノズルから噴出させるためのポンプと、ポンプの吐き出し圧力を制御する圧力制御弁と、水タンク部からポンプへ水を供給する水供給配管と、水タンク部へ圧力制御弁による調圧時の余水を戻す水戻し配管と、消毒液タンク部からポンプへ消毒液を供給する消毒液供給配管と、消毒液タンク部へ圧力制御弁による調圧時の余分な消毒液を戻す消毒液戻し配管と、ポンプの吸い込み側、水供給配管および消毒液供給配管に接続される第1の三方弁と、圧力制御弁のリリーフ側、水戻し配管および消毒液戻し配管に接続される第2の三方弁とを備えたものである。
【0009】
本発明の洗浄装置付き吸引車によれば、水を洗浄ノズルから噴出させる場合には、第1の三方弁を水タンク部とポンプの吸い込み側とが水供給配管により連通される状態とし、第2の三方弁を水タンク部と圧力制御弁のリリーフ側とが水戻し配管により連通される状態として、ポンプを駆動する。これにより、水タンク部内の水は第1の三方弁により連通された水供給配管を介してポンプの吸い込み側に供給され、加圧されて、ホースを介して洗浄ノズルから噴出される。このとき、圧力制御弁による調圧時の余水は、第2の三方弁により連通された水戻し配管によって水タンク部へ戻される。
【0010】
一方、消毒液を洗浄ノズルから噴出させる場合には、第1三方弁を消毒液タンク部とポンプの吸い込み側とが消毒液供給配管により連通される状態とし、第2の三方弁を消毒液タンク部と圧力制御弁のリリーフ側とが消毒液戻し配管により連通される状態として、ポンプを駆動する。これにより、消毒液タンク部内の消毒液は第1の三方弁により連通された消毒液供給配管を介してポンプに供給され、加圧されて、ホースを介して洗浄ノズルから噴出される。このとき、圧力制御弁による調圧時の余分な消毒液は、第2の三方弁により連通された消毒液戻し配管によって消毒液タンク部へ戻される。
【0011】
また、本発明の洗浄装置付き吸引車は、消毒液供給配管の途中にステンレス鋼のフィルタを備えたものであることが望ましい。消毒液供給配管の途中にステンレス鋼のフィルタを備えることで、この消毒液供給配管により供給される消毒液によりフィルタが溶け出すことを防止することができ、長期に亘ってフィルタを使用することができる。
【0012】
また、本発明の洗浄装置付き吸引車は、車体の後輪車軸上に、隔壁により内部が仕切られることによりそれぞれ回収タンク部と水タンク部とが形成された1つの主タンクが配置され、車体の前輪車軸および後輪車軸の中間部上に、消毒液タンク部を形成する補助タンクが配置されたものであることが望ましい。
【0013】
通常、廃水または汚泥を吸引、回収する前の状態においては、水タンク部に水が貯留され、消毒液タンク部に消毒液が貯留されており、洗浄装置付き吸引車は回収タンク部を空にした状態で回収場所まで走行させる。また、廃水または汚泥を吸引、回収した後の状態においては、水タンク部の水および消毒液タンク部の消毒液の貯留量は少なく、回収タンク部には回収された廃水または汚泥が貯留されており、この状態で洗浄装置付き吸引車は走行させる。したがって、洗浄装置付き吸引車の走行時には、少なくとも1つの主タンク内の回収タンク部または水タンク部のいずれか一方には貯留されているので、この主タンクが配置されている車体の後輪車軸には最も多くの荷重が掛かっており、バランス良く吸引車を走行させることができる。
【0014】
また、消毒液タンク部を形成する補助タンクを主タンクと切り離して車体の前輪車軸および後輪車軸の中間部上に配置しているので、補助タンクの消毒液の貯留量は走行時のバランスに与える影響が少ない。さらに、この補助タンクを主タンクと切り離しているので、補助タンクのみを消毒液の種類に応じて適切な材質のものとすることが容易であり、製造コストを抑えることが可能となる。
【0015】
また、本発明の洗浄装置付き吸引車は、第1の三方弁が水供給配管に連通される場合には第2の三方弁が水戻し配管に連通され、第1の三方弁が消毒液供給配管に連通される場合には第2の三方弁が消毒液戻し配管に連通されるように、第1の三方弁と第2の三方弁とを連動させる連動装置を備えることが望ましい。
【0016】
これにより、水を洗浄ノズルから噴出させる場合に、第1の三方弁を水タンク部とポンプの吸い込み側とが水供給配管により連通される状態とすると、第2の三方弁は水タンク部と圧力制御弁のリリーフ側とが水戻し配管により連通される状態となる。一方、消毒液を洗浄ノズルから噴出させる場合に、第1三方弁を消毒液タンク部とポンプの吸い込み側とが消毒液供給配管により連通される状態とすると、第2の三方弁は消毒液タンク部と圧力制御弁のリリーフ側とが消毒液戻し配管により連通される状態となる。これにより、水を洗浄ノズルから噴出させる場合には第1の三方弁および第2の三方弁に水のみが通過し、消毒液を洗浄ノズルから噴出させる場合には第1の三方弁および第2の三方弁に消毒液のみが通過するようになる。
【発明の効果】
【0017】
(1)本発明の洗浄装置付き吸引車によれば、第1および第2の三方弁を切り換えることで、水を洗浄ノズルから噴出させる場合には、水タンク部内の水は水供給配管を介してポンプの吸い込み側に供給され、加圧されて、ホースを介して洗浄ノズルから噴出され、このときの圧力調整弁による調圧時の余水は水戻し配管によって水タンク部へ戻される。一方、消毒液を洗浄ノズルから噴出させる場合には、消毒液タンク部内の消毒液は消毒液供給配管を介してポンプの吸い込み側に供給され、加圧されて、ホースを介して洗浄ノズルから噴出され、このときの圧力制御弁による調圧時の余分な消毒液は消毒液戻し配管によって水タンク部へ戻される。したがって、本発明の洗浄装置付き吸引車では、水あるいは消毒液の圧力、流量調整を容易に行うことが可能となる。また、第1および第2の三方弁を使用することにより、水と消毒液との切り換え操作が容易となり、配管構造を簡単にすることができる。
【0018】
(2)消毒液供給配管の途中にステンレス鋼のフィルタを備えることで、この消毒液供給配管により供給される消毒液によりフィルタが溶け出すことを防止することができ、長期に亘ってフィルタを使用することが可能となる。
【0019】
(3)車体の後輪車軸上に、隔壁により内部が仕切られることによりそれぞれ回収タンク部と水タンク部とが形成された1つの主タンクが配置され、車体の前輪車軸および後輪車軸の中間部上に、消毒液タンク部を形成する補助タンクが配置されたものであることにより、走行時に車体の後輪車軸には最も多くの荷重が掛かり、バランス良く走行させることができる。また、消毒液タンク部を形成する補助タンクを主タンクと切り離して車体の前輪車軸および後輪車軸の中間部上に配置しているので、補助タンクの消毒液の貯留量は走行時のバランスに与える影響が少なくなり、消毒液の貯留量に拘わらず、バランス良く走行させることができる。さらに、補助タンクを主タンクと切り離しているので、補助タンクのみを消毒液の種類に応じて適切な材質のものとすることが容易であり、製造コストを抑えることが可能となる。
【0020】
(4)第1の三方弁が水供給配管に連通される場合には第2の三方弁が前記水戻し配管に連通され、第1の三方弁が消毒液供給配管に連通される場合には第2の三方弁が消毒液戻し配管に連通されるように、第1の三方弁と第2の三方弁とを連動させる連動装置を備えることにより、水を洗浄ノズルから噴出させる場合には第1の三方弁および第2の三方弁に水のみが通過し、消毒液を洗浄ノズルから噴出させる場合には第1の三方弁および第2の三方弁に消毒液のみが通過するようになるので、水と消毒液とが混合してしまうのを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は本発明の実施の形態における洗浄装置付き吸引車の平面図、図2は側面図、図3は背面図である。図1から図3に示すように、本実施形態における洗浄装置付き吸引車1は、車台2上に、廃水または汚泥を吸引、回収する回収タンク部10および水を貯留する水タンク部20を構成する主タンク3と、消毒液を貯留する消毒液タンク部30を構成する補助タンク4と、回収タンク部10内に廃水または汚泥を吸引するため、回収タンク部10内を減圧する吸引ポンプ5と、水タンク部20内の水または消毒液タンク部30内の消毒液を吸引し、ホース70(図5参照。)を介して洗浄ノズル71(図5参照。)から噴出させるためのポンプ6と、ホース70が巻き付けられるホースリール7と、洗浄ノズル71からの水または消毒液の噴出の操作を行うための操作盤8とを備える。
【0022】
主タンク3は、略円筒状のタンクであり、隔壁3aによって回収タンク部10と水タンク部20とに仕切られている。回収タンク部10には回収された廃水や汚泥などが貯留される。一方、水タンク部20には回収処理後の貯留槽や回収タンク部10などを洗浄するための水が貯留される。主タンク3は、その中心軸が車体の前後方向、かつ回収タンク部10が車体の後方側、水タンク部20が車体の前方側となるように車体の後輪車軸R上に配置されている。主タンク3は、鋼板により形成されるが、貯留する水や回収する廃水または汚泥などによって錆びないようにステンレス鋼により形成することも可能である。
【0023】
補助タンク4は、略円筒状のタンクであり、その中心軸が車体の左右方向となるように車体の前輪車軸Fおよび後輪車軸Rの中間部上に配置されている。補助タンク4の消毒液タンク部30内に貯留される消毒液は、例えば消毒剤としての次亜塩素酸ナトリウムである。補助タンク4は、この貯留される消毒液に耐えうるようにポリエチレンなどの合成樹脂により形成されている。
【0024】
吸引ポンプ5は、ベーンポンプであり、密閉された回収タンク部10内を減圧することにより、吸引ホース9を通じて貯留槽から工場廃液、農業廃液やし尿などの廃水や汚泥などを回収タンク部10内に吸引、収容するものである。吸引ポンプ5は、ドライブシャフト、PTO(動力取り出し装置(Power Take OFF))を介して連結されたエンジンにより駆動される。また、この吸引ポンプ5では、逆に回収タンク部10内を加圧して、回収タンク部10内の貯留物を主タンク3の排出口3bから排出することも可能である。
【0025】
ポンプ6は、プランジャポンプであり、水タンク部20内の水または消毒液タンク部30内の消毒液を吸引、加圧して、ホースリール7のホース70を介して洗浄ノズル71から噴出させるためのものである。ポンプ6は、その回転軸に連結された油圧モータ(図示せず。)により回転駆動される。ホースリール7および操作盤8は、車台2の後端部に搭載されている。
【0026】
次に、図4のエアー配管図を参照して、本実施形態における洗浄装置付き吸引車1のエアー系統について説明する。図4に示すように、洗浄装置付き吸引車1のエアー系統は、吸引ポンプ5、回収タンク部10、エアーセパレータ11、四方弁12、逆止弁13、オイルセパレータ14、ストレーナ15、フロート式満量ストップバルブ16、オーバーフロー防止安全弁17や安全弁18等により構成されている。回収タンク部10は気密構造となっている。フロート式満量ストップバルブ16は回収タンク部10の上部に設けられ、オーバーフロー防止安全弁17はエアー配管の途中に設けられている。
【0027】
四方弁12は、第1ポート12a、第2ポート12b、第3ポート12cおよび第4ポート12dを有し、切換ハンドル12eが加圧側へある場合、第1ポート12aと第2ポート12bとが連通し、第3ポート12cと第4ポート12dとが連通する。一方、切換ハンドル12eが真空側へある場合、第3ポート12cと第1ポート12aとが連通し、第4ポート12dと第2ポート12bとが連通する。また、切換ハンドル12eが中性側へある場合には、第4ポート12dと第1ポート12aとが連通し、第3ポート12cと第2ポート12bとが連通する。
【0028】
この四方弁12の第1ポート12aは大気開放されている。第2ポート12bは、逆止弁13を介して吸引ポンプ5の吸い込み側に接続されている。第3ポート12cは、オイルセパレータ14のエアー吐き出し側に接続されている。第4ポート12dは、エアーセパレータ11を介してオーバーフロー防止安全弁17に接続されている。安全弁18は、エアーセパレータ11と四方弁12の第4ポート12dとを接続する配管の途中に設けられている。
【0029】
オイルセパレータ14の入側は、吸引ポンプ5の吐き出し側に接続されている。また、オイルセパレータ14のオイル取り出し側は、ストレーナ15を介して吸引ポンプ5のオイル補給口に接続されている。
【0030】
上記構成により、本実施形態における洗浄装置付き吸引車1では、廃水や汚泥などを回収タンク部10に吸引する場合、切換ハンドル12eを真空側へセットし、吸引ポンプ5を駆動する。これにより、回収タンク部10内のエアーは、エアーセパレータ11、四方弁12の第4ポート12dおよび第2ポート12b、逆止弁13を介して吸引ポンプ5により吸引され、オイルセパレータ14および四方弁12の第3ポート12cを介して四方弁12の第1ポート12aから吐き出される。これにより、回収タンク部10内が減圧され、吸引ホース9により廃水や汚泥などを回収タンク部10に吸引し、回収することができる。
【0031】
一方、回収タンク部10内の廃水や汚泥などを排出口3bから排出する場合、切換ハンドル12eを加圧側へセットし、吸引ポンプ5を駆動する。これにより、大気中のエアーが、四方弁12の第1ポート12aおよび第2ポート12b、逆止弁13を介して吸引ポンプ5により吸引され、オイルセパレータ14および四方弁12の第3ポート12cおよび第4ポート12d、エアーセパレータ11を介して回収タンク部10内へ送り出される。これにより、回収タンク部10内が加圧され、回収タンク部10内の廃水や汚泥などを排出口3bから排出することができる。
【0032】
なお、いずれの場合においても、吸引ポンプ5には、ストレーナ15を介してオイルセパレータ14からオイルが供給される。このストレーナ15を介して吸引ポンプ5に供給されるオイルは、オイルセパレータ14によりエアーと分離され、繰り返しストレーナ15を介して吸引ポンプ5に供給され、再利用される。
【0033】
次に、図5の水配管図を参照して、本実施形態における洗浄装置付き吸引車1の水系統について説明する。図5に示すように、洗浄装置付き吸引車1の水系統は、ポンプ6、水タンク部20、第1三方弁21a、第2三方弁21b、水タンク部20からポンプ6へ水を供給する水供給配管22、水タンク部20へ調圧時の余水を戻す水戻し配管23、フィルタ31、消毒液タンク部30、消毒液タンク部30からポンプ6へ消毒液を供給する消毒液供給配管32、消毒液タンク部30へ調圧時の余分な消毒液を戻す消毒液戻し配管33や、ポンプ6からホースリール7へ水または消毒液を供給する配管60や、ポンプ6の吐き出し圧力を制御する圧力制御弁61等により構成されている。
【0034】
第1三方弁21aには、水供給配管22と、消毒液供給配管32と、ポンプ6の吸い込み側とが接続されている。フィルタ31は、消毒液供給配管32の途中に設けられている。第2三方弁21bには、水戻し配管23と、消毒液戻し配管33と、圧力制御弁61のリリーフ側とが接続されている。圧力制御弁61は、ポンプ6の吐き出し側に設けられている。圧力制御弁61とホースリール7との間の配管60の途中には、圧力計62が設けられている。
【0035】
また、図示しないが、第1三方弁21aの操作部と第2三方弁21bの操作部とはリンクにより連結されている。このリンクは、第1三方弁21aが水供給配管22に連通される場合には第2三方弁21bが水戻し配管23に連通され、第1三方弁21aが消毒液供給配管32に連通される場合には第2三方弁21bが消毒液戻し配管33に連通されるように、第1三方弁21aと第2三方弁21bとを連動させる連動装置である。なお、リンクに代えて他の連動機構を設けることも可能である。
【0036】
上記構成により、本実施形態における洗浄装置付き吸引車1では、第1三方弁21aを水タンク部20とポンプ6の吸い込み側とが水供給配管22により連通される状態とし、第2三方弁21bを水タンク部20と圧力制御弁61とが水戻し配管23により連通される状態とした場合には、水タンク部20、水供給配管22、ポンプ6、圧力制御弁61および水戻し配管23による水の調圧系統が構成される。一方、第1三方弁21aを消毒液タンク部30とポンプ6の吸い込み側とが消毒液供給配管32により連通される状態とし、第2三方弁21bを消毒液タンク部30と圧力制御弁61とが消毒液戻し配管33により連通される状態とした場合には、消毒液タンク部30、消毒液供給配管32、ポンプ6、圧力制御弁61および消毒液戻し配管33による消毒液の調圧系統が構成される。
【0037】
この構成の洗浄装置付き吸引車1では、給水側に対応して三連の吸水口24から適宜水タンク部20内に水が吸水される。そして、水を洗浄ノズル71から噴出させる場合、第1三方弁21aを水タンク部20とポンプ6の吸い込み側とが水供給配管22により連通される状態とし、第2三方弁21bを水タンク部20と圧力制御弁61とが水戻し配管23により連通される状態とする。
【0038】
この状態においてポンプ6を駆動すると、水タンク部20内の水は第1三方弁21aにより連通された水供給配管22を介してポンプ6の吸い込み側に供給され、加圧されて、圧力制御弁61、配管60、ホースリール7およびホース70を介して洗浄ノズル71から噴出される。このとき、洗浄ノズル71から噴出される水は、圧力制御弁61を調整することによって調圧することが可能であり、そのときの圧力は圧力計62に示される。また、この圧力制御弁61による調圧時の余水は、第2三方弁21bにより連通された水戻し配管23によって水タンク部20へ戻される。
【0039】
一方、消毒液を洗浄ノズル71から噴出させる場合、第1三方弁21aを消毒液タンク部30とポンプ6の吸い込み側とが消毒液供給配管32により連通される状態とし、第2三方弁21bを消毒液タンク部30と圧力制御弁61とが消毒液戻し配管33により連通される状態とする。
【0040】
この状態においてポンプ6を駆動すると、消毒液タンク部30内の消毒液は第1三方弁21aにより連通された消毒液供給配管32およびフィルタ31を介してポンプ6の吸い込み側に供給され、加圧されて、圧力制御弁61、配管60、ホースリール7およびホース70を介して洗浄ノズル71から噴出される。このとき、洗浄ノズル71から噴出される消毒液は、圧力制御弁61を調整することによって調圧することが可能であり、そのときの圧力は圧力計62に示される。また、この圧力制御弁61による調圧時の余分な消毒液は、第2三方弁21bにより連通された消毒液戻し配管33によって消毒液タンク部30へ戻される。
【0041】
以上のように、本実施形態における洗浄装置付き吸引車1では、第1三方弁21aおよび第2三方弁21bを切り換えることで、水の調圧系統と消毒液の調圧系統とを容易に切り換えることが可能であり、水または消毒液の圧力および流量調整を容易に行い、洗浄ノズル71から噴出することが可能である。したがって、本実施形態における洗浄装置付き吸引車1では、水と消毒液とを容易に切り換え、水または消毒液を適切な圧力および流量に設定して、回収処理後の貯留槽やタンクなどを洗浄したり消毒したりすることが可能である。
【0042】
また、この洗浄装置付き吸引車1では、消毒液供給配管32の途中にステンレス鋼のフィルタ31を備えるので、この消毒液供給配管32により供給される消毒液によりフィルタ31が溶け出すことが防止されており、長期に亘ってフィルタ31を使用することが可能である。
【0043】
また、この洗浄装置付き吸引車1では、第1三方弁21aと第2三方弁21bとがリンクによって連動し、水を洗浄ノズル71から噴出させる場合には第1三方弁21aおよび第2三方弁21bに水のみが通過し、消毒液を洗浄ノズル71から噴出させる場合には第1三方弁21aおよび第2三方弁21bに消毒液のみが通過するように切り換えられるので、水と消毒液とが混合してしまうのを容易に防止することが可能である。
【0044】
また、この洗浄装置付き吸引車1では、廃水または汚泥を吸引、回収する前の状態においては、水タンク部20に水が貯留され、消毒液タンク部30に消毒液が貯留されており、回収タンク部10を空にした状態で回収場所まで走行させる。また、廃水または汚泥を吸引、回収した後の状態においては、水タンク部20の水および消毒液タンク部30の消毒液の貯留量は少なく、回収タンク部10には回収された廃水または汚泥が貯留されている。したがって、その走行時には、少なくとも1つの主タンク3内の回収タンク部10または水タンク部20のいずれか一方には必ず水等が貯留されているので、この主タンク3が配置されている車体の後輪車軸Rには最も多くの荷重が掛かっており、バランス良く走行させることができる。
【0045】
また、この洗浄装置付き吸引車1では、消毒液タンク部30を形成する補助タンク4を主タンク3と切り離して車体の前輪車軸Fおよび後輪車軸R中間部上に配置しているので、補助タンク4の消毒液の貯留量は走行時のバランスに与える影響が少なくなり、消毒液の貯留量に拘わらず、バランス良く走行させることができる。さらに、補助タンク4を主タンク3と切り離しているので、補助タンク4のみを消毒液の種類に応じて適切な材質のものとすることが容易であり、製造コストを抑えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の洗浄装置付き吸引車は、貯留槽から工場廃液、農業廃液やし尿などの廃水や汚泥などをタンクに吸引、回収するとともに、回収処理後の貯留槽やタンクなどを洗浄するための車両として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態における洗浄装置付き吸引車の平面図である。
【図2】本発明の実施の形態における洗浄装置付き吸引車の側面図である。
【図3】本発明の実施の形態における洗浄装置付き吸引車の背面図である。
【図4】本発明の実施の形態における洗浄装置付き吸引車のエアー配管図である。
【図5】本発明の実施の形態における洗浄装置付き吸引車の水配管図である。
【図6】従来の洗浄装置付き吸引車の水配管図である。
【符号の説明】
【0048】
1 洗浄装置付き吸引車
2 車台
3 主タンク
3a 隔壁
3b 排出口
4 補助タンク
5 吸引ポンプ
6 ポンプ
7 ホースリール
8 操作盤
9 吸引ホース
10 回収タンク部
11 エアーセパレータ
12 四方弁
13 逆止弁
14 オイルセパレータ
15 ストレーナ
16 フロート式満量ストップバルブ
17 オーバーフロー防止安全弁
18 安全弁
20 水タンク部
21a 第1三方弁
21b 第2三方弁
22 水供給配管
23 水戻し配管
24 吸水口
30 消毒液タンク部
31 フィルタ
32 消毒液供給配管
33 消毒液戻し配管
60 配管
61 圧力制御弁
70 ホース
71 洗浄ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃水または汚泥を吸引、回収する回収タンク部と、
水を貯留する水タンク部と、
消毒液を貯留する消毒液タンク部と、
前記水タンク部内の水を吸引し、ホースを介して洗浄ノズルから噴出させるためのポンプと、
前記ポンプの吐き出し圧力を制御する圧力制御弁と、
前記水タンク部から前記ポンプへ水を供給する水供給配管と、
前記水タンク部へ前記圧力制御弁による調圧時の余水を戻す水戻し配管と、
前記消毒液タンク部から前記ポンプへ消毒液を供給する消毒液供給配管と、
前記消毒液タンク部へ前記圧力制御弁による調圧時の余分な消毒液を戻す消毒液戻し配管と、
前記ポンプの吸い込み側、水供給配管および消毒液供給配管に接続される第1の三方弁と、
前記圧力制御弁のリリーフ側、水戻し配管および消毒液戻し配管に接続される第2の三方弁と
を備えた洗浄装置付き吸引車。
【請求項2】
前記消毒液供給配管の途中にステンレス鋼のフィルタを備えた請求項1記載の洗浄装置付き吸引車。
【請求項3】
車体の後輪車軸上に、隔壁により内部が仕切られることによりそれぞれ前記回収タンク部と水タンク部とが形成された1つの主タンクが配置され、
車体の前輪車軸および後輪車軸の中間部上に、前記消毒液タンク部を形成する補助タンクが配置された請求項1または2に記載の洗浄装置付き吸引車。
【請求項4】
前記第1の三方弁が前記水供給配管に連通される場合には前記第2の三方弁が前記水戻し配管に連通され、前記第1の三方弁が前記消毒液供給配管に連通される場合には前記第2の三方弁が前記消毒液戻し配管に連通されるように、前記第1の三方弁と前記第2の三方弁とを連動させる連動装置を備えた請求項1から3のいずれかに記載の洗浄装置付き吸引車。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−299295(P2009−299295A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152280(P2008−152280)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】