説明

洗濯乾燥機

【課題】脱水行程終了後に、洗濯兼脱水槽の内壁から洗濯物を確実に掻き落とし、解して、洗濯物にシワ及び乾燥ムラが生じない仕上がり品質の高い洗濯乾燥機を得る。
【解決手段】制御部は、洗濯物の脱水行程後、掻き落とし(S101)において、回転翼に対して第1の回転動作をさせ、解し乾燥(S102)において、回転翼に対して第2の回転動作をさせるようにモータの駆動を制御する。回転翼の第1および第2の回転動作のそれぞれは回転サイクルの繰り返しにより構成されるとともに、回転翼の第1の回転動作の一サイクルの回転角度は第2の回転動作の一サイクルの回転角度よりも大きく設定され、かつ、第1の回転動作の一サイクルの周期は第2の回転動作の一サイクルの周期よりも大きく設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗濯兼脱水槽内に温風を送り、洗濯兼脱水槽と回転翼とを交互に繰り返し回転させて洗濯物を乾かし、洗濯物にシワ及び乾燥ムラが殆ど生じない、即ち仕上がり品質を著しく向上させる洗濯乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
洗濯兼脱水槽内へ温風を供給して回転翼の回転動作で洗濯物を解した後に、洗濯兼脱水槽を回転させて洗濯物を回転しながら乾かす乾燥行程を有する従来の洗濯乾燥機が、例えば本特許出願人から既に提案されている。図6は、この洗濯乾燥機の構造図である。図6において、1は外箱、2は外箱1の上方に配置するトップカバー、3はトップカバー2の下方に配置される洗濯物の乾燥動作を制御する乾燥制御部、4は外箱1内に配設する外槽、5は外箱1の内底部に配置される加熱装置6及び送風機7から発生する温風を後述する洗濯兼脱水槽の上方開口部へ案内するフレキシブルチューブ、8はフレキシブルチューブ5の先端部に装着される温風吹き出しノズルである。
【0003】
9は外槽4の上部周縁に設けられる防水板、10は外槽4の外底部に配置するモータ、11はモータ10の回転駆動をモータプーリ12から主軸プーリ13へ伝達するベルト、14は主軸プーリ13の回転数を検出する回転数検出器、15は減速機16からの回転駆動を後述する洗濯兼脱水槽に伝達するか又は回転翼に伝達するかを切り替えるためのクラッチ、17は外槽4の下方端部に取り付けられる排水ホース18から洗濯液を外部へ排出制御する排水バルブ、19は外槽4内に回転自在に設けられる洗濯兼脱水槽、20は洗濯兼脱水槽19の上部周縁に設けられるバランサー、21は洗濯兼脱水槽19の壁面に形成する脱水孔、22は洗濯兼脱水槽19内に入っている洗濯物、23は洗濯兼脱水槽19の内底部に配設する回転翼、24は回転翼23に形成する回転翼通気孔、25は外槽4と洗濯兼脱水槽19との隙間の上方に配設する温度検出器、26は外槽4と洗濯兼脱水槽19との隙間の最上部に連通するフレキシブル排気ダクト、27は外箱1の上方壁面に形成する排気孔である。
【0004】
また、図7は乾燥制御部3の動作の流れを示すフローチャート図である。以下、図7を参照しながら従来例の洗濯乾燥機の動作について説明する。洗濯乾燥機の洗い行程、濯ぎ行程が終了した後で、脱水行程(ステップS100)へと進む。そして、脱水行程(ステップS100)の終了後、つまり洗濯兼脱水槽19の回転による遠心力で洗濯物22が洗濯兼脱水槽19の内壁面に張り付いた状態の後に、乾燥動作へと進行する。この動作以降より、温風がフレキシブルチューブ5から温風吹き出しノズル8を介して洗濯兼脱水槽19の上方開口部へ案内される。
【0005】
次に、解し乾燥(ステップS101)に進み、回転翼23は100rpmの回転数で回転時間0.5秒、停止時間0.5秒の周期により正回転と逆回転とを交互に繰り返すようにして1分間往復回転する。これにより、洗濯兼脱水槽19の内壁面に張り付いた洗濯物22(図6中のA)が掻き落とされ、その後で上下左右にランダム的に入れ替えされて解される。そして、解された洗濯物22(図6中のB)の全体に温風が接触する。
【0006】
次に、回転乾燥(ステップS102)に進み、回転数検出器14の出力に基づいてモータ10の回転動作が制御される。これにより、洗濯兼脱水槽19は例えば300rpmの回転数で約3分間回転する。このときに、洗濯兼脱水槽19の回転作用及び洗濯兼脱水槽19と一体となって回転する回転翼23の回転作用、さらに送風機7の回転作用によるファン効果で、回転翼23の上面に乗っている状態の洗濯物22(図6中のB)に、温風が勢い良く接触する。そして、洗濯物22に含まれている水分が蒸発して、所定の排出経路を経て排気される。
【0007】
次に、乾き具合(ステップS103)の判定へと進み、洗濯物22の乾き具合を判定する。ここで、乾燥が未終了つまりNOと判定された場合は解し乾燥(ステップS101)に戻って、前述と同様の動作が行われる。また、乾燥が終了つまりYESと判定された場合は、加熱装置6及び送風機7さらにモータ10の運転が停止し、一連の乾燥動作が終了(ステップS104)する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の洗濯乾燥機は、脱水行程(ステップS100)の際に洗濯兼脱水槽の高速回転動作で発生する遠心力により、洗濯兼脱水槽の内壁面に洗濯物が張り付く状態となる。そして、洗濯兼脱水槽の内壁面に張り付いた状態の洗濯物を解し乾燥で掻き落とすと共に、上下左右にランダム的に入れ替えさせて解すように工夫している。しかし、解し乾燥(ステップS101)における回転翼の回転動作は必ずしも十分でなく、即ち回転翼の回転角度が小さい又は回転速度が遅いために、洗濯兼脱水槽の内壁面から洗濯物を十分に掻き落として解すようなことが出来ない。したがって、洗濯物の一部は洗濯兼脱水槽の内壁面に張り付いた状態で温風と接触する。これにより、洗濯物の一部に乾燥ムラを生じて乾燥効率が非常に悪いという問題点があった。
【0009】
この発明は、前述のような問題点を解決するためになされたもので、洗濯兼脱水槽の内壁面から洗濯物を十分に掻き落とし、この後に洗濯物を解すように工夫した。これにより、洗濯物の全体に温風を満遍なく接触させて乾燥ムラを解消し、かつ洗濯物にシワを生じさせないように乾燥する、即ち仕上がり品質の高い洗濯乾燥機を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係わる洗濯乾燥機は、外箱と、前記外箱内に配設する外槽と、自身の壁面に脱水孔を有し、前記外槽内に回転自在に設けられる洗濯兼脱水槽と、前記洗濯兼脱水槽の内底部に配設する回転翼と、前記回転翼および前記洗濯兼脱水槽を回転駆動させることが可能なモータと、前記洗濯兼脱水槽内と連通する加熱装置および送風機と、前記モータの駆動を制御する制御部と、洗濯物の脱水行程後に行う乾燥行程時に前記加熱装置および送風機から発生する温風を前記洗濯兼脱水槽内へ案内するフレキシブルチューブと、を有し、 前記制御部は、洗濯物の脱水行程後、前記回転翼に対して第1の回転動作をさせた後に、前記回転翼に対して第2の回転動作をさせるように前記モータの駆動を制御し、前記回転翼の第1および第2の回転動作のそれぞれは回転サイクルの繰り返しにより構成されるとともに、前記回転翼の第1の回転動作の一サイクルの回転角度は第2の回転動作の一サイクルの回転角度よりも大きく設定され、かつ、前記第1の回転動作の一サイクルの周期は第2の回転動作の一サイクルの周期よりも大きく設定されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の洗濯乾燥機では、洗濯兼脱水槽の内壁面から洗濯物が十分に掻き落とされる。また、洗濯物は十分に解されるので洗濯物の全体に温風が満遍なく接触する。これにより、洗濯物に含まれる水分の蒸発拡散を一層促進させることができる。したがって、洗濯物の乾燥効率が高く、かつ洗濯物のシワ及び乾燥ムラが殆ど生じない、即ち仕上がり品質の高い洗濯乾燥機を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明による洗濯乾燥機の実施の形態を示す、即ち洗濯物22の乾燥動作を制御する乾燥制御部3の動作の流れを示すフローチャート図である。なお、洗濯乾燥機の構造図は従来例(図6参照)と同様である。以下、図1を参照しながら洗濯乾燥機の動作について説明する。洗濯乾燥機の洗い行程、濯ぎ行程が終了した後で、脱水行程(ステップS100)へと進む。脱水行程(ステップS100)において、洗濯兼脱水槽19は例えば900rpmの回転数で所定時間だけ高速回転する。そして、洗濯兼脱水槽19の高速回転による大きな遠心力で、洗濯物22が内壁面に十分に張り付く状態となる。この行程(ステップS100)の終了後に一連の乾燥動作へと進み、温風がフレキシブルチューブ5から温風吹き出しノズル8を介して洗濯兼脱水槽19の上方開口部へ案内される。このことは、実施の形態2〜4についても同様である。
【0013】
次に、掻き落とし(ステップS101)へと進み、図2の(a)に示すようにモータ10及び回転翼23が所定の回転動作を開始する。モータ10が例えば1.0秒間だけ通電されることにより、回転翼23は130rpmの回転数で1.0秒間だけ正回転する。即ち、回転翼23は洗濯兼脱水槽19内で2.2回転(θ=792deg)することになる。この後に、モータ10が例えば0.5秒間だけ断電されることにより、回転翼23は慣性回転時間を含めて0.5秒後には停止する。そして、モータ10が再び1.0秒間だけ通電されることにより、回転翼23は130rpmの回転数で1.0秒間だけ逆回転する。この後に、モータ10が0.5秒間だけ断電されることにより、前述と同様に回転翼23は慣性回転時間を含めて0.5秒後には停止する。回転翼23は、このような回転周期で正回転と逆回転とを交互に繰り返すようにして2往復だけ回転する。こうした回転翼23の掻き落とし動作によって、洗濯兼脱水槽19の内壁面に張り付いた状態の洗濯物22(図6中のA)は掻き落とされ、回転翼23の上面に均一分散した状態で置かれる。
【0014】
次に、解し乾燥(ステップS102)へと進み、図2の(b)に示すようにモータ10及び回転翼23は所定の回転動作を開始する。モータ10が例えば0.5秒間だけ通電されることにより、回転翼23は130rpmの回転数で0.5秒間だけ正回転する。即ち、回転翼23は洗濯兼脱水槽19内で1.1回転(θ=396deg)することになる。この後に、モータ10が例えば0.5秒間だけ断電されることにより、回転翼23は慣性回転時間を含めて0.5秒後には停止する。そして、モータ10が再び0.5秒間だけ通電されることにより、回転翼23は130rpmの回転数で0.5秒間だけ逆回転する。この後に、モータ10が0.5秒間だけ断電されることにより、前述と同様に回転翼23は慣性回転時間を含めて0.5秒後には停止する。回転翼23は、このような回転周期で正回転と逆回転とを交互に繰り返すようにして、小刻み状態により10往復だけ回転する。こうした回転翼23の小刻み状態の回転動作によって、洗濯物22は上下左右にランダム的に入れ替えされて解される。
【0015】
前述のような掻き落とし(ステップS101)及び解し乾燥(ステップS102)における回転翼23の回転動作により、洗濯物22の全部は回転翼23の上面に置かれ、かつ確実に均一分散した状態となる。これにより、洗濯物22の全体に温風が満遍なく接触することになる。なお、掻き落とし(ステップS101)と解し乾燥(ステップS102)における回転翼23の回転角度(θdeg)の大きさは、掻き落とし〉解し乾燥となるようにモータ10の回転条件(回転数×通電時間)を乾燥制御部3に予め設定しておく。ここでは、掻き落とし(ステップS101)と解し乾燥(ステップS102)において、モータ10の回転数を同一とさせ、回転時間の長さを掻き落とし>解し乾燥となるように設定する。
【0016】
次に、回転乾燥(ステップS103)に進み、洗濯兼脱水槽19は例えば300rpmの回転数で約3分間回転する。洗濯兼脱水槽19の回転作用及び洗濯兼脱水槽19と一体となって回転する回転翼23の回転作用、さらに送風機7の回転により、洗濯物22に温風が勢い良く接触する。なお、この場合の洗濯兼脱水槽19の回転による遠心力で洗濯物22が内壁面に張り付く量あるいは張り付き程度は、脱水行程(ステップS100)と比べて小さい。
【0017】
次に、乾き具合(ステップS104)の判定へと進み、洗濯物22の乾燥が未終了即ちNOと判定された場合は、解し乾燥(ステップS102)に戻って前述と同様の動作を繰り返すことになる。また、洗濯物22の乾燥が終了即ちYESと判定された場合は、一連の乾燥動作(ステップS101〜ステップS103)が停止する(ステップS105)。なお、乾き具合(ステップS104)の具体的な判定方法および判定条件は従来例と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0018】
以上の構成により、洗濯兼脱水槽19の内壁面から洗濯物22が殆ど絡むことがなく十分に掻き落とされ、この後に解されるので洗濯物22の全体に温風が満遍なく接触することになる。これにより、洗濯物22に含まれる水分の蒸発を一層促進させることができる。したがって、洗濯物22の乾燥効率が高く、かつ洗濯物22のシワ及び乾燥ムラが殆ど生じない、即ち仕上がり品質の高い乾燥を行うことができる。
【0019】
実施の形態2.
図3の(a),(b)は、この発明の洗濯乾燥機における乾燥制御部3の他の実施の形態、即ち掻き落とし及び解し乾燥でのモータ10や回転翼23の回転動作の例を示す。なお、乾燥制御部3の動作の流れを示すフローチャート図は、実施の形態1(図1参照)と同様である。以下、この発明の洗濯乾燥機における動作について説明する。
掻き落とし(ステップS101)の動作は、図3の(a)に示すようにモータ10が例えば0.5秒間だけ通電されることにより、回転翼23は150rpmの回転数で0.5秒間だけ正回転する。即ち、回転翼23は洗濯兼脱水槽19内で1.3回転(θ=468deg)することになる。この後に、モータ10が例えば0.5秒間だけ断電されることにより、回転翼23は慣性回転時間を含めて0.5秒後には停止する。そして、モータ10が再び0.5秒間だけ通電されることにより、回転翼23は150rpmの回転数で0.5秒間だけ逆回転する。この後に、モータ10が0.5秒間だけ断電されることにより、前述と同様に回転翼23は慣性回転時間を含めて0.5秒後には停止する。回転翼23は、こうした回転周期で正回転と逆回転とを交互に繰り返すようにして2往復だけ回転する。こうした回転翼23の掻き落とし動作で、実施の形態1と同様に洗濯兼脱水槽19の内壁面に張り付いた洗濯物22は掻き落とされ、回転翼23の上面に均一分散した状態で置かれる。
【0020】
次に、解し乾燥(ステップS102)へと進み、図3の(b)に示すようにモータ10及び回転翼23は所定の回転動作を開始する。これらの具体的な回転動作は実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
前述の掻き落とし(ステップS101)及び解し乾燥(ステップS102)における回転翼23の回転動作により、洗濯物22の全部は回転翼23の上面を含む洗濯兼脱水槽19の座部に置かれ、かつ確実に均一分散した状態となる。これにより、洗濯物22の全体に温風が満遍なく接触することになる。
なお、掻き落とし(ステップS101)と解し乾燥(ステップS102)における回転翼23の回転角度(θdeg)や回転速度(θdeg/sec)の大きさは、掻き落とし〉解し乾燥となるように、モータ10の回転条件(回転数×通電時間)を乾燥制御部3に予め設定しておく。ここでは、掻き落とし(ステップS101)と解し乾燥(ステップS102)において、モータ10の回転時間を同一とさせ、回転数あるいは回転速度の大きさを掻き落とし>解し乾燥となるように設定する。
【0021】
前述以降の動作は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
以上の構成により、実施の形態1と同様の効果を期待できる。したがって、洗濯物22の乾燥効率が高く、かつ洗濯物22のシワ及び乾燥ムラが生じない、即ち仕上がり品質の高い乾燥を行うことができる。
【0022】
実施の形態3.
図4の(a),(b)は、この発明の洗濯乾燥機における乾燥制御部3のさらに他の実施の形態、即ち掻き落とし及び解し乾燥でのモータ10や回転翼23の回転動作の例を示す。なお、乾燥制御部3の動作の流れを示すフローチャート図は、実施の形態1(図1参照)と同様である。以下、この発明の洗濯乾燥機における動作について説明する。
【0023】
掻き落とし(ステップS101)の動作は、図4の(a)に示すようにモータ10が例えば0.5秒間だけ通電されることにより、回転翼23は130rpmの回転数で0.5秒間だけ正回転する。即ち、回転翼23は洗濯兼脱水槽19内で1.1回転(θ=396deg)することになる。この後に、モータ10が例えば0.3秒間だけ断電される過程で、回転翼23は慣性回転の状態を維持することになる。このときに、回転翼23の慣性回転運動により、洗濯物22は洗濯兼脱水槽19内で正方向へ移動する状態となる。そして、モータ10が再び0.5秒間だけ通電されることにより、回転翼23は130rpmの回転数で0.5秒間だけ逆回転する。これにより、洗濯物22は正方向へ移動している状態から即座に逆方向へ移動する状態に切り替わる。このために、洗濯物22は回転翼23の正方向の慣性モーメントが加わりながら逆方向へ移動していく。つまり、洗濯物22に対しての掻き落とし力が必然的に増大することになる。回転翼23は、このような回転周期で正回転と逆回転とを交互に繰り返すようにして2往復だけ回転する。こうした回転翼23の掻き落とし動作により、洗濯物22が殆ど絡まずに洗濯兼脱水槽19の内壁面から掻き落とされ、回転翼23の上面に均一分散した状態で置かれる。なお、掻き落とし(ステップS101)と解し乾燥(ステップS102)におけるモータ10の断電時間を、掻き落とし〈解し乾燥となるように乾燥制御部3に予め設定しておく。
【0024】
前述以降の動作は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
以上の構成により、実施の形態1,2と同様の効果を期待できる。したがって、洗濯物22の乾燥効率が高く、かつ洗濯物22のシワ及び乾燥ムラが生じない、即ち仕上がり品質の高い乾燥を行うことができる。
【0025】
実施の形態4.
図5は、この発明における洗濯乾燥機のさらに他の実施の形態を示す、即ち乾燥制御部3の動作の流れを示すフローチャート図である。以下、図5を参照しながら洗濯乾燥機の動作について説明する。
洗濯乾燥機の洗い行程から脱水行程(ステップS100)、さらに脱水行程(ステップS100)から乾き具合(ステップS104)の判定までの動作方法は実施の形態1〜3と同様であるので、ここでは説明を省略する。
次に、乾き具合(ステップS104)の判定で、洗濯物22の乾燥が未終了即ちNOと判定された場合は掻き落とし(ステップS101)の動作に戻り、この後で解し乾燥(ステップS102)、回転乾燥(ステップS103)の順に動作を実行する。また、乾き具合(ステップS104)の判定で、洗濯物22の乾燥が終了即ちYESと判定された場合は、一連の乾燥動作(ステップS101〜S103)が停止する(ステップS105)。
なお、掻き落とし(ステップS101)及び解し乾燥(ステップS102)における回転翼23の回転動作は、実施の形態1〜3の方法を採用しても良い。
【0026】
以上の構成により、脱水行程(ステップS100)及び回転乾燥(ステップS103)における洗濯兼脱水槽19の回転による遠心力で洗濯兼脱水槽19の内壁面に洗濯物22が張り付いた場合でも、毎回の掻き落とし(ステップS101)の動作で洗濯物22が殆ど絡むことがなく十分に掻き落とされる。この後に、洗濯物22が解されるので洗濯物22の全体に温風が満遍なく接触する。したがって、洗濯物22の乾燥効率が非常に高く、かつ洗濯物22のシワ及び乾燥ムラが殆ど生じない、即ち仕上がり品質の高い乾燥を行うことができる。
【0027】
なお、実施の形態1〜4の掻き落とし(ステップS101)及び解し乾燥(ステップS102)の動作において、モータ10の回転数や通電/断電時間に基づいて回転翼23の回転動作を制御しているが、この他にモータ10の回転角度や回転速度に基づいて回転翼23の回転動作を制御するように構成しても良い。
また、掻き落とし(ステップS101)及び解し乾燥(ステップS102)の動作で、モータ10の回転数、通電/断電時間さらに正回転/逆回転の往復回数は、実施の形態1〜4に限定するものではなく、適宜変更しても良い。ただし、回転翼23の回転角度、回転速度、慣性モーメントが掻き落とし〉解し乾燥となるように設定することが肝要である。これらの動作方法により、前述と同様の効果を期待できる。
さらに、乾燥動作の回転乾燥(ステップS103)のみに温風を洗濯兼脱水槽19の上方開口部より供給させる構成であっても良い。
【0028】
この発明に係わる洗濯乾燥機は、回転翼を回転する洗濯行程と、洗濯兼脱水槽を回転する脱水行程と、洗濯兼脱水槽内に温風を供給して洗濯物を乾燥させる乾燥行程とを有した洗濯乾燥機において、乾燥行程は回転翼を第1の所定量だけ回転させて洗濯兼脱水槽の内壁面に張り付いた洗濯物を掻き落とす掻き落とし動作を設け、回転翼を第2の所定量だけ回転させて洗濯物を解す解し動作を設け、洗濯兼脱水槽を回転させて洗濯物を回転する回転動作を設けるようにしたので、洗濯兼脱水槽の内壁面から洗濯物が十分に掻き落とされる。また、洗濯物は十分に解されるので洗濯物の全体に温風が満遍なく接触する。これにより、洗濯物に含まれる水分の蒸発拡散を一層促進させることができる。したがって、洗濯物の乾燥効率が高く、かつ洗濯物のシワ及び乾燥ムラが殆ど生じない、即ち仕上がり品質の高い洗濯乾燥機を得ることができる。
【0029】
また、乾燥行程は掻き落とし動作を実行させた後に解し動作を実行させ、この後に回転動作を実行するようにしたので、脱水行程の際に洗濯兼脱水槽の内壁面に張り付いた状態の洗濯物が殆ど絡むことがなく十分に掻き落とされる。そして、洗濯物は十分に解されて、解された洗濯物の全体に温風が満遍なく、かつ勢い良く接触する。したがって、洗濯物の乾燥効率が十分に高く、かつ洗濯物のシワ及び乾燥ムラが殆ど生じない洗濯乾燥機を得ることができる。
【0030】
また、掻き落とし動作の回転翼の回転角度を解し動作の回転翼の回転角度と比べて大きくするようにしたので、脱水行程の際に洗濯兼脱水槽の内壁面に十分に張り付いた状態の洗濯物が殆ど絡むことがなく十分に掻き落とされる。そして、回転翼の上面に洗濯物の全部は乗るので、効率良く解される状態となる。したがって、洗濯物のシワ及び乾燥ムラが殆ど生じない洗濯乾燥機を得ることができる。
【0031】
また、掻き落とし動作における回転翼の回転速度を解し動作における回転翼の回転速度と比べて大きくするようにしたので、脱水行程の際に洗濯兼脱水槽の内壁面に張り付いた状態の洗濯物が十分に掻き落とされる。そして、回転翼の上面に洗濯物の全部は乗るので、効率良く解される状態となる。したがって、洗濯物のシワ及び乾燥ムラが殆ど生じない洗濯乾燥機を得ることができる。
【0032】
また、掻き落とし動作における回転翼の一方向の回転動作による慣性回転時に、回転翼を他方向へ強制的に回転するようにしたので、回転翼の慣性モーメントの付加による回転力アップによって脱水行程の際に洗濯兼脱水槽の内壁面に張り付いた状態の洗濯物が十分に掻き落とされる。そして、回転翼の上面に洗濯物の全部は乗るので、効率良く解される状態となる。したがって、洗濯物のシワ及び乾燥ムラが殆ど生じない洗濯乾燥機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明による洗濯乾燥機の乾燥動作の流れを示すフローチャート図である。
【図2】実施の形態1による構成部品の動作特性を示す図である。
【図3】実施の形態2による構成部品の動作特性を示す図である。
【図4】実施の形態3による構成部品の動作特性を示す図である。
【図5】実施の形態4による洗濯乾燥機の乾燥動作の流れを示すフローチャート図である。
【図6】従来の洗濯乾燥機を示す構造図である。
【図7】従来の洗濯乾燥機における乾燥動作の流れを示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0034】
1 外箱、2 トップパネル、3 乾燥制御部、4 外槽、5 フレキシブルチューブ、6 加熱装置、7 送風機、8 温風吹き出しノズル、9 防水板、10 モータ、11 ベルト、12 モータプーリ、13 主軸プーリ、14 回転数検出器、15 クラッチ、16 減速機、17 排水バルブ、18 排水ホース、19 洗濯兼脱水槽、20 バランサー、21 脱水孔、22 洗濯物、23 回転翼、24 回転翼通気孔、25 温度検出器、26 フレキシブル排気ダクト、27 排気孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
前記外箱内に配設する外槽と、
自身の壁面に脱水孔を有し、前記外槽内に回転自在に設けられる洗濯兼脱水槽と、
前記洗濯兼脱水槽の内底部に配設する回転翼と、
前記回転翼および前記洗濯兼脱水槽を回転駆動させることが可能なモータと、
前記洗濯兼脱水槽内と連通する加熱装置および送風機と、
前記モータの駆動を制御する制御部と、
洗濯物の脱水行程後に行う乾燥行程時に前記加熱装置および送風機から発生する温風を前記洗濯兼脱水槽内へ案内するフレキシブルチューブと、を有し、
前記制御部は、洗濯物の脱水行程後、前記回転翼に対して第1の回転動作をさせた後に、前記回転翼に対して第2の回転動作をさせるように前記モータの駆動を制御し、
前記回転翼の第1および第2の回転動作のそれぞれは回転サイクルの繰り返しにより構
成されるとともに、前記回転翼の第1の回転動作の一サイクルの回転角度は第2の回転動
作の一サイクルの回転角度よりも大きく設定され、かつ、
前記第1の回転動作の一サイクルの周期は第2の回転動作の一サイクルの周期よりも大きく設定されたことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
前記回転翼の第1および第2の回転動作のそれぞれの一サイクルの回転角度は、第1の
回転動作時に洗濯兼脱水槽の内壁面に張り付いた洗濯物の掻き落としを意図し、第2の回
転動作時に洗濯兼脱水槽内の洗濯物の解しを意図して、設定されたことを特徴とする請求
項1記載の洗濯乾燥機。
【請求項3】
前記乾燥行程は、洗濯物の乾燥が未終了な場合、前記掻き落とし動作または前記解し動
作に再び戻ることを特徴とする請求項1または2に記載の洗濯乾燥機。
【請求項4】
前記第1の回転動作において、前記回転翼の一方向の回転動作による慣性回転時に、回転翼を他方向へ強制的に回転するようにしたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の洗濯乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−172738(P2010−172738A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89415(P2010−89415)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【分割の表示】特願2008−109219(P2008−109219)の分割
【原出願日】平成10年3月30日(1998.3.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】