説明

流体機械、流体機械運転制御装置

【課題】流体流路内に外部から過大な流体流が進入した場合に、簡単な構成で、過回転においても損傷することのない流体機械強度を有し、更に強制的な過回転現象が去った時点で速やかに正規の回転数に復帰する流体機械を提供すること。
【解決手段】流体流路(風路11)内に配置され、回転翼15を駆動機(電動モータ17)で回転させることにより、流体を流体流路の一方向から他方に送る流体機械であって、回転翼15の回転軸と駆動機の駆動軸の間に駆動機の正回転方向のみの回転力を回転翼の回転軸に伝達する第1機械的一方向クラッチ16を配置し、駆動機の駆動軸と静止側の間に該駆動軸の正回転方向の回転を許し逆回転方向の回転を阻止する第2機械的一方向クラッチ26を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ダクト等の流路内に配置され、該流路の一方端から他方端に気流を送る流体機械の運転制御装置に関し、特に外部から圧力を有する気流(風)が一方端から他方端(正流方向)へ、又他方端から一方端(逆流方向)に進入する流路内に配置された換気ファン等の流体機械、及び流体機械運転制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、図1(a)に示すように排気ダクト等の、流体流路100内に配置し、流体流路100の一方端から他方端に流体を送る流体機械の例として、排気ダクト等の流体流路内に配置された換気ファン101がある。該換気ファン101は回転翼102を備え、該回転翼102を電動モータ103で回転駆動することにより、流体流路100の一方端から吸込んだ気流を矢印Bに示すように他方端に送り、吐出している。
【0003】
上記のような換気ファン101において、流体流路100内に換気ファン101の正常回転が維持できない圧力を有する気流が、図1(b)、(c)の矢印C、Dに示すように、逆流方向、正流方向に進入する場合がある。このような場合の対策として、従来は図2に示すように、換気ファン101の前又は後にダンパ107を配置し、該ダンパ107を全閉にして換気ファン101に直接気流が及ばないように遮断している。
【0004】
上記のようにダンパ107を閉じて流体流路100を遮断しても、換気ファン101の運転を継続する場合、換気ファン101の運転点は風量ゼロの締め切り運転となる。この場合、換気ファンの「風量−軸動力運転特性」において、軸動力を電動モータ103の定格軸動力と比較して、上回るか下回る場合について次の(1)、(2)の2つの対応に分かれる。
【0005】
(1)換気ファン101の締め切り軸動力が電動モータ103の定格軸動力を上回る場合
換気ファン101の締め切り軸動力が電動モータ103の定格軸動力を上回る場合には、電動モータ103が過負荷となるため継続運転できない。換気ファン101の運転を停止せず継続運転するためには次の対応を必要としていた。
・図3に示すように、ダンパ108を備えたバイパス流路106を設置する。ダンパ107を閉じて流体流路100を遮断した場合、ダンパ108を開いて送風経路を切り換え、循環送風とし、換気ファン101の締切運転を回避する。
・換気ファン101の回転翼102の翼形式が固定翼の場合は図4に示すように、回転数制御により回転翼102の回転数を減じ、風量及び全圧力を減じることにより軸動力を強制的に許容範囲に減じる。
・換気ファン101の回転翼102の翼形式が可動翼方式の場合は図5に示すように翼角度をねかせて風量及び全圧力を減じることにより、軸動力を強制的に許容範囲に減じる。
【0006】
(2)換気ファンの締め切り軸動力が電動モータの定格軸動力を下回る場合
換気ファン101の締め切り軸動力が電動モータ103の定格軸動力を下回る場合には、電動モータ103は過負荷とはならないので、継続運転は制約されない。但し、締切運転は換気ファン101内部で気流が大きく乱れて強制的に循環されている状態のため、流体力のアンバランスが生じ、振動が大きくなるなど悪影響により軸受等を劣化させる原因となるため好ましくない。従って、時間的な制限を設ける等の処置を必要としていた。
【0007】
上記従来の対応には、下記のような問題がある。
・流体流路100に外部から気流が進入するたびにダンパ107を閉鎖する必要があるため、制御的に外部からの気流の進入と、気流の影響低下を検知し、時間的余裕を確保してダンパ107を開閉制御する必要がある。
・ダンパ107の閉鎖時には流体流路100は全く遮断状態となるため、換気機能が全く停止してしまう。
・ダンパ107が誤操作や故障した場合においては流体流路100を遮断できなくなる。この場合には程度により換気ファン101が損傷に至る。気流の方向よりそれぞれ以下の問題が発生する。
【0008】
(a)換気ファン101の逆流方向に過大な気流が進入した場合
図6に示すように、矢印Aに示す方向に正常回転し、矢印Bに示す正流方向に気流を送っている換気ファン101において、時刻t1でファンに及ぶ圧力、ファン風量(m3/min)、ファン回転数(min-1)、ファン電流値(A)は平常状態にある。ファンに及ぶ圧力風(換気ファン101の逆流方向に及ぶ圧力風)の強さが大きくなる時刻t2、時刻t3につれてファン風量は換気ファン101の特性上減少する。同時に、換気ファン101に必要なファン軸動力は増大する方向に作用し、ファン電流値(A)もファン軸動力の増大に応じて増大する方向へ作用する。時刻t4でファン電流値(A)が過電流値に達すると電源経路は保護装置が動作して開閉器が開放され、換気ファン101を駆動するファン駆動力は失われ、換気ファン101は無拘束となり、ファンに及ぶ圧力風により矢印E方向に逆転し、ランナウェイ回転数(換気ファン101が気流により回転させられる飽和回転数)に達する。
【0009】
換気ファン101の逆回転数が過大になりランナウェイ回転数に至った場合には、過大な遠心力が回転部に発生し、回転翼102や回転翼102の取付部の許容強度を超えて破損に至る可能性や、軸受の破損や、主軸の回転数が固有振動数に合致して過度な振動発生による回転体の破損等に至る可能性がある。
【0010】
(b)換気ファンの正流方向に過大な気流が進入した場合
図7に示すように、矢印Aに示す方向に正常回転し、矢印Bに示す正流方向に気流を送っている換気ファン101において、時刻t1でファンに及ぶ圧力、ファン風量(m3/min)、ファン回転数(min-1)、ファン電流値(A)は平常状態である。ファンに及ぶ圧力(換気ファン101の正流方向に付加される圧力)風の強さは大きくなり、換気ファン101自身が発生する風の圧力が低下する時刻t2、時刻t3につれてファン風量は特性上増大する。同時に換気ファン101自身に必要なファン軸動力は軽減される方向に作用し、ファン電流値(A)もファン軸動力の低下に応じて低下する方向へ作用する。時刻t4でファン電流値が最下限値に達する。更にファンに及ぶ圧力風が強くなると電流の方向が力行から発電領域・回生に移行するが、通常の設備としては回生となる前に保護制御回路を形成し、電源経路の開閉器を開放する。これにより換気ファン101の駆動力は失われ、換気ファン101は無拘束となり、正流方向及び圧力風により回転が加速し、ランナウェイ回転数(換気ファン101が気流により回転される飽和回転数)に達する。
【0011】
換気ファン101の回転数が過大になった場合には、過大な遠心力が回転部に発生し、回転翼102や回転翼102の取付部の許容強度を超えて破損に至る可能性や、軸受の破損や、主軸の回転数が固有振動数に合致して過度な振動発生による回転体の破損等に至る可能性がある。
【0012】
また、侵入する過大な気流が逆流方向であっても、正流方向であっても、電路開閉器が開放されてしまうと、過大な気流がおさまって速度制御装置による換気ファン101の運転が可能になっても、電路開閉器を閉じて速度制御装置をリセットしなければならないため、迅速な運転再開が阻害されることがある。更に、過大な気流が繰返し起こるような場合は、電路開閉器の開閉が繰り返され、電路開閉器の寿命を減らしてしまう。また、ダンパ107の誤操作や故障した場合の問題を回避するためには、ダンパのバックアップ施設(ダンパの2重化等)を設ける等の対策の必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開昭63−138197号公報
【特許文献2】特開平4−175500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、内部に流体機械が配置された流体流路内に逆流方向及び正流方向に外部から過大な流体流が進入した場合に、ダンパ等により流体流路の遮断やダンパ機能のバックアップを必要としない簡単な構成で、最大の流体機械回転部の過回転においても損傷することのない流体機械強度を有し、更に強制的な過回転現象が去って落ち着いた時点で速やかに正規の回転数に復帰し流体を送ることができる流体機械を提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明は、換気ファン等の流体機械が配置された流路内部に逆流方向及び正流方向に外部から過大な圧力流体が進入した場合に、流路を遮断して流体流効率を低下させることなく、且つこの圧力流体を発生源とする流体機械の電動モータからの電力(電流)の回生や、必要動力値の上昇による過負荷等の電気的な障害の発生を回避し、且つ許容以上の過回転(逆転)となる流体流が進入した場合に自動的(機械的)に圧力風を抑制し、最大の逆風圧時においても回転翼が危険逆回転数に達しない流体機械と更に強制的な過回転現象を起す圧力流体が去って、落ち着いた時点で速やかに流体機械を正規の回転数に復帰させ流体流を送ることができる流体機械運転制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため本発明は、流体流路内に配置され、回転翼を駆動機で回転させることにより、流体を流体流路の一方向から他方に送る流体機械であって、回転翼の回転軸と駆動機の駆動軸の間に駆動機の正回転方向のみの回転力を回転翼の回転軸に伝達する第1機械的一方向クラッチを配置し、駆動機の駆動軸と静止側の間に該駆動軸の正回転方向の回転を許し逆回転方向の回転を阻止する第2機械的一方向クラッチを配置したことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は上記流体機械において、駆動機の正回転による回転翼の回転で流体流路内を流れる流体の流れを正流方向とし、反対の流れを逆流方向とし、流体流路内に外部から逆流方向の流体が進入し、その圧力により回転翼及び前記駆動機が逆回転するのを第2機械的一方向クラッチにより阻止し、流体の圧力が弱まり回転翼が正回転可能となった場合、駆動機により回転翼の回転を行う第1制御手段と、流体流路内に外部から正流方向の流体が進入し、その圧力により回転翼が前記駆動機より速い回転数で回転し、第1機械的一方向クラッチにより回転翼の回転軸と駆動機の駆動軸の結合が解除された回転翼が独自に回転した場合、駆動機を所定の回転数に維持運転し、流体の圧力が弱まり回転数が減少し所定の回転数に復帰した場合、駆動機により回転翼の回転を行う第2制御手段と、を設けたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、流路内に配置され、回転翼を駆動機で回転させることにより、流体流を流路の一方から他方に送る流体機械の運転制御を行う流体機械運転制御装置において、速度制御装置と、運転操作制御装置と、保護制御装置とを備え、速度制御装置は、通常は運転操作制御装置から指令される設定回転数で回転翼を回転させる動力を駆動機に出力する通常制御機能と、駆動機に出力する動力を無くし流体機械の前記回転翼を含む回転体を自由回転にさせるフリーラン制御機能とを備え、運転操作制御装置は、通常制御時に速度制御装置に設定回転数信号を送り回転翼を設定回転数で回転させる通常制御指示機能を備え、保護制御装置は、流路に許容範囲外の外部圧力流体流が進入した場合に速度制御装置に回転体をフリーラン状態にさせるフリーラン指示機能を備え、流体機械に上記記載の流体機械を用いたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記流体機械運転制御装置において、保護制御装置は、速度制御装置にフリーランを指示した場合に運転操作制御装置に保護制御開始したことを知らせる保護制御開始通知機能と、流路に作用する外部圧力流体が前記許容範囲内になった場合に保護制御が終了したことを知らせる保護制御終了通知機能を備え、たことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、流体機械が配置されている流体流路に外部から圧力を有する流体流が進入し、流体機械に正流方向、逆流方向それぞれ及ぶ場合において、流体流の圧力が流体機械の回転翼や駆動機の正規回転数を維持できない場合であっても、ダンパ等の流体流路遮断や、電気的に電動開閉器を開放することなく回転翼が強制的に回転される状態を許容し、流体流の影響が低下した時点で、再び、回転翼を所定正規回転数による正常運転に迅速に復帰することができる流体機械を構築でき、設備の簡素化、操作、制御の簡素化が可能となることにより合理的な設備となる。
【0021】
また、本発明によれば、速度制御装置は通常は運転操作制御装置から指令される設定回転数で回転翼を回転させる動力を駆動機に出力する通常制御機能と、駆動機に出力する動力を無くし流体機械の回転翼を含む回転体を自由回転にさせるフリーラン制御機能とを備え、運転操作制御装置は通常制御時に速度制御装置に設定回転数信号を送り回転翼を設定回転数で回転させる通常制御指示機能を備え、保護制御装置は流路に許容範囲外の外部圧力流体流が進入した場合に速度制御装置に回転体をフリーラン状態にさせるフリーラン指示機能を備えているので、流路内部に逆流方向及び正流方向に外部から過大な圧力流体が進入した場合に、流路を遮断して流体流効率を低下させることなく、且つこの圧力流体を発生源とする流体機械の電気的な障害の発生を回避し、更に外部圧力流体流が去って、落ち着いた時点で速やかに流体機械を正規の回転数に復帰させ流体流を送ることができる流体機械運転制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は従来の換気ファンの概略構成例を示す図である。
【図2】図2は従来の換気ファンの概略構成例を示す図である。
【図3】図3は流体流路にバイパス風路を設置した場合を示す図である。
【図4】図4は換気ファンの翼形式が固定翼の場合の締切軸動力低減方法を説明する図である。
【図5】図5は換気ファンの翼形式が可動翼の場合の締切軸動力低減方法を説明する図である。
【図6】図6は従来の換気ファンが配置されている風路内に外部から逆流方向の気流が進入した場合を説明するための図である。
【図7】図7は従来の換気ファンが配置されている風路内に外部から正流方向の気流が進入した場合を説明するための図である。
【図8】図8は本発明に係る換気ファン運転操作制御装置のシステム構成例を示す図である。
【図9】図9は図8の換気ファン運転操作制御装置の制御フローを示す図である。
【図10】図10は換気ファン運転操作制御装置のフリーラン移行基準を説明するための図である。
【図11】図11は本発明に係る換気ファン運転操作制御装置のシステム構成例を示す図である。
【図12】図12は図11の換気ファン運転操作制御装置の制御フローを示す図である。
【図13】図13は本発明の流体機械の一例である換気ファンの断面構成例を示す図である。
【図14】図14は本発明に係る換気ファンが配置されている風路内に外部から逆流方向の気流が進入した場合を説明するための図である。
【図15】図15は本発明に係る換気ファンが配置されている風路内に外部から正流方向の気流が進入した場合を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図8は本発明に係る流体機械運転制御装置としての換気ファン運転操作制御装置のシステム構成を示す図である。なお、本実施例では流体機械として換気ファンを例に説明するが、本発明は流路内に配置され、該流路の一方端から他方端に流体を送る流体機械運転制御装置に適用できる。図8に示すように、流体機械運転制御装置は、換気ファン運転操作制御装置1、換気ファン保護制御装置2、速度制御装置3、風路11内に配置された換気ファン10の運転制御を行うようになっている。ここで換気ファン10は一般的な固定翼を備えた換気ファンである。換気ファン運転操作制御装置1は換気ファン10の通常の運転操作制御を行う装置で、換気ファン保護制御装置2は換気ファン10等の保護を行う装置であり、該換気ファン運転操作制御装置1と換気ファン保護制御装置2は同種類の制御装置であるが機能をわかりやすくするためにここでは区分している。
【0024】
換気ファン運転操作制御装置1は、制御対象信号発信器31からの風路11内の温度等の制御対象検出信号、運転・停止指令信号発信器32からの運転・停止指令信号、設定回転数発信器(遠方操作部)33からの設定回転数信号、及び回転数発信器27からの換気ファン10の実測回転数信号を受け、換気ファン10の設定回転数信号を生成し、設定回転数発信器1aから速度制御装置3に該設定回転数信号を送信するようになっている。
【0025】
換気ファン保護制御装置2は、フリーラン指令信号発信器2a、再起動指令(増速)信号発信器2b、保護制御開始信号発信器2c、保護制御終了信号発信器2dを備え、外力状態量発信器37からの圧力、又は風量等の外力の状態量検出信号、回転数発信器27からの換気ファン10の実測回転数信号、インバータ制御部36からの出力回転数信号、及びインバータ出力部35から電動モータ17に出力される電力(電流)信号を受けるようになっている。
【0026】
また、換気ファン保護制御装置2は、換気ファン10の電動モータ17の電力(電流)の回生や、過負荷になる等電気的な障害が発生しうる状況になり、電動モータ17や速度制御装置3や電路等の設備を保護する必要がある場合に、フリーラン指令信号発信器2aから速度制御装置3にフリーラン指令信号を出力して電気的障害から設備を保護する制御を行う。更に換気ファン保護制御装置2は、速度制御装置3に電力を供給する動力配線上流部の遮断器を開放しない状態を維持する制御を行う。
【0027】
また、換気ファン保護制御装置2は、換気ファン運転操作制御装置1に保護制御開始信号発信器2cを介して保護制御を開始したことを知らせ通常制御を中断させる機能や、外力状態量発信器37で検出した圧力、又は風量の外力の状態量からフリーランを終了することを可能とする条件が整ったことを確認して、再起動指令信号発信器2bから再起動指令信号を速度制御装置3に出力して、換気ファン10の電動モータ17を通常制御時の設定回転数の運転に復帰させる機能や、回転数発信器27で検出した換気ファン10の実測回転数信号により換気ファン10が通常制御時の回転数に復帰したことを検知して保護制御終了信号発信器2dを介して保護制御終了信号を換気ファン運転操作制御装置1に出力する機能を備えている。
【0028】
速度制御装置3はインバータ出力部35を備え、換気ファン運転操作制御装置1の設定回転数発信器1aの設定回転数信号を受けて、インバータ制御部36で換気ファン10の回転数が設定回転数になる周波数信号を生成してインバータ出力部35に出力する。インバータ出力部35は該周波数信号を受けて設定回転数になる周波数の電力(電流)を換気ファン10の電動モータ17に供給する。これにより換気ファン10の回転翼15は正回転(矢印Aに示す方向に回転)し、換気ファン10のケーシング内を通って、該ケーシングに接続された風路11の一方端から他方端に向って矢印Bに示すように風(気流)を送る。
【0029】
また、速度制御装置3は、換気ファン保護制御装置2のフリーラン指令信号発信器2aからのフリーラン指令信号を受け、インバータ出力部35から換気ファン10の電動モータ17に供給する電力を無くして無拘束とし、電動モータ17の回転部を含む換気ファン10の回転体を自由に回転できる状態、即ち回転体をフリーラン状態とするフリーラン機能を備えている。また、速度制御装置3は、換気ファン保護制御装置2の再起動指令信号発信器2bからの再起動指令信号を受けてインバータ出力部35の出力電力を換気ファン10の電動モータ17に供給する。
【0030】
図9は上記換気ファン運転操作制御装置の制御フローを示す図である。先ずステップST11では、換気ファン10の通常制御、即ち速度制御装置3は換気ファン10の回転数が換気ファン運転操作制御装置1の設定回転数発信器1aからの設定回転数になる周波数の電力(電流)をインバータ出力部35から換気ファン10の電動モータ17に供給する制御を行う。ステップST12では、回転数発信器27からの換気ファン10の実測回転数をNとし、該実測回転数Nに対するフリーラン移行基準、即ち図10(a)、(b)に示すように、許容電力(電流)値範囲を演算して、低電力(電流)側規定値ALと高電力(電流)側規定値AHを求める。
【0031】
ステップST13では、インバータ出力部35から電動モータ17に供給される電力値(電流値)をAとし、“フリーラン”の移行基準処理、即ち回生電流自体の検知、若しくは、回生を回避すべき電流値条件の検知A<AL、そして、過負荷(過電流)を回避すべき電流値条件の検知A>AHを調べ、いずれかが成立する(OR)場合にはステップST14に移行する。該ステップST14では、換気ファン10の保護制御を開始し、ステップST15に移行する。これと同時に換気ファン10の通常制御は中断する。
【0032】
ステップST15では、換気ファン保護制御装置2のフリーラン指令信号発信器2aから速度制御装置3にフリーラン指令信号を送信してステップST16に移行する。ステップST16では、外力状態量発信器37で検出した外力の状態量(圧力、又は風量)Bを規定値と比較し、外力の状態量Bが規定値内に復帰するのを待って、規定値内に復帰したら、即ち図10(c)に示すように外力の状態量Bが低圧側外力基準値(−)BLと高圧側外力基準値(+)BHの間内になったらステップST17に移行する。
【0033】
ステップST17では、換気ファン10の回転方向を検出し、該回転方向によって、フローを分岐する。回転方向が逆転の場合にはステップST18に移行する。ステップST18では、換気ファン10の回転数(逆転)が規定値内まで減速したことを検出した後、ステップST20に移行し、フリーランを終了し、その後、ステップST21に移行する。該ステップST21では、換気ファン保護制御装置2はその再起動指令信号発信器2bから再起動指令信号を速度制御装置3に出力して換気ファン10の再起動を行い、ステップST23に移行する。前記ステップST17で換気ファン10の回転方向が正転の場合にはステップST19に移行し、フリーランを終了し、その後、ステップST22に移行する。該ステップST22では、換気ファン10が回転中であってもその回転数から再起動を行い、ステップST23に移行する。該ステップST23では、換気ファン10の増速を行い、ステップST24に移行する。ステップST24では、換気ファン10の回転数を設定回転数にする制御を行い通常制御へ復帰すると共に、ステップST25に移行して換気ファンの保護制御を終了する。
【0034】
また、速度制御装置3には電力回生機能が付属されているものもあり、この場合には回生側(回転体側)のフリーランの移動基準値を回生可能な容量までとし、正転側の過回転時には可能な範囲の動力(電力)回収を行うこともできる。この場合、ステップST13では、回生電流の検知は基準から除外し、ALは負の電流値(回生可能な電流値)として設定される。
【0035】
また、フリーランが終了した時点で再起動可能な回転数に低回転数側に制約がある場合には、自由に回転している換気ファン10の回転翼15を迅速に停止させるため、回生制動により回転翼15及び電動モータ17の回転部からなる回転体の回転を停止させることもできる。
【0036】
また、圧力、又は風量の状態量の変動状況が著しく、規定値の範囲内外に大きく振れる場合には、保護制御の移行とその終了が繰り返されるハンチング現象に陥る可能性もあるため、この場合にはハンチング現象を回避する手段としてフリーラン指令から通常制御に復帰のための外力の状態量確認までに保持時間を設ける等の処置も付加することができる。
【0037】
図11は本発明に係る換気ファン運転操作制御装置のシステム構成例を示す図である。図11に示す換気ファン運転操作制御装置が図8に示す換気ファン運転操作制御装置と異なる点は、図11の換気ファン運転操作制御装置では換気ファン保護制御装置2に、フリーラン制動指令信号発信器2eを設け、フリーランによる換気ファン10の回転体の回転数が規定範囲内に復帰したらフリーラン終了として速度制御装置3にフリーラン制動指令信号を送信するようになっている点である。他は図8の換気ファン運転操作制御装置と同一である。
【0038】
図12は図11に示す換気ファン運転操作制御装置の制御フローを示す図である。先ずステップST31では、換気ファン10の通常制御を行う。ステップST32では、回転数発信器27からの実測回転数をNとし、該実測回転数Nに対する許容電力(電流)値範囲の低電力側規定値ALと高電力側規定値AHを演算して求め(図10(a)、(b)参照)、ステップST33に移行する。ステップST33では、インバータ出力部35から電動モータ17に供給される電力値(電流値)をAとし、“フリーラン”の移行基準処理、即ち回生電流自体の検知、若しくは、回生を回避すべき電流値条件の検知A<AL、そして、過負荷(過電流)を回避すべき電流値条件の検知A>AHを調べ、いずれかが成立する(OR)場合にはステップST34に移行する。該ステップST34では、換気ファン10の保護制御を開始し、ステップST35に移行する。これと同時に換気ファン10の通常制御は中断する。
【0039】
ステップST35では、換気ファン保護制御装置2のフリーラン指令信号発信器2aから速度制御装置3にフリーラン指令信号を送信してステップST36に移行する。ステップST36では、保護制御の移行とその終了が繰り返されるハンチング現象を防止するため、タイマー等で所定のフリーラン保持時間を設定し、該フリーラン保持時間経過後にステップST37に移行する。ステップST37では、外力状態量発信器37で検出した外力の状態量Bを規定値と比較し、規定値内に復帰したか、即ち外力の状態量Bが低圧側外力基準値(−)BLと高圧側外力基準値(+)BHの間に復帰(図10(c)参照)したかを判断し、規定値内に復帰したら、ステップST38に移行する。
【0040】
ステップST38では、フリーラン終了し、ステップST39に移行する。該ステップST39では、換気ファン10の回転方向を検出し、回転方向によって、フローを分岐する。回転方向が逆転の場合にはステップST40に移行する。該ステップST40では、換気ファン保護制御装置2のフリーラン制動指令信号発信器2eから速度制御装置3にフリーラン制動指令信号を送信し、惰性回転している換気ファン10の回転数制動(減速動作)を行いステップST42に移行する。ステップST42では、換気ファン10の回転数が規定値内まで減速したことを検出した後、ステップST43に移行する。ステップST43では、換気ファン保護制御装置2の再起動指令信号発信器2bから再起動指令信号を速度制御装置3に出力して換気ファン10の再起動を行い、ステップST44に移行する。また、前記ステップST39で、換気ファン10の回転方向が正転の場合にはステップST41に移行する。該ステップST41では、換気ファン10が回転中であってもその回転数から再起動を行い、ステップST44に移行する。
【0041】
ステップST44では、換気ファン10の増速を行い、ステップST45に移行する。ステップST45では、換気ファン10の回転数を設定回転数にする制御を行い、通常制御へ復帰すると共に、ステップST46に移行して換気ファンの保護制御を終了する。
【0042】
図13は本発明に係る流体機械の断面構成例を示す図である。なお、本実施形態例では流体機械として換気ファンを例に説明するが、本発明は流体流路内に配置され、該流体流路の一方端から他方端に流体を送る流体機械に適用できる。図13において、換気ファン10は流体流路としての風路11内に配置されている。即ち、換気ファン10の内部ケーシング13は固定部材12を介して換気ファン10内の所定位置に配置・固定されている。換気ファン10を正回転させることにより矢印Aに示すように、風路11の一方端(図示せず)から吸込んだ気流は、風路11の他方端である吐出口14から矢印Bに示すように吐出される。
【0043】
15は換気ファン10の回転翼であり、該回転翼15は第1機械的一方向クラッチ16を介して駆動機としての電動モータ17のモータ回転軸18の一端に連結されている。これにより回転翼15は定常運転時の定常回転方向(正回転)のみ電動モータ17のモータ回転軸18の回転力を受けて回転する。換気ファン10の回転翼15が矢印A、Bと同じ方向の外部からの気流(正流方向の気流)を受けて電動モータ17の回転数よりも速い速度で回転する場合は、電動モータ17のモータ回転軸18とは分離して独自に回転する。19は回転翼を支持する回転翼軸であり、該回転翼軸19は軸受20を介して内部ケーシング13に対して回転自在に支持されている。回転翼軸19の一端に回転翼15の回転数を検出するための回転数検出器(TG)22が連結されている。
【0044】
電動モータ17はステータ17aとロータ17bを備え、ステータ17aはモータケーシング23に固定され、ロータ17bはモータ回転軸18に固定され、ステータ17a内を貫通し回転自在に配置されている。また、モータケーシング23は内部ケーシング13を介して換気ファン10のケーシングに固定されている。モータ回転軸18の両端部は軸受25、25を介して内部ケーシング13に対して回転自在に支持されている。電動モータ17のモータ回転軸18の他端に第2機械的一方向クラッチ26を介して固定側に連結されている。即ち、電動モータ17が逆回転するのをこの第2機械的一方向クラッチ26で強制的に阻止するようになっている。また、電動モータ17のモータ回転軸18の他端には、回転数を検出するための回転数検出器(TG)27が連結されている。
【0045】
上記構成の換気ファン10において、電動モータ17には、例えば籠型誘導電動モータを用い、図示しないインバータ制御によりステータ17aに供給する電力の周波数を制御してその回転数を制御するようにしている。外部から風路11内に矢印A、Bとは逆方向(逆流方向)の気流が進入し、その圧力が強くなり、換気ファン10の風量が零から逆風量となると、回転翼15は逆回転力を受け、電動モータ17のモータ回転軸18が逆方向に回転しようとするが、これは第2機械的一方向クラッチ26で強制的に阻止される。
【0046】
回転翼15が逆回転力を受け、電動モータ17が逆回転するのを第2機械的一方向クラッチ26で強制的に阻止されている間は、インバータ制御等の第1の制御手段により電動モータ17への電力供給を止め、該電動モータ17のステータ17a、モータ回転軸18を無拘束とする(フリーラン)制御(第2機械的一方向クラッチ26で電動モータ17の回転が零に拘束されても電気的に障害とならないようにする制御)を行う。そして逆方向の気流の風圧が小さくなり、風路11内の圧力が所定の値以下となったら、インバータから電動モータ17への電力供給を再開し、換気ファン10が定格回転数になるように再加速し制御する。
【0047】
外部から風路11内に矢印A、Bと同じ方向の正流方向の気流が進入し、その圧力が強くなり、換気ファン10の回転翼15が電動モータ17の回転数以上で回転すると、第1機械的一方向クラッチ16により、回転翼15の回転翼軸19と電動モータ17のモータ回転軸18との連結が解除され、回転翼15は独自に正流方向の気流の圧力によりモータ回転軸18より高速で回転する。回転翼15の回転数は回転数検出器(TG)22の出力で監視し、回転翼15が正方向の気流で独自に高速で回転している間は、上記第2の制御手段により、電動モータ17が指定回転数を維持するように制御する。正流方向の気流の風圧が小さくなり、回転翼15の回転数が上記指定回転数に復帰し、回転翼15の回転翼軸19と電動モータ17のモータ回転軸18が再連結される。
【0048】
上記構成の換気ファン10において、電動モータ17のモータ回転軸18は、過大な逆方向の気流が風路11内に進入した場合の過渡的最大ねじり力に耐えうる剛性を有することが必要となる。また、第1機械的一方向クラッチ16の強度は、回転翼15が上記ランナウェイ回転数で回転した場合でも耐えうるように設定する。また、回転翼15の回転翼軸19を支承する軸受20は、回転翼15が最高風圧の逆方向の気流及び正方向の気流を受けた場合のスラスト力に耐え、且つその時の回転数に耐えうる強度に設定する必要がある。
【0049】
上記のように風路11内に外部から換気ファン10で送られる気流とは逆方向又は正方向の気流が進入すると、換気ファン10の回転翼15に逆回転力又は正回転力が与えられる。図14、図15は外部から風路11内へ気流が進入した場合のファンに及ぶ圧力(Pa)、ファン風量(m3/min)、ファン回転数(min-1)、ファン軸動力(kw)、ファントルク(kg・m)、ファン電流値を示す図である。図14は風路11内に逆流方向の気流が進入した場合を、図15は正流方向の気流が進入した場合をそれぞれ示す。
【0050】
図14は、換気ファン10の回転翼15が矢印Cに示すように正回転し、矢印Bに示すように風路11の吐出口14から気流を吐出している状態において、外部から風路11内へ矢印Dに示すように逆流方向の気流が進入した場合を示している。換気ファン10(回転翼15)に及ぼす逆気流の圧力(Pa)は、図14(a)に示すように、時刻t1、t2、t3、t4と、時間の経過に伴って正圧方向に上昇し、時刻t5で最高となり、時刻t6、t7、t8、t9と時間の経過に伴って負圧方向に下降している。
【0051】
換気ファン10は定格運転されているため、逆流方向の気流の風圧が零である時刻t1では換気ファン10のファン風量(風路11内の風量)(m3/min)、ファン回転数(min-1)はいずれも図14(b)、(c)に示すように、+100%である。また、換気ファン10のファン軸動力(kw)、ファントルク(kg・m)はいずれも図14(d)、(e)に示すように、定格時の値である。更に、ファン電流値は、図14(f)に示すように定格電流値である。
【0052】
逆気流の風圧が時刻t2、t3と上昇するに従って、ファン風量が減少し、ファン電流値が規定電流値を超える時刻t3の点P7でファン電流値(電動モータ17の電流値)が一定値を超えないようファン回転数制御により回転数を減じていく。逆風圧が著しくなると時刻t4の点P2で回転数が零になり、電流値が上限値を超えると以後インバータから電動モータ17への電力供給を止め、該電動モータ17のステータ17a、モータ回転軸18を無拘束(フリー)とするフリーラン制御に移行し、第2機械的一方向クラッチ26により逆転側への回転が拘束される。風路11内の圧力が所定値以下となった時刻t6でインバータによる回転数出力を再開し回転数を再加速する。点P3と時刻t7の点P4の間は電流値による規定電流値を超えないよう回転数を加減する回転数制御にて回転数を増速させ、点P4の回転数が100%になった時に、電流値による回転数制御を終了する。
【0053】
ファン軸動力は、図14(d)に示すように、時刻t1〜時刻t4を過ぎた点P5まで逆流方向の気流の風圧及びファン風量の増加に伴って増加し、上記点P2でインバータの出力を無とするフリーラン制御に移行する。これにより、時刻t6が経過するまで制御する。その後風圧及びファン風量の下降に伴って運転再開・再加速し、時刻t7、t8、t9に示すようにファン軸動力値は時間の経過に伴って変化し、逆流方向の気流の圧力が零になる時刻t9で定格時のファン軸動力となる。
【0054】
また、ファントルクは、図14(e)に示すように、時刻t1〜時刻t4を過ぎた点P6まで逆方向の気流の風圧及びファン風量の増加に伴って増加し、上記点P2でインバータの出力を無しとするフリーラン制御に移行する。これにより、時刻t6を過ぎるまでトルク零に維持され、風圧の下降に伴って運転再開・再加速し、電流値による回転数制御によりファントルク値は増加し時刻t7、t8、t9に示すように時間の経過に伴って変化し、逆流方向の気流の圧力が零になる時刻t9で定格時のファントルクになる。
【0055】
ファン電流値は、図14(f)に示すように、時刻t1〜時刻t3まで逆気流の風圧及びファン風量の増加に伴って増加し、規定電流値になった点P7で、電流値による回転数制御を開始し、上記点P2でインバータの出力を無しとするフリーラン制御に移行することにより、時刻t6を過ぎるまで制御を継続し、風圧及びファン風量の下降に伴って運転再開・再加速し、電流値による規定電流値を超えないよう回転数を加減する回転数制御により増速し時刻t7、t8、t9に示すように時間の経過に伴って変化し、逆流方向の気流の圧力が零になる時刻t9で定格電流となる。
【0056】
図15は、換気ファン10の回転翼15が矢印Cに示すように正回転し、矢印Bに示すように風路11の吐出口14から気流を吐出している状態において、外部から風路11内へ矢印Eに示すよう正流方向の気流が進入した場合を示している。換気ファン10(回転翼15)に及ぼす正流方向の気流の風圧(Pa)は、図15(a)に示すように、時刻t1、t2、t3、t4と時間の経過に伴い負圧方向に上昇し、時刻t5で最高となり、時刻t6、t7、t8、t9と時間の経過に伴い正圧方向に下降している。
【0057】
また、ファン風量は図15(b)に示すように、時刻t1の0%から時刻t2、t3、t4と時間の経過に伴って増加し、時刻t5で最高点になり、最高点の時刻t5から、時刻t6、t7、t8と時間の経過に伴って減少し、時刻t9で0%となる。
【0058】
また、ファンの回転数は図15(c)に示すように、正流方向の気流の風圧力及びファン風量が増加した時刻t3で第1機械的一方向クラッチ16により電動モータ17のモータ回転軸18と回転翼15の回転翼軸19の連結を解除する。これにより、電動モータ17のモータ回転軸18から分離された回転翼15の回転数N15は図15(c)の破線に示すように時刻t3、t4と時間の経過に伴って最高風圧力に達する時刻t5まで増加する。また、正方向の気流の風圧力及びファン風量が時刻t5の最高点から時刻t6、時刻t7と減少し、時刻t7で第1機械的一方向クラッチ16により電動モータ17のモータ回転軸18と回転翼15の回転翼軸19の連結を開始する。これにより、電動モータ17のモータ回転軸18と回転翼15の回転翼軸19が結合され回転数N15は図15(c)の破線に示すように時刻t5、t6、t7と時間の経過に伴って減少し、時刻t7で+100%になる。
【0059】
また、ファン軸動力は図15(d)に示すように、時刻t1の定格時から、時刻t2、t3と減少し、時刻t3で第1機械的一方向クラッチ16により電動モータ17のモータ回転軸18と回転翼15の回転翼軸19の連結が解除されると、電動モータ17の無負荷運転に必要な軸動力値となり、定格時より所定量小さい所定のファン軸動力値に維持される。この状態が時刻t7で第1機械的一方向クラッチ16により電動モータ17のモータ回転軸18と回転翼15の回転翼軸19とが連結されるまで続く。時刻t7で電動モータ17のモータ回転軸18と回転翼15の回転翼軸19とが連結されると、時刻t8、t9と時間の経過に伴って増加し、時刻t9で定格時のファン軸動力となる。
【0060】
また、ファントルクは図15(e)に示すように、時刻t1の定格時から、時刻t2、t3と減少し、時刻t3で第1機械的一方向クラッチ16により電動モータ17のモータ回転軸18と回転翼15の回転翼軸19の連結が解除されると、電動モータ17の無負荷運転に必要なトルクとなり定格時より所定量小さい所定のトルク値に維持される。この状態が時刻t7で第1機械的一方向クラッチ16により電動モータ17のモータ回転軸18と回転翼15の回転翼軸19とが連結されるまで続く。時刻t7で電動モータ17のモータ回転軸18と回転翼15の回転翼軸19とが連結されると、時刻t8、t9と時間の経過に伴って増加し、時刻t9で定格トルクとなる。
【0061】
また、ファン電流値は図15(f)に示すように、時刻t1の定格電流値から、時刻t2、t3と減少し、時刻t3で第1機械的一方向クラッチ16により電動モータ17のモータ回転軸18と回転翼15の回転翼軸19の連結が解除されると、電動モータ17の無負荷運転に必要な電流値となり、定格電流値より所定量小さい所定の電流値に維持される。この状態が時刻t7で第1機械的一方向クラッチ16により電動モータ17のモータ回転軸18と回転翼15の回転翼軸19とが連結されるまで続く。時刻t7で電動モータ17のモータ回転軸18と回転翼15の回転翼軸19とが結合されると、時刻t8、t9と時間の経過に伴って増加し、時刻t9で定格電流値となる。
【0062】
上記実施形態例では、図13に示す構成の換気ファン10を風路11内に配置する。そして風路11内に外部から逆流方向の気流が進入し、その圧力により回転翼15及び電動モータ17が逆回転するのを第2機械的一方向クラッチ26により阻止し、気流の圧力が弱まり回転翼15が正回転可能となった場合、電動モータにより前記回転翼の回転を行う第1制御手段を設ける。更に、風路11内に外部から正流方向の流体が進入し、その圧力により回転翼15が電動モータ17により速い回転数で回転し、第1機械的一方向クラッチ16により回転翼15の回転軸19と電動モータ17の回転軸の連結が解除された回転翼15が独自に回転した場合、電動モータを所定の回転数に維持運転し、気流の圧力が弱まり回転数が減少し所定の回転数に達した場合、電動モータ17により回転翼15の回転を行う第2制御手段とを設けている。
【0063】
これにより、風路11内に外部から圧力を有する逆流方向又は正流方向の気流が進入し、換気ファン10に正流方向、逆流方向に影響を及ぼす場合で、且つ気流の圧力が換気ファン10の電動モータ17の正規回転数を維持できない大きさであっても、ダンパ等による風路11の遮断や、電気的に電動モータの開閉器を開放することなく、回転翼15が進入する気流により回転させられる状態を許容し、気流の影響が低下した時点で、再び、所定規定回転数による正常運転に迅速に復帰する換気ファンシステムを構築できる。
【0064】
なお、上記実施形態例では気流が流れる風路11に換気ファン10を配設する例を説明したが、本発明に係る流体機械が配置される流体流路は、気流が流れる風路に限定されるものではなく、水等の液体が流れる流路でもよく、流体機械としてはポンプであってもよい。
【0065】
また、上記例では回転翼を回転させる駆動機として電動モータを例に説明したが、駆動機は電動モータに限定されるものではない。また、電動モータとして籠型誘導モータを例に説明したが、電動モータとしてはこれに限定されるものではない。
【0066】
以上、本発明の実施形態例を説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお、直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造であっても、本願発明の作用効果を奏する以上、本願発明の技術範囲である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、気体や液体の流体が通る流体流路内に設置されるファン又はポンプ等の流体機械であって、外部から該流体流路内に逆流方向又は正流方向の圧力を有する流体流が進入し、流体流路内に設置された流体機械による流体流れに影響する場合に利用することができる。
また、本発明は、換気ファンが設置され、該換気ファンの送風方向と逆方向の圧力を有する気流が進入する風路、例えば高速列車が通る軌道トンネル内を換気する換気用立坑に設置される換気ファン等では、列車が通過する度に立坑内に逆風や正風が侵入し、換気ファンに強い正風、逆風の圧力が作用するが、このような換気ファンがその圧力により過大に正回転又は逆回転させられて損傷や破壊に至らないように保護する装置として利用できる。
【符号の説明】
【0068】
1 換気ファン運転操作制御装置
2 換気ファン保護制御装置
3 速度制御装置
10 換気ファン
11 風路
15 回転翼
16 第1機械的一方向クラッチ
17 電動モータ
18 モータ回転軸
19 回転翼軸
20 軸受
22 回転数検出器(TG)
23 モータケーシング
25 軸受
26 第2機械的一方向クラッチ
27 回転数検出器(TG)
31 制御対象信号発信器
32 運転・停止指令信号発信器
33 設定回転数発信器
35 インバータ出力部
36 インバータ制御部
37 外力状態量発信器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流路内に配置され、回転翼を駆動機で回転させることにより、流体を前記流体流路の一方向から他方に送る流体機械であって、
前記回転翼の回転軸と前記駆動機の駆動軸の間に前記駆動機の正回転方向のみの回転力を前記回転翼の回転軸に伝達する第1機械的一方向クラッチを配置し、
前記駆動機の駆動軸と静止側の間に該駆動軸の正回転方向の回転を許し逆回転方向の回転を阻止する第2機械的一方向クラッチを配置したことを特徴とする流体機械。
【請求項2】
請求項1に記載の流体機械において、
前記駆動機の正回転による前記回転翼の回転で前記流体流路内を流れる流体の流れを正流方向とし、反対の流れを逆流方向とし、
前記流体流路内に外部から逆流方向の流体が進入し、その圧力により前記回転翼及び前記駆動機が逆回転するのを前記第2機械的一方向クラッチにより阻止し、前記流体の圧力が弱まり前記回転翼が正回転可能となった場合、前記駆動機により前記回転翼の回転を行う第1制御手段と、
前記流体流路内に外部から正流方向の流体が進入し、その圧力により前記回転翼が前記駆動機より速い回転数で回転し、前記第1機械的一方向クラッチにより前記回転翼の回転軸と前記駆動機の駆動軸の結合が解除された前記回転翼が独自に回転した場合、前記駆動機を所定の回転数に維持運転し、前記流体の圧力が弱まり回転数が減少し前記所定の回転数に達した場合、前記駆動機により前記回転翼の回転を行う第2制御手段と、
を設けたことを特徴とする流体機械。
【請求項3】
流路内に配置され、回転翼を駆動機で回転させることにより、流体流を流路の一方から他方に送る流体機械の運転制御を行う流体機械運転制御装置において、
速度制御装置と、運転操作制御装置と、保護制御装置とを備え、
前記速度制御装置は、通常は前記運転操作制御装置から指令される設定回転数で前記回転翼を回転させる動力を前記駆動機に出力する通常制御機能と、前記駆動機に出力する動力を無くし前記流体機械の前記回転翼を含む回転体を自由回転にさせるフリーラン制御機能とを備え、
運転操作制御装置は、前記通常制御時に前記速度制御装置に前記設定回転数信号を送り前記回転翼を設定回転数で回転させる通常制御指示機能を備え、
前記保護制御装置は、前記流路に許容範囲外の外部圧力流体流が進入した場合に前記速度制御装置に前記回転体をフリーラン状態にさせるフリーラン指示機能を備え、
前記流体機械に請求項1又は2に記載の流体機械を用いたことを特徴とする流体機械運転制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の流体機械運転制御装置において、
前記保護制御装置は、前記速度制御装置に前記フリーランを指示した場合に前記運転操作制御装置に前記保護制御開始したことを知らせる保護制御開始通知機能と、前記流路に作用する外部圧力流体が前記許容範囲内になった場合に保護制御が終了したことを知らせる保護制御終了通知機能を備え、
たことを特徴とする流体機械運転制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−179412(P2011−179412A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44783(P2010−44783)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【出願人】(398040642)ジェイアール東海コンサルタンツ株式会社 (7)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】