説明

消火設備機器

【課題】内径の相違が外観から識別困難であっても簡単且つ確実に内径を識別可能とする。
【解決手段】加圧消火用水を連続散水して消火する流水検知装置28、制御弁26、圧力計など消火設備機器について、機器の一部に、異なる内径毎に予め定めた内径識別色を着色する。内径識別色は、例えば流水検知装置28は銘板35、圧力計カバー46a,50a、コック48,52、排水弁のハンドル43の一部又は全部に着色し、制御弁26はハンドル58やインジケータ60の全部又は一部に着色し、更にガスケット54にも着色する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火ポンプより加圧供給される消火用水をヘッドに供給して散水を行う消火設備機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の消火設備としての例えばスプリンクラー消火設備は、消火ポンプからの給水本管に対し階別に分岐管を接続し、分岐管の引き出し部分に制御弁と流水検知装置を配置した後に防護区画にスプリンクラーヘッドを設置し、更に分岐管の末端に末端試験弁を設けている。
【0003】
このような消火設備にあっては、制御弁、流水検知装置、スプリンクラーヘッド、末端試験弁、圧力計等の機器毎に性能上必要な内径が選択され、設備設計を行って施工している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−283286号公報
【特許文献2】特開2004−290430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで従来の設備機器、例えば流水検知装置にあっては、内径に応じてフランジ間の長さとなる面間寸法が異なっており、面間寸法を見ることで内径の相違を識別することが可能であったが、近年にあっては、コストダウン設計のために例えば弁箱のモジュール化を図っており、内径が異なっても面間寸法が同一或いは類似する傾向にある。
【0006】
このため消火設備機器の製造現場において、フランジ寸法が異なっていても面間寸法が同一又は類似しているために、特定の内径機器を製造しているロットに別の内径の機器が混入する問題が発生する恐れがある。
【0007】
また、設置現場においても、配管や機器を一別するだけでは内径を判別することができず、内径の特定には経験や勘に頼っている部分もあり、故障した機器を置き換える際に誤った内径の機器を選定したり、消火設備をリニューアルする場合の配管の内径確認に手間と時間がかかるという問題もある。
【0008】
本発明は、内径の相違が外観から識別困難であっても簡単且つ確実に内径を識別可能とする消火設備機器を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、配管に接続され消火剤を放出して消火する消火設備機器に於いて、機器の一部に、異なる内径毎に予め定めた内径識別色を着色したことを特徴とする。
【0010】
ここで、機器本体の一部に内径識別色を着色する。
【0011】
機器に設けた銘板の一部又は全部に内径識別色を着色する。
【0012】
機器に設けたカバーの一部又は全部に内径識別色を着色する。
【0013】
機器に設けた操作部位の一部又は全部に内径識別色を着色する。
【0014】
機器に設けた表示器の一部又は全部に内径識別色を着色する。
【0015】
内径識別色は、機器の安全色及び機器接続配管の識別表示色以外の色である。
【0016】
内径識別色は、機器の本体色とは異なる色である。
【0017】
内径識別色は、カラーユニバーサルデザイン推奨色を使用する。
【0018】
機器は、流水検知装置、一斉開放弁、スプリンクラーヘッド、制御弁、圧力計を含む。
【0019】
更に、機器を収納して運搬する梱包箱を備え、梱包箱に機器に着色した内径識別色を外部から視認可能な開口を設ける。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、消火設備機器となる制御弁、流水検知装置等の内径の相違が内径識別色の機器着色によって簡単且つ確実に認識することができ、特定の内径機器を製造しているロットに別の内径機器が混入することや誤って梱包してしまうことを確実に防止できる。
【0021】
また、設置現場においても、配管や機器を一別するだけで内径識別色から内径を判別することができ、故障した機器を置き換える際に誤った内径の機器を選定することがなく、また消火設備をリニューアルする場合の配管の内径確認も簡単且つ確実に短時間できる。
【0022】
また、内径識別色として色弱者を考慮したカラーユニバーサルデザインに従った色を着色しているため、色覚の多様性に対応して内径識別色から機器内径を容易に区別可能とし、製造現場や設置現場での内径の誤認を防止できる。
【0023】
また、梱包箱に機器に着色した内径識別色を外部から視認可能な開口を設けたため、設置現場で内径の異なる機器を誤って運搬してしまうことを確実に防止できる。このように誤った機器を運搬してしまった場合、機器を誤って設置するようなことはないが、エレベータ等を使用する場合に運転時間が限られている現場もあり、運搬先で誤りに気付いて運びなおしたりしていると作業能率が著しく低下するが、これを未然に回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明が適用されるスプリンクラー消火設備を示した説明図
【図2】本発明による流水検知装置の実施形態を正面及び側面について示した説明図
【図3】本実施形態における流水検知装置の内径、各部寸法及び内径識別色の関係を示した説明図
【図4】図3における内径65A,80A,100Aの流水検知装置を並べて示し説明図
【図5】図3における内径125A,150Aの流水検知装置を並べて示し説明図
【図6】JISで規定する安全色・安全標識と配管系の識別表示を一覧で示した説明図
【図7】カラーユニバーサルデザイン推奨色を用いた本発明で使用する内径識別色を一覧で示した説明図
【図8】本発明によるバタフライ型の制御弁の実施形態を正面および平面で示した説明図
【図9】図2の流水検知装置と図8の制御弁の分岐管に対する設置状態を示した説明図
【図10】図9における流水検知装置と制御弁の内径識別色の着色部分を取り出して示した説明図
【図11】図2の流水検知装置とゲート型の制御弁の分岐管に対する設置状態を示した説明図
【図12】図11における流水検知装置と制御弁の内径識別色の着色部分を取り出して示した説明図
【図13】他の実施形態となる流水検知装置とバタフライ型の制御弁の分岐管に対する設置状態を示した説明図
【図14】図13における流水検知装置と制御弁の内径識別色の着色部分を取り出して示した説明図
【図15】他の実施形態となる流水検知装置とゲート型の制御弁の分岐管に対する設置状態を示した説明図
【図16】図15における流水検知装置と制御弁の内径識別色の着色部分を取り出して示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は本発明が適用される消火設備としてスプリンクラー消火設備を示した説明図である。図1において、スプリンクラー消火設備10は地下階などにモータ12により駆動されるポンプ14を設置しており、ポンプ14はポンプ制御盤16により始動及び停止が制御される。ホンプ14に対しては呼水槽15が設けられる。
【0026】
ポンプ14からは給水本管22が引き出されて建物の階方向に立ち上がっている。給水本管22に対しては圧力タンク18が分岐接続されており、給水本管22内に充填している加圧消火用水を導入し、内部の空気を圧縮し、圧力検出スイッチ20により圧力低下を監視している。
【0027】
給水本管22には階別に分岐管24が引き出されている。分岐管24の取出し部分には制御弁26と流水検知装置28が設けられている。流水検知装置28の2次側の分岐管25は防護区画の天井側に配管されており、閉鎖型のスプリンクラーヘッド30を複数接続している。分岐管25の末端側には末端試験弁32が設けられ、末端試験弁32の2次側は排水管に接続されている。
【0028】
火災による熱を受けてスプリンクラーヘッド30が作動すると、消火用水が放水され、これによって分岐管25,24を介して給水本管22の管内圧力が低下し、この圧力低下を圧力タンク18の圧力検出スイッチ20で検出し、これを受けてポンプ制御盤16がモータ12によりポンプ14を始動する。ポンプ14の始動で供給された加圧消火用水は、制御弁26から流水検知装置28を通り、作動したスプリンクラーヘッド30から放水される。
【0029】
制御弁26は常時開状態に置かれている。流水検知装置28は通常監視状態にあっては、内蔵した弁機構が閉じており、スプリンクラーヘッド30が作動して消火用水が流れると、これによって弁体が開放して流水検知スイッチを作動し、流水検知信号を破線で示す信号線を介して防災監視盤などに出力して火災警報表示を行う。
【0030】
このようなスプリンクラー消火設備10にあっては、消火ポンプ14からスプリンクラーヘッド30に至るまでの配管系及び配管に設けた設備機器につき、その消火性能に見合った内径の機器が選定されている。
【0031】
図2は本発明の水系消火設備機器として流水検知装置の実施形態を正面及び側面について示した説明図である。図2において、流水検知装置28は弁箱を構成する本体34の下側に1次側フランジ36を形成すると共に上側に2次側フランジ38を形成しており、本体34内には流水により開放作動する弁体を収納している。
【0032】
本体34の左側には流水検知部40が設けられ、本体34に内蔵した弁体が開くと、これに連動して流水検知スイッチが作動して流水検知信号を外部に出力する。本体34の1次側には圧力計46が設けられ、また2次側には圧力計50が設けられている。圧力計46,50はそれぞれ本体34から取り出した配管にコック48,52を介して接続しており、通常状態でコック48,52は開位置にセットされている。
【0033】
本体34の右側には排水弁42が設けられ、排水弁42はハンドル43の操作で開閉することができる。更に本体34の前面に設けたボルトで固定した蓋表面には銘板35が設けられている。
【0034】
本実施形態の流水検知装置28にあっては、流水検知装置28の内径即ち1次側フランジ36及び2次側フランジ38で決まる内部流路の内径に対応して、予め定めた内径識別色を着色している。本実施形態にあっては内径識別色として、斜線で示すように銘板35、圧力計46,50の圧力計カバー46a,50a、コック48,52、排水弁42のハンドル43のそれぞれに着色している。
【0035】
本体34の側面の一部分34aには、装置の内径識別用に鋳出しにより内径サイズを数字で一体に表示している。このサイズ表示も内径毎に決められた識別表示色で着色して、サイズと色の関連を認識できるようにしてある。
【0036】
図3は本実施形態における流水検知装置の内径サイズ、各部寸法及び内径識別色の関係を示した説明図であり、単位はミリメートルとなる。図3(A)は流水検知装置28の寸法を示しており、本体34の上下に設けている1次側フランジ36と2次側フランジ38との間の距離Lが面間寸法となる。また本体34の中心から排水弁46のハンドル中心までの寸法をA、ハンドル端部までの寸法をC、更に本体34の中心から流水検知部40の外側までの寸法をBとしている。
【0037】
このような図3(A)に示す流水検知装置28の各部の寸法A〜C,Lは、図3(B)の一覧に示すように、内径サイズに応じた値を持っている。
【0038】
図3(B)において、流水検知装置28の内径サイズは例えば65A,80A,100A,125A,150Aの5種類となっている。このような内径サイズの異なる流水検知装置28について、本実施形態にあっては、本体34の弁箱を共通化するモジュール化によりコストダウンを図っており、その結果、寸法A〜C、面間距離Lは隣接する内径サイズの間でかなり類似、もしくは同じ寸法となっている。
【0039】
例えば内径サイズ80Aと100Aにあっては、面間寸法LはL=260,265となっており、その差はわずかであり、外観から見て面間寸法から両者を区別することは困難である。同様に内径サイズ125Aと150Aにあっては、面間寸法LはL=280,290となっており、同様に面間寸法の相違から両者を区別することはかなり困難な状況にある。
【0040】
このような流水検知装置28の内径サイズの相違に対し、内径を識別するための内径識別色として、本実施形態にあっては、内径サイズ65Aについては「空色」、内径サイズ80Aについては「ピンク」、内径サイズ100Aについては「オレンジ」、内径サイズ125Aについては「紫」、更に内径サイズ150Aについては「明るいグレー」としている。このような内径識別色は、後の説明で明らかにするように、色弱者を考慮したカラーユニバーサルデザインの推奨配色セットを使用している。
【0041】
図4は図3(B)に示した内径サイズ65A,80A,100Aの3種類の流水検知装置を並べて示しており、内径サイズ80Aと100Aの面間寸法Lは、その差が5ミリメートル程度であることから、ほとんど外観から内径の相違を区別することは困難であることが分かる。
【0042】
図5は図3(B)における内径サイズ125Aと150Aの流水検知装置を取り出して並べて示している。この場合にも寸法A〜Cが同じで、面間寸法Lの差は10ミリメートルとごくわずかであるため、面間寸法の相違から内径の相違を把握することは困難であることが分かる。
【0043】
図6はJISで規定する安全色・安全標識と配管系の識別表示を一覧で示した説明図である。本実施形態の例えば流水検知装置に着色する内径識別色は、水系消火設備に安全色・安全標識として使用されている色、及び配管系の識別表示に使用されている色以外の着色を行うようにする。
【0044】
図6(A)はJIS Z 9101による「安全色・安全標識」であり、安全色として矢印で示す「赤」が「防火」に使用されており、従って本実施形態における内径識別色としては安全色としての「赤」、具体的にはマンセル値で「7.5R4/15」を使用しないようにする。
【0045】
図6(B)はJIS Z 9102による「配管系の識別表示」であり、本発明が対象とする水系消火設備にあっては、配管内の物質は矢印で示す水であり、この場合の色の種類は「青」であることから、水を表示する配管系の識別表示色「青」を使用しないようにする。この青は、具体的にはマンセル値で「2.5BB5/8」の色である。また図6(B)における状態表示に用いる流れ方向を表示する矢印に使用する「白」「黒」も使用しないようにする。またその下の安全表示の色は、図6(A)の安全色「赤」であり、これも併せて使用しないようにする。
【0046】
図7はカラーユニバーサルデザイン推奨色を用いた本発明で使用する内径識別色を一覧で示した説明図である。ここで、カラーユニバーサルデザインとは、様々な利用者が使い易いように考えられた配色を含めた視覚情報のデザインであり、色の見え方が異なる利用者すべてに情報が正確に伝わることを目指すカラーユニバーサルデザインは公的な機関や非営利活動法人などに推し進められている。即ちカラーユニバーサルデザインの考えに基づき、色弱者が不利にならないような色使いを配慮する色覚バリアフリーを構築するため、適切なカラーユニバーサルデザイン推奨色の配色セットの提供が行われている。
【0047】
図7に示す本実施形態で使用するカラーユニバーサルデザイン推奨色を用いた内径識別色にあっては、例えば内径サイズ40A,50A,65A,80A,100A,125A,150A,200Aとして色の種類を、
黄、
緑、
空色、
ピンク、
オレンジ、
紫、
明るいグレー、
グレー
を選定しており、それぞれ右側に示すマンセル値を持っている。
【0048】
このようなカラーユニバーサルデザイン推奨色を内径識別色に用いることで、製造現場あるいは設置現場における色弱な傾向を持つ作業者であっても、明白に内径識別色の相違を認識して、内径を誤ることなく必要な作業を簡単且つ確実に行うことが期待される。
【0049】
なお図7に示しているカラーユニバーサルデザイン推奨色は現在提案されている例であり、今後、様々な提案が行われることから、必ずしもこれに限定されず、適宜のカラーユニバーサルデザイン推奨色を使用することが可能である。
【0050】
図8は本発明によるバタフライ型の制御弁の実施形態を正面(図8(A))及び平面(図8(B))で示した説明図である。図8において、バタフライ型の制御弁26は本体56の内部にバタフライ弁体62を開閉自在に収納しており、本体52の前方に取り出しているインジケータ60に内蔵したギア機構から右側に取り出したハンドル58を操作することで、バタフライ弁体62を開閉することができる。このようなバタフライ型の制御弁26につき、本実施形態の内径表示色は、弁の開閉操作を行うハンドル58と開閉を示す表示部となるインジケータ60のそれぞれに着色している。
【0051】
図9は図2の流水検知装置と図8の制御弁の分岐管に対する設置状態を示した説明図である。図9において、1次側の分岐管24には制御弁26が配置され、制御弁26の上に流水検知装置28が配置され、その上に分岐管25を配置して接続している。このような制御弁26及び流水検知装置28には、内径を示す内径表示色が図2及び図8に示したように着色されているが、図9は説明を簡単にするため内径表示色の着色は示しておらず、図10に図9における流水検知装置と制御弁の内径識別色の着色部分を実線で取り出して示し、それ以外の部分は想像線で示している。
【0052】
制御弁26及び流水検知装置28の分岐管24,25に対する設置状態にあっては、特定の内径サイズ例えば内径125Aに対応した「緑」となる内径識別色が、図10に斜線で示すように、制御弁26についてはハンドル58とインジケータ60に着色され、流水検知装置28にあっては、銘板35、排水弁のハンドル43、圧力計カバー46a,50a、圧力計のコック48,52、更に2次側のガスケット54に着色されている。
【0053】
この図10に示すような制御弁26及び流水検知装置28に対する内径識別色の着色状態から、内径識別色が同じ「緑」に統一されていることで、内径サイズ125Aに対応した機器の設置状態にあることが一瞥して把握することができる。
【0054】
なお、本実施形態にあっては、流水検知装置28の排水弁に設けたハンドル43についても、本体の内径サイズと同じ内径識別色を着色しているが、図9に示すように排水弁42には排水管44が接続されており、排水管44の内径に対応した内径識別色をハンドル43に着色するようにしてもよい。例えば排水管44を接続する排水弁42の内径が40Aであった場合には、図7に示すように「黄」の内径識別色をハンドル43に着色する。
【0055】
着色時に内径サイズを数字で同時に表示しても良く、サイズ表示の文字色を内径識別色で着色しても良い。
【0056】
また、上記の実施形態では圧力計46,50の識別表示を本体の内径を示す識別色で着色することで、特定の内径の流水検知装置専用の圧力計として識別表示がされているが、これに限らず、圧力計は内径サイズの異なる複数の流水検知装置に共用されることがあり、圧力計はメンテナンス時に装置本体から取り外され交換されることがあることから、圧力計が接続されるコック48,52付近に、圧力計接続部の配管の内径を識別表示し、圧力計にも自身が接続される接続管の径を識別表示することで、圧力計と流水検知装置本体の組み合わせを間違うことなく組み立てができるようにしても良い。
【0057】
図11は図2の流水検知装置とゲート型の制御弁の分岐管に対する設置状態を示した説明図である。図11において、流水検知装置28は図2に示したとおりであり、その1次側にゲート型の制御弁64を設置している。制御弁64は前方に大型のハンドル68を設けており、ハンドル68を回すことで、本体66の内部に収納しているゲート型の弁体を弁座に対し昇降して開閉することができる。
【0058】
図12は図11における流水検知装置と制御弁の内径識別色の着色部分を取り出して示した説明図である。図12において、流水検知装置28は図10の場合と同様であり、銘板35、排水弁のハンドル43、コック48,52及び圧力計カバー46a,50aに、内径に対応した斜線で示す内径識別色を着色している。
【0059】
またゲート型の制御弁64については、操作部となるハンドル68の中心にある銘板67に、斜線で示すように流水検知装置28と同じ内径を示す内径識別色を着色しており、更に1次側及び2次側のフランジ部分に介在したガスケット70,72についても、同じ内径を示す内径識別色を斜線で示すように着色している。
【0060】
図13は他の実施形態となる流水検知装置とバタフライ型の制御弁の分岐管に対する設置状態を示した説明図である。図13において、流水検知装置128は、図2のように本体を弁箱としてモジュール化しておらず、紡錘形状を持った本体134の形状としている。本体134の下側には1次側フランジ136が設けられ、その1次側にバタフライ型の制御弁126を配置している。
【0061】
2次側には2次側フランジ138が設けられ、ガスケット154を介して分岐管25のフランジを連結している。本体134の前方の蓋部分には銘板135が配置されている。また弁本体134の1次側にはハンドル148を介して圧力計146が設けられ、2次側にはハンドル152を介して圧力計154が設けられている。
【0062】
本体134の右側には排水弁142が設けられ、ハンドル143により開閉することができ、下側に排水管144を連結している。また排水弁142の後方にはコック141を介して流水検知部140が設けられており、スプリンクラーヘッドの作動により流水が生じて本体134内の弁体が開くと、流水検知部140のスイッチが作動して流水検知信号を外部に出力する。
【0063】
また排水弁142の横からは信号停止弁レバー145が取り出されており、信号停止弁レバー145を操作することで流水検知部140による流水検知信号の出力を停止することができる。
【0064】
流水検知装置128の1次側に配置された制御弁126は、ハンドル158の操作により本体166に収納したバタフライ弁体を開閉することができ、ハンドル158の操作に伴い前方に張出し配置しているインジケータ160により開閉状態を表示する。
【0065】
図14は図13における流水検知装置と制御弁の内径識別色の着色部分を取り出して示した説明図である。図14において、バタフライ型の制御弁126は、ハンドル158とインジケータ160に対応する内径に対応した内径識別色を斜線で示すように着色している。
【0066】
また流水検知装置128にあっては、銘板135、圧力計カバー146a,150a、圧力計に対するハンドル148,152、排水弁のハンドル143、流水検知部に対するコック141、信号停止弁レバー145、更に2次側のフランジ部分に設けたガスケット154に、制御弁126と同じ内径を示す内径識別色に斜線で示すように着色している。
【0067】
このような内径識別色の着色により、一瞥して制御弁126及び流水検知装置128を含む配管系統の内径を知ることができ、また各機器が同じ内径のものとして選定されて設置することができる。
【0068】
図15は他の実施形態となる流水検知装置とゲート型の制御弁の分岐管に対する設置状態を示した説明図である。図15において、流水検知装置128は図13に示したと同じであり、ゲート型の制御弁64は図11に示したものと同じである。
【0069】
図16は図15における流水検知装置と制御弁の内径識別色の着色部分を取り出して示した説明図である。図16において、ゲート型の制御弁64については、ハンドル168と1次側及び2次側に設けたガスケット170,172のそれぞれに、内径識別色を斜線で示すように着色している。また流水検知装置128にあっては、図14の場合と同様であり、銘板135、圧力計カバー146a,150a、圧力計に対するハンドル148,152、排水弁のハンドル143、流水検知部に対するコック141、信号停止弁レバー145、更に2次側のフランジに設けたガスケット154のそれぞれに、斜線で示すように内径識別色を着色している。
【0070】
このような制御弁64及び流水検知装置128に対する内径識別色の着色により、この配管系統における同じ内径識別色の着色から正しい内径選定が行われていることが一瞥して把握できる。装置に接続される配管にも、接続可能な装置の内径にあわせた図7の識別表示で着色することで、径の異なる配管との接続を防ぐことができる。
【0071】
更に、本発明の他の実施形態として、例えば図2に示した流水検知装置28を梱包して現場に搬送する梱包箱について、流水検知装置28に着色している内径識別色、例えば銘板35を外部から見ることのできる開口を設け、流水検知装置28の梱包状態にあっても、梱包している収納機器の内径識別色を外部から見えるようにする。これによって、梱包した機器を現場に搬送する際に内径識別色を見て内径を把握し、誤った内径の機器を搬入してしまうことを未然に防止できる。梱包箱が同じものを使用した場合では、内容の確認をすることができる。また、梱包箱の表面に内径識別色を表示しても良く、この場合は梱包時に誤った内径の機器を梱包することを防ぐことができる。
【0072】
なお、上記の実施形態は図1に示したスプリンクラー消火設備における制御弁26と流水検知装置28の配置部分を例に取って内径識別色の着色を示しているが、これ以外の機器として、例えばスプリンクラーヘッド30や末端試験弁32などについても同様に、それぞれの内径に対応した内径識別色を着色している。
【0073】
また、本発明は図1に示したスプリンクラー消火設備10に限定されず、加圧消火用水を使用して連続的に放水して消火する消火設備であれば適宜の消火設備を含み、また泡消火薬液を混合器で混合して泡消火を行う泡消火設備、ガス消火設備についても同様に適用することができる。
【0074】
また、上記の実施形態にあっては、内径識別色を着色する部分として、銘板、コックやハンドルなどの操作部、圧力計などのカバー部、弁開閉を示すインジケータの一部または全部を例に取っているが、これ以外の場所であっても、適宜の場所に内径識別色を着色してもよいことはもちろんである。
【0075】
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0076】
26,64,126:制御弁
28,128:流水検知装置
30:スプリンクラーヘッド
35,67,135:銘板
42,142:排水弁
43,58,68,143,148,152:ハンドル
46,50,146,150:圧力計
46a,50a,146a,150a:圧力計カバー
48,52,141:コック
54,70,72,154,170,172:ガスケット
60,160:インジケータ
145:信号停止弁レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管に接続され消火剤を放出して消火する消火設備機器に於いて、
機器の一部に、異なる内径毎に予め定めた内径識別色を着色したことを特徴とする消火設備機器。
【請求項2】
請求項1記載の消火設備機器に於いて、機器本体の一部に前記内径識別色を着色したことを特徴とする消火設備機器。
【請求項3】
請求項1記載の消火設備機器に於いて、前記機器に設けた銘板の一部又は全部に前記内径識別色を着色したことを特徴とする消火設備機器。
【請求項4】
請求項1記載の消火設備機器に於いて、前記機器に設けたカバーの一部又は全部に前記内径識別色を着色したことを特徴とする消火設備機器。
【請求項5】
請求項1記載の消火設備機器に於いて、前記機器に設けた操作部位の一部又は全部に前記内径識別色を着色したことを特徴とする消火設備機器。
【請求項6】
請求項1記載の消火設備機器に於いて、前記機器に設けた表示部の一部又は全部に前記内径識別色を着色したことを特徴とする消火設備機器。
【請求項7】
請求項1記載の消火設備機器に於いて、前記内径識別色は、前記機器の安全色及び機器接続配管の識別表示色以外の色であることを特徴とする消火設備機器。
【請求項8】
請求項1記載の消火設備機器に於いて、前記内径識別色は、機器の本体色とは異なる色であることを特徴とする消火設備機器。
【請求項9】
請求項1記載の消火設備機器に於いて、前記内径識別色は、カラーユニバーサルデザイン推奨色であることを特徴とする消火設備機器。
【請求項10】
請求項1記載の消火設備機器に於いて、前記機器は、流水検知装置、一斉開放弁、スプリンクラーヘッド、制御弁、圧力計を含むことを特徴とする消火設備機器。
【請求項11】
請求項1記載の消火設備機器に於いて、更に、前記機器を収納して運搬する梱包箱を備え、前記梱包箱に前記機器に着色した内径識別色を外部から視認可能な開口を設けたことを特徴とする消火設備機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−11023(P2012−11023A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150812(P2010−150812)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】