説明

液体循環式暖房システム

【課題】太陽熱を有効に活用可能な液体循環式暖房システムを提供する。
【解決手段】液体循環式暖房システム1Aは、液体を加熱して加熱液体を生成し、この加熱液体の熱を暖房用放熱器3から放出させて暖房を行うものであり、循環する冷媒を放熱させて液体を加熱する放熱器22を有するヒートポンプ回路20と、太陽熱により液体を加熱する太陽加熱装置4Aと、を備えている。この液体循環式暖房システム1Aには、加熱液体を生成するために液体を流す経路として、放熱器22を通る第1経路3Aと、太陽加熱装置4Aを通る第2経路3Bとが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を利用して暖房を行う液体循環式暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ボイラーあるいは電気ヒータによって温水を生成し、この温水を使って暖房を行う液体循環式暖房システムが知られている。近年では、ボイラーおよび電気ヒータに代わる熱源として、高効率で温水を生成できるヒートポンプを採用することが検討されている。例えば特許文献1では、ヒートポンプによって温水を生成し、この温水を貯湯タンクに貯める液体循環式暖房システムが提案されている。この液体循環式暖房システムでは、貯湯タンクに貯められた温水が例えば居室内に配置された暖房用放熱器に送られ、ここで放熱した後に貯湯タンクに戻されるようになっている。
【0003】
このような液体循環式暖房システムにおいては、温水の生成に太陽熱(太陽エネルギーを熱エネルギーに変換したもの)を利用することで、ヒートポンプでの消費電力を低減させることが考えられる。例えば、特許文献2には、液体循環式暖房システムではないものの、太陽集熱器を用いた給湯システムが提案されている。この給湯システムでは、貯湯タンク内の下側位置に熱交換器が配設され、その熱交換器と太陽集熱器とを通る循環路に熱媒を循環させることにより、貯湯タンク内の水が太陽熱によって加熱されるようになっている。
【特許文献1】特開2008−39306号公報
【特許文献2】特開2002−162109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2の構成では、太陽熱を利用する際には貯湯タンク内に貯められた状態の水が対流によって全体的に加熱されるようになる。このため、特許文献1の液体循環式暖房システムに特許文献2の太陽集熱器を含む構成を組み合わせた場合には、無駄な加熱が行われることになり、太陽熱をあまり有効に活用できない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、太陽熱を有効に活用可能な液体循環式暖房システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、液体を加熱して加熱液体を生成し、この加熱液体の熱を暖房用放熱器から放出させて暖房を行う液体循環式暖房システムであって、循環する冷媒を放熱させて前記液体を加熱する冷媒放熱器を有するヒートポンプ回路と、太陽熱により前記液体を加熱する太陽加熱装置と、を備え、前記加熱液体を生成するために前記液体を流す経路として、前記冷媒放熱器を通る第1経路と、前記太陽加熱装置を通る第2経路とが形成されている、液体循環式暖房システムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、太陽加熱装置を通る経路に液体を流して加熱できるようになっているので、必要な量の液体を太陽熱により効果的に加熱することができる。従って、本発明によれば、無駄な加熱を抑えて、太陽熱を有効に活用することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明は本発明の一例に関するものであり、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0009】
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態に係る液体循環式暖房システム1Aを示す。この液体循環式暖房システム1Aは、液体を加熱して加熱液体を生成し、この加熱液体の熱を暖房用放熱器3から放出させることにより、例えば居室内の暖房を行うものである。具体的に、液体循環式暖房システム1Aは、暖房用放熱器3と、液体を加熱して加熱液体を生成する手段としてヒートポンプ2および太陽加熱装置4Aと、機器の全体的な制御を行う統括制御装置5とを備えている。
【0010】
本実施形態では、暖房用放熱器3がヒートポンプ2および太陽加熱装置4Aと配管によって直接的に接続されており、液体が停留することなく循環するようになっている。液体としては、例えば、水にプロピレングリコール等を混入した不凍液を用いることも可能であるが、安価で大量入手可能な水を用いることが好ましい。以下では、液体が水であり、加熱液体が温水であるとして説明する。
【0011】
ヒートポンプ2は、冷媒を循環させるヒートポンプ回路20を有している。このヒートポンプ回路20は、冷媒を圧縮する圧縮機21と、圧縮された冷媒を放熱させる放熱器(冷媒放熱器)22と、放熱した冷媒を膨張させる膨張弁23と、膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器24とを有し、これらの機器21〜24が配管によって順に接続されて構成されている。また、ヒートポンプ2は、統括制御装置5からの指令に基づいて、圧縮機21および膨張弁23を制御するヒートポンプ制御装置26を有している。なお、膨張弁23に代えて、膨張する冷媒から動力を回収するための膨張機を採用することも可能である。
【0012】
放熱器22では、放熱器22を通過する水と冷媒との間で熱交換が行われて水が加熱され、蒸発器24では、ファン25によって送風される空気と冷媒との間で熱交換が行われて冷媒が吸熱する。冷媒としては、代替フロンまたはアンモニアなどを用いることも可能であるが、圧縮されたときに超臨界状態となる二酸化炭素、または地球温暖化係数の低いHFO1234単体もしくはその混合冷媒を用いることが好ましい。
【0013】
太陽加熱装置4Aは、太陽熱により水を加熱するものである。本実施形態では、太陽加熱装置4Aとして、太陽熱を直接的に水に与える太陽集熱器が採用されている。太陽集熱器は、水を一度の通過で高温に加熱できるものであることが好ましい。このような太陽集熱器としては例えば真空管型集熱器がある。
【0014】
暖房用放熱器3は、温水を流しながら放熱させるものであり、内部に温水を流入させる流入口と、放熱した温水を内部から流出させる流出口を有している。例えば、暖房放熱器3としては、建物の居室内に設置されるラジエータを採用してもよいし、床に敷設される温水パネルを採用してもよい。
【0015】
次に、暖房用放熱器3と放熱器22および太陽加熱装置4Aとの接続態様等について説明する。
【0016】
放熱器22には、放熱器22に水を供給する第1供給管31と、放熱器22で加熱された水を回収する第1回収管32が接続されている。第1回収管32には、放熱器22で加熱された水の温度を検出する第1温度センサ71が設けられている。
【0017】
太陽加熱装置4Aには、太陽加熱装置4Aに水を供給する第2供給管33と、太陽加熱装置4Aで加熱された水を回収する第2回収管34が接続されている。太陽加熱装置4Aには、太陽集熱器の表面温度を検出する第2温度センサ72が設けられており、第2回収管34には、太陽加熱装置4Aで加熱された水の温度を検出する第3温度センサ73が設けられている。
【0018】
そして、第1供給管31の上流端および第2供給管33の上流端は、主管36の一端に接続されており、主管36の他端は、暖房用放熱器3の流出口に接続されている。また、第1回収管32の下流端および第2回収管34の下流端は、集約管37の一端に接続されており、集約管37の他端は、暖房用放熱器3の流入口に接続されている。すなわち、主管36、第1供給管31、第1回収管32および集約管37によって放熱器22を通る第1経路3Aが形成され、主管36、第2供給管33、第2回収管34および集約管37によって太陽加熱装置4Aを通る第2経路3Bが形成されている。
【0019】
主管36には、他端側から一端側に水を流すポンプ61が設けられている。また、第1回収管32には、第1温度センサ71よりも上流側に開度調整可能な第1開閉弁62が設けられており、第2供給管33には、開度調整可能な第2開閉弁63が設けられている。なお、第1開閉弁62は、第1供給管31に設けられていてもよい。
【0020】
さらに、本実施形態では、放熱器22と太陽加熱器4Aをこの順に通る(第1経路3Aの上流域を通った後に第2経路3Bの下流域を通る)第3経路3Cが形成されている。具体的には、第1開閉弁62および第1温度センサ71よりも下流側に位置する第1回収管32の中間部分と第2開閉弁63よりも下流側に位置する第2供給管33の中間部分とがバイパス管35で接続されている。本実施形態では、第1回収管32の第1温度センサ71よりも下流側に三方弁64が設けられており、この三方弁34にバイパス管35の一端が接続されている。三方弁64は、放熱器22で加熱された水を第1回収管32の中間部分よりも下流側へ流すかバイパス管35へ流すかを切り替えるものであり、本発明の切り替え手段を構成する。なお、本発明の切り替え手段は、三方弁64である必要はなく、バイパス管35に設けられた開閉弁と、第1回収管32のバイパス管35がつながる中間部分よりも下流側に設けられた開閉弁とで構成されていてもよい。
【0021】
上述したヒートポンプ制御装置26、第1〜第3温度センサ71〜73、ポンプ61、第1開閉弁62、第2開閉弁63および三方弁64は、統括制御装置5と接続されている(図2参照)。統括制御装置5は、マイクロコンピュータまたはDSP(digital signal processor)などで構成されている。そして、統括制御装置5は、予め記憶されたプログラムに従って、第1〜第3温度センサ71〜73で検出された温度などに基づいて、ヒートポンプ制御装置26に指令を出すとともに、ポンプ61および各弁62〜64の制御を行う。
【0022】
次に、統括制御装置5が行う制御について具体的に説明する。
【0023】
<ヒートポンプ単独暖房運転>
統括制御装置5は、雨天時などで日照が少ないとき(例えば、日照量検出センサで検出される日照量が所定量以下のとき)に、ユーザーによって図略の暖房スイッチがONにされると、ヒートポンプ単独暖房運転を行う。具体的に、統括制御装置5は、第1開閉弁62を全開、第2開閉弁63を全閉にする。また、統括制御装置5は、三方弁64を、第1回収管32の上流側と下流側が連通されるように切り替える。その後、統括制御装置5は、ポンプ61を回転させるとともに、ヒートポンプ制御装置26に運転開始の信号を送る。これにより、放熱器22で水が加熱されて温水が生成されるとともに、この温水が暖房用放熱器3に送られて暖房が行われる。また、統括制御装置5は、第1温度センサ71で検出される水の温度が所定温度(例えば、65℃)となるように、ポンプ61の回転数を制御して第1経路3Aを流れる水の流量を調整する。
【0024】
<太陽加熱装置単独暖房運転>
統括制御装置5は、日照が十分で、しかも第2温度センサ72で検出される太陽集熱器の表面の温度が予め定めた設定温度(例えば、70℃)以上のときに、ユーザーによって図略の太陽加熱装置4Aによる省エネ運転を希望する暖房スイッチがONにされると、太陽加熱装置単独暖房運転を行う。具体的に、統括制御装置5は、第1開閉弁62を全閉、第2開閉弁63を全開にする。その後、統括制御装置5は、ポンプ61を回転させる。これにより、太陽加熱装置4Aで水が加熱されて温水が生成されるとともに、この温水が暖房用放熱器3に送られて暖房が行われる。また、統括制御装置5は、第3温度センサ73で検出される水の温度が所定温度(例えば、65℃)となるように、ポンプ61の回転数を制御して第2経路3Bを流れる水の流量を調整する。
【0025】
<並列暖房運転>
日照が十分で、第2温度センサ72で検出される太陽集熱器の表面の温度が上記の設定温度以上のときに、ユーザーによって図略の暖房用放熱器3における急速暖房を希望する暖房スイッチがONにされると、統括制御装置5は、ヒートポンプ2と太陽加熱装置4Aによって水を同時に加熱する並列暖房運転を行う。具体的に、統括制御装置5は、第1開閉弁62および第2開閉弁63を共に全開にする。また、統括制御装置5は、三方弁64を、第1回収管32の上流側と下流側が連通されるように切り替える。その後、統括制御装置5は、ポンプ61を回転させるとともに、ヒートポンプ制御装置26に運転開始の信号を送る。これにより、放熱器22および太陽加熱装置4Aのそれぞれで水が加熱されて温水が生成されるとともに、この温水が暖房用放熱器3に送られて暖房が行われる。また、統括制御装置5は、第3温度センサ73で検出される水の温度に基づいて、ポンプ61の回転数、第1開閉弁62の開度および第2開閉弁63の開度を制御して、第1経路3Aを流れる水の流量と第2経路3Bを流れる水の流量を調整する。
【0026】
このように、本実施形態では、三方弁64が設けられていて、上述した並列暖房運転が可能となっているので、暖房用放熱器3における急速運転が実現できる。
【0027】
<直列暖房運転>
統括制御装置5は、日照が十分な場合には、ユーザーによって図略の暖房用放熱器3における高温省エネ運転を希望する暖房スイッチがONにされたときに、ヒートポンプ2で加熱した水をさらに太陽加熱装置4Aで加熱する直列暖房運転を行うことも可能である。この場合、統括制御装置5は、第1開閉弁62を全開、第2開閉弁63を全閉にするとともに、三方弁64を、第1回収管32の上流側とバイパス管35が連通されるように切り替える。その後、統括制御装置5は、ポンプ61を回転させるとともに、ヒートポンプ制御装置26に運転開始の信号を送る。これにより、第3経路3Cを水が流れ、その途中でまず放熱器22である程度水が加熱され(例えば、40〜42℃に昇温)、その後にその水がさらに太陽加熱装置4Aで加熱されて、温水が生成される。そして、この温水が暖房用放熱器3に送られて暖房が行われる。また、統括制御装置5は、第3温度センサ73で検出される水の温度が所定温度(例えば、70℃)となるように、ポンプ61の回転数を制御して第3経路3Cを流れる水の流量を調整する。
【0028】
以上説明したように、本実施形態の液体循環式暖房システム1Aでは、太陽加熱装置4Aを通る第2経路3Bまたは第3経路3Cに水を流して加熱できるようになっているので、必要な量の水を太陽熱により効果的に加熱することができる。従って、本実施形態によれば、無駄な加熱を抑えて、太陽熱を有効に活用することができる。
【0029】
ところで、第1供給管31および第2供給管33にそれぞれポンプを設け、第1開閉弁62および第2開閉弁63を省略することも可能である。しかし、本実施形態のように、第1供給管31と第2供給管33に分かれる主管36にポンプ61が設けられていれば、ポンプの数を抑えて簡単な構成とすることができる。
【0030】
また、本実施形態では、バイパス管35および三方弁64が設けられていて、上述した直列暖房運転が可能となっているので、ヒートポンプ2による加熱温度を低くすることができ、よりいっそうの省エネルギー化を図ることができる。
【0031】
(第2実施形態)
次に、図3に、本発明の第2実施形態に係る液体循環式暖房システム1Bを、図4にそのブロック図を示す。なお、本実施形態では、第1実施形態と同一構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0032】
第2実施形態の液体循環式暖房システム1Bは、暖房用放熱器3と放熱器22および太陽加熱装置4Aとが貯湯タンク8を介して接続されている点で第1実施形態の液体循環式暖房システム1Aと異なるが、その他の構成は基本的に第1実施形態と同様である。
【0033】
貯湯タンク8は、鉛直方向に延びる円筒状の密閉容器である。貯湯タンク8の下部には、一端に第1供給管31および第2供給管33の上流端が接続された主管36の他端が接続されており、貯湯タンク8の上部には、一端に第1回収管32および第2回収管34の下流端が接続された集約管37の他端が接続されている。貯湯タンク8の内部は水で満たされている。
【0034】
そして、温水生成時にはポンプ61が回転させられることにより、貯湯タンク8内から主管36に水が流出し、第1〜第3経路3A〜3Cのいずれかまたは第1経路3Aおよび第2経路3Bに水が流れて温水が生成され、この温水が集約管37から貯湯タンク8内に流入する。これにより、貯湯タンク8内には生成された温水が上側から貯められる。さらに、貯湯タンク8の側面には、貯湯タンク8内にどれだけの温水が残っているかを判定するための複数の第4温度センサ74が設けられている。第4温度センサ74は、統括制御装置5に接続されている。
【0035】
なお、本実施形態では、貯湯タンク8内の上側位置に給湯用の熱交換器92が配設されており、この熱交換器92に給水管91および出湯管93が接続されている。すなわち、本実施形態では、生成した温水を、給湯用の熱源として利用できるようになっている。
【0036】
一方、暖房用放熱器3の流入口は、送り管81によって貯湯タンク8の上部と接続されており、暖房用放熱器3の流出口は、戻し管82によって貯湯タンク8の下部と接続されている。本実施形態では、戻し管82に循環用ポンプ66が設けられているが、循環用ポンプ66は送り管81に設けられていてもよい。循環用ポンプ66は、統括制御装置5に接続されている。そして、ポンプ66が回転させられることにより、貯湯タンク8に貯められた温水が送り管81を通じて暖房用放熱器3に送られるとともに、暖房用放熱器3で放熱した温水が戻し管82を通じて貯湯タンク8に戻される。
【0037】
次に、第2実施形態の統括制御装置5が行う制御について具体的に説明する。
【0038】
<ヒートポンプ単独蓄熱運転>
統括制御装置5は、雨天時などで日照が少ないとき(例えば、日照量検出センサで検出される日照量が所定量以下のとき)に、第4温度センサ74で検出される温度から残湯量が少ないと判定すると、ヒートポンプ単独蓄熱運転を行う。具体的に、統括制御装置5は、第1開閉弁62を全開、第2開閉弁63を全閉にする。また、統括制御装置5は、三方弁64を、第1回収管32の上流側と下流側が連通されるように切り替える。さらに、統括制御装置5は、ポンプ61を回転させるとともに、ヒートポンプ制御装置26に運転開始の信号を送る。これにより、放熱器22で水が加熱されて温水が生成される。また、統括制御装置5は、第1温度センサ71で検出される水の温度が所定温度(例えば、65℃)となるように、ポンプ61の回転数を制御して第1経路3Aを流れる水の流量を調整する。
【0039】
<太陽加熱装置単独蓄熱運転>
統括制御装置5は、日照が十分で、しかも第2温度センサ72で検出される太陽集熱器の表面の温度が予め定めた第1設定温度(例えば、70℃)以上のときに、第4温度センサ74で検出される温度から残湯量が少ないと判定すると、太陽加熱装置単独蓄熱運転を行う。具体的に、第1開閉弁62を全閉、第2開閉弁63を全開にし、ポンプ61を回転させる。これにより、太陽加熱装置4Aで水が加熱されて温水が生成される。また、統括制御装置5は、第3温度センサ73で検出される水の温度が所定温度(例えば、65℃)となるように、ポンプ61の回転数を制御して第2経路3Bを流れる水の流量を調整する。
【0040】
<並列蓄熱運転>
統括制御装置5は、日照が十分で、しかも第2温度センサ72で検出される太陽集熱器の表面の温度が上記第1設定温度以上のときに、第4温度センサ74で検出される温度から残湯量が極端に少ないと判定すると、ヒートポンプ2と太陽加熱装置4Aによって水を同時に加熱する並列蓄熱運転を行う。具体的に、統括制御装置5は、第1開閉弁62および第2開閉弁63を共に全開にする。また、統括制御装置5は、三方弁64を、第1回収管32の上流側と下流側が連通されるように切り替える。さらに、統括制御装置5は、ポンプ61を回転させるとともに、ヒートポンプ制御装置26に運転開始の信号を送る。これにより、放熱器22および太陽加熱装置4Aのそれぞれで水が加熱されて温水が生成される。また、統括制御装置5は、第1温度センサ71で検出される水の温度が所定温度(例えば、65℃)となり、かつ、第3温度センサ73で検出される水の温度が所定温度(例えば、65℃)となるように、ポンプ61の回転数、第1開閉弁62の開度および第2開閉弁63の開度を制御して、第1経路3Aを流れる水の流量と第2経路3Bを流れる水の流量を調整する。
【0041】
このように、本実施形態では、三方弁64が設けられていて、上述した並列蓄熱運転が可能となっているので、短い時間で貯湯タンク8内への貯湯を実現できる。
【0042】
<直列蓄熱運転>
統括制御装置5は、日照が十分で、しかも第2温度センサ72で検出される太陽集熱器の表面の温度が予め定めた第2設定温度(例えば、80℃)以上のときに、第4温度センサ74で検出される温度から残湯量が少ないと判定した場合には、ヒートポンプ2で加熱した水をさらに太陽加熱装置4Aで加熱する直列蓄熱運転を行う。この場合、統括制御装置5は、第1開閉弁62を全開、第2開閉弁63を全閉にするとともに、三方弁64を、第1回収管32の上流側とバイパス管35が連通されるように切り替える。さらに、統括制御装置5は、ポンプ61を回転させるとともに、ヒートポンプ制御装置26に運転開始の信号を送る。これにより、第3経路3Cを水が流れ、その途中でまず放熱器22である程度水が加熱され(例えば、40〜42℃に昇温)、その後にその水がさらに太陽加熱装置4Aで加熱されて、温水が生成される。また、統括制御装置5は、第3温度センサ73で検出される水の温度が所定温度(例えば、70℃)となるように、ポンプ61の回転数を制御して第3経路3Cを流れる水の流量を調整する。
【0043】
このように、本実施形態では、バイパス管35および三方弁64が設けられていて、上述した直列蓄熱運転が可能となっているので、ヒートポンプ2による加熱温度を低くすることができ、よりいっそうの省エネルギー化を図ることができる。
【0044】
<暖房運転>
統括制御装置5は、ユーザーによって図略の暖房スイッチがONにされると、循環用ポンプ66を回転させる。これにより、貯湯タンク8内に貯められた温水が暖房用放熱器3に送られここで放熱されて、暖房が行われる。
【0045】
以上説明した第2実施形態の液体循環式暖房システム1Bでも、第1実施形態の液体循環式暖房システム1Aと同様の効果を得ることができる。
【0046】
なお、本実施形態では、主管36および集約管37が設けられているが、これらを省略して第1供給管31および第2供給管33の上流端を貯湯タンク8の下部に直接接続するとともに第1回収管32および第2回収管34の下流端を貯湯タンク8の上部に直接接続することも可能である。この場合には、第1供給管31および第2供給管33にポンプをそれぞれ設け、第1開閉弁62および第2開閉弁63を省略することもできる。ただし、本実施形態のように、第1供給管31および第2供給管33が主管36を介してタンクに接続され、その主管36にポンプ61が設けられていれば、ポンプの数を抑えて簡単な構成とすることができる。さらに、第1回収管32および第2回収管34も集約管37を介してタンクに接続されていれば、構成をよりシンプルにすることができる。
【0047】
(第3実施形態)
次に、図5に、本発明の第3実施形態に係る液体循環式暖房システム1Cを示す。なお、本実施形態では、第1実施形態および第2実施形態と同一構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0048】
第3実施形態の液体循環式暖房システム1Cでは、貯湯タンク8に貯められた温水が直接的に給湯に使用できるようになっている。具体的には、給水管91が貯湯タンク8の下部に接続されており、出湯管93が貯湯タンク8の上部に接続されている。また、貯湯タンク8内の上側位置には、貯湯タンク8に貯められた温水と第2の液体との間で熱交換を行うための熱交換器83が配設されている。熱交換器83は、送り管81および戻し管82によって暖房用放熱器3と接続されている。そして、循環用ポンプ66が回転させられることにより、熱交換器83で加熱された第2の液体が送り管81を通じて暖房用放熱器3に送られ、暖房用放熱器3で放熱した第2の液体が戻し管82を通じて熱交換器83に戻される。第2の液体としては、例えば不凍液を用いることも可能であるが、安価で大量入手可能な水を用いることが好ましい。
【0049】
なお、統括制御装置5が行う制御は、第2実施形態と同じであるため、その説明は省略する。ただし、暖房運転時には、貯湯タンク8内に貯められた温水と熱交換した第2の液体が暖房用放熱器3で放熱することにより、すなわち温水の熱が第2の液体を介して暖房用放熱器3に移動することにより暖房が行われる。
【0050】
このような液体循環式暖房システム1Cでも、第1実施形態の液体循環式暖房システム1Aと同様の効果を得ることができる。
【0051】
(その他の形態)
前記各実施形態では、太陽加熱装置4Aとして太陽集熱器が採用されているが、本発明の太陽加熱装置は、図6に示すような太陽加熱装置4Bであってもよい。この太陽加熱装置4Bは、太陽熱を熱媒を介して前記液体に与えるものであり、太陽熱を熱媒に与える太陽集熱器41と、熱媒と水との間で熱交換を行う熱交換器42と、それらを接続する配管43,44を備えている。そして、熱交換器42には、第2供給管33および第2回収管34が接続される。このような太陽加熱装置4Bを採用すれば、熱媒に不凍液を用いることができ、寒冷地に適した構成とすることができる。
【0052】
また、バイパス管35および三方弁64を省略して、ヒートポンプ2と太陽加熱装置4A(または4B)の双方による水の加熱を並列暖房運転または並列蓄熱運転のみで行うことも可能である。この場合には、第2開閉弁63を第2回収管34に設けてもよい。
【0053】
また、前記各実施形態では、日照が少ないときとして日照量検出センサで検出される日照量が所定量以下のときを例示したが、統括制御装置5は、第2温度センサ72で検出される太陽集熱器の表面の温度が所定温度(例えば、40℃)以下のときに、日照が少ないと判定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液体循環式暖房システムの概略構成図である。
【図2】図1に示す液体循環式暖房システムのブロック図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る液体循環式暖房システムの概略構成図である。
【図4】図3に示す液体循環式暖房システムのブロック図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る液体循環式暖房システムの概略構成図である。
【図6】変形例の太陽加熱装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0055】
1A〜1C 液体循環式暖房システム
2 ヒートポンプ
20 ヒートポンプ回路
22 放熱器(冷媒放熱器)
3 暖房用放熱器
3A 第1経路
3B 第2経路
31 第1供給管
32 第1回収管
33 第2供給管
34 第2回収管
35 バイパス管
36 主管
37 集約管
61 ポンプ
62 第1開閉弁
63 第2開閉弁
64 三方弁
66 循環用ポンプ
4A 太陽加熱装置(太陽集熱器)
4B 太陽加熱装置
8 貯湯タンク
81 送り管
82 戻し管
83 熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を加熱して加熱液体を生成し、この加熱液体の熱を暖房用放熱器から放出させて暖房を行う液体循環式暖房システムであって、
循環する冷媒を放熱させて前記液体を加熱する冷媒放熱器を有するヒートポンプ回路と、
太陽熱により前記液体を加熱する太陽加熱装置と、を備え、
前記加熱液体を生成するために前記液体を流す経路として、前記冷媒放熱器を通る第1経路と、前記太陽加熱装置を通る第2経路とが形成されている、液体循環式暖房システム。
【請求項2】
前記第1経路は、前記液体を前記冷媒放熱器に供給する第1供給管と、前記冷媒放熱器で加熱された前記液体を回収する第1回収管とを有し、
前記第2経路は、前記液体を前記太陽加熱装置に供給する第2供給管と、前記太陽加熱装置で加熱された前記液体を回収する第2回収管とを有する、請求項1に記載の液体循環式暖房システム。
【請求項3】
一端に前記第1供給管の上流端および前記第2供給管の上流端が接続された主管をさらに備え、
前記主管には、他端側から前記一端側へ前記液体を流すポンプが設けられており、
前記第1供給管または前記第1回収管には第1開閉弁が設けられているとともに、前記第2供給管または前記第2回収管には第2開閉弁が設けられている、請求項2に記載の液体循環式暖房システム。
【請求項4】
前記第1開閉弁よりも下流側に位置する前記第1回収管の中間部分と前記第2開閉弁よりも下流側に位置する前記第2供給管の中間部分とがバイパス管で接続されており、
前記冷媒放熱器で加熱された前記液体を前記第1回収管の前記中間部分よりも下流側へ流すか前記バイパス管へ流すかを切り替える切り替え手段をさらに備える、請求項3に記載の液体循環式暖房システム。
【請求項5】
一端に前記第1回収管の下流端および前記第2回収管の下流端が接続された集約管をさらに備える、請求項3または4に記載の液体循環式暖房システム。
【請求項6】
前記主管の他端および前記集約管の他端は、前記暖房用放熱器に接続されている、請求項5に記載の液体循環式暖房システム。
【請求項7】
下部に前記第1供給管の上流端および前記第2供給管の上流端または前記主管の他端が接続されるとともに上部に前記第1回収管の下流端および前記第2回収管の下流端または前記集約管の他端が接続された、生成された前記加熱液体を貯めるタンクと、
前記タンクに貯められた前記加熱液体を前記暖房用放熱器に送る送り管と、
前記暖房用放熱器で放熱した前記加熱液体を前記タンクに戻す戻し管と、をさらに備える、請求項2〜5のいずれか一項に記載の液体循環式暖房システム。
【請求項8】
下部に前記第1供給管の上流端および前記第2供給管の上流端または前記主管の他端が接続されるとともに上部に前記第1回収管の下流端および前記第2回収管の下流端または前記集約管の他端が接続された、生成された前記加熱液体を貯めるタンクと、
前記タンク内に配設され、前記タンクに貯められた前記加熱液体と第2の液体との間で熱交換を行うための熱交換器と、
前記熱交換器で加熱された第2の液体を前記暖房用放熱器に送る送り管と、
前記暖房用放熱器で放熱した第2の液体を前記熱交換器に戻す戻し管と、をさらに備える、請求項2〜5のいずれか一項に記載の液体循環式暖房システム。
【請求項9】
前記戻し管または前記送り管には、循環用ポンプが設けられている、請求項7または8に記載の液体循環式暖房システム。
【請求項10】
前記太陽加熱装置は、太陽熱を直接的に前記液体に与える太陽集熱器である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の液体循環式暖房システム。
【請求項11】
前記太陽加熱装置は、太陽熱を熱媒を介して前記液体に与えるものである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の液体循環式暖房システム。
【請求項12】
前記液体は水であり、前記加熱液体は温水である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の液体循環式暖房システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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