説明

液晶表示装置

【課題】COG型の液晶表示装置において、液晶駆動素子のバンプと接続される端子部側の電極パッドが金属製であっても、端子部の裏面側から実際に接続される電極パッドのところで直接的に接続状態を視認できるようにする。
【解決手段】バンプ21を有する液晶駆動素子20と、透明基板からなる端子部10を有する液晶表示パネルとを含み、端子部10の一方の面に液晶駆動素子20のバンプ21に対応する金属材からなる電極パッド111aが形成され、液晶駆動素子20が端子部の一方の面上に実装され、バンプ21と上記電極パッド111aとが異方性導電接着材を介して電気的に接続される液晶表示装置において、電極パッド111aの一部に、金属材を除去してなり端子部10の他方の面から異方性導電接着材による接続状態を視認可能とする透視窓130を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関し、さらに詳しく言えば、液晶表示パネルの端子部に液晶駆動素子を実装してなるCOG(Chip On Glass)型の液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルの端子部の限られたスペース内に液晶駆動素子を実装するにあたって、その実装面積を小さくできることから、通常、液晶駆動素子にはパッケーシ底面に接続端子としてのバンプを多数備えたチップ部品が用いられている。また、その電気接続手段には、熱圧着にて多数のバンプを一括して接続できる異方性導電接着材が用いられている。
【0003】
図5の断面図に、液晶表示パネルの端子部10に対して、バンプ21を有する液晶駆動素子20を異方性導電接着材30を介して実装した従来例を示す。
【0004】
端子部10は、ガラス材などの透明基板より図示しない表示部の透明基板と一体に形成される。端子部10の部品実装領域には、液晶駆動素子20の各バンプ21と対応する電極パッド11が形成されている。この電極パッド11には、上記表示部内に延びるリード配線11aが連設されている。
【0005】
液晶駆動素子20を実装するには、端子部10の部品実装領域に、多数の導電粒子31を含む異方性導電接着材30を塗布したのち、バンプ21と電極パッド11とを位置合わせして液晶駆動素子20を端子部10上に載置し、液晶駆動素子20側から所定温度に加熱された図示しない圧着ヘッドを押し付ける。
【0006】
これにより、異方性導電接着材30が溶融して流動し、バンプ21と電極パッド11との間に導電粒子31が押しつぶされた状態で挟持され、バンプ21と電極パッド11とが電気的、機械的に接続される。
【0007】
接続後における接続状態の確認は、多くの場合、導電粒子31のつぶれ状態を観察してを行う。その際、液晶表示パネルがパッシブパネルであれば、電極パッド11が透明性を有するITO材にて形成されるため、端子部10の裏面(反部品実装面)から導電粒子31のつぶれ状態を直接視認することができる。
【0008】
しかしながら、TFT(薄膜トランジスタ)パネルや有機ELパネルなどでは、配線抵抗を小さくする、あるいは表示部により大きな電流を流す必要があることから、電極パッド11をアルミニウムなどの不透明な導電性の金属材により形成しているため、端子部10の裏面から導電粒子31のつぶれ状態を直接視認することができない。
【0009】
ただし、電極パッド11が金属製であるにしても、その厚さは例えば2μm程度であるため、図6に模式的に示すように、電極パッド11には圧着時の導電粒子31のつぶれに伴って凹凸状の圧痕Sが生ずる。
【0010】
そこで、ひとつの方法として、この圧痕Sを観察することにより、間接的に接続状態の確認を行うことが行われているが、圧痕Sは金属材の種類や観察条件により見栄えが変わるため、正確性に欠ける。
【0011】
この点を解決するため、特許文献1に記載の発明では、電極パッドが金属材からなる場合において、端子部に実装される液晶駆動素子のコーナー部にダミーバンプを設け、端子部の裏面からダミーバンプを視認可能として、導電粒子のつぶれ具合を確認できるようにしている。
【0012】
しかしながら、ダミーバンプと実際に接続される電極パッドとは距離的に離れており、加熱温度や押圧力などの圧着条件も均一とは限らないことから、ダミーバンプで良好な接続が確認されたとしても、それをもって一概に実際に接続される電極パッドの部分も接続良好と判断することはできない。
【0013】
【特許文献1】特開平11−24099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の課題は、液晶表示パネルの端子部に異方性導電接着材を介して液晶駆動素子が実装されるCOG型の液晶表示装置において、液晶駆動素子のバンプと接続される端子部側の電極パッドが金属製であっても、端子部の裏面(反部品実装面)側から実際に接続される電極パッドのところで直接的に接続状態を視認できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、バンプを有する液晶駆動素子と、透明基板からなる端子部を有する液晶表示パネルとを含み、上記端子部の一方の面に上記液晶駆動素子のバンプに対応する金属材からなる電極パッドが形成され、上記液晶駆動素子が上記端子部の一方の面上に実装され、上記バンプと上記電極パッドとが異方性導電接着材を介して電気的に接続されている液晶表示装置において、上記電極パッドの一部に、上記金属材を除去してなり上記端子部の他方の面から上記異方性導電接着材による接続状態を視認可能とする透視窓が形成されていることを特徴としている。
【0016】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1において、上記電極パッドのうち、少なくとも上記透視窓内に透明電極が形成されていることを特徴としている。
【0017】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2において、上記透視窓が上記電極パッドの中央部分に配置されていることを特徴としている。
【0018】
請求項4に記載の発明は、上記請求項1ないし3のいずれか1項において、上記透視窓の大きさが面積的に上記電極パッドに対する上記バンプの接続面の1/2以下,1/5以上であることを特徴としている。
【0019】
請求項5に記載の発明は、上記請求項1ないし4のいずれか1項において、同一の上記電極パッドに対して複数の上記バンプが接続される場合において、上記透視窓が上記バンプの少なくともいずれかひとつに対応して配置されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、液晶表示パネルの端子部に異方性導電接着材を介して液晶駆動素子が実装されるCOG型の液晶表示装置で、液晶駆動素子のバンプと接続される端子部側の電極パッドが金属製である場合において、電極パッドの一部に、金属材を除去してなる透視窓を形成したことにより、端子部の他方の面(反部品実装面)から異方性導電接着材による接続状態を直接的に視認することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、電極パッドのうち、少なくとも透視窓内に透明電極を形成したことにより、透視窓を形成したとしても液晶駆動素子のバンプとの接触面積と導電状態とを確保することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、透視窓を電極パッドの中央部分に配置したことにより、端子部に実装される液晶駆動素子側に例えば平行度に偏りがあったとしても、その影響を排除して接続状態をより正確に確認することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、透視窓の大きさを面積的に電極パッドに対するバンプの接続面の1/2以下,1/5以上としたことにより、透視窓内に存在する導電粒子の数を適切なものとすることができる。
【0024】
すなわち、透視窓の大きさを面積的に電極パッドに対するバンプの接続面の1/2を超える大きさとすると、接触抵抗が大きくなり好ましくない。他方において、透視窓の大きさが面積的にバンプ接続面の1/5未満であると、透視窓内に存在する導電粒子の数が少なくなることが懸念され、接続確認の根拠に乏しくなる。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、同一の電極パッドに対して複数のバンプが接続される場合において、透視窓をバンプのいずれかひとつに対応して配置したことにより、他の電極パッドとバンプとの接続状態をより正確に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、図1ないし図4により、本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の液晶表示装置の第1実施形態に係る電極パッドをバンプと分離して示す拡大断面図,図2は上記第1実施形態の変形例を示す拡大断面図,図3は本発明の液晶表示装置の第2実施形態に係る電極パッドを示す平面図,図4は図3のA−A線断面図である。
【0027】
図1に示すように、本発明の液晶表示装置は、先の図5で説明した従来例と同じく、液晶表示パネルの側方に連設された透明基板からなる端子部10上に、パッケージの底面にバンプ21を有するチップ型の液晶駆動素子20を実装してなるCOG型機種であるが、本発明において、端子部10の一方の面(部品実装面)には、液晶駆動素子20と接続される例えばアルミニウムなどの金属材からなるメタル配線110が形成されている。
【0028】
このメタル配線110には、液晶駆動素子20のバンプ21と異方性導電接着材30(図5参照)を介して接続される電極パッド111aと、図示しないパネル面内の表示部に向けて延びるリード配線112とが含まれている。
【0029】
端子部10の部品実装面は、電極パッド111aの部分を除いてカバーレイとしての絶縁膜120により覆われている。本明細書において、電極パッド111aの部分は一段低く形成されていることからコンタクトホール140と呼ぶ。
【0030】
電極パッド111aとバンプ21は、上記したように異方性導電接着材30を介して電気的に接続されるが、本発明においては、コンタクトホール140内に電極パッド111aの一部分を除去してなる透視窓130が設けられる。
【0031】
これによれば、電極パッド111aが金属材からなる場合においても、異方性導電接着材30に含まれている導電粒子31(図5参照)のつぶれ具合を端子部10の他方の面(反部品実装面、図1では下面側)から直接視認して接続確認を行うことができる。
【0032】
透視窓130は、図1に示すように、コンタクトホール140内の中央部分に配置されてもよく、また、図2に示すように、コンタクトホール140内の片側に寄せて配置されてもよいが、液晶駆動素子20の熱圧着時において、端子部10に対する平行度に偏りがある場合でも、平均した導電粒子31のつぶれが具合が観察できるようにするため、透視窓130はコンタクトホール140内の中央部分に配置されることが好ましい。
【0033】
また、透視窓130を形成する分、電極パッド111aとバンプ21との接続面積が減るため、少なくとも透視窓130内に電極パッド111aと同厚で透明電極150を形成することが好ましい。なお、図1,図2に示すように、透視窓130の部分を含めて、コンタクトホール140内の全面に透明電極150を形成してもよい。
【0034】
また、透視窓130の大きさについては、図1の第1実施形態および図2の変形例のいずれにおいても、面積的に電極パッド111aに対するバンプ21の接続面の1/2以下,1/5以上であることが好ましい。
【0035】
すなわち、透視窓130の大きさを面積的に電極パッド111aに対するバンプ21の接続面の1/2を超える大きさとすると、接触抵抗が大きくなり好ましくない。
【0036】
他方において、透視窓130の大きさが面積的に電極パッド111aに対するバンプの接続面の1/5未満であると、透視窓130内に存在する導電粒子31の数が少なくなることが懸念され、極端な場合には透視窓130内に導電粒子31が存在しないこともあり、接続確認の根拠に乏しくなる。
【0037】
次に、図3および図4により、本発明の第2実施形態について説明する。上記第1実施形態では、電極パッド111aとバンプ21とを1:1で接続させているが、この第2実施形態では、同一の電極パッド111bに対して例えば4つのバンプ21(21a〜21d)を接続させるようにしている。
【0038】
そのため、図3,図4に示すように、液晶駆動素子20のひとつの接続端子群内に例えば4つのバンプ21a〜21dが一列状態に配列されているとすると、これに対応して電極パッド111bは上記第1実施形態での電極パッド111aよりも4つのパッド分細長く形成される。その他の構成要素は上記第1実施形態と同じであってよい。
【0039】
このようにして、同一の電極パッド111bに4つのバンプ21a〜21dが上記第1実施形態と同じく異方性導電接着材30(図5参照)を介して一括して接続されるが、その接続確認を、端子部10の他方の面(図4の下面側)から導電粒子31(図5参照)のつぶれ具合を直接視認して行えるようにするため、第2実施形態では、電極パッド111bにバンプ単位で透視窓130を形成する。
【0040】
すなわち、電極パッド111bのうちの例えばバンプ21bに対応する部分に透視窓130を設ける。そして、電極パッド111bとバンプ21bとの接続面積が減少することを補うため、少なくとも透視窓130内、好ましくは図4に示すように、透視窓130の部分を含めてコンタクトホール140内の全面に透明電極150を形成する。
【0041】
これによれば、バンプ21bでの導電粒子31のつぶれ具合を観察することにより、残りのバンプ21a,21c,21dの接続状態を確認することができる。
【0042】
なお、この例のように、電極パッド111bに接続されるバンプ21が4つの場合、電極パッド111bに設ける透視窓130の数はひとつで十分であるが、電極パッド111bに接続されるバンプ21の数が4つよりも多くなれば、その数に応じて透視窓130を2箇所以上とすることもできる。
【0043】
また、図3に示すように、同じ構成の電極パッド111bが複数行(この例ではL1〜L4の4行)にわたって近接配置されている場合には、液晶駆動素子20の圧着時における押圧力の偏りを排除するため、図3に示すように、隣り合う行では透視窓130の位置をずらすことが好ましい。
【0044】
変形例として、4つのバンプ21a〜21dが2行×2列として配置されている場合には、電極パッド111bをそれに合わせた大きさとし、そのうちのひとつのバンプ21に対応する箇所に透視窓130を設ければよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の液晶表示装置の第1実施形態に係る電極パッドをバンプと分離して示す拡大断面図。
【図2】上記第1実施形態の変形例を示す拡大断面図。
【図3】本発明の液晶表示装置の第2実施形態に係る電極パッドを示す平面図。
【図4】図3のA−A線断面図。
【図5】従来のCOG型液晶表示装置における端子部の構成を示す断面図。
【図6】電極パッドに形成される圧痕を示す模式図。
【符号の説明】
【0046】
10 端子部
20 液晶駆動素子
21(21a〜21d) バンプ
110 メタル配線
111a,111b 電極パッド
112 リード配線
120 絶縁膜
130 透視窓
140 コンタクトホール
150 透明電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンプを有する液晶駆動素子と、透明基板からなる端子部を有する液晶表示パネルとを含み、上記端子部の一方の面に上記液晶駆動素子のバンプに対応する金属材からなる電極パッドが形成され、上記液晶駆動素子が上記端子部の一方の面上に実装され、上記バンプと上記電極パッドとが異方性導電接着材を介して電気的に接続されている液晶表示装置において、
上記電極パッドの一部に、上記金属材を除去してなり上記端子部の他方の面から上記異方性導電接着材による接続状態を視認可能とする透視窓が形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
上記電極パッドのうち、少なくとも上記透視窓内に透明電極が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
上記透視窓が上記電極パッドの中央部分に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
上記透視窓の大きさが面積的に上記電極パッドに対する上記バンプの接続面の1/2以下,1/5以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
同一の上記電極パッドに対して複数の上記バンプが接続される場合において、上記透視窓が上記バンプの少なくともいずれかひとつに対応して配置されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−209832(P2008−209832A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48692(P2007−48692)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】