説明

混合/気化装置

【課題】排気ガス浄化装置の上流に投入される還元剤を十分に気化し、混合することができる混合/気化装置を提供する。
【解決手段】自動車用内燃機関の排気システム用の混合/気化装置12は、前記混合/気化装置12内の流路の、前記混合/気化装置12の軸方向20と交差して広がる断面を周方向に取り囲む支持体19を備える。前記支持体19は少なくとも1つのガイド羽根25,28を備え、該ガイド羽根25,28は前記軸方向20と交差する方向に突出する。前記ガイド羽根25の少なくとも1つを、屋根状の断面形状29を有し、該断面形状29が稜線32または頂線において互いに接続された2つのガイド面30,31を有する構成とすることにより、効率を改善できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関、特に自動車の内燃機関、の排気システム用の混合/気化装置に関する。本発明はまたそのような装置を備えた排気システムおよびSCR触媒コンバーターに関する。
【0002】
内燃機関の排気システムには通常、内燃機関が排出する排気ガスを浄化あるいは再処理するための装置が備えられる。このような装置においては、液体の処理剤を排気ガス流内に導入しそこで気化させて排気ガスと混合することが必要となることがある。例えば酸化触媒コンバーターの上流で燃料を排気ガスに投入して、酸化触媒コンバーター内での燃料の発熱反応により排気ガスを昇温するような場合である。昇温した排気ガス流は酸化触媒コンバーターの下流でさらなる排気ガス再処理装置、例えば別の触媒コンバーターや粒子フィルター、を動作温度あるいは再生温度まで昇温するのに用いられる。一方で選択触媒還元(SCR)の原理で機能する、排気ガス中のNOxを吸収するSCR触媒コンバーター(選択還元触媒コンバーター)を備えたSCRシステムが知られている。SCR触媒コンバーターの上流で適切な還元剤、例えばアンモニアや尿素、好ましくは尿素の水溶液、を排気ガス流に投入する。するとSCR触媒コンバーター内でアンモニアにより含有窒素酸化物が窒素と水に分解される。
【0003】
排気ガス流中に投入される処理剤の種類に拘わらず、満足な効果を得るためには、液相の処理剤の投入点とそれが消費される箇所との間で処理剤が十分に気化し、気相となった処理剤が排ガス流と十分に混ざる必要がある。この目的に用いられるのが冒頭で触れた混合/気化装置であり、これはしたがって排気ガスの経路中の、処理剤の投入点と消費点との間に設けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は冒頭で触れたような混合/気化装置、そのような装置を備えたSCR触媒コンバーター、およびそのような装置を備えた排気システムの、改善された、あるいは少なくとも新たな、実施形態を提供することであり、この実施形態は簡素な、したがって費用効率の良い、構成を特徴としつつ、流れ抵抗の低減をも目指している。さらには断面内の排気の配分の改善も目指しており、これは背圧の低減につながる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、上記の目的は独立請求項に記載の構成により達せられる。より好ましい構成は従属請求項に記載のとおりである。
【0006】
本発明の基本となる技術思想は次のとおりである。混合/気化装置に支持体を設け、この支持体を、混合/気化装置内の流路の、混合/気化装置の軸方向と交差して広がる断面を周方向に取り囲むように構成し、この支持体にガイド羽根を少なくとも1つ設ける。ガイド羽根は軸方向を横切る方向に突出し、そのようなガイド羽根の少なくとも1つに屋根状の断面形状を与える。このように屋根状の断面形状を有するガイド羽根を少なくとも1つ用いることにより、混合/気化装置内で排気ガス流に導入される液相の処理剤に対する衝突面積を増やして、処理剤が液滴のまま装置を通過してしまう可能性を抑えることができる。このようにして装置の気化効率がらみの効率を高めることができる。また、ガイド羽根の少なくとも1つに屋根状の断面形状を与えることで、そのガイド羽根により排気ガス流を両側に偏向させて十分な混合を実現することができる。さらに、ガイド羽根に当たった液相の処理剤に排気ガス流を吹き付けて処理剤をガイド羽根全体に行き渡らせるので、気化が促進される。
【0007】
屋根状の断面形状を有するガイド羽根の屋根状の断面形状は、2つのガイド面からなり、これらが稜線または頂線において互いに接続されるように構成するとよい。断面形状は例えば切妻屋根状とし、角(かど)の付いた稜部によって2つの平らなガイド面同士が接続されるようにする。または断面形状を樽型屋根(丸屋根)状としてもよく、その場合2つの各々曲面からなる屋根面が丸みの付いた頂線を介して滑らかに接続される。これらを折衷して、例えば、2つの各々曲面から成るガイド面を角の付いた稜部を介して接続してもよい。
【0008】
本発明による混合/気化装置の更なる特徴として、各ガイド羽根列は、流入側に設けられるか流出側に設けられるかに拘わらず、排気ガス流にほとんど乱流を生じさせない。言い換えれば、排気ガス流には、それがガイド羽根のまわりを通るときにも装置のガイド羽根列内を通るときにも乱流が生じない。このため装置は際立って低い流れ抵抗を有する。
【0009】
特に好ましくは、稜線または頂線を流入側に配する。こうすると2つのガイド面が軸方向に関して反対方向に角度を持つことになる。特に、2つのガイド面に軸方向20に対して同じ大きさの傾斜角度を与えれば、屋根状のガイド羽根において排気ガス流を対称に偏向あるいは分割することができる。
【0010】
好ましくは、ガイド羽根は一方のガイド面を介してのみ支持体に接続される。これにより装置の構成を実現容易にすることができる。
【0011】
好ましくは、他方のガイド面を支持体から自立して設ける。言い換えれば、他方のガイド面は支持体と接触せず、支持体には間接的に、すなわち一方のガイド面を介して、接続される。
【0012】
好ましくは、ガイド羽根をその稜線の領域においても支持体から自立して設ける。これにより熱膨張の際に応力が生じない。
【0013】
これに代えまたは加えて、ガイド羽根の2つガイド面を各々長方形として端部に4辺を有するよう構成し、2つのガイド面がそれぞれの1辺において互いに接して稜線をなし、ガイド羽根がそれらの辺の1つを介してのみ支持体に接続されるようにしてもよい。言い換えれば、ガイド羽根の周縁をなす外側の6つの辺のうち、1つのみが支持体に接続され、残りは支持体から離してあるいは自立して、すなわち支持体に接続せずに、設けられる。内側の2辺は互いに接して稜線をなす。
【0014】
特にコンパクトな構成とするには、ガイド羽根を数個設けて、これらを、装置の軸方向と垂直な方向である第1の方向に突出させ、かつ軸方向と第1の方向との両方に垂直な方向である第2の方向に並べるとよい。
【0015】
一実施形態において、ガイド羽根の断面形状を角度の付いた、またはアーチ状(弓状)のものとする。角度の付いた断面形状は前述の切妻屋根状の形状をなし、アーチ状の断面形状は前述の樽型屋根(丸屋根)状の形状をなす。好ましくは、屋根状の断面形状を有するガイド羽根を支持体の流入側に配し、支持体の流出側には少なくとも1つの他の、異なる断面形状を有するガイド羽根を配する。異なる断面形状とは例えば軸方向に対して角度が付いた直線状である。支持体は、断面形状が屋根状ではない従来型のガイド羽根を少なくとも1つ備えているとよい。
【0016】
直線状の断面形状を有するガイド羽根、あるいは屋根状の断面形状を有するガイド羽根のガイド面、は平らに形成するとよい。平らなガイド羽根あるいはガイド面はその長さ方向に沿って、排気ガス流あるいは軸方向に対して一定の傾斜角度を有する。ガイド羽根あるいはガイド面の少なくとも1つまたは全てに捻りを加えてもよい。この場合、傾斜角度はガイド羽根の長さ方向に沿って変化する。
【0017】
一実施形態において、流出側に配されるガイド羽根は、流入側に配される屋根状の断面形状を有するガイド羽根のガイド面の一方の流出端と軸方向に位置を揃えて設けられ、その流出端を軸方向と交差する方向に覆う。こうすると、流出側のガイド羽根の衝突面と流入側の屋根状のガイド羽根の流出端との位置が揃う。これにより流入側の屋根状のガイド羽根に当たった液体はガイド面上の流れの力によって向きを変えられてガイド面の流出端に達し、そこで液滴となって排気ガス流に吹き付けられて流出側のガイド羽根のガイド面に当たり、ここで再び排気ガス流と気化作用に曝される。よってこの構成により処理剤が液滴のまま装置を通過してしまう可能性を抑えることができる。ここで注目すべきは、屋根状の断面形状を有するガイド羽根が流入側に設けられることで、排気ガス流がその中に投入された処理剤とともに分割されることである。つまり排気ガス流と処理剤が半分ずつ流出側のガイド羽根に当たり、この流出側のガイド羽根の断面形状が屋根状でない場合には、処理剤の気化に寄与する面積が相対的に2倍になる。
【0018】
特に好ましくは、混合/気化装置内の流路の断面形状を扁平とする。これは流路の断面形状の、軸方向と垂直な方向である第1方向の直径が、第1の方向と軸方向との両方に垂直な方向である第2方向の直径に比べて大きいことを意味する。つまり、混合/気化装置内の流路の断面形状は、それが円形である時とは大きく異なる。例えば、混合/気化装置内の流路の扁平な断面形状の直径を第1方向において、第2方向におけるに比べて少なくとも2倍とする。この構成により、混合/気化装置を薄型排気システムや、SCR触媒コンバーターなどの排ガス処理装置の薄型筐体に容易に組み込むことができるようになる。その場合支持体を、対向する2つの長側壁と対向する2つの短側壁からなり、短側壁の各々により長側壁同士が接続される構成にするとよい。長側壁は平面でも曲面でもよく、短側壁は好ましくは曲面とする。したがって長円形あるいは楕円形の断面形状は基本的には扁平といえる。
【0019】
「長」、「短」という字句は絶対表現ではなく相対表現と理解されるべきであり、したがって長側壁は単に短側壁より支持体の周方向に長いというだけのことである。
【0020】
屋根状の断面形状を有するガイド羽根の少なくとも1つを長側壁の一方において、この側壁の、つまり支持体の、つまり混合/気化装置の少なくとも一軸方向端に設け、そのガイド羽根がその長側壁から対向する長側壁に向かって突出する構成にするとよい。この構成により、互いに平行に延びかつ軸方向と交差する方向に並んだ複数のガイド羽根を備えたガイド羽根列を支持体上に容易に形成することができる。ここで各ガイド羽根の延びる方向は軸方向と垂直で、かつそれらのガイド羽根がガイド羽根列内に並ぶ方向に垂直である。
【0021】
ガイド羽根列を支持体の長側壁に設けるのに、様々な組み合わせが可能である。例えばガイド羽根列は、一方の長側壁のみの一軸方向端のみに設けてもよい。または両方の長側壁の一軸方向端のみに設けてもよく、この場合両長側壁から突出するガイド羽根が組み合って単一のガイド羽根列を形成してもよく、各両長側壁から突出するガイド羽根がそれぞれ別個のガイド羽根列を形成してもよい。各ガイド羽根は対応する長側壁から突出して、例えば、ガイド羽根の長さ方向のほぼ中心面、つまり両長側壁の中間に位置する面、まで延びる。あるいはガイド羽根列を両軸方向端に1つずつ設けてもよい。この場合ガイド羽根はそれぞれ同じ長側壁から突出させてもよく、異なる長側壁から突出させてもよい。
【0022】
本発明に基づく排気システムは、少なくとも1つのSCR触媒コンバーターと、SCR触媒コンバーターの上流において還元剤を排気ガス流に投入するためのインジェクターを少なくとも1つ備えた還元剤投入装置と、少なくとも1つの、上に述べたような混合/気化装置とを備える。混合/気化装置は少なくとも1つのインジェクターと少なくとも1つのSCR触媒コンバーターとの間に設けられる。
【0023】
また、本発明に基づくSCR触媒コンバーターは、SCR触媒コンバーターエレメントを少なくとも1つ設けたハウジングと、少なくとも1つの、上に述べたような混合/気化装置とを備える。混合/気化装置はハウジング内の、少なくとも1つのSCR触媒コンバーターエレメントの上流に設けられる。
【0024】
本発明の他の重要な特徴や効果は、従属請求項、図面、および図面に基づいた本明細書内の記載の該当箇所から理解されるとおりである。
【0025】
上に述べた、また下にこれから述べるいずれの特徴も、具体的に言及されている組み合わせ以外のどのような組み合わせでも、あるいは単独でも、本発明の範囲を逸脱しない限り実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】排気システムを備えた内燃機関を極めて単純化して示す回路図様の模式図
【図2】SCR触媒コンバーターを極めて単純化して示す回路図様の図
【図3】それぞれ異なる実施形態A,BにおけるSCR触媒コンバーターの、図2中の切断線III-IIIに沿った断面図
【図4】混合/気化装置を流入側から見た斜視図
【図5】図4の装置を流出側から見た斜視図
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら以下に詳細に説明する。同一、類似、または機能上同等の部材は同一の参照符号で示す。
【0028】
図面は全て模式図であり、各図の内容は以下のとおりである。図1は排気システムを備えた内燃機関を極めて単純化して示す回路図様の模式図である。図2はSCR触媒コンバーターを極めて単純化して示す回路図様の図である。図3A、図3Bはそれぞれ異なる実施形態A、BにおけるSCR触媒コンバーターの、図2中の切断線III-IIIに沿った断面図である。図4は混合/気化装置を流入側から見た斜視図である。図5は図4の装置を流出側から見た斜視図である。
【0029】
図1に示すように、内燃機関1は一般にエンジンブロック(シリンダーブロック)2を備え、エンジンブロック2は複数のシリンダー3を備える。吸気系4からエンジンブロック2のシリンダー3に外気が供給される。外気の流れを矢印11で示す。内燃機関1の動作時には、排気システム5により燃焼排気ガスがエンジンブロック2のシリンダー3から排出される。排気システム5はまた排気ガス浄化あるいは排気ガス再処理をも行う。この目的のため排気システム5は少なくとも1つのSCR(Selective Catalytic Reduction、選択触媒還元)触媒コンバーター(選択還元触媒コンバーター)6を備える。触媒コンバーター6は排気システム5の排気ガスライン7に適切な態様で組み込まれている。排気システム5はさらに還元剤投入装置8を備える。還元剤投入装置8は少なくとも1つのインジェクター9を備え、インジェクター9の働きにより還元剤を排気ガス流10中に投入することができる。排気ガス流10は内燃機関1の動作時に排気ガスライン7を通り、その流れを矢印で示す。液状の還元剤の排気ガス流10への投入はSCR触媒コンバーター6の上流において行われる。
【0030】
排気システム5はさらに少なくとも1つの混合/気化装置12を備える。混合/気化装置12は排気ガスライン7内の、インジェクター9とSCR触媒コンバーター6の間に設けられるので、排気ガスとそれに投入された還元剤はSCR触媒コンバーター6に達する以前にまず混合/気化装置12を通ることになる。
【0031】
混合/気化装置12が設けられている領域13において、排気ガスライン7は例えば扁平な流路断面形状を有する。一方、インジェクター9の上流の領域14において、排気ガスライン7は例えば円形の流路断面形状を有する。両領域13,14における流路断面積は同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0032】
図1に示す実施形態において、混合/気化装置12は排気ガスライン7内のSCR触媒コンバーター6の上流に、したがってそれとは別に設けられている。特に、混合/気化装置12はSCR触媒コンバーター6のハウジング15外に設けられている。
【0033】
上記とは異なる実施形態を図2に示す。ここではSCR触媒コンバーター6と混合/気化装置12とが一体となっている。その実現のため、少なくとも1つのSCR触媒コンバーターエレメント16がSCR触媒コンバーター6のハウジング15内に設けられており、ハウジング15内のSCR触媒コンバーターエレメント16の上流に混合/気化装置12が追加して設けられている。このように混合/気化装置12とSCR触媒コンバーターエレメント16が共通のハウジング15内に収められている。図2の例において、ハウジング15は入口側テーパー部17と出口側テーパー部18を有し、混合/気化装置12とSCR触媒コンバーターエレメント16はそれら2つのテーパー部17,18の間に配されている。
【0034】
図3(A)、(B)に示すように、ハウジング15は例えば少なくとも混合/気化装置12が配される領域において扁平な断面形状を有し、この形状に合うように混合/気化装置12が構成される。図3(A)に示す実施形態においては、ハウジング15内の流路の断面を1つの混合/気化装置12でカバーしている。図3(B)に示す実施形態においては、ハウジング15内の流路の断面を2つの混合/気化装置12を並置してカバーしている。同様に、混合/気化装置12を排気ガスライン7に配する場合にも、少なくとも2つの混合/気化装置12を領域13に並置して排気ガスライン7内の流路の断面積をカバーしてもよい。
【0035】
図4,図5に示すように、各混合/気化装置12は支持体19を備える。支持体19は、図1,図2,図4,図5において両矢印で示す軸方向20まわりに、混合/気化装置12内の流路の断面を、その周方向に取り囲む形状を有している。これらの実施形態において、混合/気化装置12内の流路の断面形状は扁平とされているので、支持体19の形状も扁平となっている。結果、支持体19は対向する2つの長側壁21,22と対向する2つの短側壁23,24を有し、2つの長側壁21,22は2つの短側壁23,24によって接続されている。混合/気化装置12、よって支持体19、は2つの軸方向端26,27を有し、そこが側壁21,22,23,24の軸方向端となっている。図4,図5に矢印で示す排気ガス流10の向きによって、各軸方向端26,27の一方が流入側、他方が流出側となるが、以下では流入側に番号26を充て、流出側に番号27を充てる。
【0036】
図4,図5に示す例にいおて、支持体19は流入側26と流出側27のそれぞれに複数のガイド羽根25,28を備える。ガイド羽根25,28は各々一方の長側壁21から突出してもう一方の長側壁22に向かって延びている。図示の例では、ガイド羽根25,28は全て同じ長側壁21から突出しており、対向する長側壁22から突出しているものはない。
【0037】
ガイド羽根25,28のうち、ここでは25で示す少なくとも1つは屋根状の断面形状29を有し、各々2つのガイド面30,31と稜線32または頂線32を有する。稜線32において2つのガイド面30,31同士が接続される。図示の例では、切妻屋根状の、角度のついた断面形状29が採用されており、これにより角(かど)のついた稜線32と平らなガイド面30,31が形成される。これに代えてアーチ状(弓状)または樽型屋根(丸屋根)状の断面形状29を採用してもよい。その場合ガイド面30,31は丸みを付けられるかアーチ状にされて、頂線32を介してなめらかに接続される。
【0038】
図示の例では、流入側26において、複数のガイド羽根25,28が各々の長さ方向と交差する方向に並べられ、一方の長側壁21からもう一方の長側壁22に向かって延びている。これにより流入側にガイド羽根列33が形成される。流入側のガイド羽根列33は例えばガイド羽根25,28を3つ、すなわち断面形状29が屋根状のガイド羽根25を2つと断面形状が直線状の従来型のガイド羽根28を1つ、備えている。同様に、流出側27において、ガイド羽根28が各々の長さ方向と交差する方向に並べられ、これにより流出側にガイド羽根列34が形成される。流出側のガイド羽根列34は例えば断面形状29が屋根状ではなく、好ましくは直線状の、同一タイプの従来型のガイド羽根28を4つ備える。
【0039】
各ガイド羽根列33,34内において、ガイド羽根25,28は互いに平行に、かつ軸方向20と垂直に延びる。ガイド羽根25,28はさらに軸方向20と垂直に並べられる。
【0040】
図示の例では、稜線32を有する屋根状のガイド羽根25が流入側に配されているので、排気ガス流10はまず稜線32に当たって分割される。稜線32で接続される2つのガイド面30,31は軸方向20に関して反対方向に角度が付けられている。対称に構成した場合、ガイド面30,31は軸方向20に対して同じ大きさの傾斜角度を有する。
【0041】
流入側のガイド羽根列33において、従来型のガイド羽根28も軸方向20に対して屋根状のガイド羽根25のガイド面30,31と同じ大きさの傾斜角度を有する。
【0042】
これに対して、流出側のガイド羽根列34においては、従来型のガイド羽根28の2つが軸方向20に関して一方向に角度が付けられている一方で、あとの2つが軸方向20に関して反対方向に角度が付けられている。各ガイド羽根28のガイド面30,31の傾斜角度は大きさが同じで、例えば約45度である。
【0043】
図4において、屋根状のガイド羽根25は各々その一方のガイド面30を介してのみ支持体19、すなわちその長側壁21、に接続されている。これを実現するため、各ガイド羽根25は対応する長側壁21から接続線35に沿って曲げて形成するとよい。そうすると接続線35に沿って一方の、すなわち第1の、ガイド面30が長側壁21に接続される。もう一方の、すなわち第2の、ガイド面31は稜線32を介してガイド面30に接続されており、したがって長側壁21には間接的にのみ接続される。よって第2のガイド面31は支持体19から自立している、すなわち支持体19とは非接触に設けられている。このように第2のガイド面31は各々対応する長側壁21にもその反対側の長側壁22にも接触しない。またガイド羽根25,28は全て、対応する突出元の長側壁21から遠い側の端部を反対側の長側壁22から離して設けられる。これによってもガイド羽根25,28は反対側の長側壁22とは接触しない。
【0044】
流入側に設けた屋根状のガイド羽根25の、両ガイド面31,32が交わる稜線が流入端となる。また、ガイド面30,31それぞれの、稜線32から遠い端部が流出端36となる。流出側のガイド羽根28の位置決めは、それらを流出端36と軸方向に位置を揃えて流出端36を軸方向20と交差する方向に覆うようにするとよい。そうしておくと、流出端36から軸方向20と平行に落ちた液滴が流出側のガイド羽根28のいずれかに当たる。
【0045】
混合/気化装置12は一枚の板金材料を成型して製作するとよい。そうするとガイド羽根25,28は対応する長側壁21と一体に形成でき、側壁21,22,23,24も支持体19と一体に形成できる。
【符号の説明】
【0046】
1 内燃機関
2 エンジンブロック
3 シリンダー
4 吸気系
5 排気システム
6 触媒コンバーター
7 排気ガスライン
8 還元剤投入装置
9 インジェクター
10 排気ガス流
11 外気の流れ
12 混合/気化装置
13,14 領域
15 ハウジング
16 SCR触媒コンバーターエレメント
17 入口側テーパー部
18 出口側テーパー部
19 支持体
20 軸方向
21,22 長側壁
23,24 短側壁
25 ガイド羽根
26,27 軸方向端
28 ガイド羽根
29 断面形状
30,31 ガイド面
32 頂線
33 ガイド羽根列
34 ガイド羽根列
35 接続線
36 流出端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(1)、特に自動車の内燃機関、の排気システム(5)用の混合/気化装置(12)であって、
前記混合/気化装置(12)内の流路の、前記混合/気化装置(12)の軸方向(20)と交差して広がる断面を周方向に取り囲む支持体(19)を備え、
前記支持体(19)は少なくとも1つのガイド羽根(25,28)を備え、該ガイド羽根(25,28)は前記軸方向(20)と交差する方向に突出し、
前記ガイド羽根(25)の少なくとも1つが屋根状の断面形状(29)を有し、該断面形状(29)は稜線(32)または頂線において互いに接続された2つのガイド面(30,31)を有することを特徴とする混合/気化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の混合/気化装置において、
前記稜線(32)または頂線は流入側に配され、前記2つのガイド面(30,31)は前記軸方向(20)に関して互いに反対の方向に向けられている。
【請求項3】
請求項1または2に記載の混合/気化装置において、
前記ガイド羽根(25)は一方の前記ガイド面(30)を介してのみ前記支持体(19)に接続されている。
【請求項4】
請求項3に記載の混合/気化装置において、
他方の前記ガイド面(31)は前記支持体(19)から自立して設けられている。
【請求項5】
請求項4に記載の混合/気化装置において、
前記ガイド羽根(25)は前記稜線(32)の領域においても前記支持体(19)から自立して設けられている。
【請求項6】
請求項4または5に記載の混合/気化装置において、
前記ガイド羽根(25)の前記2つのガイド面(30,31)は各々が長方形で端部に4辺を有し、前記2つのガイド面(30,31)はそれぞれの1辺において互いに接して前記稜線(32)をなし、前記ガイド羽根(25)は該辺の1つを介してのみ前記支持体(19)に接続されている。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の混合/気化装置において、
前記ガイド羽根(25)は複数設けられ、これらは前記支持体(19)から、前記混合/気化装置(12)の前記軸方向(20)に垂直な方向である第1の方向に突出し、かつ前記軸方向(20)と前記第1の方向との両方に垂直な方向である第2の方向に並べられている。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の混合/気化装置において、
前記ガイド羽根(25)の前記断面形状(29)は角を付けて、またはアーチ状に形成される。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の混合/気化装置において、
前記屋根状の断面形状(29)を有する前記ガイド羽根(25)は前記支持体(19)の流入側に配され、前記支持体(19)の流出側には少なくとも1つの他の前記ガイド羽根(28)が配され、該ガイド羽根(28)は前記ガイド羽根(25)とは異なる断面形状を有する。
【請求項10】
請求項9に記載の混合/気化装置において、
流出側に配される前記ガイド羽根(28)は、流入側に配される前記屋根状の断面形状(29)を有する前記ガイド羽根(25)の前記ガイド面(30,31)の一方の流出端(36)と軸方向に位置を揃えて設けられ、該流出端(36)を前記軸方向(20)と交差する方向に覆っている。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の混合/気化装置において、
前記混合/気化装置(12)内の流路の断面形状が扁平であり、
前記支持体19は対向する2つの長側壁(21,22)と対向する2つの短側壁(23,24)を有し、
前記短側壁(23,24)の各々により前記長側壁(21,22)同士が接続され、
前記屋根状の断面形状29を有する前記ガイド羽根25の少なくとも1つが前記長側壁(21,22)の一方の少なくとも一軸方向端(26,27)に設けられ、前記長側壁(21,22)の他方に向かって突出している。
【請求項12】
内燃機関(1)、特に自動車の内燃機関、の排気システムであって、
少なくとも1つのSCR触媒コンバーター(6)と、
前記SCR触媒コンバーター(6)の上流において還元剤を排気ガス流(10)に投入するためのインジェクター(9)を少なくとも1つ備えた還元剤投入装置(8)と、
少なくとも1つの、請求項1〜11のいずれかに記載の混合/気化装置(12)と
を備え、
前記混合/気化装置(12)が前記少なくとも1つのインジェクター(9)と前記少なくとも1つのSCR触媒コンバーター(6)との間に設けられることを特徴とする排気システム。
【請求項13】
内燃機関(1)、特に自動車の内燃機関、の排気システム(5)用のSCR触媒コンバーターであって、
SCR触媒コンバーターエレメント(16)を少なくとも1つ設けたハウジング(15)と、
少なくとも1つの、請求項1〜11のいずれかに記載の混合/気化装置(12)と
を備え、
前記混合/気化装置(12)がハウジング(15)内の、前記少なくとも1つのSCR触媒コンバーターエレメント(16)の上流に設けられることを特徴とするSCR触媒コンバーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−72437(P2013−72437A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−214124(P2012−214124)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【出願人】(505261612)ヨット・エーバーシュペッヒャー・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カーゲー (53)
【Fターム(参考)】