説明

測定用探針

【課題】酸化した探針の先端部を新しいものにすることを容易に且つ確実に行うことができる測定用探針を提供する。
【解決手段】所定の測定装置に備えられる測定用探針において、先端部30Aが尖鋭な複数の探針部30が一列に連結されて構成された測定用探針本体3を備え、第1探針部30の後端部30Bに、第2探針部30の先端部30Aを収容する収容部32を備え、第1探針部30の収容部32に第2探針部30の先端部30Aが収容された状態で、第1探針部30と第2探針部30との間の電気的導通が可能な所定の固定手段により、第1探針部30の後端部30Bと第2探針部30の先端部30Aとが連結固定され、第1探針部30と第2探針部30との連結固定部分は分離可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テスターなどの所定の測定装置に備えられる測定用探針に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長期使用することにより、探針が酸化してしまい、正常な波形を得られなくなるのを防ぐため、ホルダ内の探針を押し出すことにより当該探針を新しいものに交換することができるテスターが知られている(例えば、特許文献1)。
また、探針をアルミ線で構成し、当該アルミ線をホルダ内に通し、探針の先端部が汚れた場合には、当該探針を引き出し、先端部を切断することにより、探針を容易に補修することができるものも知られている(例えば、特許文献2)
また、探針に金合金材料を用いることで耐久性を向上させているものも知られている(例えば、特許文献3)。
【0003】
一方、シャープペンシル等の筆記用針を保持するホルダを分割可能に構成し、当該筆記用針が使用により短くなった場合に、当該ホルダを折り取っていくことにより、筆記用針の先端を再度露出させることができるものも知られている(例えば、特許文献4)。
【特許文献1】特開2002−286807号公報
【特許文献2】実開平5−033060号公報
【特許文献3】特開平7−099220号公報
【特許文献4】特開昭59−222400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の発明では、新しい探針に交換するためにいちいちホルダを分解しなくてはならず、面倒である。また、特許文献2の発明では、探針がアルミ線等の比較的軟質な線材の場合にしか適用できないし、探針の先端を尖鋭な状態とすることが難しい。また、特許文献3の発明のように探針に金合金材料を用いたとしても、使用頻度や使用期間の経過により、探針を変えなくてはならない。
また、特許文献4の発明は、筆記用針に関わるものであり、測定用探針と筆記用針とは材質及び硬度が大きく異なるものであり、上記問題を解決することができない。
【0005】
本発明の課題は、酸化した探針の先端部を新しいものにすることを容易に且つ確実に行うことができる測定用探針を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、所定の測定装置に備えられる測定用探針において、
先端部が尖鋭な複数の探針部が一列に連結されて構成された測定用探針本体と、
前記測定用探針本体を収容する筒状のケース体と、
を備え、
前記複数の探針部のうち、第1探針部の後端部に、第2探針部の前記先端部を収容する収容部を備え、
前記第1探針部の前記収容部に前記第2探針部の先端部が収容された状態で、前記第1探針部と前記第2探針部との間の電気的導通が可能な所定の固定手段により、前記第1探針部の前記後端部と前記第2探針部の先端部とが連結固定され、
前記固定手段により連結固定された前記第1探針部の前記収容部は、密閉されており、
前記第1探針部と前記第2探針部との連結固定部分は分離可能となっており、
前記探針部の先端部の表面部が抗酸化物質により形成されていることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の発明は、所定の測定装置に備えられる測定用探針において、
先端部が尖鋭な複数の探針部が一列に連結されて構成された測定用探針本体を備え、
前記複数の探針部のうち、第1探針部の後端部に、第2探針部の前記先端部を収容する収容部を備え、
前記第1探針部の前記収容部に前記第2探針部の先端部が収容された状態で、前記第1探針部と前記第2探針部との間の電気的導通が可能な所定の固定手段により、前記第1探針部の前記後端部と前記第2探針部の先端部とが連結固定され、
前記第1探針部と前記第2探針部との連結固定部分は分離可能となっていることを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の測定用探針において、
前記固定手段により連結固定された前記第1探針部の前記収容部は、密閉されていることを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の測定用探針において、
前記測定用探針本体を収容する筒状のケース体を備えることを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の測定用探針において、
前記探針部の先端部の表面部が抗酸化物質により形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、測定用探針本体は、先端部が尖鋭な複数の探針部が一列に連結されることにより構成され、第1探針部の後端部に備えられる収容部により、第2探針部の先端部が収容され、所定の固定手段により、第1探針部の収容部に第2探針部の先端部が収容された状態で、第1探針部と第2探針部との間の電気的導通が可能なように、第1探針部の後端部と第2探針部の先端部とが連結固定され、第1探針部と第2探針部との連結固定部分は分離可能となっているので、第1探針部が使用により劣化した場合には、当該第1探針部を測定用探針本体から分離することにより、未使用の第2探針部を測定用探針本体の先端部とすることができ、酸化した探針の先端部を新しいものにすることを容易かつ確実に行うことができる。
【0012】
また、固定手段により連結固定された第1探針部の収容部は、密閉されているので、当該収容部に収容される第2探針部の先端部が外気に触れることにより酸化してしまうことを防止することができる。
【0013】
また、ケース体により、測定用探針本体が収容されるので、測定用探針本体の隣り合う探針部の連結固定部分が当該ケース体によって保護されることとなって、測定用探針を使用中に当該探針部の連結固定部分において探針部が分離してしまうことを防ぐことができる。
【0014】
また、探針部の先端部の表面部が抗酸化物質により形成されているので、探針部の表面部を酸化しにくくすることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、測定用探針本体は、先端部が尖鋭な複数の探針部が一列に連結されることにより構成され、第1探針部の後端部に備えられる収容部により、第2探針部の先端部が収容され、所定の固定手段により、第1探針部の収容部に第2探針部の先端部が収容された状態で、第1探針部と第2探針部との間の電気的導通が可能なように、第1探針部の後端部と第2探針部の先端部とが連結固定され、第1探針部と第2探針部との連結固定部分は分離可能となっているので、第1探針部が使用により劣化した場合には、当該第1探針部を測定用探針本体から分離することにより、未使用の第2探針部を測定用探針本体の先端部とすることができ、酸化した探針の先端部を新しいものにすることを容易かつ確実に行うことができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明と同様の効果が得られるのは勿論のこと、特に、固定手段により連結固定された第1探針部の収容部は、密閉されているので、当該収容部に収容される第2探針部の先端部が外気に触れることにより酸化してしまうことを防止することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は3に記載の発明と同様の効果が得られるのは勿論のこと、特に、ケース体により、測定用探針本体が収容されるので、測定用探針本体の隣り合う探針部の連結固定部分が当該ケース体によって保護されることとなって、測定用探針を使用中に当該探針部の連結固定部分において探針部が分離してしまうことを防ぐことができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、請求項2〜4の何れか一項に記載の発明と同様の効果が得られるのは勿論のこと、特に、探針部の先端部の表面部が抗酸化物質により形成されているので、探針部の表面部を酸化しにくくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図を参照して、本発明に係る測定用探針を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
【0020】
本発明に係る測定用探針1について図1を参照しながら説明する。図1(a)に、測定用探針1の斜視図を示し、図1(b)に、図1(a)のB−B矢視断面図を示す。
【0021】
本実施形態に係る測定用探針1は、例えば、図1に示すように、筒状に形成されたケース体2と、当該ケース体2の筒内に挿通されることにより保持される測定用探針本体3と、を備えて構成されている。
【0022】
測定用探針本体3は、例えば、図1に示すように、先端部30Aが尖鋭な複数の探針部30,・・・が一列に連結されて構成されている。なお、探針部30の数は、図示例に限定されるものではなく、任意である。
また、測定用探針本体3の後端側には、例えば、ケーブル31が接続されており、測定用探針本体3の先端部30Aにより検出された電流がケーブル31に伝えられ、当該ケーブル31を介して測定装置(図示省略)に出力され、測定されるようになっている。
【0023】
探針部30の先端部30Aは、先端にいくにつれて細くなるように、例えば、略円錐形状に形成されている。また、探針部30の表面部は、例えば、金及び/又は白金を含む合金素材等の導電性の抗酸化物材料により形成されている。なお、探針部30全体が、金及び/又は白金を含む合金素材等の導電性の抗酸化物材料により形成されていてもよい。
【0024】
また、測定用探針本体3の先端側の探針部30(以下、第1探針部30とする)の後端部30Bには、例えば、当該第1探針部30と隣り合う探針部30(以下、第2探針部30とする)の先端部30Aを収容する収容部32を備えている。
収容部32は、例えば、探針部30の後端部30Bが、先端部30Aと略同形状にくり貫かれたように形成されており、例えば、略円錐形状の空間となっている。図2に、隣り合う探針部30の連結構造の断面図を示す。
そして、例えば、図2に示すように、第1探針部30の収容部32に第2探針部の先端部30Aが収容された状態で、第1探針部30と第2探針部30との間の電気的導通が可能な所定の固定手段により、第1探針部30の収容部32と、第2探針部30の先端部30Aとが連結固定されることにより、第1探針部30と第2探針部30とが連結されるようになっている。
ここで、所定の固定手段としては、例えば、半田付け、溶接等が挙げられる。
【0025】
また、例えば、図2に示すように、第1探針部30の収容部32と、第2探針部30の先端部30Aとは、僅かに隙間を空けた状態で連結固定されており、第1探針部30の収容部32は密閉され、密閉空間33が形成されるようになっている。当該密閉空間33に、例えば、所定のオイル等が注入されて、第2探針部30の先端部30Aが保護されるように構成してもよい。
【0026】
また、第1探針部30と第2探針部30とは、例えば、固定手段により、分離可能に連結固定されている。そして、測定用探針本体3の一番先端側の探針部30が酸化等によって劣化した場合には、当該測定用探針本体3から当該探針部30を分離することにより、当該測定用探針本体3の先端部30Aを新しい状態にすることができるようになっている。
【0027】
また、ケース体2は、例えば、測定用探針本体3の一番先端側の探針部30の先端部30Aのみが露出するように延出されて設けられている。そして、一番先端側の探針部30が分離されることにより、新たに一番先端側となった探針部30がケース体2より引き出されるようにしてもよい。
【0028】
以上に説明した本発明に係る測定用探針1によれば、測定用探針本体3は、先端部30Aが尖鋭な複数の探針部30が一列に連結されることにより構成され、第1探針部30の後端部30Bに備えられる収容部32により、第2探針部30の先端部30Aが収容され、所定の固定手段により、第1探針部30の収容部32に第2探針部30の先端部30Aが収容された状態で、第1探針部30と第2探針部30との間の電気的導通が可能なように、第1探針部30の後端部30Bと第2探針部30の先端部30Aとが連結固定され、第1探針部30と第2探針部30との連結固定部分は分離可能となっているので、第1探針部30が使用により劣化した場合には、当該第1探針部30を測定用探針本体3から分離することにより、未使用の第2探針部30を測定用探針本体3の先端部30Aとすることができ、酸化した探針の先端部30Aを新しいものにすることを容易かつ確実に行うことができる。
【0029】
また、固定手段により連結固定された第1探針部30の収容部32は密閉され、密閉空間33が形成されているので、当該密閉空間33により、当該収容部32に収容される第2探針部30の先端部30Aを保護することができる。
【0030】
また、ケース体2により、測定用探針本体3が収容されるので、測定用探針本体3の隣り合う探針部30の連結固定部分が当該ケース体2によって保護されることとなって、測定用探針1を使用中に当該探針部30の連結固定部分において探針部30が分離してしまうことを防ぐことができる。
【0031】
また、探針部30の先端部30Aの表面部が抗酸化物質により形成されているので、探針部30の表面部を酸化しにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る測定用探針の一例を示す斜視図(図1(a))、及び、図1(a)のB−B断面図(図1(b))である。
【図2】本発明の隣り合う探針部の連結構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 測定用探針
2 ケース体
3 測定用探針本体
30 探針部,第1探針部,第2探針部
30A 先端部
30B 後端部
32 収容部
33 密閉空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の測定装置に備えられる測定用探針において、
先端部が尖鋭な複数の探針部が一列に連結されて構成された測定用探針本体と、
前記測定用探針本体を収容する筒状のケース体と、
を備え、
前記複数の探針部のうち、第1探針部の後端部に、第2探針部の前記先端部を収容する収容部を備え、
前記第1探針部の前記収容部に前記第2探針部の先端部が収容された状態で、前記第1探針部と前記第2探針部との間の電気的導通が可能な所定の固定手段により、前記第1探針部の前記後端部と前記第2探針部の先端部とが連結固定され、
前記固定手段により連結固定された前記第1探針部の前記収容部は、密閉されており、
前記第1探針部と前記第2探針部との連結固定部分は分離可能となっており、
前記探針部の先端部の表面部が抗酸化物質により形成されていることを特徴とする測定用探針。
【請求項2】
所定の測定装置に備えられる測定用探針において、
先端部が尖鋭な複数の探針部が一列に連結されて構成された測定用探針本体を備え、
前記複数の探針部のうち、第1探針部の後端部に、第2探針部の前記先端部を収容する収容部を備え、
前記第1探針部の前記収容部に前記第2探針部の先端部が収容された状態で、前記第1探針部と前記第2探針部との間の電気的導通が可能な所定の固定手段により、前記第1探針部の前記後端部と前記第2探針部の先端部とが連結固定され、
前記第1探針部と前記第2探針部との連結固定部分は分離可能となっていることを特徴とする測定用探針。
【請求項3】
前記固定手段により連結固定された前記第1探針部の前記収容部は、密閉されていることを特徴とする請求項2に記載の測定用探針。
【請求項4】
前記測定用探針本体を収容する筒状のケース体を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の測定用探針。
【請求項5】
前記探針部の先端部の表面部が抗酸化物質により形成されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の測定用探針。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−82889(P2008−82889A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263319(P2006−263319)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】