説明

火葬用の装具

【課題】身体の一部が欠損した遺体を棺桶に入れ、葬儀を行う際、遺体を葬儀参列者に見せるのは、遺族感情として耐えがたいものが有る。生前は、義手や義足で補っていたものが、亡くなった途端に取り外されてしまうのは、到底、遺族や近親者に納得できる事では無い。
しかし、義手や義足の素材は、燃焼によって有毒ガスが発生したり、溶けて骨に付着するなどの問題が発生する為、火葬する事ができず、結局、遺体を棺桶に入れる際、装具を取り外さなければならなかった。そこで、葬儀の際、遺族感情を癒し、そのまま火葬する事が可能な、義手や義足など、身体の一部を補う装具が求められている。
【解決手段】葬儀の際、参列者の目から見て、遺体の一部が欠損している事が判り難く、そのまま火葬する事が可能な装具を提供する。
つまり、義手や義足としての強度は不要で、見た目を重視し、火葬可能な素材で作った装具を作り、棺桶の中の、所定の位置に設置する事で課題を解決する。
また、火葬可能な装具の存在を広く周知徹底し、必要な人に確実に供給する為のビジネスモデルも提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として遺体を火葬する際、装着したまま火葬できる義手・義足などの装具に関するものであり、葬儀の際、身体の一部が欠損した遺体を葬儀参列者にさらす事を避け、遺族感情を癒す目的で使用する為の、装飾用装具に関する。
【背景技術】
【0002】
義手や義足など、欠損した身体の一部を補う装具は、強度を確保する為、金属を使用し、また、肉や皮膚の代わりに合成樹詣が使用される。その為、火葬する事ができない。
この事実は、全国の火葬場のウェブサイトに、義手や義足は火葬できないので、取り外す必要があると明記されている事で、証明されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
身体の一部が欠損した遺体を棺桶に入れ、葬儀を行う際、遺体を葬儀参列者に見せるのは、遺族感情として耐えがたいものが有る。生前は、義手や義足で補っていたものが、亡くなった途端に取り外されてしまうのは、到底、遺族や近親者に納得できる事では無い。
しかし、義手や義足の素材は、燃焼によって有毒ガスが発生したり、溶けて骨に付着するなどの問題が発生する為、火葬する事ができず、結局、遺体を棺桶に入れる際、装具を取り外さなければならなかった。そこで、葬儀の際、遺族感情を癒し、そのまま火葬する事が可能な、義手や義足など、身体の一部を補う装具が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
葬儀の際、参列者の目から見て、遺体の一部が欠損している事が判り難く、そのまま火葬する事が可能な装具を提供する。
つまり、義手や義足としての強度は不要で、見た目を重視し、火葬可能な素材で作った装具とし、棺桶の中
また、火葬可能な装具の存在を広く周知徹底し、必要な人に確実に供給する為のビジネスモデルも提案する。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、葬儀の際、欠損した遺体の一部を補う事が可能で、遺族感情を害する事も防げる。
また、新たなビジネスを構築する事により、本発明が広く周知され、需要に応じた供給を確保する事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
燃焼によって有毒ガスが発生せず、溶解して骨に付着するなどの不具合が起こらない材質、又は、火葬場が一般的に棺桶に入れる事を許可している材質を使用し、外観を可能な限り身体に近似させた装具を製作する。
また、需要に応じて製作・販売するビジネスを構築し、火葬可能な装具の存在を広く周知すると共に、注文を受けて製造販売する。
【実施例】
【0007】
本発明の課題を解決する為には、請求項1に記載された通り、火葬できる装具を作る。この発明により、葬儀の際、欠損した身体の一部を補い、そのまま火葬できるので、遺族感情を害する事が大幅に軽減される。
また、元々、義手や義足を使用していなかった健常者が、事故で身体の一部を失い、その直後に亡くなった場合でも、葬儀の際、見た目の不具合を解消できる。
この装具は、置いてある棺桶の中で使用する、見た目だけの装具であるから、特に固定する必要が無く、所定の場所に置いておくだけで、目的が達成できる。
但し、霊柩車で棺桶を火葬場に運んだ後、最後のお別れとして、棺桶の蓋を開ける可能性が有る場合は、火葬用の装具が移動中の振動で動いてしまうのを防止する為、火葬できる素材のテープや紐で、固定しておけば良い。
尚、一般論として、棺桶の中の遺体は、浴衣などの着物を着ているので、例えば義足の場合、浴衣の裾から露出しているのは、足の甲の部分だけである。従って、膝から下が欠損している場合でも、全てを作る必要は無く、足の甲とその近傍だけを近似的に作成し、その他の部分は、簡略化、又は省略して作っても目的を達成できる。以上が請求項1に記載の、本発明の実施例である。
【0008】
火葬用の装具を作る具体的な方法は、請求項2に記載の通りであるが、その一つの実施例を説明する。
請求項1に記載された材料を使用し、標準的な腕や足の形状で、複数のサイズの装具を事前に作って準備しておく。
この場合、見た目の近似性がポイントであり、強度などは無関係であるから、加工し易い材料を使用すれば良い。例えば、バルサを使用すれば、軽量で柔らかく、非常に加工し易いので、極めて短時間での製作が可能で、塗装も簡単にできる。また、軽量なので、完成品を宅配便で届ける場合に、運送料金が安くなる利点も有る。
そして、注文を受けた際は、最も近いサイズの装具を選定し、最も近い肌の色に塗装すれば完成する。以上が請求項2に記載の本発明の実施例である。
【0009】
遺族などから注文を受ける際、正確な情報をもらわないと、故人に近似した装具を作る事ができない。また、遺族が火葬の為だけに使用する装具を発注するのは、一生の内、1回程度しか無い上、発注する時は、悲しみの為、正しい判断ができない可能性が高い。
そこで、請求項3に記載の通り、事前に、装具製作に必要な情報を葬儀社に連絡しておき、又はインターネットで公開しておき、いざと言う時に、火葬用の装具製作に必要な情報を確実に収集できる様にする。
例えば、所定のゲージと、使用していた装具、又は健常な身体を並べて撮影し、その写真を電子メールなどで送ってもらえれば、サイズや肌の色も判り、請求項2に記載の装具を作る事ができる。また、写真を送ってもらえれば、ホクロの位置や、マニキュアの有無なども判明するので、より近似した火葬用の装具を作る事ができる。以上が請求項3に記載の本発明の実施例である。
【0010】
本発明は非常に有益で、新規性が高く、遺体を火葬する事が一般的な日本国内において、非常に需要の高い発明である。
しかし、人が亡くなるのは突然の事であり、その際、遺族は気が動転している上、葬式の手配や親類・知人への連絡などに忙殺され、義手や義足の事まで考える余裕が無い。
従って、必要な人に確実に火葬用の装具を供給する為の、新たなビジネスが必要である。この新サービス業の内容は、請求項4に記載の通りであるが、その一例を説明する。
新たな商売を始める際、インターネットのウェブサイトで業態の説明と、注文方法などを公開し、周知を図る事が一般的に行われる。本サービス業においても、インターネットにて情報公開を行うが、義手や義足を使用している人の家族が、日頃から、このウェブサイトを見るとは限らない。また、亡くなった直後の多忙な時に、検索サイトを使って火葬できる装具を探している暇は無い。
そこで、事前に葬儀屋にパンフレットなどを配付し、葬儀社から遺族へ、本サービス業の業態を伝えてもらう方法が非常に有効である。
葬儀社であれば、葬儀を行う前に、必ず遺族と打合せを行い、葬儀の規模や費用見積もりなどを行うので、この時に、火葬できる装具を作ってくれる会社が有る事を、遺族に伝えてもらえば確実に注文が取れる。
注文は、請求項3に記載された情報を提供してもらい、請求項1及び請求項2に記載の装具を作成する。
【0011】
また、このサービス業のポイントは、注文を受けてから注文主に届けるまでの時間が非常に重要となる。即ち、お通夜を行う日の昼間に注文を受けた場合は、その翌日に行われる葬儀に、間に合わせなくてはならない。
そこで、請求項2に記載の製造方法の中から、遺族の希望、届け日などを考慮し、最適な製造方法を、注文毎に選択し、翌日配達厳守の宅配便で発送すれば良い。
以上が、請求項4に記載の本発明の実施例である。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明によれば、事故や病気で身体の一部を失った方を棺桶に入れ、葬儀を行う際、欠損した部分を判り難くする事が可能で、葬儀参列者にも、身体の一部が欠損している事を気付かれ難くなる。
その結果、遺族の感情を害する事が無くなり、遺族の、無用な精神的負担を軽減できる。また、葬儀終了後は、取り外す必要が無く、そのまま棺桶の蓋をし、火葬できるので、利便性が極めて高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
義手、義足など、欠損した身体の一部を補う装具において、装着者が亡くなった後に葬儀を行い、そのまま火葬することが可能で、欠損した身体の一部に近似させた、火葬用の装具であり、次の特徴を有する。
1、材質は、火葬時にほぼ完全に燃え尽きる、木材・バルサ・紙・ダンボール・紙粘土・布・石膏及び、全国の火葬場で火葬を許可している材料の、いずれか、又はいずれかの組み合わせとする。尚、火葬塲が火葬を許可している材料は、全国の火葬場のウェブサイトで公開されている。
2、着色に使用する塗料は、主として植物から取った染料、又は自然界に存在する色素を主成分とし、シンナーを代表とする揮発油や、燃焼によって有毒ガスを発生させる合成樹脂原料は含まない。
3、義手の場合は、指を揃えた形状、又はもう一方の健常な手と組合せ可能な形状とする、又は、発注者から指定された形状とする。
4、事故などにより、死亡時に身体の一部を失った場合や、臓器提供で身体の一部を失った場合は、残っている健常な部分から推測する、又は型を取る方法で製作する。
5、身体の失った部分を全て作るのでは無く、棺桶に遺体を入れる際、着衣から露出する部分及びその周辺だけを作る場合も含む。
6、装具の一部に、1個、又は複数の貫通孔を設け、紐などを使って固定可能にする。
【請求項2】
以下のいずれかの方法で作成した事を特徴とする、請求項1に記載の、火葬用の装具。
1、亡くなった方が実際に使用していた装具を使用し、樹脂、又は石膏、又は粘土、又は紙、又は樹脂を浸み込ませた布で雌型を作り、この雌型を使用して装具を作る。
2、亡くなった方の、健常な方の手や足を使用し、樹脂、又は石膏、又は粘土、又は紙、又は樹脂を浸み込ませた布や紙で雌型を作り、この型を左右反転し、装具を作る。
3、標準的な形状の手や足の形状で、複数のサイズの装具を事前に用意しておき、亡くなった方が実際に使用していた装具、又は健常な手や足のカラー写真を使用し、装具の選定と着色を行う。
4、手足の場合、甲側と、その反対側とを別々に作り、貼り合わせて製作する。
5、作成した火葬用の装具に、写真を貼り付ける、又は写真から転写したフィルムを貼り付ける、又はフィルムを水圧転写する。
【請求項3】
遺族、故人の知人、又は葬儀社から、以下のいずれか1つ、又は複数の情報を収集し、その情報に基づいて作成された事を特徴とする、請求項1及び2に記載の、火葬用の装具。1、複数の手足形状・指の形、手の組み方を表示したカタログを、事前に葬儀社に提示する、又はウェブサイトで公開し、その中から最も近似したものを選定する。
2、目盛り付きのものさし、又はゲージと、実際に使用した装具、又は健常な手足などを並べて撮影し、その写真を使用する。
3、色見本版を事前に提示、又は配付し、亡くなった方の肌の色に最も近似した色見本版の番号、又は記号を選定する。
4、ものさし、メジャー、又は専用のゲージで、作成者が指定した部分の寸法を測定した数値。
5、年齢と性別。
6、国籍。
7、身長と体重。
8、胸囲、胴囲、腰囲。
9、マニキュアやペディキュアの有無と、その色。
10、通常着用している、靴のサイズ。
11、義手の場合、胸の近傍で両手を組むなど、御遺体の状態。
【請求項4】
請求項1から3に記載の、火葬用の装具を使用して行う、以下のビジネスモデル。
1、通常の義手や義足は火葬できない為、遺体を棺桶に入れる際、取り外す必要が有る。しかし、葬儀の際、身体の一部が欠損した遺体を参列者に見せるのは、遺族の心情として耐え難いものがある。そこで、健常な手足などに近似させた、火葬可能な装具を提供するビジネスを行う。
2、このビジネスモデルを行うサービス会社は、事前に、上記ビジネスに関するパンフレットや案内状や説明書を、各葬儀社に配付して告知する。また、インターネットのウェブサイトを利用して、業務内容・サービス内容を公開する。
3、サービス会社は、遺族、又は故人の知人、又は故人の親類縁者、又は葬儀社から注文を受ける。
4、注文は、所定の書類への記入、または所定の書式に記入し、インターネット、又は電子メール、又はFAX、又は電話で、請求項3に記載の情報をサービス会社に伝える。
5、契約は、上記情報を提供した時点で成立する、または、情報入手後に打合せや見積りを行い、別途、売買契約、又は業務請負契約を成立させる。
6、受注後、サービス会社は、遺族等の要望事項に可能な限り近似した形状・サイズ・色の装具を作成し、宅配便、又は自社便で、指定された住所へ届ける。
7、昼間に受けた注文は、当日中に作成して発送し、可能な限り、翌日の午前中に所定の住所に届く様に努める。即ち、お通夜の日に受注すれば、翌日の葬儀に間に合わせる。
8、注文主は、装具を受領後、所定の方法で代金を支払う。所定の方法とは、銀行振込み・口座振替え・クレジットカード・現金書留であり、注文時、又は契約時に取り決める。9、実際に使用していた義手や義足などの装具を、納めて保管する為の容器を作成し、販売する業務も含む。
10、実際に使用している、又は使用していた装具の、補修・調整・化粧直しを行う業務も含む。

【公開番号】特開2012−61285(P2012−61285A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225205(P2010−225205)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(595002937)株式会社双輝 (5)
【出願人】(510180175)株式会社L.S.PO.Labratorium (3)
【Fターム(参考)】