説明

炭化物の製造方法及び排気ガスの浄化方法

【課題】排気ガス中の揮発性有機化合物のガスを炭化物に吸着させて製造する炭化物の製造方法を提供する。
【解決手段】炭化した有機廃棄物を円柱体に形成し、炭化物1を製造する。炭化物1は、前記円柱体の軸方向に略平行で、前記円柱体の略平行な一方の面1Aと他方の面1Bを貫通する複数の貫通孔1aを備えている。該炭化物1を排気通路2内の排気ガスの流れに対して、炭化物1の複数の貫通孔1aが略平行になるように炭化物1を排気通路2内に設置し、前記排気ガス中の揮発性有機化合物のガスを炭化物1内に通過させ、炭化物1に吸着させて製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化物の製造方法及び排気ガスの浄化方法に係り、特に、排気ガス中の揮発性有機化合物のガスを炭化物に吸着させる炭化物の製造方法及び排気ガスの浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機廃棄物を炭化炉で炭化させる有機廃棄物の処理装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−172546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の有機廃棄物の処理装置にあっては、有機廃棄物の処理装置で炭化処理が施された有機廃棄物は、燃料として利用するのみで、付加価値が少ないという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点を除去するようにした炭化物の製造方法及び排気ガスの浄化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の炭化物の製造方法は、炭化した有機廃棄物を円柱体に形成した炭化物を有し、前記炭化物は、前記円柱体の軸方向に略平行で、前記円柱体の略平行な一方の面と他方の面を貫通する複数の貫通孔を備え、排気通路内の排気ガスの流れに対して、前記炭化物の前記複数の貫通孔が略平行になるように前記炭化物を排気通路内に設置して、前記排気ガス中の揮発性有機化合物のガスを前記炭化物内に通過させ前記炭化物に吸着させて炭化物を製造することができる。
【0007】
また、請求項2記載の炭化物の製造方法は、請求項1記載の炭化物の製造方法において、 排気通路内に複数の炭化物を並設し、前記複数の炭化物は、前記複数の炭化物の円柱体の軸方向が排気通路内の排気ガスの流れに対して、略平行であり、前記複数の炭化物の円柱体の一方の面を風上、前記複数の炭化物の円柱体の他方の面を風下に位置させ、排気ガス中の揮発性有機化合物のガスを前記複数の炭化物に吸着させるものである。
【0008】
また、請求項3記載の炭化物の製造方法は、請求項1記載の炭化物の製造方法において、排気通路内に複数の炭化物を並設し、前記複数の炭化物は、前記複数の炭化物の円柱体の軸方向が排気通路内の排気ガスの流れに対して、略平行であり、前記複数の炭化物の円柱体の一方の面を風上、前記複数の炭化物の円柱体の他方の面を風下に位置させ、排気ガス中の揮発性有機化合物のガスを前記複数の炭化物に吸着させ、吸着させた後、前記複数の炭化物の円柱体の他方の面を風上、前記複数の炭化物の円柱体の一方の面を風下に位置させ、排気ガス中の揮発性有機化合物のガスを前記複数の炭化物に吸着させるものである。
【0009】
また、請求項4記載の排気ガスの浄化方法は、炭化した有機廃棄物を円柱体に形成した炭化物を有し、前記炭化物は、前記円柱体の軸方向に略平行で、前記円柱体の略平行な一方の面と他方の面を貫通する複数の貫通孔を備え、排気通路内の排気ガスの流れに対して、前記炭化物の前記複数の貫通孔が略平行になるように前記炭化物を排気通路内に設置して、前記排気ガス中の揮発性有機化合物のガスを前記炭化物内を通過させ前記炭化物に吸着させて、前記炭化物体の前記排気ガスを浄化させるものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の炭化物の製造方法によれば、排気ガス中のガスが炭化物に吸着されるため、該炭化物を熱源として利用する場合、炭化物の熱量増加を図ることができ、しかも、排気通路内の排気ガスの流れに対して、炭化物の複数の貫通孔が略平行になるように排気通路内に炭化物を設置するため、排気ガス中の揮発性有機化合物のガスが炭化物に吸着され、前記炭化物の前記排気ガスを浄化させることができる。
【0011】
また、請求項2記載の炭化物の製造方法によれば、上述した請求項1記載の発明の効果に加え、複数の炭化物は、前記複数の炭化物の円柱体の軸方向が排気通路内の排気ガスの流れに対して、略平行であるため、排気ガスの流れを並設した複数の炭化物のそれぞれの複数の貫通孔に導くことができ、排気ガス中の揮発性有機化合物のガスを炭化物に効率良く接触させて、炭化物の熱量増加と排気ガスの浄化とを効率良く図ることができる。
【0012】
また、請求項3記載の炭化物の製造方法によれば、上述した請求項1記載の発明の効果に加え、複数の炭化物は、前記複数の炭化物の円柱体の軸方向が排気通路内の排気ガスの流れに対して、略平行であるため、排気ガスの流れを並設した複数の炭化物のそれぞれの複数の貫通孔に導くことができ、排気ガス中の揮発性有機化合物のガスを炭化物に効率良く接触させて、炭化物の熱量増加と排気ガスの浄化とを効率良く図ることができ、
しかも、複数の炭化物の円柱体の一方の面を風上、前記複数の炭化物の円柱体の他方の面を風下に位置させ、排気ガス中の揮発性有機化合物のガスを前記複数の炭化物に吸着させ、吸着させた後、前記複数の炭化物の円柱体の他方の面を風上、前記複数の炭化物の円柱体の一方の面を風下に位置させ、排気ガス中の揮発性有機化合物のガスを前記複数の炭化物に吸着させるため、排気ガス中のガスを炭化物により多く吸着させ、該炭化物を熱源として利用する際、炭化物の熱量増加をより図ることができる。
【0013】
また、請求項4記載の排気ガスの浄化方法によれば、排気通路内の排気ガスの流れに対して、炭化物の複数の貫通孔が略平行になるように排気通路内に炭化物を設置するため、排気ガス中の揮発性有機化合物のガスが炭化物に吸着し、前記炭化物の前記排気ガスを浄化させることができ、しかも、排気ガス中のガスが炭化物に吸着するため、該炭化物を熱源として利用する際、炭化物の熱量増加を図ることができる付随的効果をも有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1(a)は、本発明の一実施例の炭化物の概略的斜視図であり、図1(b)は、図1(a)の炭化物の概略的断面図である。
【図2】図2は、図1の炭化物を排気通路内に設置した場合の概略的断面図である。
【図3】図3は、図2の3−3線による概略的断面図である。
【図4】図4は、図3の一部を拡大して示す概略的一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施例の炭化物の製造方法及び排気ガスの浄化方法を図面を参照して説明する。
図1(a)に示す1は、炭化した有機廃棄物を円柱体に形成した炭化物で、該炭化物1は、円柱体の軸方向に略平行で、円柱体の略平行な一方の面1Aと他方の面1Bを貫通する複数の貫通孔1aを備えている [図1(b)参照]。
この炭化物1は、例えば、汚泥等の有機廃棄物を炭化炉(図示せず)で炭化し、炭化した有機廃棄物を粒状又は粉末状化し、粒状又は粉末状化したものを練炭形状(円柱体)に成形したもので、望ましくは、粘着剤をまぜて成形する。
【0016】
炭化物1は、図2〜図4に示すように、排気通路2内の排気ガスの流れに対して、炭化物1の複数の貫通孔1aが略平行になるように炭化物1は、排気通路2内に設置される。
即ち、複数の炭化物1は、排気通路2内に設けられた支持部材3により、複数の炭化物1が並設し、複数の炭化物1は、複数の炭化物1の円柱体の軸方向が排気通路2内の排気ガスの流れに対して、略平行であり、複数の炭化物の円柱体の一方の面1Aを風上、複数の炭化物1の円柱体の他方の面1Bを風下に位置させ、排気ガス中の揮発性有機化合物(VOC)のガスを複数の炭化物1に吸着させる。複数の炭化物1に吸着させた後、載置台4を180度回転させる。
載置台4を180度回転させると、複数の炭化物1の円柱体の他方の面1Bが風上、複数の炭化物1の円柱体の一方の面1Aが風下に位置し、排気ガス中の揮発性有機化合物(VOC)のガスを複数の炭化物1に吸着させる。
なお、排気通路2は、例えば、シンナー、トルエン等が排出される塗装工場の排気通路である。
その結果、排気ガスが、炭化物1の内、外を通過する際、排気通路2を流れる排気ガス中のシンナー、トルエン等の揮発性有機化合物(VOC)のガスが炭化物1に吸着することとなる。
【0017】
従って、排気ガス中のガスが炭化物1に吸着するため、炭化物1を熱源として利用する場合、熱量増加を図った炭化物1を製造することができ、しかも、排気通路2内の排気ガスの流れに対して、炭化物1の複数の貫通孔1aが略平行になるように排気通路2内に炭化物1を設置するため、排気ガス中の揮発性有機化合物(VOC)のガスが炭化物1に吸着され、排気通路2内の排気ガスをも浄化させることができる。
【符号の説明】
【0018】
1 炭化物
1A 一方の面
1B 他方の面
1a 貫通孔
2 排気通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化した有機廃棄物を円柱体に形成した炭化物を有し、
前記炭化物は、前記円柱体の軸方向に略平行で、前記円柱体の略平行な一方の面と他方の面を貫通する複数の貫通孔を備え、
排気通路内の排気ガスの流れに対して、前記炭化物の前記複数の貫通孔が略平行になるように前記炭化物を排気通路内に設置して、前記排気ガス中の揮発性有機化合物のガスを前記炭化物内に通過させ前記炭化物に吸着させて炭化物を製造する
ことを特徴とする炭化物の製造方法。
【請求項2】
排気通路内に複数の炭化物を並設し、
前記複数の炭化物は、前記複数の炭化物の円柱体の軸方向が排気通路内の排気ガスの流れに対して、略平行であり、
前記複数の炭化物の円柱体の一方の面を風上、前記複数の炭化物の円柱体の他方の面を風下に位置させ、排気ガス中の揮発性有機化合物のガスを前記複数の炭化物に吸着させる
ことを特徴とする請求項1記載の炭化物の製造方法。
【請求項3】
排気通路内に複数の炭化物を並設し、
前記複数の炭化物は、前記複数の炭化物の円柱体の軸方向が排気通路内の排気ガスの流れに対して、略平行であり、
前記複数の炭化物の円柱体の一方の面を風上、前記複数の炭化物の円柱体の他方の面を風下に位置させ、排気ガス中の揮発性有機化合物のガスを前記複数の炭化物に吸着させ、
吸着させた後、
前記複数の炭化物の円柱体の他方の面を風上、前記複数の炭化物の円柱体の一方の面を風下に位置させ、排気ガス中の揮発性有機化合物のガスを前記複数の炭化物に吸着させる
ことを特徴とする請求項1記載の炭化物の製造方法。
【請求項4】
炭化した有機廃棄物を円柱体に形成した炭化物を有し、
前記炭化物は、前記円柱体の軸方向に略平行で、前記円柱体の略平行な一方の面と他方の面を貫通する複数の貫通孔を備え、
排気通路内の排気ガスの流れに対して、前記炭化物の前記複数の貫通孔が略平行になるように前記炭化物を排気通路内に設置して、前記排気ガス中の揮発性有機化合物のガスを前記炭化物内を通過させ前記炭化物に吸着させて、前記炭化物体の前記排気ガスを浄化させる
ことを特徴とする排気ガスの浄化方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−52113(P2011−52113A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202177(P2009−202177)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(593058880)株式会社 青野商会 (5)
【Fターム(参考)】