説明

無線タグ

【課題】アンテナの一部を物理的に取り除いたりすることなく、遠距離からの不正アクセスを防止する。
【解決手段】RFIDタグ101に、RFIDリーダライタ200からの電波を受信する第1のアンテナ部1に加え、第1のアンテナ部1よりも電波の受信感度が低い第2のアンテナ部7を設ける。第2の電源部8を設け、第2のアンテナ部7が受信した電波より電力を抽出し、制御部5へ送る。制御部5に、第2の電源部8からの電力の供給を受けていない場合、第1のアンテナ部1を介するRFIDリーダライタ200からのメモリ部6へのアクセスを禁止し、第2の電源部8からの電力の供給を受けている場合、第1のアンテナ部1を介するRFIDリーダライタ200からのメモリ部6へのアクセスを許可する機能を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電波を媒体としてリーダやリーダライタなどの通信機器とデータ通信を行う無線タグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信を用いた自動認識技術として、RFID(Radio Frequency Identification)が急速に普及している。一般的なRFIDシステムは、物品などに取り付けられてその物品を識別するために用いられるRFIDタグと呼ばれる無線タグ、およびRFIDタグ内のメモリに記憶されているデータを読み出したり、RFIDタグ内のメモリに対してデータを書き込むために用いられるリーダライタ(RFIDリーダライタ)より構成される。
【0003】
RFID技術の特徴の一つとして、非接触でのメモリへのアクセスが可能である、ということが挙げられる。この特徴を利用すれば、RFIDタグを貼付した複数の物品が箱に梱包されているような場合でも、開梱せずにRFIDタグ内のメモリへのデータの読み書きを行うことができる。これにより、検品を効率よく行なうことが可能となるなど、流通業界をはじめとするさまざまな業界での応用が期待されている。
【0004】
特に、極超短波(UHF, Ultra High Frequency )帯の電波帯域を使用するRFIDタグは、短波(HF, High Frequency)帯やマイクロ波帯を使用するRFIDタグと比較した場合、より遠距離からメモリへのアクセスが可能である、という特徴があるため、近年特に期待が高まっている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−167241号公報
【特許文献2】特開2004−213582号公報
【特許文献3】特開2003−283366号公報
【非特許文献1】G. Karjoth and P. Moskowitz, "Disabling RFID Tags with Visible Confirmation: Clipped Tags Are Silenced", In Proceedings of Workshop on Privacy in the Electronic Society, November 2005.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかながら、非接触でメモリへのアクセスが可能であるが故に、RFIDタグの所持者もしくは正当な使用者の意図しないところで、また気付かないうちにRFIDタグ内のデータを読み取られる、もしくは書き替えらえるなどの可能性があり、プライバシー保護や情報セキュリティの点で深刻な問題につながる虞れがある。
【0007】
特に、UHF帯のRFIDタグでは、RFIDリーダライタとRFIDタグの距離がかなり離れていてもRFIDタグ内のメモリへのアクセスが可能であるため、不正なアクセスが行なわれていることに気付き難く、この問題は深刻である。
【0008】
このような問題に対処するために、例えば非特許文献1では、RFIDタグを構成するアンテナの一部を物理的に取り除き、遠距離からのメモリへのアクセスを不可能にすることによって、RFIDタグの使用者が望まないアクセスを防止するRFIDタグを提案している。
【0009】
しかしながら、この非特許文献1に示された方法では、RFIDタグの一部を物理的に破壊するために、その後で元の状態に戻すことが困難であるという問題がある。また、RFIDタグのメモリ内に不正な読み取りから保護されるべきデータと、そのような保護を必要としないデータの両方が格納されている場合に、保護を必要としないデータにアクセスを行ないたい場合でも遠距離からのアクセスが不可能になってしまうため、RFIDタグを活用する上での利便性が損なわれる虞れがあるという問題もある。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、アンテナの一部を物理的に取り除いたりすることなく、遠距離からの不正アクセスを防止することが可能なRFIDタグを提供することにある。
また、アンテナの一部を物理的に取り除いたりすることなく、遠距離からの不正アクセスを防止することが可能で、かつ保護を必要とするデータのみを遠距離からの不正アクセスから適切に保護し、保護を必要としないデータに対しては遠距離からのアクセスを可能とする利便性に優れたRFIDタグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために、本発明は、電波を媒体として通信機器とデータ通信を行うRFIDタグに、通信機器からの電波を受信する第1のアンテナ部と、第1のアンテナ部が受信した電波より電力を抽出する第1の電源部と、第1の電源部からの電力を受けて作動する制御部と、外部電力の入力部とを設け、制御部に、外部電力の入力の有無に基づいて通信機器からのメモリ部へのアクセスの許可および禁止を制御する手段とを設けたものである。
【0012】
本発明では、例えば、外部電力の入力部として、第1のアンテナ部よりも電波の受信感度が低い第2のアンテナ部と、第2のアンテナ部が受信した電波より電力を抽出する第2の電源部とを設け、制御部に、第2の電源部からの電力の供給を受けていない場合、第1のアンテナ部を介する通信機器からのメモリ部へのアクセスを禁止する手段と、第2の電源部からの電力の供給を受けている場合、第1のアンテナ部を介する通信機器からのメモリ部へのアクセスを許可する手段を設ける。
【0013】
このようにすると、通信機器がRFIDタグに対して遠距離(第1のアンテナ部の通信可能距離と第2のアンテナ部の通信可能距離との間)にある場合、通信機器からの電波がRFIDタグの第1のアンテナ部で受信される。これにより、第1の電源部が第1のアンテナ部の受信電波より電力を抽出し、抽出した電力を制御部へ送る。しかし、この場合、通信機器からの電波強度は第2のアンテナ部の受信感度にとっては不十分なので、第2の電源部は電力を抽出し得ず、第2の電源部から制御部へは電力(外部電力)が送られない。したがって、第1のアンテナ部を介する通信機器からのメモリ部へのアクセス、すなわち遠距離の通信機器からのRFIDタグ内のメモリ部へのアクセスは禁止される。これにより、遠距離からの不正アクセスが防止される。
【0014】
これに対して、通信機器がRFIDタグに対して近距離(第2のアンテナ部の通信可能距離内)にあると、通信機器からの電波強度は第2のアンテナ部の受信感度にとっても十分強いものとなる。これにより、第1の電源部は第1のアンテナ部が受信した電波より電力を抽出し、第2の電源部は第2のアンテナ部が受信した電波より電力を抽出し、抽出した電力をそれぞれ制御部へ送る。したがって、第1のアンテナ部を介する通信機器からのメモリ部へのアクセスが許可され、すなわち近距離の通信機器からのRFIDタグ内のメモリ部へのアクセスが許可され、メモリ部へのデータの書き込みや読み出しが可能となる。この場合、不正アクセスが行われたとしても、その不正アクセスは近距離からの不正アクセスであるので、人間が視覚的に容易に確認することが可能である。
【0015】
また、本発明では、例えば、外部電力の入力部として、第1のアンテナ部よりも電波の受信感度が低い第2のアンテナ部と、第2のアンテナ部が受信した電波より電力を抽出する第2の電源部とを設け、メモリ部に、保護の対象となるデータを格納する保護メモリ部と、保護の対象とならないデータを格納する非保護メモリ部とを設け、制御部に、第2の電源部からの電力の供給を受けていない場合、第1のアンテナ部を介する通信機器からの保護メモリ部へのアクセスを禁止する手段と、第2の電源部からの電力の供給を受けている場合、第1のアンテナ部を介する通信機器からの保護メモリ部へのアクセスを許可する手段とを設ける。
【0016】
このようにすると、通信機器がRFIDタグに対して遠距離(第1のアンテナ部の通信可能距離と第2のアンテナ部の通信可能距離との間)にある場合、通信機器からの電波がRFIDタグの第1のアンテナ部で受信される。これにより、第1の電源部が第1のアンテナ部の受信電波より電力を抽出し、抽出した電力を制御部へ送る。しかし、この場合、通信機器からの電波強度は第2のアンテナ部の受信感度にとっては不十分なので、第2の電源部は電力を抽出し得ず、第2の電源部から制御部へは電力(外部電力)が送られない。したがって、第1のアンテナ部を介する通信機器からの保護メモリ部へのアクセス、すなわち遠距離の通信機器からのRFIDタグ内の保護メモリ部へのアクセスは禁止される。なお、この場合、第1のアンテナ部を介する通信機器からの非保護メモリ部へのアクセス、すなわち遠距離の通信機器からのRFIDタグ内の非保護メモリ部へのアクセスは可能である。これにより、保護を必要としないデータに対しては遠距離からのアクセスを可能とし、保護を必要とするデータのみを遠距離からの不正アクセスから適切に保護することが可能となる。
【0017】
これに対して、通信機器がRFIDタグに対して近距離(第2のアンテナ部の通信可能距離内)にあると、通信機器からの電波強度は第2のアンテナ部の受信感度にとっても十分強いものとなる。これにより、第1の電源部は第1のアンテナ部が受信した電波より電力を抽出し、第2の電源部は第2のアンテナ部が受信した電波より電力を抽出し、抽出した電力をそれぞれ制御部へ送る。したがって、第1のアンテナ部を介する通信機器からの保護メモリ部へのアクセスが許可され、すなわち近距離の通信機器からのRFIDタグ内の保護メモリ部へのアクセスが許可され、保護メモリ部へのデータの書き込みや読み出しが可能となる。この場合、不正アクセスが行われたとしても、その不正アクセスは近距離からの不正アクセスであるので、人間が視覚的に容易に確認することが可能である。
【0018】
また、本発明では、例えば、外部電力の入力部として、第1のアンテナ部よりも電波の受信感度が低い第2のアンテナ部と、第2のアンテナ部が受信した電波より電力を抽出する第2の電源部とを設け、メモリ部に、データを格納するデータメモリ部と、データメモリ部の各データ格納領域に対応づけてそのデータ格納領域を保護の対象とするか否かを示すフラグ値を格納するフラグメモリ部とを設け、制御部に、第2の電源部からの電力の供給を受けていない場合、第1のアンテナ部を介する通信機器からのフラグメモリ部のフラグ値によって保護の対象とされているデータメモリ部のデータ格納領域へのアクセスを禁止する手段と、第2の電源部からの電力の供給を受けている場合、第1のアンテナ部を介する通信機器からのフラグメモリ部のフラグ値によって保護の対象とされているデータメモリ部のデータ格納領域へのアクセスを許可する手段とを設ける。
【0019】
このようにすると、通信機器がRFIDタグに対して遠距離(第1のアンテナ部の通信可能距離と第2のアンテナ部の通信可能距離との間)にある場合、通信機器からの電波がRFIDタグの第1のアンテナ部で受信される。これにより、第1の電源部が第1のアンテナ部の受信電波より電力を抽出し、抽出した電力を制御部へ送る。しかし、この場合、通信機器からの電波強度は第2のアンテナ部の受信感度にとっては不十分なので、第2の電源部は電力を抽出し得ず、第2の電源部から制御部へは電力(外部電力)が送られない。したがって、第1のアンテナ部を介する通信機器からのデータメモリ部の保護の対象とされているデータ格納領域へのアクセス、すなわち遠距離の通信機器からのRFIDタグ内のデータメモリ部の保護の対象とされているデータ格納領域へのアクセスは禁止される。なお、この場合、第1のアンテナ部を介する通信機器からのデータメモリ部の保護の対象とされていないデータ格納領域へのアクセス、すなわち遠距離の通信機器からのRFIDタグ内のデータメモリ部の保護の対象とされていないデータ格納領域へのアクセスは可能である。これにより、保護を必要としないデータに対しては遠距離からのアクセスを可能とし、保護を必要とするデータのみを遠距離からの不正アクセスから適切に保護することが可能となる。この発明において、データメモリ部のデータ格納領域とは、例えば、データメモリ部内の個々のアドレス、複数のアドレスから構成されるブロックなどを言う。
【0020】
これに対して、通信機器がRFIDタグに対して近距離(第2のアンテナ部の通信可能距離内)にあると、通信機器からの電波強度は第2のアンテナ部の受信感度にとっても十分強いものとなる。これにより、第1の電源部は第1のアンテナ部が受信した電波より電力を抽出し、第2の電源部は第2のアンテナ部が受信した電波より電力を抽出し、抽出した電力をそれぞれ制御部へ送る。したがって、第1のアンテナ部を介する通信機器からのデータメモリ部の保護の対象とされているデータ格納領域へのアクセスが許可され、すなわち近距離の通信機器からのRFIDタグ内のデータメモリ部の保護の対象とされているデータ格納領域へのアクセスが許可され、保護の対象とされているデータ格納領域へのデータの書き込みや読み出しが可能となる。この場合、不正アクセスが行われたとしても、その不正アクセスは近距離からの不正アクセスであるので、人間が視覚的に容易に確認することが可能である。
【0021】
本発明において、メモリ部へのアクセスの許可および禁止の制御方式は、他にも種々考えられる。例えば、第2の電源部からの電力の供給を受けていない場合、第1のアンテナ部を介する通信機器からの保護メモリ部へのアクセスを禁止するようにし、第2の電源部からの電力の供給を受けている場合、第2のアンテナ部を介する通信機器からの保護メモリ部へのアクセスを許可するようにしてもよい。また、第2の電源部からの電力の供給を受けていない場合、第1のアンテナ部を介する通信機器からのフラグメモリ部のフラグ値によって保護の対象とされているデータメモリ部のデータ格納領域へのアクセスを禁止するようにし、第2の電源部からの電力の供給を受けている場合、第2のアンテナ部を介する通信機器からのフラグメモリ部のフラグ値によって保護の対象とされているデータメモリ部のデータ格納領域へのアクセスを許可するようにしてもよい。また、外部電力の入力部として、外部電源との接続端子を設けるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、RFIDタグに外部電力の入力部を設け、この入力部からの外部電力の有無に基づいて通信機器からのメモリ部へのアクセスの許可および禁止を制御するようにしたので、第2のアンテナを設けたり、外部電源との接続端子を設けるなどして、アンテナの一部を物理的に取り除いたりすることなく、遠距離からの不正アクセスを防止することが可能となる。
【0023】
また、本発明によれば、通信機器からの保護メモリ部へのアクセスやデータメモリ部の保護の対象とされているデータ格納領域へのアクセスの許可および禁止を制御するなどして、保護を必要とするデータのみを遠距離からの不正アクセスから適切に保護し、保護を必要としないデータに対しては遠距離からのアクセスを可能とし、利便性に優れたものとすることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
〔実施の形態1〕
図1は本発明に係るRFIDタグの第1の実施の形態(実施の形態1)の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、この実施の形態1のRFIDタグ101は、RFIDリーダライタ200との間で電波の送受信を行なう第1のアンテナ部1と、第1のアンテナ部1が受信した電波より電力を抽出する第1の電源部2と、第1のアンテナ部1が受信した電波内に含まれているコマンドをデコードして制御部5に送信するデータ受信部3と、制御部5から送信されてきた返信データを第1のアンテナ部1からの送信電波内にエンコードするデータ送信部4と、第1のアンテナ部1が受信した電波内に含まれているコマンドを解釈してメモリ部6へのアクセスを行なう制御部5と、IDやユーザデータなどを格納するメモリ部6と、第1のアンテナ部1よりも電波の受信感度が低い第2のアンテナ部7と、第2のアンテナ部7が受信した電波より電力を抽出する第2の電源部8とを備えている。
【0025】
このRFIDタグ101において、第1のアンテナ部1と第2のアンテナ部7の通信周波数は同じとされている。また、第1のアンテナ部1の通信可能距離をL1、第2のアンテナ部7の電波の通信可能距離をL2とした場合、第1のアンテナ部1の通信可能距離L1が遠距離、第2のアンテナ部7の電波の通信可能距離L2が近距離となるように、第2のアンテナ部7のサイズを第1のアンテナ部1のサイズよりも十分小さいものとしている。
【0026】
また、このRFIDタグ101において、制御部5は、第1の電源部2からの電力の供給を受けて動作する。また、制御部5は、本実施の形態特有の機能として、第2の電源部8からの電力(外部電力)の入力の有無に基づいてメモリ部6へのアクセスを禁止したり許可したりするアクセス禁止/許可機能を有している。以下、図2に示すフローチャートに従って、制御部5が有するアクセス禁止/許可機能について説明する。
【0027】
〔RFIDリーダライタが遠距離にある場合〕
今、図1に示すように、RFIDリーダライタ200が遠距離(L1とL2との間)にあるものとする。この場合、RFIDリーダライタ200からの電波がRFIDタグ101の第1のアンテナ部1で受信され、この第1のアンテナ部1が受信した電波より抽出された電力が第1の電源部2から制御部5へ与えられる。制御部5は、この第1の電源部2からの電力を受けて動作し、第1のアンテナ部1が受信した電波内に含まれているコマンドがデータアクセス要求であるかどうかをチェックする(ステップ#101)。
【0028】
ここで、RFIDリーダライタ200からのコマンドがデータアクセス要求であれば(ステップ#101のYES)、第2の電源部8から電力が供給されているか否かをチェックし(ステップ#102)、第2の電源部8から電力が供給されていなければ(ステップ#102のNO)、ステップ#109へ進み、第2の電源部8から電力が供給されていれば(ステップ#102のYES)、ステップ#103へ進む。
【0029】
この場合、RFIDリーダライタ200はL1とL2との間にあるので、RFIDリーダライタ200からの電波強度は第2のアンテナ部7の受信感度にとっては不十分である。したがって、第2の電源部8は電力を抽出し得ず、第2の電源部8から制御部5へは電力が送られない。このため、制御部5は、ステップ#102のNOに応じてステップ#109へ進み、ステップ#101で受信したデータアクセス要求に従うメモリ部6へのアクセスを禁止し、データ送信部4を介してRFIDリーダライタ200へエラー応答を送信する(ステップ#110)。
【0030】
ここで、RFIDリーダライタ200は、正規の通信機器であるとは限らず、不正な通信機器である場合も考えられる。この実施の形態1では、RFIDリーダライタ200が正規の通信機器であるか否かに拘わらず、遠距離のRFIDリーダライタ200からのRFIDタグ101内のメモリ部6へのアクセスは禁止される。これにより、遠距離からの不正アクセスが防止される。
【0031】
〔RFIDリーダライタが近距離にある場合〕
今、図3に示すように、RFIDリーダライタ200が近距離(L2内)にあるものとする。この場合、RFIDリーダライタ200からの電波強度は、RFIDタグ101の第2のアンテナ部7の受信感度にとっても十分強いものとなる。これにより、第1の電源部2は第1のアンテナ部1が受信した電波より電力を抽出し、第2の電源部8は第2のアンテナ部7が受信した電波より電力を抽出し、抽出した電力をそれぞれ制御部5へ送る。
【0032】
制御部5は、第1の電源部2からの電力を受けて作動し、第1のアンテナ部1が受信した電波内に含まれているコマンドがデータアクセス要求であるかどうかをチェックする(ステップ#101)。ここで、データアクセス要求であれば(ステップ#101のYES)、第2の電源部8から電力が供給されているか否かをチェックする(ステップ#102)。そして、第2の電源部8から電力が供給されていなければ、ステップ#109へ進み、第2の電源部8から電力が供給されていれば、ステップ#103へ進む。
【0033】
この場合、RFIDリーダライタ200はL2内にあるので、RFIDリーダライタ200からの電波強度が第2のアンテナ部7の受信感度にとっても十分強いものとなっており、第2の電源部8から制御部5へ電力が供給される。このため、制御部5は、ステップ#102のYESに応じてステップ#103へ進み、ステップ#101で受信したデータアクセス要求に従うメモリ部6へのアクセスを許可する。そして、そのデータアクセス要求がデータ読み出し要求であるのか、データ書き込み要求であるのかをチェックする(ステップ#104)。
【0034】
データアクセス要求がデータ読み出し要求であった場合、制御部5は、要求されたデータをメモリ部6から読み出し(ステップ#105)、読み出したデータをデータ送信部4を介してRFIDリーダライタ200に返信する(ステップ#106)。
【0035】
データアクセス要求がデータ書き込み要求であった場合、制御部5は、受信したデータをメモリ部6に書き込み(ステップ#107)、書き込みに成功した旨を示す応答をデータ送信部4を介してRFIDリーダライタ200へ返信する(ステップ#108)。
【0036】
ここで、RFIDリーダライタ200は、正規の通信機器であるとは限らず、不正な通信機器である場合も考えられる。この実施の形態1では、RFIDリーダライタ200が正規の通信機器であるか否かに拘わらず、近距離のRFIDリーダライタ200からのRFIDタグ101内のメモリ部6へのアクセスが許可される。しかし、不正アクセスが行われたとしても、その不正アクセスは近距離からの不正アクセスであるので、人間が視覚的に容易に確認することが可能である。これにより、RFIDタグ101の使用者が意図しないうちに、また気付かないうちに不正なアクセスを受けることを防ぐことができる。
【0037】
〔実施の形態1’〕
図1に示したRFIDタグ101の構成では、第1のアンテナ部1と第2のアンテナ部7の通信周波数を同一としているが、第1のアンテナ部1の通信周波数と第2のアンテナ部7の通信周波数とを異ならせ、第2のアンテナ部7への電波供給源を別に設けるようにしてもよい。
【0038】
例えば、図4に示すように、第1のアンテナ部1の通信周波数と第2のアンテナ部7の通信周波数とを異ならせ、RFIDリーダライタ200とは別に、第2のアンテナ部7への電波供給源300を設けるようにする。
【0039】
このRFIDタグ101’では、電波供給源300を第2のアンテナ部7の通信可能距離L2内に位置させると、電波供給源300からの電波を第2のアンテナ部7が受信する。受信された電波の電波強度は、第2のアンテナ部7の受信感度にとっても十分強いものとなっているため、その受信電波より第2の電源部8が電力を抽出する。これにより、制御部5において、RFIDリーダライタ200からのメモリ部6へのアクセスが許可される。
【0040】
この実施の形態1’では、電波供給源300を用いることにより、RFIDリーダライタ200が正規の通信機器であるか否かに拘わらず、RFIDリーダライタ200からのRFIDタグ101’内のメモリ部6へのアクセスが許可される。しかし、電波供給源300をRFIDタグ101’に近づけなければならず、人間が視覚的に容易に不正アクアセスを確認することが可能である。図5に、このRFIDタグ101’の利用イメージ図を示す。
【0041】
〔実施の形態2〕
図6は本発明に係るRFIDタグの第2の実施の形態(実施の形態2)の概略構成を示すブロック図である。この実施の形態2のRFIDタグ102では、実施の形態1のRFIDタグ101に対して、メモリ部6を保護メモリ部6Aと非保護メモリ部6Bとに分割した構成とし、保護メモリ部6Aに保護の対象となるデータを格納するようにし、非保護メモリ部6Bに保護の対象とならないデータを格納するようにしている。
【0042】
実施の形態1では、メモリ部6に格納されているデータはすべて保護の対象としていたが、データの種類によっては保護の必要がないものもあると考えられる。このため、実施の形態2では、データの種類によって格納するメモリ部を変えることによって、保護の必要があるデータのみを不正アクセス防止の対象とし、データ活用の利便性をさらに上げるようにする。以下、図7に示すフローチャートに従って、この実施の形態2のRFIDタグ102の制御部5が有するアクセス禁止/許可機能について説明する。
【0043】
〔RFIDリーダライタが遠距離にある場合〕
今、図6に示すように、RFIDリーダライタ200が遠距離(L1とL2との間)にあるものとする。この場合、RFIDリーダライタ200からの電波がRFIDタグ102の第1のアンテナ部1で受信され、この第1のアンテナ部1が受信した電波より抽出された電力が第1の電源部2から制御部5へ与えられる。制御部5は、この第1の電源部2からの電力を受けて作動し、第1のアンテナ部1が受信した電波内に含まれているコマンドがデータアクセス要求であるかどうかをチェックする(ステップ#201)。
【0044】
ここで、RFIDリーダライタ200からのコマンドがデータアクセス要求であれば(ステップ#201のYES)、保護メモリ部6Aへのアクセス要求であるか否かをチェックし(ステップ#202)、保護メモリ部6Aへのアクセス要求であれば(ステップ#202のYES)、ステップ#203へ進み、保護メモリ部6Aへのアクセス要求でなければ(ステップ#202のNO)、ステップ#205へ進む。
【0045】
〔保護メモリ部へのアクセス要求である場合〕
制御部5は、保護メモリ部6Aへのアクセス要求であった場合(ステップ#202のYES)、第2の電源部8から電力が供給されているか否かをチェックする(ステップ#203)。ここで、第2の電源部8から電力が供給されていなければ(ステップ#203のNO)、ステップ#210へ進み、第2の電源部8から電力が供給されていれば(ステップ#203のYES)、ステップ#204へ進む。
【0046】
この場合、RFIDリーダライタ200はL1とL2との間にあるので、RFIDリーダライタ200からの電波強度は第2のアンテナ部7の受信感度にとっては不十分である。したがって、第2の電源部8は電力を抽出し得ず、第2の電源部8から制御部5へは電力が送られない。このため、制御部5は、ステップ#203のNOに応じてステップ#210へ進み、ステップ#201で受信したデータアクセス要求に従う保護メモリ部6Aへのアクセスを禁止し、データ送信部4を介してRFIDリーダライタ200へエラー応答を送信する(ステップ#211)。
【0047】
〔保護メモリ部へのアクセス要求でない場合〕
制御部5は、保護メモリ部6Aへのアクセス要求でなかった場合(ステップ#202のNO)、非保護メモリ部6Bへのアクセス要求であると判断し、そのアクセス要求がデータ読み出し要求であるのか、データ書き込み要求であるのかをチェックする(ステップ#205)。
【0048】
アクセス要求がデータ読み出し要求であった場合、制御部5は、要求されたデータを非保護メモリ部6Bから読み出し(ステップ#206)、読み出したデータをデータ送信部4を介してRFIDリーダライタ200に返信する(ステップ#207)。
【0049】
アクセス要求がデータ書き込み要求であった場合、制御部5は、受信したデータを非保護メモリ部6Bに書き込み(ステップ#208)、書き込みに成功した旨を示す応答をデータ送信部4を介してRFIDリーダライタ200へ返信する(ステップ#209)。
【0050】
ここで、RFIDリーダライタ200は、正規の通信機器であるとは限らず、不正な通信機器である場合も考えられる。この実施の形態2では、RFIDリーダライタ200が正規の通信機器であるか否かに拘わらず、遠距離のRFIDリーダライタ200からのRFIDタグ102内の非保護メモリ部6Bへのアクセスは許可されるが、保護メモリ部6Aへのアクセスは禁止される。これにより、保護を必要としないデータに対しては遠距離からのアクセスを可能とし、保護を必要とするデータのみを遠距離からの不正アクセスから適切に保護することができる。
【0051】
〔RFIDリーダライタが近距離にある場合〕
今、図8に示すように、RFIDリーダライタ200が近距離(L2内)にあるものとする。この場合、RFIDリーダライタ200からの電波強度は、RFIDタグ102の第2のアンテナ部7の受信感度にとっても十分強いものとなる。これにより、第1の電源部2は第1のアンテナ部1が受信した電波より電力を抽出し、第2の電源部8は第2のアンテナ部7が受信した電波より電力を抽出し、抽出した電力をそれぞれ制御部5へ送る。制御部5は、第1の電源部2からの電力を受けて作動し、第1のアンテナ部1が受信した電波内に含まれているコマンドがデータアクセス要求であるかどうかをチェックする(ステップ#201)。
【0052】
ここで、RFIDリーダライタ200からのコマンドがデータアクセス要求であれば(ステップ#201のYES)、保護メモリ部6Aへのアクセス要求であるか否かをチェックし(ステップ#202)、保護メモリ部6Aへのアクセス要求であれば(ステップ#202のYES)、ステップ#203へ進み、保護メモリ部6Aへのアクセス要求でなければ(ステップ#202のNO)、ステップ#205へ進む。
【0053】
〔保護メモリ部へのアクセス要求である場合〕
制御部5は、保護メモリ部6Aへのアクセス要求であった場合(ステップ#202のYES)、第2の電源部8から電力が供給されているか否かをチェックする(ステップ#203)。ここで、第2の電源部8から電力が供給されていなければ(ステップ#203のNO)、ステップ#210へ進み、第2の電源部8から電力が供給されていれば(ステップ#203のYES)、ステップ#204へ進む。
【0054】
この場合、RFIDリーダライタ200はL2内にあるので、RFIDリーダライタ200からの電波強度が第2のアンテナ部7の受信感度にとっても十分強いものとなっており、第2の電源部8から制御部5へ電力が供給される。このため、制御部5は、ステップ#203のYESに応じてステップ#204へ進み、ステップ#201で受信したデータアクセス要求に従う保護メモリ部6Aへのアクセスを許可する。そして、その保護メモリ部6Aへのアクセス要求がデータ読み出し要求であるのか、データ書き込み要求であるのかをチェックする(ステップ#205)。
【0055】
アクセス要求がデータ読み出し要求であった場合、制御部5は、要求されたデータを保護メモリ部6Aから読み出し(ステップ#206)、読み出したデータをデータ送信部4を介してRFIDリーダライタ200に返信する(ステップ#207)。
【0056】
アクセス要求がデータ書き込み要求であった場合、制御部5は、受信したデータを保護メモリ部6Aに書き込み(ステップ#208)、書き込みに成功した旨を示す応答をデータ送信部4を介してRFIDリーダライタ200へ返信する(ステップ#209)。
【0057】
ここで、RFIDリーダライタ200は、正規の通信機器であるとは限らず、不正な通信機器である場合も考えられる。この実施の形態2では、RFIDリーダライタ200が正規の通信機器であるか否かに拘わらず、近距離のRFIDリーダライタ200からのRFIDタグ102内の保護メモリ部6Aへのアクセスが許可される。しかし、不正アクセスが行われたとしても、その不正アクセスは近距離からの不正アクセスであるので、人間が視覚的に容易に確認することが可能である。これにより、RFIDタグ102の使用者が意図しないうちに、また気付かないうちに不正なアクセスを受けることを防ぐことができる。
【0058】
〔実施の形態2’〕
図6に示したRFIDタグ102の構成では、第1のアンテナ部1と第2のアンテナ部7の通信周波数を同一としているが、第1のアンテナ部1の通信周波数と第2のアンテナ部7の通信周波数とを異ならせ、第2のアンテナ部7への電波供給源を別に設けるようにしてもよい。
【0059】
例えば、図9に示すように、第1のアンテナ部1の通信周波数と第2のアンテナ部7の通信周波数とを異ならせ、RFIDリーダライタ200とは別に、第2のアンテナ部7への電波供給源300を設けるようにする。
【0060】
このRFIDタグ102’では、電波供給源300を第2のアンテナ部7の通信可能距離L2内に位置させると、電波供給源300からの電波を第2のアンテナ部7が受信する。受信された電波の電波強度は、第2のアンテナ部7の受信感度にとっても十分強いものとなっているため、その受信電波より第2の電源部8が電力を抽出する。これにより、制御部5において、RFIDリーダライタ200からの保護メモリ部6Aへのアクセスが許可される。
【0061】
この実施の形態2’では、電波供給源300を用いることにより、RFIDリーダライタ200が正規の通信機器であるか否かに拘わらず、RFIDリーダライタ200からのRFIDタグ102’内の保護メモリ部6Aへのアクセスが許可される。しかし、電波供給源300をRFIDタグ102’に近づけなければならず、人間が視覚的に容易に不正アクアセスを確認することが可能である。
【0062】
〔実施の形態3〕
図10は本発明に係るRFIDタグの第3の実施の形態(実施の形態3)の概略構成を示すブロック図である。この実施の形態3のRFIDタグ103では、実施の形態1のRFIDタグ101に対して、メモリ部6をデータメモリ部6Cとフラグメモリ部6Dとに分割した構成とし、データメモリ部6CにIDやユーザデータなどを格納するようにし、フラグメモリ部6Dにデータメモリ部6Cの各アドレスに対応づけてそのアドレスを保護の対象とするか否かを示すフラグ値を格納するようにしている。
【0063】
図11にデータメモリ部6Cの各アドレスとフラグメモリ部6Dにおけるフラグ値との関係を示す。データメモリ部6Cとフラグメモリ部6Dとは同一アドレス構成とされており、フラグメモリ部6Dの各アドレスに、データメモリ部6Cの対応するアドレスへのデータの書き込みや読み出しの可否(保護/非保護)を指定するフラグ値を格納する(図11(a))。この実施の形態では、フラグ値が「1」の場合を保護状態、フラグ値が「0」の場合を非保護状態としている。これにより、図11(b)に斜線で示すように、データメモリ部6Cにおけるアドレスのうち、フラグメモリ部6Dにフラグ値「1」が格納されたアドレスが保護状態のアドレスとされる。
【0064】
なお、この例では、データメモリ部6Cのアドレス毎に保護・非保護を指定するようにしているが、データメモリ部6Cを複数のアドレスから構成されるブロックに分け、フラグメモリ部6Dでは各々のブロックについて保護・非保護を指定するようにしてもよい。
【0065】
実施の形態1では、メモリ部6に格納されているデータはすべて保護の対象としていたが、データの種類によっては保護の必要がないものもあると考えられる。このため、実施の形態3では、フラグメモリ部6Dのフラグ値によってデータメモリ部6Cの対応するアドレスへのデータの書き込みや読み出しの可否を指定することによって、保護の必要があるデータのみを不正アクセス防止の対象とし、データ活用の利便性をさらに上げるようにする。以下、図12に示すフローチャートに従って、この実施の形態3のRFIDタグ103の制御部5が有するアクセス禁止/許可機能について説明する。
【0066】
〔RFIDリーダライタが遠距離にある場合〕
今、図10に示すように、RFIDリーダライタ200が遠距離(L1とL2との間)にあるものとする。この場合、RFIDリーダライタ200からの電波がRFIDタグ102の第1のアンテナ部1で受信され、この第1のアンテナ部1が受信した電波より抽出された電力が第1の電源部2から制御部5へ与えられる。制御部5は、この第1の電源部2からの電力を受けて作動し、第1のアンテナ部1が受信した電波内に含まれているコマンドがデータアクセス要求であるかどうかをチェックする(ステップ#301)。
【0067】
ここで、RFIDリーダライタ200からのコマンドがデータアクセス要求であれば(ステップ#301のYES)、データメモリ部6Cへのアクセス要求であるのか、フラグメモリ部6Dへのアクセス要求であるのかをチェックし(ステップ#302)、データメモリ部6Cへのアクセス要求であれば、ステップ#303へ進み、フラグメモリ部6Dへのアクセス要求であれば、ステップ#304へ進む。
【0068】
〔フラグメモリ部へのアクセス要求である場合〕
制御部5は、フラグメモリ部6Dへのアクセス要求であった場合、第2の電源部8から電力が供給されているか否かをチェックする(ステップ#304)。ここで、第2の電源部8から電力が供給されていなければ(ステップ#304のNO)、ステップ#311へ進み、第2の電源部8から電力が供給されていれば(ステップ#304のYES)、ステップ#305へ進む。
【0069】
この場合、RFIDリーダライタ200はL1とL2との間にあるので、RFIDリーダライタ200からの電波強度は第2のアンテナ部7の受信感度にとっては不十分である。したがって、第2の電源部8は電力を抽出し得ず、第2の電源部8から制御部5へは電力が送られない。このため、制御部5は、ステップ#304のNOに応じてステップ#311へ進み、ステップ#301で受信したデータアクセス要求に従うフラグメモリ部6Dへのアクセスを禁止し、データ送信部4を介してRFIDリーダライタ200へエラー応答を送信する(ステップ#312)。
【0070】
〔データメモリ部へのアクセス要求である場合〕
制御部5は、データメモリ部6Cへのアクセス要求であった場合、そのアクセス要求があったデータメモリ部6Cのアドレスが保護状態であるか否かを、フラグメモリ部6Dの対応するアドレスにアクセスすることによってチェックする(ステップ#303)。ここで、保護状態であれば(ステップ#303のYES)、ステップ#304へ進み、保護状態でなければ(ステップ#303のNO)、ステップ#306へ進む。
【0071】
〔保護状態である場合〕
制御部5は、アクセス要求があったデータメモリ部6Cのアドレスが保護状態であった場合(ステップ#303のYES)、第2の電源部8から電力が供給されているか否かをチェックする(ステップ#304)。ここで、第2の電源部8から電力が供給されていなければ、ステップ#311へ進み、第2の電源部8から電力が供給されていれば、ステップ#305へ進む。
【0072】
この場合、RFIDリーダライタ200はL1とL2との間にあるので、RFIDリーダライタ200からの電波強度は第2のアンテナ部7の受信感度にとっては不十分である。したがって、第2の電源部8は電力を抽出し得ず、第2の電源部8から制御部5へは電力が送られない。このため、制御部5は、ステップ#304のNOに応じてステップ#311へ進み、ステップ#301で受信したデータアクセス要求に従うデータメモリ部6Cへのアクセスを禁止し、データ送信部4を介してRFIDリーダライタ200へエラー応答を送信する(ステップ#312)。
【0073】
〔保護状態でない場合(非保護状態である場合)〕
制御部5は、アクセス要求があったデータメモリ部6Cのアドレスが保護状態でなかった場合(ステップ#303のNO)、データメモリ部6Cへのアクセスが可能であると判断し、そのアクセス要求がデータ読み出し要求であるのか、データ書き込み要求であるのかをチェックする(ステップ#306)。
【0074】
アクセス要求がデータ読み出し要求であった場合、制御部5は、要求されたデータをデータメモリ部6Cから読み出し(ステップ#307)、読み出したデータをデータ送信部4を介してRFIDリーダライタ200に返信する(ステップ#308)。
【0075】
アクセス要求がデータ書き込み要求であった場合、制御部5は、受信したデータをデータメモリ部6Cに書き込み(ステップ#309)、書き込みに成功した旨を示す応答をデータ送信部4を介してRFIDリーダライタ200へ返信する(ステップ#310)。
【0076】
ここで、RFIDリーダライタ200は、正規の通信機器であるとは限らず、不正な通信機器である場合も考えられる。この実施の形態3では、RFIDリーダライタ200が正規の通信機器であるか否かに拘わらず、遠距離のRFIDリーダライタ200からのRFIDタグ102内のデータメモリ部6Cの非保護状態のアドレスへのアクセスは許可されるが、保護状態のアドレスへのアクセスは禁止される。これにより、保護を必要としないデータに対しては遠距離からのアクセスを可能とし、保護を必要とするデータのみを遠距離からの不正アクセスから適切に保護することができる。
【0077】
また、この実施の形態3では、RFIDリーダライタ200が正規の通信機器であるか否かに拘わらず、遠距離のRFIDリーダライタ200からのフラグメモリ部6Dへのアクセスも禁止されるので、データメモリ部6Cのアドレスに対する保護状態や非保護状態の指定が不正に書き替えられてしまう虞れもない。
【0078】
〔RFIDリーダライタが近距離にある場合〕
今、図13に示すように、RFIDリーダライタ200が近距離(L2内)にあるものとする。この場合、RFIDリーダライタ200からの電波強度は、RFIDタグ102の第2のアンテナ部7の受信感度にとっても十分強いものとなる。これにより、第1の電源部2は第1のアンテナ部1が受信した電波より電力を抽出し、第2の電源部8は第2のアンテナ部7が受信した電波より電力を抽出し、抽出した電力をそれぞれ制御部5へ送る。制御部5は、第1の電源部2からの電力を受けて作動し、第1のアンテナ部1が受信した電波内に含まれているコマンドがデータアクセス要求であるかどうかをチェックする(ステップ#301)。
【0079】
ここで、RFIDリーダライタ200からのコマンドがデータアクセス要求であれば(ステップ#301のYES)、データメモリ部6Cへのアクセス要求であるのか、フラグメモリ部6Dへのアクセス要求であるのかをチェックし(ステップ#302)、データメモリ部6Cへのアクセス要求であれば、ステップ#303へ進み、フラグメモリ部6Dへのアクセス要求であれば、ステップ#304へ進む。
【0080】
〔フラグメモリ部へのアクセス要求である場合〕
制御部5は、フラグメモリ部6Dへのアクセス要求であった場合、第2の電源部8から電力が供給されているか否かをチェックする(ステップ#304)。ここで、第2の電源部8から電力が供給されていなければ(ステップ#304のNO)、ステップ#311へ進み、第2の電源部8から電力が供給されていれば(ステップ#304のYES)、ステップ#305へ進む。
【0081】
この場合、RFIDリーダライタ200はL2内にあるので、RFIDリーダライタ200からの電波強度が第2のアンテナ部7の受信感度にとっても十分強いものとなっており、第2の電源部8から制御部5へ電力が供給される。このため、制御部5は、ステップ#304のYESに応じてステップ#305へ進み、ステップ#301で受信したデータアクセス要求に従うフラグメモリ部6Dへのアクセスを許可する。そして、そのフラグメモリ部6Dへのアクセス要求がデータ読み出し要求であるのか、データ書き込み要求であるのかをチェックする(ステップ#306)。
【0082】
アクセス要求がデータ読み出し要求であった場合、制御部5は、要求されたデータをフラグメモリ部6Dから読み出し(ステップ#307)、読み出したデータをデータ送信部4を介してRFIDリーダライタ200に返信する(ステップ#308)。
【0083】
アクセス要求がデータ書き込み要求であった場合、制御部5は、受信したデータをフラグメモリ部6Dに書き込み(ステップ#309)、書き込みに成功した旨を示す応答をデータ送信部4を介してRFIDリーダライタ200へ返信する(ステップ#310)。
【0084】
〔データメモリ部へのアクセス要求である場合〕
制御部5は、データメモリ部6Cへのアクセス要求であった場合、そのアクセス要求があったデータメモリ部6Cのアドレスが保護状態であるか否かを、フラグメモリ部6Dの対応するアドレスにアクセスすることによってチェックする(ステップ#303)。ここで、保護状態であれば(ステップ#303のYES)、ステップ#304へ進み、保護状態でなければ(ステップ#303のNO)、ステップ#306へ進む。
【0085】
〔保護状態である場合〕
制御部5は、アクセス要求があったデータメモリ部6Cのアドレスが保護状態であった場合(ステップ#303のYES)、第2の電源部8から電力が供給されているか否かをチェックする(ステップ#304)。ここで、第2の電源部8から電力が供給されていなければ(ステップ#304のNO)、ステップ#311へ進み、第2の電源部8から電力が供給されていれば(ステップ#304のYES)、ステップ#305へ進む。
【0086】
この場合、RFIDリーダライタ200はL2内にあるので、RFIDリーダライタ200からの電波強度が第2のアンテナ部7の受信感度にとっても十分強いものとなっており、第2の電源部8から制御部5へ電力が供給される。このため、制御部5は、ステップ#304のYESに応じてステップ#305へ進み、ステップ#301で受信したデータアクセス要求に従うデータメモリ部6Cへのアクセスを許可する。そして、そのデータメモリ部6Cへのアクセス要求がデータ読み出し要求であるのか、データ書き込み要求であるのかをチェックする(ステップ#306)。
【0087】
アクセス要求がデータ読み出し要求であった場合、制御部5は、要求されたデータをデータメモリ部6Cから読み出し(ステップ#307)、読み出したデータをデータ送信部4を介してRFIDリーダライタ200に返信する(ステップ#308)。
【0088】
アクセス要求がデータ書き込み要求であった場合、制御部5は、受信したデータをデータメモリ部6Cに書き込み(ステップ#309)、書き込みに成功した旨を示す応答をデータ送信部4を介してRFIDリーダライタ200へ返信する(ステップ#310)。
【0089】
〔保護状態でない場合(非保護状態である場合)〕
制御部5は、アクセス要求があったデータメモリ部6Cのアドレスが保護状態でなかった場合(ステップ#303のNO)、そのアクセス要求がデータ読み出し要求であるのか、データ書き込み要求であるのかをチェックし(ステップ#306)、そのチック結果に従って、データメモリ部6Cからのデータの読み出し処理(ステップ307〜308)やデータメモリ部6Cへのデータの書き込み処理を行う(ステップ309〜310)。
【0090】
ここで、RFIDリーダライタ200は、正規の通信機器であるとは限らず、不正な通信機器である場合も考えられる。この実施の形態3では、RFIDリーダライタ200が正規の通信機器であるか否かに拘わらず、近距離のRFIDリーダライタ200からのRFIDタグ103内のデータメモリ部6Cへのアクセスは保護状態/非保護状態の区別なく全て許可される。また、RFIDタグ103内のフラグメモリ部6Dへのアクセスも許可される。しかし、不正アクセスが行われたとしても、その不正アクセスは近距離からの不正アクセスであるので、人間が視覚的に容易に確認することが可能である。これにより、RFIDタグ103の使用者が意図しないうちに、また気付かないうちに不正なアクセスを受けることを防ぐことができる。
【0091】
〔実施の形態3’〕
図10に示したRFIDタグ103では、第1のアンテナ部1と第2のアンテナ部7の通信周波数を同一としているが、第1のアンテナ部1の通信周波数と第2のアンテナ部7の通信周波数とを異ならせ、第2のアンテナ部7への電波供給源を別に設けるようにしてもよい。
【0092】
例えば、図14に示すように、第1のアンテナ部1の通信周波数と第2のアンテナ部7の通信周波数とを異ならせ、RFIDリーダライタ200とは別に、第2のアンテナ部7への電波供給源300を設けるようにする。
【0093】
このRFIDタグ103’では、電波供給源300を第2のアンテナ部7の通信可能距離L2内に位置させると、電波供給源300からの電波を第2のアンテナ部7が受信する。受信された電波の電波強度は、第2のアンテナ部7の受信感度にとっても十分強いものとなっているため、その受信電波より第2の電源部8が電力を抽出する。これにより、制御部5において、RFIDリーダライタ200からのデータメモリ部6Cにおける保護状態とされたアドレスへのアクセスが許可される。
【0094】
この実施の形態3’では、電波供給源300を用いることにより、RFIDリーダライタ200が正規の通信機器であるか否かに拘わらず、RFIDリーダライタ200からのRFIDタグ103’内のデータメモリ部6Cにおける保護状態とされたアドレスへのアクセスが許可される。しかし、電波供給源300をRFIDタグ103’に近づけなければならず、人間が視覚的に容易に不正アクアセスを確認することが可能である。
【0095】
〔実施の形態4〕
図15は本発明に係るRFIDタグの第4の実施の形態(実施の形態4)の概略構成を示すブロック図である。この実施の形態4のRFIDタグ104では、実施の形態2のRFIDタグ102に対して一部を変更した構成としている。すなわち、第2のアンテナ部7を外部電力の9供給のための電波受信のみに用いるのではなく、RFIDリーダライタ200との間のデータ通信も可能な構成としている。
【0096】
具体的には、第1のアンテナ部1に対するデータ受信部3およびデータ送信部4を第1のデータ受信部および第1のデータ送信部とし、第2のアンテナ部7に対して第2のデータ受信部9および第2のデータ送信部10を設けている。第2のデータ受信部9は、第1のデータ受信部3と同様に、RFIDリーダライタ200から受信した電波内に含まれているコマンドをデコードして制御部5に送信する。第2のデータ送信部10は、第1のデータ送信部4と同様に、制御部5から送信されてきた返信データを第2のアンテナ部7からの送信電波内にエンコードする。
【0097】
実施の形態2では、第2のアンテナ部7および第2の電源部8は、第1のアンテナ部1を介してRFIDリーダライタ200が保護メモリ部6Aへのアクセスを許可するか否かを判断するためのみに用いられており、第2のアンテナ部7を介したデータ通信を行なうことはできない。そこで、実施の形態4では、第2のアンテナ部7に対して第2のデータ受信部9および第2のデータ送信部10を設けることによって、第2のアンテナ部7を介するデータ通信を可能とし、データ活用の利便性をさらに上げるようにする。
【0098】
以下、図16に示すフローチャートに従って、この実施の形態4のRFIDタグ104の制御部5が有するアクセス禁止/許可機能について説明する。なお、図10に示した実施の形態3のRFIDタグ103についても、第2のアンテナ部7、第2の電源部8、第2のデータ受信部9および第2のデータ送信部10を具備する構成とすることで、実施の形態4と同様の効果を得ることが可能である。
【0099】
〔RFIDリーダライタが遠距離にある場合〕
今、図15に示すように、RFIDリーダライタ200が遠距離(L1とL2との間)にあるものとする。この場合、RFIDリーダライタ200からの電波がRFIDタグ102の第1のアンテナ部1で受信され、この第1のアンテナ部1が受信した電波より抽出された電力が第1の電源部2から制御部5へ与えられる。制御部5は、この第1の電源部2からの電力を受けて作動し、第1のアンテナ部1が受信した電波内に含まれているコマンドがデータアクセス要求であるかどうかをチェックする(ステップ#401)。
【0100】
ここで、RFIDリーダライタ200からのコマンドがデータアクセス要求であれば(ステップ#401のYES)、第2の電源部8から電力が供給されているか否かをチェックし(ステップ#402)、第2の電源部8から電力が供給されていなければ(ステップ#402のNO)、ステップ#403へ進み、第2の電源部8から電力が供給されていれば(ステップ#402のYES)、ステップ#411へ進む。
【0101】
この場合、RFIDリーダライタ200はL1とL2との間にあるので、RFIDリーダライタ200からの電波強度は第2のアンテナ部7の受信感度にとっては不十分である。したがって、第2の電源部8は電力を抽出し得ず、第2の電源部8から制御部5へは電力が送られない。このため、制御部5は、ステップ#402のNOに応じてステップ#403へ進み、第1のアンテナ部1を介するデータアクセス要求が保護メモリ部6Aへのアクセス要求であるか否かをチェックする。
【0102】
〔保護メモリ部へのアクセス要求である場合〕
制御部5は、保護メモリ部6Aへのアクセス要求であった場合(ステップ#403のYES)、ステップ#401で受信したデータアクセス要求に従う保護メモリ部6Aへのアクセスを禁止し(ステップ#409)、第1のデータ送信部4を介してRFIDリーダライタ200へエラー応答を送信する(ステップ#410)。
【0103】
〔保護メモリ部へのアクセス要求でない場合〕
制御部5は、保護メモリ部6Aへのアクセス要求でなかった場合(ステップ#403のNO)、非保護メモリ部6Bへのアクセス要求であると判断し、そのアクセス要求がデータ読み出し要求であるのか、データ書き込み要求であるのかをチェックする(ステップ#404)。
【0104】
アクセス要求がデータ読み出し要求であった場合、制御部5は、要求されたデータを非保護メモリ部6Bから読み出し(ステップ#405)、読み出したデータを第1のデータ送信部4を介してRFIDリーダライタ200に返信する(ステップ#406)。
【0105】
アクセス要求がデータ書き込み要求であった場合、制御部5は、第1の受信したデータを非保護メモリ部6Bに書き込み(ステップ#407)、書き込みに成功した旨を示す応答を第1のデータ送信部4を介してRFIDリーダライタ200へ返信する(ステップ#408)。
【0106】
ここで、RFIDリーダライタ200は、正規の通信機器であるとは限らず、不正な通信機器である場合も考えられる。この実施の形態4では、RFIDリーダライタ200が正規の通信機器であるか否かに拘わらず、遠距離のRFIDリーダライタ200からのRFIDタグ104内の非保護メモリ部6Bへのアクセスは許可されるが、保護メモリ部6Aへのアクセスは禁止される。これにより、保護を必要としないデータに対しては遠距離からのアクセスを可能とし、保護を必要とするデータのみを遠距離からの不正アクセスから適切に保護することができる。
【0107】
〔RFIDリーダライタが近距離にある場合〕
今、図17に示すように、RFIDリーダライタ200が近距離(L2内)にあるものとする。この場合、RFIDリーダライタ200からの電波強度は、RFIDタグ102の第2のアンテナ部7の受信感度にとっても十分強いものとなる。これにより、第1の電源部2は第1のアンテナ部1が受信した電波より電力を抽出し、第2の電源部8は第2のアンテナ部7が受信した電波より電力を抽出し、抽出した電力をそれぞれ制御部5へ送る。制御部5は、第1の電源部2からの電力を受けて作動し、第1のアンテナ部1が受信した電波内に含まれているコマンドがデータアクセス要求であるかどうかをチェックする(ステップ#401)。
【0108】
ここで、RFIDリーダライタ200からのコマンドがデータアクセス要求であれば(ステップ#401のYES)、第2の電源部8から電力が供給されているか否かをチェックし(ステップ#402)、第2の電源部8から電力が供給されていなければ(ステップ#402のNO)、ステップ#403へ進み、第2の電源部8から電力が供給されていれば(ステップ#402のYES)、ステップ#411へ進む。
【0109】
この場合、RFIDリーダライタ200はL2内にあるので、RFIDリーダライタ200からの電波強度が第2のアンテナ部7の受信感度にとっても十分強いものとなっており、第2の電源部8から制御部5へ電力が供給される。このため、制御部5は、ステップ#402のYESに応じてステップ#411へ進む。ステップ#411において、制御部5は、第2のアンテナ部7を介して受信されるデータアクセス要求を有効とし、このデータアクセス要求に従う保護メモリ部6Aを含むメモリ部6への全てのアクセスを許可する。そして、そのアクセス要求がデータ読み出し要求であるのか、データ書き込み要求であるのかをチェックする(ステップ#412)。
【0110】
アクセス要求がデータ読み出し要求であった場合、制御部5は、要求されたデータをメモリ部6(保護メモリ部6Aあるいは非保護メモリ部6B)から読み出し(ステップ#413)、読み出したデータを第2のデータ送信部10を介してRFIDリーダライタ200に返信する(ステップ#414)。
【0111】
アクセス要求がデータ書き込み要求であった場合(ステップ#412の「書き込み」)、制御部5は、受信データをメモリ部6(保護メモリ部6Aあるいは非保護メモリ部6B)に書き込み(ステップ#415)、書き込みに成功した旨を示す応答を第2のデータ送信部10を介してRFIDリーダライタ200へ返信する(ステップ#416)。
【0112】
ここで、RFIDリーダライタ200は、正規の通信機器であるとは限らず、不正な通信機器である場合も考えられる。この実施の形態4では、RFIDリーダライタ200が正規の通信機器であるか否かに拘わらず、近距離のRFIDリーダライタ200からのRFIDタグ102内の保護メモリ部6Aへのアクセスが許可される。しかし、不正アクセスが行われたとしても、その不正アクセスは近距離からの不正アクセスであるので、人間が視覚的に容易に確認することが可能である。これにより、RFIDタグ104の使用者が意図しないうちに、また気付かないうちに不正なアクセスを受けることを防ぐことができる。
【0113】
〔実施の形態4’〕
図15に示したRFIDタグ104では、第1のアンテナ部1と第2のアンテナ部7の通信周波数を同一としているが、第1のアンテナ部1の通信周波数と第2のアンテナ部7の通信周波数とを異ならせ、第2のアンテナ部7を介してデータ通信を行うRFIDリーダライタを別に設けるようにしてもよい。
【0114】
例えば、図18に示すように、第1のアンテナ部1の通信周波数と第2のアンテナ部7の通信周波数とを異ならせ、第1のアンテナ部1を介してデータ通信を行うRFIDリーダライタ200(第1のRFIDリーダライタ)とは別に、第2のアンテナ部7を介してデータ通信を行う第2のRFIDリーダライタ400を設ける。
【0115】
このRFIDタグ104’では、第2のRFIDリーダライタ400を第2のアンテナ部7の通信可能距離L2内に位置させると、第2のRFIDリーダライタ400からの電波を第2のアンテナ部7が受信する。受信された電波の電波強度は、第2のアンテナ部7の受信感度にとっても十分強いものとなっているため、その受信電波より第2の電源部8が電力を抽出する。これにより、制御部5において、第2のアンテナ部7を介して受信されるデータアクセス要求が有効とされ、第2のRFIDリーダライタ400からの保護メモリ部6Aを含むメモリ部6への全てのアクセスが可能となる。
【0116】
この実施の形態4’では、第2のRFIDリーダライタ400を用いることにより、RFIDリーダライタ200が正規の通信機器であるか否かに拘わらず、RFIDタグ104’内の保護メモリ部6Aへのアクセスが許可される。しかし、RFIDリーダライタ400をRFIDタグ104’に近づけなければならず、人間が視覚的に容易に不正アクアセスを確認することが可能である。図19にこのRFIDタグ104’の利用イメージ図を示す。
【0117】
〔実施の形態5〕
図20は本発明に係るRFIDタグの第5の実施の形態(実施の形態5)の概略構成を示すブロック図である。この実施の形態5のRFIDタグ105では、実施の形態1のRFIDタグ101に対して、第2のアンテナ部7を設ける代わりに、外部電源500との接続端子11を設けた構成としている。
【0118】
実施の形態1では、第2のアンテナ7の受信電波から外部電力を抽出するようにし、この抽出した外部電力の入力の有無に基づいてメモリ部6へのアクセスの可否を制御部5で判断するようにしていたが、実施の形態5では、接続端子11からの外部電力の入力の有無に基づいてメモリ部6へのアクセスの可否を判断するようにする。
【0119】
この実施の形態5では、RFIDリーダライタ200に外部電源500を設け、RFID200にセットされた状態でなければ、RFIDタグ105の接続端子11に外部電源500が接続されない構成としている。これにより、RFIDタグ105をRFIDリーダライタ200にセットしなければ、外部電源500が接続端子11に接続されず、遠距離からの不正アクセスが防止される。また、不正アクセスが行われたとしても、その不正アクセスは近距離からの不正アクセスであるので、人間が視覚的に容易に確認することが可能である。
【0120】
なお、この実施の形態5の動作は、図2に示したフローチャートにおいて、そのステップ#102の「第2の電源部から電力供給有り?」を「接続端子から電力供給有り?」に代えるのみでよく、その説明は省略する。また、図21に、このRFIDタグ105の利用イメージ図を示す。
【0121】
実施の形態5では、RFIDリーダライタ200に外部電源500を設けるようにしたが、外部電源500は必ずしもRFIDリーダライタ200に設ける必要はない。
【0122】
また、実施の形態2のRFIDタグ102(図6)や実施の形態3のRFIDタグ103(図10)についても、第2のアンテナ部7を設ける代わりに外部電源500との接続端子11を設けた構成とすることで、実施の形態5のRFIDタグ105と同様の効果を得ることが可能である。
【0123】
また、上述した実施の形態では、RFIDタグとデータ通信する通信機器をデータの読み出しと書き込みが可能なRFIDリーダライタとしたが、データを読み出すだけのRFIDリーダとしてもよい。
【0124】
また、特許文献1や特許文献2には、RFIDタグに第2のアンテナ部を設けることや、第2のアンテナ部を第1のアンテナ部に比べ十分小さいサイズにすることなどが記載されているが、また特許文献3にはメモリ部にデータ保護の有無を示すフラグ格納部を設けることなどが記載されているが、これらの文献には本発明の特徴部分の一部が断片的に記載されているのみであり、第2の電源部や接続端子からの外部電力の入力の有無に基づいて通信機器からのメモリ部へのアクセスの許可および禁止を制御することなどの重要技術は何ら開示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明に係るRFIDタグの第1の実施の形態(実施の形態1)の概略構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1のRFIDタグの制御部が有するアクセス禁止/許可機能を説明するためのフローチャートである。
【図3】RFIDタグに対してRFIDリーダライタが近距離にある場合の図1に対応する図である。
【図4】実施の形態1の変形例(実施の形態1’)を示すブロック図である。
【図5】実施の形態1’のRFIDタグの利用イメージ図である。
【図6】本発明に係るRFIDタグの第2の実施の形態(実施の形態2)の概略構成を示すブロック図である。
【図7】実施の形態2のRFIDタグの制御部が有するアクセス禁止/許可機能を説明するためのフローチャートである。
【図8】RFIDタグに対してRFIDリーダライタが近距離にある場合の図6に対応する図である。
【図9】実施の形態2の変形例(実施の形態2’)を示すブロック図である。
【図10】本発明に係るRFIDタグの第3の実施の形態(実施の形態3)の概略構成を示すブロック図である。
【図11】実施の形態3のRFIDタグにおけるデータメモリ部の各アドレスとフラグメモリ部におけるフラグ値との関係を示す図である。
【図12】実施の形態3のRFIDタグの制御部が有するアクセス禁止/許可機能を説明するためのフローチャートである。
【図13】RFIDタグに対してRFIDリーダライタが近距離にある場合の図10に対応する図である。
【図14】実施の形態3の変形例(実施の形態3’)を示すブロック図である。
【図15】本発明に係るRFIDタグの第4の実施の形態(実施の形態4)の概略構成を示すブロック図である。
【図16】実施の形態3の制御部が有するアクセス禁止/許可機能を説明するためのフローチャートである。
【図17】RFIDタグに対してRFIDリーダライタが近距離にある場合の図15に対応する図である。
【図18】実施の形態4の変形例(実施の形態4’)を示すブロック図である。
【図19】実施の形態4’のRFIDタグの利用イメージ図である。
【図20】本発明に係るRFIDタグの第5の実施の形態(実施の形態5)の概略構成を示すブロック図である。
【図21】実施の形態5のRFIDタグの利用イメージ図である。
【符号の説明】
【0126】
1…第1のアンテナ部、2…第1の電源部、3…データ受信部(第1のデータ受信部)、4…データ送信部(第1のデータ送信部)、5…制御部、6…メモリ部、6A…保護メモリ部、6B…非保護メモリ部、6C…データメモリ部、6D…フラグメモリ部、7…第2のアンテナ部、8…第2の電源部、9…第2のデータ受信部、10…第2のデータ送信部、12…接続端子、101(101’)〜105(105’)…RFIDタグ、200…RFIDリーダライタ(第1のRFIDリーダライタ)、300…電波供給源、400…第2のRFIDリーダライタ、500…外部電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を媒体として通信機器とデータ通信を行う無線タグにおいて、
前記通信機器からの電波を受信する第1のアンテナ部と、
前記第1のアンテナ部が受信した電波より電力を抽出する第1の電源部と、
前記第1の電源部からの電力を受けて作動する制御部と、
外部電力の入力部とを備え、
前記制御部は、
前記外部電力の入力の有無に基づいて前記通信機器からのメモリ部へのアクセスの許可および禁止を制御する手段
を備えることを特徴とする無線タグ。
【請求項2】
請求項1に記載された無線タグにおいて、
前記外部電力の入力部は、
前記第1のアンテナ部の電波の通信可能距離よりも短い近距離からの外部電力を入力する
ことを特徴とする無線タグ。
【請求項3】
請求項1に記載された無線タグにおいて、
前記外部電力の入力部は、
前記第1のアンテナ部よりも電波の受信感度が低い第2のアンテナ部と、
前記第2のアンテナ部が受信した電波より電力を抽出する第2の電源部とを備え、
前記制御部は、
前記第2の電源部からの電力の供給を受けていない場合、前記第1のアンテナ部を介する前記通信機器からの前記メモリ部へのアクセスを禁止する手段と、
前記第2の電源部からの電力の供給を受けている場合、前記第1のアンテナ部を介する前記通信機器からの前記メモリ部へのアクセスを許可する手段と
を備えることを特徴とする無線タグ。
【請求項4】
請求項1に記載された無線タグにおいて、
前記外部電力の入力部は、
前記第1のアンテナ部よりも電波の受信感度が低い第2のアンテナ部と、
前記第2のアンテナ部が受信した電波より電力を抽出する第2の電源部とを備え、
前記メモリ部は、
保護の対象となるデータを格納する保護メモリ部と、
保護の対象とならないデータを格納する非保護メモリ部とを備え、
前記制御部は、
前記第2の電源部からの電力の供給を受けていない場合、前記第1のアンテナ部を介する前記通信機器からの前記保護メモリ部へのアクセスを禁止する手段と、
前記第2の電源部からの電力の供給を受けている場合、前記第1のアンテナ部を介する前記通信機器からの前記保護メモリ部へのアクセスを許可する手段と
を備えることを特徴とする無線タグ。
【請求項5】
請求項1に記載された無線タグにおいて、
前記外部電力の入力部は、
前記第1のアンテナ部よりも電波の受信感度が低い第2のアンテナ部と、
前記第2のアンテナ部が受信した電波より電力を抽出する第2の電源部とを備え、
前記メモリ部は、
データを格納するデータメモリ部と、
前記データメモリ部の各データ格納領域に対応づけてそのデータ格納領域を保護の対象とするか否かを示すフラグ値を格納するフラグメモリ部とを備え、
前記制御部は、
前記第2の電源部からの電力の供給を受けていない場合、前記第1のアンテナ部を介する前記通信機器からの前記フラグメモリ部のフラグ値によって保護の対象とされている前記データメモリ部のデータ格納領域へのアクセスを禁止する手段と、
前記第2の電源部からの電力の供給を受けている場合、前記第1のアンテナ部を介する前記通信機器からの前記フラグメモリ部のフラグ値によって保護の対象とされている前記データメモリ部のデータ格納領域へのアクセスを許可する手段と
を備えることを特徴とする無線タグ。
【請求項6】
請求項1に記載された無線タグにおいて、
前記外部電力の入力部は、
前記第1のアンテナ部よりも電波の受信感度が低い第2のアンテナ部と、
前記第2のアンテナ部が受信した電波より電力を抽出する第2の電源部とを備え、
前記メモリ部は、
保護の対象となるデータを格納する保護メモリ部と、
保護の対象とならないデータを格納する非保護メモリ部とを備え、
前記制御部は、
前記第2の電源部からの電力の供給を受けていない場合、前記第1のアンテナ部を介する前記通信機器からの前記保護メモリ部へのアクセスを禁止する手段と、
前記第2の電源部からの電力の供給を受けている場合、前記第2のアンテナ部を介する前記通信機器からの前記保護メモリ部へのアクセスを許可する手段と
を備えることを特徴とする無線タグ。
【請求項7】
請求項1に記載された無線タグにおいて、
前記外部電力の入力部は、
前記第1のアンテナ部よりも電波の受信感度が低い第2のアンテナ部と、
前記第2のアンテナ部が受信した電波より電力を抽出する第2の電源部とを備え、
前記メモリ部は、
データを格納するデータメモリ部と、
このデータメモリ部の各データ格納領域に対応づけてそのデータ格納領域を保護の対象とするか否かを示すフラグ値を格納するフラグメモリ部とを備え、
前記制御部は、
前記第2の電源部からの電力の供給を受けていない場合、前記第1のアンテナ部を介する前記通信機器からの前記フラグメモリ部のフラグ値によって保護の対象とされている前記データメモリ部のデータ格納領域へのアクセスを禁止する手段と、
前記第2の電源部からの電力の供給を受けている場合、前記第2のアンテナ部を介する前記通信機器からの前記フラグメモリ部のフラグ値によって保護の対象とされている前記データメモリ部のデータ格納領域へのアクセスを許可する手段と
を備えることを特徴とする無線タグ。
【請求項8】
請求項1に記載された無線タグにおいて、
前記外部電力の入力部は、
外部電源との接続端子を備え、
前記制御部は、
前記接続端子に外部電源が接続されていない場合、前記第1のアンテナ部を介する前記通信機器からの前記メモリ部へのアクセスを禁止する手段と、
前記接続端子に外部電源が接続されている場合、前記第1のアンテナ部を介する前記通信機器からの前記メモリ部へのアクセスを許可する手段と
を備えることを特徴とする無線タグ。
【請求項9】
請求項1に記載された無線タグにおいて、
前記外部電力の入力部は、
外部電源との接続端子を備え、
前記メモリ部は、
保護の対象となるデータを格納する保護メモリ部と、
保護の対象とならないデータを格納する非保護メモリ部とを備え、
前記制御部は、
前記接続端子に外部電源が接続されていない場合、前記第1のアンテナ部を介する前記通信機器からの前記保護メモリ部へのアクセスを禁止する手段と、
前記接続端子に外部電源が接続されている場合、前記第1のアンテナ部を介する前記通信機器からの前記保護メモリ部へのアクセスを許可する手段と
を備えることを特徴とする無線タグ。
【請求項10】
請求項1に記載された無線タグにおいて、
前記外部電力の入力部は、
外部電源との接続端子を備え、
前記メモリ部は、
データを格納するデータメモリ部と、
前記データメモリ部の各データ格納領域に対応づけてそのデータ格納領域を保護の対象とするか否かを示すフラグ値を格納するフラグメモリ部とを備え、
前記制御部は、
前記接続端子に外部電源が接続されていない場合、前記第1のアンテナ部を介する前記通信機器からの前記フラグメモリ部のフラグ値によって保護の対象とされている前記データメモリ部のデータ格納領域へのアクセスを禁止する手段と、
前記接続端子に外部電源が接続されている場合、前記第1のアンテナ部を介する前記通信機器からの前記フラグメモリ部のフラグ値によって保護の対象とされている前記データメモリ部のデータ格納領域へのアクセスを許可する手段と
を備えることを特徴とする無線タグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−257267(P2007−257267A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80490(P2006−80490)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】