説明

無線受信機および自動利得制御方法

受信したフレームは、共通パイロット信号の利得制御系統(20A)と、個別のデータ信号の利得制御系統(20B)に2分岐される。利得制御系統(20A)は、共通パイロット信号の利得を利得制御し、利得制御系統(20B)は、データ信号の利得を利得制御する。信号処理部(30)は、フレームの同期をとり、共通パイロット信号の利得が一定となる利得制御信号(g1)を共通パイロット信号の利得制御回路(21a)に出力し、また、データ信号の利得が一定となる利得制御信号(g2)をデータ信号の利得制御回路(21b)に出力する。利得が一定に制御されることにより、ADC(26a,26b,27a,27b)の飽和やS/N劣化を防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、自動利得制御機能を具備した無線受信機に関し、フレーム内でタイムスロット毎に電力差が生じても安定した利得制御が行える無線受信機および自動利得制御方法に関する。
【背景技術】
一般的な無線受信機は、入力信号の電力(または電圧)に応じて利得を可変する自動利得制御(AGC:Auto Gain Control)機能を具備している。自動利得制御機能は、ある基準電力に対し入力電力が小さいときは増幅器の利得を上げ(または、可変減衰器の減衰量を下げ)、また、基準電力に対し入力電力が大きいときは増幅器の利得を下げる。または、可変減衰器の減衰量を上げる。これにより、受信した信号のレベルをAD変換器(ADC:Analog−Digital Converter)に対して一定に保ち入力させ、広いダイナミックレンジを実現させている。
このようなAGC回路における基準電力は一定の値に固定で設定される。また、AGC回路は信号の振幅成分が必要以上に変化しないようにある程度遅い時定数に設定する必要がある。受信電力の計算では、特定の長時間間隔(例えば数十フレーム長)に渡って平均化され、その受信電力平均値をAGCに用いている。このようなAGCの技術は、例えば、下記の非特許文献1に記載されている。
【非特許文献1】 立川敬二 監修「W−CDMA移動通信方式」、P.29図2−4参照、
丸善(株)出版事業部
しかしながら、従来のAGC回路は、監視する周期内(例えば、1フレーム内)でタイムスロット毎に電力差が生じないことを前提としているため、監視する周期内でタイムスロット毎に電力差が生じたときには、適切なAGC制御を行うことができず、後段のアンプやミキサ等のアナログデバイスや、ADCに対する入力レベルが適切とならず、入力信号のS/Nが劣化したり、逆に信号の歪みやクリップが生じるという問題があった。
このため、従来は、受信信号を歪ませないためにバックオフを充分に確保できる高機能なアナログデバイスと、量子化誤差によるS/N劣化を軽減させるために有効ビット精度が高い高機能なADCを用いて無線受信機を構成する必要があった。このために、必要なデバイスの単価が高くなり無線受信機全体が高価となっていた。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、無線受信機において、フレーム内でタイムスロット毎に電力差が生じても安定した利得制御が行える無線受信機および自動利得制御方法を提供することを目的とする。また、異なる種類の信号を時分割的に送信することにより、各種類の信号の送信電力が独立に制御されていたり、電力に差が生じた場合であっても入力レベルに制限のある素子に対する不都合を解決することができる無線受信機および自動利得制御方法を目的とする。
【発明の開示】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、以下のことを特徴とする。受信したフレームは、共通パイロット信号の利得制御系統と、個別のデータ信号の利得制御系統に2分岐される。共通パイロット信号の利得制御系統に設けられた利得制御回路は、利得制御信号に基づき共通パイロット信号の利得を利得制御する。データ信号の利得制御系統に設けられた利得制御回路は、利得制御信号に基づきデータ信号の利得を利得制御する。信号処理部は、フレームの同期をとり、共通パイロット信号の利得が一定となる利得制御信号を共通パイロット信号の利得制御回路に出力し、また、データ信号の利得が一定となる利得制御信号をデータ信号の利得制御回路に出力する。信号処理部は、共通パイロット信号の利得制御系統から共通パイロット信号を選択して取り込み、データ信号の利得制御系統からデータ信号を選択して取り込み、復調等の信号処理を行う。
この発明によれば、共通パイロット信号の利得制御系統に設けられた利得制御回路により共通パイロット信号の利得が一定にされてADCに入力される。また、データ信号の利得制御系統に設けられた利得制御回路によりデータ信号の利得が一定にされてADCに入力される。これにより、共通パイロット信号とデータ信号の電力比の大小にかかわらずADCに対する入力レベルを一定にすることができ、ADCの飽和やS/N劣化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の無線受信機が受信する対象となる無線フレームフォーマットを示す図であり、第2図は、この発明の無線受信機の実施の形態1の構成を示すブロック図であり、第3図は、電力比が大きいときの共通パイロット信号に対する利得制御状態を示す図であり、第4図は、電力比が大きいときのデータ信号に対する利得制御状態を示す図であり、第5図は、電力比が小さいときの共通パイロット信号に対する利得制御状態を示す図であり、第6図は、電力比が小さいときのデータ信号に対する利得制御状態を示す図であり、第7図は、この発明の無線受信機の実施の形態2の構成を示すブロック図であり、第8図は、実施の形態2による時分割の利得制御状態を示す図であり、第9図は、本発明の無線受信機が受信する他の無線フレームフォーマットを示す図であり、第10図は、第9図と同じフレームフォーマットであり、ユーザ数がNのときの電力状態を示す図であり、第11図は、第9図と同じフレームフォーマットであり、高速通信時の電力状態を示す図であり、第12図は、AGC動作時間用の猶予スロットを設けたフレームフォーマットを示す図であり、第13図は、この発明の無線受信機の実施の形態3の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。はじめに、この発明の無線受信機および自動利得制御方法に用いる無線フレームフォーマットについて説明する。この発明において扱う無線フレームは、一つのフレーム内のタイムスロット毎に大きく受信レベルが変わるものである。この発明の無線受信機および自動利得制御方法は、例えば、直交波周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式等のように、フレーム内のタイムスロットが異なるときに電力差が生じても安定した自動利得制御を行おうとするものである。
第1図は、本発明の無線受信機が受信する対象となる無線フレームフォーマットを示す図である。横軸は時間、縦軸は電力である。一つのフレーム1内に共通パイロット信号2と、複数のデータ信号3(3a〜3n)が存在する。これら共通パイロット信号2とデータ信号3は、時分割で異なるタイムスロットに割り当てられている。なお、共通パイロット信号2を1フレーム内に3個所以上設けてもよい。複数のデータ信号3に対応する部分については、1あるいは複数のユーザのデータ信号が足し合わされてなり、この1フレーム内におけるデータ信号3は、ほぼ同じ電力となる。
このように、この発明において扱う無線フレームフォーマットは、同一時刻、同一周波数に複数局の信号が多重されて送信され、かつ、伝送レートや周囲の環境に応じて、共通パイロット信号2の電力と、個別のデータ信号3の電力との比がダイナミックに変動するものを前提としている。第1図に示す例は、共通パイロット信号2の電力に対して、データ信号3の電力が小さい(電力比が大きい)状態である。共通パイロット信号2は、一定の電力で送信されるのに対し、データ信号3の電力は、コード多重数によって大きく変化する。コード多重数は、多重化するユーザ数やデータ伝送速度よって変化する。なお、電力比が小さい状態の例と、電力変動に対するAGCの動作内容についての詳細は後述する。
次に、上記の無線フレームフォーマットのデータを受信する発明の無線受信機の各実施形態について説明する。本発明の無線受信機は、上記のような無線フレームフォーマットにより共通パイロット信号2と個別のデータ信号3の電力が大きく変化することを鑑みて共通パイロット信号2と個別のデータ信号3とを区別し、それぞれの部分(タイムスロット)で広くダイナミックレンジを確保できるようにAGCを動作させる。
(実施の形態1)
第2図は、この発明の無線受信機の実施の形態1の構成を示すブロック図である。この無線受信機としては、例えば、移動通信システムにおける移動局を用いることができる。無線受信機10は、高周波帯域の信号を扱うRF部11と、中間周波数帯域の信号を扱うIF部12と、ベースバンド帯域の信号を扱うBB部13によって構成されている。RF部11は、高周波帯域の受信信号を、ローノイズアンプ(LNA)15を通過後、ミキサ(MIX)17により発振器16の信号と混合してIF帯域の信号に変換される。
IF部12に入力された信号は2分岐されて、それぞれの系統の利得制御回路21(21a,21b)に入力される。この分岐は、フレーム構成を崩さず維持した状態で、単純に1入力を2出力として2分岐させている。分岐した一方の系統は、共通パイロット信号2に対する利得制御系統20Aであり、他方の系統は、個別のデータ信号3に対する利得制御系統20Bである。これら利得制御系統20A,20Bは、並列配置され、並行して(例えば同時に)利得制御を行う。
これら2つの利得制御系統20A,20Bは、構成が同一であるため、一方の系統20Aについてのみ説明する。この一方の系統20Aに配置された各構成部には符号末尾にaを附している。なお、他方の系統20Bに配置された各構成部には符号末尾にbを附して説明を省略する。利得制御回路21aは、増幅器(Amp)や減衰器(ATT)、およびこれらを制御するデバイスによって構成されており、入力されたIF帯域の信号の電力(利得)を可変する。この利得制御回路21は、後述する受信電力算出部32が出力する利得制御信号に基づき入力データを利得制御するAGCの機能を有している。
利得制御回路21aから出力されたIF信号は、デバイダによって2つの経路に入力され、それぞれミキサ(MIX)22a,23aに入力される。これらデバイダとミキサは、一般的な直交検波(復調)器(QDEM)によって構成されている。一方のミキサ22aは、発振器24の信号と混合してベースバンド帯域の信号(I)が出力される。他方のミキサ23aには発振器24の信号位相を位相可変器25によりπ/2(90度)回転させた信号が混合され、ベースバンド帯域の信号(Q)が出力される。これらのベースバンド信号は、図示しないフィルタや増幅器を介してADC26a,27aに入力され、ADC26a,27aによりデジタルデータに変換される。以上説明した2系統の利得制御系統20A,20Bは、並列してAGC動作を行う。なお、直交検波前にADC26a,27aを配置することで、デジタル領域で直交検波することもできる。
信号処理部30には、一方の利得制御系統20Aからは共通パイロット信号2に対して利得制御した後のベースバンド信号I,Qが入力される。また、他方の利得制御系統20Bからは個別のデータ信号3に対して利得制御した後のベースバンド信号I,Qが入力される。共通パイロット信号2と個別のデータ信号3は、それぞれI信号が同一のポートから入力され、Q信号についても異なる同一のポートから入力される。
この信号処理部30では、入力されたデジタルのデータを使用して各種の信号処理を行う。具体的処理としては、デインタリーブ、デジタル復調、誤り訂正復号等の信号処理を行う。なお、OFDM−CDMA方式を採用している場合には、信号処理部30において逆拡散処理する構成としてもよい。信号処理部30の出力は、受信データを表示手段に表示したり、スピーカから音声出力される。信号処理部30には、同期処理部31と受信電力算出部32が設けられている。同期処理部31は、1フレーム単位でI,Q信号の同期をとり、共通パイロット信号2と個別のデータ信号3を識別する。受信電力算出部32は、共通パイロット信号2と個別のデータ信号3を区別し、それぞれの受信電力を算出する。受信電力は、I信号とQ信号の2乗の和の平方根により求める等各種方法がある。また、この受信電力は、所定期間(例えば複数フレーム)の平均受信電力として算出することができる。
受信電力算出部32は、算出した各受信電力に基づいて、利得制御回路21(21a,21b)に対して利得を可変させる利得制御信号を出力する。この際、ADC26(26a,26b)については、このADC26(26a,26b)に入力する共通パイロット信号2の信号レベル、あるいは出力する信号レベルが一定となるよう利得を可変させる。また、ADC27(27a,27b)については、このADC27(27a,27b)に入力する信号(共通パイロット信号2以外の信号、例えば個別のデータ信号3)の信号レベル、あるいは出力する信号レベルが一定となるよう利得を可変させる。利得制御信号g1は、共通パイロット信号2の利得制御系統20Aに設けられた利得制御回路21aの利得を制御し、利得制御信号g2は、個別のデータ信号3の利得制御系統20Bに設けられた利得制御回路21bの利得を制御する。
上記構成によれば、受信電力算出部32は、共通パイロット信号2と、個別のデータ信号3とでそれぞれ分岐された2つの利得制御系統20A,20Bそれぞれにおいて、電力が大きく変化するタイムスロットを区別し、この大きく変化するタイムスロットを単位として時分割に利得制御信号g1,g2を出力すればよい。このため、1フレーム内で高速にAGCの利得制御を行う必要はない。すなわち、タイムスロット単位で利得制御信号g1,g2を出力する必要はなく、AGCの時定数(利得制御の制御周期)としては従来同様の値を用いることができ、特別な高速処理を必要としない。
次に、上記構成による利得制御動作について説明する。はじめに、第1図に示したように、共通パイロット信号2の電力に対して、データ信号3の電力が小さい(電力比が大きい)状態のときの利得制御動作について説明する。
第3図は、電力比が大きいときの共通パイロット信号に対する利得制御状態を示す図である。電力比が大きい状態のとき、共通パイロット信号2の利得制御系統20Aに設けられた利得制御回路21aは、入力されたフレーム1の共通パイロット信号2の電力が基準値となるよう利得を可変させる。基準値に対して共通パイロット信号2の電力が小さいときには、共通パイロット信号2の電力が基準値となるよう利得を増加させ、基準値に対して共通パイロット信号2の電力が大きいときには共通パイロット信号2の電力が基準値となるよう利得を減少させる。なお、利得を可変させたとき、上記の電力比にしたがいデータ信号3の利得も同様に可変することになる。
この利得の可変は、利得制御信号g1によって制御されている。受信電力算出部32は、過去の複数のフレームにおける共通パイロット信号2の電力値の推移を平均化する等して算出する。利得制御回路21aは、この算出結果に基づく利得制御信号g1の入力にしたがい利得を可変させる。
上記の基準値は、前述したように、例えば共通パイロット信号2の利得制御系統20Aに設けられたADC26a,27aが飽和しない適切な入力レベルに基づき予め設定した値を用いる。ADCに限らず、ミキサや増幅器のS/N劣化、あるいは信号の歪みを生じない入力レベルに基づいて設定することもでき、後段にADCがなくとも、入力レベルを制限したい素子の要求を満たすことができる。
一方、データ信号3の利得制御系統20Bに設けられた利得制御回路21bは、同一のフレーム1におけるデータ信号3の電力を測定した結果からデータ信号3の電力が基準値となるよう利得を可変させる。第4図は、電力比が大きいときのデータ信号に対する利得制御状態を示す図である。共通パイロット信号2の受信レベルを考慮しない状態を記載してある。データ信号に対する利得の可変は、利得制御信号g2によって制御されている。図のように、データ信号3に対する利得を可変させたとき、上記の電力比にしたがい共通パイロット信号2の電力が同様に変わり、データ信号3に対し共通パイロット信号2の電力が大幅に超えた値となった状態が示されている。
次に、共通パイロット信号2の電力と、データ信号3の電力の電力比が小さい状態のときの利得制御動作について説明する。基本的に電力比の大小にかかわらず、利得制御系統20Aは共通パイロット信号2に対する利得制御を行い、利得制御系統20Bは個別のデータ信号3に対する利得制御を行う。
第5図は、電力比が小さいときの共通パイロット信号に対する利得制御状態を示す図である。電力比が小さい状態のとき、共通パイロット信号2の利得制御系統20Aに設けられた利得制御回路21aは、入力されたフレーム1の共通パイロット信号2の電力が基準値となるよう利得を可変させる。第6図は、電力比が小さいときのデータ信号に対する利得制御状態を示す図である。データ信号3の利得制御系統20Bに設けられた利得制御回路21bは、同一のフレーム1におけるデータ信号3の電力が基準値となるよう利得を可変させる。これら第5図および第6図に示すように、電力比が小さい場合であっても、共通パイロット信号2と、データ信号3の電力比は、同一の比率を維持して利得が可変されることになる。
そして、これら2系統の利得制御系統20A,20Bに設けられたADC26a,26bに対する信号の入力レベルについて着目してみる。利得制御系統20Aに設けられたADC26a,27aに対する信号の入力レベルを見ると、電力比の大小にかかわらず、共通パイロット信号2の入力レベルは基準値となっている。また、利得制御系統20Bに設けられたADC26b,27bに対する信号の入力レベルを見ると、データ信号3の入力レベルは基準値となっている。
これにより、共通パイロット信号2の利得制御系統20Aでは、共通パイロット信号2の入力レベルをADC26a,27aに最適な入力レベルに利得調整できる。また、データ信号3の利得制御系統20Bでは、データ信号3の入力レベルをADC26b,27bに最適な入力レベルに利得調整できる。また、ADC26(26a,26b),27(27a,27b)に対する入力レベルに限らず、このADC26,27の前段に配置されるアナログデバイス(不図示であるがミキサや増幅器からなる)に対する要求バックオフ値を低減でき、これらのアナログデバイスに対する入力レベルも同様に最適なレベルに調整できることになる。上記の利得調整は、ADC26,27とアナログデバイスに対する入力レベルを基準にするに限らず、これらADC26,27やアナログデバイスの出力レベルが最適なレベルとなるよう調整する構成としてもよい。
したがって、上記利得制御によれば、ADC26,27の飽和や、アナログデバイスであるミキサや増幅器のS/N劣化あるいは歪みを生じないため、受信信号が劣化することなく受信品質を改善できるようになる。
たとえ電力比が大きく、データ信号3の電力に対して共通パイロット信号2の電力が突出した場合であっても、共通パイロット信号2およびデータ信号3の信号レベルをいずれも基準値に合わせることができるため、ADC26,27に必要なダイナミックレンジをこの基準値に合わせた汎用のもの(安価で有効ビット精度が低いもの)を用いることができ、ダイナミックレンジが広く(有効ビット精度が高い)高価なADCを必要としない。
そして、信号処理部30は、ある一つのフレーム1について共通パイロット信号2については利得制御系統20Aから選択入力し、個別のデータ信号3については利得制御系統20Bから選択入力する。これにより、信号処理部30における各種の信号処理を最適な入力レベルにでき、安定して行えるようになる。
ところで、受信した最初のフレーム1に対する利得制御を行うときなど、フレーム1内における共通パイロット信号2と、データ信号3の区別が不明な状態(非同期時)の期間中、受信電力算出部32は、共通パイロット信号2の利得制御信号g1と、データ信号3の利得制御信号g2が同様の利得値として利得制御を行うとよい。この後、受信電力算出部32は、フレーム1の同期がとれた段階で共通パイロット信号2の利得制御信号g1と、データ信号3の利得制御信号g2をそれぞれに適した値として算出し、利得制御回路21a,21bに出力すればよい。
以上説明したように実施の形態1によれば、共通パイロット信号と、1あるいは複数のユーザのデータ信号とがタイムスロット単位で時分割に配置されたフレームを受信したとき、これら共通パイロット信号とデータ信号を分岐させ、独立した利得制御系統で利得制御を行う構成としたので、タイムスロット毎にこの共通パイロット信号の電力と、データ信号の電力に差が生じたときであっても、これら共通パイロット信号およびデータ信号のいずれも広いダイナミックレンジを確保して受信でき、信号の劣化を防止して受信品質を向上できるようになる。
また、上記実施の形態1では、2分岐した一方を共通パイロット信号2に対する利得制御系統20Aとし、他方を個別のデータ信号3に対する利得制御系統20Bとして、利得制御を並行して行う構成とした。これは、共通パイロット信号2が一定な電力であり、個別のデータ信号3の電力が変動することを前提として2分岐させ独立に利得制御するものである。このような共通パイロット信号2とデータ信号3とを独立させて利得制御する構成は、大電力のスロットと省電力のスロットとを異なる利得制御系統で独立して利得制御する構成であるとも言える。
また、分割した2系統を大電力と小電力に分岐させる構成としてもよい。これにより、電力が大きいタイムスロットに対する利得制御と、電力が小さなタイムスロットに対する利得制御を並行して行うことができるようになる。このように構成する場合、受信電力算出部32は、大電力と小電力のタイムスロットをしきい値等を用いて2分割させ、各分割した系統に対する利得制御を独立して行う。また、同期処理部31では、分割し適切に利得制御した出力をスロット単位で選択し、取り込む構成とすればよい。なお、各基地局から送信される基準パイロット信号2受信レベルを測定する際、信号処理部30は、ADC26から出力されるデジタル値と、AGCのための制御信号g1,g2のうち、制御信号g1側を用いることで正しく受信レベルを測定することができる。
(実施の形態2)
次に、この発明の無線受信機の実施の形態2について説明する。第7図は、この発明の無線受信機の実施の形態2の構成を示すブロック図である。前述した実施の形態1(第2図参照)の構成と同一の構成部には同一の符号を附してある。図示のように、実施の形態2は、実施の形態1のような2系統の利得制御を行うものと異なり、1系統で時分割にタイムスロットの単位で利得制御を行う構成である。
利得制御回路21には、共通パイロット信号2および個別のデータ信号3がいずれも入力され、タイムスロット毎に利得を可変する。第8図は、実施の形態2による時分割の利得制御状態を示す図である。フレーム1の開始位置に配置された共通パイロット信号2が入力された時期t1には、この共通パイロット信号2の電力が基準値となるよう利得を可変させる。基準値に対して共通パイロット信号2の電力が小さいときには基準値となるよう利得を増加させ、基準値に対して共通パイロット信号2の電力が大きいときには基準値となるよう利得を減少させる。なお、利得の可変は、タイムスロット単位であるため、共通パイロット信号2に対する利得の可変時に、同じフレーム1内のデータ信号3の電力は変更されない点が実施の形態1と相違する。
受信電力算出部33は、共通パイロット信号2に対する利得制御量は、過去の複数のフレームにおける共通パイロット信号2の電力の推移を平均化する等して算出する。利得制御回路21は、この算出結果に基づき、利得制御信号gの入力にしたがい利得を可変させる。
また、受信電力算出部33は、データ信号3の利得制御量については、過去の複数のフレームにおけるデータ信号3の電力の推移を平均化する等して算出する。利得制御回路21は、この算出結果に基づく利得制御信号gの入力にしたがい利得を可変させる。これにより、データ信号3が入力された時期t2には、このデータ信号3の電力が基準値となるよう利得を可変させる。なお、共通パイロット信号2およびデータ信号3は、いずれも同一のADC26,27に入力されるため、共通パイロット信号2の基準値とデータ信号3の基準値は、同一の値である。
複数のデータ信号3(3a〜3n)が入力されている期間(t2〜tn)は、このデータ信号3の電力に変動がないものと見做し、利得制御回路21は、データ信号3全てを同一の利得制御量で利得制御することができる。これによれば、受信電力算出部33がタイムスロット単位で利得制御信号gを出力する必要は無くなり、タイムスロット単位での高速処理を回避できるようになる。これに限らず、複数のデータ信号3(3a〜3n)の各タイムスロット単位で利得の可変制御を行う構成としてもよい。受信電力算出部33が高速処理できる環境があればこの方法を適用することができる。この場合、複数のデータ信号3(3a〜3n)の電力がタイムスロット(t2,t3,tn−1)毎に変動しても、この変動に対応できるようになる。
なお、フレーム1の最終位置に配置された共通パイロット信号2は、上述したフレーム1の開始位置に配置された共通パイロット信号2の利得制御量と同じ利得制御量である利得制御信号gに基づき利得制御される。
これにより、第8図に示すように、共通パイロット信号2と、データ信号3は、いずれも同一の基準値となるよう利得可変できる。なお、タイムスロット毎に利得可変制御できるため、共通パイロット信号2とデータ信号3の電力比の大小にかかわらず、常に第8図に示すように共通パイロット信号2とデータ信号3の電力を基準値に合わせる利得制御が行える。
なお、受信した最初のフレーム1に対する利得制御を行うときなど、フレーム1内における共通パイロット信号2と、データ信号3の区別が不明な状態(非同期時)の期間中、受信電力算出部33は、共通パイロット信号2およびデータ信号3の利得制御信号gが同様の利得値として利得制御を行う。この後、受信電力算出部33は、フレーム1の同期がとれた段階で共通パイロット信号2に対する利得値と、データ信号3に対する利得値をそれぞれに適した値として算出し、利得制御回路21に出力すればよい。
以上説明したように実施の形態2によれば、共通パイロット信号と、1あるいは複数のユーザのデータ信号とがタイムスロット単位で時分割に配置されたフレームを受信したとき、これら共通パイロット信号とデータ信号を受信したタイムスロット毎にそれぞれに適切な利得制御を行う構成としたので、タイムスロット毎にこの共通パイロット信号の電力と、データ信号の電力に差が生じたときであっても、これら共通パイロット信号およびデータ信号のいずれも広いダイナミックレンジを確保して受信でき、信号の劣化を防止して受信品質を向上できるようになる。
以上説明した実施の形態1および実施の形態2で受信するフレームフォーマットは、上述したフレーム構成(第1図参照)に限らず、他のフレームフォーマットに対しても適用することができる。次に、この発明の無線受信機に適用可能な他のフレームフォーマットについて説明する。
第9図は、本発明の無線受信機が受信する他の無線フレームフォーマットを示す図である。横軸は時間、縦軸は電力である。一つのフレーム40内に共通パイロット信号2と、複数のデータ信号43(43a,43b)が存在する。これら共通パイロット信号2とデータ信号43は、時分割で異なるタイムスロットに割り当てられている。そして、共通パイロット信号2は、フレーム1の開始位置と終了位置に配置され、これら共通パイロット信号2の間に一つあるいは複数のユーザ別に割り当てられた複数のデータ信号43(43a,43b)が配置されている。
第9図に示すフレームフォーマット40のデータ信号43は、共通パイロット信号2の間の複数のタイムスロットに渡ってユーザ毎に一定の電力を有して割り当てられている。ユーザ数に対応してデータ信号43の電力が増加することになる。例えば、図示のようにユーザ数が2のとき、これらユーザA,Bのデータ信号43a,43bの合計がデータ信号43の電力となる。また、第10図は、第9図と同じフレームフォーマットであり、ユーザ数がNのときの電力状態を示す図である。第10図に示すように、ユーザ数が増えたときには、ユーザA〜Nのデータ信号43a〜43nの合計がデータ信号43の電力となる。
第9図に示す状態は、共通パイロット信号2の電力に対してデータ信号3の電力が小さい状態(電力比大)であり、第10図に示す状態は、共通パイロット信号2の電力に対してデータ信号3の電力が近い状態(電力比小)である。第9図および第10図に示すフレーム構成によれば、低速通信時にユーザ数が増えるにしたがってデータ信号43の電力が増加する。このように、データ信号43のフォーマットが異なる場合であっても、同一のフレームフォーマット40に、共通パイロット信号2とデータ信号43が含まれ、タイムスロット毎に電力が異なる状態が生じるフレームフォーマットであっても、上述した実施の形態1、あるいは実施の形態2において説明した利得制御を同様に実行することができる。
また、第11図は、第9図と同じフレームフォーマットであり、高速通信時の電力状態を示す図である。第11図に示すフレーム構成は、高速通信時のものである。高速通信時には、ユーザ数が1(ユーザA)であっても、共通パイロット信号2の間の複数のタイムスロットに渡ってこのユーザA用に一定の電力を有したデータ信号43aが配置される。さらに、このユーザAは、同一時期に複数のデータ信号43a〜43nを利用して多重化する構成である。このように、特定ユーザに対してデータ信号43を占有することにより、高速伝送が可能となる。このように、高速化の度合い等により、同一のフレームフォーマット40に、共通パイロット信号2とデータ信号43が含まれ、タイムスロット毎に電力が異なる状態が生じるフレームフォーマットであっても、上述した実施の形態1、あるいは実施の形態2において説明した利得制御を同様に実行することができる。
また、実施の形態2は、タイムスロット単位で利得制御を行う構成であるため、共通パイロット信号2をあるタイムスロットで受信してこの共通パイロット信号2に対する利得制御を行った後、直ちに、次のタイムスロットでデータ信号3(あるいはデータ信号43)に対する利得制御を行うことになる。この場合、利得制御回路21が有する利得制御の時定数(AGC電圧過渡特性)に起因して、共通パイロット信号2とデータ信号3,43の電力比が大きいほど、データ信号3,43を利得制御するために所定の時間がかかることが考えられる。データ信号3(あるいはデータ信号43)に対する利得制御を行った後、直ちに、次のタイムスロットで共通パイロット信号2に対する利得制御を行う場合も同様である。
第12図は、AGC動作時間用の猶予スロットを設けたフレームフォーマットを示す図である。実施の形態2のようにタイムスロット毎に利得制御を行う構成の場合、共通パイロット信号2と、データ信号3,43の間に猶予スロット46を配置したフレームフォーマット45を用いる。猶予スロット46の期間は、AGC電圧過渡特性に応じた期間(スロット数)とする。なお、この期間の電力値は0、あるいは0に近い値として設定される。
このように、猶予スロット46を配置することにより、利得制御回路21は、共通パイロット信号2のタイムスロットの期間で利得制御を行った後、猶予スロット46の時間分だけ利得制御の動作を一時停止させることができる。これにより、この後のデータ信号3,43に対する利得制御時に、共通パイロット信号2に対して行った利得制御後の過渡状態の影響を排除できるようになり、データ信号3,43に対する利得制御を短時間で適切に行えるようになる。
以上説明した各実施の形態では、受信電力算出部32,33により、共通パイロット信号2の電力と、データ信号3,43の電力を検出して利得値を算出し、利得制御回路21(21a,21b)に対して利得制御信号g(g1,g2)を出力し、利得制御する構成とした。この発明の無線受信機は、携帯電話システムの移動機に適用することができる。この移動機は、基地局から送信される上述したフレームフォーマット1,40,45の信号を受信する。併せて基地局から送信される報知チャネルや制御チャネルの制御信号内に予め上述した電力比の情報が含まれ、これを受信する構成にもできる。このように電力比の情報を受信できる場合、移動機である無線受信機10の受信電力算出部32,33は、フレーム1の同期をとらなくても、入力された電力比の情報に基づきフレーム1の共通パイロット信号2の平均電力と、データ信号3,43の平均電力を算出することができるようになる。
(実施の形態3)
次に、この発明の無線受信機の実施の形態3について説明する。第13図は、この発明の無線受信機の実施の形態3の構成を示すブロック図である。前述した実施の形態1,2の構成と同一の構成部には同一の符号を附してある。この実施の形態3では、RF帯またはIF帯にスイッチ1301を設け、このスイッチ1301の切替により受信信号に時間多重された第1の信号(例えば共通パイロット信号2)を第1系統1302Aに選択出力し、第2の信号(例えばデータ信号3等のユーザデータ)を第2系統1302Bに選択出力する。
スイッチ1301を切り替えるタイミングについては、前述したように信号処理部30がそれぞれの信号の受信タイミングを取得してそのタイミングに基づいて切り替える。信号処理部30は、第1系統1302Aについては、スイッチ1301により導かれた信号のうち、第1の信号が入力されている時間に対応するデジタル値を用いて電力を算出し、AGC制御用の信号を生成して、この第1系統1302Aに設けられた増幅器1303に対する利得制御を行う。第2系統1302Bについては、スイッチ1301により導かれた信号のうち、第2の信号が入力されている時間に対応するデジタル値を用いて電力を算出し、AGC制御用の信号を生成して、この第2系統1302Bに設けられた増幅器1304に対する利得制御を行う。
上記の構成により、第1の系統1302Aおよび第2の系統1302Bに設けられるADC26,27や図示しない素子にそれぞれ想定外の受信レベルの信号が入力されることを防止し、保護できるようになる。なお、スイッチ1301は、RF帯に設けることもできる。この場合スイッチ1301をミキサ17の前段に設け、第1系統1302Aと第2系統1302Bにそれぞれミキサ17,17と増幅器1303,1304を設けることにより、上記同様のAGC制御を行うことができる。
以上説明した全ての実施の形態は、無線信号の1フレームとして例えば1ms以下の時間長を有した伝送方式を採用し、かつ、第1の信号(共通パイロット信号2)、第2の信号(データ信号3等のユーザデータ)が同一の送信主体から同一の受信主体に対して送信されている場合に特に好適に用いることができる。無線受信機に設けられるRF部と、IF部と、BB部は、各種信号に対して共通のものを用いるのが一般的である。このような構成において、AGC制御も第1の信号、第2の信号を区別せずに電力測定した結果を用いて共通のAGC制御を行い、1フレームの時間長が1ms以下となると各種信号に対応してそれぞれAGC制御を施すことが困難となる。この点、この発明の上記各実施の形態によれば、第1の信号と第2の信号の一方に対する他方の送信電力の変化の頻度や変化の割合が大きく、第1の信号と第2の信号が共通の送信元から共通の送信先へ共通の周波数で時間多重され送信された場合であっても、第1の信号と第2の信号を区別して電力測定し、第1の信号と第2の信号をそれぞれAGC制御できるようになる。
また、信号処理部30は、再び第1の信号と第2の信号を多重した状態として処理(または出力)する際には、第1系統と第2系統のADC26,27の出力の第1の信号部分と第2の信号部分それぞれのデジタル値を元の順で多重することで利用することができる。具体的には、第3図の共通パイロット信号2と、第4図のデータ信号3の部分が多重されることになる。
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、種々変更可能である。例えば、共通パイロット信号や、個別のデータ信号に用いるスロット数は、フレームフォーマットに応じて種々選択することができる。
以上説明したように、本発明によれば、フレーム内でタイムスロット毎に電力差が生じても安定した利得制御を行うことができるため、利得制御後の信号が入力されるADCやアナログデバイスを安定して動作させることができるようになる。これにより、信号の飽和やS/N劣化を防止して受信したデータに対する適切な信号処理が行え、受信品質を向上できるという効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
以上のように本発明は、フレーム内でタイムスロット毎に電力差が生じても安定した利得制御を行うための無線受信機を提供することに適している。また、本発明は、フレーム内でタイムスロット毎に電力差が生じても安定した利得制御を行うための自動利得制御方法を提供することに適している。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の信号と第2の信号が時間多重され、前記第1の信号と前記第2の信号の電力が異なることがある無線信号を受信する無線受信機において、
前記第1の信号と前記第2の信号についてそれぞれ異なる利得で利得制御する利得制御手段を備えたことを特徴とする無線受信機。
【請求項2】
受信した前記無線信号のフレーム構成を維持した状態で2分岐して出力する分岐手段と、
前記分岐手段により分岐した前記フレームのうち、前記第1の信号に対する利得制御を行う第1の利得制御手段と、
前記第1の利得制御手段と並列に配置され、前記分岐手段により分岐した前記フレームのうち前記第2の信号に対する利得制御を、前記第1の利得制御手段と並行して行う第2の利得制御手段と、
前記第1の信号の電力と前記第2の信号の電力を検出し、前記第1の利得制御手段と前記第2の利得制御手段にそれぞれ適切となる利得制御値を算出し、該利得制御値を前記第1の利得制御手段と前記第2の利得制御手段に出力する受信電力算出手段と、
前記第1の利得制御手段の出力から前記フレームに含まれる前記第1の信号を選択し、前記第2の利得制御手段の出力から前記フレームに含まれる前記第2の信号を選択して信号処理する信号処理手段と、
を備えたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の無線受信機。
【請求項3】
受信した前記無線信号のフレーム構成を維持した状態で2分岐して出力する分岐手段と、
前記分岐手段により分岐した前記フレームのうち、所定の値より電力が大きなタイムスロットに対する利得制御を行う大電力用の利得制御手段と、
前記大電力用の利得制御手段と並列に配置され、前記分岐手段により分岐した前記フレームのうち、前記所定の値より電力が小さなタイムスロットに対する利得制御を、前記大電力用の利得制御手段と並行して行う小電力用の利得制御手段と、
前記電力が大きなタイムスロットの電力と前記電力が小さなタイムスロットの電力を検出し、前記大電力用の利得制御手段と前記小電力用の利得制御手段にそれぞれ適切となる利得制御値を算出し、該利得制御値を前記大電力用の利得制御手段と前記小電力用の利得制御手段に出力する受信電力算出手段と、
前記大電力用の利得制御手段の出力から前記フレームに含まれる前記大電力のタイムスロットに含まれる信号を選択し、前記小電力用の利得制御手段の出力から前記小電力のタイムスロットに含まれる信号を選択して信号処理する信号処理手段と、
を備えたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の無線受信機。
【請求項4】
受信した前記無線信号に対し、タイムスロット単位で利得制御を行う利得制御手段と、
受信した前記無線信号を構成するタイムスロットの電力を逐次検出し、各タイムスロットに対応した時間単位で電力が適切な値となるよう時分割に利得制御値を算出し、該利得制御値を前記利得制御手段に出力する受信電力算出手段と、
を備えたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の無線受信機。
【請求項5】
前記受信電力算出手段は、前記無線信号に含まれる複数のタイムスロットのうち、電力が大きく変化するタイムスロットを検出する検出手段を備え、前記検出手段により検出された電力が大きく変化するタイムスロットを単位として利得制御を行うことを特徴とする請求の範囲第4項に記載の無線受信機。
【請求項6】
前記受信電力算出手段は、前記無線信号について複数フレーム分の同期をとったときに各フレームの同一タイムスロットについての平均電力を算出し、該算出した平均電力に基づく利得制御値を前記利得制御手段に出力することを特徴とする請求の範囲第2項〜請求の範囲第4項のいずれか一つに記載の無線受信機。
【請求項7】
前記受信電力算出手段は、前記無線信号のフレームの同期がとれない期間は、該フレームに含まれる各タイムスロットについて予め定めた所定の利得制御値を前記利得制御手段に出力することを特徴とする請求の範囲第2項〜請求の範囲第4項のいずれか一つに記載の無線受信機。
【請求項8】
前記受信電力算出手段は、前記利得制御手段の後段に配置され、該利得制御手段により利得制御された後の前記フレームのデータをAD変換するAD変換手段に対する適切な入力レベル、あるいは適切な出力レベルに基づいて前記利得制御値を算出することを特徴とする請求の範囲第2項〜請求の範囲第4項のいずれか一つに記載の無線受信機。
【請求項9】
前記受信電力算出手段は、前記利得制御手段の後段に配置され、該利得制御手段により利得制御された後の前記フレームのデータを信号処理するアナログデバイスに対する適切な入力レベル、あるいは適切な出力レベルに基づいて前記利得制御値を算出することを特徴とする請求の範囲第2項〜請求の範囲第4項のいずれか一つに記載の無線受信機。
【請求項10】
第1の信号と第2の信号が時間多重され、前記第2の信号の電力がコード多重数に基づき異なることがある無線信号を受信して利得を自動調整する自動利得制御方法であって、
受信した前記無線信号のフレーム内でタイムスロット毎に異なる電力に対応して各タイムスロット毎に受信する前記第1の信号の電力と前記第2の信号の電力とが一定な値となるよう利得制御する利得制御工程を含むことを特徴とする自動利得制御方法。
【請求項11】
受信した前記フレームの前記第1の信号に対する利得制御を行う第1の利得制御工程と、
前記第1の信号用の利得制御工程と並行して前記フレームの前記第2の信号に対する利得制御を行う第2の利得制御工程と、
前記第1の信号の電力と前記第2の信号の電力を検出し、前記第1の信号と前記第2の信号とにそれぞれ適切となる利得制御値を算出し、該利得制御値を前記第1の利得制御工程と前記第2の利得制御工程にそれぞれ出力する受信電力算出工程と、
前記第1の利得制御工程の実行による出力から前記フレームに含まれる前記第1の信号を選択し、前記第2の利得制御工程の実行による出力から前記フレームに含まれる前記第2の信号を選択して信号処理する信号処理工程と、
を含むことを特徴とする請求の範囲第10項に記載の自動利得制御方法。
【請求項12】
受信した前記フレームのうち、所定の値より電力が大きなタイムスロットに対する利得制御を行う大電力用の利得制御工程と、
前記大電力用の利得制御工程と並行して前記フレームのうち、前記所定の値より電力が小さなタイムスロットに対する利得制御を行う小電力用の利得制御工程と、
前記電力が大きなタイムスロットの電力と前記電力が小さなタイムスロットの電力を検出し、前記大電力用の利得制御工程と前記小電力用の利得制御工程にそれぞれ適切となる利得制御値を算出し、該利得制御値を前記大電力用の利得制御工程と前記小電力用の利得制御工程に出力する受信電力算出工程と、
前記大電力用の利得制御工程の実行による出力から前記フレームに含まれる前記大電力のタイムスロットに含まれる信号を選択し、前記小電力用の利得制御工程の実行による出力から前記小電力のタイムスロットに含まれる信号を選択して信号処理する信号処理工程と、
を含むことを特徴とする請求の範囲第10項に記載の自動利得制御方法。
【請求項13】
受信した前記フレームに対し、タイムスロット単位で利得制御を行う利得制御工程と、
受信した前記フレームを構成するタイムスロットの電力を逐次検出し、各タイムスロットに対応した時間単位で電力が適切な値となるよう時分割に利得制御値を算出し、該利得制御値を前記利得制御工程に出力する受信電力算出工程と、
を含むことを特徴とする請求の範囲第10項に記載の自動利得制御方法。
【請求項14】
前記受信電力算出工程は、前記フレームに含まれる複数のタイムスロットのうち、電力が大きく変化するタイムスロットを検出する検出工程を含み、前記検出工程により検出された電力が大きく変化するタイムスロットを単位として利得制御を行うことを特徴とする請求の範囲第13項に記載の自動利得制御方法。
【請求項15】
前記受信電力算出工程は、前記フレームについて複数フレーム分の同期をとったときに各フレームの同一タイムスロットについての平均電力を算出し、該算出した平均電力に基づく利得制御値を前記利得制御工程に出力することを特徴とする請求の範囲第11項〜請求の範囲第13項のいずれか一つに記載の自動利得制御方法。
【請求項16】
前記受信電力算出工程は、前記フレームの同期がとれない期間は、該フレームに含まれる各タイムスロットについて予め定めた所定の利得制御値を前記利得制御工程に出力することを特徴とする請求の範囲第11項〜請求の範囲第13項のいずれか一つに記載の自動利得制御方法。
【請求項17】
前記受信電力算出工程は、受信した前記フレームのデータをAD変換するAD変換手段に対する適切な入力レベル、あるいは適切な出力レベルに基づいて前記利得制御値を算出することを特徴とする請求の範囲第11項〜請求の範囲第13項のいずれか一つに記載の自動利得制御方法。
【請求項18】
前記受信電力算出工程は、受信した前記フレームのデータを信号処理するアナログデバイスに対する適切な入力レベル、あるいは適切な出力レベルに基づいて前記利得制御値を算出することを特徴とする請求の範囲第11項〜請求の範囲第13項のいずれか一つに記載の自動利得制御方法。

【国際公開番号】WO2005/011165
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【発行日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504575(P2005−504575)
【国際出願番号】PCT/JP2003/009484
【国際出願日】平成15年7月25日(2003.7.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】