説明

無線警備システム

【課題】簡易な構成により、警備用端末装置に警備用コントローラからの受信信号の感度を正確に表示可能な無線警備システムを提供する。
【解決手段】警備用端末装置と警備用コントローラとが無線により接続された無線警備システムであって、警備用端末装置は、センサ部と、受信感度を表示可能な表示部と、入力側に前記センサ部が接続されると共に出力側に前記表示部が接続された端末制御部と、該端末制御部で処理された信号を無線で前記警備用コントローラに送信可能な送受信部とを備え、端末制御部は、特殊モードに設定された際に、送受信部を介して特殊信号を警備用コントローラに送信すると共に、警備用コントローラから特殊モードであることを示す認識信号が返信された際に、該認識信号の感度を前記表示部に表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警備用端末装置と警備用コントローラとが無線で接続された無線警備システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、警備用端末装置(以下、端末装置という)が警備用コントローラ(以下、コントローラという)に無線で接続された無線警備システムとしては、例えば特許文献1に開示されている。この無線警備システムは、図4に示すように、端末装置102(無線センサ装置)及びコントローラ103(無線基地局)を備え、端末装置102は、図4(a)に示すように、センサ部104と、コントローラ103との間でデータのやり取りを行う無線送受信部105と、コントローラ103に対してサンプル信号を送信するサンプル信号送信部106と、CPU107と、ブザー108及びLED109の少なくとも一方を備えている。
【0003】
また、コントローラ103は、図4(b)に示すように、端末装置102との間でデータのやり取りを行うための無線送受信部110と、サンプル信号送信部105からのサンプル信号の受信感度を検知する感度検知部111と、この感度検知部111の検知結果を端末装置に送信する感度送信部112等を備えている。そして、端末装置102のCPU107は、コントローラ103の感度送信部112から送信されるデータに基づきサンプル信号の受信感度を、ブザー108及びLED109の少なくとも一方で告知するようにしたものである。
【特許文献1】特開2007−195095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような無線警備システムにあっては、端末装置102からコントローラ103に送信されたサンプル信号を、コントローラ103の感度検知部111で検知してその感度を感度送信部112から端末装置102に返信(送信)し、この返信信号に基づき端末装置102の表示部に感度を表示する構成であるため、コントローラ103の感度検知部111で検知された感度が端末装置102に返信される際の信号の伝搬ロスにより、コントローラ103で検知した感度をそのままのレベルで表示することが困難で正確な感度の表示が難しく、例えば端末装置102の設置作業の効率化を妨げる一因となり易い。また、例えばコントローラ103に感度検知部111や感度送信部112を設けたり、端末装置102にサンプル信号送信部106等を設ける必要がある等、無線警備システムの全体構成が複雑化してコストアップを招き易い。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、簡易な構成により、警備用端末装置に警備用コントローラからの受信信号の感度を正確に表示可能な無線警備システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、警備用端末装置と警備用コントローラとが無線により接続された無線警備システムであって、前記警備用端末装置は、センサ部と、受信感度を表示可能な表示部と、入力側に前記センサ部が接続されると共に出力側に前記表示部が接続された端末制御部と、該端末制御部で処理された信号を無線で前記警備用コントローラに送信可能な送受信部とを備え、前記端末制御部は、特殊モードに設定された際に、前記送受信部を介して特殊信号を前記警備用コントローラに送信すると共に、前記警備用コントローラから特殊モードであることを示す認識信号が返信された際に、該認識信号の感度を前記表示部に表示することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、前記警備用コントローラが、コントローラ制御部及び記憶部と、前記警備用端末装置との間で無線信号の送受信が可能な送受信部とを備え、前記コントローラ制御部は、前記警備用端末装置から特殊信号を受信した際に、警備用端末装置が特殊モードであることを認識して所定レベルの前記認識信号を警備用端末装置に送信することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、前記表示部が、特殊信号が送信された後で、警備用コントローラから認識信号が受信された際に前記感度を表示し、警備用コントローラから認識信号が受信されない場合に通常の受信表示を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、警備用端末装置の端末制御部が特殊モードに設定された際に、送受信部を介して特殊信号を警備用コントローラに送信すると共に、警備用コントローラから特殊モードであることを示す認識信号が返信された際に、該認識信号の感度を表示部に表示するため、受信した認識信号のレベルをそのまま表示できて、受信信号の感度の正確な表示が可能となり、例えば警備用端末装置の設置作業を効率的に行うことができると共に、特殊信号の送受信で対応できて、構成簡易にし無線警備システムのコストアップを防ぐことができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、警備用コントローラが、警備用端末装置から特殊信号を受信した際に、警備用端末装置が特殊モードであることを認識して所定レベルの認識信号を警備用端末装置に送信するため、警備用コントローラが特殊モードを的確に認識して、その認識信号を警備用端末装置に確実に送信することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、表示部が、特殊信号が送信された後で、警備用コントローラから認識信号が受信された際に前記感度を表示し、警備用コントローラから認識信号が受信されない場合に通常の受信表示を行うため、特殊信号により特殊モードに設定された際にのみ感度を表示部に表示できて、警備用端末装置の設置等を一層効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明に係わる無線警備システムの一実施形態を示し、図1がそのブロック構成図、図2及び図3が端末装置及びコントローラの動作の一例を示すフローチャートである。
【0013】
図1に示すように、無線警備システム1は、端末装置(警備用端末装置)2と、コントローラ3(警備用コントローラ)とを備え、これらが無線4で接続されている。前記端末装置2は、例えば工場等の事務所、各種販売店等の店、あるいは一般家庭等の警備対象施設の出入り口等の所定位置に設置され、CPU5aや記憶部5b等を備えた端末制御部5を有している。
【0014】
そして、この端末制御部5の入力側には、熱線センサや各種検知スイッチ等からなるセンサ部6が接続され、端末制御部5の出力側にはLEDやブザー等からなる表示部8が接続されている。また、端末制御部5にはアンテナ9aを有する無線送受信部9が接続され、この無線送受信部9を介して、前記コントローラ3との間で各種データ等が無線信号でやり取りされるようになっている。
【0015】
前記コントローラ3は、前記警備対象施設の例えば警備員室等の所定位置に設置されて、CPU10aや記憶部10b等を備えたコントローラ制御部10を有している。このコントローラ制御部10の入力側には操作部11が接続され、その出力側には表示部12が接続されている。また、コントローラ制御部10には、前記端末装置2と無線信号をやり取り可能なアンテナ13aを有する無線送受信部13が接続されると共に、通信回線15を介して警備センタ16に接続された通報部14が接続されている。そして、このコントローラ3は、無線送受信部13を介して前記端末装置2との間で各種無線信号(各種データ)がやり取りされると共に、通報部14を介して前記警備センタとの間で各種信号がやり取りされるようになっている。
【0016】
次に、この無線警備システム1の動作の一例を図2及び図3のフローチャートに基づいて説明する。なお、図2に示すフローチャートは、前記端末装置2の端末制御部5の記憶部5bに予め記憶されたプログラムにしたがい自動的に実行され、図3に示すフローチャートは、前記コントローラ3のコントローラ制御部10の記憶部10bに予め記憶されたプログラムにしたがい自動的に実行される。先ず、端末装置2の動作は、図2に示すように、端末装置2に電源が投入されるとプログラムがスタート(S100)し、端末装置2が特殊モードか否かが判断(S101)され、この判断S101は「YES」になるまで繰返される。
【0017】
この判断S101で「YES」の場合、すなわち、例えばコントローラ3によって端末装置2が「通常モード」から「特殊モード」側に切り替えられると、特殊信号が端末装置2の無線送受信部9からコントローラ3の無線送受信部13に送信(S102)されて、特殊モード認識信号を受信したか否かが判断(S103)される。
【0018】
この判断S103は、後述するコントローラ3の動作により、コントローラ3から端末装置2に送信される特殊モード認識信号の受信の有無を判断するもので、コントローラ3から特殊モード認識信号が受信された際は、判断S103で「YES」となり、特殊モード認識信号の受信感度を表示部8に表示(S104)してエンド(S106)となる。なお、ステップS104による表示は、受信した特殊モード認識信号の受信レベル、つまり受信感度をそのまま表示し、表示部8がLEDの場合はその点灯によって、また表示部8がブザーの場合はその音(音声)によって行われるようになっている。
【0019】
一方、判断S103で「NO」の場合、すなわち、特殊信号を送信しても特殊モード認識信号が受信されない場合は、表示部8に通常の表示(S105)が行われてエンド(S106)となる。つまり、端末制御部5は、特殊モードに設定されると、特殊信号がコントローラ制御部10に送信され、コントローラ制御部10から特殊モード認識信号が受信された際に、該認識信号の受信感度が表示部8にそのまま表示されることになり、例えばこの表示により端末装置2の受信感度を確認しつつ、端末装置2の所定位置への設置や初期設定等が可能となる。
【0020】
また、前記コントローラ3の動作は、図3に示すように、プログラムがスタート(S200)すると、端末装置2を特殊モードに設定した後に、端末装置2から特殊信号が受信されたか否かが判断(S201)される。この判断S201は「YES」になるまで繰り返されて、図2のステップS102で特殊信号が送信されてそれを受信した場合は、端末装置2が特殊モードであることを認識(S202)し、特殊モード認識信号が端末装置2に送信(S203)されてエンド(S204)となる。つまり、コントローラ制御部10は、端末装置2から特殊信号を受信してそれを認識した際に、端末装置2の受信感度確認用の信号である所定レベルの特殊モード認識信号を端末装置2に送信することになる。
【0021】
このように、上記実施形態の無線警備システム1にあっては、端末装置2の端末制御部5が、コントローラ3により特殊モードに設定された際に、無線送受信部9を介して特殊信号をコントローラ3に送信すると共に、コントローラ3から特殊モードであることを示す認識信号が返信された際に、該認識信号の感度を表示部8に表示するため、受信した認識信号のレベルをそのまま表示できて、受信信号の感度の正確な表示が可能となり、例えば端末装置2の設置作業を効率的に行うことができる。
【0022】
特に、コントローラ3が、端末装置2から特殊信号を受信した際に、端末装置2が特殊モードであることを認識して所定レベルの認識信号を端末装置2に送信するため、コントローラ3が特殊モードを的確に認識して、その認識信号を端末装置2に確実に送信することができる。また、端末装置2の表示部8が、特殊信号が送信された後で、コントローラ3から認識信号が受信された際に感度を表示し、コントローラ3から認識信号が受信されない場合に通常の受信表示を行うため、特殊信号により特殊モードに設定された際にのみ感度を表示部8に表示でき、これらにより、端末装置2の設置等を一層効率的に行うことが可能となる。
【0023】
また、端末制御部5とコントローラ制御部10との間で特殊信号を送受信することにより対応できるため、従来のようにコントローラ制御部に感度検知部等を専用に設けることなく対応できると共に、信号の伝搬ロス等に最深の注意を払う必要がなくなり、構成簡易にして無線警備システム1のコストアップを防ぐことができる。
【0024】
なお、上記実施形態における、端末制御部5やコントローラ制御部10の構成、及びこれらの動作は一例であって、例えば上記したフローチャートと同様の作用効果が得られる他のフローチャートを採用する等、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、警備用端末装置と警備用コントローラとが無線で接続された全ての無線警備システムに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係わる無線警備システムの一実施形態を示すブロック構成図
【図2】同警備用端末装置の動作の一例を示すフローチャート
【図3】同警備用コントローラの動作の一例を示すフローチャート
【図4】従来の無線警備システムのブロック図
【符号の説明】
【0027】
1・・・無線警備システム、2・・・警備用端末装置、3・・・警備用コントローラ、4・・・無線、5・・・端末制御部、5a・・・CPU、5b・・・記憶部、6・・・センサ部、8・・・表示部、9・・・無線送受信部、10・・・コントローラ制御部、10a・・・CPU、10b・・・記憶部、11・・・操作部、12・・・表示部、13・・・送受信部、14・・・通報部、15・・・通信回線、16・・・警備センタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
警備用端末装置と警備用コントローラとが無線により接続された無線警備システムであって、
前記警備用端末装置は、センサ部と、受信感度を表示可能な表示部と、入力側に前記センサ部が接続されると共に出力側に前記表示部が接続された端末制御部と、該端末制御部で処理された信号を無線で前記警備用コントローラに送信可能な送受信部とを備え、前記端末制御部は、特殊モードに設定された際に、前記送受信部を介して特殊信号を前記警備用コントローラに送信すると共に、前記警備用コントローラから特殊モードであることを示す認識信号が返信された際に、該認識信号の感度を前記表示部に表示することを特徴とする無線警備システム。
【請求項2】
前記警備用コントローラが、コントローラ制御部及び記憶部と、前記警備用端末装置との間で無線信号の送受信が可能な送受信部とを備え、前記コントローラ制御部は、前記警備用端末装置から特殊信号を受信した際に、警備用端末装置が特殊モードであることを認識して所定レベルの前記認識信号を警備用端末装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の無線警備システム。
【請求項3】
前記表示部は、特殊信号が送信された後で、警備用コントローラから認識信号が受信された際に前記感度を表示し、警備用コントローラから認識信号が受信されない場合に通常の受信表示を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の無線警備システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−230240(P2009−230240A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72069(P2008−72069)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000101400)アツミ電氣株式会社 (69)
【Fターム(参考)】