説明

無線通信装置、RFタグリーダ/ライタおよびプリンタ

【課題】 媒体に備えられたRFタグの場所やRFタグのラベル端からの位置がばらついている場合であっても、確実にRFタグへの読み込み/書き込みを行うことができる無線通信装置、RFタグリーダ/ライタおよびプリンタを提供する。
【解決手段】 媒体搬送を一時停止させた状態でRFタグTの読み込み/書き込みを行う際に、RFタグTに対する読み込み/書き込みができなかったと判定された場合、移動手段によりアンテナ7aの放射素子21の位置を移動して放射素子21から放射される電波方向を変更する。これにより、媒体2に備えられたRFタグTの場所やRFタグTの印字ラベル2bのラベル端からの位置がばらついている場合であっても、確実にRFタグTへの読み込み/書き込みを行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFタグの読み込み/書き込みを行う無線通信装置、RFタグリーダ/ライタおよびプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency IDentification)と称される技術において用いられるものであり、ICタグとも呼ばれているRFタグが広く普及しつつある。このようなRFタグは、電波を利用することにより非接触でデータを読み書きすることができるとともに、そのタグ自体が隠れていても読み書きすることができることから、各種分野において使用されている。
【0003】
このようなRFタグとしては、印字可能なラベルに内蔵されたラベルタイプのものが知られている。特許文献1には、このようなラベルタイプのRFタグ内に無線通信により情報を読み込み/書き込みする機能と、RFタグを内蔵したラベル表面に印字を行う機能を備えているRFタグラベルプリンタが記載されている。
【0004】
このようなRFタグラベルプリンタは、台紙に貼り付けられているラベル端を検出し、ラベル端からの搬送距離に従って、ラベルへの印字やRFタグの読み取り/書き込みを行っている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−96814公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、RFタグを内蔵したラベルは台紙に連続して貼り付けられており、ラベルの仕様が異なれば、RFタグのラベル端からの位置も異なることになる。また、ラベルに内蔵されるRFタグのラベル端からの位置は、製造時にばらつくこともある。
【0007】
このようにラベル端からの位置にばらつきが生じているRFタグを用いた場合、RFタグラベルプリンタは、所望のRFタグと通信できず、RFタグの読み取り/書き込みを行うことができない。
【0008】
本発明は、媒体に備えられたRFタグの場所やRFタグのラベル端からの位置がばらついている場合であっても、確実にRFタグへの読み込み/書き込みを行うことができる無線通信装置、RFタグリーダ/ライタおよびプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、搬送される媒体に備えられたRFタグの読み込み/書き込みを行う無線通信装置において、搬送される前記媒体に備えられた前記RFタグが通過する領域に対向する位置に放射素子を配置して電波の送受信を行うアンテナと、このアンテナを介して前記RFタグとの通信を行う送受信部と、前記アンテナに接続されていて、前記放射素子の位置を移動させる移動手段と、前記RFタグに対して読み込み/書き込みを行う際に、前記移動手段により前記放射素子の位置を移動して前記放射素子から放射される電波方向を変更する電波方向変更手段と、を備える。
【0010】
したがって、RFタグに対して読み込み/書き込みを行う際に、移動手段によりアンテナの放射素子の位置が移動されて放射素子から放射される電波方向が変更される。
【0011】
本発明は、搬送される媒体に備えられたRFタグの読み込み/書き込みを行う無線通信装置において、搬送される前記媒体に備えられた前記RFタグが通過する領域に対向する位置に放射素子を配置して電波の送受信を行うアンテナと、このアンテナを介して前記RFタグとの通信を行う送受信部と、前記アンテナに接続されていて、前記放射素子の位置を移動させる移動手段と、前記RFタグに対する読み込み/書き込みができたか否かを判定する判定手段と、この判定手段により前記RFタグに対する読み込み/書き込みができなかったと判定された場合、前記移動手段により前記放射素子の位置を移動して前記放射素子から放射される電波方向を変更する電波方向変更手段と、を備える。
【0012】
したがって、媒体搬送を一時停止させた状態でRFタグの読み込み/書き込みを行う際に、RFタグに対する読み込み/書き込みができなかったと判定された場合、移動手段によりアンテナの放射素子の位置が移動されて放射素子から放射される電波方向が変更される。
【0013】
本発明は、搬送される媒体に備えられたRFタグの読み込み/書き込みを行う無線通信装置において、前記媒体が搬送される搬送面を形成する搬送板と、前記搬送面を搬送される前記媒体に備えられた前記RFタグが通過する領域に対向する位置に放射素子を配置して電波の送受信を行うアンテナと、このアンテナを介して前記RFタグとの通信を行う送受信部と、前記搬送板の前記放射素子に対向する位置に設けられ、前記送受信部と前記RFタグとの間の通信に伴い出力される電波が通過可能であって少なくとも前記放射素子よりも大きな電波通過部と、前記アンテナに接続されていて、前記放射素子の位置を移動させる移動手段と、前記RFタグに対する読み込み/書き込みができたか否かを判定する判定手段と、この判定手段により前記RFタグに対する読み込み/書き込みができなかったと判定された場合、前記移動手段により前記放射素子の位置を移動して前記放射素子から放射される電波方向を前記電波通過部の範囲で変更する電波方向変更手段と、を備える。
【0014】
したがって、媒体搬送を一時停止させた状態でRFタグの読み込み/書き込みを行う際に、RFタグに対する読み込み/書き込みができなかったと判定された場合、移動手段によりアンテナの放射素子の位置が移動されて放射素子から放射される電波方向が搬送板の電波通過部の範囲で変更される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、媒体に備えられたRFタグの場所やRFタグのラベル端からの位置がばらついている場合であっても、確実にRFタグへの読み込み/書き込みを行うことができる。
【0016】
本発明によれば、媒体に備えられたRFタグの場所やRFタグのラベル端からの位置がばらついている場合であっても、搬送板の電波通過部上にRFタグがあれば、確実にRFタグへの読み込み/書き込みを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の一形態を図1ないし図9に基づいて説明する。本実施の形態のプリンタは、ラベルプリンタに適用されている。
【0018】
ここで、図1は本実施の形態のラベルプリンタ1の構造を概略的に示す縦断側面図、図2はラベルプリンタ1の各部の電気的接続を示すブロック図である。図1に示すように、ラベルプリンタ1には、媒体であるロール状に巻回されたラベル用紙2をロール状態から搬送方向Aに向けて引き出して搬送するプラテンローラ3、インクリボン4、プラテンローラ3に対向して配設されてロール状態から引き出されたラベル用紙2に対してインクリボン4を介して所定事項を印字する印字ヘッドでありライン状に配列された多数の抵抗発熱体(図示せず)を有するサーマルヘッド5などが配置されている。インクリボン4はサーマルヘッド5に圧接するように配設されていて、ラベル用紙2を間にしてプラテンローラ3に圧接する。
【0019】
このようなラベルプリンタ1には、図2に示すように、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)11が備えられており、このCPU11からのシステムバス12には、フラッシュメモリで構成されたROM(Read Only Memory)13が接続されている。このROM13には、ラベルプリンタ1を動作させるための各種のプログラムが記憶されている。すなわち、ROM13はプログラムを記憶する記憶媒体である。加えて、CPU11からのシステムバス12には、ROM13に記憶されているプログラムを展開する等の各種作業エリアとして機能する記憶部であるRAM(Random Access Memory)14も接続されている。すなわち、CPU11は、ROM13に格納されたプログラムに従い、RAM14をワークエリアとして利用しつつ各種の処理を実行する。また、CPU11からのシステムバス12には、サーマルヘッド5、無線通信部7、プラテンローラ3を回転させてラベル用紙2を搬送するとともにインクリボン4を搬送するためのステッピングモータ15、外部機器から出力された印字データやRFタグTに記憶する記憶データを入力するための通信インタフェース(I/F)16、モータ等のアンテナ駆動部17も接続されている。
【0020】
アンテナ駆動部17は、後述する無線通信部7のアンテナ7aに対して駆動機構(図示せず)を介して接続されている。詳細は後述するが、アンテナ駆動部17の駆動により、無線通信部7のアンテナ7aの位置が移動することになる。
【0021】
すなわち、本実施の形態の無線通信装置は、電波の送受信を行うアンテナ7aとRFタグT(図4参照)との通信を行う送受信部7bを含む無線通信部7と、アンテナ7aの放射素子21(図5参照)の位置を移動させる移動手段としてのアンテナ駆動部17と、アンテナ駆動部17を駆動制御するCPU11、ROM13、RAM14によって構成される。
【0022】
次に、ラベルプリンタ1に使用されるラベル用紙2について説明する。ここで、図3はラベル用紙2を示す斜視図、図4はその断面図である。図3に示すように、ラベル用紙2は、台紙2a上に多数の印字ラベル2bを有しており、このような台紙2aはコア2cに巻装されておりロール状に形成されている。また、図4に示すように、ラベル用紙2に保持される印字ラベル2bには、RFタグTが埋め込まれている。RFタグTと印字ラベル2bは一体になっており、印字後に台紙2aから剥がすことが可能であり、剥がした後に他の物に貼り付けることができるようになっている。このようなRFタグTは、RFID(Radio Frequency IDentification)と称される技術において用いられるものであり、ICタグとも呼ばれているものである。RFタグTは、特に図示しないが、IDやその他のデータを記憶する記憶部を含むICチップと、データを無線で送信できるアンテナとを主体に構成されている。なお、無線通信部7との間の無線通信方式としては、静電結合方式、電磁結合方式、電磁誘導方式、マイクロ波方式等、いずれの方式であってもよい。
【0023】
このようなラベルプリンタ1のCPU11による基本的な処理動作について簡単に説明する。CPU11は、通信I/F16を介して入力された印字データに従いサーマルヘッド5のライン状に配列された抵抗発熱体を選択的に通電加熱してインクリボン4のインクを溶融又は昇華することでラベル用紙2の印字ラベル2bに対する主走査方向の印字を行い、ステッピングモータ15の駆動によるプラテンローラ3の回転に伴うラベル用紙2の搬送方向Aに向けた搬送によって生ずるサーマルヘッド5に対するラベル用紙2の移動によって副走査方向の印字を行う。また、CPU11は、インクリボン4をステッピングモータ15からの駆動力により回転駆動させ、使用済のインクリボン4を巻取軸4aで巻き取るようにしている。すなわち、プラテンローラ3とインクリボン4とサーマルヘッド5とにより、印字部が構成されている。また、プラテンローラ3とステッピングモータ15とにより、搬送手段が構成されている。
【0024】
また、このようにしてステッピングモータ15の駆動に従って搬送方向Aに向けて送り出されて印字処理されるラベル用紙2は、その搬送途中で無線通信部7を通過する。この際、CPU11は、通信I/F16を介して入力されたRFタグTに記憶する記憶データを、無線通信部7により印字ラベル2bに埋め込まれているRFタグTに書き込む。
【0025】
次に、無線通信部7について詳述する。無線通信部7は、一般的には、アンテナ7aと送受信部7b(図2参照)で構成されており、送受信部7bはCPU11付近にあってもよいし、アンテナ7a付近にあってもよい。ここで、図5は無線通信部7のアンテナ7a付近の構成を示す分解斜視図、図6は無線通信部7のアンテナ7aとラベル用紙2上のRFタグTとの関係を示す平面図である。図5に示すように、無線通信部7のアンテナ7a付近は、アンテナ7aと、搬送板8とで構成されている。これらアンテナ7aと、搬送板8とは、一体化されていても良いし、アンテナ7a上に搬送板8が後付けされたものであっても良い。図6に示すように、ラベル用紙2の台紙2aは、搬送板8上を搬送される。この搬送板8の略中央部には、少なくともアンテナ7aの放射素子21よりも大きなスリットSが形成されている。そして、このスリットSの下方には、アンテナ7aが配置されている。このアンテナ7aは、搬送面を搬送されるラベル用紙2に備えられたRFタグTが通過する領域に対向する位置に配置されて電波の送受信を行うものである。アンテナ7aは、出力される電波が強くなる方向を、搬送板8上を搬送されるラベル用紙2に備えられたRFタグTに向けて備えられている。すなわち、このスリットSは、送受信部7bとRFタグTとの間の通信に伴い出力される電波が通過可能であって少なくとも放射素子21よりも大きな電波通過部として機能する。
【0026】
無線通信部7のアンテナ7aは、平面パッチアンテナであって、アンテナの下面は全面グランドになっている。アンテナ7aは、放射面である上面の放射素子21から電波を放射し、上方に電波を強く出力する特性がある。このアンテナ7a上面の放射素子21の端部の給電点Xには、同軸ケーブル20の芯線が接続されており、下面のグランドには同軸ケーブル20の外部導体が接続されている。この同軸ケーブル20のもう一方の端は、通信制御等を行う送受信部7bに接続されている。なお、アンテナ7aのグランド部分を頑強にして、ラベルプリンタ1の機械的な強度を保つための支柱と兼用してもよい。
【0027】
搬送板8は金属により形成されており、この搬送板8の略中央部にはスリットSが形成されている。このスリットSは、アンテナ7aに対向する位置に形成されている。すなわち、アンテナ7aに対して送受信される電波は、搬送板8のスリットSを通過する。
【0028】
加えて、図5に示すように、アンテナ7aの下面の中央付近には、軸22がスリットSの長手方向と平行に接合されている。なお、アンテナ7aの下面が全面グランドであるため、軸22の部材が金属であってもアンテナ7aの特性に影響を与えない。この軸22は、前述したアンテナ駆動部17に駆動機構を介して接続されており、CPU11の制御に従ってアンテナ駆動部17が軸22を回動させることによって搬送板8に対するアンテナ7aの角度を変更することができる。すなわち、アンテナ駆動部17と駆動機構と軸22とによって、アンテナ7aの放射素子21の位置を移動させる移動手段が構成されている。
【0029】
次に、ラベルプリンタ1に内蔵されたROM13に格納されたプログラムがCPU11に実行させる機能のうち、本実施の形態のラベルプリンタ1が備える特長的な機能について説明する。
【0030】
ここで、ラベルプリンタ1のCPU11が実行するアンテナ移動処理について説明する。図7はアンテナ移動処理を含む書き込み処理の流れを示すフローチャート、図8はアンテナ7aの移動範囲を示す側面図である。なお、ここでは、RFタグTに対する書き込み処理の際のアンテナ移動処理のみについて説明するが、RFタグTに対する読み取り処理の際においても同様のアンテナ移動処理が実行されることは言うまでもない。
【0031】
CPU11は、書き込み処理を開始すると、アンテナ駆動部17を駆動してアンテナ7aの軸22を回転させることによってアンテナ7aを位置Aに移動させ(ステップS1)、搬送面を搬送されるラベル用紙2に備えられたRFタグTに対する位置Aでの書き込み処理を実行する(ステップS2)。このようにアンテナ7aが位置Aにある場合、図8に示すように、RFタグTの書き込み範囲は搬送板8のスリットSにおいてラベル用紙2の搬送方向上流側になる。なお、本実施の形態のラベルプリンタ1においては、搬送手段によるラベル用紙2の搬送を一時停止させた状態でRFタグTに対する書き込み/読み取り処理を実行する。
【0032】
その後、搬送面を搬送されるラベル用紙2に備えられたRFタグTへの書き込みが正しく行われたかを確認するために、RFタグTが記憶している情報を読み取り、書き込んだ情報と比較して、書き込みOKであったかを判定する(ステップS3:判定手段)。
【0033】
書き込みがOKであったことを確認すると(ステップS3のY)、書き込み成功となり、ラベル用紙2に備えられたRFタグTへの書き込み処理は終了する。
【0034】
一方、書き込みがOKでないことを確認すると(ステップS3のN)、CPU11は、アンテナ駆動部17を駆動してアンテナ7aの軸22を回転させることによってアンテナ7aを位置Bに移動させ(ステップS4:電波方向変更手段)、搬送面を搬送されるラベル用紙2に備えられたRFタグTに対する位置Bでの書き込み処理を実行する(ステップS5)。このようにアンテナ7aが位置Bにある場合、図8に示すように、RFタグTの書き込み範囲は搬送板8のスリットSの中央付近になる。
【0035】
その後、搬送面を搬送されるラベル用紙2に備えられたRFタグTへの書き込みが正しく行われたかを確認するために、RFタグTが記憶している情報を読み取り、書き込んだ情報と比較して、書き込みOKであったかを判定する(ステップS6:判定手段)。
【0036】
書き込みがOKであったことを確認すると(ステップS6のY)、書き込み成功となり、ラベル用紙2に備えられたRFタグTへの書き込み処理は終了する。
【0037】
一方、書き込みがOKでないことを確認すると(ステップS6のN)、CPU11は、アンテナ駆動部17を駆動してアンテナ7aの軸22を回転させることによってアンテナ7aを位置Cに移動させ(ステップS7:電波方向変更手段)、搬送面を搬送されるラベル用紙2に備えられたRFタグTに対する位置Cでの書き込み処理を実行する(ステップS8)。このようにアンテナ7aが位置Bにある場合、図8に示すように、RFタグTの書き込み範囲は搬送板8のスリットSにおいてラベル用紙2の搬送方向下流側になる。
【0038】
その後、搬送面を搬送されるラベル用紙2に備えられたRFタグTへの書き込みが正しく行われたかを確認するために、RFタグTが記憶している情報を読み取り、書き込んだ情報と比較して、書き込みOKであったかを判定する(ステップS9:判定手段)。
【0039】
書き込みがOKであったことを確認すると(ステップS9のY)、書き込み成功となり、ラベル用紙2に備えられたRFタグTへの書き込み処理は終了する。
【0040】
一方、書き込みがOKでないことを確認すると(ステップS9のN)、CPU11は、このルーチンをn回実行したか否かを判断する(ステップS10)。ここで、n回は、予め設定しておいた書き込みの最大リトライ回数である。
【0041】
このルーチンをn回実行していないときは(ステップS10のN)、このルーチンの先頭(ステップS1:電波方向変更手段)に戻り、アンテナ7aを位置Aに移動して再度書き込みを実行する。
【0042】
このルーチンをn回実行しても書き込みができなかった場合は(ステップS10のY)、書き込み失敗となり、書き込み処理を終了する。
【0043】
このようにすることにより、ラベル用紙2に備えられたRFタグTの場所がばらついても、搬送板8のスリットS上にRFタグTがあれば、確実にRFタグTへの書き込みを行うことができる。
【0044】
なお、アンテナ7aの移動範囲は、アンテナ7aが位置Aから位置Bを経由する位置Cの範囲であり、1回転はしない。このようにすることにより、アンテナ7aに接続した同軸ケーブル20がねじれてしまうことを防止することができる。
【0045】
このように本実施の形態によれば、搬送手段による用紙搬送を一時停止させた状態でRFタグTの読み込み/書き込みを行う際に、RFタグTに対する読み込み/書き込みができなかったと判定された場合、移動手段によりアンテナ7aの放射素子21の位置が移動されて放射素子21から放射される電波方向が変更される。これにより、ラベル用紙2に備えられたRFタグTの場所やRFタグTの印字ラベル2bのラベル端からの位置がばらついている場合であっても、確実にRFタグTへの読み込み/書き込みを行うことができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、アンテナ7aの移動位置を位置A、位置B、位置Cの3ヶ所としたが、これに限るものではない。
【0047】
また、本実施の形態では、アンテナ駆動部17を駆動してアンテナ7aの軸22を回転させることによってアンテナ7aを移動させるようにしたが、これに限るものではない。例えば、図9に示すように、ラベル用紙2(RFタグT)の搬送方向に平行な方向にアンテナ7aを移動させ、位置A’、位置B’、位置C’の間を往復するようにしても良い。この場合には、アンテナ7aに軸22を設ける代わりに、ラベル用紙2の搬送方向に平行な方向にアンテナ7aを往復動させる平行移動機構を設けて、この平行移動機構をアンテナ駆動部17で駆動するようにすれば良い。このようにすることにより、ラベル用紙2に備えられたRFタグTの場所がばらついても、搬送板8のスリットS上にRFタグTがあれば、確実にRFタグTへの書き込みを行うことができる。
【0048】
また、本実施の形態では、アンテナ7aを平面パッチアンテナとして説明したが、これに限るものではなく、ダイポールアンテナ、八木アンテナ、ホーンアンテナ、ループアンテナ等であってもよい。
【0049】
また、本実施の形態においては、媒体としてRFタグTを備えたラベル用紙2を適用したが、これに限るものではない。例えば、媒体としてプラスチックや樹脂等で形成されたカード、ラベル、シール等を適用し、この媒体に備えられたRFタグについて読み込み/書き込みを行うものであっても良い。
【0050】
さらに、本実施の形態においては、無線通信部7を備えるラベルプリンタ1について説明したが、これに限るものではない。印字部を備えずに、RFタグTを備えている媒体を搬送する搬送手段と無線通信部7とを備えるRFタグリーダ/ライタであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の一形態のラベルプリンタの構造を概略的に示す縦断側面図である。
【図2】ラベルプリンタの各部の電気的接続を示すブロック図である。
【図3】ラベル用紙を示す斜視図である。
【図4】その断面図である。
【図5】無線通信部のアンテナ付近の構成を示す分解斜視図である。
【図6】無線通信部のアンテナとラベル用紙上のRFタグとの関係を示す平面図である。
【図7】アンテナ移動処理を含む書き込み処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】アンテナの移動範囲を示す側面図である。
【図9】アンテナの変形例であって、そのアンテナの移動範囲を示す側面図である。
【符号の説明】
【0052】
1…プリンタ、2…媒体、3,4,5…印字部、3,15…搬送手段、7a…アンテナ、7b…送受信部、8…搬送板、21…放射素子、S…電波通過部、T…RFタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される媒体に備えられたRFタグの読み込み/書き込みを行う無線通信装置において、
搬送される前記媒体に備えられた前記RFタグが通過する領域に対向する位置に放射素子を配置して電波の送受信を行うアンテナと、
このアンテナを介して前記RFタグとの通信を行う送受信部と、
前記アンテナに接続されていて、前記放射素子の位置を移動させる移動手段と、
前記RFタグに対して読み込み/書き込みを行う際に、前記移動手段により前記放射素子の位置を移動して前記放射素子から放射される電波方向を変更する電波方向変更手段と、
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
搬送される媒体に備えられたRFタグの読み込み/書き込みを行う無線通信装置において、
搬送される前記媒体に備えられた前記RFタグが通過する領域に対向する位置に放射素子を配置して電波の送受信を行うアンテナと、
このアンテナを介して前記RFタグとの通信を行う送受信部と、
前記アンテナに接続されていて、前記放射素子の位置を移動させる移動手段と、
前記RFタグに対する読み込み/書き込みができたか否かを判定する判定手段と、
この判定手段により前記RFタグに対する読み込み/書き込みができなかったと判定された場合、前記移動手段により前記放射素子の位置を移動して前記放射素子から放射される電波方向を変更する電波方向変更手段と、
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
搬送される媒体に備えられたRFタグの読み込み/書き込みを行う無線通信装置において、
前記媒体が搬送される搬送面を形成する搬送板と、
前記搬送面を搬送される前記媒体に備えられた前記RFタグが通過する領域に対向する位置に放射素子を配置して電波の送受信を行うアンテナと、
このアンテナを介して前記RFタグとの通信を行う送受信部と、
前記搬送板の前記放射素子に対向する位置に設けられ、前記送受信部と前記RFタグとの間の通信に伴い出力される電波が通過可能であって少なくとも前記放射素子よりも大きな電波通過部と、
前記アンテナに接続されていて、前記放射素子の位置を移動させる移動手段と、
前記RFタグに対する読み込み/書き込みができたか否かを判定する判定手段と、
この判定手段により前記RFタグに対する読み込み/書き込みができなかったと判定された場合、前記移動手段により前記放射素子の位置を移動して前記放射素子から放射される電波方向を前記電波通過部の範囲で変更する電波方向変更手段と、
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項4】
前記移動手段は、読み込み/書き込み位置に位置づけられている前記RFタグに対する前記放射素子の角度を変更する、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記移動手段は、前記RFタグの搬送方向に平行な方向に前記放射素子を往復動させる、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の無線通信装置。
【請求項6】
RFタグを備えている媒体を搬送する搬送手段と、
この搬送手段により搬送される前記媒体に備えられた前記RFタグの読み込み/書き込みを行う請求項1ないし5のいずれか一記載の無線通信装置と、
を備えることを特徴とするRFタグリーダ/ライタ。
【請求項7】
RFタグを備えている媒体を搬送する搬送手段と、
前記媒体に対して印字を行う印字部と、
前記搬送手段により搬送される前記媒体に備えられた前記RFタグの読み込み/書き込みを行う請求項1ないし5のいずれか一記載の無線通信装置と、
を備えることを特徴とするプリンタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−4151(P2006−4151A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179457(P2004−179457)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】