無線通信装置およびその通信制御方法
【課題】複数のアンテナを有する無線通信装置間で安定した通信品質および最適な通信速度を達成できる無線通信装置およびその通信制御方法を提供する。
【解決手段】相手側の無線通信装置との間で無線通信を行う無線通信装置は、複数のアンテナ(101A、101B)にそれぞれ接続された複数の無線回路(102A、102B)と、相手側の無線通信装置との無線通信における受信信号強度(RSSI)が所定値より大きい場合には複数のアンテナおよび無線回路を使用するマルチアンテナモードを選択し、受信信号強度が前記所定値以下の場合には一つのアンテナおよび無線回路を使用するシングルアンテナモードを選択する制御手段(105,106)と、を有する。
【解決手段】相手側の無線通信装置との間で無線通信を行う無線通信装置は、複数のアンテナ(101A、101B)にそれぞれ接続された複数の無線回路(102A、102B)と、相手側の無線通信装置との無線通信における受信信号強度(RSSI)が所定値より大きい場合には複数のアンテナおよび無線回路を使用するマルチアンテナモードを選択し、受信信号強度が前記所定値以下の場合には一つのアンテナおよび無線回路を使用するシングルアンテナモードを選択する制御手段(105,106)と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数アンテナを有する無線通信装置における通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の無線通信は、IEEE (Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)にて規格化された無線方式とマルチアンテナ使用により高速化が図られてきた。無線方式はIEEE802.11a(54Mbps)、11b(11Mbps)、11g(54Mbps)、11n draft版(300Mbps)で標準化され、各種変調技術により速度向上を実現してきた。また同時にマルチアンテナ技術により速度や通信品質の向上が図られてきた。主要なマルチアンテナ技術としては、複数の送信アンテナから異なるデータを送受信することで通信速度(ビットレート)を向上させるMIMO(Multi Input Multi Output)方式と、複数の送信アンテナから同一データを送信させ、受信側にて電波状態の良いアンテナ信号を使用するダイバーシティ方式とがある。
【0003】
たとえば2本のアンテナを使用して無線親機と無線子機との間で無線通信を行う場合、まずネゴシエーションによって通信に必要な各種情報が交換され、その際に無線親機が無線子機から受信信号強度(RSSI: Received Signal Strength Indicator)し、2本のアンテナの出力レベルを同じ値に設定して無線通信が開始される。
【0004】
出力レベルを調整する無線システムとしては、たとえば特許文献1に、自動ゲイン制御(AGC: Automatic Gain Control)機能を有するリピータが開示されている。このリピータは、各種無線通信(例えば、WiFi(IEEE802.11b), WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access), PHS(Personal Handy-phone System))の環境下において、適切な通信可能範囲を実現するためにアップリンクまたはダウンリンク信号の送信レベルを自動制御している。また、複数アンテナを用いた無線LANシステムとしては、例えば特許文献2に複数レートおよび伝送モードをサポートしたMIMOシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2008−503907号公報
【特許文献2】特表2006−504335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、マルチアンテナ技術は空間上に信号の通り道を増やす効果がある一方で、壁や障害物からの電波反射による雑音が増える場合がある。そのため受信信号強度が小さくなる長距離通信では環境の変化により、通信可能範囲および通信品質、速度が大きく変化するという問題がある。上述した特許文献1および特許文献2では、この問題は解決されていない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、複数のアンテナを有する無線通信装置間で安定した通信品質および最適な通信速度を達成できる無線通信装置およびその通信制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による無線通信装置は、相手側の無線通信装置との間で無線通信を行う無線通信装置であって、複数のアンテナにそれぞれ接続された複数の無線回路と、前記相手側の無線通信装置との無線通信における受信信号強度が所定値より大きい場合には複数のアンテナおよび無線回路を使用するマルチアンテナモードを選択し、前記受信信号強度が前記所定値以下の場合には一つのアンテナおよび無線回路を使用するシングルアンテナモードを選択する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明による無線通信方法は、相手側の無線通信装置との間で無線通信を行う無線通信装置の通信制御方法であって、前記無線通信装置には複数のアンテナにそれぞれ接続された複数の無線回路が設けられ、前記相手側の無線通信装置との無線通信における受信信号強度が所定値より大きい場合には複数のアンテナおよび無線回路を使用するマルチアンテナモードを選択し、前記受信信号強度が前記所定値以下の場合には一つのアンテナおよび無線回路を使用するシングルアンテナモードを選択する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明による無線LANシステムは、アクセスポイント装置と無線端末との間で無線通信を行う無線LANシステムであって、前記アクセスポイント装置は、複数のアンテナにそれぞれ接続された複数の無線回路と、前記無線端末との無線通信における受信信号強度が所定値より大きい場合には複数のアンテナおよび無線回路を使用するマルチアンテナモードを選択し、前記受信信号強度が前記所定値以下の場合には一つのアンテナおよび無線回路を使用するシングルアンテナモードを選択する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のアンテナを有する無線通信装置間で安定した通信品質および最適な通信速度を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明が適用可能な無線LANシステムの一例を示した概略構成図である。
【図2】本発明の一実施例による無線通信装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】本実施例による無線通信装置の処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施例による無線通信装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に述べる実施形態により限定されるものではない。
【0014】
1.システム構成
図1に示す無線LANシステムにおいて、インターネット等のIPネットワーク10にルータ11を通してアクセスポイント12が接続され、アクセスポイント12は無線子機13と無線接続され、無線子機13はクライアントパソコン14に有線接続されている。アクセスポイント12と無線子機13との無線通信を介してクライアントパソコン14とルータ11との間でデータの送受信が行われ、クライアントパソコン14がIPネットワーク10に接続される。
【0015】
アクセスポイント12はIEEE802.11に準拠して動作する無線LAN通信機能と、IPネットワーク10に接続するための有線LAN通信機能とを有する。また、無線子機13はIEEE802.11に準拠して動作する無線LAN通信機能を有し、例えば、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)等の情報端末に接続される無線LANカードあるいは無線LANボード等がある。
【0016】
本発明の第1実施形態による無線通信装置はアクセスポイント12および無線子機13のような無線通信システムに適用可能である。以下、具体的な回路構成を説明する。
【0017】
2.装置構成
本発明の第1実施例による無線通信装置の機能構成について説明する。本実施例では、2本のアンテナを備えた無線通信装置を例示するが、これに限定されるものではなく、本発明は3本以上のアンテナを有する場合にも適用可能である。
【0018】
図2に示す無線通信装置100において、2本のアンテナ101Aおよび101Bを有し、それぞれがRF(Radio Frequency)回路102Aおよび102Bに接続されている。RF回路102Aおよび102Bはベースバンド(BB)処理部103を通してワイヤレスMACレイヤ処理部104に接続されている。ベースバンド処理部103は無線通信のデータ処理を実行し、ワイヤレスMACレイヤ処理部104は無線MACレイヤを終端する。ベースバンド処理部103およびワイヤレスMACレイヤ処理部104はプログラム制御プロセッサ(CPU: Central Processing Unit)105により制御される。CPU105は、後述する通信制御の他に、装置内の通信データ処理の制御および各種情報の収集制御を行う。さらに、CPU105の制御の下で、RF回路制御部106はRF回路102Aおよび102Bのアンテナ選択制御および送信出力レベル制御を実行する。
【0019】
RF回路102Aおよび102Bの各々は同じ回路構成を有する。すなわち、アンテナ(101A、101B)から送受信切替スイッチ(T/R SW)を通して受信された無線信号は受信RF部により復調され、アナログ・デジタル変換器(A/D)によりデジタル信号に変換され、ベースバンド処理部103へ出力される。なお、通信相手側の無線通信装置から受信した電波の受信信号強度RSSIは受信RF部により測定可能である。送信データは、ベースバンド処理部103から出力され、デジタル・アナログ変換器(D/A)によりアナログ信号に変換された後、送信無線部で変調されて無線信号として送受信切替スイッチ(T/R SW)を通してアンテナから送信される。
【0020】
CPU105は、後述するように、通信相手側の無線通信装置とのネゴシエーション時の情報交換により測定された受信信号強度(RSSI)を受信すると、この受信信号強度と所定値とを比較し、その比較結果に応じてRF回路制御部106を制御して、マルチアンテナモードあるいはシングルアンテナモードのいずれかを選択する。本実施例におけるマルチアンテナモードは、受信信号強度RSSIが所定値を超えている場合に、RF回路102Aおよび102Bと2本のアンテナ101Aおよび101Bとを使用する通信モードであり、シングルアンテナモードは、受信信号強度RSSIが所定値以下の場合に、いずれか一方のRF回路およびアンテナを使用し、他方のRF回路を停止する通信モードである。後述するように、シングルアンテナモードでは送信出力レベルをマルチアンテナモード時よりも上昇させることが望ましい。
【0021】
3.第1実施例
以下、図2に示す無線通信装置を図1に示す無線LANシステムのアクセスポイント12に適用した場合の本発明の第1実施例について詳細に説明する。
【0022】
3.1)通信制御
図3において、まず、アクセスポイント12のCPU105は、無線通信を開始するに当り無線子機13に対してビーコン信号を送信するようにベースバンド処理部103およびRF回路を制御し(ステップ301)、無線子機13から応答信号を受信することでネゴシエーションを開始する(ステップ302)。無線子機13は、アクセスポイント12からの受信信号を用いて受信信号強度RSSIを測定し、そのデータをアクセスポイント12へ返す。
【0023】
ネゴシエーションが終了した後、無線子機13から受信された受信信号強度(RSSI)がベースバンド処理部103を通して入力されると(ステップ303)、CPU105は受信RSSI=X[dBm]と予め設定されたRSSI閾値Bとを比較する(ステップ304)。RSSI閾値Bは、電波環境の変化により無線通信範囲や通信品質が大きく変化する距離の受信信号強度として予めメモリ(図示せず。)に設定されている。したがって、受信RSSIの値XがRSSI閾値Bより大きい場合は無線子機13が近距離にあると判断され、逆に受信RSSIの値XがRSSI閾値Bより小さい場合は無線子機13が遠距離にあると判断されうる。
【0024】
受信RSSIの値XがRSSI閾値Bより大きい場合(ステップ304:YES)、CPU105はマルチアンテナモードを選択し(ステップ310)、RF回路102Aおよび102Bの送信出力レベルを同じ値に設定して無線子機13に対して無線信号を送出する(ステップ311)。すなわち受信信号強度(RSSI)が大きい場合は、無線子機13との距離が短いと判断し、使用するアンテナをマルチアンテナに設定することで、安定した通信品質でスループットを向上させることができる。なお、無線通信は送信する無線レベルの上限が決まっており、マルチアンテナとして使用する場合は各アンテナレベルを低めに設定して、総出力レベルが電波法で定めた規定値を越えないように制御する。
【0025】
続いて、CPU105は、無線子機13から受信したパケットにエラーが発生しているか否かを確認する(ステップ312)。ベースバンド処理部103は受信データからパケットエラーの有無を検出し、CPU105はそのエラー検出信号をモニタする。
【0026】
パケットエラーが検出されると(ステップ312:有り)、CPU105は無線子機13との間で実行されている無線通信の通信速度を下げるように制御し(ステップ313)、パケットエラーの有無の確認ステップ312へ戻る。このように制御することで、パケットエラー発生を回避して通信品質を確保することができ、通信効率が最適化される。パケットエラーが検出されなければ(ステップ312:無し)、CPU105は無線子機13との間で実行されている無線通信の通信速度を上げるように制御し(ステップ313)、パケットエラーの有無の確認ステップ312へ戻る。このように制御することで、スループットを向上させて通信効率が最適化される。
【0027】
アクセスポイント装置は、パケットエラーを検出しないときには、無線子機との間で実行されている無線通信の通信速度を上げるように制御する。このように制御することで、スループットを向上させて通信効率を最適化している。
【0028】
受信RSSIの値XがRSSI閾値B以下の場合(ステップ304:NO)、CPU105はシングルアンテナモードを選択し(ステップ320)、RF回路(102Aあるいは102B)の送信出力レベルを上昇させ無線子機13に対して無線信号を送出する(ステップ321)。すなわち受信信号強度(RSSI)が小さい場合は、無線子機13との距離が長いと判断し、アンテナを1本に設定し、当該アンテナの出力レベルを電波法で定めた規定値を越えない範囲内で上昇させるように制御することで、通信範囲と通信品質を向上させることができる。
【0029】
シングルアンテナモードの場合も、パケットエラー判定、パケットエラー検出の有無に応じて通信速度を上昇/下降させる制御(ステップ322、ステップ323/ステップ324)は、上述したステップ312−314と同様であるから説明は省略する。
【0030】
3.2)効果
本実施例によれば、アクセスポイント12が無線子機13から受信した受信信号強度(RSSI)に基づき、使用するアンテナ本数と出力レベルを制御する。これによって、アクセスポイント12と無線子機13との間の距離や環境に影響されることなく、安定した通信品質と最適な通信速度を得ることができる。
【0031】
4.第2実施例
以下、図2に示す無線通信装置を図1に示す無線LANシステムのアクセスポイント12に適用した場合の本発明の第2実施例について説明する。
【0032】
4.1)通信制御
図4において、本実施例による通信制御は、第1実施例で説明した図3のステップ301−314が同じであるから、省略されている。図4では、受信RSSIの値XがRSSI閾値B以下の場合(ステップ304:NO)、シングルアンテナモードが選択されたステップ320の後が図3とは異なっている。
【0033】
まず、通常、マルチアンテナを無線通信装置に実装する場合、アンテナ間のアイソレーションを確保するために、装置内のできるだけ離れた位置にアンテナが実装される。その場合、装置内部での実装制約で、アクセスポイント12と無線子機13との間の無線通信において、お互いの機器の向きでアンテナ毎に指向性差分が生じる。例えば2本のアンテナを実装する場合、アンテナAを使用する場合とアンテナBを使用する場合とで、無線通信の速度や安定性が変化する場合がある。そこで、これを改善する為に、本実施例によれば、アンテナ1本で使用する場合、アンテナAとアンテナBについて各々1本ずつ無線通信を試行し、良好な無線アンテナを使用するよう制御する。
【0034】
図4において、受信RSSIの値XがRSSI閾値B以下となりシングルアンテナモードが選択されると(ステップ320)、CPU105はRF回路制御部106を制御して、RF回路102Aおよび102Bを順次選択して動作させ、それぞれのRF回路を単独で動作させた場合の無線通信を試行する(ステップ401)。CPU105は、RF回路102Aのみを動作させた場合の無線子機13のRSSIと、RF回路102Bのみを動作させた場合の無線子機13のRSSIとをそれぞれ受信し、それらを比較する(ステップ402)。CPU105は、RSSIの比較結果から、より良好なRSSIを示すRF回路を選択し、その送信出力レベルを上げる(ステップ403)。
【0035】
続くステップ404−406(パケットエラー判定、パケットエラー検出の有無に応じて通信速度を上昇/下降させる制御)は、上述したステップ312−314と同様であるから説明は省略する。
【0036】
4.2)効果
本実施例によれば、上記第1実施例の効果の他に、シングルアンテナを選択したときに単一のアンテナ毎に無線通信を試行し最適なアンテナを選択する。これにより安定した通信品質と最適な通信速度で無線通信を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は無線LANシステムにおける無線通信装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
10 IPネットワーク
11 ルータ
12 アクセスポイント
13 無線子機
14 クライアントパソコン
100 無線通信装置
101A、101B アンテナ
102A、102B RF回路
103 ベースバンド処理部
104 ワイヤレスMACレイヤ処理部
105 CPU
106 RF回路制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は複数アンテナを有する無線通信装置における通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の無線通信は、IEEE (Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)にて規格化された無線方式とマルチアンテナ使用により高速化が図られてきた。無線方式はIEEE802.11a(54Mbps)、11b(11Mbps)、11g(54Mbps)、11n draft版(300Mbps)で標準化され、各種変調技術により速度向上を実現してきた。また同時にマルチアンテナ技術により速度や通信品質の向上が図られてきた。主要なマルチアンテナ技術としては、複数の送信アンテナから異なるデータを送受信することで通信速度(ビットレート)を向上させるMIMO(Multi Input Multi Output)方式と、複数の送信アンテナから同一データを送信させ、受信側にて電波状態の良いアンテナ信号を使用するダイバーシティ方式とがある。
【0003】
たとえば2本のアンテナを使用して無線親機と無線子機との間で無線通信を行う場合、まずネゴシエーションによって通信に必要な各種情報が交換され、その際に無線親機が無線子機から受信信号強度(RSSI: Received Signal Strength Indicator)し、2本のアンテナの出力レベルを同じ値に設定して無線通信が開始される。
【0004】
出力レベルを調整する無線システムとしては、たとえば特許文献1に、自動ゲイン制御(AGC: Automatic Gain Control)機能を有するリピータが開示されている。このリピータは、各種無線通信(例えば、WiFi(IEEE802.11b), WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access), PHS(Personal Handy-phone System))の環境下において、適切な通信可能範囲を実現するためにアップリンクまたはダウンリンク信号の送信レベルを自動制御している。また、複数アンテナを用いた無線LANシステムとしては、例えば特許文献2に複数レートおよび伝送モードをサポートしたMIMOシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2008−503907号公報
【特許文献2】特表2006−504335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、マルチアンテナ技術は空間上に信号の通り道を増やす効果がある一方で、壁や障害物からの電波反射による雑音が増える場合がある。そのため受信信号強度が小さくなる長距離通信では環境の変化により、通信可能範囲および通信品質、速度が大きく変化するという問題がある。上述した特許文献1および特許文献2では、この問題は解決されていない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、複数のアンテナを有する無線通信装置間で安定した通信品質および最適な通信速度を達成できる無線通信装置およびその通信制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による無線通信装置は、相手側の無線通信装置との間で無線通信を行う無線通信装置であって、複数のアンテナにそれぞれ接続された複数の無線回路と、前記相手側の無線通信装置との無線通信における受信信号強度が所定値より大きい場合には複数のアンテナおよび無線回路を使用するマルチアンテナモードを選択し、前記受信信号強度が前記所定値以下の場合には一つのアンテナおよび無線回路を使用するシングルアンテナモードを選択する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明による無線通信方法は、相手側の無線通信装置との間で無線通信を行う無線通信装置の通信制御方法であって、前記無線通信装置には複数のアンテナにそれぞれ接続された複数の無線回路が設けられ、前記相手側の無線通信装置との無線通信における受信信号強度が所定値より大きい場合には複数のアンテナおよび無線回路を使用するマルチアンテナモードを選択し、前記受信信号強度が前記所定値以下の場合には一つのアンテナおよび無線回路を使用するシングルアンテナモードを選択する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明による無線LANシステムは、アクセスポイント装置と無線端末との間で無線通信を行う無線LANシステムであって、前記アクセスポイント装置は、複数のアンテナにそれぞれ接続された複数の無線回路と、前記無線端末との無線通信における受信信号強度が所定値より大きい場合には複数のアンテナおよび無線回路を使用するマルチアンテナモードを選択し、前記受信信号強度が前記所定値以下の場合には一つのアンテナおよび無線回路を使用するシングルアンテナモードを選択する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のアンテナを有する無線通信装置間で安定した通信品質および最適な通信速度を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明が適用可能な無線LANシステムの一例を示した概略構成図である。
【図2】本発明の一実施例による無線通信装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】本実施例による無線通信装置の処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施例による無線通信装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に述べる実施形態により限定されるものではない。
【0014】
1.システム構成
図1に示す無線LANシステムにおいて、インターネット等のIPネットワーク10にルータ11を通してアクセスポイント12が接続され、アクセスポイント12は無線子機13と無線接続され、無線子機13はクライアントパソコン14に有線接続されている。アクセスポイント12と無線子機13との無線通信を介してクライアントパソコン14とルータ11との間でデータの送受信が行われ、クライアントパソコン14がIPネットワーク10に接続される。
【0015】
アクセスポイント12はIEEE802.11に準拠して動作する無線LAN通信機能と、IPネットワーク10に接続するための有線LAN通信機能とを有する。また、無線子機13はIEEE802.11に準拠して動作する無線LAN通信機能を有し、例えば、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)等の情報端末に接続される無線LANカードあるいは無線LANボード等がある。
【0016】
本発明の第1実施形態による無線通信装置はアクセスポイント12および無線子機13のような無線通信システムに適用可能である。以下、具体的な回路構成を説明する。
【0017】
2.装置構成
本発明の第1実施例による無線通信装置の機能構成について説明する。本実施例では、2本のアンテナを備えた無線通信装置を例示するが、これに限定されるものではなく、本発明は3本以上のアンテナを有する場合にも適用可能である。
【0018】
図2に示す無線通信装置100において、2本のアンテナ101Aおよび101Bを有し、それぞれがRF(Radio Frequency)回路102Aおよび102Bに接続されている。RF回路102Aおよび102Bはベースバンド(BB)処理部103を通してワイヤレスMACレイヤ処理部104に接続されている。ベースバンド処理部103は無線通信のデータ処理を実行し、ワイヤレスMACレイヤ処理部104は無線MACレイヤを終端する。ベースバンド処理部103およびワイヤレスMACレイヤ処理部104はプログラム制御プロセッサ(CPU: Central Processing Unit)105により制御される。CPU105は、後述する通信制御の他に、装置内の通信データ処理の制御および各種情報の収集制御を行う。さらに、CPU105の制御の下で、RF回路制御部106はRF回路102Aおよび102Bのアンテナ選択制御および送信出力レベル制御を実行する。
【0019】
RF回路102Aおよび102Bの各々は同じ回路構成を有する。すなわち、アンテナ(101A、101B)から送受信切替スイッチ(T/R SW)を通して受信された無線信号は受信RF部により復調され、アナログ・デジタル変換器(A/D)によりデジタル信号に変換され、ベースバンド処理部103へ出力される。なお、通信相手側の無線通信装置から受信した電波の受信信号強度RSSIは受信RF部により測定可能である。送信データは、ベースバンド処理部103から出力され、デジタル・アナログ変換器(D/A)によりアナログ信号に変換された後、送信無線部で変調されて無線信号として送受信切替スイッチ(T/R SW)を通してアンテナから送信される。
【0020】
CPU105は、後述するように、通信相手側の無線通信装置とのネゴシエーション時の情報交換により測定された受信信号強度(RSSI)を受信すると、この受信信号強度と所定値とを比較し、その比較結果に応じてRF回路制御部106を制御して、マルチアンテナモードあるいはシングルアンテナモードのいずれかを選択する。本実施例におけるマルチアンテナモードは、受信信号強度RSSIが所定値を超えている場合に、RF回路102Aおよび102Bと2本のアンテナ101Aおよび101Bとを使用する通信モードであり、シングルアンテナモードは、受信信号強度RSSIが所定値以下の場合に、いずれか一方のRF回路およびアンテナを使用し、他方のRF回路を停止する通信モードである。後述するように、シングルアンテナモードでは送信出力レベルをマルチアンテナモード時よりも上昇させることが望ましい。
【0021】
3.第1実施例
以下、図2に示す無線通信装置を図1に示す無線LANシステムのアクセスポイント12に適用した場合の本発明の第1実施例について詳細に説明する。
【0022】
3.1)通信制御
図3において、まず、アクセスポイント12のCPU105は、無線通信を開始するに当り無線子機13に対してビーコン信号を送信するようにベースバンド処理部103およびRF回路を制御し(ステップ301)、無線子機13から応答信号を受信することでネゴシエーションを開始する(ステップ302)。無線子機13は、アクセスポイント12からの受信信号を用いて受信信号強度RSSIを測定し、そのデータをアクセスポイント12へ返す。
【0023】
ネゴシエーションが終了した後、無線子機13から受信された受信信号強度(RSSI)がベースバンド処理部103を通して入力されると(ステップ303)、CPU105は受信RSSI=X[dBm]と予め設定されたRSSI閾値Bとを比較する(ステップ304)。RSSI閾値Bは、電波環境の変化により無線通信範囲や通信品質が大きく変化する距離の受信信号強度として予めメモリ(図示せず。)に設定されている。したがって、受信RSSIの値XがRSSI閾値Bより大きい場合は無線子機13が近距離にあると判断され、逆に受信RSSIの値XがRSSI閾値Bより小さい場合は無線子機13が遠距離にあると判断されうる。
【0024】
受信RSSIの値XがRSSI閾値Bより大きい場合(ステップ304:YES)、CPU105はマルチアンテナモードを選択し(ステップ310)、RF回路102Aおよび102Bの送信出力レベルを同じ値に設定して無線子機13に対して無線信号を送出する(ステップ311)。すなわち受信信号強度(RSSI)が大きい場合は、無線子機13との距離が短いと判断し、使用するアンテナをマルチアンテナに設定することで、安定した通信品質でスループットを向上させることができる。なお、無線通信は送信する無線レベルの上限が決まっており、マルチアンテナとして使用する場合は各アンテナレベルを低めに設定して、総出力レベルが電波法で定めた規定値を越えないように制御する。
【0025】
続いて、CPU105は、無線子機13から受信したパケットにエラーが発生しているか否かを確認する(ステップ312)。ベースバンド処理部103は受信データからパケットエラーの有無を検出し、CPU105はそのエラー検出信号をモニタする。
【0026】
パケットエラーが検出されると(ステップ312:有り)、CPU105は無線子機13との間で実行されている無線通信の通信速度を下げるように制御し(ステップ313)、パケットエラーの有無の確認ステップ312へ戻る。このように制御することで、パケットエラー発生を回避して通信品質を確保することができ、通信効率が最適化される。パケットエラーが検出されなければ(ステップ312:無し)、CPU105は無線子機13との間で実行されている無線通信の通信速度を上げるように制御し(ステップ313)、パケットエラーの有無の確認ステップ312へ戻る。このように制御することで、スループットを向上させて通信効率が最適化される。
【0027】
アクセスポイント装置は、パケットエラーを検出しないときには、無線子機との間で実行されている無線通信の通信速度を上げるように制御する。このように制御することで、スループットを向上させて通信効率を最適化している。
【0028】
受信RSSIの値XがRSSI閾値B以下の場合(ステップ304:NO)、CPU105はシングルアンテナモードを選択し(ステップ320)、RF回路(102Aあるいは102B)の送信出力レベルを上昇させ無線子機13に対して無線信号を送出する(ステップ321)。すなわち受信信号強度(RSSI)が小さい場合は、無線子機13との距離が長いと判断し、アンテナを1本に設定し、当該アンテナの出力レベルを電波法で定めた規定値を越えない範囲内で上昇させるように制御することで、通信範囲と通信品質を向上させることができる。
【0029】
シングルアンテナモードの場合も、パケットエラー判定、パケットエラー検出の有無に応じて通信速度を上昇/下降させる制御(ステップ322、ステップ323/ステップ324)は、上述したステップ312−314と同様であるから説明は省略する。
【0030】
3.2)効果
本実施例によれば、アクセスポイント12が無線子機13から受信した受信信号強度(RSSI)に基づき、使用するアンテナ本数と出力レベルを制御する。これによって、アクセスポイント12と無線子機13との間の距離や環境に影響されることなく、安定した通信品質と最適な通信速度を得ることができる。
【0031】
4.第2実施例
以下、図2に示す無線通信装置を図1に示す無線LANシステムのアクセスポイント12に適用した場合の本発明の第2実施例について説明する。
【0032】
4.1)通信制御
図4において、本実施例による通信制御は、第1実施例で説明した図3のステップ301−314が同じであるから、省略されている。図4では、受信RSSIの値XがRSSI閾値B以下の場合(ステップ304:NO)、シングルアンテナモードが選択されたステップ320の後が図3とは異なっている。
【0033】
まず、通常、マルチアンテナを無線通信装置に実装する場合、アンテナ間のアイソレーションを確保するために、装置内のできるだけ離れた位置にアンテナが実装される。その場合、装置内部での実装制約で、アクセスポイント12と無線子機13との間の無線通信において、お互いの機器の向きでアンテナ毎に指向性差分が生じる。例えば2本のアンテナを実装する場合、アンテナAを使用する場合とアンテナBを使用する場合とで、無線通信の速度や安定性が変化する場合がある。そこで、これを改善する為に、本実施例によれば、アンテナ1本で使用する場合、アンテナAとアンテナBについて各々1本ずつ無線通信を試行し、良好な無線アンテナを使用するよう制御する。
【0034】
図4において、受信RSSIの値XがRSSI閾値B以下となりシングルアンテナモードが選択されると(ステップ320)、CPU105はRF回路制御部106を制御して、RF回路102Aおよび102Bを順次選択して動作させ、それぞれのRF回路を単独で動作させた場合の無線通信を試行する(ステップ401)。CPU105は、RF回路102Aのみを動作させた場合の無線子機13のRSSIと、RF回路102Bのみを動作させた場合の無線子機13のRSSIとをそれぞれ受信し、それらを比較する(ステップ402)。CPU105は、RSSIの比較結果から、より良好なRSSIを示すRF回路を選択し、その送信出力レベルを上げる(ステップ403)。
【0035】
続くステップ404−406(パケットエラー判定、パケットエラー検出の有無に応じて通信速度を上昇/下降させる制御)は、上述したステップ312−314と同様であるから説明は省略する。
【0036】
4.2)効果
本実施例によれば、上記第1実施例の効果の他に、シングルアンテナを選択したときに単一のアンテナ毎に無線通信を試行し最適なアンテナを選択する。これにより安定した通信品質と最適な通信速度で無線通信を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は無線LANシステムにおける無線通信装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
10 IPネットワーク
11 ルータ
12 アクセスポイント
13 無線子機
14 クライアントパソコン
100 無線通信装置
101A、101B アンテナ
102A、102B RF回路
103 ベースバンド処理部
104 ワイヤレスMACレイヤ処理部
105 CPU
106 RF回路制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側の無線通信装置との間で無線通信を行う無線通信装置であって、
複数のアンテナにそれぞれ接続された複数の無線回路と、
前記相手側の無線通信装置との無線通信における受信信号強度が所定値より大きい場合には複数のアンテナおよび無線回路を使用するマルチアンテナモードを選択し、前記受信信号強度が前記所定値以下の場合には一つのアンテナおよび無線回路を使用するシングルアンテナモードを選択する制御手段と、
を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記マルチアンテナモードでは使用する複数の無線回路の送信出力レベルを同一にし、前記シングルアンテナモードでは使用する無線回路の送信出力レベルを前記マルチアンテナモードよりも上昇させることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記シングルアンテナモードが選択されると、前記複数の無線回路の各々を用いて個別に無線通信を試行し、最も良好な無線回路を無線通信に使用することを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記所定値は、前記相手側の無線通信装置との無線通信範囲および通信品質が大きく変化する受信信号強度であることを特徴とする請求項1−3のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項5】
相手側の無線通信装置との間で無線通信を行う無線通信装置の通信制御方法であって、
前記無線通信装置には複数のアンテナにそれぞれ接続された複数の無線回路が設けられ、
前記相手側の無線通信装置との無線通信における受信信号強度が所定値より大きい場合には複数のアンテナおよび無線回路を使用するマルチアンテナモードを選択し、
前記受信信号強度が前記所定値以下の場合には一つのアンテナおよび無線回路を使用するシングルアンテナモードを選択する、
ことを特徴とする、無線通信装置の通信制御方法。
【請求項6】
前記マルチアンテナモードでは使用する複数の無線回路の送信出力レベルを同一にし、前記シングルアンテナモードでは使用する無線回路の送信出力レベルを前記マルチアンテナモードよりも上昇させることを特徴とする請求項5に記載の通信制御方法。
【請求項7】
前記シングルアンテナモードが選択されると、前記複数の無線回路の各々を用いて個別に無線通信を試行し、最も良好な無線回路を無線通信に使用することを特徴とする請求項5または6に記載の通信制御方法。
【請求項8】
前記所定値は、前記相手側の無線通信装置との無線通信範囲および通信品質が大きく変化する受信信号強度であることを特徴とする請求項5−7のいずれか1項に記載の通信制御方法。
【請求項9】
アクセスポイント装置と無線端末との間で無線通信を行う無線LANシステムにおいて、
前記アクセスポイント装置は、
複数のアンテナにそれぞれ接続された複数の無線回路と、
前記無線端末との無線通信における受信信号強度が所定値より大きい場合には複数のアンテナおよび無線回路を使用するマルチアンテナモードを選択し、前記受信信号強度が前記所定値以下の場合には一つのアンテナおよび無線回路を使用するシングルアンテナモードを選択する制御手段と、
を有することを特徴とする無線LANシステム。
【請求項10】
前記制御手段は、前記マルチアンテナモードでは使用する複数の無線回路の送信出力レベルを同一にし、前記シングルアンテナモードでは使用する無線回路の送信出力レベルを前記マルチアンテナモードよりも上昇させることを特徴とする請求項9に記載の無線LANシステム。
【請求項11】
前記制御手段は、前記シングルアンテナモードが選択されると、前記複数の無線回路の各々を用いて個別に無線通信を試行し、最も良好な無線回路を無線通信に使用することを特徴とする請求項9または10に記載の無線LANシステム。
【請求項12】
前記所定値は、前記無線端末との無線通信範囲および通信品質が大きく変化する受信信号強度であることを特徴とする請求項9−11のいずれか1項に記載の無線LANシステム。
【請求項13】
相手側の無線通信装置との間で無線通信を行う無線通信装置のプログラム制御プロセッサを通信制御装置として機能させるためのプログラムであって、
前記無線通信装置には複数のアンテナにそれぞれ接続された複数の無線回路が設けられ、
前記相手側の無線通信装置との無線通信における受信信号強度が所定値より大きい場合には複数のアンテナおよび無線回路を使用するマルチアンテナモードを選択する機能と、
前記受信信号強度が前記所定値以下の場合には一つのアンテナおよび無線回路を使用するシングルアンテナモードを選択する機能と、
を前記プログラム制御プロセッサで実現することを特徴とするプログラム。
【請求項14】
前記マルチアンテナモードでは使用する複数の無線回路の送信出力レベルを同一にし、前記シングルアンテナモードでは使用する無線回路の送信出力レベルを前記マルチアンテナモードよりも上昇させることを特徴とする請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記シングルアンテナモードが選択されると、前記複数の無線回路の各々を用いて個別に無線通信を試行し、最も良好な無線回路を無線通信に使用することを特徴とする請求項13または14に記載のプログラム。
【請求項16】
前記所定値は、前記相手側の無線通信装置との無線通信範囲および通信品質が大きく変化する受信信号強度であることを特徴とする請求項13−15のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項1】
相手側の無線通信装置との間で無線通信を行う無線通信装置であって、
複数のアンテナにそれぞれ接続された複数の無線回路と、
前記相手側の無線通信装置との無線通信における受信信号強度が所定値より大きい場合には複数のアンテナおよび無線回路を使用するマルチアンテナモードを選択し、前記受信信号強度が前記所定値以下の場合には一つのアンテナおよび無線回路を使用するシングルアンテナモードを選択する制御手段と、
を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記マルチアンテナモードでは使用する複数の無線回路の送信出力レベルを同一にし、前記シングルアンテナモードでは使用する無線回路の送信出力レベルを前記マルチアンテナモードよりも上昇させることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記シングルアンテナモードが選択されると、前記複数の無線回路の各々を用いて個別に無線通信を試行し、最も良好な無線回路を無線通信に使用することを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記所定値は、前記相手側の無線通信装置との無線通信範囲および通信品質が大きく変化する受信信号強度であることを特徴とする請求項1−3のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項5】
相手側の無線通信装置との間で無線通信を行う無線通信装置の通信制御方法であって、
前記無線通信装置には複数のアンテナにそれぞれ接続された複数の無線回路が設けられ、
前記相手側の無線通信装置との無線通信における受信信号強度が所定値より大きい場合には複数のアンテナおよび無線回路を使用するマルチアンテナモードを選択し、
前記受信信号強度が前記所定値以下の場合には一つのアンテナおよび無線回路を使用するシングルアンテナモードを選択する、
ことを特徴とする、無線通信装置の通信制御方法。
【請求項6】
前記マルチアンテナモードでは使用する複数の無線回路の送信出力レベルを同一にし、前記シングルアンテナモードでは使用する無線回路の送信出力レベルを前記マルチアンテナモードよりも上昇させることを特徴とする請求項5に記載の通信制御方法。
【請求項7】
前記シングルアンテナモードが選択されると、前記複数の無線回路の各々を用いて個別に無線通信を試行し、最も良好な無線回路を無線通信に使用することを特徴とする請求項5または6に記載の通信制御方法。
【請求項8】
前記所定値は、前記相手側の無線通信装置との無線通信範囲および通信品質が大きく変化する受信信号強度であることを特徴とする請求項5−7のいずれか1項に記載の通信制御方法。
【請求項9】
アクセスポイント装置と無線端末との間で無線通信を行う無線LANシステムにおいて、
前記アクセスポイント装置は、
複数のアンテナにそれぞれ接続された複数の無線回路と、
前記無線端末との無線通信における受信信号強度が所定値より大きい場合には複数のアンテナおよび無線回路を使用するマルチアンテナモードを選択し、前記受信信号強度が前記所定値以下の場合には一つのアンテナおよび無線回路を使用するシングルアンテナモードを選択する制御手段と、
を有することを特徴とする無線LANシステム。
【請求項10】
前記制御手段は、前記マルチアンテナモードでは使用する複数の無線回路の送信出力レベルを同一にし、前記シングルアンテナモードでは使用する無線回路の送信出力レベルを前記マルチアンテナモードよりも上昇させることを特徴とする請求項9に記載の無線LANシステム。
【請求項11】
前記制御手段は、前記シングルアンテナモードが選択されると、前記複数の無線回路の各々を用いて個別に無線通信を試行し、最も良好な無線回路を無線通信に使用することを特徴とする請求項9または10に記載の無線LANシステム。
【請求項12】
前記所定値は、前記無線端末との無線通信範囲および通信品質が大きく変化する受信信号強度であることを特徴とする請求項9−11のいずれか1項に記載の無線LANシステム。
【請求項13】
相手側の無線通信装置との間で無線通信を行う無線通信装置のプログラム制御プロセッサを通信制御装置として機能させるためのプログラムであって、
前記無線通信装置には複数のアンテナにそれぞれ接続された複数の無線回路が設けられ、
前記相手側の無線通信装置との無線通信における受信信号強度が所定値より大きい場合には複数のアンテナおよび無線回路を使用するマルチアンテナモードを選択する機能と、
前記受信信号強度が前記所定値以下の場合には一つのアンテナおよび無線回路を使用するシングルアンテナモードを選択する機能と、
を前記プログラム制御プロセッサで実現することを特徴とするプログラム。
【請求項14】
前記マルチアンテナモードでは使用する複数の無線回路の送信出力レベルを同一にし、前記シングルアンテナモードでは使用する無線回路の送信出力レベルを前記マルチアンテナモードよりも上昇させることを特徴とする請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記シングルアンテナモードが選択されると、前記複数の無線回路の各々を用いて個別に無線通信を試行し、最も良好な無線回路を無線通信に使用することを特徴とする請求項13または14に記載のプログラム。
【請求項16】
前記所定値は、前記相手側の無線通信装置との無線通信範囲および通信品質が大きく変化する受信信号強度であることを特徴とする請求項13−15のいずれか1項に記載のプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2011−49795(P2011−49795A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196199(P2009−196199)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】
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