説明

無線ICタグリーダ、無線通信システムおよび無線通信方法

【課題】マンホール内に設置された無線ICタグから送信される無線信号を、地上においてより大きい受信強度によって受信する。
【解決手段】マンホール内に設置された無線ICタグから送信される無線信号を地上において受信するアンテナを備えた無線ICタグリーダが、無線ICタグを識別する無線ICタグ識別情報と、無線ICタグから送信される無線信号のハイトパターンに基づいて定められた、無線信号の受信強度が相対的に大きくなるアンテナの高さを示すハイトパターン情報とを対応付けて予め記憶し、無線信号の受信対象である無線ICタグを識別する無線ICタグ識別情報が入力され、入力された無線ICタグ識別情報に対応するハイトパターン情報を読み出し、読み出したハイトパターン情報が示す高さにアンテナを移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ICタグと無線ICタグリーダとが無線通信を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
下水道などに作業員が出入りするために設けられたマンホール内に無線IC(Integrated Circuit)タグを設置し、無線ICタグに記憶された情報を読み出すことによりマンホールを管理する技術が研究されている。特許文献1には、無線ICタグまたは無線ICタグリーダに補助電力を供給して無線信号の受信強度を増幅させ、通信可能な範囲を拡大させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−221241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マンホール内に設置された無線ICタグから送信される無線信号を、地上において無線ICタグリーダが受信する際、通信経路にはマンホールを形成するコンクリートや蓋などの反射物、遮蔽物が存在する。このため、マンホール内に設置された無線ICタグと通信可能な範囲は狭い範囲に限られることが多い。例えば、マンホール内の無線ICタグから送信された無線信号には、マンホール内での反射の影響によりハイトパターンが生じ、地上における地面からの高さに応じて無線信号の受信強度が大きく変動する。上述のような技術により無線信号の受信強度を増幅させても、マンホール内から送信される無線信号にハイトパターンが生じることに変わりは無い。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、マンホール内に設置された無線ICタグから送信される無線信号を、地上においてより大きい受信強度によって受信する無線ICタグリーダ、無線通信システムおよび無線通信方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、マンホール内に設置された無線ICタグから送信される無線信号を地上において受信するアンテナを備えた無線ICタグリーダであって、無線ICタグを識別する無線ICタグ識別情報と、無線ICタグから送信される無線信号のハイトパターンに基づいて定められた、無線信号の受信強度が相対的に大きくなるアンテナの高さを示すハイトパターン情報とが対応付けられて予め記憶されるタグ情報記憶部と、無線信号の受信対象である無線ICタグを識別する無線ICタグ識別情報が入力されるタグ識別情報入力部と、タグ識別情報入力部に入力された無線ICタグ識別情報に対応するハイトパターン情報を読み出すハイトパターン読出部と、ハイトパターン読出部によって読み出されたハイトパターン情報が示す高さに、アンテナを移動させるアンテナ駆動部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、タグ情報記憶部には、複数のマンホールに設置されたそれぞれの無線ICタグを識別する無線ICタグ識別情報毎に、対応するマンホールの位置を示すマンホール位置情報が対応付けられて記憶され、自身の位置を示すICタグリーダ位置情報の入力を受け付け、入力されたICタグリーダ位置情報と、タグ情報記憶部に記憶されたマンホール位置情報とに基づいて、自身と最も近距離に位置するマンホールに設置された無線ICタグに対応する無線ICタグ識別情報を、タグ情報記憶部から読み出してタグ識別情報入力部に入力する位置情報比較部を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、GPS機能によって自身の位置を示すICタグリーダ位置情報を取得し、位置情報比較部に入力するGPS機能部を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、マンホール内に設置された無線ICタグから送信される無線信号を受信するアンテナを備えた無線ICタグリーダと、無線ICタグリーダに接続されたハイトパターン出力装置とを備えた無線通信システムであって、ハイトパターン出力装置は、無線ICタグを識別する無線ICタグ識別情報と、無線ICタグから送信される無線信号のハイトパターンに基づいて定められた、無線信号の受信強度が相対的に大きくなるアンテナの高さを示すハイトパターン情報とが対応付けられて予め記憶されるタグ情報記憶部と、無線信号の受信対象である無線ICタグを識別する無線ICタグ識別情報が入力される無線ICタグ識別情報入力部と、無線ICタグ識別情報入力部に入力された無線ICタグ識別情報に対応するハイトパターン情報を読み出すハイトパターン読出部と、を備え、無線ICタグリーダは、ハイトパターン読出部によって読み出されたハイトパターン情報が示す高さに、アンテナを移動させるアンテナ駆動部を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、マンホール内に設置された無線ICタグを識別する無線ICタグ識別情報と、無線ICタグから送信される無線信号のハイトパターンに基づいて定められた、無線信号の受信強度が相対的に大きくなるアンテナの高さを示すハイトパターン情報とが対応付けられて予め記憶されるタグ情報記憶部と、無線ICタグから送信される無線信号を地上において受信するアンテナとを備えた無線ICタグリーダの無線通信方法であって、無線信号の受信対象である無線ICタグを識別する無線ICタグ識別情報が入力されるステップと、入力された無線ICタグ識別情報に対応するハイトパターン情報を読み出すハイトパターン読出ステップと、読み出したハイトパターン情報が示す高さに、アンテナを移動させるステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、マンホール内に設置された無線ICタグから送信される無線信号を地上において受信するアンテナを備えた無線ICタグリーダが、無線ICタグを識別する無線ICタグ識別情報と、無線ICタグから送信される無線信号のハイトパターンに基づいて定められた、無線信号の受信強度が相対的に大きくなる高さを示すハイトパターン情報とを対応付けて予め記憶し、無線信号の受信対象である無線ICタグを識別する無線ICタグ識別情報が入力され、入力された無線ICタグ識別情報に対応するハイトパターン情報を読み出し、読み出したハイトパターン情報が示す高さにアンテナを移動させるようにしたので、マンホール内での反射等の影響を考慮したハイトパターンに応じた高さにおいて無線ICタグから送信される無線信号を受信することができ、より大きい受信強度によって受信することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態による無線通信システムの端末構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による無線通信システムの動作例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態による無線通信システムの端末構成例を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態による無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施形態による無線通信システムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本実施形態による無線通信システム1の概要を示す図である。本実施形態では、マンホール内に設置された無線ICタグ100から送信される無線信号を、地上に存在する無線ICタグリーダ200がアンテナ207を介して受信する。符号Eは、地面と垂直な軸Hにおいて無線ICタグ100から送信される無線信号の受信強度を示している。無線信号の受信強度は、マンホール内での反射の影響により、反射波と直接波の位相関係に応じたハイトパターンが生じ、地面からのアンテナの高さ(以下、アンテナ高)により大きく変動する。すなわち、無線信号の電波が様々な経路を辿ることによって、反射波と直接波とに到達時間差(位相差)が生じて合成波は振幅方向および時間軸方向に歪み、フェージングが発生する。これにより、軸H上において、無線信号の受信強度が著しく減衰する点と増加する点とが発生する。
【0014】
例えば、符号a、符号c、符号eの各地点においては、受信強度が増加する。符号b、符号d、符号fの各地点においては、受信強度が減衰する。本実施形態における無線ICタグリーダ200は、このように高さによって受信強度が変化するハイトパターンを利用して、相対的に受信強度が大きくなる位置(例えば、符号a、符号cまたは符号eの位置)にアンテナ高を調整することにより、より大きい受信強度によって無線信号を受信する。
【0015】
図2は、本実施形態における無線通信システム1の構成を示すブロック図である。無線通信システム1は、マンホール内に設置された無線ICタグ100と、無線ICタグ100から送信される無線信号を地上において受信する無線ICタグリーダ200とを備えている。ここでは、1つのマンホールに設置された1個の無線ICタグ100を図示して説明するが、複数のマンホールのそれぞれに異なる無線ICタグ100が設置され、無線ICタグリーダ200と通信を行う構成として良い。また、1つのマンホールに複数の無線ICタグ100が設置されるようにしても良い。
【0016】
無線ICタグ100は、情報の記憶や演算を行い、無線ICタグリーダ200と無線通信を行うICチップである。無線ICタグ100は、無線ICタグリーダ200から送信される電波をエネルギー源として動作するパッシブタグを適用して良いし、自身が内蔵する電池をエネルギー源として動作するアクティブタグを適用しても良い。無線ICタグ100の記憶領域には、例えば、浸水検知センサ等のマンホール内の状況を検知する各種センサが接続され、センサによって検知された情報が記憶される。また、無線ICタグ100の記憶領域には、例えば、マンホールの固定資産を識別する識別情報や、作業員によってマンホール内のメンテナンスが行なわれた際などにメンテナンス状況などが記憶されるようにしても良い。無線ICタグ100は、無線ICタグリーダ200から送信される無線信号に応じて、自身の記憶領域に記憶された情報が含まれる無線信号を送信する。無線ICタグ100は、例えば、マンホール内のマンホール蓋から数センチ程度下の壁に設置される。
【0017】
無線ICタグリーダ200は、タグ情報記憶部201と、GPS機能部202と、位置情報比較部203と、タグ識別情報入力部204と、ハイトパターン読出部205と、アンテナ駆動部206と、アンテナ07とを備えており、無線ICタグ100との間で無線通信を行う。無線ICタグリーダ200は、例えば無線ICタグ100からの情報収集を行なう作業員に持参されるようにしても良いし、自動車の前部または後部に搭載されるようにしても良い。作業員または無線ICタグリーダ200を搭載した自動車は、無線ICタグリーダ200とともに、無線ICタグ100が設置されたマンホールに赴く。本実施形態では、自動車の後部に、モータが駆動することにより上下に移動する台を搭載し、台の上に無線ICタグリーダ200が設置されるものとして説明する。
【0018】
タグ情報記憶部201には、複数のマンホールに設置されたそれぞれの無線ICタグ100を識別する無線ICタグ識別情報毎に、対応するマンホールの位置を示すマンホール位置情報と、無線ICタグ100から送信される無線信号のハイトパターンに基づいて定められた、無線信号の受信強度が相対的に大きくなる高さを示すハイトパターン情報とが対応付けられて予め記憶される。
【0019】
ここで、マンホール位置情報は、対応する無線ICタグ100が設置されたマンホールの位置を示す情報である。マンホール位置情報は、例えば、無線ICタグ100が設置されたマンホールの位置を緯度と経度とによって示す情報である。ハイトパターン情報は、対応する無線ICタグ100から送信される無線信号の地上における受信強度に応じたハイトパターンを示す情報である。ここで、このようなハイトパターンは、マンホールの形状やマンホール内における無線ICタグ100の設置位置、アンテナ指向性などにより変化するが、無線ICタグ100の設置位置が固定であればハイトパターンは一定である。すなわち、ハイトパターンは測定や計算により予め求めることができる。タグ情報記憶部201には、このようなハイトパターンを示す情報が記憶される。ハイトパターン情報には、例えば、無線信号の受信強度が相対的に高くなる点の地上からの高さを示す情報が含まれる。例えば、図1に示す符号aの点における地面からの高さを示す情報が含まれる。
【0020】
GPS機能部202は、GPS(Global Positioning System)機能によって自身の位置を示すICタグリーダ位置情報を取得し、位置情報比較部203に入力する。ICタグリーダ位置情報は、例えば、自身の無線ICタグリーダ200が存在する位置を緯度と経度とによって示す情報である。
【0021】
位置情報比較部203は、GPS機能部202によって取得されたICタグリーダ位置情報の入力を受け付け、入力されたICタグリーダ位置情報と、タグ情報記憶部201に記憶されたマンホール位置情報とに基づいて、自身と最も近距離に位置するマンホールに設置された無線ICタグ100に対応する無線ICタグ識別情報を、タグ情報記憶部201から読み出す。ここで、位置情報比較部203は、ICタグリーダ位置情報が示す緯度および経度と、マンホール位置情報が示す緯度および経度とを比較して、ICタグリーダ位置情報が示す緯度および経度に最も近い緯度および経度を示すマンホール位置情報を検出する。位置情報比較部203は、検出したマンホール位置情報に対応する無線ICタグ識別情報を読み出して、タグ識別情報入力部204に入力する。
【0022】
タグ識別情報入力部204には、無線信号の受信対象である無線ICタグを識別する無線ICタグ識別情報が入力される。
ハイトパターン読出部205は、タグ識別情報入力部204に入力された無線ICタグ識別情報に対応するハイトパターン情報を、タグ情報記憶部201から読み出す。
【0023】
アンテナ駆動部206は、ハイトパターン読出部205によって読み出されたハイトパターン情報が示す高さに、アンテナ207を移動させる。例えば、自動車の後部に搭載され無線ICタグリーダ200が設置された台に接続されるモータを駆動させて、台を上下に移動させることにより、台上に設置された無線ICタグリーダ200のアンテナ高を移動させる。ここでは、ハイトパターン読出部205が、例えばエンコーダによって取得されるモータの回転数と、無線ICタグリーダ200が設置された台上のアンテナ高とを対応付けて記憶しておき、ハイトパターン情報が示す高さに応じたモータの回転数を算出する。アンテナ駆動部206は、ハイトパターン読出部205によって算出された回転数に基づいてモータを駆動させ、台を上下に移動させる。
アンテナ207は、無線ICタグ100との間で無線信号を送受信する。
【0024】
図3は、無線通信システム1の動作例を示すフローチャートである。まず、無線ICタグリーダ200のGPS機能部202は、自身の位置を示すICタグリーダ位置情報を取得する(ステップS1)。位置情報比較部203は、GPS機能部202が取得したICタグリーダ位置情報と、タグ情報記憶部201に記憶されたマンホール位置情報とを比較して、ICタグリーダ位置情報が示す位置に最も近いマンホール位置情報に対応付けられた無線ICタグ識別情報を検出し、検出した無線ICタグ識別情報をタグ識別情報入力部204に入力する(ステップS2)。
【0025】
ハイトパターン読出部205は、タグ識別情報入力部204に入力された無線ICタグ識別情報に対応付けられたハイトパターン情報を、タグ情報記憶部201から読み出す(ステップS3)。ハイトパターン読出部205は、読み出したハイトパターン情報が示す高さに応じたモータの回転数を算出する(ステップS4)。
【0026】
アンテナ駆動部206は、ハイトパターン読出部205によって算出された回転数に応じてモータを駆動させて、無線ICタグリーダ200が設置された台を移動させることにより、アンテナ207を、無線ICタグ100のハイトパターンに応じて定められた高さに移動させる(ステップS5)。無線ICタグリーダ200は、無線ICタグ100との通信を開始して(ステップS6)、無線ICタグ100から、無線ICタグ100に記憶された情報が含まれる無線信号を受信する。無線ICタグ100が、無線ICタグリーダ200から送信される無線信号を受信し、通信が終了すると(ステップS7)、無線ICタグリーダ200は、ユーザによって、通信対象となる他の無線ICタグ100が設置されている他のマンホールに移動される(ステップS8)。無線ICタグリーダ200は、ステップS1からステップS7までと同様の処理を繰り返し、他の無線ICタグ100から送信される無線信号を受信する。
【0027】
これにより、例えば車に無線ICタグリーダ200を搭載し走行しながらマンホール内の無線ICタグ100と通信を行う場合、車が無線ICタグ100に近づくと無線ICタグリーダ200は通信対象となる無線ICタグ100を選定し、これに対応したハイトパターン情報から最も通信状況が良くなるようにアンテナ207の高さを自動的に調整し、無線ICタグ100の設置されたマンホール付近を車で通過すると無線ICタグ100と無線ICタグリーダ200との通信が完了するといったことが可能となる。
【0028】
なお、本実施形態では、タグ識別情報入力部204には、位置情報比較部203によって検出された無線ICタグ識別情報が入力されることとしたが、例えば、タグ識別情報入力部204はキーボードやボタンなどの入力装置を備えることとして、ユーザから入力される無線ICタグ識別情報を受け付けるようにしても良い。このようにすれば、例えば、ユーザが通信対象である無線ICタグ100の無線ICタグ識別情報を知っている場合には、無線ICタグリーダ200がGPS機能部202や位置情報比較部203を備えていなくてもアンテナ高の調整を行うことが可能である。
【0029】
また、本実施形態では、位置情報比較部203には、GPS機能部202が取得したICタグリーダ位置情報が入力されることとしたが、例えば、タグ識別情報入力部204はキーボードやボタンなどの入力装置を備えることとして、ユーザから入力されるICタグリーダ位置情報を受け付けるようにしても良い。このようにすれば、例えば、ユーザが、通信対象である無線ICタグ100が設置されたマンホール付近の緯度および経度を知っている場合には、無線ICタグリーダ200がGPS機能部202を備えていなくてもアンテナ高の調整を行うことが可能である。
また、本実施形態では、ハイトパターンに応じた高さにアンテナ207を調整する手段として、モータを駆動させてアンテナ高を移動させる例を説明したが、どのような方法によりアンテナ207を移動させても良い。また、アンテナの指向性に応じて、上下だけでなく、アンテナの傾きをも変化させるようにしても良い。また、アンテナは、無線ICタグ100から無線信号のアンテナ指向性に応じて、ポールの上部に地面と水平なアンテナを備えるようなものであっても良い。
【0030】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。図4は、本実施形態による無線通信システム2の端末構成の例を示す図である。本実施形態の無線通信システム2は、無線ICタグ100と、無線ICタグリーダ300と、ハイトパターン出力装置400とを備えている。第1の実施形態では、無線ICタグリーダ200にICタグ識別情報やハイトパターンなどの情報が含まれるタグ情報が記憶される例を示したが、本実施形態では、タグ情報を、無線ICタグリーダ300とは異なるハイトパターン出力装置400が記憶している。図5は、本実施形態による無線通信システム2の構成例を示すブロック図である。無線ICタグリーダ300とハイトパターン出力装置400とが備える各機能部は、第1の実施形態における無線ICタグリーダ200が備える同名の各部と同様の構成である。無線ICタグリーダ300とハイトパターン出力装置400とは通信可能に接続されている。
【0031】
図6は、無線通信システム2の動作例を示すフローチャートである。まず、無線ICタグリーダ300のGPS機能部302は、自身の位置を示すICタグリーダ位置情報を取得する(ステップS11)。GPS機能部3020は、取得したICタグリーダ位置情報をハイトパターン出力装置400に送信する(ステップS12)。ハイトパターン出力装置400の位置情報比較部403は、無線ICタグリーダ300から送信されたICタグリーダ位置情報と、タグ情報記憶部401に記憶されたマンホール位置情報とを比較して、ICタグリーダ位置情報が示す位置に最も近いマンホール位置情報に対応付けられた無線ICタグ識別情報を検出し、検出した無線ICタグ識別情報をタグ識別情報入力部404に入力する(ステップS13)。
【0032】
ハイトパターン出力装置400のハイトパターン読出部405は、タグ識別情報入力部404に入力された無線ICタグ識別情報に対応付けられたハイトパターン情報を、タグ情報記憶部401から読み出す(ステップS14)。ハイトパターン読出部405は、読み出したハイトパターン情報が示す高さに応じたモータの回転数を算出する(ステップS15)。ハイトパターン読出部405は、算出したモータの回転数を、無線ICタグリーダ300に送信する(ステップS16)。
【0033】
無線ICタグリーダ300のアンテナ駆動部306は、ハイトパターン出力装置400から送信されたモータ回転数に基づいて無線ICタグリーダ300が設置された台に接続されたモータを駆動させて、アンテナ307を、無線ICタグ100のハイトパターンに応じて定められた高さに移動させる(ステップS17)。以降、ステップS18からステップS20までの処理は、第1の実施形態におけるステップS6からステップS7までの処理と同様である。
【0034】
このようにすれば、無線ICタグリーダ300におけるタグ選定やアンテナ高算出といった処理負荷を抑えることができる。またハイトパターンやタグ情報を無線ICタグリーダ300内部に持つ必要がないため、無線ICタグリーダ300に必要となるデータ格納容量を削減することができる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態によれば、マンホール内に設置された無線ICタグ100から情報を読み出す無線通信システムにおいて、無線ICタグ100がある位置に固定して設置されている場合に、地上でのハイトパターンが生じることを利用することで、最も受信強度が高くなる位置にアンテナ高を調整することを可能とする。これにより、マンホール内に設置された無線ICタグ100と無線ICタグリーダ200(無線ICタグリーダ300)との通信可能距離を向上することができる。
【0036】
なお、本発明における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより無線通信を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0037】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 無線通信システム
2 無線通信システム
100 無線ICタグ
200 無線ICタグリーダ
201 タグ情報記憶部
202 GPS機能部
203 位置情報比較部
204 タグ識別情報入力部
205 ハイトパターン読出部
206 アンテナ駆動部
207 アンテナ
300 無線ICタグリーダ
302 GPS機能部
306 アンテナ駆動部
307 アンテナ
400 ハイトパターン出力装置
401 タグ情報記憶部
403 位置情報比較部
404 タグ識別情報入力部
405 ハイトパターン読出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホール内に設置された無線ICタグから送信される無線信号を地上において受信するアンテナを備えた無線ICタグリーダであって、
前記無線ICタグを識別する無線ICタグ識別情報と、当該無線ICタグから送信される無線信号のハイトパターンに基づいて定められた、前記無線信号の受信強度が相対的に大きくなる前記アンテナの高さを示すハイトパターン情報とが対応付けられて予め記憶されるタグ情報記憶部と、
無線信号の受信対象である前記無線ICタグを識別する前記無線ICタグ識別情報が入力されるタグ識別情報入力部と、
前記タグ識別情報入力部に入力された前記無線ICタグ識別情報に対応する前記ハイトパターン情報を読み出すハイトパターン読出部と、
前記ハイトパターン読出部によって読み出された前記ハイトパターン情報が示す高さに、前記アンテナを移動させるアンテナ駆動部と、
を備えることを特徴とする無線ICタグリーダ。
【請求項2】
前記タグ情報記憶部には、複数のマンホールに設置されたそれぞれの前記無線ICタグを識別する前記無線ICタグ識別情報毎に、対応するマンホールの位置を示すマンホール位置情報が対応付けられて記憶され、
自身の位置を示すICタグリーダ位置情報の入力を受け付け、入力された前記ICタグリーダ位置情報と、前記タグ情報記憶部に記憶された前記マンホール位置情報とに基づいて、自身と最も近距離に位置する前記マンホールに設置された前記無線ICタグに対応する前記無線ICタグ識別情報を、前記タグ情報記憶部から読み出して前記タグ識別情報入力部に入力する位置情報比較部
を備えることを特徴とする請求項1に記載の無線ICタグリーダ。
【請求項3】
GPS機能によって自身の位置を示す前記ICタグリーダ位置情報を取得し、前記位置情報比較部に入力するGPS機能部
を備えることを特徴とする請求項2に記載の無線ICタグリーダ。
【請求項4】
マンホール内に設置された無線ICタグから送信される無線信号を受信するアンテナを備えた無線ICタグリーダと、当該無線ICタグリーダに接続されたハイトパターン出力装置とを備えた無線通信システムであって、
前記ハイトパターン出力装置は、
前記無線ICタグを識別する無線ICタグ識別情報と、当該無線ICタグから送信される無線信号のハイトパターンに基づいて定められた、前記無線信号の受信強度が相対的に大きくなる前記アンテナの高さを示すハイトパターン情報とが対応付けられて予め記憶されるタグ情報記憶部と、
無線信号の受信対象である前記無線ICタグを識別する前記無線ICタグ識別情報が入力される無線ICタグ識別情報入力部と、
前記無線ICタグ識別情報入力部に入力された前記無線ICタグ識別情報に対応する前記ハイトパターン情報を読み出すハイトパターン読出部と、を備え、
前記無線ICタグリーダは、
前記ハイトパターン読出部によって読み出された前記ハイトパターン情報が示す高さに、前記アンテナを移動させるアンテナ駆動部を
備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
マンホール内に設置された無線ICタグを識別する無線ICタグ識別情報と、当該無線ICタグから送信される無線信号のハイトパターンに基づいて定められた、前記無線信号の受信強度が相対的に大きくなる前記アンテナの高さを示すハイトパターン情報とが対応付けられて予め記憶されるタグ情報記憶部と、前記無線ICタグから送信される無線信号を地上において受信するアンテナとを備えた無線ICタグリーダの無線通信方法であって、
無線信号の受信対象である前記無線ICタグを識別する前記無線ICタグ識別情報が入力されるステップと、
入力された前記無線ICタグ識別情報に対応する前記ハイトパターン情報を読み出すハイトパターン読出ステップと、
読み出した前記ハイトパターン情報が示す高さに、前記アンテナを移動させるステップと、
を備えることを特徴とする無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−48479(P2011−48479A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194609(P2009−194609)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】