説明

焼結体

【課題】非炭化物支持形態の工具材料に関し、十分な強度、強靱性と耐摩耗性に優れ、特に鋳鉄の重機械加工に必要な耐腐食性および耐付着摩耗性に優れる工具材料の提供。
【解決手段】工具に使用するための立方晶窒化ホウ素(cubic boron nitride、略称cBN)焼結体が、(i)立方晶窒化ホウ素と、(ii)酸化アルミニウムと、(iii)1若しくはそれ以上の高融点金属化合物と、(iv)アルミニウムおよび/または1若しくはそれ以上の非酸化アルミニウム化合物との混合物を焼結することにより得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願および優先権の主張
本出願は、2004年2月20日付け申請済み米国仮特許出願第60/546,669号に対して優先権を主張するものであり、この参照により本明細書に組み込まれるものである。
【0002】
本明細書に含まれる説明は、全般的に切削、フライス加工、および/または旋削工具に関する。より具体的には、本説明は、全般的に、立方晶窒化ホウ素(cubic boron nitride、略称cBN)超砥粒工具と、その作成方法および使用方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
立方晶窒化ホウ素(cBN)の硬度は、ダイヤモンド以外のあらゆる既知の物質より高い。ただし、cBNはダイヤモンドより鉄鋼材との反応性が低いため、cBNは鉄の被加工物(ワークピース)における材料除去の用途で広く使用されるようになってきている。多結晶立方晶窒化ホウ素焼結体(sintered polycrystalline cubic boron nitride、略称PCBN)材料は、当該技術分野でよく知られており、鉄の機械加工用途で広く使用されている。
【0004】
PCBNの焼結体は、大別して2つの材料クラスに分類できる。その第1の分類は70%以上の比較的高いcBNの体積パーセントにより特徴付けられ、鋳鉄の機械加工用途で広く使われている。例えば、米国特許第3,743,489号(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものである)では、cBN粒子と、粒間に充填した金属結合剤とが直接結合した強靭なcBN焼結体について説明している。第2の分類は、セラミック結合相内に分散された、より低い体積パーセントのcBNにより特徴付けられる(70%未満)。この第2のタイプの例は硬化鋼の旋削に広く使用されており、Haraらの米国特許第4,334,928号(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものである)に見ることができる。前記セラミック結合相には、周期表の第IVa族金属および第Va族金属の炭化物、窒化物、および/またはホウ化物を含有させることができる。どちらのタイプのPCBNも、支持されていない固形の形態と、切削工具および工具挿入部材の製造用に炭化タングステン(タングステンカーバイド)で支持された形態とで市販されている。
【0005】
先行技術は進歩しているものの、ある種の鋳鉄、特に白鉄は、依然として機械加工が非常に困難でコスト高な材料である。大規模な白鉄鋳造用の重機械加工作業では、0.10インチまで、またはそれを超える非常に深い切削が行われる。これらの極端な機械加工条件下では、例外的に強靭で耐磨耗性のある材料が必要になる。この状況は、工具および被加工物間の化学磨耗(腐食)および付着摩耗の作用により、さらに複雑化される。多くの鋳鉄は、cBNに対し鉄より反応性の高い元素を含有する。例えばクロムは、多くの白鋳鉄で最高34重量%のレベルで見られる。この腐食作用が、工具材料に対する要件をより厳しいものにしている。
【0006】
現在、鋳鉄の重機械加工で使用されるPCBN材料分類としては、cBN含有量の高い固形PCBNが最も優れている。このような材料で市販されているものの例にはAMB90がある(Element Sixより入手可)。この材料は、アルミニウムセラミック結合剤内の平均粒径が9μmで約90体積%のcBNからなる。同様に、Wilsonの米国特許第4,666,466号(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものである)では、金属アルミニウムおよびcBN粉末の混合物を高圧高温条件下で反応させ、cBN粒子間にAlNおよびAlBが散在する焼結体を形成させたものから調製した材料を説明している。このアプローチでは比較的良好な強靱性と耐摩耗性の材料が得られるが、鋳鉄の重機械加工について真に最適な材料に必要な耐腐食性および耐付着摩耗性に関する要件には十分に応えられない。
【0007】
結合相を修正することにより高cBN含有量PCBN材料の耐腐食性を改善する各種方法を教示した参考文献はいくつか存在する。Yazuらの米国特許第4,343,651号(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものである)では、周期表第IVb族および第Vb族の遷移金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、およびそれらの混合物とそれらの固溶体化合物、およびアルミニウム化合物であって、マトリックス内のアルミニウム含有量が5〜30重量%であり、前記マトリックス内の粒子サイズが1μm未満のアルミニウム化合物からなる群から選択された少なくとも1つの結合剤材料を含む結合相とともに焼結された、粒子サイズ10μm未満でcBNが80〜95体積%のPCBN組成物を説明している。Nakaiらの米国特許第4,389,465号(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものである)では、本質的に粒子サイズ5μm未満の20〜80体積%のcBNと、残り部分のAlとからなる焼結体について説明している。Uedaらの米国特許第4,619,698号(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものである)では、1〜20重量%のTiCおよび/またはTiCNと、CoAl、NiAl、および(Co,Ni)Alからなる群から選択される1〜20重量%の化合物とからなる結合相においてcBNが75〜97重量%のPCBN材料を説明している。
【0008】
さらに別の例としては、Nakaiらの米国特許第4,911,756号(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものである)で、約50〜75体積%のcBNと、20〜50重量%のAlと4〜40重量%のタングステンとを含み且つ残部は周期表第IVa族、第Va族、または第VIa族の炭化物と窒化物と炭窒化物とを含む約25〜50%の結合剤とを含む混合物を焼結して得られる焼結体が説明されている。Nakaiらの米国特許第5,034,053号(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものである)では、5〜25重量%のAlと、残部は(Hfl−z)Cで表される少なくとも1種の化合物(ここで、MはHfを除く周期表第IVa族、第Va族、および第VIa族からなる群から選択される元素であり、条件0<=z<=0.3が満たされるものである)とからなる結合相中に45〜75体積%のcBNを含むPCBN材料を説明している。Fukayaらの米国特許第5,041,399号(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものである)では、20〜70体積%のcBNと、2〜20重量%のアルミニウムと2〜20重量%のタングステンと残部がTiN、Ti(C,N)、TiCz、(Ti,M)N、(Ti,M)(C,N)、および(Ti,M)Cからなる群から選択される1若しくはそれ以上のTi化合物から形成された残部とからなる結合剤粉末とを含む粉末混合物を焼結して得られるPCBN材料について説明している。ここで、Mは、Tiを除く周期表第IVa族、第Va族、および第VIa族のうち任意の1つに属す1つまたは複数の遷移金属元素を表し、zは0.1〜0.4の範囲であり、さらに結合剤は、AlおよびAlとTiの化合物のうち少なくとも1つの形態でAlを含み、W、WC、およびWとTiの化合物のうち少なくとも1つの形態でWを含み、また、Tiを含む周期表第IVa族、第Va族、および第VIa族のうち任意の1つに属する1つまたは複数の遷移金属元素に対するTiの原子比率は少なくとも2/3で97/100を超えないで、cBN結晶は前記焼結体の結合剤により形成される結合相を介し互いに結合する。
【0009】
Uedaらの米国特許第5,328,875号(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものである)では、cBNと、酸素を含むTi2−3AlC、Ti2−3AlN、およびTi2−3AlCNのうちの1若しくはそれ以上との反応により得られる分解済みの20〜48体積%の反応相からなる結合相中にcBN粒子を分散させたPCBN材料を説明している。ここで、前記分解済み反応相は、TiC、TiN、およびTiCNのうち1若しくはそれ以上と、Al、AlN、およびTiBのうち1若しくはそれ以上とを含有し、前記結合相中のcBN結晶粒径は1μm未満である。
【0010】
Yaoらの米国特許第5,830,813号(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものである)では、PCBN材料を作成する方法であって、cBN結晶と、炭窒化チタンおよび炭窒化チタンアルミニウムとからなる群から選択される高融点材料粉末と、コバルトの原料と、アルミニウムの原料との混合物を形成する工程と、前記混合物の成分の少なくとも一部を、1100℃〜1250℃範囲の温度でアンモニアにより処理する工程と、高温高圧の条件下で前記混合物を焼結する工程とを有する方法について説明している。
【0011】
Collierらの米国特許第6,331,497号(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものである)では、切削工具であって、cBN粒径10〜17μmの多結晶cBNと、二ホウ化チタン、二ホウ化アルミニウム、炭化チタン、窒化チタン、炭窒化チタン、炭窒化チタンアルミニウム、および(Ti)CNからなる群から選択される2〜15重量%の材料を含有する結合相とからなる切削工具について説明している。ここで、合金金属Mは、シリコン、クロム、コバルト、タングステン、およびタンタルのうち1若しくはそれ以上であってよく、チタンに対する合金金属の比率y/xは0.05〜0.3の範囲であり、溶浸材はアルミニウムおよび/またはシリコンを含み、その溶浸材には、炭化ケイ素を形成するためシリコンとともに化学量論を超えるダイヤモンドが含まれる。
【0012】
特開平07−082031(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものである)では、粒子直径1μm以下で5〜30体積%のアルミナ(酸化アルミニウム)と、3〜20体積%の窒化またはホウ化アルミニウムと、10〜40体積%の炭化または窒化チタンと、3〜20体積%のホウ化チタンとからなる結合相中で10〜70体積%のcBNからなるcBN焼結体について開示している。この焼結体は、従来の生成物より耐用年数が長く、すなわち破砕に対する強靱性、耐熱衝撃性、耐欠損性、および耐酸化性が改善されているため、優れていると報告されている。
【0013】
特開平08−126903(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものである)では、改善された耐磨耗性を伴う別のcBN焼結体が開示されている。このcBN焼結体は、20〜40体積%の炭化または窒化チタンと、1〜5体積%の窒化アルミニウムと、3〜7体積%のホウ化チタンと、3〜15体積%の酸化アルミニウムと、残部がcBNとからなるものとを含有し、少なくとも60%のcBN粒子領域が相互結合している。
【0014】
特開2000−247746および特開2000−218411(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものである)では、粒径1μm未満で30〜90体積%のcBNと、平均粒径2〜10μmで10〜70体積%のcBNと、4〜65体積%の結合相であって、AlNと、Alと、周期表第IVa族、第Va族、および/または第VIa族の金属のホウ化物と、それらと同じ族から得られる非ホウ化化合物と、少なくとも1つの第VIII族元素とからなる4〜65体積%の結合相とを含んだPCBN材料を開示している。このcBN混合物は一部粗い粒子を含むが、最終的な焼結体の容積測定的平均粒径はほぼ1μmでなければならない。
【0015】
特開平08−109070(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものである)では、85%を超える割合のcBNおよびAlと、30〜80体積%のcBNと、残部が窒化チタンと窒化アルミニウムと不可避不純物とからなる結合相とを有するPCBN材料を開示している。最終焼結体のcBN含有量は、30〜80体積%になる。
【0016】
特開昭59−153851(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものである)では、50〜70体積%のcBNと、10〜20体積%のAlと、8〜18体積%のTiNと、8〜10体積%のアルミニウム粉末と、2〜4体積%のシリコン粉末とからなる混合物を高圧高温で焼結して得られるPCBN材料を開示している。
【0017】
このように、以上のアプローチによる改良が行われてきているが、依然として鋳鉄の重機械加工用に切削工具材料を最適化する必要がある。以下、鋳鉄の機械加工において改善された性能を示しているPCBN材料について説明していく。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
工具に使用するための立方晶窒化ホウ素(cubic boron nitride、略称cBN)焼結体は、(i)立方晶窒化ホウ素と、(ii)酸化アルミニウム、(iii)1若しくはそれ以上の高融点金属化合物と、(iv)アルミニウムおよび/または1若しくはそれ以上の非酸化アルミニウム化合物との混合物を焼結することにより得られる。これらの焼結体は、固形、すなわち非炭化物で支持された形態の工具材料として使用する上で十分な強度および強靱性を有し、特に鋳鉄の重機械加工に有用である。
【0019】
一実施形態によれば、工具に使用するための、cBN部分と非cBN部分とを有する立方晶窒化ホウ素(cBN)焼結体は、次の混合物を焼結することにより得られる。(i)約71〜約93重量%のcBNと、(ii)約1〜約20%の酸化アルミニウムと、(iii)約3〜約26重量%の、1若しくはそれ以上の高融点金属化合物と、(iv)約3〜約20重量%の非酸化アルミニウム化合物の原料と、の混合物を焼結することにより得られる。前記高融点金属化合物は、一般式MZ(1−x)を有する1若しくはそれ以上の化合物を含んでよく、ここで、ZはC、B、N、またはこれらの組み合わせかからなる群から選択され、Mは周期表第IV〜VI族からの金属であり、xは0.01〜0.99の数である、第2のタイプの高融点金属化合物は、一般式MC(1−x)、例えばTiC(1−x)を含有しうる。第3のタイプの高融点金属化合物は、化学式MZまたはMZを有する2若しくはそれ以上の化合物の組み合わせまたは固溶体を含む。前記焼結体の非cBN部分のアルミニウム含有量は、この焼結体全体の約30重量%を超えうるが、他の組成も可能である。
【0020】
異なる別の実施形態では、工具に使用するための、cBN部分と非cBN部分と有するcBN焼結体は、次の混合物を焼結することにより得られる。(i)約50〜約93重量%の窒化cBN(任意選択で多峰性の粒径分布を伴う)と、(ii)約1〜約30%の酸化アルミニウムと、(iii)約3〜約46重量%の、例えば周期表第IV〜VI族の炭化物、窒化物、ホウ化物、および/または炭窒化物などの、1若しくはそれ以上の高融点金属化合物であって、これらの混合物および/または固溶体を含みうるものと、(iv)約3〜約30重量%の1若しくはそれ以上の非酸化アルミニウム化合物の原料(ここで、前記混合物の前記非cBN部分のアルミニウム総含有量は、前記焼結体の約10重量%を超える)との混合物を焼結することにより得られる。
【0021】
さらに付加的な実施形態は、上述の実施形態の焼結体を作成する工程に関する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、先行技術による挿入部材で大きな産業用鋳造品を機械加工した後の、挿入部材の磨耗面の写真である。
【0023】
【図2】図2は、本発明の一実施形態に基づいて生成した挿入部材で、図1と同一の大きな産業用鋳造品を機械加工した後の、挿入部材の磨耗面の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本組成および本方法を説明する前に、ここで説明する特定の工程、組成、または方法論に本発明が限定されないことを理解されたい。これは、これらの工程、組成、または方法論が場合により異なりうるためである。また言うまでもなく、本説明で使用する用語は、特定のバージョンまたは実施形態のみを説明することを目的としたものであり、唯一添付の特許請求の範囲よってのみ限定される本発明の範囲を限定するよう意図したものではない。
【0025】
また、本明細書および添付の請求項において単数形扱いしている名称は、文脈で別段の断わりを明示しない限り、複数形も含む。したがって、例えば「金属」と言及した場合は、当業者に知られている1若しくはそれ以上の金属およびそれと同等のものなどを指す。
【0026】
特に別段の定義がない限り、本明細書で使用するすべての科学技術用語は、当業者に一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書で説明した方法および材料は、それらと類似した、または同等のものであればすべて本発明の実施形態の実施または試験に使用しうるが、以下では好適な組成、方法、装置、および材料を説明していく。この明細書で触れる全刊行物は、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものである。本明細書のいかなる内容も、先行発明によれば本発明がこのような開示に先行する資格がないと認めるものであると解釈されるべきではない。
【0027】
一実施形態によれば、工具に使用するための、cBN部分と非cBN部分を有する立方晶窒化ホウ素(cBN)焼結体は、次の混合物を焼結することにより得られる。(i)約70〜約93重量%のcBNと、(ii)約1〜約20%の酸化アルミニウムと、(iii)約3〜約26重量%の1若しくはそれ以上の高融点金属化合物と、(iv)約3〜約20重量%の非酸化アルミニウム化合物の原料との混合物。前記高融点金属化合物は、一般式MZ(1−x)を有する1若しくはそれ以上の化合物を含んでよく、ここで、ZはC、B、N、またはこれらの組み合わせかからなる群から選択され、Mは周期表第IV〜VI族からの金属であり、xは0.01〜0.99の数である、第2のタイプの高融点金属化合物は、一般式MC(1−x)、例えばTiC(1−x)を含有しうる。第3のタイプの高融点金属化合物は、化学式MZまたはMZを有する2若しくはそれ以上の化合物の組み合わせまたは固溶体を含む。この化合物は、単一の化合物であっても、TiC、TiN、TiB、およびTiC(1−x)からなる群から選択される少なくとも2つの材料の混合物といった化合物の組み合わせであってもよい。他の適切な化合物も使用しうる。前記焼結体の非cBN部分のアルミニウム含有量は、この焼結体の約10重量%以上を有しうるが、他の組成も可能である。一実施形態では、当該焼結体の非cBN部分のアルミニウム含有量は、この焼結体全体の約30重量%以上を有しうる。
【0028】
異なる別の実施形態では、前記混合物は約71〜約93重量%のcBNを含有してよく、またさらに異なる別の実施形態では、この混合物は約73〜約93重量%のcBNを含有しうる。同様に、一実施形態では、酸化アルミニウムの含有量が約3〜約15%でありうる。また、前記混合物の実施形態は、約8〜約20重量%の1若しくはそれ以上の高融点金属化合物を含有しうる。さらに、前記混合物の実施形態は、約3〜約15重量%の非酸化アルミニウム化合物の原料も含有しうる。当該混合物中における前記材料の含有量は、それぞれ他の範囲であってもよい。
【0029】
異なる別の実施形態では、工具に使用するための、cBN部分と非cBN部分とを有するcBN焼結体は、次の混合物を焼結することにより得られる。(i)約50〜約93重量%の窒化cBN(任意選択で多峰性の粒径分布を伴う)と、(ii)約1〜約30%の酸化アルミニウムと、(iii)約3〜約46重量%の、例えば周期表第IV〜VI族の炭化物、窒化物、ホウ化物、および/または炭窒化物などの、1若しくはそれ以上の高融点金属化合物であって、これらの混合物および/または固溶体を含みうるものと、(iv)約3〜約30重量%の非酸化アルミニウム化合物の原料と(ここで、前記混合物の前記非cBN部分のアルミニウム総含有量は、約10重量%を超える)を有する混合物。例として、一実施形態では、前記の炭化物、窒化物、ホウ化物、炭窒化物、および炭窒化物は、式TiC(1−x)を有しうるか、若しくはTiC、TiN、TiB、およびTiC(1−x)からなる群から選択される少なくとも2つの材料の混合物を含みうる。各ケースで、xは0.01〜0.99の数である。
【0030】
一変形形態では、前記混合物中のcBNは、二峰性または多峰性の粒径分布を有しうる。ただし、実質的に均一な分布や一見ランダムな分布など、他の分布も可能である。
【0031】
この混合物は、任意の適切な方法で調製および焼結しうる。例えば、その成分は溶媒および/または別の適切な混合媒体で混合しうる。材料を完全に混合させるには、材料1000gにつき1時間など適切な時間だけ混合を行う必要がある。粉末混合物は、例えば超音波混合、ボールミル混合、アトリションミル混合などを含む(これに限定はされるものではないが)種々の技術により焼結前に混合できる。混合技術の選択は、混合物への特定材料の導入または混入阻止が望ましいという要件に影響されうる。このような材料の例には、粉砕用の媒体(メディア)ボールから出る破片などがある(WC粉砕ボールから出る炭化タングステンの破片など)。このため、(周期表第VI族に属する)炭化タングステンを成分とする実施形態では、炭化タングステン含有量の少なくとも一部を導入するよう、炭化タングステン媒体での粉砕が採用されうる。前記非酸化アルミニウムは、焼結中、粉末混合物に接触させ配置した箔形態または他の固形の金属アルミニウムから出るものでありうる。
【0032】
粉砕(すなわち混合)は、例えばイソプロピルアルコールまたは他のアルコール、アセトン、および/または他の溶剤など、若しくはそれ以上の溶剤の存在下で実施されることが多い。これらの溶剤は容易に除去でき、粉砕中、金属粉末の望ましくない酸化を助長しないことが好ましい。粉砕温度は、室温でも非室温でもよく、その時間は最高数時間以上の範囲にしてもよい。混合装置のサイズに応じ、混合物は、約100g〜約2kg、またはその前後のサイズ範囲にすることができる。
【0033】
この混合物は、溶剤(イソプロピルアルコールやアセトンなど)を除去するため、好ましくは溶剤の引火点未満の温度で乾燥しうる。乾燥させた粉末は、大きな凝集体を除去するため、20メッシュスクリーン(または異なる別の適切なふるい)で篩過しうる。また乾燥させた粉末は、当該技術分野で知られているものや、上記および本出願の[従来の技術]の項の先行技術で説明されているものなど、任意の適切な高圧/高温(high pressure/high temperature、略称HP/HT)技術および機器を使って焼結しうる。例えば、当該粉末は、黒鉛または高融点金属または他のカップ(TaやNbなど)に充填してもよい。このカップは、高圧セルに充填して高圧(例えば約25〜約75キロバール)および高温(例えば1000℃を超える温度)を適切な時間(例えば約30〜約40分間)適用し、粉末混合物をコヒーレントな(緊密に凝集した)成形体に焼結でき、また必要に応じて基板にろう付けしうる。当該技術分野の技能により認知されるであろうように、他の圧力および温度でHP/HT焼結を発展させることも可能である。支持材料(粉末または成形体)は、当該分野で知られているように、焼結体にin situ結合させるため前記カップに充填できる。適切な基板には、高融点金属(タングステンなど)の炭化物などがある。あるいは、これら組成物は、非炭化物で支持された形態で、若しくは以下で説明するすべての例のように、支持されていない固形で焼結することができる。一実施形態では、当該焼結体は二峰性または多峰性の粒径分布を有しうるが、他の分布も可能である。前記カップのサイズは、最終的な焼結体のサイズを限定する。
【0034】
焼結中、前記結合相は互いに、またcBNと化学反応して炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、酸窒化物、およびホウ化物を生成する(AlB、AlN、TiBなど)。この混合物の焼結により、混合金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、酸窒化物、およびホウ化物も生成されうる(TiAlN、WCoBなど)。これらの相は、X線回折技術により焼結体内での検出・同定が可能である。焼結したブランク材は、前記セルから取り出し、機械加工あるいは何らかの方法で前記カップ材料を除去して望ましい寸法にしうる。
【0035】
仕上げを施したブランク材は、十分な導電性があれば、切削工具の製造に適した形状およびサイズへと切削できる。適切な切削方法には、放電加工(electro−discharge machining、略称EDM)その他の方法などがある。このような工具は、(粉末冶金による)焼結鉄および/または他の材料の機械加工に使用できる。導電性が不十分な場合は、レーザー切削を使って工具製造用に望ましい形状にすることができる。上述した焼結ブランク材のサイズおよび形状は、各部品の寸法を変えることにより変更でき、主に焼結工程の促進に使用するHP/HT機器により寸法が限定される。
【0036】
上記のとおり、この焼結体は、二峰性または多峰性の粒径分布を有しうる。例えば一実施形態では、この焼結体は、前記焼結体は、cBNの約40%〜約80%を有する粗い部分と、cBNの約20%〜約60%を有する細かい部分とを有する。ここで、(i)前記粗い部分は、約5〜約30μmの平均粒径を有し、(ii)前記細かい部分は、約0〜約10μmの平均粒径を有し、(iii)前記粗い部分の平均粒径の前記細かい部分の平均粒径に対する比は、約2:1以上である。他サイズの分布も可能である。
【0037】
このcBN焼結体は、機械加工用途などに使われる工具および工具挿入部材の成形に役立ちうる。例えば、このcBN焼結体の実施形態は、鋳鉄または化学反応性の高い他の材料の重機械加工に使用できる。本明細書における「重機械加工」とは、切削が比較的深く、しばしば0.10インチに近づくかまたはそれを超える場合の用途を指す。一実施形態では、cBN焼結体は、切削の深さおよび高速性を保ちながら、cBNと化学反応性の高い白鋳鉄などの鋳鉄材料を機械加工する際に使用しうる。
【0038】
本明細書で説明するcBN焼結体の一部の実施形態は、石油抽出などの鉱業で一般に使用されるポンプハウジングや羽根車といった大きな鍛造品を機械加工をする上で役立ちうる。本明細書で説明するcBN焼結体を比較するための指標は、耐用年数(useful life)である。これは、機械加工した金属の表面仕上げが許容範囲外になるまでに、cBN焼結体が機械加工し続けられる量により決定される。第2の指標は、所定用途において工具材料で実施可能な最大機械加工速度(表面フィート/分単位)である。機械加工速度は、材料除去レートを左右する一要素であるため、部品製造コスト全体に影響を及ぼす。本明細書で説明するcBN焼結体の実施形態の例は、これまでの試験で、市販の焼結体と比べ、工具寿命が2倍を上回り、機械加工速度で50%もの増加を可能にするという優れた性能を示している。
【0039】
以上、好適な実施形態を参照して本発明を説明してきたが、当業者であれば、本発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の変形形態が可能であり、その要素について均等物での置換が可能であることを理解するであろう。また、特定の状況または材料に適合させるため、本発明の本質的範囲を逸脱しない範囲で、本発明の説明に対し多数の修正形態を作成することも可能である。例えば、以下のすべての例で結合相中にチタン化合物を使用しているが、周期表第IV〜VI族の他の金属でチタンを置換しても機械加工性能への影響を最小限に抑えうることは当業者に広く知られている。したがって、本発明は、本発明の実施用に企図される最良の形態として開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の請求項の範囲内である実施形態をすべて含むよう意図されている。本明細書で引用物は、すべて明示的に言及により本明細書に組み込むものとする。
【0040】
実施例
本例では、白鋳鉄被加工物について2回の標準機械加工試験を実施した。これら2回の試験は、種々の産業用途に見られる広い範囲にわたりPCBN材料を評価するため、異なるグレードの白鉄および異なる機械加工条件で実施している。最適な工具材料は、どちらの標準試験でも優れた性能を示すはずである。標準試験手順の条件は、表1のとおりである。工具性能は、被加工物を直線状に約25,000インチ機械加工した後、工具逃げ面の磨耗を測定することにより決定し、逃げ面磨耗0.001インチ当たりの機械加工済み直線状インチ単位で以下に報告している。この逃げ面磨耗0.001インチ当たりの直線状インチの、試験Aおよび試験Bの平均を、工具性能の主な指標としている。
【0041】
【表1】

【実施例1】
【0042】
例1−比較 この標準機械加工試験は、市販のcBN焼結体(Secomax CBN300、15μm粒径のcBNが〜82体積%、残りは大部分AlNおよびAlBからなるセラミック結合剤、Seco Tools AB社、スウェーデン)を使って実施した。この例では、被試験材料は、先行技術の説明に従い作成されたものと見られる。この材料は、試験Aでは逃げ面磨耗0.001インチ当たり875直線状インチ機械加工し、試験Bでは逃げ面磨耗0.001インチ当たり1230直線状インチ機械加工して、平均性能スコアは1053であった。
【実施例2】
【0043】
例2−比較 この標準機械加工試験は、市販のcBN焼結体(BZN 7000、15μm粒径のcBNが〜82体積%、残りは大部分AlNおよびAlBからなるセラミック結合剤、Diamond Innovations,Inc、米国オハイオ州Worthington)を使って実施している。この材料は、試験Aでは逃げ面磨耗0.001インチ当たり760直線状インチ機械加工し、試験Bでは逃げ面磨耗0.001インチ当たり1827直線状インチ機械加工して、平均性能スコアは1294であった。
【実施例3】
【0044】
例3−比較 平均粒子サイズが約3μm未満の炭化チタン(TiC)粉末、平均粒子サイズが約5μm未満のアルミニウム粉末(Al)、および平均粒子サイズが約12μm未満のcBN粉末を、71重量%のcBN、15重量%のTiC、および14重量%のAlの比で計り分ける。これらの成分は、ポリエチレンのジャー内で、混合媒体としてのイソプロピルアルコールとともにタンブリングにより1時間混合する。そのブレンドした混合物を、前記アルコール引火点未満の温度で乾燥してアルコールを除去した。乾燥させた粉末を20メッシュスクリーンで篩過して大きな凝集体を除去し、黒鉛カップに充填した。それらのカップを高圧セル内に装着して高圧(45〜50キロバール)および高温(約1400℃)を30〜40分間適用し、前記粉末混合物をコヒーレントな成形体へと焼結した。
【0045】
この例では、前記焼結体は、平均サイズ約15μmで約72体積%のcBN粒子と、残りはセラミック結合相からなる材料とからなるものであった。この結合相は、X線回折技術で識別された複数の相を含み、炭化チタン、窒化アルミニウム、および二ホウ化アルミニウムを含有していた。後者2相は、焼結工程中に混合された粉末成分がcBNと反応して形成されたものである。
【0046】
焼結したブランク材は、RNG−432挿入部材を製造するため、厚さ4.8mmに機械加工し、0.5インチディスクにレーザー切削した。この材料から得た挿入部材は、試験Aでは逃げ面磨耗0.001インチ当たり1046直線状インチ機械加工し、試験Bでは逃げ面磨耗0.001インチ当たり408直線状インチ機械加工して、平均性能スコアは727であった。この例では、被試験焼結体は、先行技術の説明に従い作成されたものであった。
【実施例4】
【0047】
例4−比較 15重量%のTiN、14重量%のAl、および平均粒子サイズ12μmで71重量%のcBNからなる粉末混合物から、例3の説明どおりにcBN焼結体を製造した。焼結中、Al粉末およびTiNの一部がcBNと反応し、この焼結体のX線回折解析での同定によると、TiB、TiN、AlN、およびAlBを形成した。この材料から得た挿入部材は、試験Aでは逃げ面磨耗0.001インチ当たり1908直線状インチ機械加工し、試験Bでは逃げ面磨耗0.001インチ当たり653直線状インチ機械加工して、平均性能スコアは1281であった。この例では、被試験焼結体は、先行技術の説明に従い作成されたものであった。
【実施例5】
【0048】
例5−本発明の実施形態 2.6重量%のTiC、2.6重量%のTiN、2.6重量%のAl、11.5重量%のAl、および平均粒子サイズ12μmで80.7重量%のcBNからなる粉末混合物から、例3の説明どおりにcBN焼結体を製造した。Alが53重量%のアルミニウム元素を含むことから、この粉末混合物の非cBN部分のアルミニウム総含有量は67重量%になる。この焼結体のX線回折解析では、cBN、TiN、TiC、TiB、AlN、およびAlの存在が検出された。この材料から得た挿入部材は、試験Aでは逃げ面磨耗0.001インチ当たり1712直線状インチ機械加工し、試験Bでは逃げ面磨耗0.001インチ当たり1044直線状インチ機械加工して、平均性能スコアは1378であった。この進歩性のある材料の結合剤に含まれる炭化物、窒化物、ホウ化物、および酸化アルミニウムの混合物からは、例3の比較材料をほぼ100%、また例4の比較材料を約8%凌駕するPCBNが生成された。
【実施例6】
【0049】
例6−本発明の実施形態 7重量%のTiC、15重量%のAl、7重量%のAl、および平均粒子サイズ12μmで71重量%のcBNからなる粉末混合物から、例3の説明どおりにcBN焼結体を製造した。この粉末混合物の非cBN部分のアルミニウム総含有量は、約52重量%であった。この材料から得た挿入部材は、試験Aでは逃げ面磨耗0.001インチ当たり2800直線状インチ機械加工し、試験Bでは逃げ面磨耗0.001インチ当たり1101直線状インチ機械加工して、平均性能スコアは1951であった。この結果は、米国特許第6,331,497号に教示されている組成にAlを加えた場合に性能が向上したことを示している。この材料が最良の市販PCBN(例2のBZN7000)を50%凌いだことにも注意すべきである。
【実施例7】
【0050】
例7−比較 7重量%のTiN、15重量%のAl、7重量%のAl、および平均粒子サイズ11μmで71重量%のcBNからなる粉末混合物から、例3の説明どおりにcBN焼結体を製造した。この材料から得た挿入部材は、試験Aでは逃げ面磨耗0.001インチ当たり2980直線状インチ機械加工し、試験Bでは逃げ面磨耗0.001インチ当たり777直線状インチ機械加工して、平均性能スコアは1879であった。この材料は、試験Aでは非常に優れた性能を示したが、試験Bでの性能は改善が必要である。この例では、被試験組成物は、先行技術の説明に従い作成されたものであった。
【実施例8】
【0051】
例8−本発明の実施形態 2.6重量%のTiC、2.6重量%のTiN、2.6重量%のAl、11.5重量%のAl、および80.7重量%のcBNからなる粉末混合物から、例3の説明どおりにcBN焼結体を製造した。この例のcBN粉末は、二峰性の粒子サイズ分布を有し、60%のcBNは平均粒子サイズ12μm、また40%は平均粒子サイズ3μmを有すものであった。この粉末混合物の非cBN部分のアルミニウム総含有量は、約67重量%であった。この焼結体のX線回折解析では、cBN、TiN、TiC、TiB、AlN、およびAlの存在が検出された。この材料から得た挿入部材は、試験Aでは逃げ面磨耗0.001インチ当たり1938直線状インチ機械加工し、試験Bでは逃げ面磨耗0.001インチ当たり2137直線状インチ機械加工して、平均性能スコアは2038であった。平均性能スコアが1378の例5と比較すると、二峰分布のcBN粒径を使ったことによる性能上の有益な効果が容易に見て取れる。
【実施例9】
【0052】
例9−本発明の実施形態 6.1重量%のTiC、10.1重量%のTiN、2.6重量%のAl、8.0重量%のAl、および73.2重量%のcBNからなる粉末混合物から、例3の説明どおりにcBN焼結体を製造した。この例のcBN粉末は、二峰性の粒子サイズ分布を有し、60%のcBNは平均粒子サイズ12μm、また40%は平均粒子サイズ3μmを有すものであった。この粉末混合物の非cBN部分のアルミニウム総含有量は、約35重量%であった。この焼結体のX線回折解析では、cBN、TiN、TiC、TiB、AlN、およびAlの存在が検出された。この材料から得た挿入部材は、試験Aでは逃げ面磨耗0.001インチ当たり2462直線状インチ機械加工し、試験Bでは逃げ面磨耗0.001インチ当たり2766直線状インチ機械加工して、平均性能スコアは2614であった。この例からは、例8で暗に指摘した前記二峰性効果に加え、結合剤組成物を注意深く選択して工具材料の耐薬品性を改善したことの有益な効果が明白である。
【実施例10】
【0053】
例10−比較 市販のSecomax CBN300挿入部材、そして例8で説明したものと同一の手順および進歩性のある前記組成物を使って製造した付加的な挿入部材を、産業用の重機械加工用途に適用した。各材料の挿入部材は、白鉄でできた1つの大きな産業用鋳造品(28% Cr)の機械加工に使用した。この機械加工は、467表面フィート/分の速度、および0.070インチ〜0.120インチの可変切削深さで実施した。図1は、大きな白鉄鋳造品の1つを機械加工した後の、Secomax CBN300挿入部材の磨耗面を示したものであり、図2は、同一の鋳造品を機械加工した後の、本発明の一実施形態の磨耗面を示したものである。これにより、前記進歩性のある工具材料の実施形態の方が前記市販材料より優れていることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立方晶窒化ホウ素(cubic boron nitride、略称cBN)部分と非cBN部分とを有する焼結体であって、
(a)約71〜約93体積%のcBNと、
(b)約1〜約20体積%の酸化アルミニウムと、
(c)約3〜約26体積%の1若しくはそれ以上の高融点金属化合物であって、
i. 一般式MZ(1−x)を有する化合物と、
ii. 一般式MC(1−x)を有する化合物と、
iii.それぞれ一般式MZまたはMZを有する2若しくはそれ以上の化合物の組み合わせまたは固溶体と
からなる群から選択され、
ここで、
ZはC、B、N、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、Mは周期表第IV〜VI族のいずれかの金属であり、xは0.01〜0.99の数である、前記約3〜約26体積%の1若しくはそれ以上の高融点金属化合物と、
(d)約3〜約20体積%の1若しくはそれ以上の非酸化アルミニウム化合物の原料と
を有し、
前記焼結体の前記非cBN部分におけるアルミニウム含有量が約30重量%を超えるものである、
焼結体。
【請求項2】
請求項1記載の焼結体において、前記1若しくはそれ以上の高融点金属化合物は、TiC(1−x)、若しくはTiC、TiN、TiB、TiN(1−x)、およびTiC(1−x)からなる群から選択される少なくとも2つの材料の混合物のうち少なくとも1つを含有し、xは0.01〜0.99の数である。
【請求項3】
請求項1記載の焼結体において、前記cBNは、少なくとも二峰性の粒径分布を有するものである。
【請求項4】
請求項3記載の焼結体は、前記cBNの約40%〜約80%を有する粗い部分と、前記cBNの約20〜約60%を有する細かい部分とを有し、
前記粗い部分は約5〜約30μmの平均粒径を有し、前記細かい部分は約0〜約10μmの平均粒径を有し、
前記粗い部分の平均粒径の前記細かい部分の平均粒径に対する比は、約2:1以上である。
【請求項5】
請求項1記載の焼結体において、前記焼結体は非炭化物で支持された形態である。
【請求項6】
請求項1記載の焼結体において、前記1若しくはそれ以上の非酸化アルミニウム化合物を形成するアルミニウムの少なくとも一部は、焼結中、粉末混合物に接触して配置される箔形態または他の固形の金属アルミニウムから成るものである。
【請求項7】
立方晶窒化ホウ素(cBN)部分と非cBN部分とを有する焼結体を作成する方法であって、
(A)混合物を調製する工程であって、
(a)約71〜約93体積%のcBNと、
(b)約1〜約20体積%の酸化アルミニウムと、
(c)約3〜約26体積%の1若しくはそれ以上の高融点金属化合物であって、
i. 一般式MZ(1−x)を有する化合物と、
ii. 一般式MC(1−x)を有する化合物と、
iii.それぞれ一般式MZまたはMZを有する2若しくはそれ以上の化合物の組み合わせまたは固溶体と
からなる群から選択され、
ZはC、B、N、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、Mは周期表第IV〜VI族からの金属であり、xは0.01〜0.99の数である、前記約3〜約26体積%の、1若しくはそれ以上の高融点金属化合物と、
(d)約3〜約20体積%の金属アルミニウムの原料と
を有し、
この粉末混合物の前記非cBN部分におけるアルミニウム総含有量が約30重量%を超えるものである、前記混合物を調製する工程と、
(B)焼結体を生成するため、前記混合物に高圧高温(high pressure and high temperature、略称HP/HT)条件を適用する工程と
を有する方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法において、前記HP/HT条件は、約25〜約75kbarの圧力および約1000℃以上の温度を含むものである。
【請求項9】
請求項7記載の方法において、前記cBNは、少なくとも二峰性または多峰性の粒径分布を有するものである。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、
前記焼結体は、前記cBNの約40%〜約80%を有する粗い部分と、前記cBNの約20%〜約60%を有する細かい部分とを有し、
前記粗い部分は約5〜約30μmの平均粒径を有し、前記細かい部分は約0〜約10μmの平均粒径を有し、
前記粗い部分の平均粒径の前記細かい部分の平均粒径に対する比は、約2:1以上である。
【請求項11】
請求項7記載の方法において、この方法は、さらに、
焼結中、箔形態または他の固形のアルミニウムを前記粉末混合物に接触させて配置する工程を有するものである。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−131700(P2012−131700A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−379(P2012−379)
【出願日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【分割の表示】特願2006−554249(P2006−554249)の分割
【原出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(504174825)ダイヤモンド イノベーションズ、インク. (12)
【Fターム(参考)】