照射光変換装置
【課題】光源から発した照射光のぼかし、色相の変換等を簡便に行い得るように構成した照射光変換装置を提供すること。
【解決手段】第1ハウジング3と一体に形成した開口筒部5の一端にスリット13を形成するとともに、スリット13に連通するガイド溝15を形成する。また、ガイド溝15の略中央部にはレンズ21を係止するための係止部17が形成されている。スリット13からレンズ21を挿入し、そのまま挿入を継続すると、ガイド溝15に案内されて所定位置に位置決めされるとともに係止部17に係止される。この状態で、LED7から発した照射光がレンズ21を透過するようになり、レンズ表面に微細な凹凸等を表面加工したものであれば照射光がぼかされる。また、レンズ材料に色素や蛍光体を添加したものであれば、元の照射光とは異なった色相に変換することができる。開口筒部5の構造が簡単であるため、製造コストを低減できる上に、レンズ交換も容易でレンズ破損等を防止できる。
【解決手段】第1ハウジング3と一体に形成した開口筒部5の一端にスリット13を形成するとともに、スリット13に連通するガイド溝15を形成する。また、ガイド溝15の略中央部にはレンズ21を係止するための係止部17が形成されている。スリット13からレンズ21を挿入し、そのまま挿入を継続すると、ガイド溝15に案内されて所定位置に位置決めされるとともに係止部17に係止される。この状態で、LED7から発した照射光がレンズ21を透過するようになり、レンズ表面に微細な凹凸等を表面加工したものであれば照射光がぼかされる。また、レンズ材料に色素や蛍光体を添加したものであれば、元の照射光とは異なった色相に変換することができる。開口筒部5の構造が簡単であるため、製造コストを低減できる上に、レンズ交換も容易でレンズ破損等を防止できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)から発光した照射光の照射領域を調整したり、照射光の色相等を変換したりするための照射光変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車輌等において小型化、省エネルギー等を図るため、LEDを光源とする室内照明装置が用いられるようになってきた。
図15は、LEDを適用したLEDランプ装置の一例を示すものであり、特許文献1に開示されている。
【0003】
即ち、LEDランプ装置61は、筐体62内にLED63を設けたものであり、LED63から発光した照射光は開口部64を透過して外部を照射するようになっている。
そして、開口部64の先端にはキャップ65が装着され、キャップ65に光拡散処理を施すか、或いは色素、蛍光体を加えることにより、照射領域をぼかしたり、LED63本来の発光色を様々な色に変換したりするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−183193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記LEDランプ装置は、下記のような問題点を有している。
即ち、キャップで開口部全体を覆う構成であり、キャップが大型になる。このため、高価な色素や蛍光体が多量に必要になり、これがコスト高の要因になる。
【0006】
また、キャップの構造が複雑であり、キャップを製造するための金型費用が高くなる上に、材質や製法が限定される等の問題があった。
更に、キャップの材質がガラスや硬質樹脂の場合、キャップの装着作業性が悪く、無理に装着しようとすると、割れやヒビ等の破損事故が生じるおそれがある。
また、キャップの全体形状が凹状であるから、LEDランプ装置への装着前に内部に埃が溜まりやすく、埃が溜まったままであると、照射光に色ムラが生じることがあった。
【0007】
本発明の目的は前記課題を解消することに係り、簡単な構成で光の拡散、色相調整等の光変換を行うことのできる照射光変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の前記目的は、下記構成により達成される。
(1)照射光を発する光源と、該光源を収容するハウジングと、前記ハウジングに形成され前記照射光を透過させる開口筒部と、を有する機能部を備えた照射光変換装置であって、
前記光源からの前記照射光の光軸に交差して配置されて前記照射光を調整するレンズと、
前記開口筒部の一端に、前記レンズを着脱自在に係止させるために設けられた係止機構と、
を更に備え、
前記開口筒部に設けられた前記係止部に所望の前記レンズを係止することにより、前記開口筒部を透過する前記照射光を調整するように構成したことを特徴とする照射光変換装置。
【0009】
(2)前記開口筒部には、前記レンズを挿入及び抜き出すためのスリットと、
前記スリットから挿入及び抜き出される前記レンズを往復動自在に案内するガイド溝と、
前記ガイド溝に沿って前記レンズが所定位置まで挿入されたとき、前記レンズを係止して所定位置に位置決めする係止部と、
が設けられたことを特徴とする上記(1)に記載の照射光変換装置。
【0010】
(3)前記レンズは、前記スリットを挿通し得る大きさに形成され、且つ前記係止部に係合する係合部を設けられたことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の照射光変換装置。
【0011】
(4)前記レンズは、その表面加工形状により、或いはレンズ材料に添加した光拡散剤により、前記開口筒部を透過する前記照射光を拡散する構成であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の照射光変換装置。
【0012】
(5)前記レンズは、レンズ材料に色素及び蛍光剤を添加することにより前記照射光の色相を変換する構成であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の照射光変換装置。
【0013】
前記(1)の構成によれば、前記開口筒部に前記レンズを係止することにより、前記光源から発光した照射光が前記レンズを透過するので、1種の光源を用いたままでレンズを交換することにより、所望の色相、所望の光量、所望の照射範囲に変換することができる。
【0014】
上記(2)の構成によれば、前記開口筒部に前記レンズを挿入するスリット、レンズを所定位置に案内するガイド溝、レンズを所定位置に位置決めする係止部が設けられているので、レンズ交換を容易に行うことができる。
【0015】
上記(3)の構成によれば、前記レンズを前記スリットに容易に挿入することができ、所定位置まで挿入することによりレンズに形成した係合部が開口筒部に形成した係止部に係合して位置決めされる。
【0016】
上記(4)の構成によれば、前記開口筒部に前記レンズを挿入することにより、光源から発光した照射光がレンズの表面加工形状により拡散するので、照射光がぼかされて柔らかい感じの照射光に変換される上に、照射範囲の限定が可能になる。更に、光拡散剤として蛍光体をレンズ材料に添加することによって、照射光を他の異なった雰囲気に変換することもできる。
【0017】
上記(5)の構成によれば、前記レンズを前記開口筒部に挿入することにより、1種の光源を用いているにも拘わらず、照射光を所望の色相に変換することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明による照射光変換装置によれば、1種の照射光を発する光源を用いるのみで、レンズ交換により照射光の散乱や色相の変換を行うことができる。
しかも、レンズ交換は、開口筒部に設けた係止機構による簡単な作業でよく、多種のレンズを用意しておき所望のものに交換することにより、1種の照射光を目的に合わせて変換することができる。
また、レンズは、照射光を透過させる面積があればよく、レンズの小型化、材料コスト削減を図ることができる。
また、レンズを装着し、所定位置に位置決めする係止機構の構成が簡単であり、開口筒部成形のための金型製作コストの削減を図ることができる。
【0019】
また、レンズ装着時の破損を防止できる上に、レンズ材料の選択自由度が向上する。
また、レンズが着脱自在であるので、レンズへの埃付着の防止と、埃の除去が容易になる。
また、レンズを薄型化できるので、梱包時における収容数の増加、レンズに対する表面処理時の作業性の向上、開口筒部への挿入時における作業性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態である照射光変換装置の要部の斜視図である。
【図2】開口筒部へのレンズの装着形態を示す照射光変換装置の要部の斜視図である。
【図3】照射光変換装置の外観を示す一側面図である。
【図4】ガイド溝の形態を示す斜視図である。
【図5】開口筒部の形態を示す照射光変換装置の断面図である。
【図6】開口筒部へのレンズ装着を示す照射光変換装置の断面図である。
【図7】(A)はレンズの形態を示す斜視図、(B)はレンズの形態を示す側面図である。
【図8】(A)はレンズの形態を示す平面図、(B)はレンズの形態を示す他の側面図である。
【図9】開口筒部へのレンズの挿入形態を示す照射光変換装置の斜視図である。
【図10】照射光変換装置の要部の平面図である。
【図11】開口筒部へのレンズの挿入過程を示す照射光変換装置の斜視図である。
【図12】照射光変換装置の要部の平面図である。
【図13】レンズ挿入形態を示す照射光変換装置の斜視図である。
【図14】照射光変換装置の要部の平面図である。
【図15】従来のLEDランプ装置の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る照射光変換装置の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態の説明にあたっては、図1〜図6を参照して照射光変換装置(以下、単に変換装置と略称する)の構成を説明し、次いで図7〜図8を参照してレンズの構成を説明し、更に図9〜図12を参照してレンズの装着作用を説明する。
【0022】
本実施形態における変換装置1は、車両の室内用照明装置として用いられるものであり、第1ハウジング3の外側に中空円筒状の開口筒部5を設けられ、第1ハウジング3の内側で開口筒部5に臨む位置にLED7が配設されるとともに、前記第1ハウジングに連接するように設けられた第2ハウジング9の内側にLED7を駆動する回路等を収容して機能部11を構成されている。
【0023】
前記開口筒部5は、前記照射光を変換装置1外に照射するためのものである。開口筒部5は、図5,図6に示すように第1ハウジング3と一体成形されたものであるが、その開放端は図1,図4,図5に示すように後述するレンズ21が装着されない状態では開口状態になっている。
【0024】
そして、開口筒部5の一端に、即ち本実施形態では開放端近傍にレンズ21を開口筒部5に挿入するためのスリット13が形成されている。スリット13の外側の形状は、図1,図2,図3に示すように開口筒部5の側面に横方向に形成されている。しかし、開口筒部5の内側にあっては、図4,図5に示すようにガイド溝15に連通している。なお、ガイド溝15は、スリット13の両端に対向するように2条が形成されているが、対象構造であるので両者に共通の符号を付している。
【0025】
前記2条のガイド溝15の略中央には、特に図5に明示したようにレンズ21を係止するための凹状の係止部17が縦方向に形成されている。この係止部17も対象構造であるので、両者に共通の符号を付している。
【0026】
また、前記2条のガイド溝15の各終端は、図5,図6に示すように閉塞されていて、レンズ21のすり抜けを防止するようになっている。従って、開口筒部5におけるスリット13の反対側の側面は、図4〜図6に示すように閉塞面になっている。
上記のように、スリット13、ガイド溝15、係止部17によりレンズ係止機構が構成されている。
【0027】
次に、前記レンズ21について説明する。
レンズ21は、前記スリット13内に挿入されるものであり,その板厚はスリット13の隙間以下に設定されている。レンズ21の材質としてはガラスや、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が適用される。なお、レンズ21は、前記照射光の照射領域をぼかしたり、LED7から発した照射光の色相を変換したりするためのものである。
【0028】
前記照射領域のぼかしは、レンズ21の表面に微細な凹凸を形成する等の表面処理を施すことによって可能になる。
また、前記色相変換については、レンズ材料に各種色素や蛍光体を添加することにより可能になる。
【0029】
レンズ21は基本的に円板状であるが、外形部の対向する一部が直線状に形成され、この対向する直線状部分23の幅W1は前記スリット13の幅W2以下に設定されている。そして、直線状部分23の略中央部には、このレンズ21が前記スリット13から挿入されて前記開口筒部5内に装着されたとき、前記係止部17に係合する凸状の係合部25が形成されている。
【0030】
次に、図9〜図14を参照して、前記レンズ21の開口筒部5への装着方法を説明する。
レンズ21を開口筒部5に装着する場合は、図9に示すように開口筒部5に形成したスリット13に向けてレンズ21を位置決めする。この際、レンズ21の幅W1をスリット13に対向させ、矢印A方向に差し込む。この時点では、開口筒部5の上端は、図10に示すように開口状態になり、LED7の一部が開口筒部5内に露呈されている。
【0031】
この状態から、スリット13内にレンズ21を挿入し、矢印A方向に付勢し続けると、図11,図12に示すようにレンズ21がガイド溝15に案内されつつ開口筒部5内に挿入され、開口筒部5を次第に閉塞するようになる。
【0032】
そして、レンズ21の挿入を継続すると、前記係止部17に前記係合部25が係合するとともに、レンズ21の先端が開口筒部5の閉塞端、即ちスリット13の対向位置にある壁部に当接してそれ以上の挿入が不可になる。この結果、図13,図14に示すように、開口筒部5の開口全体がレンズ21により覆われることになる。
【0033】
ここで図5,図6を比較参照すると、当初は図5に示すようにLED7の上部は開放されていた。この状態では、LED7から発した照射光は、そのまま開口筒部5を透過する。しかし、図6に示すように、レンズ21を開口筒部5に装着することにより、LED7から発した照射光はレンズ21を透過して開口筒部5外に照射されることになる。
【0034】
従って、例えば微細な凹凸等の表面加工を施したレンズ21を前記のように開口筒部5に装着すれば、指向性の強い照射光を散乱させてぼかすことができる。
また、レンズ21に例えば色素や蛍光体を添加した場合は、LED7固有の発光色の色相が変換される。
【0035】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0036】
例えば、本実施形態では係止部17が凸状に、係合部25が凹状に形成されているが、係止部17が凹状に、係合部25が凸状に形成された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 照射光変換装置
3 第1ハウジング
5 開口筒部
7 LED
9 第2ハウジング
11 機能部
13 スリット
15 ガイド溝
17 係止部
21 レンズ
23 直線状部分
25 係合部
A レンズの挿入方向
W1,W2 幅
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)から発光した照射光の照射領域を調整したり、照射光の色相等を変換したりするための照射光変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車輌等において小型化、省エネルギー等を図るため、LEDを光源とする室内照明装置が用いられるようになってきた。
図15は、LEDを適用したLEDランプ装置の一例を示すものであり、特許文献1に開示されている。
【0003】
即ち、LEDランプ装置61は、筐体62内にLED63を設けたものであり、LED63から発光した照射光は開口部64を透過して外部を照射するようになっている。
そして、開口部64の先端にはキャップ65が装着され、キャップ65に光拡散処理を施すか、或いは色素、蛍光体を加えることにより、照射領域をぼかしたり、LED63本来の発光色を様々な色に変換したりするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−183193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記LEDランプ装置は、下記のような問題点を有している。
即ち、キャップで開口部全体を覆う構成であり、キャップが大型になる。このため、高価な色素や蛍光体が多量に必要になり、これがコスト高の要因になる。
【0006】
また、キャップの構造が複雑であり、キャップを製造するための金型費用が高くなる上に、材質や製法が限定される等の問題があった。
更に、キャップの材質がガラスや硬質樹脂の場合、キャップの装着作業性が悪く、無理に装着しようとすると、割れやヒビ等の破損事故が生じるおそれがある。
また、キャップの全体形状が凹状であるから、LEDランプ装置への装着前に内部に埃が溜まりやすく、埃が溜まったままであると、照射光に色ムラが生じることがあった。
【0007】
本発明の目的は前記課題を解消することに係り、簡単な構成で光の拡散、色相調整等の光変換を行うことのできる照射光変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の前記目的は、下記構成により達成される。
(1)照射光を発する光源と、該光源を収容するハウジングと、前記ハウジングに形成され前記照射光を透過させる開口筒部と、を有する機能部を備えた照射光変換装置であって、
前記光源からの前記照射光の光軸に交差して配置されて前記照射光を調整するレンズと、
前記開口筒部の一端に、前記レンズを着脱自在に係止させるために設けられた係止機構と、
を更に備え、
前記開口筒部に設けられた前記係止部に所望の前記レンズを係止することにより、前記開口筒部を透過する前記照射光を調整するように構成したことを特徴とする照射光変換装置。
【0009】
(2)前記開口筒部には、前記レンズを挿入及び抜き出すためのスリットと、
前記スリットから挿入及び抜き出される前記レンズを往復動自在に案内するガイド溝と、
前記ガイド溝に沿って前記レンズが所定位置まで挿入されたとき、前記レンズを係止して所定位置に位置決めする係止部と、
が設けられたことを特徴とする上記(1)に記載の照射光変換装置。
【0010】
(3)前記レンズは、前記スリットを挿通し得る大きさに形成され、且つ前記係止部に係合する係合部を設けられたことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の照射光変換装置。
【0011】
(4)前記レンズは、その表面加工形状により、或いはレンズ材料に添加した光拡散剤により、前記開口筒部を透過する前記照射光を拡散する構成であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の照射光変換装置。
【0012】
(5)前記レンズは、レンズ材料に色素及び蛍光剤を添加することにより前記照射光の色相を変換する構成であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の照射光変換装置。
【0013】
前記(1)の構成によれば、前記開口筒部に前記レンズを係止することにより、前記光源から発光した照射光が前記レンズを透過するので、1種の光源を用いたままでレンズを交換することにより、所望の色相、所望の光量、所望の照射範囲に変換することができる。
【0014】
上記(2)の構成によれば、前記開口筒部に前記レンズを挿入するスリット、レンズを所定位置に案内するガイド溝、レンズを所定位置に位置決めする係止部が設けられているので、レンズ交換を容易に行うことができる。
【0015】
上記(3)の構成によれば、前記レンズを前記スリットに容易に挿入することができ、所定位置まで挿入することによりレンズに形成した係合部が開口筒部に形成した係止部に係合して位置決めされる。
【0016】
上記(4)の構成によれば、前記開口筒部に前記レンズを挿入することにより、光源から発光した照射光がレンズの表面加工形状により拡散するので、照射光がぼかされて柔らかい感じの照射光に変換される上に、照射範囲の限定が可能になる。更に、光拡散剤として蛍光体をレンズ材料に添加することによって、照射光を他の異なった雰囲気に変換することもできる。
【0017】
上記(5)の構成によれば、前記レンズを前記開口筒部に挿入することにより、1種の光源を用いているにも拘わらず、照射光を所望の色相に変換することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明による照射光変換装置によれば、1種の照射光を発する光源を用いるのみで、レンズ交換により照射光の散乱や色相の変換を行うことができる。
しかも、レンズ交換は、開口筒部に設けた係止機構による簡単な作業でよく、多種のレンズを用意しておき所望のものに交換することにより、1種の照射光を目的に合わせて変換することができる。
また、レンズは、照射光を透過させる面積があればよく、レンズの小型化、材料コスト削減を図ることができる。
また、レンズを装着し、所定位置に位置決めする係止機構の構成が簡単であり、開口筒部成形のための金型製作コストの削減を図ることができる。
【0019】
また、レンズ装着時の破損を防止できる上に、レンズ材料の選択自由度が向上する。
また、レンズが着脱自在であるので、レンズへの埃付着の防止と、埃の除去が容易になる。
また、レンズを薄型化できるので、梱包時における収容数の増加、レンズに対する表面処理時の作業性の向上、開口筒部への挿入時における作業性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態である照射光変換装置の要部の斜視図である。
【図2】開口筒部へのレンズの装着形態を示す照射光変換装置の要部の斜視図である。
【図3】照射光変換装置の外観を示す一側面図である。
【図4】ガイド溝の形態を示す斜視図である。
【図5】開口筒部の形態を示す照射光変換装置の断面図である。
【図6】開口筒部へのレンズ装着を示す照射光変換装置の断面図である。
【図7】(A)はレンズの形態を示す斜視図、(B)はレンズの形態を示す側面図である。
【図8】(A)はレンズの形態を示す平面図、(B)はレンズの形態を示す他の側面図である。
【図9】開口筒部へのレンズの挿入形態を示す照射光変換装置の斜視図である。
【図10】照射光変換装置の要部の平面図である。
【図11】開口筒部へのレンズの挿入過程を示す照射光変換装置の斜視図である。
【図12】照射光変換装置の要部の平面図である。
【図13】レンズ挿入形態を示す照射光変換装置の斜視図である。
【図14】照射光変換装置の要部の平面図である。
【図15】従来のLEDランプ装置の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る照射光変換装置の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態の説明にあたっては、図1〜図6を参照して照射光変換装置(以下、単に変換装置と略称する)の構成を説明し、次いで図7〜図8を参照してレンズの構成を説明し、更に図9〜図12を参照してレンズの装着作用を説明する。
【0022】
本実施形態における変換装置1は、車両の室内用照明装置として用いられるものであり、第1ハウジング3の外側に中空円筒状の開口筒部5を設けられ、第1ハウジング3の内側で開口筒部5に臨む位置にLED7が配設されるとともに、前記第1ハウジングに連接するように設けられた第2ハウジング9の内側にLED7を駆動する回路等を収容して機能部11を構成されている。
【0023】
前記開口筒部5は、前記照射光を変換装置1外に照射するためのものである。開口筒部5は、図5,図6に示すように第1ハウジング3と一体成形されたものであるが、その開放端は図1,図4,図5に示すように後述するレンズ21が装着されない状態では開口状態になっている。
【0024】
そして、開口筒部5の一端に、即ち本実施形態では開放端近傍にレンズ21を開口筒部5に挿入するためのスリット13が形成されている。スリット13の外側の形状は、図1,図2,図3に示すように開口筒部5の側面に横方向に形成されている。しかし、開口筒部5の内側にあっては、図4,図5に示すようにガイド溝15に連通している。なお、ガイド溝15は、スリット13の両端に対向するように2条が形成されているが、対象構造であるので両者に共通の符号を付している。
【0025】
前記2条のガイド溝15の略中央には、特に図5に明示したようにレンズ21を係止するための凹状の係止部17が縦方向に形成されている。この係止部17も対象構造であるので、両者に共通の符号を付している。
【0026】
また、前記2条のガイド溝15の各終端は、図5,図6に示すように閉塞されていて、レンズ21のすり抜けを防止するようになっている。従って、開口筒部5におけるスリット13の反対側の側面は、図4〜図6に示すように閉塞面になっている。
上記のように、スリット13、ガイド溝15、係止部17によりレンズ係止機構が構成されている。
【0027】
次に、前記レンズ21について説明する。
レンズ21は、前記スリット13内に挿入されるものであり,その板厚はスリット13の隙間以下に設定されている。レンズ21の材質としてはガラスや、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が適用される。なお、レンズ21は、前記照射光の照射領域をぼかしたり、LED7から発した照射光の色相を変換したりするためのものである。
【0028】
前記照射領域のぼかしは、レンズ21の表面に微細な凹凸を形成する等の表面処理を施すことによって可能になる。
また、前記色相変換については、レンズ材料に各種色素や蛍光体を添加することにより可能になる。
【0029】
レンズ21は基本的に円板状であるが、外形部の対向する一部が直線状に形成され、この対向する直線状部分23の幅W1は前記スリット13の幅W2以下に設定されている。そして、直線状部分23の略中央部には、このレンズ21が前記スリット13から挿入されて前記開口筒部5内に装着されたとき、前記係止部17に係合する凸状の係合部25が形成されている。
【0030】
次に、図9〜図14を参照して、前記レンズ21の開口筒部5への装着方法を説明する。
レンズ21を開口筒部5に装着する場合は、図9に示すように開口筒部5に形成したスリット13に向けてレンズ21を位置決めする。この際、レンズ21の幅W1をスリット13に対向させ、矢印A方向に差し込む。この時点では、開口筒部5の上端は、図10に示すように開口状態になり、LED7の一部が開口筒部5内に露呈されている。
【0031】
この状態から、スリット13内にレンズ21を挿入し、矢印A方向に付勢し続けると、図11,図12に示すようにレンズ21がガイド溝15に案内されつつ開口筒部5内に挿入され、開口筒部5を次第に閉塞するようになる。
【0032】
そして、レンズ21の挿入を継続すると、前記係止部17に前記係合部25が係合するとともに、レンズ21の先端が開口筒部5の閉塞端、即ちスリット13の対向位置にある壁部に当接してそれ以上の挿入が不可になる。この結果、図13,図14に示すように、開口筒部5の開口全体がレンズ21により覆われることになる。
【0033】
ここで図5,図6を比較参照すると、当初は図5に示すようにLED7の上部は開放されていた。この状態では、LED7から発した照射光は、そのまま開口筒部5を透過する。しかし、図6に示すように、レンズ21を開口筒部5に装着することにより、LED7から発した照射光はレンズ21を透過して開口筒部5外に照射されることになる。
【0034】
従って、例えば微細な凹凸等の表面加工を施したレンズ21を前記のように開口筒部5に装着すれば、指向性の強い照射光を散乱させてぼかすことができる。
また、レンズ21に例えば色素や蛍光体を添加した場合は、LED7固有の発光色の色相が変換される。
【0035】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0036】
例えば、本実施形態では係止部17が凸状に、係合部25が凹状に形成されているが、係止部17が凹状に、係合部25が凸状に形成された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 照射光変換装置
3 第1ハウジング
5 開口筒部
7 LED
9 第2ハウジング
11 機能部
13 スリット
15 ガイド溝
17 係止部
21 レンズ
23 直線状部分
25 係合部
A レンズの挿入方向
W1,W2 幅
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射光を発する光源と、該光源を収容するハウジングと、前記ハウジングに形成され前記照射光を透過させる開口筒部と、を有する機能部を備えた照射光変換装置であって、
前記光源からの前記照射光の光軸に交差して配置されて前記照射光を調整するレンズと、
前記開口筒部の一端に、前記レンズを着脱自在に係止させるために設けられた係止機構と、
を更に備え、
前記開口筒部に設けられた前記係止部に所望の前記レンズを係止することにより、前記開口筒部を透過する前記照射光を調整するように構成したことを特徴とする照射光変換装置。
【請求項2】
前記開口筒部には、前記レンズを挿入及び抜き出すためのスリットと、
前記スリットから挿入及び抜き出される前記レンズを往復動自在に案内するガイド溝と、
前記ガイド溝に沿って前記レンズが所定位置まで挿入されたとき、前記レンズを係止して所定位置に位置決めする係止部と、
が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の照射光変換装置。
【請求項3】
前記レンズは、前記スリットを挿通し得る大きさに形成され、且つ前記係止部に係合する係合部を設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の照射光変換装置。
【請求項4】
前記レンズは、その表面加工形状により、或いはレンズ材料に添加した光拡散剤により、前記開口筒部を透過する前記照射光を拡散する構成であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の照射光変換装置。
【請求項5】
前記レンズは、レンズ材料に色素及び蛍光剤を添加することにより前記照射光の色相を変換する構成であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の照射光変換装置。
【請求項1】
照射光を発する光源と、該光源を収容するハウジングと、前記ハウジングに形成され前記照射光を透過させる開口筒部と、を有する機能部を備えた照射光変換装置であって、
前記光源からの前記照射光の光軸に交差して配置されて前記照射光を調整するレンズと、
前記開口筒部の一端に、前記レンズを着脱自在に係止させるために設けられた係止機構と、
を更に備え、
前記開口筒部に設けられた前記係止部に所望の前記レンズを係止することにより、前記開口筒部を透過する前記照射光を調整するように構成したことを特徴とする照射光変換装置。
【請求項2】
前記開口筒部には、前記レンズを挿入及び抜き出すためのスリットと、
前記スリットから挿入及び抜き出される前記レンズを往復動自在に案内するガイド溝と、
前記ガイド溝に沿って前記レンズが所定位置まで挿入されたとき、前記レンズを係止して所定位置に位置決めする係止部と、
が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の照射光変換装置。
【請求項3】
前記レンズは、前記スリットを挿通し得る大きさに形成され、且つ前記係止部に係合する係合部を設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の照射光変換装置。
【請求項4】
前記レンズは、その表面加工形状により、或いはレンズ材料に添加した光拡散剤により、前記開口筒部を透過する前記照射光を拡散する構成であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の照射光変換装置。
【請求項5】
前記レンズは、レンズ材料に色素及び蛍光剤を添加することにより前記照射光の色相を変換する構成であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の照射光変換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−177040(P2010−177040A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18357(P2009−18357)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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