説明

照明装置及び照明器具

【課題】照明環境の明るさに対する目標値を設定する際に利用者に与える視覚的なストレスや点灯回路に与える電気的なストレスを低減する。
【解決手段】制御部5が第1光源部1の調光比を100%から0%に切り換えるとともに第2光源部2の調光比を0%から100%に切り換えた場合、光色や明るさが急激に変化して利用者に視覚的なストレスを与えたり、点灯回路部3,4に電気的なストレスを与えてしまう虞がある。これに対して本実施形態では、制御部5が第1光源部1と第2光源部2の調光比を徐々に増減(フェードイン及びフェードアウト)するので、目標値設定の際に利用者に与える視覚的なストレスや点灯回路部3,4に与える電気的なストレスを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、及び当該照明装置を用いた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の主原因とされる二酸化炭素の排出量を削減するためにあらゆる電気機器の省電力化が推し進められている。特に、照明装置(照明器具)の消費電力は家庭における消費電力に占める割合が非常に高いので、照明装置の省電力化が望まれている。
【0003】
これに対して本出願人は、明るさセンサによって照明環境の明るさ(照度)を検出し、照明光以外の外光(例えば、太陽光などの自然光)の変化に対して照明環境の明るさが一定に保たれるように光源の光出力を自動的に調整(調光)する照明装置を提案している。例えば、特許文献1記載の従来例は、天井に設置される器具本体に明るさセンサが設けられ、明るさセンサの検出値(出力電圧値)が所定の目標値(目標電圧値)となるように調光を行っている。しかしながら、この従来例では、照明環境の明るさが同じであっても、床や壁、あるいは机やテーブルなどの調度品の反射率の違いによって明るさセンサの検出値が大きく異なってしまう。したがって、例えば部屋の模様替えなどの影響で床や壁の反射率が2倍になったとすると、明るさセンサの検出値に対する目標値も2倍に変更されなければ、照明環境の明るさが一定に保たれなくなってしまう。
【0004】
そこで特許文献1記載の従来例では、電源が投入されたときに光源を定格点灯させた状態の明るさセンサの検出値を記憶するとともに、当該検出値に基づいて明るさセンサの目標値を設定している。これにより、部屋の模様替えなどの影響で反射率が変化した場合に目標値が自動的に変更されるので、照明装置の自動調光機能が正常に動作して照明環境の明るさを一定に保つことができる。
【0005】
ところで、光色の異なる複数種類の光源を具備し、これら複数種類の光源を択一的に点灯したり、あるいは同時に点灯させて混色させる照明装置が提供されている。このような照明装置に上述した自動調光機能が搭載される場合、各光源毎に明るさセンサの目標値を設定する必要がある。つまり、1種類の光源のみを順番に定格点灯させながら各光源の定格点灯時の明るさセンサの検出値を記憶し、当該検出値に基づいて明るさセンサの目標値が設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−243314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、複数種類の光源を順次択一的に点灯させながら明るさセンサで明るさを検出する際、上述のように各光源を瞬時に点滅(定格点灯から消灯、消灯から定格点灯)させると光色や明るさが急激に変化する。このような急激な変化は利用者に視覚的なストレスを与えたり、光源を点灯する点灯回路に電気的なストレスを与えてしまう虞がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、照明環境の明るさに対する目標値を設定する際に利用者に与える視覚的なストレスや点灯回路に与える電気的なストレスを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の照明装置は、互いの光色が異なる複数種類の光源部と、前記各光源部に個別に給電して点灯させる複数の点灯回路部と、照明環境の明るさを検出する明るさセンサと、前記各光源部毎に明るさの目標値を記憶した記憶部と、前記点灯回路部を制御して前記光源部の光出力を調整する制御部とを備え、当該制御部は、前記明るさセンサの検出値を前記記憶部に記憶されている前記目標値に一致させるように前記点灯回路部を制御する自動調光制御モード、および前記目標値を決定して前記記憶部に記憶させる目標値設定モードを有し、当該目標値設定モードにおいて、前記制御部は、前記各光源部を順次択一的に点灯させながら前記明るさセンサの検出値を取得し、取得した各光源部毎の検出値に基づいて前記目標値を決定しており、前記光源部を消灯から点灯に切り換える際に前記点灯回路部を制御して当該点灯回路部の給電量を徐々に増加させ、且つ前記光源部を点灯から消灯に切り換える際に前記点灯回路部を制御して当該点灯回路部の給電量を徐々に減少させることを特徴とする。
【0010】
この照明装置において、前記目標値設定モードにおいて前記制御部が前記光源部の消灯と点灯の切換に要する時間は、前記明るさセンサの明るさ検出に要する時間以上であることが好ましい。
【0011】
この照明装置において、前記目標値設定モードにおいて、前記制御部は、前記光源部を点灯から消灯に切り換えると同時に他の何れかの前記光源部を消灯から点灯に切り換えながら前記明るさセンサの検出値を取得することが好ましい。
【0012】
本発明の照明器具は、前記何れかの照明装置と、当該照明装置を保持する器具本体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の照明装置及び照明器具は、照明環境の明るさに対する目標値を設定する際に利用者に与える視覚的なストレスや点灯回路に与える電気的なストレスを低減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る照明装置の実施形態を示し、(a)はブロック図、(b)は点灯回路部の回路構成図である。
【図2】(a)〜(c)は同上における制御部の動作を説明するための波形図である。
【図3】(a),(b)は同上における制御部の目標値設定動作を説明するための説明図である。
【図4】本発明に係る照明器具の実施形態を示す分解斜視図である。
【図5】同上の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る照明装置及び照明器具の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
本実施形態の照明装置は、図1(a)に示すように2つの光源部1,2、2つの点灯回路部3,4、制御部5、力率改善回路6、明るさセンサ7、記憶部8などを備えている。一方の光源部(以下、第1光源部と呼ぶ。)1は、白色光を放射する1乃至複数個の発光ダイオードの直列回路を有している。また、他方の光源部(以下、第2光源部と呼ぶ。)2は、電球色の光を放射する1乃至複数個の発光ダイオードの直列回路を有している。これらの光源部1,2は、各発光ダイオードの順電圧に個数を乗じた電圧(以下、駆動電圧と呼ぶ。)が印加されることで電流が流れて発光(点灯)する。
【0017】
力率改善回路6は従来周知の昇圧チョッパ回路からなり、商用の交流電源100から供給される交流電圧よりも高い直流電圧を出力する。一方の点灯回路部(以下、第1点灯回路部と呼ぶ。)3は、力率改善回路6から出力される直流電圧を所望の直流電圧(第1光源部1の駆動電圧)まで降圧するスイッチング電源回路を有している。同様に、他方の点灯回路部(以下、第2点灯回路部と呼ぶ。)4は、力率改善回路6から出力される直流電圧を所望の直流電圧(第2光源部2の駆動電圧)まで降圧するスイッチング電源回路を有している。
【0018】
第1点灯回路部3及び第2点灯回路部4は、図1(b)に示すように降圧チョッパ回路と、降圧チョッパ回路を駆動する駆動回路30,40とで構成される。降圧チョッパ回路は従来周知であって、力率改善回路6の正極側の出力端子にダイオードD1のカソードが接続され、ダイオードD1のアノードと力率改善回路6の負極側の出力端子との間にスイッチング素子Q1及び抵抗R1の直列回路が挿入される。また、ダイオードD1のカソード・アノード間に、電解コンデンサからなる平滑コンデンサC1及びインダクタL1が直列に接続され、平滑コンデンサC1の両端に放電用の抵抗R2が接続される。なお、光源部1,2の各発光ダイオードLEDが平滑コンデンサC1の両端間に直列に接続される。このように構成される降圧チョッパ回路の動作は従来周知であって、スイッチング素子Q1が高周波でスイッチングされることにより、入力電圧(力率改善回路6の出力電圧)から降圧された直流電圧が平滑コンデンサC1の両端より光源部1,2に出力される。また駆動回路30,40は、制御部5から与えられる制御信号に応じてスイッチング素子Q1をスイッチングするものである。
【0019】
明るさセンサ7は、太陽電池やフォトダイオードなどの光電変換素子(図示せず)と、光電変換素子の出力を増幅して受光量(明るさ)に応じたレベルの検出電圧を出力する出力回路(図示せず)とを具備する。ただし、このような明るさセンサ7は従来周知であるから詳細な回路構成の図示並びに動作説明は省略する。また記憶部8は、例えば、フラッシュメモリなどの電気的に書換可能な不揮発性の半導体メモリからなる。
【0020】
制御部5は、マイクロコンピュータ及びROMやRAM等のメモリなどのハードウェアと、ROMに保存されてマイクロコンピュータで実行されるプログラム(ソフトウェア)とで構成されている。そして、以下に説明する制御部5の動作(処理)は、マイクロコンピュータがプログラムを実行することで実現される。なお、制御部5の動作電源は、図示しない電源回路が力率改善回路6の出力電圧から作成して供給される。
【0021】
ここで、制御部5は、点灯回路部3,4のスイッチング電源回路を間欠動作させ且つ間欠動作の周期T0に対する動作期間(オン期間)T1のデューティ比(=T1/T0×100)を100%から0%の範囲で増減することによって光源部1,2の光出力を調整(調光)することができる(図2参照)。つまり、図2(b)に示すようにデューティ比が高くなるほど光源部1,2の光出力が増加し、図2(c)に示すようにデューティ比が低くなるほど光源部1,2の光出力が減少する。そして、図2(a)に示すようにデューティ比が100%の場合はスイッチング電源回路が常時動作して光源部1,2が定格点灯し、デューティ比が0%の場合はスイッチング電源回路が常時停止して光源部1,2が消灯する。なお、以下の説明では、上述したデューティ比を調光比と呼ぶが、この調光比は、光源部1,2の定格点灯時の光出力を100%とした光出力比を表している。
【0022】
また、本実施形態では第1光源部1の発光色(白色)と第2光源部2の発光色(電球色)が異なっている。したがって、制御部5が第1光源部1の光出力(調光比)と第2光源部2の光出力(調光比)との割合を変化させることにより、第1光源部1及び第2光源部2から照明空間に照射される光の色を調整(調色)することができる。つまり、第1光源部1の光出力(調光比)の割合が高くなるほど光色が白色に近くなり、第2光源部2の光出力(調光比)の割合が高くなるほど光色が電球色に近くなる。そして、第1光源部1の調光比が0%よりも高く且つ第2光源部2の調光比が0%の場合は、光色が白色となり、第1光源部1の調光比が0%且つ第2光源部2の調光比が0%よりも高い場合は、光色が電球色となる。なお、以下の説明では、第1光源部1の調光比と第2光源部2の調光比との割合(比率)を調色比と呼ぶ。
【0023】
ところで、第1光源部1と第2光源部2がそれぞれ100%の調光比で定格点灯されると光出力が大きくなり過ぎる。そこで、第1光源部1の調光比と第2光源部2の調光比との総和が100%となるように、制御部5が各光源部1,2の調光比を調整することが好ましい。なお、以下の説明では、第1光源部1の調光比と第2光源部2の調光比の総和を全調光比と呼ぶ。
【0024】
ここで、制御部5は、図示しないワイヤレスリモコンから送信されるコントロール信号(赤外線信号)を受信し、受信したコントロール信号に応じて全調光比及び調色比を変化させる。ワイヤレスリモコンは、全調光比を増減させるためのスイッチ、調色比を変更させるためのスイッチなどを有し、これらのスイッチが操作されたときに全調光比の増減や調色比の変化を指示するコントロール信号を送信する。例えば、制御部5は、全調光比の増加を指示するコントロール信号を受け取ると各光源部1,2の調光比を増加させ、全調光比の減少を指示するコントロール信号を受け取ると各光源部1,2の調光比を減少させる。また、制御部5は、調色比の変更を指示するコントロール信号を受け取ると各光源部1,2の調光比の割合を調整して調色比を変更する。ただし、制御部5は、全調光比を変更する際、調色比を一定に保った状態で第1光源部1の調光比と第2光源部2の調光比の少なくとも何れか一方を増減する。同様に、制御部5は調色比を変更する際、全調光比を一定に保った状態で第1光源部の調光比と第2光源部2の調光比の少なくとも何れか一方を増減する。これにより、光色を変化させずに明るさ(全調光比)のみを調整したり、明るさ(全調光比)を変化させずに光色(調色比)のみを調整することができる。
【0025】
さらに制御部5は、明るさセンサ7で検出される明るさを所定の目標値に一致させるように第1点灯回路部3と第2点灯回路部4の各調光比を調整する自動調光機能を有している。ここで、従来技術で説明したように、光色が異なる第1光源部1と第2光源部2のそれぞれについて明るさセンサ7の目標値を設定する必要がある。つまり、制御部5は、第1光源部1のみを定格点灯させた状態の明るさセンサ7の検出値と、第2光源部2のみを定格点灯させた状態の明るさセンサ7の検出値を記憶部8に記憶させる。さらに制御部5は、定格点灯時の明るさセンサ7の検出値に基づいて明るさセンサ7の目標値を設定し、設定した目標値を記憶部8に記憶させる。ただし、制御部5は、交流電源100の電源投入時又はワイヤレスリモコンから目標値設定を指示するコントロール信号を受け取ったときに、上述の目標値設定動作(目標値設定モード)を実行する。そして、目標値設定動作で目標値を設定した後、制御部5は、記憶部8に記憶された目標値を読み出して自動調光機能(自動調光制御モード)を実行する。ただし、両光源部1,2を消灯した状態の明るさセンサ7の検出値と、定格点灯時の明るさセンサ7の検出値との差分に基づいて明るさセンサ7の目標値を設定しても構わない。
【0026】
次に、制御部5の目標値設定動作について、図3(a)を参照して説明する。例えば、ワイヤレスリモコンから目標値設定を指示するコントロール信号を受け取ると、目標値設定用のプログラムが制御部5のマイクロコンピュータで実行され、その結果、制御部5が目標値設定動作を開始する。制御部5は第1点灯回路部3を制御して第1光源部1を100%の調光比で点灯(定格点灯)させ(時刻t0)、明るさセンサ7に明るさを検出させる。ここで、照明環境の明るさ、特に外光が存在する場合の明るさは短時間で急激に変化する場合があるので、明るさセンサ7の検出値を時間平均することが好ましい。つまり、制御部5は時刻t0から時刻t1までの期間における明るさセンサ7の検出値を時間平均し、その時間平均値を第1光源部1の定格点灯時の検出値として記憶部8に記憶させる。
【0027】
続いて、制御部5は第1光源部1を消灯して第2光源部2を100%の調光比で定格点灯させる。このとき、制御部5は第1点灯回路部3のデューティ比を漸減することで第1点灯回路部3の単位時間当たりの給電量を徐々に減少させるとともに、第2点灯回路部4のデューティ比を漸増することで第2点灯回路部4の単位時間当たりの給電量を徐々に増加させる。これにより、第1光源部1の調光比が時刻t1から時刻t2までの期間T2で100%から0%に減少し、第2光源部2の調光比が時刻t1から時刻t2までの期間で0%から100%に増加することになる。なお、制御部5は、例えば、20ミリ秒毎に5%ずつ第1光源部1と第2光源部2の調光比を変化させるが、これに限定されるものではない。そして、制御部5は時刻t2から時刻t3までの期間T3における明るさセンサ7の検出値を時間平均し、その時間平均値を第2光源部2の定格点灯時の検出値として記憶部8に記憶させる。ただし、制御部5は、目標値設定モードにおいて光源部1,2の消灯と点灯の切換に要する時間T2を明るさセンサ7の明るさ検出に要する時間T3(例えば、1秒間)以上、例えば、2秒間に設定している。
【0028】
ここで、図3(b)に示すように制御部5が時刻t1に第1光源部1の調光比を100%から0%に切り換えるとともに第2光源部2の調光比を0%から100%に切り換えた場合、光色や明るさが急激に変化して利用者に視覚的なストレスを与えたり、点灯回路部3,4に電気的なストレスを与えてしまう虞がある。これに対して本実施形態では、制御部5が第1光源部1と第2光源部2の調光比を徐々に増減(フェードイン及びフェードアウト)するので、目標値設定の際に利用者に与える視覚的なストレスや点灯回路部3,4に与える電気的なストレスを低減することができる。なお、目標値設定モードにおいて、第2光源部2の定格点灯時における検出値を先に取得し、第1光源部1の定格点灯時における検出値を後から取得しても構わない。
【0029】
ところで、点灯回路部3,4を構成する降圧チョッパ回路の寿命は平滑コンデンサC1に用いられる電解コンデンサの劣化状態で決まることが多く、特に電解コンデンサが非通電状態で高温度環境下に放置されると劣化が進行して寿命が短くなる傾向にある。したがって、一方の光源部1(又は2)が100%の調光比で点灯し且つ他方の光源部2(又は1)が消灯した場合、消灯している方の点灯回路部3又は4の平滑コンデンサC1が非通電状態で高温度環境下に放置されてしまうので、寿命が短くなってしまう虞がある。したがって、全ての光源部1,2を消灯させる場合を除いて、制御部5が各点灯回路部3,4のスイッチング電源回路のデューティ比を、0%よりも大きい所定の下限値(例えば、1%)から100%の範囲で増減することが好ましい。つまり、目標値設定モードにおいても、制御部5が各光源部1,2の調光比を0%ではなく、下限値に設定することが好ましい。これにより、調光比が最も低く設定された場合でも点灯回路部3,4の平滑コンデンサC1に微少な電流を流し続けることができるので、平滑コンデンサC1が非通電状態で高温度環境下に放置されることがない。その結果、平滑コンデンサC1(電解コンデンサ)の劣化を抑えて照明装置の長寿命化を図ることができる。ただし、調光比の下限値は1%に限定されるものではなく、照明装置から照明空間に照射される光量や光色に実質的に影響を与えない程度(例えば、1〜3%)であればよい。なお、「実質的に影響を与えない程度」とは、例えば、調光比が0%のときと下限値のときとで、殆どの人が明るさ(照度)や光色の違いに気付かない程度を意味する。
【0030】
而して、光源部1,2の調光比(光量)と照明空間の明るさ(照度)との関係は、床や壁、あるいは机やテーブルなどの調度品の反射率が違っても変化せず、明るさセンサ7の検出値のみが変化する。例えば、照明空間の目標とする明るさ(照度)が、外光がないときに70%の全調光比で得られるとした場合、各光源部1,2の調光比が100%のときの明るさセンサ7の検出値に0.7を乗じた値が各光源部1,2が単独で点灯するときの明るさセンサ7の目標値となる。そして、明るさセンサ7の検出値が目標値に一致するように、制御部5が第1光源部1(又は第2光源部2)の調光比を調整することで照明空間の明るさが目標の明るさに維持されることになる。また、第1光源部1と第2光源部2を双方とも点灯させる場合、つまり、調色する場合においては、各調色比に応じて、制御部5が第1光源部1の調光比と第2光源部2の調光比を調整することで照明空間の明るさが目標の明るさに維持される。
【0031】
なお、目標値設定モードにおいて、制御部5が第1光源部1を点灯から消灯に切り換えると同時に第2光源部2を消灯から点灯に切り換えながら明るさセンサ7の検出値を取得するようにしても構わない。例えば、上述のように第1光源部1と第2光源部2の調光比を20ミリ秒ごとに5%ずつ増減する際、それぞれの調光比(調色比)毎に制御部5が明るさセンサ7の検出値を取得して記憶部8に記憶させればよい。このようにすれば、調色時における自動調光制御の目標値を細かく設定することができて、自動調光制御の精度の向上が図れる。
【0032】
本実施形態の照明装置は、図4,5に示すような照明器具10に用いられる。この照明器具10は、図5に示すように天井面200に設置されている引掛シーリング201を利用して設置される、いわゆるシーリングライトである。また照明器具10は、器具本体11、上部LEDユニット12、上部枠13、上部パネル14、反射板15、下部LEDユニット16、下部LEDユニット17、受光ユニット18、下部パネル19、取付金具20などを備える。
【0033】
器具本体11は、略正方形状の中央部天板21と、中央部天板21の外側部に接続された上部側板22と、上部側板22に接続された側部天板23と、側部天板23の外側部に接続された下部側板24とが薄い金属板によって一体に形成されてなる。
【0034】
上部LEDユニット12は合計4つあって、それぞれLED基板25が器具本体11の上部側板22の外面において側方に照射方向を向けて取り付けられ、透光性を有するレンズカバー26でLED基板25が覆われている。LED基板25には、第2光源部2を構成する電球色の発光ダイオードの一部が実装されている。そして、これらの発光ダイオードが発光することにより、レンズカバー26を通じて器具本体11の側部および天井面200に向けて電球色の光が放射される。なお、4つの上部LEDユニット12は、略正方形状に形成されている器具本体11の4つの辺と向き合う位置にそれぞれ設置されている。
【0035】
下部LEDユニット17も合計4つあって、LED基板27が器具本体11の上部側板22の下面において内方に照射方向を向けて取り付けられており、透光性を有するレンズカバー28を有する。なお、LED基板27には、第1光源部1を構成する白色の発光ダイオードの一部、並びに第2光源部2を構成する電球色の発光ダイオードの一部が実装されている。そして、これらの発光ダイオードが発光することにより、レンズカバー28を通じ、反射板15により反射した光が器具本体11の下方に向けて放射される。
【0036】
上部枠13は矩形枠状に形成されており、上部LEDユニット12を上から覆うように本体11の上面側に取り付けられる。また、上部枠13の上部に上部パネル14が取り付けられる。反射板15は、中央部分が下方に突出した略角錐台形状に形成され、器具本体11の下面側にねじ16によって取り付けられる。反射板15の下面には、ワイヤレスリモコンから送信される赤外線信号を受信するための受光ユニット18と、透光性材料によって扁平な矩形箱状に形成され、下部LEDユニット17や反射板15を覆う下部パネル19とが取り付けられる。また取付金具20は器具本体11の中央に固定されており、引掛シーリング201に着脱自在に取り付けられる。そして、照明装置は取付金具20及び引掛シーリング201を介して交流電源100と電気的に接続される。
【符号の説明】
【0037】
1 第1光源部(光源部)
2 第2光源部(光源部)
3 第1点灯回路部(点灯回路部)
4 第2点灯回路部(点灯回路部)
5 制御部
7 明るさセンサ
8 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの光色が異なる複数種類の光源部と、前記各光源部に個別に給電して点灯させる複数の点灯回路部と、照明環境の明るさを検出する明るさセンサと、前記各光源部毎に明るさの目標値を記憶した記憶部と、前記点灯回路部を制御して前記光源部の光出力を調整する制御部とを備え、当該制御部は、前記明るさセンサの検出値を前記記憶部に記憶されている前記目標値に一致させるように前記点灯回路部を制御する自動調光制御モード、および前記目標値を決定して前記記憶部に記憶させる目標値設定モードを有し、当該目標値設定モードにおいて、前記制御部は、前記各光源部を順次択一的に点灯させながら前記明るさセンサの検出値を取得し、取得した各光源部毎の検出値に基づいて前記目標値を決定しており、前記光源部を消灯から点灯に切り換える際に前記点灯回路部を制御して当該点灯回路部の給電量を徐々に増加させ、且つ前記光源部を点灯から消灯に切り換える際に前記点灯回路部を制御して当該点灯回路部の給電量を徐々に減少させることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記目標値設定モードにおいて前記制御部が前記光源部の消灯と点灯の切換に要する時間は、前記明るさセンサの明るさ検出に要する時間以上であることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記目標値設定モードにおいて、前記制御部は、前記光源部を点灯から消灯に切り換えると同時に他の何れかの前記光源部を消灯から点灯に切り換えながら前記明るさセンサの検出値を取得することを特徴とする請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかの照明装置と、当該照明装置を保持する器具本体とを備えることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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