説明

熱発電装置および熱発電装置を備える電子機器

【課題】電力効率を向上させる。
【解決手段】熱発電装置10は、熱電変換部11と、熱電変換部11から出力される電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧回路12と、蓄電回路13から出力される電圧による所定電圧を熱電変換部11から出力される電圧に重畳可能なDC/DC変換回路14と、昇圧回路12の昇圧動作の状態を検出する電圧センサ12aから出力される検出結果に基づき、熱電変換部11から出力される電圧にDC/DC変換回路14から出力される所定電圧を重畳して得られる電圧が、昇圧回路12の昇圧動作を開始または継続させるために要する下限電圧以上になるようにして、DC/DC変換回路14の動作を制御する制御回路17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱発電装置および熱発電装置を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば熱電変換素子による発電機の出力電圧(つまり発電機から昇圧回路に入力される入力電圧)を昇圧する昇圧回路と、この昇圧回路を駆動させる発振回路と、昇圧回路の駆動開始以後においては、発電機の出力電圧を昇圧回路によって発振回路の最低駆動電圧以上の電圧に昇圧し、昇圧回路から出力される電圧によって発振回路の駆動を継続する電子機器が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
そして、上記特許文献1には、従来の技術として、昇圧回路から出力される電力を蓄電する蓄電器を備え、蓄電器に蓄電されている電力によって発振回路の駆動および昇圧回路の昇圧動作を開始することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−122098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術に係る電子機器によれば、昇圧回路の昇圧動作を開始するためには、少なくとも発振回路の駆動を開始するために要する電力を蓄電器に蓄電しておく必要があり、例えば蓄電器から電気負荷に電力が供給されている状態などにおいては、発振回路の駆動開始に要する電力よりも大きな電力を確保しておく必要が生じる。これに対して、電子機器全体での電力効率を向上させることが望まれている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、電力効率を向上させることが可能な熱発電装置および熱発電装置を備える電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の第1態様に係る熱発電装置は、熱電変換部(例えば、実施の形態での熱電変換部11)と、該熱電変換部に接続され、前記熱電変換部から出力される電圧(つまり昇圧部に入力される入力電圧)を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧部(例えば、実施の形態での昇圧回路12)と、該昇圧部に接続され、前記昇圧部から出力される電力の少なくとも一部を蓄電可能な蓄電部(例えば、実施の形態での蓄電回路13)と、該蓄電部に接続され、かつ前記熱電変換部に接続可能であって、前記蓄電部から出力される電圧による所定電圧を前記熱電変換部から出力される電圧に重畳可能な電圧重畳部(例えば、実施の形態でのDC/DC変換回路14)と、前記昇圧部の昇圧動作の状態を検出して検出結果を出力する状態検出部(例えば、実施の形態での電圧センサ12a)と、前記状態検出部から出力される前記検出結果に基づき、前記熱電変換部から出力される電圧(つまり電圧重畳部の停止状態で熱電変換部から昇圧部に入力される入力電圧)に前記電圧重畳部から出力される前記所定電圧を重畳して得られる電圧(つまり電圧重畳部の作動状態で熱電変換部から昇圧部に入力される入力電圧)が、前記昇圧部の昇圧動作を開始または継続させるために要する下限電圧以上になるようにして、前記電圧重畳部の動作を制御する制御部(例えば、実施の形態での制御回路17)とを備える。
【0007】
さらに、本発明の第2態様に係る熱発電装置では、前記電圧重畳部は、前記蓄電部から出力される電圧を前記所定電圧に変換するDC/DC変換回路(例えば、実施の形態でのDC/DC変換回路14)を備える。
【0008】
さらに、本発明の第3態様に係る熱発電装置は、前記昇圧部に接続された電気負荷(例えば、実施の形態での電気負荷15)を備え、前記蓄電部は、前記昇圧部から出力される電力から前記電気負荷の消費電力を減算して得られる余剰電力を蓄電する。
【0009】
さらに、本発明の第4態様に係る熱発電装置は、前記蓄電部に接続された発電部(例えば、実施の形態での発電装置16)を備える。
【0010】
また、本発明の第5態様に係る電子機器は、第1態様から第4態様の何れか1つに記載の熱発電装置を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の熱発電装置によれば、熱電変換部から出力される電圧(つまり電圧重畳部の停止状態で熱電変換部から昇圧部に入力される入力電圧)に電圧重畳部から出力される所定電圧を重畳して得られる電圧(つまり電圧重畳部の作動状態で熱電変換部から昇圧部に入力される入力電圧)が、昇圧部の昇圧動作を開始または継続させるために要する下限電圧以上となることから、例えば蓄電部の電力のみで昇圧部の昇圧動作を開始または継続させる場合に比べて、蓄電部に蓄電しておく必要がある電力を低減することができ、熱発電装置での電力効率を向上させることができる。
【0012】
さらに、本発明の第2態様に係る熱発電装置によれば、電圧重畳部は、昇圧部の昇圧動作を開始または継続させるために要する下限電圧を確保するための所定電圧を、熱電変換部から出力される電圧の変化に応じて、精度よく出力することができ、蓄電部に蓄電しておく必要がある電力が不必要に増大してしまうことを防止することができ、熱発電装置での電力効率を向上させることができる。
【0013】
さらに、本発明の第3態様に係る熱発電装置によれば、電気負荷で必要とされる消費電力を確保しつつ、熱電変換部から出力される電力を有効に蓄電部に蓄電して、昇圧部の昇圧動作を開始または継続する際に蓄電部に蓄電されている電力を用いることができる。
【0014】
さらに、本発明の第4態様に係る熱発電装置によれば、発電部の発電による発電電力を蓄電部に蓄電することができ、昇圧部の昇圧動作を開始または継続させるために要する下限電圧を容易に確保することができる。
【0015】
また、本発明の第5態様に係る電子機器によれば、熱電変換部から出力される電圧(つまり電圧重畳部の停止状態で熱電変換部から昇圧部に入力される入力電圧)に電圧重畳部から出力される所定電圧を重畳して得られる電圧(つまり電圧重畳部の作動状態で熱電変換部から昇圧部に入力される入力電圧)が、昇圧部の昇圧動作を開始または継続させるために要する下限電圧以上となることから、例えば蓄電部の電力のみで昇圧部の昇圧動作を開始または継続させる場合に比べて、蓄電部に蓄電しておく必要がある電力を低減することができ、電子機器での電力効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る熱発電装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る熱発電装置の昇圧回路の出力電力と熱電変換部の出力電圧の変化の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る熱発電装置の熱電変換部の出力電圧および昇圧出力フラグの変化の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態の変形例に係る熱発電装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る熱発電装置について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態による熱発電装置10は、例えば図1に示すように、熱電変換部11と、昇圧回路12と、蓄電回路13と、DC/DC変換回路14と、電気負荷15と、発電装置16と、制御回路17とを備えて構成されている。
【0018】
熱電変換部11は、例えば複数の熱電変換素子が直列に接続されて成る熱電変換モジュールを備え、所定部位間の温度差に応じた電力を出力する。
【0019】
昇圧回路12は、例えば発振回路およびチャージポンプ回路を備えて構成され、熱電変換部11に接続され、熱電変換部11から出力される電圧(つまり昇圧回路12に入力される入力電圧)を昇圧して昇圧電圧を出力する。
【0020】
例えば図2に示すように、昇圧回路12は、昇圧動作を開始または継続させるために要する所定の下限電圧、つまり昇圧開始電圧Vsまたは昇圧停止電圧Veを有しており、例えば昇圧開始電圧Vsは昇圧停止電圧Ve以上になっている。
【0021】
そして、昇圧回路12は、昇圧動作の停止状態においては、熱電変換部11から出力される電圧が昇圧開始電圧Vs未満であれば、昇圧動作の実行が不可能であり、熱電変換部11から出力される電圧が昇圧開始電圧Vs以上に到達すると、昇圧動作の実行が可能になる。
そして、昇圧回路12は、昇圧動作の実行状態においては、熱電変換部11から出力される電圧が昇圧開始電圧Vsから増大することに伴い、所定の昇圧開始時電力Psから増大傾向に変化する電力を出力する。
【0022】
また、昇圧回路12は、昇圧動作の実行状態においては、熱電変換部11から出力される電圧が昇圧開始電圧Vs以下の昇圧停止電圧Ve以上であれば、昇圧動作の実行が可能であり、熱電変換部11から出力される電圧が昇圧停止電圧Ve未満に低下すると、昇圧動作の実行が不可能になり、昇圧回路12から出力される電力は、所定の昇圧停止時電力Peからゼロに変化する。
【0023】
なお、例えば発振回路およびチャージポンプ回路を備えて構成される昇圧回路12において、昇圧開始電圧Vsは発振回路の発振を開始するために要する下限電圧であって、昇圧停止電圧Veは発振回路の発振を継続するために要する下限電圧である。
【0024】
蓄電回路13は、例えば2次電池やコンデンサなどを備え、昇圧回路12に接続され、昇圧回路12から出力される電力の少なくとも一部を蓄電可能である。
例えば、蓄電回路13は、昇圧回路12から出力される電力から、電気負荷15の消費電力を減算して得られる余剰電力を蓄電する。
【0025】
DC/DC変換回路14は、熱電変換部11および蓄電回路13に接続され、制御回路17の制御に応じて、蓄電回路13から出力される電圧を所定電圧に変換して、熱電変換部11から出力される電圧に重畳する。
【0026】
電気負荷15は、昇圧回路12に接続されている。
発電装置16は、例えば圧電素子からなる振動発電モジュールや太陽電池モジュールなどを備え、蓄電回路13に接続され、発電により生じた電力を蓄電回路13に出力する。
【0027】
制御回路17は、DC/DC変換回路14の電力変換動作を制御しており、昇圧回路12の昇圧動作の状態に係る電圧(例えば、昇圧回路12に入力される入力電圧および昇圧回路12から出力される出力電圧、あるいは入力電圧および出力電圧に応じた内部電圧など)を検出する電圧センサ12aから出力される検出結果の信号が入力されている。
【0028】
例えば、制御回路17は、電圧センサ12aから出力される検出結果に基づき、熱電変換部11から出力される電圧(つまりDC/DC変換回路14の停止状態で熱電変換部11から昇圧回路12に入力される入力電圧)が、昇圧回路12の昇圧動作を開始または継続させるために要する下限電圧(例えば、昇圧開始電圧Vsまたは昇圧停止電圧Veなど)未満であれば、熱電変換部11から出力される電圧(つまりDC/DC変換回路14の停止状態で熱電変換部11から昇圧回路12に入力される入力電圧)にDC/DC変換回路14から出力される所定電圧を重畳して得られる電圧(つまりDC/DC変換回路14の作動状態で熱電変換部11から昇圧回路12に入力される入力電圧)が、昇圧回路12の昇圧動作を開始または継続させるために要する下限電圧(例えば、昇圧開始電圧Vsまたは昇圧停止電圧Veなど)以上になるようにして、DC/DC変換回路14の電力変換動作を制御する。
【0029】
また、制御回路17は、熱電変換部11から出力される電圧に重畳される所定電圧がDC/DC変換回路14から出力されている状態において、熱電変換部11から出力される電圧が、昇圧回路12の昇圧動作を開始または継続させるために要する下限電圧(例えば、昇圧開始電圧Vsまたは昇圧停止電圧Veなど)以上になれば、DC/DC変換回路14からの所定電圧の出力を停止する。
【0030】
本発明の実施形態による熱発電装置10は上記構成を備えており、次に、熱発電装置10の動作について説明する。
【0031】
例えば図3に示す時刻t0において、熱電変換部11の所定部位間に温度差が生じると、時刻t0以降に示すように、熱電変換部11から出力される電圧は、この温度差に応じた所定の極大電圧に向かいゼロから増大傾向に変化する。
【0032】
そして、例えば時刻t1に示すように、熱電変換部11から出力される電圧が昇圧開始電圧Vs(つまり、昇圧回路12の昇圧動作を開始するために要する下限電圧)に到達すると、昇圧回路12の昇圧動作が実行可能であることを示す昇圧出力フラグのフラグ値がゼロから1に変更されて、この時刻t1以降が昇圧可能期間とされ、昇圧回路12は昇圧動作を開始する。
【0033】
そして、熱電変換部11の所定部位間に生じた温度差に応じた所定の極大電圧に向かい増大傾向に変化した出力電圧は、所定の極大電圧に到達した以後において、適宜の平衡電圧Vqに向かい低下傾向に変化する。
【0034】
そして、例えば時刻t2以降に示すように、熱電変換部11から出力される電圧が昇圧停止電圧Ve(つまり、昇圧回路12の昇圧動作を継続するために要する下限電圧)に到達すると、制御回路17は、DC/DC変換回路14の電力変換動作を制御して、熱電変換部11から出力される電圧にDC/DC変換回路14から出力される所定電圧を重畳して得られる電圧が、少なくとも昇圧回路12の昇圧動作を継続させるために要する下限電圧(つまり、昇圧回路12の昇圧動作を継続するために要する下限電圧)以上になるように設定する。
【0035】
制御回路17は、例えば、少なくとも昇圧回路12の昇圧動作を継続させるために要する下限電圧として昇圧開始電圧Vsを設定する場合には、この昇圧開始電圧Vsと熱電変換部11から出力される電圧との差を、DC/DC変換回路14から出力される所定電圧(つまり、重畳電圧Vp)とする。
したがって、制御回路17は、例えば熱電変換部11から出力される電圧が昇圧停止電圧Veよりも小さい適宜の平衡電圧Vqに低下した状態であっても、昇圧開始電圧Vsと平衡電圧Vqとの差を、所定電圧(つまり、重畳電圧Vp)として、熱電変換部11から出力される電圧に重畳して、昇圧回路12の昇圧動作を継続する。
【0036】
そして、DC/DC変換回路14から所定電圧の出力が開始される時刻t2以降において、例えば熱電変換部11の所定部位間に温度差が生じることに伴って熱電変換部11から出力される電圧が、少なくとも昇圧回路12の昇圧動作を継続させるために要する下限電圧以上に増大した場合には、DC/DC変換回路14からの所定電圧の出力を停止する。
【0037】
上述したように、本実施の形態による熱発電装置10によれば、熱電変換部11から出力される電圧にDC/DC変換回路14から出力される所定電圧を重畳して得られる電圧が、昇圧回路12の昇圧動作を開始または継続させるために要する下限電圧以上となることから、例えば蓄電回路13から出力される電圧のみ、あるいは熱電変換部11から出力される電圧のみで昇圧回路12の昇圧動作を開始または継続させる場合に比べて、蓄電回路13に蓄電しておく必要がある電力および熱電変換部11から出力される必要がある電圧を低減することができ、熱発電装置10での電力効率を向上させることができる。
【0038】
さらに、DC/DC変換回路14は、昇圧回路12の昇圧動作を開始または継続させるために要する下限電圧を確保するための所定電圧を、熱電変換部11から出力される電圧の変化に応じて、精度よく出力することができ、蓄電回路13に蓄電しておく必要がある電力および熱電変換部11から出力される必要がある電圧が不必要に増大してしまうことを防止することができ、熱発電装置10での電力効率を向上させることができる。
【0039】
さらに、電気負荷15で必要とされる消費電力を確保しつつ、熱電変換部11から出力される電力を有効に蓄電回路13に蓄電して、昇圧回路12の昇圧動作を開始または継続する際に蓄電回路13に蓄電されている電力を用いることができる。
【0040】
さらに、発電装置16の発電による発電電力を蓄電回路13に蓄電することができ、昇圧回路12の昇圧動作を開始または継続させるために要する下限電圧を容易に確保することができる。
【0041】
なお、上述した実施の形態において、制御回路17は、昇圧開始電圧Vsと熱電変換部11から出力される電圧との差をDC/DC変換回路14から出力される所定電圧(つまり、重畳電圧Vp)としたが、これに限定されず、例えば、昇圧停止電圧Veと熱電変換部11から出力される電圧との差をDC/DC変換回路14から出力される所定電圧(つまり、重畳電圧Vp)としてもよい。
【0042】
また、上述した実施の形態において、制御回路17は、熱電変換部11から出力される電圧が昇圧停止電圧Veに到達するとDC/DC変換回路14から所定電圧を出力して、昇圧回路12の昇圧動作を継続するとしたが、これに限定されず、例えば熱電変換部11から出力される電圧が昇圧停止電圧Ve未満に低下して、昇圧回路12の昇圧動作が停止した後に、DC/DC変換回路14から所定電圧を出力して、昇圧回路12の昇圧動作を再開してもよい。
【0043】
なお、上述した実施の形態において、制御回路17は電圧センサ12aから出力される検出結果に基づき、DC/DC変換回路14の電力変換動作を制御するとしたが、これに限定されず、電圧センサ12aの代わりに昇圧回路12の昇圧動作の状態に係る他の状態量を検出するセンサから出力される検出結果の信号に基づき、DC/DC変換回路14の電力変換動作を制御してもよい。
【0044】
なお、上述した実施の形態においては、例えば図4に示す上述した実施の形態の変形例に係る熱発電装置10のように、熱電変換部11とDC/DC変換回路14との接続および遮断を制御回路17の制御に応じて切換可能なスイッチ21を備えてもよい。
【0045】
この変形例において、制御回路17は、電圧センサ12aから出力される検出結果に基づき、熱電変換部11から出力される電圧が、昇圧回路12の昇圧動作を開始または継続させるために要する下限電圧(例えば、昇圧開始電圧Vsまたは昇圧停止電圧Veなど)以上であれば、熱電変換部11とDC/DC変換回路14とを遮断する。
【0046】
一方、熱電変換部11から出力される電圧が、昇圧回路12の昇圧動作を開始または継続させるために要する下限電圧(例えば、昇圧開始電圧Vsまたは昇圧停止電圧Veなど)未満であれば、熱電変換部11とDC/DC変換回路14とを接続し、熱電変換部11から出力される電圧に重畳される所定電圧をDC/DC変換回路14から出力する。
【0047】
なお、上述した実施の形態において、昇圧回路12および発電装置16は他の構成を有していてもよい。
また、上述した実施の形態において、発電装置16は省略されてもよい。
【0048】
なお、上述した実施の形態において、熱発電装置10は、例えば、時計と、ヘッドフォンと、立体視用の眼鏡と、無線センサノードとなどの各種の電子機器に電源として搭載される。
【0049】
例えば熱発電装置10を搭載する時計およびヘッドフォンおよび立体視用の眼鏡などの各電子機器は、人体に装着された際に熱電変換部11の所定部位間に生じる温度差に応じて熱電変換部11から出力された電圧が昇圧回路12によって昇圧されて得られる昇圧電圧による電力を電気負荷15に供給することで作動する。
また、これらの人体に装着される電子機器は、発電装置16として振動発電モジュールを備える場合には、人体に生じる振動に応じた発電電力を蓄電回路13に蓄電し、昇圧回路12の昇圧動作を開始または継続させるために要する下限電圧を容易に確保することができる。
【0050】
また、例えば熱発電装置10を搭載する無線センサノードは、例えば人体に装着されて生体情報の検出結果を無線送信する電子機器や、例えば各種の装置に装着されて装置の状態の検出結果を無線送信する電子機器である。
【0051】
上述した実施の形態に係る熱発電装置10を搭載する電子機器によれば、例えば蓄電回路13から出力される電圧のみ、あるいは熱電変換部11から出力される電圧のみで昇圧回路12の昇圧動作を開始または継続させる場合に比べて、蓄電回路13に蓄電しておく必要がある電力および熱電変換部11から出力される必要がある電圧を低減することができ、電子機器での電力効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0052】
10 熱発電装置
11 熱電変換部
12 昇圧回路(昇圧部)
12a 電圧センサ(状態検出部)
13 蓄電回路(蓄電部)
14 DC/DC変換回路(電圧重畳部)
15 電気負荷
16 発電装置(発電部)
17 制御回路(制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱電変換部と、
該熱電変換部に接続され、前記熱電変換部から出力される電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧部と、
該昇圧部に接続され、前記昇圧部から出力される電力の少なくとも一部を蓄電可能な蓄電部と、
該蓄電部に接続され、かつ前記熱電変換部に接続可能であって、前記蓄電部から出力される電圧による所定電圧を前記熱電変換部から出力される電圧に重畳可能な電圧重畳部と、
前記昇圧部の昇圧動作の状態を検出して検出結果を出力する状態検出部と、
前記状態検出部から出力される前記検出結果に基づき、前記熱電変換部から出力される電圧に前記電圧重畳部から出力される前記所定電圧を重畳して得られる電圧が、前記昇圧部の昇圧動作を開始または継続させるために要する下限電圧以上になるようにして、前記電圧重畳部の動作を制御する制御部と
を備えることを特徴とする熱発電装置。
【請求項2】
前記電圧重畳部は、前記蓄電部から出力される電圧を前記所定電圧に変換するDC/DC変換回路を備えることを特徴とする請求項1に記載の熱発電装置。
【請求項3】
前記昇圧部に接続された電気負荷を備え、
前記蓄電部は、前記昇圧部から出力される電力から前記電気負荷の消費電力を減算して得られる余剰電力を蓄電することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱発電装置。
【請求項4】
前記蓄電部に接続された発電部を備えることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1つに記載の熱発電装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1つに記載の熱発電装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−186958(P2012−186958A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49541(P2011−49541)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】