説明

熱絶縁された導管

【課題】外筒の機械的特性が実質的に劣化することなく、柔軟性あるいは可撓性が高められる導管、特に遠隔熱搬送導管用の、ポリエチレンを基にした熱可塑性樹脂から成る外筒を提供する。
【解決手段】a)外筒3が発泡されているか、あるいは膨張していること、b)外筒材料のEモジュールが90から300MPaの間であること、そしてc)外筒材料の密度が0.560と0.850g/cmの間であり、熱可塑性樹脂が低密度の線形ポリエチレン、エチレンの共重合体、好ましくは低密度のポリエチレンを基にした共重合体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による柔軟で熱絶縁された導管用の外筒に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1からは、熱絶縁された導管が知られており、この熱絶縁された導管は内管、内管を取囲むポリウレタン発泡剤を基にした断熱層、ならびに外筒から成る。公知の導管は連続した作業工程で長尺の長さで製造することができる。押出し成形機で製造された外筒はポリエチレンでできており、かつ波形にされた表面を備えている。
【0003】
公知の導管用の重要な使用領域は熱の遠隔搬送である。この際導管は地中に施設される。
【0004】
製造の際にも、施設の際にも、導管の外筒はきわめて大きくかつ機械的負荷にさらされている。ケーブル巻胴に巻くことにより、外筒は引張力と曲げ力により負荷を受ける。地中に施設する際に、外筒は磨耗力により負荷を受ける。この力は従来のポリエチレン製の外筒により制圧される。
【0005】
他方においては、高くかつ機械的な外筒の強度値から、導管の高い剛性が結果として得られ、従って一定の曲げ半径を下回ることはない。公知の導管は標準的なケーブル巻胴上に巻かれてか、あるいは巻かれてリング束にされて使用場所に搬送される。導管が巻付けられたケーブル巻胴あるいはリング束の直径が大きいと、施設場所への搬送の際に問題となる。さらに施設の際、導管の柔軟性がわずかであると不都合であることがわかる。というのも導管は小さい半径の周囲では曲げられないからである。
【特許文献1】欧州特許第0897788号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の根底をなす課題は、外筒の機械的特性が実質的に劣化することなく、柔軟性あるいは可撓性が高められるように、冒頭で述べた様式の導管を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の符号において理解される特徴により解決される。
【0008】
課題の立場から直接生じる長所に加えて、本発明により、導管が公知の導管としてのわずかな重量を有するという長所が生じる。さらに著しい費用の節約が材料の削減により生じる。この材料の削減は発泡度が高くなるほど、すなわち外筒内の気泡室部分の割当て部分が高いほど大きい。
【0009】
特に適切な外筒用の材料は、低密度のポリエチレン(LDPE)、低密度の線形ポリエチレン(LLDPE)ならびに低密度のポリエチレンを基にしたエチレン共重合体である。
【0010】
外筒用の材料の発泡度は10〜60%であるのが好ましく、すなわち体積の10〜60%はガスが充填された気泡室から成る。気泡室とは、0.5mm未満の直径の気泡室である。
【0011】
熱絶縁された導管用の外筒を製造するためには、ポリエチレンを基にした顆粒と、ペレット形状の発泡剤が混和されたポリエチレンを基にした顆粒との混合物を製造する方法が特に有利であることがわかった。この混合物は押出し成形機内へ充填され、そこで溶解され、溶解物は管体の形状で押出し成され、ペレットは押出し成形機のノズルから出る際、あるいは出た後、発泡もしくは膨張する。
【0012】
特にポリエチレンを基にした顆粒と、球形発泡剤が添加されているポリエチレンを基にした顆粒との比率は90:10と99:1の間である。このことからペレットが正確に配量でき、したがって所望の発泡度が正確に調節できるという長所が結果として得られる。
ペレットはガスが充填された中空球体であるのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を図1に概略的に示した実施例を基にして説明する。
【実施例】
【0014】
図1において、1により内管が、2によりポリウレタンフォームを基にした断熱層が、そして3によりポリエチレンを基にした外筒が示してある。
【0015】
導管ならびに製造方法はそれ自体特許文献1から知られている。
【0016】
個別の内管1の位置によっては、4本の内管まで設けることができる。内管は網目状に結合したポリエチレンでできているのが好ましい。断熱層2と外管3の間には詳しくは図示していない薄片が設けられており、この薄片は、一方では製造の際に生じるポリウレタンフォーム用の形状として使用され、他方ではポリウレタンフォームの気泡室内にある気泡室ガラスの漏出を防止するために、浸透遮断被膜として使用されている。
【0017】
本発明の思想によれば、外管3はポリエチレンを基にした発泡合成樹脂でできている。
ポリエチレンは、例えばLDPE,VLDPEならびにLLDPEのような低密度であるのが好ましい。しかしながらLDPEを基にした共重合体を使用してもよい。
【0018】
外管を製造するために、まず97〜99部のLDPEが顆粒形状で供給される。LDPE顆粒には、合成樹脂から成る中空ペレットにかなり関与している1〜3部の合成樹脂顆粒が、外筒押出し成形機へ供給する前に混和される。しかしながら合成樹脂顆粒はLDPE顆粒と一緒に外筒押出し成形機へ供給してもよい。外筒押出し成形機内では、LDPE顆粒が一層加熱され、溶解物になる。この際合成樹脂顆粒はLDPE顆粒もしくはLDPE溶解物と完全に混和される。外筒押出し成形機のノズルから出る際、中空ペレット内に存在するガスが膨張し、その際LDPE溶解物を膨張させる。外管は冷却した後、気泡室状の構造を備えている。この場合中空ペレットの被覆は維持されたままであり、マトリックスを形成しているLDPE外筒材料との結合は行われない。
【0019】
本発明の思想による外管は以下の数値を備えている。
Eモジュール 135〜162MPa
密度 0.560〜0.750g/cm
特許文献1による導管と比較した本発明の思想による導管の重量軽減は、発泡度によっては約3〜15%になる。
【0020】
導管の可撓性は従来のPE外筒を備えた導管よりも10〜30%高く、この場合
柔軟性は、撓む際、一定の半径を介して必要な力を消耗することにより決定される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による導管の概略的外観図である。
【符号の説明】
【0022】
1 内管
2 断熱層
3 外管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟でかつ熱絶縁された導管、特に遠隔熱搬送導管用の、ポリエチレンを基にした熱可塑性樹脂から成る外筒(3)において、
以下の特徴、すなわち
a)外筒(3)が発泡されているか、あるいは膨張していること、
b)外筒材料のEモジュールが90から300MPaの間であること、そして
c)外筒材料の密度が0.560と0.850g/cmの間であることを特徴とする外筒。
【請求項2】
外筒(3)が波形にされていることを特徴とする請求項1記載の外筒。
【請求項3】
熱可塑性樹脂が低密度のポリエチレン(LDPE)であることを特徴とする請求項1または2に記載の外筒。
【請求項4】
熱可塑性樹脂が低密度の線形ポリエチレン(LLDPE)であることを特徴とする請求項1または2に記載の外筒。
【請求項5】
熱可塑性樹脂がエチレンの共重合体、好ましくは低密度のポリエチレンを基にした共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の外筒。
【請求項6】
外筒の発泡度が10〜60%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の外筒。
【請求項7】
発泡した外筒の気泡室の直径が0.1mm〜0.5mmの間であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の外筒。
【請求項8】
請求項1〜6による柔軟でかつ熱絶縁された導管用の外筒の製造方法において、
ポリエチレンを基にした顆粒と、発泡剤が混和されているポリエチレンを基にした顆粒とから成る混合物を製造することと、
混合物を押出し成形機内に投入し、そこで溶解し、溶解物を管の形状で押出し成形し、そして押出し成形機から出る際あるいは出た後、発泡させるかあるいは膨張させることを特徴とする方法。
【請求項9】
ポリエチレンを基にした顆粒と、発泡剤が添加されているポリエチレンを基にした顆粒との比率が90:10と99:1の間であることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
発泡剤が顆粒内で合成樹脂製の中空ペレットの形状で存在していることを特徴とする請求項8または9に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−261267(P2007−261267A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−81068(P2007−81068)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(504085749)ブルック・ロール・アクチェンゲゼルシャフト・ホールディング (3)
【Fターム(参考)】