説明

燃料タンク装置

【課題】燃料タンクの内圧が過度に上昇することを抑えることにより該燃料タンクの軽量化を図ることができるとともに、過給油を確実に防止することができる燃料タンク装置を提供する。
【解決手段】燃料タンク装置10Aは、燃料を貯留する燃料タンク12と、外部から燃料タンク12に燃料を供給するための給油パイプ14と、燃料タンク12内に発生する蒸発燃料が導かれるベーパ通路28と、ベーパ通路28にて導かれた前記蒸発燃料を吸着するキャニスタ30と、前記キャニスタ30に外気を導くための外気通路32と、キャニスタ30に吸着された前記蒸発燃料を外気通路から導かれる外気とともに内燃機関300の吸気通路302に導くパージ通路34と、燃料タンク12内と外気との外気通路32を介した連通状態を遮断可能な弁機構18と、を備え、前記弁機構18は、給油時にのみ前記連通状態を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク内に発生する蒸発燃料を吸着するキャニスタを備える燃料タンク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料タンク内に発生する蒸発燃料(ベーパ)が不要に大気に拡散することを阻止するために蒸発燃料処理装置が用いられる。このような蒸発燃料処理装置は、一般的に、燃料タンク内の蒸発燃料が導かれるベーパ通路と、前記ベーパ通路から導かれる蒸発燃料を吸着する活性炭等の吸着材を含むキャニスタと、外気を前記キャニスタに導く外気通路と、前記キャニスタに吸着された蒸発燃料を前記外気通路から導かれた外気とともに内燃機関の吸気通路に導くパージ通路とを有する。
【0003】
そして、特許文献1では、燃料タンク内に設けられて上端が開放したチャンバ内に、下端が開放してフロートを収容するフロート室を配設するとともに、前記チャンバの底面及び給油パイプを連結管で結ぶことにより、前記チャンバ内を燃料で満たした状態で前記フロートをベーパ通路(ベント通路)の開口部に嵌合させて該ベーパ通路を閉塞させる技術的思想が提案されている。この場合、給油時に、ベーパ通路を閉塞することができるので、過給油されることを確実に防止することができる。
【0004】
また、この特許文献1には、チャンバ内の燃料を連結管に形成された小孔から流出させることにより、給油終了後において、ベーパ通路を開放させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−338449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、チャンバ内の燃料を連結管に形成された小孔から流出させているので、給油が終了してからベーパ通路が開放されるまでにある程度の時間を要する。
【0007】
そのため、給油が終了した後、ベーパ通路が閉塞された状態で蒸発燃料が発生して燃料タンクの内圧が過度に上昇することがある。そして、このような燃料タンクの内圧の過度の上昇に対応するために、例えば、燃料タンクの板厚を大きくして剛性を向上させる必要があるが、この場合、燃料タンクが重量化する問題がある。
【0008】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、燃料タンクの内圧が過度に上昇することを抑えることにより該燃料タンクの軽量化を図ることができるとともに、過給油を確実に防止することができる燃料タンク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1] 本発明に係る燃料タンク装置は、燃料を貯留する燃料タンクと、外部から前記燃料タンクに燃料を供給するための給油パイプと、前記燃料タンク内に発生する蒸発燃料が導かれる第1通路と、前記第1通路にて導かれた前記蒸発燃料を吸着するキャニスタと、前記キャニスタに外気を導くための第2通路と、前記キャニスタに吸着された前記蒸発燃料を前記第2通路から導かれる外気とともに内燃機関の吸気通路に導く第3通路と、前記燃料タンク内と前記外気との前記第2通路を介した連通状態を遮断可能な弁手段と、を備え、前記弁手段は、給油時にのみ前記連通状態を遮断することを特徴とする。
【0010】
上記の本発明に係る燃料タンク装置によれば、給油時に、燃料タンク内と外気との第2通路を介した連通状態を遮断するので、過給油を確実に防止することができる。また、給油時以外において、燃料タンクは、第1通路、キャニスタ及び第2通路を介して外気に連通するので、燃料タンクの内圧が過度に上昇することもない。よって、燃料タンクの板厚を小さく設定することができるので、該燃料タンクの軽量化を図ることができる。
【0011】
[2] 上記の燃料タンク装置において、前記弁手段は、前記給油パイプに給油ノズルが挿入されている間のみ前記連通状態を遮断することが好ましい。
【0012】
このような構成によれば、給油パイプに給油ノズルが挿入されている間のみ燃料タンク内と外気との第2通路を介した連通状態を遮断するので、燃料タンクの内圧が過度に上昇することを好適に抑えることができるとともに、過給油を確実に防止することができる。
【0013】
[3] 上記の燃料タンク装置において、前記給油パイプの一端側には、前記給油ノズルが挿通可能な貫通孔が形成された保持部材が設けられ、前記保持部材には、前記第2通路が接続されており、前記弁手段は、前記貫通孔に前記給油ノズルが挿通されることにより、前記第2通路を閉塞することが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、保持部材に形成された貫通孔に給油ノズルを挿通することで第2通路が閉塞されるので、給油パイプに給油ノズルを挿入する間のみ燃料タンク内と外気との第2通路を介した連通状態を確実に遮断することができる。
【0015】
[4] 上記の燃料タンク装置において、前記弁手段は、前記保持部材に設けられて前記第2通路の外気側の開口部を閉塞可能な弁部材と、前記給油ノズルに接触可能な状態で前記保持部材に対して変位可能に設けられ、且つ前記弁部材を前記第2通路の該開口部に押圧する押圧部材と、をさらに有することが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、給油ノズルを貫通孔に挿通した時に、該給油ノズルに接触する押圧部材を変位させて弁部材を第2通路の開口部に押圧することができるので、簡単な構成で第2通路を閉塞することができる。
【0017】
[5] 上記の燃料タンク装置において、前記弁部材は、前記第2通路の前記開口部に嵌合可能な弁体と、前記押圧部材に接触し、且つ前記弁体に対して該開口部に近接離間する方向に相対変位可能に連結された接触部材と、を有することが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、弁体及び接触部材を第2通路の開口部に近接離間する方向に相対変位可能に連結しているので、貫通孔への給油ノズルの挿通の仕方によって押圧部材の変位する量にバラツキが生じた場合であっても、弁体及び接触部材の相対変位量を調整することによって、第2通路の開口部を確実に閉塞することができる。また、これによって、第2通路の開口部に弁部材が押圧部材によって過度に押圧されることを抑えることができるので、第2通路の開口部、弁部材及び押圧部材等が破損することを好適に防止することができる。
【0019】
[6] 上記の燃料タンク装置において、前記給油パイプには、該給油パイプを閉塞可能な閉塞部材が設けられており、前記保持部材は、前記閉塞部材よりも外側に配置されていることが好ましい。
【0020】
このような構成によれば、給油パイプに閉塞部材を設けているので、例えば、内燃機関の運転中に、燃料タンク内の燃料が外部に流出することを防止することができる。また、このとき、保持部材は前記閉塞部材(給油パイプの給油口)よりも外側に位置しているため、該閉塞部材によって給油パイプを閉塞した状態であっても、第2通路は外気に連通する。
【0021】
[7] 上記の燃料タンク装置において、前記閉塞部材は、フラップ弁として構成されていることが好ましい。
【0022】
このような構成によれば、給油時に閉塞部材の取り外し(取り付け)を行う必要がないので、給油操作を簡単に行うことができる。また、燃料タンク装置の構成が複雑になることもない。
【0023】
[8] 上記の燃料タンク装置において、前記給油パイプの給油口が車体パネルに形成された室に臨むとともに、該車体パネルには、該室を開閉するリッド部材が設けられており、前記弁手段は、前記リッド部材が開状態の間のみ前記連通状態を遮断することが好ましい。
【0024】
このような構成によれば、リッド部材が開状態の間のみ燃料タンク内と外気との第2通路を介した連通状態を遮断するので、燃料タンクの内圧が過度に上昇することを好適に抑えることができるとともに、過給油を確実に防止することができる。
【0025】
[9] 上記の燃料タンク装置において、前記弁手段は、前記第2通路の外気側の開口部を囲繞し、且つ該第2通路に連通する第1貫通孔と前記室内に連通する第2貫通孔とが形成されたハウジングと、前記ハウジング内に設けられた弁体と、前記弁体に設けられて前記第2貫通孔を挿通した状態で前記リッド部材に係合可能な係合部と、を有し、前記弁体は、前記リッド部材及び前記係合部が係合した場合に、前記ハウジングの内面に当接して前記第2通路と前記室内との連通状態を遮断し、前記リッド部材及び前記係合部の係合状態が解除された場合に、前記ハウジングの内面から離間して前記第2通路と前記室内とを連通させることが好ましい。
【0026】
このような構成によれば、リッド部材及び係合部が係合した場合に、第2通路と室内との連通状態を遮断し、リッド部材及び係合部の係合状態が解除された場合に、前記第2通路と前記室内とを連通させるので、リッド部材が開状態の間のみ燃料タンク内と外気との第2通路を介した連通状態を確実に遮断することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、給油時にのみ、燃料タンク内と外気との第2通路を介した連通状態を遮断するので、過給油を確実に防止することができるとともに、燃料タンクの内圧が過度に上昇することを抑えることができる。よって、燃料タンクの軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料タンク装置を示す模式図である。
【図2】図1に示す給油パイプ及び弁機構の一部省略断面図である。
【図3】図2に示す弁機構にて外気通路を閉塞した状態を説明するための一部省略断面説明図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る燃料タンク装置を構成する給油パイプ及び弁機構の一部省略断面図である。
【図5】図4に示す弁機構にて外気通路及び室内の連通状態を遮断した状態を説明するための一部省略断面説明図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る燃料タンク装置を示す模式図である。
【図7】図6に示す給油パイプ及び弁機構の一部省略断面図である。
【図8】図7に示す弁機構にてベーパ通路を閉塞した状態を説明するための一部省略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る燃料タンク装置について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0030】
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態に係る燃料タンク装置10Aについて図1〜図3を参照しながら説明する。
【0031】
図1に示すように、本実施形態に係る燃料タンク装置10Aは、車両に搭載されるものであって、燃料を貯留する燃料タンク12と、外部から燃料タンク12に燃料を供給するための給油パイプ14と、燃料タンク12内に発生する蒸発燃料を処理する蒸発燃料処理部16と、弁機構(弁手段)18とを備える。
【0032】
燃料タンク12は、鉄等の金属材料や樹脂材料等で構成されており、燃料タンク12の内圧(特に、蒸発燃料の圧力)に充分に耐えることができる程度の剛性を有している。燃料タンク12内には、貯留された液体燃料(以下、単に燃料と称する。)を内燃機関300に導くための燃料ポンプ20と、燃料タンク12内の燃料量を検出するためのフロート22が設けられている。
【0033】
給油パイプ14は、燃料タンク12から車両斜め上方に延在している。給油パイプ14の一端部近傍には、燃料タンク12に連通するブリーザ通路24が接続されている。また、給油パイプ14のうち、ブリーザ通路24の接続部から給油口(給油パイプ14の外気側の開口部)14aまでの間の区間には、給油パイプ14を閉塞可能な(給油口14aを覆う)閉塞部材26が設けられている(図2参照)。これにより、燃料タンク12内の燃料が給油パイプ14を介して外部に流出することを防止することができる。
【0034】
なお、閉塞部材26は、フラップ弁として構成されている。前記フラップ弁は、図示しないリターンスプリングによって外気側に向かって付勢されている。これにより、閉塞部材26の取り外し(取り付け)を行う必要がないので、給油操作を簡単に行うことができる。また、燃料タンク装置10Aの構成が複雑になることもない。
【0035】
蒸発燃料処理部16は、燃料タンク12内に発生する蒸発燃料が導かれるベーパ通路28(第1通路)と、ベーパ通路28から導かれた蒸発燃料を吸着するキャニスタ30と、キャニスタ30に外気を導くための外気通路(第2通路)32と、キャニスタ30に吸着された蒸発燃料を外気通路32から導かれる外気とともに内燃機関300の吸気通路302に導くパージ通路(第3通路)34とを有する。
【0036】
ベーパ通路28における燃料タンク12側の開口端は、上述したブリーザ通路24の開口端よりも上方に位置している。これにより、給油時に、燃料がベーパ通路28を介してキャニスタ30に流入することを防止することができる。キャニスタ30は、活性炭等の吸着材(図示しない)を内蔵することにより蒸発燃料を吸着可能となっている。
【0037】
図2に示すように、弁機構18は、外気通路32を開放及び閉塞するためのものであり、給油パイプ14の一端部に設けられた保持部材38と、保持部材38に設けられた弁部材44と、弁部材44を押圧可能な押圧部材46とを有する。
【0038】
保持部材38は、貫通孔36が形成された保持部材本体37と、保持部材本体37の側面に形成された孔部40に圧入されたコネクタ42とを含む。貫通孔36は、保持部材本体37の延在方向に延びており、その一端が外気(車両の外部)に連通するとともに他端が給油口14aに連通している。また、貫通孔36は、給油ノズル(給油ガン:図3参照)304が挿通可能な大きさに形成されている。
【0039】
コネクタ42には、外気通路32の一端部を保持するための保持孔部48と、保持孔部48に対向配置されて弁部材44を支持する支持孔部50とが形成されている。これにより、外気通路32の一端側の開口部32aは、弁部材44に対向することになる。
【0040】
弁部材44は、外気通路32の開口部32aを閉塞可能な弁体52と、貫通孔36に位置して押圧部材46に接触可能な接触部材54と、弁体52及び接触部材54を連結するピン56とを含む。
【0041】
弁体52は、外気通路32の開口部32aに嵌合可能な球状部52aと、球状部52aに連なる板状部52bとを有している。球状部52a及び板状部52bは、一体的に形成されている。接触部材54は、板状に形成されており、押圧部材46との接触部分が丸みを帯びている。また、接触部材54には、長孔58が形成されている。
【0042】
ピン56は、弁体52の板状部52bに固定されるとともに長孔58を挿通する。これにより、弁体52及び接触部材54は、外気通路32の開口部32aに近接離間する方向に相対変位可能な状態で連結されることになる。言い換えると、弁部材44は、伸縮可能に形成されている。なお、ピン56は、長孔58を構成する壁面に接触している。つまり、該壁面及びピン56の間には一定の摩擦力が作用している。
【0043】
押圧部材46は、保持部材本体37の一端部のうち弁部材44に隣接する位置に固定された支軸46aと、支軸46aに対して回転可能に設けられた板状の押圧体46bとを含む。押圧体46bは、給油ノズル304に接触可能であって、回転した際に接触部材54を押圧可能な程度の大きさに設定されている(図3参照)。なお、押圧体46bは、図示しないリターンスプリングによって外気側に付勢されている。
【0044】
また、押圧体46bは、貫通孔36に給油ノズル304が挿通されていない状態(図2の状態)において、該貫通孔36の外気側の開口部を構成する壁面に形成された突起部60に当接している。これにより、押圧体46bが保持部材本体37の外側に突出することを防止することができる。なお、この状態で、押圧体46bは、貫通孔36を閉塞しない。
【0045】
以上のように構成される弁機構18では、コネクタ42が圧入される保持部材本体37の孔部40を、保持部材本体37の外面のうち上方に臨む面に形成するとともに、保持孔部48を支持孔部50の上方に配置することが好ましい。図2に示す状態において、重力の作用により、球状部52aを外気通路32の開口部32aから離間させることができるからである。
【0046】
但し、保持部材本体37に対するコネクタ42の位置は、任意に設定可能である。例えば、コネクタ42が圧入される孔部40を、保持部材本体37の外面のうち下方に臨む面に形成するとともに、保持孔部48を支持孔部50の下方に配置した場合には、弁部材44を上方に付勢する弾性部材等を設ければよい。
【0047】
次に、弁機構18の動作について説明する。先ず、給油時以外の状態において、上述したように、弁部材44は、最も伸長した状態で外気通路32の開口部32aから離間している(図2参照)。
【0048】
そして、図3に示すように、給油ノズル304を貫通孔36に挿通すると、給油ノズル304に接触した押圧体46bが支軸46aを中心に回転(変位)して接触部材54を弁体52側に押圧することになる。そうすると、弁部材44が外気通路32の開口部32a側に持ち上げられて球状部52aが該開口部32aに嵌合する。これにより、外気通路32が閉塞されることになる。
【0049】
ところで、給油ノズル304を貫通孔36に挿通する際、その挿通の仕方(保持部材38に対する給油ノズル304の位置)によって、押圧体46bの回転量(変位量)には多少のバラツキが生じることが考えられる。
【0050】
つまり、給油ノズル304が弁部材44から近い側に位置する場合には、該弁部材44が外気通路32の開口部32aに嵌合した状態で、弁部材44には押圧体46bによって比較的大きな押圧力が作用する。一方、給油ノズル304が弁部材44から遠い側に位置する場合には、該弁部材44が外気通路32の開口部32aに嵌合した状態で、弁部材44には押圧体46bによって比較的小さい押圧力が作用する。
【0051】
そして、本実施形態の弁部材44は、上述したように、伸縮可能であって、長孔58を構成する壁面及びピン56の間には一定の摩擦力が作用している。そのため、接触部材54に作用する押圧力が比較的大きい場合には、弁部材44を収縮させた状態(弁体52及び接触部材54を相対変位させた状態:図3に示す状態)で、外気通路32の開口部32aを閉塞することができる。これによって、外気通路32の開口部32aや弁部材44に過度な圧力が作用することを抑えることができるので、これら部材が破損することを好適に防止することができる。
【0052】
一方、接触部材54に作用する押圧力が比較的小さい場合には、弁部材44が伸長した状態(弁体52と接触部材54が相対変位しない状態、または弁体52と接触部材54の相対変位量が少ない状態)で外気通路32の開口部32aを閉塞することができる。これにより、貫通孔36に対する給油ノズル304の挿通位置にバラツキが生じても、外気通路32を確実に閉塞することができる。
【0053】
その後、給油ノズル304を貫通孔36から取り外すと、弁部材44が外気通路32の開口部32aから離間するとともに押圧体46bが支軸46aを中心に回転(変位)して突起部60に接するので、図2の状態に復帰することになる。このとき、弁部材44は、伸長した状態になっている。
【0054】
次に、本実施形態に係る燃料タンク装置10Aの動作について説明する。先ず、例えば、内燃機関300の停止中に燃料タンク12内の温度が上昇すると、燃料タンク12内には蒸発燃料が発生する。この蒸発燃料は、ベーパ通路28を介してキャニスタ30に導かれて該キャニスタ30を構成する吸着材に吸着される。そして、蒸発燃料が取り除かれた残余の気体(空気)は、外気通路32に導かれる。
【0055】
このとき、弁部材44が閉塞部材26よりも外側に位置するとともに外気通路32の開口部32aから離間しているので、閉塞部材26が給油パイプ14を閉塞した状態で外気通路32は貫通孔36を介して外気(大気)に連通している。そのため、該外気通路32に導かれた気体は外気に放出されることになる。これにより、燃料タンク12の内圧が過度に大きくなることが抑えられる。よって、燃料タンク12の剛性をある程度低く設定することが可能になるので、該燃料タンク12の板厚を小さくすることができる。従って、燃料タンク12の軽量化を図ることができる。
【0056】
また、例えば、内燃機関300の運転中に吸気通路302が所定の負圧になると、キャニスタ30に吸着された蒸発燃料は、外気通路32から導かれる外気とともにパージ通路34を介して吸気通路302に導かれることによって、燃焼に供される。
【0057】
給油時において、給油ノズル304を保持部材本体37の貫通孔36に挿通すると、上述したように、外気通路32が弁部材44によって閉塞されるとともに、閉塞部材26(フラップ弁)が給油ノズル304に押されることによって給油パイプ14が開放する。この状態で、給油を開始すると、燃料タンク12内の燃料の液面が上昇し、ブリーザ通路24の開口端を越えた後、該ブリーザ通路24内に燃料が流入する。外気通路32が閉塞された状態でブリーザ通路24内が燃料で満たされると、燃料タンク12の内圧が上昇して給油ノズル304の給油ストップ機能が作動するため、過給油を好適に抑えることができる。
【0058】
このように、本実施形態に係る燃料タンク装置10Aによれば、給油時にのみ、燃料タンク12内と外気との外気通路32を介した連通状態を遮断しているので、過給油を確実に防止することができる。また、給油時以外において、燃料タンク12は、ベーパ通路28、キャニスタ30、外気通路32及び貫通孔36を介して外気に連通しているので、燃料タンク12の内圧が過度に上昇することもない。よって、燃料タンク12の板厚を小さく設定することができるので、燃料タンク12の軽量化を図ることができる。
【0059】
また、本実施形態では、保持部材本体37に形成された貫通孔36に給油ノズル304を挿通することで押圧体46bを変位させて弁部材44を外気通路32の開口部32aに嵌合させているので、簡易な構成で給油パイプ14に給油ノズル304を挿入した間のみ外気通路32を閉塞することができる。これにより、燃料タンク12の内圧が過度に上昇することを好適に抑えることができる。
【0060】
本実施形態に係る燃料タンク装置10Aは、上述した構成に限定されない。例えば、蒸発燃料処理部16は、パージ通路34を開放及び閉塞可能な開閉弁を有していてもよい。この場合、給油時に、該開閉弁によってパージ通路34を閉塞しておくことで、燃料タンク12の内圧を確実に上昇させて過給油を一層確実に防止することができる。
【0061】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る燃料タンク装置10Bについて図4及び図5を参照しながら説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態と共通する構成には同一の参照符号を付し、重複する説明を省略する。後述する第3の実施形態においても同様とする。
【0062】
図4に示すように、本実施形態に係る燃料タンク装置10Bでは、弁機構70の構成が上述した弁機構18の構成と異なるとともに、給油パイプ14及び外気通路32が車体側部を構成する車体パネル200によって保持されている。車体パネル200の外面200aには、凹部202が形成されており、該凹部202内の室204には給油パイプ14の給油口14aが臨んでいる(図5参照)。車体パネル200には、該室204を開閉するリッド部材205が設けられている。
【0063】
リッド部材205は、車体パネル200に固定されたヒンジ208と、ヒンジ208に接続されて凹部202の開口を閉塞可能なリッド206と、リッド206に一体形成されたリッドロックバー210とを有する。リッドロックバー210は、断面略L字状に形成されている。
【0064】
凹部202を構成する側面には、リッド部材205を閉状態に維持するためのロック部材212を配設するための孔部214が形成されている。ロック部材212は、孔部214の延在方向(図4の矢印A方向)に進退可能な状態で該孔部214に配置される基部216と、該基部216から矢印A方向に延びてリッドロックバー210に係止可能な係止部218とを有する。係止部218には、その先端に向かうに従って車体パネル200の内側(リッド206が位置する側とは反対側)に傾斜するテーパ面218aが形成されている。
【0065】
弁機構70は、凹部202を構成する壁面のうち前記孔部214に隣接する位置に形成された孔部220に配設されるハウジング72と、ハウジング72内に設けられた弁部材74と、弁部材74を室204側に付勢する弾性部材76とを有する。
【0066】
ハウジング72は、その一端が室204に露出した状態で他端が外気通路32の一端に当接している。ハウジング72の一端部には、室204に連通する貫通孔78が形成されおり、ハウジング72の他端部には、外気通路32に連通する貫通孔80が形成されている。
【0067】
弁部材74は、貫通孔78よりも大きく形成された弁体74aと、弁体74aから車体パネル200の外側(リッド206が位置する側)に向けて延びた突出部(係合部)74bとを含む。弁体74aは、ハウジング72の内側面に非接触の状態で、ハウジング72の内面のうち貫通孔78を構成する部位(シート面72a)に対して当接(密接)可能に形成されている。つまり、弁体74aは、ハウジング72のシート面72aに当接することにより、室204内とハウジング72内との連通状態を遮断可能となっている。
【0068】
突出部74bは、貫通孔78を挿通し、その先端が室204内に露出している。突出部74bの先端は、リッドロックバー210に接触可能になっている。
【0069】
弾性部材76は、例えば、圧縮コイルばねで構成されおり、ハウジング72の内面のうち貫通孔80を構成する部位及び弁体74aの間に介設されている。これにより、ハウジング72内及び外気通路32は貫通孔80を介して常時連通することになる。
【0070】
本実施形態に係る燃料タンク装置10Bでは、閉塞部材82の構成が上述した閉塞部材26と異なっている。具体的には、閉塞部材82には、給油口14aを構成する壁面に形成されたねじ部84に対応するねじ部86が形成されており、該給油口14aに対して取り付け(取り外し)が可能となっている。つまり、閉塞部材82は、キャップとして構成されている。
【0071】
次に、弁機構70の動作について説明する。先ず、給油時以外の状態において、リッド部材205は閉状態となっている(図4参照)。つまり、リッドロックバー210は、係止部218のテーパ面218aをヒンジ208が位置する側に撓みながら滑り、係止部218の先端を乗り越えるともに突出部74bを弁体74a側に押圧し、弾性変形が復帰することにより係止部218に係止(ロック)されている。
【0072】
このとき、弁体74aは、弾性部材76を圧縮させながら外気通路32が位置する側に変位することでハウジング72のシート面72aから離間するので、外気通路32がハウジング72内及び室204内を介して外気に連通している。
【0073】
そして、図5に示すように、基部216をリッドロックバー210が位置する側とは反対側にスライドさせてリッドロックバー210及び係止部218の係止状態(ロック状態)を解除すると、リッド部材205が開き、弁体74aは、弾性部材76によって突出部74b側に押圧されるので、ハウジング72のシート面72aに当接する。これにより、外気通路32と外気との連通状態が遮断される。
【0074】
このように、本実施形態では、給油時にのみ(リッド部材205が開状態の間のみ)燃料タンク12内と外気との外気通路32を介した連通状態を遮断することができる。
【0075】
本実施形態に係る燃料タンク装置10Bでは、上述した第1の実施形態と同一の効果を奏する。具体的には、本実施形態に係る燃料タンク装置10Bによれば、リッド部材205の開状態で、燃料タンク12内と外気との外気通路32を介した連通状態が遮断されるので、過給油を防止することができる。また、リッド部材205の閉状態で、燃料タンク12は、ベーパ通路28、キャニスタ30、外気通路32、ハウジング72及び室204を介して外気に連通しているので、燃料タンク12の内圧が過度に上昇することを抑えることができ、これにより燃料タンク12の軽量化を図ることができる。
【0076】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る燃料タンク装置10Cについて図6〜図8を参照しながら説明する。
【0077】
図6に示すように、本実施形態に係る燃料タンク装置10Cでは、蒸発燃料処理部100及び弁機構102の構成が上述した第1の実施形態に係る蒸発燃料処理部16及び弁機構18の構成と異なる。
【0078】
本実施形態に係る弁機構102は、蒸発燃料処理部100を構成するベーパ通路104を開放及び閉塞する。そのため、ベーパ通路104は、燃料タンク12と弁機構102とを結ぶ第1ベーパ通路106と、弁機構102とキャニスタ30とを結ぶ第2ベーパ通路108とを有する。なお、本実施形態において、外気通路32は常に外気に連通している。
【0079】
図7に示すように、弁機構102は、給油パイプ14の外壁に固着されたバルブボディ110を有している。バルブボディ110には、第1ベーパ通路106が連結される入口ポート112と、第2ベーパ通路108が連結される出口ポート114とが形成されている。これら入口ポート112と出口ポート114とは、バルブボディ110の略中央部に形成された弁室116を介して連通している。すなわち、入口ポート112、弁室116及び出口ポート114によって、ベーパ通路104の一部が構成されている。
【0080】
弁室116と出口ポート114との境界部を構成する内壁面には、弁室116側に向かって拡径する環状の弁座118が形成されている。また、弁室116を構成する内壁面のうち弁座118に対向する面(対向面)には、貫通孔120が開口している。貫通孔120は、バルブボディ110の外面まで延在するとともに、給油パイプ14の側壁に形成された孔122を介して該給油パイプ14内に連通している。
【0081】
弁室116には、弁座118に着座・離間することによりベーパ通路104を開閉可能な弁部材124が配設されている。弁部材124は、いわゆるロールオーバーバルブとして構成されており、有底筒状のガイド部材126と、ガイド部材126内に配設された弁軸128と、弁軸128に連結された弁体130と、弁体130を弁座118が位置する側に付勢する弾性部材132とを含む。
【0082】
ガイド部材126は、弁軸128が鉛直方向に沿うように弁体130を摺動可能に支持する。ガイド部材126の底部は、貫通孔120における対向面側の開口部を構成する壁部に固着されており、該底部の略中央には、弁軸128を挿入可能な挿通孔134が形成されている。これにより、弁軸128の後端面は貫通孔120に臨む。
【0083】
弁体130の先端部は、テーパ状に形成されており、弁座118に着座可能となっている。弾性部材132としては、例えば、圧縮コイルばねが用いられる。弾性部材132は、ガイド部材126の底部と弁体130の後端面との間に介在されている。
【0084】
また、弾性部材132は、車両水平状態(燃料タンク12内の燃料の液面が略水平に位置するとともに、弁軸128が鉛直方向に沿う状態)において、弁体130が弁座118から離間するとともに弁体130及び弁軸128の自重によって適度に圧縮変形するように設定されている。
【0085】
これにより、例えば、車両が横転した場合等に、弾性部材132の弾発力によって弁体130を弁座118に押し付けてベーパ通路104を閉塞することができるので、燃料タンク12内の燃料がベーパ通路104、キャニスタ30及び外気通路32を介して外部に漏れ出すことを好適に抑えることができる。
【0086】
弁機構102は、平常状態(車両が横転等していない状態)において、弁体130を可動させるための可動機構136をさらに備える。可動機構136は、給油パイプ14の内部に設けられた押圧部材138と、貫通孔120に設けられた第1可動部材140及び第2可動部材142とを有する。
【0087】
押圧部材138は、給油パイプ14の内壁面に固定された支軸144と、支軸144に対して回転可能に設けられた板状の押圧体146とを含む。押圧体146は、給油ノズル304に接触可能に形成されている(図8参照)。また、押圧体146は、図示しないリターンスプリングによって給油口14a(外気)側に付勢されるとともに、給油パイプ14に設けられたストッパ148によってその回転が制限されている。
【0088】
第1可動部材140は、給油パイプ14の側壁の孔122に挿通された棒状の第1リンク部材150と、バルブボディ110の貫通孔120内に配設された棒状の第2リンク部材152とを含む。第1リンク部材150と第2リンク部材152とは、長手方向に相対移変位可能な状態で互いに連結されている。つまり、第1可動部材140は、長手方向に伸縮可能となっている。
【0089】
第1リンク部材150の一端部は、給油パイプ14内に露出することで押圧体146と接触可能になっている。なお、第1リンク部材150の一端面は丸みを帯びている。第1リンク部材150の他端部は、鍔状(フランジ状)に形成されており、第2リンク部材152の一端部に形成された室内に収容されている。これにより、第1リンク部材150と第2リンク部材152は、長手方向に沿って相対変位することができる。第2リンク部材152の他端面は、平坦に形成されている。
【0090】
第2リンク部材152には、貫通孔120を構成する壁面に形成された案内溝154に挿入される摺動ピン156が設けられている。これにより、第1可動部材140は、案内溝154に沿って案内されながら貫通孔120内を移動する一方、摺動ピン156が案内溝154の一端を構成する壁面に接触することにより、バルブボディ110に支持される。
【0091】
第2可動部材142は、第2リンク部材152の他端面が接触するベース部158と、ベース部158から突出して弁軸128の後端面に接触する突出部160とを含む。ベース部158には、弁軸128の軸線方向に沿った長孔162が形成されており、該長孔162には、第2可動部材142を支持するピン164が挿入されている。
【0092】
本実施形態に係る燃料タンク装置10Cでは、給油パイプ14の給油口14aに閉塞部材82が設けられている。閉塞部材82は、上述した第2の実施形態に係る閉塞部材82と同一構成を有しているので、その詳細な説明を省略する。
【0093】
次に、弁機構102の動作について説明する。先ず、給油時以外では、弁体130は、弾性部材132を介してガイド部材126に支持された状態で弁座118から離間している(図7)。この場合、燃料タンク12の内部は、ベーパ通路104、キャニスタ30及び外気通路32を介して外気に連通している。
【0094】
これにより、燃料タンク12の内圧が過度に大きくなることが抑えられる。よって、燃料タンク12の剛性をある程度低く設定することが可能になるので、該燃料タンク12の板厚を小さくすることができる。従って、燃料タンク12の軽量化を図ることができる。
【0095】
一方、図8に示すように、給油時において、給油ノズル304を給油パイプ14に挿通すると、給油ノズル304に接触した押圧体146が支軸144を中心に回転して第1リンク部材150の一端を第2リンク部材152側に押圧することになる。そうすると、第1可動部材140が案内溝154に沿って第2可動部材142側に移動して該第2可動部材142が弁軸128側に持ち上げられるので、弁体130が弁座118に着座する。これにより、ベーパ通路104が閉塞されることになる。
【0096】
このように、本実施形態では、平常状態において、給油時にのみ燃料タンク12内と外気との外気通路32を介した連通状態を遮断することができる。これにより、上述した第1の実施形態と同一の効果を奏する。
【0097】
本実施形態では、第1リンク部材150と第2リンク部材152とが長手方向に互いに相対変位可能な状態で連結されている、言い換えれば、第1可動部材140が長手方向に伸縮可能に構成されているので、給油パイプ14に対する給油ノズル304の挿通位置にバラツキが生じても、第1可動部材140、第2可動部材142及び弁部材124が破損することを好適に防止することができるとともに、弁体130を弁座118に確実に着座させることができる。
【0098】
[実施形態のまとめ]
以上の実施形態をまとめると、燃料タンク装置10A、10B、10Cは、燃料を貯留する燃料タンク12と、外部から前記燃料タンク12に燃料を供給するための給油パイプ14と、前記燃料タンク12内に発生する蒸発燃料が導かれるベーパ通路(第1通路)28、104と、前記ベーパ通路28、104にて導かれた前記蒸発燃料を吸着するキャニスタ30と、前記キャニスタ30に外気を導くための外気通路(第2通路)32と、前記キャニスタ30に吸着された前記蒸発燃料を前記外気通路32から導かれる外気とともに内燃機関300の吸気通路302に導くパージ通路(第3通路)34と、前記燃料タンク12内と前記外気との前記外気通路32を介した連通状態を遮断可能な弁機構(弁手段)18、70、102とを備える。そして、前記弁機構18、70、102は、車両の平常状態において、給油時にのみ前記連通状態を遮断する。
【0099】
このような燃料タンク装置10A、10B、10Cによれば、給油時に、燃料タンク12内と外気との外気通路32を介した連通状態を遮断するので、過給油を確実に防止することができる。また、車両の平常状態であって給油時以外において、燃料タンク12は、ベーパ通路28、104、キャニスタ30及び外気通路32を介して外気に連通するので、燃料タンク12の内圧が過度に上昇することもない。よって、燃料タンク12の板厚を小さく設定することができるので、該燃料タンク12の軽量化を図ることができる。
【0100】
また、第1及び第3の実施形態に係る燃料タンク装置10A、10Cにおいて、前記弁機構18、102は、前記給油パイプ14に給油ノズル304が挿入されている間のみ前記連通状態を遮断してもよい。
【0101】
このような構成によれば、給油パイプ14に給油ノズル304が挿入されている間のみ燃料タンク12内と外気との外気通路32を介した連通状態を遮断するので、燃料タンク12の内圧が過度に上昇することを好適に抑えることができるとともに、過給油を確実に防止することができる。
【0102】
さらに、第1の実施形態に係る燃料タンク装置10Aにおいて、前記給油パイプ14の一端側には、前記給油ノズル304が挿通可能な貫通孔36が形成された保持部材38が設けられ、前記保持部材38には、前記外気通路32が接続されており、前記弁機構18は、前記貫通孔36に前記給油ノズル304が挿通されることにより、前記外気通路32を閉塞してもよい。
【0103】
このような構成によれば、保持部材38に形成された貫通孔36に給油ノズル304を挿通することで外気通路32が閉塞されるので、給油パイプ14に給油ノズル304を挿入する間のみ燃料タンク12内と外気との外気通路32を介した連通状態を確実に遮断することができる。
【0104】
さらにまた、第1の実施形態に係る燃料タンク装置10Aにおいて、前記弁機構18は、前記保持部材38に設けられて前記外気通路32の外気側の開口部32aを閉塞可能な弁部材44と、前記給油ノズル304に接触可能な状態で前記保持部材38に対して変位可能に設けられ、且つ前記弁部材44を前記外気通路32の該開口部32aに押圧する押圧部材46とをさらに有してもよい。
【0105】
このような構成によれば、給油ノズル304を貫通孔36に挿通した時に、該給油ノズル304に接触する押圧部材46を変位させて弁部材44を外気通路32の開口部32aに押圧することができるので、簡単な構成で外気通路32を閉塞することができる。
【0106】
また、第1の実施形態に係る燃料タンク装置10Aにおいて、前記弁部材44は、前記外気通路32の前記開口部32aに嵌合可能な弁体52と、前記押圧部材46(押圧体46b)に接触し、且つ前記弁体52に対して該開口部32aに近接離間する方向に相対変位可能に連結された接触部材54とを有してもよい。
【0107】
このような構成によれば、弁体52及び接触部材54を外気通路32の開口部32aに近接離間する方向に相対変位可能に連結しているので、貫通孔36への給油ノズル304の挿通の仕方によって押圧部材46(押圧体46b)の変位する量にバラツキが生じた場合であっても、弁体52及び接触部材54の相対変位量を調整することによって、外気通路32の開口部32aを確実に閉塞することができる。また、これによって、外気通路32の開口部32aに弁部材44が押圧部材46によって過度に押圧されることを抑えることができるので、外気通路32の開口部32a、弁部材44及び押圧部材46等が破損することを好適に防止することができる。
【0108】
さらに、第1の実施形態に係る燃料タンク装置10Aにおいて、前記給油パイプ14には、該給油パイプ14を閉塞可能な閉塞部材26が設けられており、前記保持部材38は、前記閉塞部材26よりも外側に配置されていてもよい。
【0109】
このような構成によれば、給油パイプ14に閉塞部材26を設けているので、例えば、内燃機関300の運転中に、燃料タンク12内の燃料が外部に流出することを防止することができる。また、このとき、保持部材38は前記閉塞部材26(給油パイプ14の給油口14a)よりも外側に位置しているため、該閉塞部材26によって給油パイプ14を閉塞した状態であっても、外気通路32は外気に連通する。
【0110】
さらにまた、第1の実施形態に係る燃料タンク装置10Aにおいて、前記閉塞部材26は、フラップ弁として構成されていてもよい。このような構成によれば、給油時に閉塞部材26の取り外し(取り付け)を行う必要がないので、給油操作を簡単に行うことができる。また、燃料タンク装置10Aの構成が複雑になることもない。
【0111】
また、第2の実施形態に係る燃料タンク装置10Bにおいて、前記給油パイプ14の給油口14aが車体パネル200に形成された室204に臨むとともに、該車体パネル200には、該室204を開閉するリッド部材205が設けられており、前記弁機構70は、前記リッド部材205が開状態の間のみ前記連通状態を遮断してもよい。
【0112】
このような構成によれば、リッド部材205が開状態の間のみ燃料タンク12内と外気との外気通路32を介した連通状態を遮断するので、燃料タンク12の内圧が過度に上昇することを好適に抑えることができるとともに、過給油を確実に防止することができる。
【0113】
さらに、第2の実施形態に係る燃料タンク装置10Bにおいて、前記弁機構70は、前記外気通路32の外気側の開口部32aを囲繞し、且つ該外気通路32に連通する貫通孔(第1貫通孔)80と前記室204に連通する貫通孔(第2貫通孔)78とが形成されたハウジング72と、前記ハウジング72内に設けられた弁体74aと、前記弁体74aに設けられて前記貫通孔78を挿通した状態で前記リッド部材(リッドロックバー210)205に係合可能な突出部(係合部)74bと、を有し、前記弁体74aは、前記リッド部材205及び前記突出部74bが係合した場合に、前記ハウジング72の内面(シート面72a)に当接して前記外気通路32と前記室204内の連通状態を遮断し、前記リッド部材205及び前記突出部74bの係合状態が解除された場合に、前記ハウジング72の内面から離間して前記外気通路32と前記室204内とを連通させてもよい。
【0114】
このような構成によれば、リッド部材205及び突出部74bが係合した場合に、外気通路32と室204内との連通状態を遮断し、リッド部材205及び突出部74bの係合状態が解除された場合に、前記外気通路32と前記室204内とを連通させるので、リッド部材205が開状態の間のみ燃料タンク12内と外気との外気通路32を介した連通状態を確実に遮断することができる。
【0115】
本発明は上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは当然可能である。
【符号の説明】
【0116】
10A、10B、10C…燃料タンク装置
12…燃料タンク 14…給油パイプ
14a…給油口 16、100…蒸発燃料処理部
18、70、102…弁機構(弁手段)
26、82…閉塞部材 28、104…ベーパ通路(第1通路)
30…キャニスタ 32…外気通路(第2通路)
34…パージ通路(第3通路) 36…貫通孔
38…保持部材 44、74、124…弁部材
46、138…押圧部材 52…弁体
54…接触部材 72…ハウジング
76…弾性部材 78、80…貫通孔
200…車体パネル 202…凹部
204…室 205…リッド部材
210…リッドロックバー 300…内燃機関
302…吸気通路 304…給油ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を貯留する燃料タンクと、
外部から前記燃料タンクに燃料を供給するための給油パイプと、
前記燃料タンク内に発生する蒸発燃料が導かれる第1通路と、
前記第1通路にて導かれた前記蒸発燃料を吸着するキャニスタと、
前記キャニスタに外気を導くための第2通路と、
前記キャニスタに吸着された前記蒸発燃料を前記第2通路から導かれる外気とともに内燃機関の吸気通路に導く第3通路と、
前記燃料タンク内と前記外気との前記第2通路を介した連通状態を遮断可能な弁手段と、を備え、
前記弁手段は、給油時にのみ前記連通状態を遮断することを特徴とする燃料タンク装置。
【請求項2】
請求項1記載の燃料タンク装置において、
前記弁手段は、前記給油パイプに給油ノズルが挿入されている間のみ前記連通状態を遮断することを特徴とする燃料タンク装置。
【請求項3】
請求項2記載の燃料タンク装置において、
前記給油パイプの一端側には、前記給油ノズルが挿通可能な貫通孔が形成された保持部材が設けられ、
前記保持部材には、前記第2通路が接続されており、
前記弁手段は、前記貫通孔に前記給油ノズルが挿通されることにより、前記第2通路を閉塞することを特徴とする燃料タンク装置。
【請求項4】
請求項3記載の燃料タンク装置において、
前記弁手段は、前記保持部材に設けられて前記第2通路の外気側の開口部を閉塞可能な弁部材と、
前記給油ノズルに接触可能な状態で前記保持部材に対して変位可能に設けられ、且つ前記弁部材を前記第2通路の該開口部に押圧する押圧部材と、をさらに有することを特徴とする燃料タンク装置。
【請求項5】
請求項4記載の燃料タンク装置において、
前記弁部材は、前記第2通路の前記開口部に嵌合可能な弁体と、
前記押圧部材に接触し、且つ前記弁体に対して該開口部に近接離間する方向に相対変位可能に連結された接触部材と、を有することを特徴とする燃料タンク装置。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1項に記載の燃料タンク装置において、
前記給油パイプには、該給油パイプを閉塞可能な閉塞部材が設けられており、
前記保持部材は、前記閉塞部材よりも外側に配置されていることを特徴とする燃料タンク装置。
【請求項7】
請求項6記載の燃料タンク装置において、
前記閉塞部材は、フラップ弁として構成されていることを特徴とする燃料タンク装置。
【請求項8】
請求項1記載の燃料タンク装置において、
前記給油パイプの給油口が車体パネルに形成された室に臨むとともに、該車体パネルには、該室を開閉するリッド部材が設けられており、
前記弁手段は、前記リッド部材が開状態の間のみ前記連通状態を遮断することを特徴とする燃料タンク装置。
【請求項9】
請求項8記載の燃料タンク装置において、
前記弁手段は、前記第2通路の外気側の開口部を囲繞し、且つ該第2通路に連通する第1貫通孔と前記室内に連通する第2貫通孔とが形成されたハウジングと、
前記ハウジング内に設けられた弁体と、
前記弁体に設けられて前記第2貫通孔を挿通した状態で前記リッド部材に係合可能な係合部と、を有し、
前記弁体は、前記リッド部材及び前記係合部が係合した場合に、前記ハウジングの内面に当接して前記第2通路と前記室内との連通状態を遮断し、前記リッド部材及び前記係合部の係合状態が解除された場合に、前記ハウジングの内面から離間して前記第2通路と前記室内とを連通させることを特徴とする燃料タンク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−1294(P2013−1294A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135848(P2011−135848)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】