説明

玄関の構造

【課題】腰掛けベンチに対する立ち座りの動作を容易にすることができる玄関の構造を提供する。
【解決手段】玄関の上がり框2の下の土間1に腰掛け用のベンチ6が設けられると共に、該ベンチ6の脇に、ベンチ6に腰掛けたヒトが肘を掛ける肘掛け7が備えられ、該肘掛け7は昇降可能で、該肘掛け7を昇降させる駆動機構8と、肘掛け昇降操作用のスイッチ11とが備えられ、スイッチ11を操作することにより、肘掛け7が昇降動作を行い、肘を掛けたヒトが、ベンチ6からの立ち上がり動作等の支援を受けうるようになされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
玄関の土間に、靴の脱ぎ履きを容易にする、肘掛け付きの腰掛けベンチが設けられたものは、従来より提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−101990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のものでは、ベンチに対する立ち座りの動作を、自身で行わなければならず、そのため、高齢者などのように足腰の弱ったヒトにとっては、ベンチに対する立ち座りの動作が容易ではないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、ベンチに対する立ち座りの動作を容易にすることができる玄関の構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、玄関の上がり框下の土間に腰掛け用のベンチが設けられると共に、該ベンチの脇に、ベンチに腰掛けたヒトが肘を掛ける肘掛けが備えられ、該肘掛けは昇降可能で、該肘掛けを昇降させる駆動機構と、肘掛け昇降操作用のスイッチとが備えられ、スイッチを操作することにより、肘掛けが昇降動作を行い、肘を掛けたヒトが、ベンチからの立ち上がり動作の支援、及び/又は、ベンチへの座り動作の支援を受けうるようになされていることを特徴とする玄関の構造によって解決される(第1発明)。
【0007】
この構造では、ベンチからの立ち上がり動作、及び/又は、ベンチへの座り動作において、肘掛けが昇降動作を行って、それらの動作の支援を受けることができるようになされているので、ベンチに対する立ち座りの動作を容易にすることができる。
【0008】
第1発明において、前記肘掛けの下面側に肘掛けの延びる方向に向けられたバーが設けられ、該肘掛けは、その下面側が正面側を向くと共にバーが上下方向を向くように跳ね上げ状態となって収納されるようになされていると共に、上がり框を上り下りする際に使用する縦手摺りが備えられ、該縦手摺りと、跳ね上げ収納状態の肘掛けのバーとが、同一直線上に直列状態となって配置されるようになされているとよい(第2発明)。
【0009】
この構造では、肘掛けは、不要なとき、跳ね上げ状態にして収納しておくことができて、邪魔にならないのはもちろん、跳ね上げ収納状態において、バーと縦手摺りとが同一直線上に直列状態となって配置されるようになされているので、跳ね上げ収納状態にした肘掛けを、それに備えられたバーを利用して、縦手摺りとの関係で、納まりの良いものにすることができる。
【0010】
また、第2発明において、前記肘掛けは、高所に上昇させることができるようになされていて、高所に上昇させた肘掛けの下面側のバーを物掛けとすることができるようになされているのもよい(第3発明)。
【0011】
この場合は、肘掛けに設けられているバーを、肘掛け収納状態において縦手摺りとの関係で納まりの良いものにすることができるのみならず、物掛けにも有効活用することができて、玄関での利便性を向上することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の玄関の構造は、以上のとおりのものであるから、ベンチに対する立ち座りの動作を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態の玄関構造を示すもので、図(イ)及び図(ロ)はベンチからの立ち上がり動作の支援の過程を示す断面側面図である。
【図2】図(イ)は同玄関構造の側面図、図(ロ)は同正面図である。
【図3】図(イ)は肘掛けの跳ね上がり収納状態を示す断面側面図、図(ロ)は肘掛けの跳ね上げのための構造を示す断面側面図、図(ハ)は肘掛けと走行子の連結状態を示す側面図である。
【図4】図(イ)及び図(ロ)は肘掛けの昇降動作を示す断面側面図である。
【図5】肘掛けを高所に上昇させた状態を示す断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
実施形態の玄関の構造を示す図1〜図5のうちの図2において、1は玄関土間、2は上がり框であり、玄関土間1の脇に、靴等を収納する家具3が設けられると共に、該収納家具3と上がり框2との間には中空の側板4が設けられ、該側板4の前縁部に、手摺り棒を上下方向に延ばした縦手摺り5が設けられて、この縦手摺り5を握りながら上がり框2を上り下りすることができるようになされている。
【0016】
そして、上記の収納家具3には出退式の腰掛けベンチ6が備えられており、該ベンチ6を収納家具3の正面側から前方に進出させた状態にすることによって腰を掛けることができ、収納家具3の側に後退させた状態にすることによって収納状態にすることができるようになされている。
【0017】
そして、上記の側板4の前縁側には、縦手摺り5の下側に隣り合うようにして、肘掛け7が前方に突出した片持ち状態となって備えられ、進出状態のベンチ6に腰掛けたヒトがこの肘掛け7に肘を掛けることができるようになされている。
【0018】
肘掛け7は、図1及び図4に示すように、昇降可能で、該肘掛け7を昇降させるための駆動機構8が側板4に内設されていると共に、肘掛け昇降操作用のスイッチが肘掛け7に設けられている。駆動機構8は、電動式等のウインチのワイヤー9に走行子10を連結したもので、走行子10は、側板4の内部に設けられたレール13,13に案内されることで特定の向きを保ちながら側板4内を昇降するようになされており、この走行子10に肘掛け7が連結され、ウインチを駆動することにより、走行子10の昇降動作に連動して肘掛け7が昇降するようになされて、図1(イ)に示すように、ベンチ6に腰を降ろし、肘掛け7に肘を掛けたヒトが、肘掛け7のスイッチ11を操作して肘掛け7を上昇駆動させていくことにより、図1(ロ)に示すように、ベンチ6からの立ち上がり動作の支援を、肘掛け7を通じて受けることができるようになされている。
【0019】
また、図示しないけれども、ベンチ6の前に立ち、肘掛け7に手や肘を掛けたヒトが、スイッチ11を操作して肘掛け7を下降させていくことにより、ベンチ6への座り動作の支援を肘掛け7を通じて受けることができるようになされている。なお、ベンチ6からの立ち上がり動作の支援と、ベンチ6への座り動作の支援のいずれか一方のみが行われるようになされていてもよい。
【0020】
上記の肘掛け7の下面部には、図1及び図4に示すように、肘掛け7の延びる方向、即ち前後方向に向けられたバー12が設けられている。該肘掛け7は、走行子10に対し、左右方向の軸線回りで回動するように枢着されていて、走行子10に備えられたストッパー10aに当接することによって水平状態を保つことができるようになされていると共に、図3(イ)(ロ)に示すように、走行子10が一定高さ位置よりも下方に移動していくと、肘掛け7が側板4のがわの跳ね上げ用当接部4aに当接して上方に回動して跳ね上げられていき、図3(イ)に示すように、跳ね上げ収納状態において、バー12は垂直状態となって、該バー12と縦手摺り5とが、同一直線上に直列状態となって配置されるようになされている。
【0021】
また、上記の肘掛け7は、ウインチを駆動することによって、図5に示すように、縦手摺り5の下端部を越えた上方の高所へと移動させることができるようになされていて、下面側のバー12を物掛けにして、衣服を掛けたハンガーなどを掛けて吊すことができるようになされている。
【0022】
上記の玄関構造では、ベンチ6からの立ち上がり動作と、ベンチ6への座り動作において、肘掛け7が昇降動作を行って、それらの動作の支援を受けることができるようになされているので、ベンチ6に対する立ち座りの動作を容易にすることができる。しかも、肘掛け7は、不要なとき、跳ね上げ状態にして収納しておくことができて、邪魔にならないのはもちろん、跳ね上げ収納状態において、バー12と縦手摺り5とが同一直線上に直列状態となって配置されるようになされているので、跳ね上げ収納状態にした肘掛け7を、それに備えられたバー12を利用して、縦手摺り5との関係で、納まりの良いものにすることができる。加えて、肘掛け7は、図5に示すように、高所に上昇させることができるようになされていて、高所に上昇させた肘掛け7の下面側のバー12を物掛けとすることができるようになされているので、玄関での利便性を向上することができる。
【符号の説明】
【0023】
1…玄関土間
2…上がり框
5…縦手摺り
6…腰掛けベンチ
7…肘掛け
8…駆動機構
11…スイッチ
12…バー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関の上がり框下の土間に腰掛け用のベンチが設けられると共に、該ベンチの脇に、ベンチに腰掛けたヒトが肘を掛ける肘掛けが備えられ、該肘掛けは昇降可能で、該肘掛けを昇降させる駆動機構と、肘掛け昇降操作用のスイッチとが備えられ、スイッチを操作することにより、肘掛けが昇降動作を行い、肘を掛けたヒトが、ベンチからの立ち上がり動作の支援、及び/又は、ベンチへの座り動作の支援を受けうるようになされていることを特徴とする玄関の構造。
【請求項2】
前記肘掛けの下面側に肘掛けの延びる方向に向けられたバーが設けられ、該肘掛けは、その下面側が正面側を向くと共にバーが上下方向を向くように跳ね上げ状態となって収納されるようになされていると共に、上がり框を上り下りする際に使用する縦手摺りが備えられ、該縦手摺りと、跳ね上げ収納状態の肘掛けのバーとが、同一直線上に直列状態となって配置されるようになされている請求項1に記載の玄関の構造。
【請求項3】
前記肘掛けは、高所に上昇させることができるようになされていて、高所に上昇させた肘掛けの下面側のバーを物掛けとすることができるようになされている請求項2に記載の玄関の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−248787(P2010−248787A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99439(P2009−99439)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】