説明

玄関収納家具

【課題】玄関収納家具の仕切板をなくして収容量を増加させるとともに、強度を確保する。
【解決手段】左右側板2L,2R、天板3、底板4及び背板5を有する前側が開口された矩形箱状の家具本体1と、該家具本体1内部に取り外し可能に架設された複数の棚板18,18と、家具本体1の前側に配置され、開口を開閉する扉15L〜15Rとを備えた玄関収納家具Aにおいて、家具本体1の前端部及び後端部の前後に対応した所定位置にそれぞれ表側補強枠材10及び裏側補強板11を、天板3及び底板4を連結するように立設する。表側補強枠材10、裏側補強板11及び左右の側板2L,2Rの同じ高さ位置にダボピン22を固定し、それらダボピン22間に各棚板18を架設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は玄関収納家具に関し、その収容量を増加させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、靴等の収納物を収納する玄関収納家具においては、その収納力を増やすために左右の幅を広くすることが行われている。その場合、収納家具(箱体)としての強度が低下したり、或いは靴の重みで長尺の棚の中央が撓んだりする等の問題があるため、広幅の収納家具の内部に左右中間位置で仕切板を設けることで、その仕切板によって区画される個々の収納部の幅を狭くしながらも強度の向上を図っている。例えば、家具の設置面積と収容力とを考えた場合、1200mm幅とすることが一般的であるが、左右側面の一方から400mmの部位(他方から800mmの部位)に仕切板を設けている。
【0003】
ところが、このように内部を仕切板で仕切ると、その仕切板の厚さ分だけ収納空間の幅が狭くなり、靴の幅によっては例えば1足分を並べて置くことができず、無駄な空間が生じる。
【0004】
これに対して、特許文献1には、仕切板で区画された左右2つの空間のうちの狭い側の空間の幅を2足の男性靴が置き得る大きさ(実施形態では約50cm)に少し広げることで、無駄を無くすようにすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3153189号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、男性靴の幅が全て一定と言う訳ではなく、靴の幅は各個人が所有する靴のデザインや寸法に応じて左右されることから、上記特許文献1のものでは、常に2足を安定して置き得ることにはならない。
【0007】
また、女性靴や子供靴は幅が様々で、これらを上記男性靴収納の場所に収納すれば無駄な空間が発生する場合もあり、必ずしも有効な方法とはなり得ないという問題がある。
【0008】
他方、上記仕切板自体をなくすことで、収容量を増加させることができるが、その反面、強度部材がなくなり、収納家具の強度を確保することができなくなる。
【0009】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、収容空間の増大の障害になっている仕切板をなくす構造を基本としつつ、収納家具の強度を確保できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、この発明では、収納家具の前側部及び後側部にそれぞれ支持用の強度部材を立設し、この前後の強度部材により箱体の強度を確保するとともに、これら強度部材に棚板を前後端部で支持するようにした。
【0011】
具体的には、請求項1の発明では、左右側板、天板、底板及び背板を有し、前側が開口された矩形箱状の家具本体と、その家具本体内部に取り外し可能に架設された複数の棚板と、家具本体の前側に配置され、開口を開閉する扉とを備えた玄関収納家具が前提である。
【0012】
そして、上記家具本体の前端部及び後端部の前後に対応した所定位置にそれぞれ表側補強枠材及び裏側補強板が天板及び底板を連結するように立設され、上記表側補強枠材、裏側補強板及び左右の側板には、同じ高さ位置に架設部材が固定され、上記各棚板は上記表側補強枠材、裏側補強板及び左右の側板の架設部材間に架設されていることを特徴とする。
【0013】
この請求項1の発明では、家具本体の前端部及び後端部の前後に対応した所定位置にそれぞれ表側補強枠材及び裏側補強板が立設され、これら表側補強枠材、裏側補強板及び左右の側板に架設部材が固定されて、それら架設部材間に棚板が架設されているので、家具本体内部に従来の仕切板が設けられていないこととなる。そのため、家具本体内部において左右側板の位置まで無駄なく靴等の収納物を収納でき、家具本体の外寸が従来と同じでありながらそれよりも収容量が増加する。
【0014】
また、家具本体の前端部に天板と底板とを連結する表側補強枠材が、また後端部に同様の裏側補強板がそれぞれ設けられているので、従来の仕切板が無くても家具本体として十分な強度を有する。また、棚板は側板以外に、裏側補強板及び表側補強枠材に固定した架設部材によっても架設されるので、靴等の収納物の重みで棚板の中央が撓む等の問題は発生しない。
【0015】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、少なくとも一部の棚板は、裏側補強板及び表側補強枠材の位置で左右に分割され、両分割棚板は左右に突き合わされかつ該突き合わせ端部が裏側補強板及び表側補強枠材で支持された状態で架設されていることを特徴とする。
【0016】
この請求項2の発明では、少なくとも一部の棚板が裏側補強板及び表側補強枠材の位置で分割されて、その分割された左右の分割棚板は相互に突き合わされ、その突き合わせ端部が裏側補強板及び表側補強枠材で支持された状態で架設されているので、左右に連続して分割棚板が配置されているにも拘わらず、棚板の位置の付け替えが容易に行える。
【0017】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、少なくとも一部の棚板は、その前側の一部を切り欠いた切欠部を有することを特徴とする。
【0018】
この請求項3の発明では、少なくとも一部の棚板に切欠部が設けられているので、その切欠部に背の高いブーツ等の収納物を収納することができる。また、切欠部後側にあって前後の奥行きの狭くなった部分には、子供靴等の小さい収納物を置くことができる。このことで無駄のない収納を行うことができる。
【0019】
請求項4の発明では、請求項1〜3の発明のいずれか1つにおいて、架設部材が表側補強枠材、裏側補強板及び左右側板に対し取り外しにより複数の高さ位置に移動調整可能に固定されていることを特徴とする。
【0020】
この請求項4の発明では、架設部材を取り外して高さ位置を変更することで、架設部材の数を増やすことなく、棚板の高さを容易に調整することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明のように、請求項1の発明によると、前側が開口された矩形箱状の家具本体の前端部及び後端部の所定位置にそれぞれ表側補強枠材及び裏側補強板を、天板及び底板間を連結するように立設し、それら表側補強枠材及び裏側補強板と左右の側板とに架設部材を固定して、各棚板を表側補強枠材、裏側補強板及び左右の側板の架設部材間に架設するようにしたことにより、表側補強枠材及び裏側補強板によって家具本体として十分な強度を確保しかつ棚板の中央の撓み等を防止しながら、家具本体内部における従来の仕切板をなくし、家具本体内部に左右側板の位置まで無駄なく靴等の収納物を収納して、玄関収納家具の収容量の増加を図ることができる。
【0022】
請求項2の発明によると、少なくとも一部の棚板を裏側補強板及び表側補強枠材の位置で左右に分割されたものとし、その両分割棚板は左右に突き合わされかつ突き合わせ端部が裏側補強板及び表側補強枠材で支持された状態で架設されているものとしたことにより、左右に連続して棚板が配置されているにも拘わらず、棚板の位置の付け替えの容易化を図ることができる。
【0023】
請求項3の発明によると、少なくとも一部の棚板の前側に切欠部を設けたことにより、その切欠部に背の高いブーツ等の収納物を収納できるとともに、切欠部後側の奥行きの狭くなった部分に子供靴等の収納物を置くことができ、無駄のない収納を行うことができる。
【0024】
請求項4の発明によると、架設部材を表側補強枠材、裏側補強板及び左右側板に対し取り外しによって複数の高さ位置に移動調整可能に固定するようにしたことにより、架設部材数の増加を招くことなく棚板の高さを容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る玄関収納家具を扉の取り外し状態で前側(表側)から見た斜視図である。
【図2】図2は、玄関収納家具を扉の取り外し状態で後側(裏側)から見た斜視図である。
【図3】図3は、扉を取り外した玄関収納家具を前側から見た正面図である。
【図4】図4は、天板を取り外した状態で玄関収納家具を上側から見た平面図である。
【図5】図5は、玄関収納家具の内部から表側補強枠材を見た図である。
【図6】図6は、表側補強枠材に対する棚板の架設構造を拡大して示す正面図である。
【図7】図7は、裏側補強板及び左右側板に対する左右の分割棚板の架設構造を示す正面図である。
【図8】図8は、全ての棚板を示す斜視図である。
【図9】図9は、切り欠き部を有する棚板の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0027】
図1〜図4は本発明に係る玄関収納家具Aを示し、この収納家具Aは収納物として例えば靴を収容するために用いられる。収納家具Aは、前側(表側)が開口された矩形箱状の家具本体1と、この家具本体1内部に取り外し可能に架設された例えば上下2枚(複数)の棚板18,18と、家具本体1の前側に配置され、その前側の開口を開閉する例えば3枚の扉15L,15M,15R(図4参照)とを備えている。
【0028】
上記家具本体1は左側板2L、右側板2R、天板3、底板4、背板5(裏板)、上下の背板補強桟6,6及び前巾木7(図2参照)を有する。左側板2L及び右側板2Rは互いに同じ大きさの矩形板状のものであり、天板3及び底板4も互いに同じ大きさの矩形板状のものである。そして、左右側板2L,2Rを間隔をあけて起立させ、それらの上端部間に天板3を、また下端部寄り部位間に底板4をそれぞれ掛け渡して、天板3及び底板4の左右端部をそれぞれ左右側板2L,2Rに例えばダボ止め及び接着(又はねじ止め)等によって固定することにより、左側板2L、右側板2R、天板3及び底板4が矩形枠状に形成される。尚、底板4は側板2L,2Rの下端部よりも少し上側の位置に固定され、この底板4の下側前端部には上記前巾木7が左右端部を左右側板2L,2Rに、また上端部を底板4にそれぞれ例えばダボ止め及び接着(又はねじ止め)等によって固定された状態で配置されている。
【0029】
また、背板5は、上記左右側板2L,2R、天板3及び底板4の枠体の後側開口部を閉じる大きさの矩形薄板状のもので、左右側縁部を上記枠体の左右内面(左側板2Lの右側面及び右側板2Rの左側面、天板3の下面及び底板4の上面)の後端部寄りに形成した嵌合溝(図示せず)に嵌合されて固定されている。また、背板5の後側(裏側)にはその上下端位置にそれぞれ上記上下の背板補強桟6,6が配置され、この背板補強桟6,6は背板5の後面(裏面)に接した状態で天板3の下面及び底板4の上面に接着されるか、或いはその接着に加え天板3及び底板4の後面(裏面)に対しタッカー止めされるかして固定されている。以上の構造により、前側が開口された矩形箱状の家具本体1が構成されている。
【0030】
上記家具本体1の前端部(表側端部)には、例えばその左端部から家具本体1の左右幅の1/3程度の位置に表側補強枠材10が立設されている。この表側補強枠材10は細長い角材状又は板状のもので、その上端部は天板3の下面に、また下端部は底板4の上面にそれぞれ接着等により固定されており、表側補強枠材10は天板3及び底板4を直接に連結するように立設されている。
【0031】
一方、家具本体1の後端部において、上記背板5の後側位置(裏側位置)には上記表側補強枠材10に前後に対応した位置に裏側補強板11が天板3及び底板4間に亘り立設されている。この裏側補強板11は表側補強枠材10と異なり、上下端部が天板3及び底板4に直接固定されておらず、上記上下の背板補強桟6,6間に配置されて該背板補強桟6,6を介して間接的に天板3及び底板4に固定されている(図2参照)。つまり、この裏側補強板11は天板3及び底板4を上下の背板補強桟6,6を介して間接的に連結するように立設されている。
【0032】
上記構造により、表側補強枠材10は天板3及び底板4の左右中間部の前端部間を直接連結する支持部材となり、裏側補強板11は天板3及び底板4の左右中間部の後端部間を上下の背板補強桟6,6を介して間接的に連結する支持部材となっている。
【0033】
上記3枚の扉15L,15M,15Rはいずれも矩形板状のもので、それら全体で家具本体1の前側開口を開閉する。左扉15Lは、その左端部が家具本体1における左側板2Lの右側面前端部に上下2つの蝶番(図示せず)により揺動可能に支持されている。また、右扉15Rは、その右端部が家具本体1における右側板2Rの左側面前端部に上下2つの蝶番(図示せず)により揺動可能に支持されている。さらに、中央の中扉15M(兼用扉)は、その左端部が上記表側補強枠材10の右側面前端部に上下2つの蝶番(図示せず)により揺動可能に支持されており、これら3枚の扉15L,15M,15Rは独立して家具本体1の前側開口を開閉するようになっている。
【0034】
そして、上記複数の棚板18,18の各々は、左側板2Lの右側面、右側板2Rの左側面、表側補強枠材10の後面(裏面)及び裏側補強板11の前面(表面)に掛け渡されて支持されている。具体的には、図8にも示すように、各棚板18は表側補強枠材10及び裏側補強板11の位置で左右2枚の分割棚板18L,18Rに分割され、両分割棚板18L,18Rは左右に突き合わされかつその突き合わせ端部が裏側補強板11及び表側補強枠材10で支持された状態で隙間無くかつ段差無く連続するように架設されている(図3、図6及び図7参照)。
【0035】
すなわち、左分割棚板18Lは、左右幅が左側板2Lの右側面から表側補強枠材10(裏側補強板11)の左右中央位置までの寸法と略同じ大きさで、奥行が背板5前面から表側補強枠材10の後面(裏面)までの寸法と同じ大きさを有する板材からなる。左分割棚板18Lの左端部下面において前後端部寄りの位置には、後述するダボピン22(架設部材)を嵌入するための2つのダボ溝19,19が形成されている。この各ダボ溝19は左分割棚板18Lの左端面の下側隅角部を部分的に切り欠くことで左右方向に延びる溝状のもので、その溝の右端は閉塞されている。また、左分割棚板18Lの右端部下面において前後端の角部には、ダボピン22(架設部材)を嵌入するための2つのダボ切欠き20,20が形成されている。この各ダボ切欠き20は左分割棚板18Lの右端面の前後端の下側隅角部を矩形状に切り欠くことで前後方向に延びるように形成されている。
【0036】
一方、右分割棚板18Rは、基本的に(後述する切欠部21を有するものを除く)、左右幅が右側板2Rの左側面から表側補強枠材10(裏側補強板11)の左右中央位置までの寸法と略同じ大きさで、奥行が背板5前面から表側補強枠材10の後面(裏面)までの寸法と同じ大きさを有する板材からなる。右分割棚板18Rの右端部下面において前後端部寄りの位置には、ダボピン22(架設部材)を嵌入するための2つのダボ溝19,19が形成されている。この各ダボ溝19は右分割棚板18Rの右端面の下側隅角部を部分的に切り欠くことで左右方向に延びる溝状のもので、その溝の左端は閉塞されている。また、右分割棚板18Rの左端部下面において前後端の角部には、ダボピン22(架設部材)を嵌入するための2つのダボ切欠き20,20が形成されている。この各ダボ切欠き20は右分割棚板18Rの左端面の前後端の下側隅角部を矩形状に切り欠くことで前後方向に延びるように形成されている。
【0037】
そして、左側板2Lの右側面と、右側板2Rの左側面と、表側補強枠材10の後面(裏面)と、裏側補強板11の前面(表面)ないし該裏側補強板11の前側に位置する背板5とには、同じ高さ位置に架設部材としてのダボピン22,22,…が取り外し可能に固定されている。すなわち、左側板2Lの右側面の前後寄り位置の2箇所、右側板2Rの左側面の前後寄り位置の2箇所及び表側補強枠材10の後面(裏面)にはそれぞれ有底のダボ穴23,23,…が穿設されている。また、背板5ないしその後側に位置する裏側補強板11には、背板5を貫通して裏側補強板11に至る有底のダボ穴23が形成されており、この背板5を貫通して裏側補強板11に至るダボ穴23に後述のダボピン22を嵌合することで、該ダボピン22は裏側補強板11に固定されている。
【0038】
以上の6箇所のダボ穴23,23,…は、例えば各々の箇所において、いずれも各棚板18の基準高さ位置と、それよりも所定高さだけ上側の上側補正位置と、基準高さ位置よりも所定高さだけ下側の下側補正位置との組合せに形成され(図5参照)、6箇所のダボ穴23,23,…の基準高さ位置同士、上側補正位置同士、及び下側補正位置同士はいずれも同じ高さ位置に配置されている。
【0039】
図6及び図7に示すように、上記同じ高さ位置に位置する6種類のダボ穴23,23,…に架設部材としてのダボピン22,22,…が取り外し可能に嵌合され、これらのダボピン22,22,…に左右の分割棚板18L,18R、つまり両分割棚板18L,18Rからなる棚板18が架設されている。具体的には、左分割棚板18Lは、その左端部の前後のダボ溝19,19にそれぞれ左側板2Lのダボピン22,22が嵌合され、右端部前端のダボ切欠き20に表側補強枠材10後面のダボピン22の左半部が、また右端部後端のダボ切欠き20に裏側補強板11(背板5)前面のダボピン22の左半部がそれぞれ係合された状態で、これら4つのダボピン22,22,…間に架設されている。一方、右分割棚板18Rは、その右端部の前後のダボ溝19,19にそれぞれ右側板2Rのダボピン22,22が嵌合され、左端部前端のダボ切欠き20に表側補強枠材10後面のダボピン22の右半部が、また左端部後端のダボ切欠き20に裏側補強板11(背板5)前面のダボピン22の右半部がそれぞれ係合された状態で、これら4つのダボピン22,22,…間に架設されている。
【0040】
また、上記ダボピン22,22,…は、それらを取り外して表側補強枠材10、裏側補強板11及び左右側板2L,2Rの他のダボ穴23,23,…へ嵌合することで、該表側補強枠材10、裏側補強板11及び左右側板2L,2Rに対し複数の高さ位置に移動調整可能に固定されている。
【0041】
さらに、図9に示すように、上記上下の棚板18,18のうちの一部である下側棚板18の右分割棚板18Rには、その前側の右半部を後側に向かって切り欠いた切欠部21が形成されている。
【0042】
上記左右の分割棚板18L,18Rからなる各棚板18の高さ位置を変える付け替えを行う場合には、各棚板18(その分割棚板18L,18R)を持ち上げてダボピン22,22,…から浮かすか、或いは各棚板18を家具本体1内から取り出すかし、その棚板18を架設している6つのダボピン22,22,…をダボ穴23,23,…から抜き出し、そのダボピン22,22,…を目的の高さに相当する他のダボ穴23,23,…に嵌合して高さ位置を変えた後、それら6つのダボピン22,22,…に棚板18を架設すればよい。こうしてダボピン22が取り外し可能であるので、そのダボピン22を取り外して高さ位置を変更することで、棚板18の高さを容易に調整することができる。
【0043】
したがって、この実施形態においては、玄関収納家具Aにおける家具本体1の前端部及び後端部にそれぞれ表側補強枠材10及び裏側補強板11が前後に対応して立設され、これら表側補強枠材10及び裏側補強板11と左右の側板2L,2Rとに架設部材としてのダボピン22,22,…が固定され、それらダボピン22,22,…間に棚板18が架設されている。そのため、家具本体1の内部に従来の仕切板がなくなり、その仕切板の厚さ分だけ家具本体1内部の収容容積が増大し、家具本体1内部に左右側板2L,2Rの位置まで無駄なく靴等を収納でき、家具本体1の外寸が従来と同じであってもそれよりも収容量が増加する。
【0044】
また、家具本体1の前端部に、天板3と底板4とを直接連結する表側補強枠材10が設けられ、後端部に、天板3と底板4とを背板補強桟6,6を介して間接的に連結する裏側補強板11が設けられているので、従来の仕切板が無くても家具本体1として十分な強度が得られる。しかも、棚板18は左右の側板2L,2Rのダボピン22,22,…以外に、裏側補強板11及び表側補強枠材10に固定したダボピン22,22によっても架設されるので、仮に各棚板18が左右の分割棚板18L,18Rに分割されずに左右の側板2L,2R間に亘る1枚ものであり、その1枚ものの棚板18を左右の側板2L,2Rのダボピン22,22,…だけで架設する場合のように、上載して収納した靴等の重みで該棚板18の中央が撓む等の問題が発生することはない。
【0045】
さらに、各棚板18が裏側補強板11及び表側補強枠材10の位置で左右の分割棚板18L,18Rに分割され、両分割棚板18L,18Rは左右に突き合わされかつ該突き合わせ端部が裏側補強板11及び表側補強枠材10で支持された状態で隙間無く架設されているので、上記1枚ものの棚板18のように左右に連続して分割棚板18L,18Rが配置されているにも拘わらず、棚板18の位置の付け替えが容易に行える。
【0046】
また、下側棚板18の右分割棚板18Rに、その前側の一部を切り欠いた切欠部21が設けられているので、その切欠部21のスペースに背の高いブーツ等を折り曲げることなくそのまま収納することができる。また、同じ右分割棚板18Rにおいて、切欠部21後側に前後の奥行きの狭くなった部分が生じるが、この部分には、子供靴や小箱等を置くことができる。よって、このことで無駄のない収納を行うことができる。
【0047】
(その他の実施形態)
上記実施形態において、棚板18の下面に形成されているダボ溝19やダボ切欠き20は必須ではない。しかし、棚板18をダボピン22と係合させることで、移動することなく安定して支持できる点では、ダボ溝19やダボ切欠き20を形成するのが好ましい。
【0048】
また、架設部材としてのダボピン22は取り外し可能でなくてもよく、左右側板2L,2R、表側補強枠材10及び裏側補強板11に取り外し不能に固定されていてもよい。しかし、棚板18の高さを変える場合には、予め、その高さに応じて複数のダボピン22,22,…を固定しておく必要があるので、取り外し可能とするのが好ましい。
【0049】
また、各棚板18は必ずしも左右に分割されている必要はなく、1枚ものの棚板18であってもよく、その場合、その棚板18は左右端部が左右側板2L,2Rのダボピン22,22,…により、また中間部が前後端部で表側補強枠材10及び裏側補強板11のダボピン22,22によりそれぞれ架設支持される。また、一部の棚板18が分割され、残りの棚板18が1枚ものであってもよい。しかし、棚板18を家具本体1内部から取り出したり、高さ位置を調整したりすることが容易となる点では、各棚板18が分割されているのが好ましい。
【0050】
さらに、上記実施形態では、下側棚板18の右分割棚板18Rに切欠部21を形成しているが、他の棚板18に形成してもよく、複数枚の棚板18,18,…や全ての棚板18,18,…に亘って上下に対応するように形成することもでき、それら複数枚の棚板18,18,…に亘る長い収納物をそのまま収容することができる。尚、この棚板18の切欠部21は必須ではない。
【0051】
また、上記実施形態では、裏側補強板11を背板5の後側に配置して、その裏側補強板11が家具本体1内に露出しないようにしているが、裏側補強板11を背板5の前側に配置して家具本体1内に露出させるようにしてもよい。
【0052】
さらに、上記実施形態では、左分割棚板18Lの右端部前端のダボ切欠き20に表側補強枠材10後面のダボピン22の左半部を、また右端部後端のダボ切欠き20に裏側補強板11(背板5)前面のダボピン22の左半部をそれぞれ係合させる一方、右分割棚板18Rの左端部前端のダボ切欠き20に表側補強枠材10後面のダボピン22の右半部を、また左端部後端のダボ切欠き20に裏側補強板11(背板5)前面のダボピン22の右半部をそれぞれ係合させているが、表側補強枠材10後面又は裏側補強板11(背板5)前面のダボピン22をそれぞれ左右対(2つや4つ)にし、左分割棚板18Lの右端部前端のダボ切欠き20に表側補強枠材10後面の左側のダボピン22を、また右端部後端のダボ切欠き20に裏側補強板11(背板5)前面の左側ダボピン22をそれぞれ係合させ、右分割棚板18Rの左端部前端のダボ切欠き20に表側補強枠材10後面の右側のダボピン22を、また左端部後端のダボ切欠き20に裏側補強板11(背板5)前面の右側のダボピン22をそれぞれ係合させるようにしてもよく、分割棚板18L,18Rにおいて表側補強枠材10又は裏側補強板11への支持がより一層安定して行われる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、家具本体として十分な強度を確保しつつ、従来の仕切板をなくし玄関収納家具の収容量の増加を図ることができるので、極めて有用で産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0054】
A 玄関収納家具
1 家具本体
2L 左側板
2R 右側板
3 天板
4 底板
5 背板
6 背板補強桟
10 表側補強枠材
11 裏側補強板
15L 左扉
15M 中扉
15R 右扉
18 棚板
18L 左分割棚板
18R 右分割棚板
21 切欠部
22 ダボピン(架設部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右側板、天板、底板及び背板を有し、前側が開口された矩形箱状の家具本体と、該家具本体内部に取り外し可能に架設された複数の棚板と、家具本体の前側に配置され、開口を開閉する扉とを備えた玄関収納家具において、
上記家具本体の前端部及び後端部の前後に対応した所定位置にそれぞれ表側補強枠材及び裏側補強板が天板及び底板を連結するように立設され、
上記表側補強枠材、裏側補強板及び左右の側板には、同じ高さ位置に架設部材が固定され、
上記各棚板は上記表側補強枠材、裏側補強板及び左右の側板の架設部材間に架設されていることを特徴とする玄関収納家具。
【請求項2】
請求項1において、
少なくとも一部の棚板は、裏側補強板及び表側補強枠材の位置で左右に分割され、両分割棚板は左右に突き合わされかつ該突き合わせ端部が裏側補強板及び表側補強枠材で支持された状態で架設されていることを特徴とする玄関収納家具。
【請求項3】
請求項1又は2において、
少なくとも一部の棚板は、その前側の一部を切り欠いた切欠部を有することを特徴とする玄関収納家具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つにおいて、
架設部材が表側補強枠材、裏側補強板及び左右側板に対し取り外しにより複数の高さ位置に移動調整可能に固定されていることを特徴とする玄関収納家具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−17663(P2013−17663A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153516(P2011−153516)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】