説明

生体情報取得装置

【課題】使用開始前の誤起動を防止し、電池19の消耗を防ぐことができるカプセル型内視鏡10を提供する。
【解決手段】カプセル型内視鏡10は、被検体の体内の情報を取得する生体情報取得部26と、電力を供給する電池19と、被検体の体内への導入を検知すると検知信号S20を出力する検知部20と、外部からの制御信号を受信し内部信号S1を出力する信号受信部11と、内部信号S1および検知信号S20に応じて、電池19から生体情報取得部26への電力供給を制御する制御部21と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の内部に導入され、生体内の情報を取得する生体情報取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡の分野においては、生体情報取得装置である飲み込み型のカプセル型内視鏡が登場している。カプセル型内視鏡は被検体の口から飲み込まれることで体内に導入され、自然排出されるまでの間、体腔内たとえば胃および小腸などの臓器の内部を蠕動運動に従って移動し、順次撮像する機能を有する。
【0003】
体腔内を移動する間、カプセル型内視鏡によって体内で撮像された画像データは、無線通信により外部に送信され、外部の受信機内に設けられたメモリに蓄積される。患者は、この無線通信機能およびメモリ機能を備えた受信機を携帯することにより、カプセル型内視鏡を飲み込んだあと、排出されるまでの間、自由に行動できる。
【0004】
カプセル型内視鏡は筐体に内蔵した電池等から駆動電力を得るが、内部回路等も筐体内に密閉された構造のため筐体外面に配設したスイッチ等を使用者が操作して駆動をオン/オフ操作することができない。このため筐体内部に外部信号によってオン/オフするスイッチを備えたカプセル型内視鏡が提案されている。
【0005】
図1に示す、特開2009−89907号公報に開示されている生体観察システム101は、カプセル型内視鏡110と、カプセル型内視鏡110の外部から交流磁界信号を送信する送信装置102と、カプセル型内視鏡110からの画像信号を受信する受信装置103と、を具備している。
【0006】
送信装置102は電源102Aと、駆動部102Bと、磁界発生部である送信部102Cと、を有している。受信装置103はアンテナユニット103Cと、画像受信部103Bと、画像を記憶する外部メモリ103Aと、を有している。
【0007】
カプセル型内視鏡110は、信号受信部(以下、「受信部」ともいう)111と、制御部121と、電池119と、Pチャネル型FETであるスイッチ125と、生体情報取得部126と、を有している。生体情報取得部126は、生体内の被写体を照明するための照明光を発する照明ユニット128と、照明ユニット128により照明された被写体を撮像し画像信号として出力する撮像ユニット127と、撮像ユニット127から出力される画像信号を無線により生体外へ伝送するRFユニット129と、を有する。
【0008】
受信部111は、受信センサ112と、受信回路113と、を有する。受信センサ112は交流磁界の強度に応じた大きさの交流信号を出力する磁界検知用コイル112Aと共振用コンデンサ112Bとからなる。受信回路113は、受信センサ112から出力される交流信号を整流するダイオード113Aおよびコンデンサ113Bと抵抗113Cとを有する。
【0009】
制御部121の、分周回路122の出力信号S2は受信部111からの出力信号S1反転する。スイッチ125は、ソースが電池119に接続され、ゲートが分周回路122の出力端に接続されるとともに、ドレインが生体情報取得部126に接続されている。
【0010】
上記構成のカプセル型内視鏡110は、送信装置102からの交流磁界信号を磁界検知用コイル112Aにて受電し、受電した信号を整流し、さらに分周回路122で2分周した内部信号S2をもとに、生体情報取得部126への電力供給/停止をトグル制御する。
【0011】
しかし、外部信号をもとに電力供給を制御するカプセル型内視鏡は、使用開始前のたとえば輸送時に、意図しないノイズ信号を受信して生体情報取得部への電力供給を開始してしまう誤起動により電池の電力を消耗してしまうおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−89907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は使用開始前の誤起動を防止し、電池の消耗を防ぐことができる生体情報取得装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一形態の生体情報取得装置は、被検体の体内の情報を取得する生体情報取得部と、電力を供給する電源と、前記被検体の体内への導入を検知すると検知信号を出力する検知部と、外部からの制御信号を受信し内部信号を出力する信号受信部と、前記内部信号および前記検知信号に応じて、前記電源から前記生体情報取得部への電力供給を制御する制御部と、を具備する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、使用開始前の誤起動を防止し、電池の消耗を防ぐことができる生体情報取得装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】公知のカプセル型内視鏡の構成を説明するための構成図である。
【図2】第1実施形態のカプセル型内視鏡外観図である。
【図3】第1実施形態のカプセル型内視鏡の構成を説明するための構成図である。
【図4】第1実施形態のカプセル型内視鏡の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図5】第1実施形態の変形例のカプセル型内視鏡の強度増幅部の構成を説明するための構成図である。
【図6】第2実施形態のカプセル型内視鏡の構成を説明するための構成図である。
【図7】第3実施形態のカプセル型内視鏡の構成を説明するための構成図である。
【図8】第4実施形態のカプセル型内視鏡の構成を説明するための構成図である。
【図9】第5実施形態のカプセル型内視鏡の構成を説明するための構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
以下、図を用いて、本発明の第1実施形態の生体情報取得装置であるカプセル型内視鏡(以下「カプセル」ともいう)10について説明する。
【0018】
図2に示すようにカプセル10は、細長いカプセル形状であり、撮像ユニット27Aおよび照明ユニット28Aが配設された端部は透明材料によって構成されたドーム形状であり、中央の円筒部および反対側のドーム形状の端部は遮光性材料によって構成されている。そして、中央の円筒部には電極20Aと電極20Bとが配設されている。
【0019】
カプセル10が体外にあるときには、電極20Aと電極20Bとは絶縁状態にあるが、カプセル10が体内にあるときには、体液、たとえば、胃液等により電極20Aと電極20Bとは導通状態となる。すなわち、カプセル10は、電極20Aと電極20Bとの間のインピーダンス(抵抗)を検知することにより、生体内の内部(体内)にあるかを検知する検知部20(図3参照)を有する。
【0020】
なお、図3に示すように、カプセル10と送信装置2とを有する生体観察システム1は、すでに説明した生体観察システム101と類似した構成を有するため、類似機能の構成要素の説明は省略する。また以下の図においては、受信装置等を図示していない場合がある。また、独立した構成要素として説明している構成要素が他の構成要素の一部であってもよいし、他の構成要素の一部として説明している構成要素が独立した構成要素であってもよい。
【0021】
カプセル10は、検知部20と、生体情報取得部26と、信号受信部である受信部11と、電源である電池19と、制御部21と、強度調整部14と、参照電圧発生部24と、電源スイッチ25と、を具備する。
【0022】
検知部20は、すでに説明したように電極20Aと電極20Bとを有し、カプセル10の被検体の体内への導入を検知すると検知信号S20を出力する。なお、図2に示した電極20Aおよび電極20Bは円筒部を取り囲む形状であるが、体内への導入によるインピーダンス変化を検知できる形状であれば、如何なる形状でもよい。さらに検知部20が、3個以上の電極を有し、いずれか2個の導通を検知してもよい。
【0023】
検知部20の検知方法は、温度センサ、光センサ、音センサ、pHセンサまたは体内伝達信号センサ等にもとづいていてもよい。たとえば、音センサは体内特有の心音を検出する。また体内伝達信号センサは、体外の高周波信号発生装置が発生し被検者の体表面に配設した体外電極を介して体内を伝達された信号を検出する。
【0024】
被検体の体内の情報を取得する生体情報取得部26は、照明ユニット28と、撮像ユニット27と、RFユニット29とを有する。照明ユニット28は体内臓器の壁面を照らす、たとえばLEDを有する。撮像ユニット27は体内臓器の壁面を撮像するCCDまたはCMOSイメージセンサなどの固体撮像素子を有する。RFユニット29は撮像ユニット27によって得られた映像情報を無線により体外へ無線送信する送信回路と送信アンテナとを有する。RFユニット29が送信した映像情報は、外部の受信装置(不図示)の外部メモリに蓄積される。
【0025】
詳細は図示しない信号受信部11は、受信センサ12と受信回路13とを有し、送信装置2からの制御信号である交流磁界信号を受電し、直流の内部信号S1を出力する。
【0026】
電池19は生体情報取得部26等の駆動に用いる電力を供給する電源である。なお、以下の図においては生体情報取得部26への電力供給線のみを図示しているが、他の構成要素にも電池19は電力を供給する。
【0027】
電源スイッチ25は、電池19から生体情報取得部26への電力供給をON/OFF制御する、たとえばPチャネル型FETからなる電力スイッチである。すなわち、ドレインが電池19に、ゲートが制御部21の出力に、ソースが生体情報取得部26に接続されている。電源スイッチ25は、内部信号S1の入力に応じて、トグル動作する
【0028】
強度調整部14は、切替スイッチ15、18と、増幅器16と、を有し、受信部11が出力した内部信号S1の強度を調整する。すなわち増幅器16は内部信号S1を増幅する。なお切替スイッチ15、18は、初期状態では、B−B側となっている。
【0029】
制御部21は、比較部23と、スイッチ制御部22とを有する。比較部23は、受信部11が出力し強度調整部14が調整した内部信号S3の強度(電圧)が、参照電圧発生部24が発生した所定の電圧信号の電圧VTよりも高いかどうかを判定する。そして判定結果にもとづき、スイッチ制御部22に対してトグル制御で状態の維持または反転を指示するスイッチ制御信号S2を出力する。
【0030】
そして、制御部21は、検知部20からの検知信号S20が入力されると、強度調整部14の切替スイッチ15、18を、A−A側に切り替える。
【0031】
すなわち、制御部21は、内部信号S3および検知信号S20に応じて、電池19から生体情報取得部26への電力をトグル制御する電力供給制御部であり、カプセル10の全体の制御も行う。
【0032】
制御部21は、検知信号S20が入力されると、強度調整部14が内部信号S1の強度を上げるように、制御する。すなわち、カプセル10は、生体内に導入されたことを検知部20が検知すると、内部信号S1の強度を上げる増幅器16により増幅された内部信号S3にもとづいてスイッチ制御信号S2が出力される。このため、カプセル10は、生体内にあるときには、生体外にあるときよりも、より弱い制御信号により起動する。
【0033】
言い換えれば、カプセル10は、生体外にあるときには、より強い制御信号を受信しなければ、起動しない。このため、生体外にあるときには、ノイズ信号が印加されても、起動しにくい。すなわち、カプセル10は、使用開始前の誤起動を防止し、電池の消耗を防ぐことができる。
【0034】
次に、図4を用いてカプセル10の動作について説明する。
<T0>初期状態
初期状態では、カプセル10は、体外に配置されており、電源スイッチ25が開状態になっている休止状態(OFF状態)である。
【0035】
すなわち、体内に配置されていないため、検知部20からの検知信号S20は出力されない。言い換えれば検知信号S20は、Lレベルである。
【0036】
このため、B−B側に接続された切替スイッチ15、18により、受信部11が出力した内部信号S1は、増幅されないで、そのままの強度で、強度調整部14から出力されている。
【0037】
比較部23において内部信号S3の電圧と参照電圧信号の電圧VTとが比較される。磁界信号が送信されていないため、内部信号S3は略0Vであり参照電圧信号VTよりも小さい。
【0038】
比較部23の比較結果にもとづき、スイッチ制御部22が出力するスイッチ制御信号S2は、Lレベルであるために、電源スイッチ25は開状態を維持する。すなわち、カプセル10は休止状態(OFF状態)を維持する。
【0039】
<T1>ノイズ信号入力
カプセル10の受信部11が強度M1のノイズ信号を受信した場合を想定する。受信部11は、強度M1のノイズ信号を受信すると、電圧V1の内部信号S1を出力する。ここで、切替スイッチ15、18はB-B側に接続され、受信部11が出力した内部信号S1が増幅されず電圧V1のまま、出力信号S3として強度調整部14から出力される。
【0040】
比較部23において内部信号S3の電圧V1と参照電圧信号の電圧VTとが比較される。ここで、V1<VTである。このため、スイッチ制御部22が出力するスイッチ制御信号S2はLレベルであるために、電源スイッチ25は開状態を維持する。すなわち、カプセル10は休止状態(OFF状態)を維持する。
【0041】
すなわち、カプセル10は、生体外にあるときには、参照電圧信号の電圧VTよりも小さい内部信号S1を発生するノイズ信号により誤動作し起動状態(ON状態)となることがない。
【0042】
<T2>制御信号入力
送信装置2から強度M2の制御信号を受信すると、受信部11は、電圧V2の内部信号S1を出力する。そして比較部23において内部信号S3の電圧V2と参照電圧信号の電圧VTが比較される。ここで、V2>VTである。このため、制御部21のスイッチ制御部22はHレベルのスイッチ制御信号S2を出力する。このため、電源スイッチ25は閉状態となるため、生体情報取得部26に電池19からの電力が供給され、カプセル10は起動状態(ON状態)となる。
【0043】
起動状態の生体情報取得部26は、所定の時間間隔で撮像を行い、撮像した画像を無線送信する。受信装置(不図示)によりRFユニット29が送信した画像信号を確認することにより、カプセル10が正常動作していることが確認される。
【0044】
<T3>制御信号入力
再度、送信装置2から強度M2の制御信号を受信すると、制御部21のスイッチ制御部22はHレベルのスイッチ制御信号S2を出力する。すると、電源スイッチ25は開状態となるため、カプセル10は、再び、休止状態(OFF状態)となる。すなわち、制御部21は内部信号S3が入力される度に、トグル動作する。
【0045】
<T4>体内導入
カプセル10が嚥下され、被検者の体内に導入される。すると、電極20Aと電極20Bとの間が胃液等により導通状態となることにより、検知部20は被検体の体内への導入を検知し、検知信号S20を出力する。言い換えれば、検知信号S20はLレベルからHレベルになる。制御部21は検知信号S20にもとづき、強度調整部14の切替スイッチ15、18をA−A側に切り替えるように制御する。
【0046】
すると、受信部11が出力した内部信号S1が増幅器16により増幅された内部信号S3が制御部21に入力されるようになる。なお、増幅器16の増幅率は使用(嚥下)前の条件および使用条件に応じて設定される。後述するように体内に導入されるとカプセル10と送信装置2との距離が遠くなり、かつ、送信経路に存在する生体組織により制御信号は減衰する。このため、送信装置2が発生する制御信号により生体内のカプセル10が制御可能な強度まで受信信号S1を増幅する増幅処理が少なくとも、必要である。
【0047】
<T5>制御信号入力
送信装置2から強度M3の制御信号を受信すると、受信部11は、電圧V3の内部信号S1を出力する。すなわち、生体内においてカプセル10が受信する制御信号の強度M3は、生体外で受信する制御信号の強度M2よりも小さい。さらに、ここでは、強度M3はノイズ信号の強度M1よりも小さい場合を想定する。すなわち、受信部11が出力する内部信号S1の電圧は、V2>V1>V3、である。
【0048】
しかし、強度調整部14の切替スイッチ15、18がA−A側に切り替えられているため、電圧V3の内部信号S1は増幅器16により増幅され、電圧はV4となる。すなわち、増幅器16の増幅率はV4/V3である。
【0049】
そして比較部23において内部信号S3の電圧V4と参照電圧信号の電圧VTが比較される。ここで、V4>VTである。このため、制御部21のスイッチ制御部22はHレベルのスイッチ制御信号S2を出力する。このため、電源スイッチ25は閉状態となるため、生体情報取得部26に電池19からの電力が供給され、カプセル10は起動状態となる。
【0050】
すなわち、カプセル10では、生体外では起動信号として機能しなかった強度M1のノイズ信号よりも、さらに小さい強度M3の制御信号であっても生体内では制御信号として機能する。このため、送信装置2が生体内のカプセル10を制御するために、送信する磁界信号の強度を大きくする必要がない。
【0051】
起動状態の生体情報取得部26は、所定の時間間隔で撮像を行い、画像信号を無線送信する。RFユニット29が送信した画像信号は、受信装置103により受信され、外部メモリに記憶される。
【0052】
<T6>制御信号入力
送信装置2から強度M3の制御信号を再度、受信すると、制御部21のスイッチ制御部22はHレベルのスイッチ制御信号S2を出力する。すると、電源スイッチ25は開状態となるため、カプセル10は、再び、休止状態となる。
【0053】
すなわち、体内にあるカプセル10も、制御信号によりON/OFF制御可能である。
【0054】
以上の説明のように、カプセル10は、体外に配置されている期間(T0〜T4)は、強度調整部14は内部信号S1を増幅しない経路(B−B)を選択しているので、電源スイッチ25の状態はノイズ信号の影響を受けにくい。一方、カプセル10は、体内に配置された後(T4〜)は、強度調整部14は内部信号S1を増幅する経路(A−A)を選択しているので、弱い制御信号でも電源スイッチ25を制御できる。すなわち、カプセル10は、誤起動/誤停止のおそれがなく、電池の消耗を防ぐことができる。
【0055】
<第1実施形態の変形例1〜4>
次に、本発明の第1実施形態の変形例1〜4のカプセル型内視鏡10A〜10Dについて説明する。カプセル型内視鏡10A〜10Dはカプセル型内視鏡10と類似しているため異なる点についてのみ説明する。
【0056】
図5(A)に示すように変形例1のカプセル型内視鏡10Aの強度調整部14Aは、第1の増幅器16Aと、増幅率が第1の増幅器16Aよりも大きい第2の増幅器16Bとを有し、切替スイッチ15、18により、内部信号S1の増幅率、すなわち出力する内部信号S3の強度を調整することができる。
【0057】
制御部21は、カプセル10Aが体外にあるときには、内部信号S1が第1の増幅器16Aにより増幅されるように制御し、体内にあるときには、第2の増幅器16Bにより増幅されるように制御する。
【0058】
たとえば、体外にあるときにも、受信部11が出力する内部信号S1の大きさが小さく、内部信号強度V2が、参照電圧信号の電圧VTよりも小さくなる場合であっても、内部信号S1を増幅することにより参照電圧信号の電圧VT以上とすることができる。
【0059】
なお、増幅器16Aの増幅率はノイズ信号による起動を防止するために必要最小限の値が適宜、設定される。
【0060】
本変形例のカプセル10Aは、カプセル10が有する効果を有し、さらに体外で受信部11が出力する内部信号S1の強度が小さい場合であっても確実にON/OFF制御が可能である。
【0061】
次に、図5(B)に示すように変形例2のカプセル型内視鏡10Bの強度調整部14Bは、減衰器17を有し、切替スイッチ15、18により、内部信号S1の強度を調整することができる。
【0062】
減衰器17の減衰率は、すでに説明した第1実施形態の増幅器16の増幅率等と同様に、使用条件に応じて設定される。
【0063】
制御部21は、カプセル10Bが体外にあるときには、内部信号S1が減衰器17により減衰されるように制御し、体内にあるときには、そのまま出力されるように制御する。このためノイズ信号により誤起動しにくい。
【0064】
本変形例のカプセル10Bは、カプセル10が有する効果を有し、さらに体外で受信部11が出力する内部信号S1の強度が大きい場合であっても誤起動しにくい。
【0065】
次に、図5(C)に示すように変形例3のカプセル型内視鏡10Cの強度調整部14Cは、第1の減衰器17Aと、減衰率が第1の減衰器17Aよりも小さい第2の減衰器17Bとを有し、切替スイッチ15、18により、内部信号S1の強度を調整することができる。
【0066】
制御部21は、カプセル10Cが体外にあるときには、内部信号S1が第1の減衰器17Aにより減衰されるように制御し、体内にあるときには、第2の減衰器17Bにより減衰されるように制御する。
【0067】
本変形例のカプセル10Cは、カプセル10が有する効果を有し、さらに受信部11が出力する内部信号S1の強度が大きい場合であっても誤起動しにくい。
【0068】
次に、図5(D)に示すように変形例4のカプセル型内視鏡10Dの強度調整部14Dは、減衰器17と、増幅器16とを有し、切替スイッチ15、18により、内部信号S1の強度を調整することができる。
【0069】
制御部21は、カプセル10Dが体外にあるときには、内部信号S1が減衰器17により減衰されるように制御し、体内にあるときには、増幅器16により増幅されるように制御する。
【0070】
本変形例のカプセル10Dは、カプセル10が有する効果を有し、さらに体外にあるとき受信部11が出力する内部信号の強度が大きく、体内にあるとき受信部11が出力する内部信号の強度が小さい場合であっても、誤動作なく、確実にON/OFF制御が可能である。
【0071】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態のカプセル型内視鏡10Eについて説明する。カプセル型内視鏡10Eはカプセル型内視鏡10と類似しているため異なる点についてのみ説明する。
【0072】
図6に示すようにカプセル型内視鏡10Eは、参照電圧部および比較部に替えて、電界効果トランジスタ(FET)33を有する。インバータ回路であるFET33は、G端子に入力される内部信号S3の電圧が所定の閾値よりも大きい場合に、S端子に入力されている電圧をD端子に出力する。すなわち、制御部21Eに出力する信号S4の電圧が、内部信号S3に応じて変化する。
【0073】
本実施形態のカプセル型内視鏡10Eは、カプセル型内視鏡10が有する効果を有し、さらに構成が簡単である。なお、カプセル型内視鏡10Eの構成をすでに説明したカプセル10A〜10Dに用いることもできる。
【0074】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態のカプセル型内視鏡10Fについて説明する。カプセル型内視鏡10Fはカプセル型内視鏡10と類似しているため異なる点についてのみ説明する。
【0075】
図7に示すようにカプセル型内視鏡10Fは、第1の参照電圧発生部24Aと、第2の参照電圧発生部24Bと、出力する参照電圧を切り替えるスイッチ24Cと、を有する感度調整部30を具備する。
【0076】
すでに説明したように、制御部は、所定の閾値を超える強度の内部信号に応じて、制御を行う。すなわち、所定の閾値である比較電圧と、内部信号と、を比較部23が比較して、その比較結果に応じて制御部は制御を行う。
【0077】
第1実施形態のカプセル型内視鏡10では、強度調整部14が内部信号S1の強度を調整(増減)していた。これに対して、本実施形態のカプセル型内視鏡10Fでは、感度調整部30が参照電圧を調整(増減)する。
【0078】
すなわち、第1の参照電圧発生部24Aが発生する第1の参照電圧VTAは、第2の参照電圧発生部24Bが発生する第2の参照電圧VTBよりも高い。そして、カプセル10Fが体外にあるとき(検知信号S20:Lレベル)には、感度調整部30から第1の参照電圧VTAが出力され、体内にあるとき(検知信号S20:Hレベル)には、第1の参照電圧VTAよりも低い第2の参照電圧VTBが出力されるように、制御部21Fが感度調整部30のスイッチ24Cを制御する。
【0079】
第1の参照電圧VTAおよび第2の参照電圧VTBは、すでに説明した第1実施形態の増幅器16の増幅率等と同様に、使用(嚥下)前の条件および使用条件に応じて設定される。
【0080】
本実施形態のカプセル10Fは、カプセル10と同じ効果を有する。
【0081】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態のカプセル型内視鏡10Gについて説明する。カプセル型内視鏡10Gはカプセル型内視鏡10と類似しているため異なる点についてのみ説明する。
【0082】
図8に示すようにカプセル型内視鏡10Gは、信号受信部11Gが、外部からの第1の制御信号を受信し第1の内部信号S11Aを出力する第1の信号受信部11Aと、外部からの第2の制御信号を受信し第2の内部信号S11Bを出力する第2の信号受信部11Bと、第1の内部信号S11Aまたは第2の内部信号S11Bを内部信号S1として選択するスイッチ31と、を有する。なお、第1の信号受信部11Aは第1の受信センサ12Aと第1の受信回路13Aとを有し、第2の信号受信部11Bは第2の受信センサ12Bと第2の受信回路13Bとを有する。
【0083】
たとえば、第2の受信センサ12Bの磁界検知用コイルの巻回数が、第1の受信センサ12Aの巻回数よりも多い。このため、同強度の信号を受信しても、第2の信号受信部11Bは第1の信号受信部11Aよりも、強い内部信号を出力する。
【0084】
そして、制御部21Gは、検知部20の検知信号S20に応じてスイッチ31を制御する。すなわち、体外にある場合には第1の内部信号S11Aを、体内にある場合には第2の内部信号S11Bが内部信号S1として比較部23に入力される。
【0085】
比較部23は、スイッチ31によって選択された内部信号S1(第1の内部信号S11Aまたは第2の内部信号S11B)と、参照電圧VTとを比較する。
【0086】
すなわち、カプセル型内視鏡10Gは、体外にあるとき(検知信号S20:Lレベル)には、小さい内部信号S11Aを出力する第1の信号受信部11Aを用い、体内に導入される(検知信号S20:Hレベル)と、強い内部信号S11Bを出力する第2の信号受信部11Bを用いる。
【0087】
このため、複数の信号受信部を有する本実施形態のカプセル10Gは、カプセル10と同じ効果を有する。
【0088】
なお、カプセル10Gの変形例では、受信部11Gの第1の信号受信部11Aと第2の信号受信部11Bが受信する制御信号が異なる物理エネルギーであってもよい。たとえば体外にあるときに第1の信号受信部11Aが受信する制御信号が光信号であり、体内にあるときに第2の信号受信部11Bが受信する制御信号が磁界信号であってもよい。
【0089】
それぞれが異なる信号を受信する複数の信号受信部を有する変形例のカプセルは、カプセル10Gと同じ効果を有し、さらに誤動作しにくい。
【0090】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態のカプセル型内視鏡10Hについて説明する。カプセル型内視鏡10Hはカプセル型内視鏡10Gと類似しているため異なる点についてのみ説明する。
【0091】
図9に示すように、カプセル型内視鏡10Hは、制御部21Hが第1の内部信号S11Aおよび第2の内部信号S11Bにもとづき、内部信号S2を生成する演算部32を有する。
【0092】
演算部32は、検知信号S20が入力されない場合には、第1の内部信号S11Aと第2の内部信号S11Bの両方の信号が同時に入力されると、内部信号S2の出力を制御する。一方、演算部32は、検知信号S20が入力された場合には、第1の内部信号S11Aまたは第2の内部信号S11Bの少なくともいずれかの信号が入力されると、制御部21Hが内部信号S2の出力を制御する。
【0093】
言い換えれば、演算部32は、体外にあるときには2つの内部信号S11A、S11Bの論理積により内部信号S2の出力を制御し、体内にあるときには2つの内部信号S11A、S11Bの論理和により内部信号S2の出力を制御する。
【0094】
そして、受信部11Hの第1の信号受信部11Aと第2の信号受信部11Bとは、それぞれの制御信号の検出方向が直交している。すなわち、それぞれの磁界検知用コイルの磁界検出方向が直交している。
【0095】
たとえば、検知信号S20が入力されない場合には、第1の内部信号S11Aと第2の内部信号S11Bが受信した信号の強度がともに参照電圧信号の電圧VTを超えたときに、スイッチ制御信号S2がトグル動作する。すなわち、2方向から制御信号が印加されないと、スイッチ25の動作状態は変化しない。
【0096】
一方、検知信号S20が入力された場合には、第1の内部信号S11Aの強度と第2の内部信号S11Bの強度の少なくともどちらか一方が、参照電圧信号の電圧VTを超えたときにスイッチ制御信号S2はトグル動作する。
【0097】
カプセル10Hは、体内での姿勢がどのようになっているか判断できない。しかし、2方向からの制御信号を効率的に受信できるため、カプセル10Hは体内にあっても制御が容易である。また、第1の内部信号S11Aまたは第2の内部信号S11Bのうち大きい信号を制御に用いてもよいし、第1の内部信号S11Aと第2の内部信号S11Bとを加算した合成信号を制御に用いてもよい。
【0098】
本実施形態のカプセル10Hは、カプセル10Gと同じ効果を有し、さらに、より確実に誤起動を防止し、電池の消耗を防ぐことができる。
【0099】
また、カプセル10Hの変形例1では、カプセル型内視鏡10Hの制御部21Hは、検知信号S20が入力されない場合には第1の内部信号S11Aのみに応じて、検知信号が入力された場合には第1の内部信号S11Aまたは第2の内部信号S11Bの少なくともいずれかの信号に応じて、制御部21Hが内部信号S2の出力を制御してもよい。
【0100】
なお、カプセル10Hの変形例2では、第1の信号受信部11Aと第2の信号受信部11Bの磁界検出方向と、直交する方向の磁界を効率的に受電する第3の信号受信部をさらに有し、体外では第1の内部信号のみに応じて、体内では、いずれか1つの内部信号または3つの内部信号の合成信号に応じて、制御部が制御を行ってもよい。
【0101】
さらに、カプセル10Hの変形例3では、第1の信号受信部11Aと第2の信号受信部11Bが受信する制御信号が異なる物理エネルギーであってもよい。
【0102】
なお、カプセル10Hの変形例では、第1の信号受信部11Aと第2の信号受信部11Bと、直交する方向の磁界を効率的に受電する第3の信号受信部をさらに有し、体外では第1の内部信号のみに応じて、体内では、いずれか1つの内部信号または3つの内部信号の合成信号に応じて、制御部が制御を行ってもよい。
さらに、カプセル10Gの変形例では、第1の信号受信部11Aと第2の信号受信部11Bが受信する制御信号が異なる物理エネルギーであってもよい。
【0103】
上記説明は、生体情報取得装置としてカプセル型内視鏡を例に説明したが、本発明の生体情報取得システムは、消化器液採取用カプセル型医療装置、カプセル型pHセンサ、またはカプセル型温度センサのような各種カプセル型生体情報取得装置に適用できる。
【0104】
本発明は、上述した実施形態または変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、実施形態または変形例の組み合わせ、種々の変更、改変等ができる。
【符号の説明】
【0105】
1…生体観察システム、2…送信装置、10…カプセル型内視鏡、11…信号受信部、12…受信センサ、13…受信回路、14…強度調整部、15…切替スイッチ、16…増幅器、17…減衰器、18…切替スイッチ、19…電池、20…検知部、20A、20B…電極、21…制御部、22…スイッチ制御部、23…比較部、24…参照電圧発生部、24C…スイッチ、25…電源スイッチ、26…生体情報取得部、27…撮像ユニット、28…照明ユニット、29…RFユニット、30…感度調整部、31…スイッチ、32…演算部、33…電界効果トランジスタ、101…生体観察システム、102…送信装置、102A…電源、102B…駆動部、102C…送信部、103…受信装置、103A…外部メモリ、103B…画像受信部、103C…アンテナユニット、110…カプセル型内視鏡、111…受信部、112…受信センサ、112A…磁界検知用コイル、112B…共振用コンデンサ、113…受信回路、113A…ダイオード、113B…コンデンサ、113C…抵抗、119…電池、121…制御部、122…分周回路、125…スイッチ、126…生体情報取得部、127…撮像ユニット、128…照明ユニット、129…RFユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の体内の情報を取得する生体情報取得部と、
電力を供給する電源と、
前記被検体の体内への導入を検知すると検知信号を出力する検知部と、
外部からの制御信号を受信し内部信号を出力する信号受信部と、
前記内部信号および前記検知信号に応じて、前記電源から前記生体情報取得部への電力供給を制御する制御部と、を具備することを特徴とする生体情報取得装置。
【請求項2】
前記内部信号の強度を調整する強度調整部を具備し、
前記制御部が、前記検知信号に応じて前記強度調整部を制御することを特徴とする請求項1に記載の生体情報取得装置。
【請求項3】
前記検知信号が入力されると、前記強度調整部が前記内部信号の強度を上げるように、前記制御部が制御することを特徴とする請求項2に記載の生体情報取得装置。
【請求項4】
前記強度調整部が、前記内部信号の強度を上げる増幅部を有することを特徴とする請求項3に記載の生体情報取得装置。
【請求項5】
前記強度調整部が、前記内部信号の強度を下げる減衰部を有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の生体情報取得装置。
【請求項6】
前記制御部が、所定の閾値を超える強度の前記内部信号に応じて、制御を行い、
前記検知信号に応じて、前記所定の閾値を増減する感度調整部を、具備することを特徴とする請求項1に記載の生体情報取得装置。
【請求項7】
前記検知信号が入力されると、前記感度調整部が前記所定の閾値を減ずるように、前記制御部が制御することを特徴とする請求項6に記載の生体情報取得装置。
【請求項8】
前記信号受信部が、外部からの第1の制御信号を受信し第1の内部信号を出力する第1の信号受信部と、外部からの第2の制御信号を受信し第2の内部信号を出力する第2の信号受信部と、を有し、
前記検知信号と、前記第1の内部信号または前記第2の内部信号の少なくともいずれかと、に応じて、前記制御部が制御することを特徴とする請求項1に記載の生体情報取得装置。
【請求項9】
前記検知信号にもとづき選択する、前記第1の内部信号または前記第2の内部信号、に応じて、前記制御部が制御することを特徴とする請求項8に記載の生体情報取得装置。
【請求項10】
前記検知信号が入力されない場合には、前記第1の内部信号のみに応じて、
前記検知信号が入力された場合には、前記第1の内部信号または前記第2の内部信号に応じて、前記制御部が制御することを特徴とする請求項8に記載の生体情報取得装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−81016(P2012−81016A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228972(P2010−228972)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】