説明

生活モニター用親子電気ポット

【課題】 マイコン制御基板の電源回路と情報の送受信回路側とを、所定のアイソレーション手段を介してアイソレーションすることにより、絶縁トランスを使用することなく、ノイズ対策を可能とした生活モニター用親子電気ポットを提供することを目的とする。
【解決手段】 電気ポット制御回路と電気ポット使用情報の送信および受信回路とを各々備え、離隔地間で個別に使用される少なくとも2台の電気ポットを、所定の通信手段を介して相互に情報の送受ができるように接続可能とした生活モニター用親子電気ポットにおいて、各電気ポットの上記電気ポット使用情報の送信および受信回路の動作電源を上記電気ポット制御回路の動作電源と共用化する一方、所定のアイソレーション手段を介して上記電気ポット制御回路側から使用情報データを入力するようにした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、生活情報を伝えることができる生活情報通信機能を備えた生活モニター用親子電気ポットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近では、核家族化傾向の中にあって高齢化社会を迎え、独り暮らしの老人や障害者の安否の確認対策が社会的にも問題とされている。
【0003】このような問題に対応する見地から、家庭内の所定の電気製品、例えば朝・昼・晩と日常的に使用するのが一般的な電気ポットの給湯スイッチのオンオフ操作の情報を、ワイヤレス式の信号搬送路または家庭内電灯線を利用して家庭内に配置した操作情報集中管理装置に送信し、この操作情報集中管理装置から公衆電話回線を介して家庭外の契約診療所等に設置したパソコン等のモニター装置に送信し、当該電気ポットの使用状況等によって独り暮らしの老人や身体障害者の安否等生活状況を監視できるようにした生活モニターシステムが提案されている。
【0004】しかし、該モニターシステムの場合、単に電気ポットの給湯スイッチのON,OFF信号を無線又は有線の送信手段を介して一旦家庭内の集中管理装置に送って記録し、それを所定の診療所等のパソコンと結んでモニターするという複雑かつ高コストなシステムとなっており、例えば親と子供などのプライベートな関係での簡便かつ低コストな相互モニターシステムとしては適さない。
【0005】そこで本件出願人は、電話回線を仲介手段として存在場所の異なる複数の電気ポット相互を接続可能とし、相手側ポットからの呼出信号に応じて給湯スイッチのON,OFFデータを返信して表示部に表示し得るように構成することによって、何等第三者的な施設や情報管理装置を介することなく、ダイレクトに、かつリアルタイムで、親と子が各々保有する電気ポット同士でのパーソナルな情報の伝達を可能とした親子ポット型生活モニターシステムを提案した。
【0006】このようなモニターシステムによれば、給湯スイッチのON,OFF信号を無線又は有線の送信手段を介して一旦家庭内の集中管理装置に送って記録し、それを所定の診療所等のパソコンと結んでモニターするという複雑かつ高コストなシステムを必要としないため、例えば親と子供などのプライベートな関係での簡便かつ低コストな相互モニターシステムとして適したものとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のように電気ポット自体に外部との情報の送信又は受信機能を持たせた場合、次のような問題がある。
【0008】すなわち、一般にヒータ制御回路等電気ポット制御回路のマイコン制御基板における動作用電源回路は、製品コストの面から、絶縁トランスを用いることなく商用電源と接続されている。
【0009】そのために、そのままではノイズが入りやすく、情報の送信又は受信回路の電源としては使用することができない。
【0010】本願発明は、マイコン制御基板の電源回路側と情報の送信又は受信回路側とを、所定のアイソレーション手段を介してアイソレーションすることにより、高価な絶縁トランスを使用することなく、ノイズ対策を可能とした生活モニター用親子電気ポットを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本願発明は、該目的を達成するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0012】(1) 請求項1の発明この発明の生活モニター用親子電気ポットは、電気ポット制御回路と電気ポット使用情報の送信又は受信回路とを各々備え、離隔地間で個別に使用される少なくとも2台の電気ポットを、所定の通信手段を介して相互に情報の送信又は受信ができるように接続可能とした生活モニター用親子電気ポットにおいて、各電気ポットの上記電気ポット使用情報の送信又は受信回路の動作電源を上記電気ポット制御回路の動作電源と共用化する一方、所定のアイソレーション手段を介して上記電気ポット制御回路側から使用情報データを入力するようにしたことを特徴とするものである。
【0013】この発明の構成では、各電気ポットの上記電気ポット使用情報の送信又は受信回路の動作電源を、上記電気ポット制御回路の動作電源と共用化する一方、所定のアイソレーション手段を介して上記電気ポット制御回路側から電気ポットの使用情報データを入力するようにしているので、商用電源との間に絶縁トランスを設けなくてもノイズ等の影響を防止することができるようになる。
【0014】(2) 請求項2の発明この発明の生活モニター用親子電気ポットは、上記請求項1記載の発明の構成において、上記アイソレーション手段が、フォトカプラにより構成されていることを特徴とするものである。
【0015】フォトカプラは、一般に発光ダイオードとフォトダイオード、フォトトランジスタ等とを組合わせたものよりなり、入出力信号相互の応答性、整合性が良好であり、空間を介した完全なアイソレーション状態で電気ポット制御回路と電気ポット使用情報送受信回路との2つの回路を相互に接続することができる。しかも、構造は簡単で、安価である。
【0016】したがって、高価な絶縁トランスを設けるまでもなく、電源を共用しながら、ノイズのない安定した電気ポット使用情報の送信又は受信を行うことが可能となる。
【0017】(3) 請求項3の発明この発明の生活モニター用親子電気ポットは、上記請求項1又は2記載の発明の構成において、電気ポット本体の電気ポット制御回路側への電源の供給と電気ポット使用情報の送信又は受信回路側への電気ポット使用情報の送信又は受信とを3線式の電源コードを利用して行うようにしたことを特徴としている。
【0018】したがって、該構成では、特別な送信用伝送線又は受信用伝送線等を必要とすることなく、電気ポット使用情報の送受信が可能となる。
【0019】
【発明の効果】以上の結果、本願発明の生活モニター用親子電気ポットによると、簡単かつ低コストな構成で、安定した電気ポット使用情報の送信又は受信機能を付加することができるようになる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1〜図10は、本願発明の実施の形態に係る生活モニター用親子電気ポットの構成を示している。
【0021】先ず図1は、例えば所定の公衆電話回線(NTT他)を仲介手段として存在場所の異なる離隔地間の複数の電気ポット同士を相互に接続可能とし、相手側電気ポットからの呼出信号に応じて例えば給湯スイッチのON,OFF信号データを返信して当該電気ポットの操作パネル面の所定の表示部に任意に表示し得るように構成することによって、何等第三者的な施設や情報管理装置等を介することなく、ダイレクトに、かつリアルタイムで、例えば親と子、兄弟同士等が各々保有する電気ポット同士でのパーソナルな情報の伝達を可能とした親子ポット型の生活モニターシステムを示している。
【0022】該生活モニターシステムは、例えば親器としての第1の電気ポット1Aと子器としての第2の電気ポット1Bとの少なくとも2組の電気ポット1A,1Bの各々に対してそれぞれ電源ライン(商用電源のアース線に対する電源線)21aおよび通信ライン(信号伝送用の伝送線)21b、アースライン(中性線)21c(図2参照)を備えた3線式の電源コード21を利用して通信アダプタ16を別体に設け、それらを公衆電話回線(携帯電話回線)を介して相互に電気ポット使用情報(給湯キースイッチの所定時間前の過去から現在までのON,OFF経歴等)を送受信できるように接続して構成されている。そのために、上記通信アダプタ16には、充電器を兼ねた携帯電話器接続用アダプター19が、通信コード18を介して設けられている。また、上記3線式の電源コード21内の電源ライン21aおよびアースライン21cは、通信アダプタ16以降2線式の電源コード22(電源ライン22a、アースライン22b)として上記通信アダプタ16から引き出され、その先端にはAC電源コンセントへの電源プラグ17が接続されている。なお、上記通信ライン21bも信号電源のラインであり、一種の電源ラインであるから、上記3線式の電源コード21は、結局のところ2本の電源ラインと1本のアース線(中性線)よりなっていることになる。
【0023】他方、上記3線式の電源コード21の基端側には、左右にマグネットキャッチ14a,14bを有した図3に示すような3プラグ端子構造のマグネットプラグ13が設けられている。
【0024】該マグネットプラグ13の電源ライン・プラグ端子15aは、上記電源ライン21aに、同通信ライン・プラグ端子15bは、上記通信ライン21bに、同アースライン・プラグ端子15cは、上記アースライン21cに、各々接続されている。
【0025】そして、図2から明らかなように、上記電気ポット本体側マグネットソケット12にも、それに対応した3端子、3線構造(電源ライン端子11a,電源ライン51a、通信ライン端子11b,通信ライン51b、アースライン端子11c,アースライン51c)が採用されている。
【0026】そして、それらマグネットプラグ13とマグネットソケット12とが、例えば図2のように相互に結合接続されることにより、後に述べる電気ポット本体側制御基板のヒータ制御回路(電気ポット制御回路)42側通信用マイコンと通信アダプタ16側制御基板のシリアルデータ送受信回路25の通信用マイコンとの間での電気ポット使用情報(シリアルデータ信号)の伝送(送信又は受信)が可能となるようになっている。
【0027】一方、該システムにおける上記第1,第2の電気ポット1A,1B各々の電気ポット本体内制御基板部分には、例えば図2に示すように、図示しないヒータに電源を供給してヒータを駆動するヒータ駆動部40、該ヒータ駆動部40のヒータ駆動状態を制御するヒータ制御回路42、該ヒータ制御回路42に動作電源を供給する電源回路41が設けられている。また上記ヒータ制御回路42には、さらに上記ヒータ駆動部40のヒータ駆動状態を制御する湯沸し・保温制御機能とともに、通信アダプタ16側のシリアルデータ送受信回路25との間で電気ポット使用情報の伝送を行う通信用機能を備えた電気ポット制御用マイコンが設けられている。また、同制御基板には、上記ヒータ制御回路(電気ポット制御回路)42の通信機能に対応して、第1の発光ダイオード43および第1のフォトトライアック44よりなる第1のフォトトライアックカプラ、第1の双方向発光ダイオード46および第1のフォトトランジスタ45よりなる第1の双方向フォトカプラ、第1のフォトトライアック44および第1の双方向発光ダイオード46との間に直列に挿入され、その中点(分圧点)P1に上記電気ポット本体側通信ライン51bが設けられた抵抗R3,R4よりなる電気ポット本体側第1の伝送信号入出力回路が各々設けられている。また、他方通信アダプタ16側制御基板には、商用電源電圧を降圧して上記シリアルデータ送受信回路25に供給する電源トランス24、相手側電気ポット1B(A)との間で電気ポットの使用情報であるシリアルデータの送信又は受信を行う通信用マイコン、送受信用モデム等を備えてなるシリアルデータ送受信回路(電気ポット使用情報の送信又は受信回路)25、第2の発光ダイオード26および第2のフォトトライアック27よりなる第2のフォトトライアックカプラ、第2の双方向発光ダイオード29および第2のフォトトランジスタ28よりなる第2の双方向フォトカプラ、第2のフォトトライアック27および第2の双方向発光ダイオード29との間に直列に挿入され、その中点(分圧点)P2に上記3線式電源コード21の通信ライン21bが設けられた抵抗R1,R2よりなる第2の伝送信号入出力回路が各々設けられている。そして、上記電気ポット本体側ヒータ制御回路42の電気ポット制御用マイコンには、後述する給湯キー51、給湯ロック解除キー52、保温選択キー53、再沸とう/選択キー54、通信確認キー55各々のON,OFF信号、またA/D変換器を介したサーミスタ等温度センサの出力信号等がそれぞれ入力されるようになっている。
【0028】そして、電気ポット制御用マイコンは、それら各入力信号を基にして、例えばヒータの出力を湯沸し又は保温に適した大きさに適切に制御する。
【0029】他方、上記ヒータ制御回路42中の上記電気ポット制御用マイコンに入力された上記各種の入力信号の内の特に上記給湯キー51および通信確認キー55のON信号は、さらに当該マイコン中の所定のデータ処理回路において、例えば図4に示すように商用電源信号の周波数を所定の信号でサンプリングすることによって、上記給湯キー51のON,OFF信号等電気ポット使用情報を示す「101100」等所定ビット数のシリアルデータ信号(デジタルデータ信号)を形成し、それに基いて上記第1のフォトトライアックカプラ(43,44)を作動させ、第1の伝送信号入出力回路(R3,R4)の中点P1から同シリアルデータを出力する。そして、その後、上記通信ライン51b、上記3線式の電源コード21の通信ライン21bを介して、上記第2の双方向フォトカプラ(29,28)を作動させ、対応するシリアルデータを上記通信アダプタ16側の送受信モデムとしてのシリアルデータ送受信回路25の通信用マイコンに入力する。そして、同入力されたシリアルデータは、所定の情報内容毎にパケット化され、当該シリアルデータ送受信回路25の通信用マイコンから携帯電話器20接続用アダプター19に供給され、その後、携帯電話器20から携帯電話回線を介して相手側電気ポット1B(1A)の同様の携帯電話器20、シリアルデータ送受信回路25の通信用マイコンに送信されて受信される。そして、該受信されたデータは、今述べて来たのと逆の順序で第2のフォトトライアックカプラ(26,27)、第2の伝送信号入出力回路(R1,R2)、通信ライン21bを介して、同相手側電気ポット1A(1B)本体側制御基板の通信ライン51b、第1の伝送信号入出力回路(R3,R4)、第1の双方向フォトカプラ(46,45)を経て同相手側電気ポット本体のヒータ制御回路42の電気ポット制御用マイコンに入力されてパケット毎に識別されて所定のメモリ手段にメモリされる。
【0030】なお、該メモリされるデータは、上述の各給湯キー51の操作状態から判定される後述のような相手側電気ポット1B(1A)の使用情報となっている(図6〜図10参照)。
【0031】ところで、一般に上記のような電気ポットのマイコン制御基板における動作用電源回路は、製品コストの面から、絶縁トランスを用いることなく商用電源と接続されている。
【0032】そのために、そのままではノイズが入りやすく、誤動作の恐れがあるため、情報の送信又は受信回路の電源としては使用することができない問題がある。
【0033】このため、この実施の形態の構成では、電気ポット1A,1Bの電気ポット使用情報の送信および受信回路の動作電源を、ヒータ駆動部40およびヒータ制御回路42の動作電源と共用化する一方、上述のように、第1のフォトトライアックカプラ43,44、第2のフォトトライアックカプラ26,27、第1の双方向フォトカプラ46,45、第2の双方向フォトカプラ29,28よりなる光学的なアイソレーション手段を介して確実に上記電気ポット本体側ヒータ制御回路42側からの電気ポットの使用情報データ(給湯スイッチON,OFFデータ)を入力して送信し、又逆に受信するようにしている。従って、商用電源との間に絶縁トランスを設けなくてもノイズ等の影響を防止することができるようになる。
【0034】そして、一般に上記のような光結合手段であるフォトカプラは、入出力相互の応答性、整合性が良好であり、空間を介した完全なアイソレーション状態で確実にヒータ制御回路42側とシリアルデータ送受信回路25側との2つの回路を相互に接続することができる。しかも、構造は簡単で、安価である。
【0035】したがって、高価な絶縁トランスを設けるまでもなく、電源を共用しながら、ノイズのない安定した電気ポット使用情報の送信又は受信を行うことが可能となる。
【0036】一方、この実施の形態の場合には、親器側電気ポット1Aと子器側電気ポット1Bとが各々同様の通信および表示機能を有して相互に相手側の電気ポット使用情報を得られるようにすることを前提として構成されているので、上記第1,第2の電気ポット1A,1B本体は、それぞれ図1から理解されるように全く同様の構成のものに構成されている。
【0037】すなわち、図1中、符号2は当該電気ポット1A,1Bの有底筒状の本体ケース(外装ケース)であり、該本体ケース2内には底部側に電気ヒータ、側部側に断熱部をそれぞれ介して所定量の水(湯)が収納保温される細首形の開口部を有した有底筒状の内容器が設けられている。
【0038】この本体ケース2は、その前面部2a側が左右両側面部間に亘って内側に凹んだ逆円弧面形状に形成されていて、その右側部に上下方向に延びた水量表示部(透明窓)4が設けられている。また、上記本体ケース2の上端部側には、その開口部全周方向に亘ってフレーム構造の肩部2bが延設され、同本体ケース2の上端部側肩部2bの左右両側面部中央部位置には、把手26が設けられている一方、同上端部側肩部2b後部の中央位置には後述する蓋体3側のヒンジ軸係合用のヒンジ軸係合部が少し突出した状態で設けられている。
【0039】また、同本体ケース2上端部の前部中央には、上記肩部2bとともに上記本体ケース2上端部の一部が略一体状態で前方に向けて縁部状に延設されて、くちばし部11を形成しており、該くちばし部11の下面側には、上記内容器の底部から前面側に延設され、上記本体ケース2の左側部と内容器との間の隙間を上昇して、所定寸法前方側くちばし部11に延設された後に下方に延びる注水通路(注水パイプ)先端の注水口10が設けられている。
【0040】上記注水通路の注水パイプ部は、例えば透明材よりなり上記水量表示部4の内側に対応せしめて上下方向に配設されている。
【0041】他方、符号3は外カバー3aと内カバー(図示省略)との間に断熱空間部を形成するとともに最下面側に放熱板(図示省略)を設けて構成された蓋体である。該蓋体3は上記本体ケース2の上端部側開口部に冠合されるように設けられ、上述した内容器の開口部を液密構造で開閉自在に覆うようになっている。該蓋体3は、その上面側前部にロック解除レバー5、後部側に蒸気口7が各々設けられている。そして、その後端部側中央の下端には、上記本体ケース2のヒンジ軸係合部に着脱自在に係合するヒンジ軸が設けられており、該ヒンジ軸を上記本体ケース2側のヒンジ軸係合部に相対回転可能に係合することによって、蓋体3が、その前部側を上下方向に開閉するようになっている。一方、閉成時には上記ロック解除レバー5によりロック解除されるロック機構が、上記本体ケース2側係合部材に係合してロックされるようになっている。
【0042】ところで、該蓋体3の前端側上面部には、例えば図5に示すように、給湯キー51、給湯ロック解除キー52、保温選択キー53、再沸とう/選択キー54、通信確認キー55、ロック/アンロック表示部59等を備えた操作キー設置面部31aと、液晶ディスプレイ60、沸とう表示部57、保温表示部58を備えた情報表示面部31bとからなる操作パネル31が設けられている。上記通信確認キー55には、例えば当該通信確認キー55に近接する形で通信確認表示部(緑・オレンジ・赤の3色に点灯するLED)56が設けられており、通常の状態では通信確認キー55が押された時に所定の色に点灯して同操作状態を表示する。また、ロック解除キー52は、1回目のON操作状態でロック/アンロック表示部59に「出る」旨の点灯表示(例えば緑色)を行ない、給湯キー51のON操作による給湯(給湯ポンプの駆動)を可能とする一方、該給湯可能状態から、もう1回ON操作されるか、又は所定時間以上給湯キー51がON操作されなかった場合には、上記「出る」旨の表示を消して元の給湯ロック状態に戻る。
【0043】上記操作パネル31の裏側には電気部品収納筺体65が設けられており、その中には上述した各種操作キー51,52,53,54,55に対応したキースイッチ部(SW1〜SW5)、表示部56,57,58,59に対応したLED57a・・・、液晶ディスプレイ60の本体部60A等を装備した操作基板70、上記ヒータ制御回路42を装備した制御基板71が設けられている。
【0044】一方、上記液晶ディスプレイ60の表示画面には、図5から理解されるように、その時の条件に応じ、■沸とう、■保温、■保温温度、■保温温度設定マーク(3つの三角マーク)、■通信メモリー番号(1,2,3)、■給湯サインマーク(コーヒーカップマーク)、■交信時刻又は経過時間(188時・間・分)・・・・等の表示が選択的に表示されるようになっている。
【0045】この場合、例えば第1の電気ポット1Aの保温動作(保温設定温度90℃)中において上記通信確認キー55が1回ON操作されると(第1の操作状態)、例えば図6のように、上記液晶ディスプレイ60の表示画面中に、相手側電気ポット1Bで最直近の6時間前に給湯操作がなされたことを、図4の通信回線を介して入手して、通信メモリー番号「1」とともに「コーヒーカップマーク」および「6時間」のキャラクタ表示で示す一方、上記表示部56を緑色に連続点灯させて、第2の電気ポット1Bの使用者が無事に生活していることを第1の電気ポット1Aの使用者に認識させる。
【0046】次に、上記図6の第1の電気ポット1Aの保温温度90℃の保温中において、上記通信確認キー55が更に1回ON操作されて、合計2回連続してON操作されると(第2の操作状態)、例えば図7に示されるように、上記液晶ディスプレイ60の表示画面中には、通信メモリー番号「2」とともに「コーヒーカップマーク」および「21時間」を表して、少なくとも直近の21時間前に給湯操作が行われたことを認識させるとともに通信確認表示部56をそのまま緑色の点灯状態に維持する。
【0047】次に、上記同様の第1の電気ポット1Aの保温温度90℃での保温中において、上記の2つの場合とは異なり、上記通信確認キー55が1回もON操作されなかったとしても(第3の操作状態)、上記第2の電気ポット1Bが例えば24時間の間全然操作されなかった場合には、例えば図8に示されるように、上記液晶ディスプレイ60の表示画面には、保温温度の文字と90の数字のみを表わす一方、通信確認表示部56をオレンジ色に点灯させることによって、第2の電気ポット1Bが少なくとも24時間内使用されていないことを認識させ、注意をうながす。
【0048】次に、上記第1の電気ポット1Aの保温温度90℃の保温中において、上記第3の操作状態の場合と同じく、上記通信確認キー55が1回もON操作されなかったとしても、上記第2の電気ポット1Bが24時間を大きく超える36時間の間全然操作されなかった場合には(第4の操作状態)、例えば図9に示されるように、上記液晶ディスプレイ60の表示画面には、保温温度の文字と90の数字のみを表わす一方、通信確認表示部56を赤色に点滅(フラッシュ)させることによって、第2の電気ポット1Bが少なくとも36時間(1日半)もの長時間内使用されていないことを認識させ、電話又は訪問等の安否確認行動をとらせる。
【0049】次に、上記第1の電気ポット1Aの保温温度90℃の保温中において、上記第1の操作状態の時と同じく上記通信確認キー55が1回ON操作された後、続いて再沸とうキー54がON操作されたとすると(第5の操作状態)、例えば図10に示されるように、上記液晶ディスプレイ60の表示画面には、「コーヒーカップマーク」および「24時間」を表して、相手側第2の電気ポット1Bを注意表示の経過時間設定モードとし、保温・選択キー53でタイムアップ、ロック解除キー52でタイムダウンを行うようにするとともに通信確認表示部56をオレンジ色の呼びかけ点灯状態に維持する。
【0050】以上のように、この発明の実施の形態の生活モニター用親子電気ポットでは、ヒータおよびヒータ制御回路(電気ポット制御回路)と電気ポット使用情報の送信および受信回路とを各々備え、離隔地間で個別に使用される少なくとも2台の電気ポットを、所定の通信手段を介して相互に情報の送受ができるように接続可能とした生活モニター用親子電気ポットにおいて、各電気ポットは、通信確認キーを備え、該通信確認キーが操作されると、当該電気ポット本来の情報に変えて相手側電気ポットの使用情報が表示されるように構成されている。
【0051】したがって、同構成では、該通信確認キーが押された時には、その電気ポット本来の操作設定情報等の表示に変えて相手側電気ポットの使用情報が表示されるようになり、別に新たな表示部を設けることなく、相手側電気ポットの使用情報を有効に表示できるようになる。
【0052】また、この発明の実施の形態の生活モニター用親子電気ポットは、そのようにヒータおよびヒータ制御回路と電気ポット使用情報の送信および受信回路とを各々備え、離隔地間で個別に使用される少なくとも2台の電気ポットを、所定の通信手段を介して相互に情報の送受ができるように接続可能とした生活モニター用親子電気ポットにおいて、特に各電気ポットの上記電気ポット使用情報の送信および受信回路の動作電源を上記ヒータおよびヒータ制御回路の動作電源と共用化する一方、所定のアイソレーション手段を介して上記ヒータ制御回路側から使用情報データを入力するようにしている。
【0053】このように、各電気ポットの上記電気ポット使用情報の送信および受信回路の動作電源を、上記ヒータおよびヒータ制御回路の動作電源と共用化する一方、所定のアイソレーション手段を介して上記ヒータ制御回路側から電気ポットの使用情報データを入力するようにすると、商用電源との間に絶縁トランスを設けなくてもノイズ等の影響を防止することができるようになる。
【0054】そして、この発明の実施の形態の生活モニター用親子電気ポットは、上記アイソレーション手段が、フォトカプラにより構成されている。
【0055】フォトカプラは、一般に発光ダイオードとフォトダイオード、フォトトランジスタ等とを組合わせたものよりなり、入出力信号相互の応答性、整合性が良好であり、空間を介した完全なアイソレーション状態でヒータ制御回路と信号送受信回路との2つの回路を相互に接続することができる。しかも、構造は簡単で、安価である。
【0056】したがって、高価な絶縁トランスを設けるまでもなく、電源を共用しながら、ノイズのない安定した電気ポット使用情報の送信又は受信を行うことが可能となる。
【0057】さらに、この発明の実施の形態の生活モニター用親子電気ポットは、上記電気ポットのヒータおよびヒータ制御回路への電源の供給と信号送受信回路への電気ポット使用情報信号の送受信とを3線式の電源コードを利用して行うようにしている。
【0058】したがって、該構成では、特別な送受信線等を必要とすることなく、電気ポット使用情報の送受信が可能となる。
【0059】以上の結果、同生活モニター用親子電気ポットによると、簡単かつ低コストな構成で、安定した電気ポット使用情報の送受信機能を付加することができるようになる。
【0060】(その他の実施の形態)
(1) 以上の実施の形態では、親器側電気ポット1Aと子器側電気ポット1B各々に通信アダプタ16を併設することによって全く同じように通信および表示機能を付加し、相互に御互いの電気ポット使用情報を送信および受信し合えるように構成した。
【0061】しかし、そのように構成した場合、両電気ポット共に通常の電気ポットに比べて高価となり、専用機種としての商品設定が必要となる。従って、汎用性に欠けるものとなる。
【0062】そこで、このような問題に対処するために、例えば複数の電気ポット相互の人間関係、要介護関係等の条件を考慮して、通信又は表示機能を次のように変えるようにする。
【0063】1−1) 親対子供の使用形態の場合親側電気ポットは電気ポット使用情報の送信機能のみとし、一般のマイコン電気ポットをベースに設計変更を行って、使用状況データ出力処理機能を設ける一方、本体内部には外部データ通信機と交信することができる通信制御基板を設ける。他方、子側電気ポットにのみ、対応する親側電気ポットからの電気ポット使用情報の受信機能および同電気ポット使用情報の表示機能を持たせるために、一般のマイコン電気ポットをベースに操作表示部の一部設計変更を行って、使用状況データ入力表示処理機能を設けるようにし、一方向性の通信表示システムとする。このようにすると、親側電気ポットに受信および表示機能が不要となる一方、子側電気ポットの電気ポット使用情報の送信機能が不要となるので、大幅なコスト削減が可能となる。また、その結果、親側電気ポットは、汎用製品のマイコン制御基板に加えて低コストな送信制御基板を付加することのみで対応できるようになる。
【0064】1−2) 親類、友人、兄弟間の使用形態の場合これらの人間関係の場合には、お互いの生活情報を平等に知ることができる方が便利である。このため、これらの場合には、上述の実施の形態のように、各電気ポットに、送受信および表示機能を設けることが好ましい。
【0065】(2) また、以上の実施の形態における通信アダプターとしてのデータ通信機等は、次のように種々の変形が可能である。
【0066】2−1) 各家庭の一般電話台を兼ねたデータ通信機を新規設計する。データ通信機は、親側電気ポット本体の制御回路と生活状況データの送受信を行ない、処理・記憶する。そして、子側データ通信機により設定された所定時間毎に一般電話回線を通じて子側のデータ通信機に送信する。
【0067】2−2) 各家庭の一般電話台を兼ねた形状のデータ通信機を新規設計する。データ通信機は、各電気ポット本体側制御回路と生活状況データの送受信を行ない、処理・記憶する。そして、設定された所定時間毎に一般電話回線を通じて相手側のデータ通信機に送信する。また、相手側から受信した生活情報を記憶し、所定の表示装置により表示すると共に、子側電気ポットに対しては、処理した情報を発信する。
【0068】また、データ通信機には、電話番号や通信条件などを任意に設定するための、操作・表示部(液晶表示器)を設ける。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施の形態1に係る親子電気ポットを採用して構成した親子電気ポット型生活モニターシステムの概略を示す斜視図である。
【図2】同親子電気ポットのポット本体側および通信アダプター側相互の電気的な接続状態を示す一部切欠図である。
【図3】同親子電気ポットの電源コード要部の構成を示す斜視図である。
【図4】同親子電気ポットの通信信号を示す図である。
【図5】同親子電気ポットの操作パネル部の構成を示す平面図である。
【図6】同親子電気ポットの第1の操作状態に対応した操作パネル面の表示形態を示す図である。
【図7】同親子電気ポットの第2の操作状態に対応した操作パネル面の表示形態を示す図である。
【図8】同親子電気ポットの第3の操作状態に対応した操作パネル面の表示形態を示す図である。
【図9】同親子電気ポットの第4の操作状態に対応した操作パネル面の表示形態を示す図である。
【図10】同親子電気ポットの第5の操作状態に対応した操作パネル面の表示形態を示す図である。
【符号の説明】
1A,1Bは第1,第2の電気ポット、2は本体ケース、3は蓋体、13はマグネットプラグ、16は通信アダプタ、17は電源プラグ、20は携帯電話器、31は操作パネル、55は通信確認キー、56は通信確認表示部、60は液晶ディスプレイである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電気ポット制御回路と電気ポット使用情報の送信又は受信回路とを各々備え、離隔地間で個別に使用される少なくとも2台の電気ポットを、所定の通信手段を介して相互に情報の送信又は受信ができるように接続可能とした生活モニター用親子電気ポットにおいて、各電気ポットの上記電気ポット使用情報の送信又は受信回路の動作電源を上記電気ポット制御回路の動作電源と共用化する一方、所定のアイソレーション手段を介して上記電気ポット制御回路から使用情報データを入力するようにしたことを特徴とする生活モニター用親子電気ポット。
【請求項2】 アイソレーション手段は、フォトカプラにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の生活モニター用親子電気ポット。
【請求項3】 電気ポットの電気ポット制御回路への電源の供給と情報の送信又は受信回路への電気ポット使用情報信号の送信又は受信とを3線式の電源コードを利用して行うようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の生活モニター用親子電気ポット。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【図9】
image rotate


【図10】
image rotate


【公開番号】特開2002−65465(P2002−65465A)
【公開日】平成14年3月5日(2002.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−259684(P2000−259684)
【出願日】平成12年8月29日(2000.8.29)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【出願人】(390000594)隆祥産業株式会社 (64)
【Fターム(参考)】