説明

用紙断裁装置及び画像形成装置

【課題】冊子の小口断裁処理時に、他の駆動手段の振動による冊子先端部突き当て用の可動ストッパの位置ずれを防止し、冊子断裁精度の向上を計る。
【解決手段】冊子SAを搬送する搬送手段100,200を駆動するモータM1と、冊子SAを所定位置に停止させる移動可能な可動ストッパ221を駆動するモータM2と、冊子SAを押さえつける押圧部材240を駆動するモータM4と、冊子SAの小口を断裁する断裁手段300を駆動するモータM5と、断裁処理済みの冊子SAを収容する冊子収納手段400を駆動するモータM6,M7と、各モータを制御する制御手段90と、から構成し、制御手段90は、断裁手段300のモータM5を駆動している時には、断裁手段300以外の手段のモータを非作動に制御する用紙断裁装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙束に対して、中綴じ処理、中折り処理を行い製本化した後、用紙の小口を揃えるため小口を断裁する用紙断裁装置、用紙断裁装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数枚で1セットになる用紙束に対して中綴じ処理を行う用紙後処理装置として、従来、特許文献1、特許文献2、特許文献3等が知られている。
【0003】
また、二つ折り処理を可能にする用紙後処理装置として、特許文献4、特許文献5等が提案されている。
【0004】
用紙束に対して、中綴じ処理、中折り処理を行い製本化した後、用紙の小口を揃えるため小口を断裁する用紙断裁装置がある。また、近年、複写機、プリンタ、これらの複合機等の画像形成装置により画像が記録された用紙束に対して、用紙後処理装置により中綴じ処理、中折り処理を行い週刊誌のように製本化した後、用紙断裁装置により用紙の小口を揃えるため小口を断裁する用紙断裁装置を備えた用紙後処理装置が提供されている。
【特許文献1】特開平6−72064号公報
【特許文献2】特開平7−187479号公報
【特許文献3】特開平8−192951号公報
【特許文献4】特開平10−148983号公報
【特許文献5】特開平10−167562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
中綴じ処理、中折り処理された冊子の小口を断裁手段により断裁して冊子を仕上げる用紙断裁装置には、以下の課題がある。
【0006】
〈1〉 断裁手段の駆動源を駆動している時、前記断裁手段以外の他の手段の駆動
手段が作動していると、他の駆動手段の振動により、冊子の断裁位置がずれることがある。
【0007】
〈2〉 複数枚の用紙を中綴じ処理、中折り処理して作製された冊子を断裁処理するとき、冊子の1部当たりの枚数の多寡により、小口の突出量が異なるから、一定の断裁寸法では、断裁量不足による小口の不揃いや、断裁量過多による用紙無駄を生じる。そこで、冊子の1部当たりの枚数毎に断裁屑を必要最小限に押さえる制御が求められる。
【0008】
〈3〉 少数の用紙から成る冊子を断裁するとき、断裁上刃と断裁下刃の間に用紙が捲り込まれる断裁不良や、断裁位置ずれ等を発生することがある。特に、薄手の用紙や腰の弱い用紙、又は、断裁刃の切れ味が低下した場合には、断裁不良が多発する。断裁不良が発生しやすい薄手の用紙等を使用するため、自動的に断裁処理を行わなかった場合に、ユーザに断裁処理を行わなかったことを知らせる制御が求められる。
【0009】
〈4〉 複数枚の用紙を中綴じ処理、中折り処理して作製された冊子を断裁処理せずに、冊子収納部に排出したいという場合がある。
【0010】
〈5〉 画像形成処理中、又は、用紙後処理装置による後処理処理中に、キャンセル操作が行われた時、キャンセルしたいにも係わらず、中綴じされた冊子を断裁処理して排出すると、多大な無駄時間を費やす。
【0011】
〈6〉 搬送手段により断裁手段に搬送される用紙の先端部が、停止手段の停止部材に突き当たる時に、停止手段が衝撃を受けて、停止位置が変動し、正確な位置に用紙が設置されないことがある。
【0012】
〈7〉 冊子断裁処理後に後続の冊子を断裁処理部に搬送開始する従来の逐次搬送方法では、冊子断裁処理時間が長くなる。
【0013】
〈8〉 冊子の枚数に関係なく、所望の断裁寸法を設定して断裁処理を行えるようにする。
【0014】
本発明は、上記の各課題を解消して、用紙断裁装置を改良し、中綴じ処理及び二つ折り処理済みの用紙束の小口を断裁処理後、出来上がり冊子を排出して積載する用紙収納部の操作性の向上、冊子の収容量の増大化、及び用紙断裁装置の小型化を達成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題は、以下の本発明の用紙断裁装置、及び用紙断裁装置を備えた画像形成装置により達成される。
【0016】
(1) 上記の課題〈1〉は、本発明の請求項1に記載の用紙断裁装置により解決される。
【0017】
(2) 上記の課題〈2〉は、本発明の請求項2に記載の用紙断裁装置により解決される。
【0018】
(3) 上記の課題〈3〉は、本発明の請求項3又は請求項4に記載の用紙断裁装置により解決される。
【0019】
(4) 上記の課題〈4〉は、本発明の請求項5に記載の用紙断裁装置により解決される。
【0020】
(5) 上記の課題〈5〉は、本発明の請求項6に記載の用紙断裁装置により解決される。
【0021】
(6) 上記の課題〈6〉は、本発明の請求項7に記載の用紙断裁装置により解決される。
【0022】
(7) 上記の課題〈7〉は、本発明の請求項8に記載の用紙断裁装置により解決される。
【0023】
(8) 上記の課題〈8〉は、本発明の請求項9に記載の用紙断裁装置により解決される。
【0024】
(9) 本発明の画像形成装置は、用紙給送手段により給送された用紙に、画像情報に応じて画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により画像形成された用紙を、中綴じ処理する綴じ手段、中綴じ処理された用紙を二つ折り処理する折り手段を備えた用紙後処理装置と、請求項1〜9の何れか1項に記載の用紙断裁装置とを有し、画像形成された用紙を二つ折り処理及び中綴じ処理して冊子を作製し、前記冊子の小口を断裁手段により断裁して冊子を仕上げることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明の用紙断裁装置及び用紙後処理装置により以下の効果が奏せられる。
【0026】
(1) 本発明の用紙断裁装置は、断裁手段の駆動源を駆動している時には、断裁手段以外の手段の駆動源を非作動に制御するものであり、他の駆動手段の振動による可動ストッパの位置ずれを防止し、冊子の小口断裁位置精度の安定化が実現できる。
【0027】
(2) 本発明の用紙断裁装置は、搬送手段により断裁手段に搬送される冊子の用紙枚数により、停止手段の冊子停止位置を可変に制御するものであり、冊子SAの用紙枚数(冊子の厚さ)により小口の突出量の差異が生じても、常に最適の断裁量に制御されて、過剰な断裁や断裁不足のない、冊子が作製される。
【0028】
(3) 本発明の用紙断裁装置は、冊子の用紙枚数が所定枚数以下に設定された場合、自動的に断裁処理を行わず、操作部画面上に断裁処理を行わないことを表示するものであり、少数枚の冊子における断裁位置がずれる不具合を、操作部画面上に表示して、ユーザに注意を促し、少数枚の冊子の断裁処理時に発生するおそれのある断裁処理不良を未然に防止することができる。また、自動的に断裁処理を行わなかった場合に、ユーザに断裁処理を行わなかったことを知らせる事ができる。
【0029】
(4) 本発明の用紙断裁装置は、断裁処理実施を選択したときには、断裁手段による断裁処理後の冊子を搬送手段により冊子収納手段に搬送し、断裁処理非実施を選択したときには、断裁手段による断裁処理を行わず、冊子を前記搬送手段により冊子収納手段に搬送するように制御するものであり、断裁処理を行わずに、冊子を冊子収納手段に収容するモードを任意に選択する事ができる。
【0030】
(5) 本発明の用紙断裁装置は、画像形成処理中にキャンセル操作が行われた時、断裁手段による断裁処理を行わず、冊子を搬送手段により冊子収納手段に搬送するように制御するものであり、画像形成装置又は用紙後処理装置においてトラブルが発生して、コピーキャンセルを行うとき、用紙断裁装置内の冊子を速やかに排出して、キャンセル処理時間を短縮することができる。
【0031】
(6) 本発明の用紙断裁装置は、搬送手段により搬送される冊子の先端部が、可動ストッパに突き当たる直前に、可動ストッパを駆動するモータを励磁処理して、可動ストッパを固定状態に保持するものであり、冊子の先端部が可動ストッパに衝突する時に生じる衝突ぶれを低減し、冊子の小口断裁位置精度を向上することが可能になる。
【0032】
(7) 本発明の用紙断裁装置は、断裁手段により断裁処理された冊子を搬送して冊子収納手段に搬送する搬送中に、後続の冊子を断裁手段に搬入させ、断裁処理後の冊子の搬送処理と、後続の冊子の搬入処理とを同時に行うものであり、断裁処理時間の短縮による後処理の生産性向上が可能になる。
【0033】
(8) 本発明の用紙断裁装置は、停止手段の停止部材の停止位置を、任意に設定した断裁量に対応して調整可能に設定するものであり、ユーザが断裁したい寸法に任意に調整することが可能になる。
【0034】
(9) 本発明の複写機、プリンタ、これらの複合機等の画像形成装置により画像形成された用紙は、用紙後処理装置により中綴じと中折り処理され、用紙断裁装置の断裁手段により用紙の小口が均一に揃えられ、製本化された冊子となり、冊子収納手段に冊子をスタックすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
(第1の実施の形態)
本発明の用紙断裁装置、用紙後処理装置及び用紙後処理装置を備えた画像形成装置を図面に基づいて説明する。
【0036】
図1は画像形成装置本体A、用紙後処理装置B、用紙断裁装置Cを備えた画像形成システムの全体構成図である。
【0037】
図示の画像形成装置本体Aは、画像読み取り部1、画像処理部2、画像書き込み部3、画像形成部4、給紙カセット5、給紙手段6、定着装置7、排紙部8、自動両面コピー給紙部9を備えている。
【0038】
画像形成装置本体Aの上部には、自動原稿送り装置Dが搭載されている。画像形成装置本体Aの図示の左側面の排紙部8側には、用紙後処理装置(フィニッシャー)B及び用紙断裁装置Cが連結されている。
【0039】
自動原稿送り装置Dの原稿台上に載置された原稿dは矢印方向に搬送され画像読み取り部1の光学系により原稿の片面又は両面の画像が読みとられ、CCDイメージセンサ1Aに読み込まれる。
【0040】
CCDイメージセンサ1Aにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部2において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、画像書き込み部3に信号を送る。
【0041】
画像書き込み部3においては、半導体レーザからの出力光が画像形成部4の感光体ドラム4Aに照射され、潜像を形成する。画像形成部4においては、帯電、露光、現像、転写、分離、クリーニング等の処理が行われる。給紙カセット5から給紙手段6により給送された用紙Sは転写手段4Bにより画像が用紙Sに転写される。画像を担持した用紙Sは、定着装置7により定着され、排紙部8から用紙後処理装置Bに送り込まれる。或いは搬送路切り替え板8Aにより自動両面コピー給紙部9に送り込まれた片面画像処理済みの用紙Sは再び画像形成部4において、両面画像処理後、排紙部8から排出され、用紙後処理装置Bにおいて、中綴じ処理、二つ折り処理された後、用紙断裁装置Cに送り込まれる。
【0042】
用紙断裁装置Cは、用紙後処理装置Bにより中綴じ処理、二つ折り処理された冊子SAの小口近傍を、図3(d)に示すように、断裁して小口bを揃えるもので、図4以降において詳述する。
【0043】
用紙後処理装置Bには、図示の上段から、固定排紙皿81、表紙給紙手段40、シフト処理搬送部20、第1積載部30、綴じ手段50、折り手段60が、ほぼ垂直方向に縦列配置されている。
【0044】
用紙後処理装置Bの図示右上方には入口搬送部10が配置されている。また、用紙後処理装置Bの図示左側面には、端綴じ及びシフト処理済みの用紙を積載する昇降排紙皿82が配置されている。
【0045】
図2は、用紙後処理装置Bの用紙搬送経路を示す模式図である。
【0046】
用紙後処理装置Bは画像形成装置本体Aから搬出された用紙Sの入口部11が画像形成装置本体Aの排紙部8と合致するよう位置と高さを調節して設置されている。
【0047】
入口部11の入口部ローラ12の用紙搬送下流に接続する用紙Sの搬送路は、上段の第1搬送路R1と中段の第2搬送路R2および下段の第3搬送路R3の3系統に分岐されていて、切り替えゲートG1,G2の占める角度の選択により用紙Sが何れかの搬送路に給送される。
【0048】
(1) ノンステイプル、ノンソート(第1搬送路R1)
画像形成装置本体Aから排出された画像形成済みの用紙Sは、入口部11に導入され、入口部ローラ12により搬送されて、入口部センサPS1により用紙Sの搬送方向長さが検知される。用紙Sは上方の第1の切り替えゲートG1の右方の通路13を通過して、上方の搬送ローラ14及び搬送ローラ15に挟持されて上昇搬送され、更に排出ローラ16に挟持されて機外上部の固定排紙皿81上に排出され、順次積載される。
【0049】
この用紙搬送過程では、切り替えゲートG1は通路17を閉止し、通路13を開放状態にして、用紙Sの固定排紙皿81への通過を可能にする。
【0050】
(2) シフト処理又はノンソート(第2搬送路R2)
この搬送モードに設定されると、切り替えゲートG1は通路13を閉止し、通路17を開放状態に保持し、用紙Sの通路17の通過を可能にする。
【0051】
画像形成装置本体Aから排出された画像形成済みの用紙Sは、入口部11、入口部ローラ12を通過し、切り替えゲートG1の下方に開放状態に形成された通路17を通過して、搬送ローラ18に挟持されて、第2搬送路R2である斜め下方の第2の切り替えゲートG2の上方の通路21を通過して、搬送ローラ22に挟持され、通路23を経て、シフト手段25、シフトローラ24に挟持され、排出ローラ26により排出され、大量の用紙を収納可能な昇降排紙皿82上に積載される。
【0052】
(3) 端綴じ処理(第3搬送路R3)
端綴じ処理又は中綴じ処理を施す用紙Sは、画像形成装置本体A内で画像形成処理されて、用紙後処理装置Bの入口部11に送り込まれ、入口部ローラ12、第1の切り替えゲートG1の下方の通路17を通過して、搬送ローラ18に挟持されて、第3搬送路R3に搬送される。
【0053】
第3搬送路R3において、用紙Sは、切り替えゲートG2の下方の通路31を通過して、下流の搬送ローラ32により挟持、搬送される。用紙Sは、更に下流の搬送ローラ34により挟持されて送り出され、第1積載部30の傾斜配置された中間スタッカ35の上方空間に排出され、中間スタッカ35または中間スタッカ35上に積載された用紙Sの上面に接し、滑走上昇したのち、搬送ローラ34から用紙Sの進行方向後端部が排出されたのちには、用紙Sの自重により下降に転じ、中間スタッカ35の傾斜面上を滑落し、綴じ手段50近傍の端綴じ用可動ストッパ部材(以下、端綴じストッパと称す)51の用紙突き当て面に用紙Sの進行方向先端部が当接して停止する。
【0054】
36は中間スタッカ35の両側面に移動可能に設けた一対の上流側幅整合手段である。上流側幅整合手段36は用紙搬送方向と直交する方向に移動可能であり、用紙Sが中間スタッカ35上に排出される用紙受け入れ時には、用紙幅より広く開放され、中間スタッカ35上を搬送されて、端綴じストッパ51に当接して停止するときには、用紙Sの幅方向の側縁を軽打して用紙束幅揃え(幅整合)を行う。
【0055】
この停止位置において、中間スタッカ35上に所定枚数の用紙Sが積載、整合されると、綴じ手段50により綴じ合わせ処理が行われ、用紙束が綴じ合わされる。
【0056】
前記中間スタッカ35の用紙積載面の一部には、駆動プーリ37Aと従動プーリ37Bに巻回された複数の排出ベルト38が回動可能に配置されている。綴じ処理された用紙束は、排出ベルト38の排出爪38aにより用紙Sの後端部を保持されて、排出ベルト38上に載せられ、中間スタッカ35の載置面上を滑走して斜め上方に押し上げられ、排出ローラ26のニップ位置に進行する。回転する排出ローラ26に挟持された用紙束は、昇降排紙皿82上に排出、積載される。
【0057】
(4) 表紙給紙(第4搬送路R4)
表紙給紙手段40は、表紙載置部41、表紙送り部42から構成されている。
【0058】
表紙給紙手段40から給紙された1枚の表紙Kは、通路43を通過して、搬送ローラ14の他のニップ位置を通過し、通路19、搬送ローラ18を通過した後、第3搬送路R3の搬送ローラ32、通路33、搬送ローラ34を経て、中間スタッカ35上に到達する。
【0059】
(5) 中綴じ処理(第5搬送路R5)
綴じ手段50は、上部機構50Aと下部機構50Bとの2分割構造に構成され、その中間に、用紙Sが通過可能な通路52を形成している。
【0060】
綴じ手段50は、用紙搬送方向に直交する方向に2組配置され、図示しない駆動手段により、用紙搬送方向に直交する方向に移動可能である。この綴じ手段50により、用紙幅方向の中央振り分け2箇所に綴じ針SPを打つ。
【0061】
中綴じモードに設定され、表紙K及び用紙Sのサイズ(搬送方向の長さ)が設定又は検知されると、中綴じ用可動ストッパ部材(以下、中綴じストッパと称す)53は所定位置に移動して停止する。中綴じストッパ53の起動に連動して端綴じストッパ51が退避し、通路52を開放する。
【0062】
表紙Kが中間スタッカ35上の所定位置に載置された後、画像形成装置本体Aから搬出された用紙Sが、用紙後処理装置Bの入口搬送部10から第3搬送路R3を通過して、中間スタッカ35上に載置された表紙Kの上面に順次積載され、用紙Sの端部が中綴じストッパ53に当接して位置決めされる。56は中綴じ処理時に用紙Sの幅方向を規制する下流側幅整合手段であり、前記上流側幅整合手段36と同様に1枚の用紙Sが搬入される都度、用紙Sの幅方向の側端を叩いて幅整合を行う。
【0063】
また、中綴じ処理時に、中間スタッカ35上を搬送して綴じ手段50の上流側を進行する用紙Sに対して、用紙Sが中綴じストッパ53に突き当たる頃を見計らって、上流側幅整合手段36と下流側幅整合手段56とを同時に作動させて、用紙幅整合を行って用紙揃えする。
【0064】
このようにして、中間スタッカ35上を進行し、綴じ手段50を中心にして上流側と下流側に亘って延長して積載される用紙S及び表紙Kは、上流側幅整合手段36と下流側幅整合手段56とにより、用紙Sの全長に亘り正確に幅整合される。
【0065】
最終の用紙Sが中間スタッカ35上に位置決め載置された後、表紙Kと用紙Sの全頁とから成る用紙束に綴じ手段50による中綴じ処理を行う。この中綴じ処理により、表紙K及び用紙Sの搬送方向の中央部に綴じ針が打ち込まれる。綴じ針SPは綴じ針打ち込み駆動側を有する下部機構50Bから、綴じ針クリンチ側を有する上部機構50Aに向けて打ち込まれる。
【0066】
(6) 二つ折り処理(第6搬送路R6)
中綴じ処理後、中綴じストッパ53が揺動して、通路52の下流の通路を開放する。中綴じ処理された表紙Kと用紙Sから成る用紙束は、湾曲した通路と中間搬送ローラ61を通過して斜め下方の搬送ベルト62によりガイド板63に案内されて搬送され、更に、第2積載部(スタック台)64上を搬送されて、折り部可動ストッパ手段65に用紙束の搬送方向の先端部が当接して、所定位置に停止する。折り部可動ストッパ手段65は用紙サイズの設定又は検知と駆動手段により所定位置に移動可能である。
【0067】
折り手段60は、用紙突き出し手段66、折りローラ67、搬送ベルト68、加圧ローラ69等から構成されている。
【0068】
二つ折り開始信号により、用紙突き出し手段66の突き出し板66Aが斜め上方に直進して、突き出し板66Aの先端部は、表紙Kと用紙Sから成る用紙束の中央部を押し上げ、用紙束を介して折りローラ67のニップ部を押し広げて揺動、離間させる。
【0069】
突き出し板66Aの先端部が前記ニップ部を通過後、突き出し板66Aが後退して、用紙束の中央部は、折りローラ67により挟圧されて、折り目部が形成される。この折り目部は、前述の中綴じ処理による用紙束への綴じ針の打ち込み位置と一致する。この中綴じ、中折り処理は、最大64ページ(16枚)の用紙を処理可能とする。
【0070】
回転する一対の折りローラ67により挟圧されて折り目部を形成された用紙束の中央部は、一対の搬送ベルト68に挟持されて搬送され、一対の加圧ローラ69のニップ位置に送り込まれ、この位置で折り目部が更にしっかり付けられた後、排出される。
【0071】
図3(a)は用紙Sの二つ折りする折り目部aに沿って中央振り分け2箇所に綴じ針SPを打針する中綴じ処理を示す用紙の平面図、図3(b)は中綴じと二つ折りの後処理を施した冊子SAの斜視図、図3(c)は後処理済みの冊子SAを両開きした状態を示す斜視図、図3(d)は中綴じと二つ折りの後処理を施した冊子SAの断面図である。これらの図において、bは用紙Sの側端部の小口、cは小口揃えするための断裁線である。
【0072】
中綴じ処理と二つ折り処理により作製された冊子SAは、表紙Kの第1面(p1,p8)を外側に向け、その裏面側に第2面(p2,p7)、更にその内側に中身である用紙Sの第1面(p3,p6)、その内側に用紙Sの第2面(p4,p5)が配置され、図示のように8頁(p1〜p8)から成る冊子の頁揃えができる。
【0073】
画像形成装置本体Aの操作部において、冊子作成オートモードを選択、設定し、表紙載置部41上に表紙Kを積載し、プリントを開始すると、画像形成装置本体Aの制御部により、前記の画像プロセスが実行され、画像を担持した用紙Sは用紙後処理装置Bにより、中綴じ処理と二つ折り処理とが行われて、連続して冊子SAが作製、排出される。
【0074】
用紙後処理装置Bの操作部において、冊子作製マニュアルモードを選択、設定し、表紙載置部41上に、表紙Kとその下に画像形成済みの1冊分の用紙Sとを積載し、送り出し動作を開始すると、用紙後処理装置Bの制御部により、表紙Kと用紙Sは用紙後処理装置Bにより、中綴じ処理と二つ折り処理とが行われて、1冊分の冊子が作製、排出される。
【0075】
図4は、本発明の用紙断裁装置Cの全体構成図である。用紙断裁装置Cは、第1搬送手段(断裁処理前の用紙搬送手段)100、第2搬送手段(断裁処理後の用紙搬送手段)200、断裁手段300、冊子収納手段400から構成されている。
【0076】
図5は、用紙断裁装置Cの用紙搬送経路を示す断面図である。
【0077】
用紙後処理装置Bの折り手段60により二つ折り処理された冊子SAは、用紙断裁装置Cの入口部に配置された搬送ベルト101上に排出される。搬送ベルト101は、支持部材102に回動可能に支持され、駆動ローラ103により回動される。
【0078】
搬送ベルト101の用紙搬送方向下流側には、駆動ローラ112と従動ローラ113に巻回された下搬送ベルト111が回動可能に配置されている。下搬送ベルト111の上方には、上搬送ベルト114が圧接し、従動して回動される。ローラ115,116を巻回する上搬送ベルト114は、支持部材117に回動可能に支持されている。支持部材117は、バネ118により付勢され、上搬送ベルト114を下搬送ベルト111に圧接する。搬送ベルト101により搬送された冊子SAは、下搬送ベルト111と上搬送ベルト114により圧接、挟持されて搬送される。
【0079】
下搬送ベルト111の用紙搬送方向下流側には、駆動手段に接続する駆動ローラ121と、駆動ローラ121に圧接して回動する従動ローラ122が配置されている。下搬送ベルト111と上搬送ベルト114とに挟持されて搬送される冊子SAは、案内板123を通過して、駆動ローラ121と従動ローラ122に挟持されて搬送される。
【0080】
駆動ローラ121の用紙搬送方向下流側には、断裁上刃301、断裁下刃302、可動板310、押圧ローラ311、屑箱320及び駆動手段から成る断裁手段300が配置されている。断裁手段300の詳細は後述する。
【0081】
断裁手段300により小口bを断裁されて仕上げられた冊子SAは、第2搬送手段200において、回動する下搬送ベルト201、従動して回動される上搬送ベルト206、及び駆動回転する上ローラ205に挟持されて搬送される。
【0082】
下搬送ベルト201は、駆動手段に接続する駆動ローラ202により回動される。203は、下搬送ベルト201により従動回転する従動ローラである。下搬送ベルト201の内方で冊子搬送路近傍には、搬送支持板204が固設されている。
【0083】
上搬送ベルト206は、ローラ207,208を巻回して回動可能であり、支持部材209に支持されている。支持部材209は、バネ付勢され、上搬送ベルト206を下搬送ベルト201を介して搬送支持板204に圧接する。断裁処理された冊子SAは、第2搬送手段200の下搬送ベルト201と上ローラ205との間隙を通過し、更に、下搬送ベルト201と上搬送ベルト206により圧接、挟持されて搬送される。
【0084】
下搬送ベルト201により水平方向に搬送される冊子SAは、回転する大径ローラ211と、固定配置された案内板に案内されて、垂直上方に約90°偏向されて上昇搬送される。冊子SAは、更に大径ローラ211とピンチローラ213とに挟持されて、冊子排出口214を通過して排出され、冊子SAの折り目部aを上に、小口bを下にして、冊子収納手段400の冊子積載台401上に載置される。
【0085】
冊子収納手段400は、冊子積載台401、可動壁部材(プッシャ)410、仕切部材(ホルダ)420、押圧壁部材430、及び駆動手段とから構成されている。
【0086】
冊子積載台401は、断裁処理済みの複数の冊子SAを冊子排出口214から順次受容して、冊子SAの折り目部aを上にして用紙面を重ね合わせて積載する。可動壁部材410は、冊子積載台401に直立して水平移動可能に支持され、冊子積載台401上に積載された冊子SAの用紙面を押圧し、冊子積載台401上と冊子排出口214との間を水平方向に往復動する。
【0087】
可動壁部材410は、通常は冊子排出口214よりも前進した停止位置で冊子積載台401上に積載された冊子SAを受け止め、断裁処理済みの冊子SAが冊子積載台401に搬入される都度、冊子排出口214を開放する位置まで待避し、冊子SAが冊子排出口214を通過完了後に、冊子SAの用紙面を押圧しながら停止位置に復帰して待機する。
【0088】
仕切部材420は、冊子積載台401に直交する垂直方向に移動可能であり、可動壁部材410が次の冊子受入のため、冊子排出口214が開放されるように待避を始めるとき、仕切部材420が可動壁部材410の代わりに積載済みの冊子SAの用紙面を受け止め、可動壁部材410が次の冊子SAの用紙面を押圧しながら停止位置に前進する動作に合わせて、仕切部材420が冊子積載台401の後端部に沿って下降を開始して待避し、冊子積載台401上に次の冊子SAを受け入れ可能にする。可動壁部材410が停止位置に移動完了するのに合わせて、仕切部材420が上昇開始する。
【0089】
押圧壁部材430は、冊子積載台401に直立して移動可能に支持され、バネ付勢されている。押圧壁部材430の冊子接触面は、可動壁部材410又は仕切部材420に対向し、冊子積載台401上に積載された冊子SAの用紙面を押圧、保持する。
【0090】
図6は冊子搬送系の駆動手段を示す構成図である。
【0091】
冊子搬送用モータM1は、第1搬送手段100及び第2搬送手段200を駆動する。冊子搬送用モータM1の駆動軸に設けた歯車g1は、歯車g2,g3,g4,g5を介して第1搬送手段100の駆動ローラ121を回転させる。駆動ローラ121はベルトTB1を介して駆動ローラ112を回転させ、下搬送ベルト111を回動させる。
【0092】
歯車g4と同軸上のプーリTP1を巻回するベルトTB2は、プーリTP2,TP3,TP4を巻回して回動可能である。プーリTP2の回転軸上には、上ローラ205が固定されて回転可能である。プーリTP4の回転軸上に固定された歯車g6は、駆動ローラ202の回転軸上に固定された歯車g7を回転させる。駆動ローラ202は下搬送ベルト201を回動させる。
【0093】
駆動ローラ202の回転軸上に固定されたプーリTP5と、中間軸上のプーリTP6とを巻回するベルトTB3は、プーリTP6の回転軸上に固定された歯車g8,g9を介して、歯車g9の回転軸上に固定された大径ローラ211を回転させる。
【0094】
図7は、第2搬送手段200の下搬送ベルト201、及び可動ストッパ221の駆動手段を示す断面図である。
【0095】
可動ストッパ移動用モータM2は、歯車g11,g12、ベルトTB4を介して可動ストッパ221を用紙サイズに対応した所定位置に移動させる。ストッパ解除用モータM3は、歯車g13,g14を介してカム222を駆動回転させ、可動ストッパ221を起倒させる。可動ストッパ221は冊子SAの先端部の突き当て時には、起立した初期状態に保持され、冊子SAの排紙時には、モータM3の駆動により倒された状態になる。
【0096】
冊子SAの厚さ、即ち、1枚の用紙の厚さと用紙束の枚数とにより、冊子断裁前の小口の突出量が異なるから、可動ストッパ221の設定位置は、これらの数値設定、又は冊子の厚さ検知により、制御手段が最適値を選択する。
【0097】
図8は、上搬送ベルト206を含む押圧ユニットの駆動手段の正面図である。
【0098】
押圧用モータM4は、歯車g21,g22,g23,g24,g25,g26を介して、回転円板231を回転させる。回転円板231に植設された偏心ピン232は、クランク233の下端部に接続し、クランク233を揺動させる。クランク233の上端部は、連結板234に接続し、連結板234を昇降させる。連結板234は2本のバネ235により図示下方に付勢されている。
【0099】
連結板234の両側部に固定された2本の連結桿236は、固定枠体237に固定された軸受238に嵌合し、昇降可能に支持されている。連結桿236の上端部は、押圧部材240に固定されている。
【0100】
押圧部材240は、上搬送ベルト206を支持する支持部材209に対してバネ付勢されて昇降可能に支持されている。下搬送ベルト201面上に載置された冊子SAの小口を断裁する時に、押圧部材240は、回転円板231の駆動回転により、クランク233、連結板234、連結桿236を介して昇降する。更に、押圧部材240は、冊子SAの厚さに応じて移動し、冊子SA上面を押圧する。
【0101】
図9は、断裁手段300の断面図である。
【0102】
断裁手段300は、断裁上刃301、断裁下刃302、断裁上刃301を昇降可能に駆動する駆動手段から成る。
【0103】
断裁用モータM5は、歯車g31,g32,g33を回転させ、歯車g33の偏心位置に植設された偏心ピン303を偏心回転させる。偏心ピン303の先端部は、可動部材304の内周面を摺動して、可動部材304を昇降させる。
【0104】
可動部材304と一体をなし昇降可能に支持された昇降シャフト305の上部には、上刃支持枠体306が固定されている。上刃支持枠体306には、断裁上刃301が固定されている。
【0105】
下降する断裁上刃301の刃先と、固定位置の断裁下刃302の刃先とにより、冊子SAの小口が断裁される。320は小口から断裁された屑を収容する屑箱である。
【0106】
上刃支持枠体306には、押圧板309がバネ308に付勢されて支持されている。上刃支持枠体306の下部には、可動板310を押圧する押圧ローラ311が支持されている。
【0107】
上刃支持枠体306の下降行程では、押圧板309が下降して、断裁下刃302上に載置された冊子SAの上面を押圧し、次に、下降する押圧ローラ311が可動板310を押圧し、断裁上刃301の刃先が小口bを断裁する。
【0108】
図10は、冊子排出口214近傍の可動壁部材(以下、プッシャと称す)410と仕切部材(以下、ホルダと称す)420を示す断面図である。
【0109】
プッシャ410は、積載された冊子SAを押圧する直立した垂直壁部411を有し、冊子積載台401方向に水平移動可能である。プッシャ移動用モータM6は、歯車g41,g42,g43,g44,g45を介して回転円板412を回転させる。回転円板412の偏心位置に植設された偏心ピン413は、クランク414の右端部に接続し、クランク414を揺動させる。クランク414の図示の左端部は、プッシャ410に接続し、プッシャ410を水平方向に移動させる。図示の実線で示すプッシャ410は待避位置を示し、冊子排出口214を開口し、冊子SAを通過可能にする状態である。一点鎖線で示す位置は、プッシャ410が駆動手段により水平方向に移動された停止位置である。
【0110】
プッシャ410の近傍に平行配置されたホルダ420の両側端部に配置された可動保持部材421は、2組のローラ422,423を回転可能に保持している。2組のローラ422,423は、装置本体の両側端部に配置されたガイドレール424に転動して、可動保持部材421を昇降可能にする。
【0111】
即ち、可動保持部材421は、ガイドレール424の下部に設けたホルダ昇降用モータM7及び駆動手段により、ガイドレール424に沿って昇降駆動される。図示のホルダ420は下方の待避位置から上昇し、冊子SAを保持可能にする状態を示す。
【0112】
図11は、プッシャ410、ホルダ420、押圧壁部材430から成る冊子収納手段400の斜視図である。図12は、冊子積載台401上に複数部の冊子SAを積載した状態の冊子収納手段400を示す断面図である。
【0113】
プッシャ410はプッシャ移動用モータM6の駆動により矢示の水平方向に移動される。ホルダ420はホルダ昇降用モータM7の駆動により矢示の垂直方向に移動される。押圧壁部材430は定荷重バネ部材431に付勢されて、矢示の水平方向に移動される。
【0114】
冊子SAが冊子排出口214から送り出されて、冊子SAの下端部が大径ローラ211とピンチローラ213の挟持位置を通過後、プッシャ410がプッシャ移動用モータM6の駆動により前進を開始する。プッシャ410は前進して冊子SAを押圧し、ホルダ420方向に押し進める。プッシャ410の前進開始とほぼ同時に、ホルダ昇降用モータM7の駆動開始によりホルダ420が下降開始する。冊子SAの下部は、プッシャ410と、バネ付勢された押圧壁部材430により、立姿勢で密接に挟持される。折り目部を有し膨れた形状をなす冊子SAの上部は、押圧壁部材430の傾斜面部432の上方に広がった空間部に折り重なるように積載される。冊子積載完了後、又は冊子積載動作中に、冊子SAの上部を把持して容易に取り出すことができる。
【0115】
図13は用紙断裁装置Cのセンサとモータの配置を示す模式図である。PS1は第1搬送手段100の入口部に配置された入口部センサ、PS2は第2搬送手段200に配置された搬送部センサ、PS3は第2搬送手段200の出口部に配置された排紙部センサである。
【0116】
図14は画像形成装置本体Aの操作盤の基本画面を示す平面図である。この操作盤面上で、用紙サイズ、設定枚数等を設定し、さらに出力モードを設定すると、図15に示す用紙後処理モードになる。
【0117】
図15は用紙後処理モードに設定した操作盤の画面を示す平面図である。この画面において、中綴じ、中折り、断裁を選択し、OKキーで設定すると、図16に示すフィニッシャー調整メニュー画面になる。図16はフィニッシャー調整メニュー画面を示す操作盤の平面図である。
【0118】
中綴じストッパ位置調整、中折りストッパ位置調整、断裁ストッパ位置調整のうち、断裁ストッパ位置調整を設定すると、図17に示す断裁ストッパ位置調整画面になる。図17は断裁ストッパ位置調整画面を示す操作盤の平面図である。この画面において、位置調整代を数値キーにより入力し設定キーにより決定する。入力された位置調整代は画面上部に表示される。
【0119】
図18は用紙断裁装置Cの制御を示すブロック図、図19は断裁処理実施時のタイムチャートである。以下、制御手段90による各駆動手段の作動について説明する。
【0120】
図19において、用紙後処理装置Bから搬送される冊子SAの先端部通過を入口部センサPS1が検知すると、所定時間経過後、可動ストッパ移動用モータM2の駆動を開始し、用紙サイズに対応した位置に可動ストッパ221を移動させ停止する。搬送部センサPS2が冊子SAの先端部通過を検知すると、冊子搬送用モータM1の駆動を停止させる。冊子搬送用モータM1の駆動停止に連動して押圧用モータM4の駆動が開始される。押圧用モータM4による押圧部材240の下死点到達が検知されると、押圧用モータM4の駆動が停止され、断裁用モータM5の駆動が開始される。可動ストッパ移動用モータM2は駆動停止後、励磁状態に保持され、断裁用モータM5の駆動開始後、励磁が解除される。
【0121】
断裁用モータM5の駆動停止により、断裁上刃301が上死点付近で停止したことを検知されると、押圧用モータM4、可動ストッパ解除用モータM3、及びプッシャ移動用モータM6の駆動が開始される。
【0122】
押圧用モータM4による押圧部材240の上死点到達が検知されると、押圧用モータM4の駆動が停止され、冊子搬送用モータM1の駆動が開始され、冊子SAを排紙部に搬送する。
【0123】
排紙部センサPS3が冊子SAの後端部通過を検知すると、冊子搬送用モータM1の駆動を停止させるとともに、可動ストッパ解除用モータM3、及びホルダ昇降用モータM7の駆動を開始する。その後、プッシャ移動用モータM6とホルダ昇降用モータM7との連携動作により、冊子SAが冊子収納手段400に収容される。
【0124】
(1) 図19に示したように、制御手段90は、断裁手段300の駆動源であるモータM5を駆動している時には、断裁手段300以外の各手段の駆動源、即ち、冊子搬送用モータM1、可動ストッパ移動用モータM2、可動ストッパ解除用モータM3、押圧用モータM4、プッシャ移動用モータM6、ホルダ昇降用モータM7の駆動を非作動に制御する。
【0125】
(2) 制御手段90は、第1搬送手段100、及び第2搬送手段200により搬送される冊子SAの用紙枚数設定(図14参照)により、可動ストッパ移動用モータM2を駆動して、可動ストッパ221の冊子SAの停止位置を可変に制御する。
【0126】
(3) 制御手段90は、冊子SAの用紙枚数が所定枚数以下(例えば1〜3枚)に設定された場合、自動的に断裁処理を行わず、操作盤の基本画面上のメッセージエリア(図14参照)に、断裁処理を行わないことを表示する。
【0127】
(4) 制御手段90は、断裁処理実施を選択したときには、断裁手段による断裁処理後の冊子SAを第1搬送手段100、及び第2搬送手段200により冊子収納手段400に搬送する。断裁処理非実施を選択したときには、断裁手段300による断裁処理を行わず、冊子SAを第1搬送手段100、及び第2搬送手段200により、直接冊子収納手段400に搬送するように制御する。図20は、断裁処理非実施を選択したときの用紙断裁装置の制御を示すタイムチャートである。このモードに設定されると、可動ストッパ移動用モータM2、押圧用モータM4、断裁用モータM5は、非作動状態に保持され、冊子搬送用モータM1の駆動により、導入された冊子SAは断裁手段300を通過して、速やかに冊子収納手段400に搬送される。
【0128】
(5) 制御手段90は、画像形成処理中にキャンセル操作が行われた時(図15に示すキャンセル釦使用)、断裁手段300による断裁処理を行わず、冊子SAを第1搬送手段100、及び第2搬送手段200により、冊子収納手段400に搬送するように制御する。これにより、非断裁処理の冊子SAは断裁手段300で停止することなく通過して、速やかに冊子収納手段400に排出される。
【0129】
(6) 制御手段90は、第1搬送手段100、及び第2搬送手段200により搬送される冊子SAの先端部が、可動ストッパ221に突き当たる直前に、可動ストッパ移動用モータM2を励磁処理して、可動ストッパ221を固定状態に保持する。これにより、搬送される冊子SAの先端部が可動ストッパ221に突き当たったときの衝撃により、可動ストッパ221が移動することが防止される。
【0130】
(7) 図21は、先行の1部目の冊子SAと後続の2部目の冊子SAとの搬送を制御する用紙断裁装置Cのタイムチャートである。
【0131】
制御手段90は、断裁手段300により断裁処理された冊子SAを第2搬送手段200により搬送して、冊子収納手段400に搬送する搬送中に、後続の冊子SAを第1搬送手段100により断裁手段300に搬入させ、断裁処理後の冊子SAの搬送処理と、後続の冊子SAの搬入処理とを同時に行うように制御する。
【0132】
即ち、押圧用モータM4による押圧部材240の押圧が解除されて、初期位置に復帰したことを図示しないホームポジションセンサが検知すると、制御手段90は冊子搬送用モータM1の駆動を開始させて、第2搬送手段200の下搬送ベルト201を回動させ、先行の冊子SAを排出し、冊子収納手段400に収納させる。冊子搬送用モータM1により、第1搬送手段100の下搬送ベルト111も同時に回動され、用紙断裁装置Cに導入された後続の冊子SAは、先行の冊子SAから所定の間隔を保持して追従し、断裁手段300に送り込まれ、第2搬送手段200により搬送されて、可動ストッパ221の停止位置において停止される。その後、後続の冊子SAに断裁処理、排紙処理、収納処理が行われる。
【0133】
先行の冊子SAの後端部と、後続の冊子SAの先端部とを接近させて搬送させることにより、冊子SAの後処理の生産性が向上する。
【0134】
(8) 制御手段90は、可動ストッパ221の停止位置を、任意に設定した断裁量に対応して調整可能に設定するように制御する。図16のフィニッシャー調整メニュー画面において、断裁ストッパ位置調整を設定し、図17に示す断裁ストッパ位置調整画面にする。任意の位置調整代を数値キーにより入力し、設定すれば、入力された位置調整代は画面上部に表示される。この断裁代の任意設定機能により、ユーザは断裁したい量を任意に調整することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】画像形成装置本体、用紙後処理装置、用紙断裁装置を備えた画像形成システムの全体構成図。
【図2】用紙後処理装置の用紙搬送経路を示す模式図。
【図3】中綴じ処理した用紙の平面図、中綴じと二つ折りの後処理を施した冊子の斜視図、冊子を両開きした状態を示す斜視図、及び冊子の断面図。
【図4】本発明の用紙断裁装置の全体構成図。
【図5】用紙断裁装置の用紙搬送経路を示す断面図。
【図6】冊子搬送系の駆動手段を示す構成図。
【図7】第2搬送手段の下搬送ベルト、可動ストッパの駆動手段を示す断面図。
【図8】上搬送ベルトを含む押圧ユニットの駆動手段の正面図。
【図9】断裁手段の断面図。
【図10】冊子排出口近傍の可動壁部材と仕切部材を示す断面図。
【図11】可動壁部材、仕切部材、押圧壁部材の斜視図。
【図12】冊子積載台上に複数部の冊子を積載した状態の冊子収納手段を示す断面図。
【図13】用紙断裁装置のセンサとモータの配置を示す模式図。
【図14】画像形成装置本体の操作盤の基本画面を示す平面図。
【図15】用紙後処理モードに設定した操作盤の画面を示す平面図。
【図16】フィニッシャー調整メニュー画面を示す操作盤の平面図。
【図17】断裁ストッパ位置調整画面を示す操作盤の平面図。
【図18】用紙断裁装置の制御を示すブロック図。
【図19】断裁処理実施時の用紙断裁装置の制御を示すタイムチャート。
【図20】断裁処理非実施を選択したときの用紙断裁装置の制御を示すタイムチャート。
【図21】先行の1部目の冊子と後続の2部目の冊子との搬送を制御する用紙断裁装置のタイムチャート。
【符号の説明】
【0136】
50 綴じ手段
60 折り手段
90 制御手段
100 第1搬送手段
111 下搬送ベルト
114 上搬送ベルト
200 第2搬送手段
201 下搬送ベルト
206 上搬送ベルト
221 可動ストッパ(停止手段)
240 押圧部材(押圧手段)
300 断裁手段
301 断裁上刃
302 断裁下刃
309 押圧板
400 冊子収納手段
401 冊子積載台
410 可動壁部材(プッシャ)
420 仕切部材(ホルダ)
430 押圧壁部材
A 画像形成装置本体
B 用紙後処理装置
C 用紙断裁装置
M1,M2,M3,M4,M5,M6,M7 モータ
PS1 入口部センサ
PS2 搬送部センサ
PS3 排紙部センサ
S 用紙
SA 冊子
a 折り目部
b 小口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中綴じ処理、中折り処理された冊子の小口を断裁手段により断裁して冊子を仕上げる用紙断裁装置において、
前記冊子を搬送する搬送手段を駆動する駆動源と、前記冊子を所定位置に停止させる移動可能な停止手段を駆動する駆動源と、前記冊子を押さえつける押圧手段を駆動する駆動源と、前記冊子の小口を断裁する断裁手段を駆動する駆動源と、断裁処理済みの冊子を収容する冊子収納手段を駆動する駆動源と、前記各駆動源を制御する制御手段と、から構成し、
前記制御手段は、前記断裁手段の駆動源を駆動している時には、前記断裁手段以外の手段の駆動源を非作動に制御することを特徴とする用紙断裁装置。
【請求項2】
中綴じ処理、中折り処理された冊子の小口を断裁手段により断裁して冊子を仕上げる用紙断裁装置において、
中綴じ処理、中折り処理されて形成された冊子を搬送する搬送手段と、前記冊子を所定位置に停止させる停止手段と、前記冊子の小口を断裁する断裁手段と、前記各手段を制御する制御手段と、から構成し、
前記制御手段は、前記搬送手段により前記断裁手段に搬送される冊子の用紙枚数により、前記停止手段の冊子停止位置を可変に制御することを特徴とする用紙断裁装置。
【請求項3】
中綴じ処理、中折り処理された冊子の小口を断裁手段により断裁して冊子を仕上げる用紙断裁装置において、
中綴じ処理、中折り処理されて形成された冊子を搬送する搬送手段と、前記冊子を所定位置に停止させる停止手段と、前記冊子の小口を断裁する断裁手段と、前記各手段を制御する制御手段と、から構成し、
前記制御手段は、前記冊子の用紙枚数が所定枚数以下に設定された場合、自動的に断裁処理を行わないことを特徴とする用紙断裁装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記冊子の用紙枚数が所定枚数以下に設定された場合、自動的に断裁処理を行わず、操作部画面上に断裁処理を実施しなかったことを表示することを特徴とする請求項3に記載の用紙断裁装置。
【請求項5】
中綴じ処理、中折り処理された冊子の小口を断裁手段により断裁して冊子を仕上げる用紙断裁装置において、
中綴じ処理、中折り処理されて形成された冊子を搬送する搬送手段と、前記冊子を所定位置に停止させる停止手段と、前記冊子の小口を断裁する断裁手段と、断裁処理済みの冊子を収容する冊子収納手段と、前記各手段を制御する制御手段と、から構成し、
前記制御手段は、断裁処理実施を選択したときには、前記断裁手段による断裁処理後の冊子を前記搬送手段により前記冊子収納手段に搬送し、断裁処理非実施を選択したときには、前記断裁手段による断裁処理を行わず、前記冊子を前記搬送手段により前記冊子収納手段に搬送するように制御することを特徴とする用紙断裁装置。
【請求項6】
中綴じ処理、中折り処理された冊子の小口を断裁手段により断裁して冊子を仕上げる用紙断裁装置において、
中綴じ処理、中折り処理されて形成された冊子を搬送する搬送手段と、前記冊子を所定位置に停止させる停止手段と、前記冊子の小口を断裁する断裁手段と、断裁処理済みの冊子を収容する冊子収納手段と、前記各手段を制御する制御手段と、から構成し、
前記制御手段は、画像形成処理中にキャンセル操作が行われた時、前記断裁手段による断裁処理を行わず、前記冊子を前記搬送手段により前記冊子収納手段に搬送するように制御することを特徴とする用紙断裁装置。
【請求項7】
中綴じ処理、中折り処理された冊子の小口を断裁手段により断裁して冊子を仕上げる用紙断裁装置において、
中綴じ処理、中折り処理されて形成された冊子を搬送する搬送手段と、前記冊子を所定位置に停止させる停止手段と、前記冊子の小口を断裁する断裁手段と、断裁処理済みの冊子を収容する冊子収納手段と、前記各手段を制御する制御手段と、から構成し、
前記制御手段は、前記搬送手段により搬送される冊子の先端部が、前記停止手段の停止部材に突き当たる直前に、前記停止手段を駆動する駆動源を励磁処理して、前記停止手段を固定状態に保持することを特徴とする用紙断裁装置。
【請求項8】
中綴じ処理、中折り処理された冊子の小口を断裁手段により断裁して冊子を仕上げる用紙断裁装置において、
中綴じ処理、中折り処理されて形成された冊子を搬送する搬送手段と、前記冊子を所定位置に停止させる停止手段と、前記冊子の小口を断裁する断裁手段と、断裁処理済みの冊子を収容する冊子収納手段と、前記各手段を制御する制御手段と、から構成し、
前記制御手段は、前記断裁手段により断裁処理された冊子を搬送して前記冊子収納手段に搬送する搬送中に、後続の冊子を前記断裁手段に搬入させ、前記断裁処理後の冊子の搬送処理と、後続の冊子の搬入処理とを同時に行うことを特徴とする用紙断裁装置。
【請求項9】
中綴じ処理、中折り処理された冊子の小口を断裁手段により断裁して冊子を仕上げる用紙断裁装置において、
中綴じ処理、中折り処理されて形成された冊子を搬送する搬送手段と、前記冊子を所定位置に停止させる停止手段と、前記冊子の小口を断裁する断裁手段と、断裁処理済みの冊子を収容する冊子収納手段と、前記各手段を制御する制御手段と、から構成し、
前記制御手段は、前記停止手段の停止部材の停止位置を、任意に設定した断裁量に対応して調整可能に設定することを特徴とする用紙断裁装置。
【請求項10】
用紙給送手段により給送された用紙に、画像情報に応じて画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により画像形成された用紙を、中綴じ処理する綴じ手段、中綴じ処理された用紙を二つ折り処理する折り手段を備えた用紙後処理装置と、
請求項1〜9の何れか1項に記載の用紙断裁装置とを有し、
画像形成された用紙を二つ折り処理及び中綴じ処理して冊子を作製し、前記冊子の小口を断裁手段により断裁して冊子を仕上げることを特徴とする画像形成装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中綴じ処理、中折り処理された冊子の小口を断裁手段により断裁して冊子を仕上げる用紙断裁装置において、
中綴じ処理、中折り処理されて形成された冊子を搬送する搬送手段と、前記冊子を所定位置に停止させる停止手段と、前記冊子の小口を断裁する断裁手段と、断裁処理済みの冊子を収容する冊子収納手段と、前記各手段を制御する制御手段と、から構成し、
前記制御手段は、前記搬送手段により搬送される冊子の先端部が、前記停止手段の停止部材に突き当たる直前に、前記停止手段を駆動する駆動源を励磁処理して、前記停止手段を固定状態に保持することを特徴とする用紙断裁装置。
【請求項2】
用紙給送手段により給送された用紙に、画像情報に応じて画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により画像形成された用紙を、中綴じ処理する綴じ手段、中綴じ処理された用紙を二つ折り処理する折り手段を備えた用紙後処理装置と、
請求項1に記載の用紙断裁装置とを有し、
画像形成された用紙を二つ折り処理及び中綴じ処理して冊子を作製し、前記冊子の小口を断裁手段により断裁して冊子を仕上げることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−247836(P2006−247836A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−132342(P2006−132342)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【分割の表示】特願2000−191060(P2000−191060)の分割
【原出願日】平成12年6月26日(2000.6.26)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】