説明

田植機用の苗植付け機構

【課題】 苗押し出しロッド37を備えた苗植付け機構を小型に得ることができるようにする。
【解決手段】 苗押し出しロッド37と押し出しアーム54とを、連結部材57によって連結してある。押し出しアーム54が苗押し出し側のストロークエンドに位置すると、連結部材57が植付け爪36の基端側に対して苗押し出しロッド軸芯Xに直交する方向視で重なる状態になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗植付けアームに苗押し出しロッドを摺動自在に支持させるとともに、前記苗押し出しロッドを摺動操作する押し出しアームを、前記植付けアームの内部に駆動揺動自在に設けた田植機用の苗植付け機構に関する。
【背景技術】
【0002】
上記苗植付け機構にあっては、従来、たとえば特許文献1に示されるように、ロッド30A(苗押し出しロッドに相当)が駆動される際、チェーン継手29が植付け爪23の基端よりもロッド30A摺動方向での引退側に位置した箇所で往復移動するものになっていた。
すなわち、押し出しアーム26が苗押し出し側のストロークエンドに位置したとき、ロッド30Aと押し出しアーム26とを連結している連結部材としてのチェーン継手29が植付け爪23の基端よりも苗押し出しロッド摺動方向での引退側に位置するものになっていた。
【0003】
【特許文献1】特開2003−70326号公報(段落〔0023〕−〔0026〕、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の苗植付け機構において、苗植え付けアームが植付け爪を支持するべく備える植付け爪支持部の苗押し出しロッド摺動方向での長さを長くすると、苗植え付けアームによる植付け爪の支持が強固に行なわれるようにできるが、この場合、苗植え付けアームが苗押し出しロッドを支持するべく備えるロッド支持部の苗押し出しロッド摺動方向での長さも長くなる。また、この種の苗植付け機構にあっては、植付け爪の先端側が、苗植え付けアームの前記ロッド支持部から苗押し出しロッド摺動方向での苗押し出しロッド突出側に突出した状態になって、苗植付け機構全体としての苗押し出しロッド摺動方向での長さは、苗植え付けアームと植付け爪とによって決まる。
このため、上記した従来の苗植付け機構にあっては、苗植付けアームによる植付け爪の支持が強固に行なわれるように、苗植え付けアームの植付け爪支持部の苗押し出しロッド摺動方向での長さを長くすると、苗植付け機構全体としては、苗押し出しロッド摺動方向での長さが長い大型になっていた。また、苗植付け機構が苗植え運動するに伴って植付け爪の先端が描く回動軌跡が大きい大型になりがちであった。
【0005】
本発明の目的は、苗植付けアームによる植付け爪の支持を強固に行なわせることができながら小型に得ることができる田植機用の苗植付け機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明にあっては、苗植付けアームに苗押し出しロッドを摺動自在に支持させるとともに、前記苗押し出しロッドを摺動操作する押し出しアームを、前記植付けアームの内部に駆動揺動自在に設けた田植機用の苗植付け機構において、
前記押し出しアームが苗押し出し側のストロークエンドに位置すると、苗押し出しロッドと押し出しアームとを連結している連結部材が、前記苗植付けアームに装着された植付け爪の基端側に対して苗押し出しロッド軸芯に直交する方向視で重なる状態で、前記押し出しアームが駆動揺動されるように構成してある。
【0007】
すなわち、押し出しアームが苗押し出し側のストロークエンドに位置すると、前記連結部材が植付け爪の基端側に対して苗押し出しロッド軸芯に直交する方向視で重なるものだから、苗植付けアームの植付け爪支持部の苗押し出しロッド摺動方向での長さを長くしても、この植付け爪支持部の長さの割には、苗植え付けアームの苗押し出しロッドを支持するロッド支持部の苗押し出しロッド摺動方向での長さを短くして、苗植付け機構全体としての苗押し出しロッド摺動方向での長さも短くすることができる。
【0008】
従って、本第1発明によれば、苗植付けアームの植付け爪支持部の苗押し出しロッド摺動方向での長さを長くして、植付け爪が植付けアームによって強固に支持されるものにしながら、苗植付け機構全体としての苗押し出しロッド摺動方向での長さが短くて、苗植付け機構をその長さの面でも植付け爪の回動軌跡の面でも小型で苗載せ台に極力近づけることができるなど有利な状態に組み付けることができる。
【0009】
本第2発明にあっては、本第1発明の構成において、前記苗植付けアームの内部空間のうち、前記押し出しアームが苗押し出し側のストロークエンドに位置したときに前記連結部材が位置し、かつ、前記苗植付けアームの植付け爪支持部の直下に位置する部位での苗押し出しロッド軸芯に沿う方向視での最大横幅が、前記植付け爪支持部の苗押し出しロッド軸芯に沿う方向視での最大横幅よりも大になる状態に前記苗植え付けアームを形成してある。
【0010】
すなわち、植付け爪の苗植え付けアームの植付け爪支持部に装着される部位を、植付け爪支持部に嵌合するように横断面溝形である状態に、かつ、横幅が爪先の横幅と同一又はそれに近い小横幅である状態に構成し、この結果、苗植付けアームの植付け爪支持部の横幅が小幅になっても、押し出しアームが苗押し出し側のストロークエンドに位置したとき、前記連結部材と植付け爪の基端側とが苗押し出しロッド軸芯に直交する方向視で重なるように、連結部材が入り込む苗植付けアーム内空間を植付け爪支持部の直下に位置する部位に設けることができる。
【0011】
従って、本第2発明によれば、植付け爪全体としては、植付け爪の横幅が先端側でも基端側でも同一又はあまり相違しない簡素なものにしながら、かつ、植付け爪が苗植付けアームの植付け爪支持部に外嵌して強固に支持されるものにしながら、前記連結部材と植付け爪の基端側とが苗押し出しロッド軸芯に直交する方向視で重なるように苗植付け機構を小型化することができる。
【0012】
本第3発明にあっては、本第1又は第2発明の構成において、前記押し出しアームを苗押し出し側に揺動付勢するスプリングを設け、前記押し出しアームの苗押し出し側での停止衝撃を緩和する弾性ストッパーを、前記苗押し出しロッドから外れた部位に配置してある。
【0013】
特許文献1に示される如く弾性ストッパーが苗押し出しロッドと同芯状に配置されたものでは、弾性ストッパーを苗押し出しロッドの周囲でストップ作用するように外径の大きい大型のストッパーにする必要がある。これに対し、本第3発明では、弾性ストッパーを苗押し出しロッドから外れた部位に配置したものだから、弾性ストッパーを小型なストッパーにしても、弾性ストッパーが確実に作用して押し出しアームが停止衝撃を緩和されながら停止するようできる。
【0014】
従って、本第3発明によれば、苗植え付けアームを小型な弾性ストッパーの収容ができれば済むように小型し、この面からも苗植付け機構を小型に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1,2に示すように、左右一対の駆動自在な車輪1によって自走する走行機体の前端部に、前記車輪1などに動力伝達するエンジン2、エンジン用の燃料タンク3を備えた原動部を設け、前記走行機体の後部に、走行機体の機体フレーム20から後方に延出する操縦ハンドル4などを備えた操縦部A、及び、走行機体の横方向に並ぶ四つの苗植付け機構31などを備えた苗植え作業部30を設け、前記走行機体の下方に、左右車輪1,1の間に位置するセンター接地フロート5、左右車輪1,1の両横外側に分かれて位置する左右一対のサイド接地フロート6を設け、左右車輪1,1の上方に位置する予備苗載せ台7が支柱8を介して走行機体に支持されて、4条植え可能な歩行型田植機を構成してある。
【0016】
この田植機は、稲苗の植付け作業を行なうものであり、エンジン2の下方に位置する油圧式の昇降シリンダ9を伸縮操作すると、この昇降シリンダ9が左右車輪1の車輪支持体に兼用の車輪駆動ケース10を走行機体の機体フレーム20に対して上下に揺動操作して左右車輪1,1を機体フレーム20に対して昇降操作することにより、走行機体を各接地フロート5,6が田面に接地した下降作業状態と、各接地フロート5,6が田面から上昇して離れた上昇非作業状態とに昇降操作する。走行機体を前記下降作業状態にして走行させると、各接地フロート5,6が田面上を滑って整地していき、苗植え作業部30が前記四つの苗植付け機構31によって田面の接地フロート5,6による整地箇所に苗植付けを行なっていく。
【0017】
図1,2に示すように、走行機体の前部のエンジン3の後方近くに設けたミッションケース21、このミッションケース21の前部から前方に延出するエンジン搭載フレーム22、前記ミッションケース21の後部から後方に延出する角形鋼管材で成る伝動ケース23、この伝動ケース23の後端部に連結された植付けミッションケース24、この植付けミッションケース24の両横側部から走行機体横外向きに延出する円筒形の伝動ケース25、前記各伝動ケース25の延出端部に連結された植付け駆動ケース26のそれぞれによって前記機体フレーム20を構成し、前記エンジン搭載フレーム22の上面側に前記エンジン2を設け、前記ミッションケース21の両横側に前記車輪駆動ケース10を介して前記車輪1を支持させてある。
【0018】
図1,2に示すように、操縦ハンドル4は、前記植付けミッションケース24の両横側から走行機体後方上方向きに延出された角形鋼管材で成る基部側ハンドル杆4aと、この左右一対の基部側ハンドル杆4aの延出端部に固定されるとともに左右一対の握り部を備えた円形鋼管材で成る先端側ハンドル杆4bとによって構成してある。
【0019】
苗植え作業部30について詳述すると、図2,3,4に示すように、苗植え作業部30は、走行機体の横方向での中心部に位置する前記植付けミッションケース24、この植付けミッションケース24の下部ケース24aの両横側に位置する前記植付け駆動ケース26、前記植付けミッションケース24の両横側に駆動自在に装着した前記苗植付け機構31、前記各植付け駆動ケース26の走行機体内方側の横側に駆動自在に装着した前記苗植付け機構31、前記植付けミッションケース24及び前記各植付け駆動ケース26よりも走行機体後方側で、前記操縦ハンドル4の基部側ハンドル杆4aの上端側部分の前方側近くに設けた一つの苗載せ台32を備えて構成してある。
【0020】
図3,4,7に示すように、各苗植付け機構31は、植付けミッションケース24や植付け駆動ケース26が駆動回動自在に支持する駆動アーム33に中間部が相対回動自在に連結され、植付けミッションケース24や植付け駆動ケース26が往復揺動自在に支持する揺動アーム34に一端側が相対回動自在に連結された苗植付けアーム35、この苗植え付けアーム35の前記揺動アーム34が連結している側とは反対側の端部に設けた植付け爪36及び苗押し出しロッド37、苗植え付けアーム35の内部に設けた図5の如き苗押し出し駆動機構50を備えて構成してある。
【0021】
図5,8に示すように、植付け爪36は、この植付け爪36の基端部に位置する横断面溝形の取り付け部36aが苗植え付けアーム35の植付け爪支持部35aに嵌合されるとともにねじ45によって締め付け連結されることにより、苗植え付けアーム35に支持されている。
【0022】
図5などに示されるように、苗押し出しロッド37は、苗植え付けアーム35のロッド支持部35bに摺動自在に支持されている。苗押し出しロッド37の前記ロッド支持部35bから苗植え付けアーム35の外部に突出した端部に、U字形の板金部材を付設して押し出し作用部37aを設けてある。
【0023】
図5に示すように、苗押し出し駆動機構50は、前記駆動アーム33と苗植え付けアーム35を連結しているとともに駆動アーム33に支持された支軸51に一体回転自在に連結された回転カム52、苗植え付けアーム35の支持部35cに支軸53を介して揺動自在に支持された押し出しアーム54、この押し出しアーム54の前記支軸53の付近に位置する部位と苗植え付けアーム35のばね支持部35dとの間に介装されたスプリング55、苗押し出しロッド37から前記回転カム52が位置する方に外れた部位に配置して苗植え付けアーム35に支持されたゴム材で成る弾性ストッパー56を備えて構成してある。
【0024】
押し出しアーム54の端部は、苗押し出しロッド37の苗植え付けアーム内に位置する端部にチェーン形の連結部材57を介して連結されている。スプリング55は、押し出しアーム54を苗押し出し側に揺動付勢するとともに押し出しアーム54の苗押し出しロッド37に連結している側とは反対側の端部54aを回転カム52のカム周面に当て付け付勢している。
【0025】
図5,8に示すように、苗植え付けアーム35の内部空間のうちの前記植付け爪支持部35aの直下に位置する部位での苗押し出しロッド軸芯Xに沿う方向視での最大横幅W1が、前記植付け爪支持部35aの苗押し出しロッド軸芯Xに沿う方向視での最大横幅W2よりも大になる状態に苗植え付けアーム35を形成して植付け爪支持部35aの直下に位置する部位に連結部材57のための収容空間Sを形成し、押し出しアーム54が苗押し出し側のストロークエンドに位置すると、前記連結部材57が前記収容空間Sに入り込んで植付け爪36の基端側に対して苗押し出しロッド軸芯Xに直交する方向視で重なった状態になるようにして押し出しアーム54が揺動駆動されるように構成してある。
【0026】
苗植え付けアーム35が駆動されると、これに伴って回転カム52が苗植え付けアーム35に対して相対回転するように駆動アーム33によって駆動されて回転カム52のカム周面が押し出しアーム54の端部54aに作用する。
これにより、苗押し出し駆動機構50は、苗植付け機構31が苗植え運動を行なうに伴い、押し出しアーム54を回転カム52によってスプリング55に抗して苗保持側に揺動操作し、押し出しアーム54によって苗押し出しロッド37をロッド支持部35bに引退する側に摺動操作して苗押し出しロッド37の押し出し作用部37aを植付け爪36の基端側に位置した待機位置に操作したり、押し出しアーム54をスプリング55によって苗押し出し側に、連結部材57の苗押し出しロッド37に連結している部位が植付け爪36の基端側の直下に位置するまで揺動操作し、押し出しアーム54によって苗押し出しロッド37をロッド支持部35bから突出する側に摺動操作して苗押し出しロッド37の押し出し作用部37aを植付け爪36の先端側に位置した押し出し作用位置に移動操作したりする。また、押し出しアーム54を苗押し出し側に揺動操作してストロークエンドで停止させる際、弾性ストッパー56によって受け止め支持して停止衝撃を緩和させながら停止させる。
【0027】
すなわち、各苗植付け機構31は、苗植付けアーム35が揺動アーム34によって支持される一端側を揺動支点にした状態で走行機体上下方向に往復揺動するように駆動アーム33によって駆動されて、植付け爪36の先端側が苗載せ台32の下端側に位置するガイドレール38に設けてある苗取り出し口38aと、田面との間を回動軌跡T(図3参照)を描きながら上下に往復移動し、苗取り出し口38aにおいて苗載せ台上のマット状苗から一株分のブロック苗を切断するとともに取り出して下降搬送し、田面に下降すると、苗押し出しロッド37を苗押し出し駆動機構50によって苗押し出し側に摺動操作し、植付け爪36が保持してきたブロック苗を、苗押し出しロッド37の押し出し作用部37aによって植付け爪36から田面の泥土に押し出して植え付け、この苗植付けの後、田面から上昇して苗取り出し口38aに戻るという苗植え運動を行なう。
【0028】
苗載せ台32は、前記複数の苗植付け機構31に各別に供給する複数枚のマット状苗を走行機体横方向に並べて載置するように構成して、かつ、苗載せ台32の上端側ほど走行機体後方側に位置する状態の傾斜姿勢にして、前記各植付け駆動ケース26から走行機体後方向きに延出する支持フレーム11(図4参照)によって支持される前記ガイドレール38などに走行機体横方向に摺動自在に支持されている。図4などに示すように、苗載せ台32の走行機体横方向に沿うところの苗載せ台横方向に並ぶ複数の苗載置部それぞれの裏面側の苗載せ台縦方向での二箇所に苗縦送り輪体39を設けてある。苗載せ台縦方向での上方側に位置する全ての苗縦送り輪体39も、苗載せ台縦方向での下方側に位置する全ての苗縦送り輪体39もそれぞれ一本の回転支軸39aによって一体回転自在に支持されている。上方側の苗縦送り輪体39と下方側の苗縦送り輪体39が連動して回転するように、上方側の苗縦送り輪体39の回転支軸39aと、下方側の苗縦送り輪体39の回転支軸39aとが無端チェーン(図示せず)によって連動されている。
【0029】
図3,4に示すように、前記植付けミッションケース24は、前記伝動ケース23,25及び前記苗植付け機構31が連結している下部ケース部24aと、この下部ケース部24aとは別体のケースに製作して前記下部ケース部24aの上端面上に載置して連結ボルトによって脱着自在に連結した上部ケース部24bとによって構成してある。前記植付けミッションケース24に、前記上部ケース部24bを走行機体横方向に摺動自在に貫通した苗横送り軸40を設けるとともに、この苗横送り軸40を、苗載せ台32の下端側の両端部から走行機体前方向きに延出している連結部材41に連結し、前記苗横送り軸40の一端側に一体回動自在に設けた苗縦送りアーム42を、苗載せ台32の前記上方側の苗縦送り輪体39の回転支軸39aに一方向回転クラッチ(図示せず)を介して連結された輪体駆動アーム39bに連動ロッド43を介して連動させてある。植付けミッションケース24の前記下部ケース部24aの内部に、前記伝動ケース23及び前記ミッションケース21を介してエンジン2から伝達される駆動力を入力して駆動されて前記苗植付け機構31の駆動アーム33を駆動する植付け機構用駆動機構(図示せず)を設け、前記各植付け駆動ケース26の内部に、前記植付けミッションケース内の植付け機構用駆動機構から前記伝動ケース25を介して伝達される駆動力を前記苗植付け機構31の駆動アーム33に伝達してこの駆動アーム33を駆動するチェーン利用の伝動機構(図示せず)を設け、植付けミッションケース24の前記上部ケース部24bの内部に、前記下部ケース部内の植付け機構用駆動機構から駆動力を入力して駆動されて前記苗横送り軸40を往復摺動するように駆動し、かつ、苗載せ台32が左右の横送りストロークエンドに到達する都度に苗横送り軸40を回転駆動して苗縦送りアーム42を駆動する苗載せ台用駆動機構(図示せず)を設けてある。
【0030】
これにより、植付けミッションケース24は、下部ケース部24aの内部に位置する植付け機構用駆動機構によって植付けミッションケース24の両横側に位置する苗植付け機構31の駆動アーム33を駆動することによってその両苗植付け機構31,31を前記苗植え運動を行なうように駆動し、各植付け駆動ケース26は、植付け駆動ケース26の内部に位置する伝動機構によって植え付け駆動ケース26の内側に位置する苗植付け機構31の駆動アーム33を駆動することによってその苗植付け機構31を前記苗植え運動を行なうように駆動する。また、植付けミッションケース24は、上部ケース部24bの内部に位置する苗載せ台用駆動機構によって苗横送り軸40を摺動駆動するとともに苗縦送りアーム42を揺動駆動することにより、苗載せ台32を前記各苗植付け機構31の駆動に連動させて前記ガイドレール38に沿って走行機体横方向に往復移動するように横送り駆動し、かつ、苗載せ台32が左右の横移動ストロークエンドに到達する都度、苗載せ台32の全ての苗縦送り輪体39を苗縦送り方向に回動駆動する。
【0031】
つまり、苗植え作業部30は、植付けミッションケース24の両横側に装着されている苗植付け機構31を植付けミッションケース24による駆動アーム33の駆動によって前記苗植え運動を行なうように駆動し、各植付け駆動ケース26に装着されている苗植付け機構31を植付け駆動ケース26による駆動アーム33の駆動によって前記苗植え運動を行なうように駆動し、各苗植付け機構31によって苗載せ台32に載置されたマット状苗から一株分のブロック苗を切断して取り出し、田面に下降搬送して泥土部に植え付けるようになっている。
そして、植付けミッションケース24による苗横送り軸40の往復駆動によって苗載せ台32を苗植付け機構31の苗植え運動に連動させて走行機体横方向に往復移送し、各苗植付け機構31が苗植付け機構31に供給するべきマット状苗の下端部の横一端側から他端側に向けて順次に一株分のブロック苗を切断して取り出していくように各マット状苗をこのマット状苗に対応する前記苗取り出し口38aに対して走行機体横方向に往復移送するようになっている。また、苗載せ台32が左右の横移動ストロークエンドに到達すると、植え付けミッションケース24による苗縦送りアーム42の駆動によって苗載せ台32の全ての苗縦送り輪体39を回動駆動して、苗載せ台32に載置されている全てのマット状苗を苗植付け機構31による苗載せ台縦方向での取り出し長さに対応した分だけ苗取り出し口38aに向けて縦送りするようになっている。
【0032】
図10に示すように、前記各植付け駆動ケース26を、左右の両ケース部に分離不能で、上端部に脱着自在な蓋体27によって開閉される注油口を備えた単体ケースに構成してある。内部に貯留された潤滑油が左右の両ケース部の間から漏れ出ることが無いオイルバス形になるように、左右の両ケース部の間に分割線が無い単体ケースに構成してある。
【0033】
図7に示すように、前記植付けミッションケース24や前記植付け駆動ケース26と植付け機構駆動軸60との間をシールするように植付けミッションケース24や植付け駆動ケース26に設けたシール材61、苗植え付けアーム35と前記支軸51との間をシールするように苗植え付けアーム35に設けたシール材61、前記揺動アーム34と苗植え付けアーム連結軸の間をシールするように揺動アーム34に設けたシール材61、前記揺動アーム34と植付けミッションケース支軸や駆動ケース支軸との間をシールするように揺動アーム34に設けたシール材61のそれぞれを、サイドリップを備えて泥水浸入を防止するラビリンス構造を構成するシール材に構成してある。
【0034】
図7,9に示すように、前記駆動アーム33に装着されたクサビ利用の位置決め具65により、駆動アーム33を植付け機構駆動軸60に対して走行機体横方向に位置変更調節して連結することができるように構成してある。揺動アーム支軸68に、前記植付けミッションケース24や前記植付け駆動ケース26の支持アーム部66における支軸孔を挿通するとともに支持アーム部66に相対回転不能に係合する小判形軸部68a、揺動アーム支軸68の支持アーム部66から突出した端部に装着された抜け止めねじ69を設けて、揺動アーム支軸68に装着するシムなどの位置決めプレート70を板厚が異なるものに変更することにより、揺動アーム支軸68の支持アーム部66に対する位置変更調節を行なうように構成してある。
すなわち、駆動アーム33の植付け機構駆動軸60に対する位置調節と、位置決めプレート70の変更による揺動アーム支軸68の支持アーム部66に対する位置調節とを行なうことにより、植付け爪36が苗取り出し口38aを適切に通過するように、苗植付け機構31を植付けミッションケース24や植付け駆動ケース26に対して走行機体横方向に位置調節して装着することができるようになっている。
この場合、位置決めプレート70及び抜け止めねじ69に替えてコッタピンを採用することにより、揺動アーム支軸68を支持アーム部66に対して調節位置に固定するように構成してもよい。
【0035】
図11は、別の実施形態を備えた苗植付け機構31の位置調節構造を示し、この位置調節構造にあっては、図7に示される調節構造と同様に、前記駆動アーム33に装着されたクサビ利用の位置決め具65により、駆動アーム33を植付け機構駆動軸60に対して走行機体横方向に位置変更調節して連結することができるように構成してある。前記植付けミッションケース24や前記植付け駆動ケース26の支持アーム部66に装着された位置決めボルト67により、揺動アーム支軸68を前記支持アーム部66に対して走行機体横方向に位置変更調節して支持させることができるように構成してある。
すなわち、駆動アーム33の植付け機構駆動軸61に対する位置変更調節と、揺動アーム支軸68の支持アーム部66に対する位置変更調節とを行なうことにより、苗植付け機構31を植付けミッションケース24や植付け駆動ケース26に対して走行機体横方向に位置調節して装着することができるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】歩行型田植機全体の側面図
【図2】機体フレームの平面図
【図3】苗植え作業部の機体中央部での側面図
【図4】苗植え作業部の機体横外側部での側面図
【図5】苗植付け機構の苗押し出しロッド引退状態での断面図
【図6】苗植付け機構の苗押し出しロッド突出状態での断面図
【図7】苗植付け機構位置調節構造の断面図
【図8】苗植え付けアームの植付け爪支持部での断面図
【図9】植付け駆動アームの位置決め具配設部の断面図
【図10】植付け駆動ケースの正面図
【図11】別の実施構造を備えた苗植付け機構位置調節構造の断面図
【符号の説明】
【0037】
35 苗植え付けアーム
35a 苗植付け支持部
36 植付け爪
37 苗押し出しロッド
54 押し出しアーム
56 弾性ストッパー
57 連結部材
X 苗押し出しロッド軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗植付けアームに苗押し出しロッドを摺動自在に支持させるとともに、前記苗押し出しロッドを摺動操作する押し出しアームを、前記植付けアームの内部に駆動揺動自在に設けた田植機用の苗植付け機構であって、
前記押し出しアームが苗押し出し側のストロークエンドに位置すると、苗押し出しロッドと押し出しアームとを連結している連結部材が、前記苗植付けアームに装着された植付け爪の基端側に対して苗押し出しロッド軸芯に直交する方向視で重なる状態で、前記押し出しアームが駆動揺動されるように構成してある田植機用の苗植付け機構。
【請求項2】
前記苗植付けアームの内部空間のうち、前記押し出しアームが苗押し出し側のストロークエンドに位置したときに前記連結部材が位置し、かつ、前記苗植付けアームの植付け爪支持部の直下に位置する部位での苗押し出しロッド軸芯に沿う方向視での最大横幅が、前記植付け爪支持部の苗押し出しロッド軸芯に沿う方向視での最大横幅よりも大になる状態に前記苗植え付けアームを形成してある請求項1記載の田植機用の苗植付け機構。
【請求項3】
前記押し出しアームを苗押し出し側に揺動付勢するスプリングを設け、前記押し出しアームの苗押し出し側での停止衝撃を緩和する弾性ストッパーを、前記苗押し出しロッドから外れた部位に配置してある請求項1又は2記載の田植機用の苗植付け機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate