説明

田植機

【課題】苗継センサで2条分の苗継ぎを検出でき、しかも、苗継センサ本体の保護枠を苗載台上に設けること。
【解決手段】苗マットが載置された苗載台16を、横送り機構により左右方向に横送りしながら、苗マットから苗を植付爪により切削して圃場に植え付けが出来る田植機であり、苗載台16の表面のリブの両側であって、苗の縦送りベルト123の付近に、苗載台16の盤面に沿って、苗載台16の両側の何れかのリブ方向に回動する双方向苗継ぎ検知センサーを設ける。
又、双方向苗継ぎ検知センサーは、苗マットが苗載台16に有る時はリブに内装され、該双方向苗継ぎ検知センサーの頂部は、軸部材で遊嵌自在に軸支したものであると好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、田植機の苗載台に搭載する苗継センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、田植機の苗継センサは図10に示すような構造であり、苗載台16下側の各条中央に苗の有無を検出する苗継センサ210を設けるものである。そして苗載台16上の苗底面に当接させる苗検出カム212と、該カム212に接触させる苗検出スイッチ214とをセンサ210は備える。そして、苗載台16に苗の搭載されている時は、外側に回動するようにバネで付勢された検出カム212が苗の自重により内方に揺動し苗検出スイッチ214がオンになる。
そして、苗が無くなれば、検出カム212は外方に回動し、苗検出スイッチ214はオフになり、苗継ぎ時期を検出するように構成している。
これに関連する技術は、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2002−272225号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特開2002−272225号の苗継センサでは、1条分の苗継しか監視できなかった。又、センサ本体が苗載台の下に配置されていた為、上方からの直接加重を受ける等センサ本体に影響が少なくなかった。
そこで、本発明は、苗継センサで2条分の苗継ぎ時期を検出できる苗継ぎセンサであり、しかも、苗継センサ本体を苗載台16の各リブの中に収容した乗用田植機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、苗マットが載置された苗載台を、横送り機構により左右方向に横送りしながら、苗マットから苗を植付爪により切削して圃場に植え付けが出来る田植機において、苗載台の表面のリブの両側であって、苗の縦送りベルトの付近に、苗載台の盤面に沿って、苗載台の両側の何れかのリブ方向に回動する双方向苗継ぎ検知センサーを設けた田植機を提供することにある。
又、双方向苗継ぎ検知センサーは、苗マットが苗載台に有る時はリブに内装され、該双方向苗継ぎ検知センサーの頂部は、軸部材で遊嵌自在に軸支したものであると好適である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の請求項1の発明では、苗載台の表面のリブの両側であって、苗の縦送りベルトの付近に、苗載台の盤面に沿って、苗載台の両側の何れかのリブ方向に回動する双方向苗継ぎ検知センサーを設けると2条分の苗継ぎを検出でき、苗継ぎ検知センサーの設置箇所を少なくできる。
又請求項2の発明では、双方向苗継ぎ検知センサー本体を苗マットが苗載台に有る時はリブに内装したので、苗継ぎ検知センサー本体の保護枠を新規に設ける必要がなく、苗載せ台のリブにより、センサー本体の保護が図れる。
又双方向苗継ぎ検知センサーの頂部を軸部材で遊嵌自在に軸支したので、簡単な構造で、2条分の苗継ぎ検知が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は乗用田植機の側面図、図2は同平面図を示し、図中1は作業者が搭乗する走行車であり、エンジン2を車体フレーム3に搭載させ、前後方向に長手状のミッションケース4前方にフロントアクスルケース5を介して水田走行用前輪6を支持させると共に、前記ミッションケース4後部のリヤアクスルケース7に水田走行用後輪8を支持させる。そして前記エンジン2等を覆うボンネット9両側に予備苗載台10を取付けると共に、作業者が搭乗する車体カバー11によって前記ミッションケース4等を覆い、前記車体カバー11後側の運転台12上面に運転席13を取付け、その運転席13の前方で前記ボンネット9後部に操向ハンドル14を設ける。
【0007】
また、図3中15は4条植え用の苗載台16並びに複数の苗植付爪17などを具備する植付部であり、前高後低の前傾式苗載台16を下部レール18及びガイドレール19を介して植付フレーム20に左右往復摺動自在に支持させると共に、一方向に等速回転させるロータリケース21を前記植付フレーム20に支持させ、該ケース21の回転軸芯を中心に対称位置に一対の爪ケース22・22を配設し、その爪ケース22・22先端に苗植付爪17・17を取付ける。また前記植付フレーム20の左右両端側に左右サイドフレーム23・23を立設させて苗載台16を支持させ、植付フレーム20左右中央のヒッチブラケット24をトップリンク25及びロワーリンク26を含む昇降リンク機構27を介し走行車1に連結させ、走行車1に設ける油圧昇降シリンダ28をロワーリンク26に連結させ、該昇降シリンダ28の駆動時にリンク機構27を介し植付部15を昇降させると共に、植付部15の下降時には左右に往復摺動させる苗載台16から一株分の苗を植付爪17によって取出し、連続的に苗植え作業を行うように構成されている。
【0008】
また、図中29は主変速レバー、30は機体の搭乗位置は勿論のこと機体から降りた位置で走行停止などの操作を可能とさせる苗継ぎレバー、31は植付昇降レバー、32は主クラッチペダル、33・33は左右ブレーキペダル、34は2条分均平用センタフロート、35は1条分均平用サイドフロート、36は4条用側条施肥機、37・37は後輪8の外側に配備させる補助車輪である。
【0009】
図4に示す如く、前記植付フレーム20は各2条分用のパイプ製左右縦フレーム44a・44bと、左右縦フレーム44a・44bの前端間を連結するパイプ製横フレーム45とを備え、バルジ加工で形成する十字形フレーム継手(十字管継手)46を各縦フレーム44a・44b先端に溶接固定させ、回転軸47を介し前記ロータリケース21を継手46に回転自在に支持させると共に、バルジ加工で形成する左右十字形フレーム継手(十字管継手)48a・48bを縦フレーム44a・44bと横フレーム45に溶接固定させて、これら縦及び横フレーム44a・44b・45を一体連結させて軽量の植付フレーム20を形成するように構成している。
【0010】
また、右フレーム継手48bの前端部に植付入力軸49を設け、前記ミッションケース4のPTO軸からの駆動力を自在継手軸50(図1、図4)を介し入力軸49に伝達させ、横フレーム45に内設する植付駆動軸51にベベルギヤ49a・52を介し入力軸49を連動連結させると共に、前記左右縦フレーム44a・44bに内設する植付爪駆動軸53をベベルギヤ52・54及び安全クラッチ55を介し植付駆動軸51に連結させ、前記回転軸47にベベルギヤ56a・56b及び植付爪ユニットクラッチ57を介し植付爪駆動軸53を連動連結させて、苗植付爪17の駆動を行うように構成している。
【0011】
さらに、苗載台16の左右方向の横送りと苗載台16上の苗の縦送りを行う為の苗送り軸58を苗送りケース59を介し植付駆動軸51の左端に連動連結させるもので、左フレーム継手48aの左端取付部であるフランジ部60に苗送りケース59の一端側フランジ部61をボルト止め固定させ、ケース59の他端側に苗送り軸58の左端を挿入支持させ、ケース59内の駆動軸51と苗送り軸58間に高低変速用の2組の切換ギヤ62・63で形成する変速機構64を介在させ、機体略中心に対し苗送り軸58の左半分を苗縦送りカム軸65・右半分を苗台横送りネジ軸66に設けて、苗送り軸58の高低2速の回転駆動時に苗載台16の横送りと、苗載台16上の苗の縦送りを行うように構成している。
【0012】
ブラケット109で苗送り軸58の略中間を回転自在に支持させるもので、右支持ステー77に固設する軸受板111とブラケット109間に軸受112を介し前記横送りネジ軸66両端を支持させ、前記縦送りカム軸65の右端を継手113を介しネジ軸66左端に、また左端を苗送りケース59にそれぞれ連結支持させて、これら左右に分割される縦送りカム軸65及びネジ軸66を両持ち構造とさせて支持強度を向上させると共に、縦送りカム軸65の右端を同一軸芯でネジ軸66に連結させて縦送り精度を向上させるように構成している。前記カム軸65は鉄製中空パイプで、またネジ軸66は中実鉄材で形成して、機体中心より左側に前記苗送りケース59とカム軸65、右側に重さの大きいネジ軸66を振り分け配置させて、左右のバランスを良好とさせるように設けている。
【0013】
また、前記ネジ軸66には滑り子114をネジ結合させ、苗載台16に滑り子受け115を介して滑り子114を連結させて、ネジ軸66の一方向の回転時に苗載台16を左右往復移動させると共に、前記縦送りカム軸65には左右縦送りカム116を有して、苗載台16が左右移動端まで移動するときには従動カム117に縦送りカム116を当接させ一方向クラッチ118を介し縦送りローラ軸119を一方向に回転させて、苗載台16下端側に設ける上下一対のローラ軸119・120の縦送りローラ121・122間に巻回する縦送りベルト123を苗1株分下端方向に移動させるように構成している(図5,6参照)。
【0014】
図7は、本件発明の苗載台の苗継ぎセンサを設けた一実施例を示すのものであり、16は、苗載台である。図示された田植機は4条植であり、各リブ140、142、144、146、148が設けられている。各リブ間にマット形状の苗床の苗が供給され、各リブの下部の苗は、縦送りローラ121・122間に巻回する縦送りベルト123により、苗1株分下端方向に移動させるように構成している。そして、下端より図6に示すように苗植付爪17により、田圃に植えられる。
【0015】
又、苗載台16の裏側上部に左右各2条用ユニットクラッチレバー152・152を設けて、これを操作することにより、縦送りベルト123の回動を止められるようになっている。縦送りユニットクラッチ150は、ユニットクラッチレバー152を操作した場合に、縦送りベルト123の縦送りローラ121・122の回転を止めるようになっている。
【0016】
更に、前記苗載台16の右側から1条目と2条目の右側リブ142裏側に苗台アーム155を固設させ、前記滑り子受け115にボルト115aを介して苗台アーム155を係合連結させて、苗載台16の左右方向の横送りを行うものである。
【0017】
各リブ142、146の縦送りローラ121・122間には、双方向苗継ぎスイッチ160が設けられており、各リブの両側の苗マットが補給されているかを監視している。なお、双方向苗継ぎスイッチ160は、双方向苗継ぎ検知センサーの役割をはたしている。
リブ142に設けられた双方向苗継ぎスイッチ160は、リブ140と142間、リブ142と144間の苗継ぎの補給状況を監視しており、後述の通り左右の左苗継ぎ検知センサー162、右苗継ぎ検知センサー164を設けて、苗マットが欠乏すると、各検知センサーが苗載台の盤面を左苗継ぎ検知センサー162はリブ140の方向に左回動し、右苗継ぎ検知センサー164はリブ148の方向に右回動することにより、その回動状況により、検知センサーが働くようになっている。
リブ146に設けられた双方向苗継ぎスイッチ160は、リブ144と146間、リブ146と148間の苗継ぎの補給状況を監視しており、左苗継ぎ検知センサー162、右苗継ぎ検知センサー164の役割はリブ142に設けられた双方向苗継ぎスイッチ160と同様である。
なお、各双方向苗継ぎスイッチ160は各リブの山型部分の内側に内装されており、苗マットが無い状態では、後述する左苗継ぎ検知センサー162、右苗継ぎ検知センサー164が、苗載台上に回動した状態でなっている。
【0018】
図8の(A)乃至(E)の各図は本発明の苗継ぎスイッチの説明図であり、双方向苗継ぎスイッチ160は、左苗継ぎ検知センサー162、右苗継ぎ検知センサー164から構成され、各検知センサーは、中空箱状であり、苗載台のリブ側が開口している。そして、各検知センサーは軸部材であるピン166に遊嵌自在に軸支されており、左苗継ぎ検知センサー162、右苗継ぎ検知センサー164は軸部材であるピン166により回動自在である。そして、左苗継ぎ検知センサー162の中空部分には箱形の電磁スイッチ168(図9参照)が設けられている。電磁スイッチ168には、板状のバネ170が支点172に軸支されており、フリーの状態で接点174より離れており通電していない。即ち図8(A)は、左苗継ぎ検知センサー162、右苗継ぎ検知センサー164は共に、苗マットが無い状態であり、電源オフの状態である。
【0019】
板状のバネ170は、反対側の右苗継ぎ検知センサー164の内部に当接しており、左苗継ぎ検知センサー162、右苗継ぎ検知センサー164が、両方共に各リブ側に即ち内側に回動すると板状のバネ170は、接点174に接触し、電源オンとなる[図8(C)参照]。
【0020】
なお、双方向苗継ぎスイッチ160は、左苗継ぎ検知センサー162、右苗継ぎ検知センサー164が、両方共に各リブ側に即ち内側に回動した状態では[図8(C)参照]、その全体が、苗載台のリブの山部分の内側に内装された状態であり、左苗継ぎ検知センサー162、右苗継ぎ検知センサー164が、リブの側部から苗載台の表面部分に突設するように付勢されているので、苗載台に苗が無い時は、左苗継ぎ検知センサー162、右苗継ぎ検知センサー164がリブの左右から苗載台盤面を、左苗継ぎ検知センサー162は、リブ140側に苗載台盤面を左回動し、右苗継ぎ検知センサー164は苗載台盤面をリブ148側に右回動して、双方向苗継ぎスイッチ160の一部が各リブから突設された状態となる。
【0021】
前述したように、苗マットが、苗載台に補給されている時は、苗マットの自重で、左苗継ぎ検知センサー162、右苗継ぎ検知センサー164がリブ側即ち内側に回動するようになっている。
そして、左右のリブ間に苗マットが供給されている時は、左苗継ぎ検知センサー162、右苗継ぎ検知センサー164は共に閉じており[図8(C)]、板状のバネ170は、接点174に接触して、電源オンの状態になっている。
【0022】
しかし、例えば、右苗継ぎ検知センサー164の右回動方向側の苗マットが無くなるか、又は苗マットの量が少なくなり右苗継ぎ検知センサー164と苗マットが当接しない状態になると、図8(D)の状態になり、板状のバネ170が、接点174から離れて、電磁スイッチ168がオフになる。同様に左苗継ぎ検知センサー162の苗が無くなるか、又は苗マットの量が少なくなり左苗継ぎ検知センサー162と苗マットが当接しない状態になると、図8(E)の状態になり、板状のバネ170が、接点174から離れて、電磁スイッチ168がオフになる。
【0023】
以上から明白な通り、双方向苗継ぎスイッチ160は、左苗継ぎ検知センサー162、右苗継ぎ検知センサー164により何れか1条分の苗マットが無くなるか、又は苗マットの量が少なくなり、検知センサー162又は検知センサー164の何れかが苗載台上に回動した状態(突設した状態)になると、電源がオフになり、この情報を操縦者に苗継ぎ警報として伝達する事になっている。
操縦者はこれを受けて、所定の部分の苗を補充するのである。
なお以上に実施例に限定されず、同時に2条分以上の苗マットが不足した場合でも苗継ぎ情報として伝達できるように設定しても良い。
【0024】
図9は本発明の苗継ぎスイッチの電磁スイッチ168の詳細正面図であり、電磁スイッチ168には、板状のバネ170が支点172に軸支されており、フリーの状態で接点174より離れており通電していない。フリーの状態は鎖線で図示されている。そして、左苗継ぎ検知センサー162、右苗継ぎ検知センサー164が苗マットで押圧されると、実線のように、板状のバネ170が接点174に接触し、通電状態になる。
その逆に板状のバネ170が接点174から離れた時に通電状態になる構成でも良く、通電、非通電と苗継ぎ情報の伝達は、適宜設計変更可能である。
【0025】
なお本発明はその発明の技術思想に反しない限り、本実施例に限定されず、他の実施例を排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】田植機の全体側面図。
【図2】田植機の全体平面図。
【図3】苗載台付近の側面図。
【図4】植付フレーム付近の一部断面を含む説明図。
【図5】従動カム117に縦送りカム116を当接させ一方向クラッチ118を介し縦送りローラ軸119を回動させている状態を示した説明図。
【図6】苗載台16下端側の縦送りローラ121・122間に巻回する縦送りベルト123付近の説明図。
【図7】苗載台の背面説明図。
【図8】苗継ぎスイッチの説明図であり、(A)が正面図、(B)が斜視図、(C)は、両側に苗マットが補給されている状態の説明正面図、(D)及び(E)は片側の苗マットが補給されていない状態の説明正面図である。
【図9】電磁スイッチ168の詳細正面図。
【図10】従来の苗継ぎスイッチの側面図。
【符号の説明】
【0027】
15 植付部
16 苗載台
73 植深調節レバー(調節操作部材)
89 苗取量調節レバー(調節操作部材)
121・122 縦送りローラ
123 縦送りベルト
160 双方向苗継ぎスイッチ
162 左苗継ぎ検知センサー
164 右苗継ぎ検知センサー
168 電磁スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗マットが載置された苗載台を、横送り機構により左右方向に横送りしながら、苗マットから苗を植付爪により切削して圃場に植え付けが出来る田植機において
苗載台の表面のリブの両側であって、苗の縦送りベルトの付近に、苗載台の盤面に沿って、苗載台の両側の何れかのリブ方向に回動する双方向苗継ぎ検知センサーを設けたことを特徴とする田植機。
【請求項2】
前記双方向苗継ぎ検知センサーは、苗マットが苗載台に有る時はリブに内装され、該双方向苗継ぎ検知センサーの頂部は、軸部材で遊嵌自在に軸支した請求項1記載の田植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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