説明

画像処理装置

【課題】互いに異なる種類のインタフェース規格に準拠した撮像装置から並行して画像を取り込む。
【解決手段】本実施形態の画像処理装置1では、画像取込部11が、ケーブルを介してコネクタ10A,10Bに接続されている撮像装置2のインタフェース規格を判別し、判別したインタフェース規格に適合した方式で撮像装置2から画像を取り込む。したがって、画像取込部11により、互いに異なる種類のインタフェース規格(PoCL規格とPoCL-Lite規格)に準拠した撮像装置2から並行して画像を取り込むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置から取り込んだ画像に対して種々の画像処理を実行する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮像装置から取り込んだ画像に対してエッジ検出などの画像処理を実行して対象物の検査(欠陥や汚れの有無などを調べる検査)を行うための画像処理装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、カラー画像を撮像する撮像装置と白黒画像を撮像する撮像装置から並行して画像を取り込んで処理することができる画像処理装置も提供されている。
【0003】
ところで、複数台の撮像装置から並行して画像を取り込むためには、画像処理装置に複数の画像入力部(インタフェース)が必要になる。一方、撮像装置から画像処理装置へ画像(画像データ)を伝送する規格には、カメラリンク規格やUSB規格などの種々の規格が存在しており、従来の画像処理装置には、同一規格の撮像装置のみから取込可能な複数の画像入力部が設けられていた。つまり、従来の画像処理装置では、画像入力部の規格によって、取込可能な撮像装置が1種類に制限されてしまっていた。そのため、異なる規格の撮像装置から画像を取り込むためには、その規格に適合した画像入力部を備える画像処理装置を別途用意する必要があった。
【0004】
なお、民生用のディジタルビデオカメラでは、テレビ受像機やレコーダ、パーソナルコンピュータなどの複数種類の機器に画像を出力可能とするために複数種類のインタフェースを備えている。そして、この種のディジタルビデオカメラは、機器が接続されるインタフェースの種類を判別し、判別した種類に対応したインタフェース規格に準拠して画像データ等を伝送する(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−102736号公報
【特許文献2】特開2005−176249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した検査の対象物は製造ラインを流れる工業製品であり、製造ラインの途中で検査が行われることが多いため、撮像装置の設置スペースに余裕のない場合が多い。したがって、特許文献2に記載されているような撮像装置は複数種類のインタフェースを具備しているがために大型化してしまうので、上述した検査の用途に利用することは困難である。したがって、上述したような検査用途においては、画像処理装置の側でインタフェース規格の異なる撮像装置に対応する必要がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、互いに異なる種類のインタフェース規格に準拠した撮像装置から並行して画像を取り込むことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像処理装置は、撮像装置から取り込んだ画像に対して種々の画像処理を実行する画像処理装置において、一端に撮像装置が接続されたケーブルが挿抜自在に接続される複数のコネクタと、前記コネクタに接続されている前記ケーブルを介して前記撮像装置から画像を取り込む画像取込部と、前記画像取込部が取り込んだ前記画像に対して前記画像処理を実行する画像処理部とを備え、前記画像取込部は、前記ケーブルを介して前記コネクタに接続されている前記撮像装置のインタフェース規格を判別し、判別したインタフェース規格に適合した方式で前記撮像装置から前記画像を取り込むことを特徴とする。
【0009】
この画像処理装置において、前記ケーブルを介して前記コネクタに接続されている前記撮像装置に対して、画像を撮像する際の撮像条件を設定する設定部を備えることが好ましい。
【0010】
この画像処理装置において、前記画像取込部は、前記各コネクタに接続されている前記各撮像装置から並行して画像を取り込む状態と、前記各コネクタに接続されている前記各撮像装置の中の何れか1つから画像を取り込む状態とを択一的に選択することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像処理装置は、互いに異なる種類のインタフェース規格に準拠した撮像装置から並行して画像を取り込むことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る画像処理装置の実施形態を示すブロック図である。
【図2】同上の動作説明用のフローチャートである。
【図3】同上における撮像装置の動作説明用のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、工場などにおける製品の外観検査に用いられる画像処理装置に本発明の技術思想を適用した実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
本実施形態の画像処理装置1は、図1に示すように一対のコネクタ10A,10B、画像取込部11、画像処理部12、表示処理部13、演算処理部14、記憶部15、入力デバイスインタフェース16、モニタインタフェース17、外部記憶メディア駆動部18、ネットワークインタフェース(I/F)19などを備えている。
【0015】
コネクタ10A,10Bは、何れもPoCL(Power over Camera Link)規格に準拠した26PinのSDRコネクタ(SDRレセプタクルコネクタ)からなり、図示しないケーブルの一端に設けられているSDRコネクタ(SDRプラグコネクタ)が挿抜自在に接続される。なお、ケーブルの他端には、PoCL規格又はPoCL-Lite規格の何れかに準拠した撮像装置2が接続可能である。PoCL-Lite規格は、PoCL規格に対して伝送線(ケーブルの芯線)の数が26から14に削減されており、ピン配列(ピンアサイン)も異なっている。例えば、PoCL規格における同期クロックは5番ピンと18番ピンが使用されるが、PoCL-Lite規格では5番ピンと12番ピンが同期クロックに使用される。ただし、PoCL-Lite規格に準拠した撮像装置2がコネクタ10A,10Bに接続される場合、PoCL-Lite規格のピン配列からPoCL規格のピン配列に変換する変換機能付のケーブルが用いられる。
【0016】
画像取込部11は、コネクタ10A,10Bを介して出力するトリガ信号に応じて撮像装置2から画像の取り込みを行う。撮像装置2は、画像取込部11からトリガ信号を受け取ったときに撮像素子(CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサ)を駆動して画像を撮像し、撮像した画像(画像データ)をケーブルを介して出力する。また、撮像装置2が画像を撮像する際の条件(例えば、シャッタースピードなど)は、画像取込部11からケーブルを介して伝送される設定情報に基づいて撮像装置2が設定する。なお、PoCL規格及びPoCL-Lite規格では、画像取込部11からコネクタ10A,10B及びケーブルを介して撮像装置2に動作用の電源を供給することができる。
【0017】
画像処理部12は、画像取込部11で取り込まれた画像に対して特徴抽出やエッジ検出などの検査に必要とされる種々の画像処理を実行するものであって、例えば、DSPで構成される。
【0018】
表示処理部13は、画像取込部11で取り込まれた画像や演算処理部14で作成される種々の情報(検査結果や検査のためのマンマシンインタフェース用の画面など)を表示装置(モニタ)4に応じた表示方式(例えば、VGA方式)に変換し、モニタインタフェース17を介して出力する。モニタインタフェース17には、VGA方式のケーブルを介して表示装置4が接続され、表示処理部13から出力される画像や種々の情報が表示装置4の液晶ディスプレイパネルなどに表示される。
【0019】
演算制御部14は、CPUやメモリなどのハードウェアと、画像処理装置1全体の制御や種々の検査などを行うためのソフトウェアとで構成される。そして、演算制御部14は、画像処理部12で画像処理された後の画像データに対して種々の検査を行ったり、上述した種々の情報や検査結果などを表示処理部13に出力して表示装置4に表示させる。
【0020】
入力デバイスインタフェース16は、キーボードやマウス、タッチパッドなどの種々の入力デバイス3と演算制御部14との間をインタフェースするものである。そして、演算処理部14で実行される検査の種類や検査条件などのデータが入力デバイス3から入力デバイスインタフェース16を介して演算処理部14に入力される。
【0021】
記憶部15は、フラッシュメモリなどの電気的に書換可能な不揮発性の半導体メモリからなり、演算処理部14によって画像や検査結果などの種々のデータが書き込まれ、且つ読み出される。
【0022】
外部記憶メディア駆動部18は、演算処理部14の制御の元でSDメモリカードなどの外部記憶メディアを駆動し、画像や検査結果などの種々のデータを書き込み且つ読み出すものである。またネットワークI/F19は、イーサネット(登録商標)などのネットワークを介してデータ通信を行い、ネットワーク上の外部記憶装置(NAS:Network Attached Storage)などに画像や検査結果などの種々のデータを書き込み且つ読み出すためのものである。
【0023】
次に、本実施形態の画像処理装置1において、コネクタ10A,10Bに接続された撮像装置2のインタフェース規格(PoCL規格又はPoCL-Lite規格)を判別し、判別したインタフェース規格に適合した方式で撮像装置2から画像を取り込む動作(手順)を説明する。図2は、画像処理装置1の動作を説明するためのフローチャートであり、図3は、撮像装置2の動作を説明するためのフローチャートである。
【0024】
まず、画像処理装置1の電源が投入されて各部(画像取込部11、画像処理部12、表示処理部13、演算処理部14)が起動すると、画像取込部11から撮像装置2への電源供給が開始される。撮像装置2は、電源が供給されて起動した後、ケーブルを介して同期クロックの送信を開始する(図3のステップS1)。
【0025】
一方、画像処理装置1の画像取込部11は、電源供給の開始後、変数nを1に初期化し(図2のステップS1)、コネクタ10A,10Bからケーブルを介してPoCL規格に準拠した通信を行い、所定のタイムアウト時間が経過するまで撮像装置2の応答を待つ(図2のステップS2)。すなわち、PoCL規格とPoCL-Lite規格ではピン配列が異なっているので、画像取込部11は、PoCL規格のピン配列に適合させ、撮像装置2から送信される同期クロックに同期させて信号を送信する。
【0026】
コネクタ10A,10BにPoCL規格の撮像装置2が接続されていれば、画像取込部11は、撮像装置2のピン配列に適合したピン配列で通信を行うことができる。そして、タイムアウト時間の経過前に撮像装置2から応答があれば、画像取込部11はコネクタ10A,10Bに接続されている撮像装置2のインタフェース規格をPoCL規格と判別する。しかしながら、タイムアウト時間の経過前に撮像装置2から応答がない場合、画像取込部11は、変数nに1を加え(図2のステップS3)、変数nが3を超えていないか判定する(図2のステップS4)。変数nが3を超えていなければ、画像取込部11はステップS2に戻って再度PoCL規格に準拠した通信を行い、所定のタイムアウト時間が経過するまで撮像装置2の応答を待つ。ここで、コネクタ10A,10BにPoCL-Lite規格の撮像装置2が接続されている場合、画像取込部11と撮像装置2のピン配列が異なるため、撮像装置2が画像取込部11から送信される信号を受信できず且つ応答もできない。
【0027】
そして、画像取込部11は、撮像装置2から応答がなければ、変数nが3を超えるまでステップS2〜S4の処理を繰り返し、変数nが3を超えたら、コネクタ10A,10BにはPoCL規格の撮像装置が接続されていないと判断し、再び変数nを1に初期化する(図2のステップS5)。
【0028】
画像取込部11は、変数nを1に初期化した後、コネクタ10A,10Bからケーブルを介してPoCL-Lite規格に準拠した通信を行い、所定のタイムアウト時間が経過するまで撮像装置2の応答を待つ(図2のステップS6)。
【0029】
コネクタ10A,10BにPoCL-Lite規格の撮像装置2が接続されていれば、画像取込部11は、撮像装置2のピン配列に適合したピン配列で通信を行うことができる。そして、タイムアウト時間の経過前に撮像装置2から応答があれば、画像取込部11はコネクタ10A,10Bに接続されている撮像装置2のインタフェース規格をPoCL-Lite規格と判別する。しかしながら、タイムアウト時間の経過前に撮像装置2から応答がない場合、画像取込部11は、変数nに1を加え(図2のステップS7)、変数nが3を超えていないか判定する(図2のステップS8)。変数nが3を超えていなければ、画像取込部11はステップS2に戻って再度PoCL-Lite規格に準拠した通信を行い、所定のタイムアウト時間が経過するまで撮像装置2の応答を待つ。そして、画像取込部11は、撮像装置2から応答がなければ、変数nが3を超えるまでステップS2〜S4の処理を繰り返し、変数nが3を超えたら、何れのコネクタ10A,10Bにも撮像装置2が接続されていないと判断して処理を終了する。
【0030】
画像取込部11は、ステップS2又はステップS6で撮像装置2のインタフェース規格がPoCL規格又はPoCL-Lite規格と判別した場合、判別したインタフェース規格に適合する通信方式で制御コマンド(種別情報要求コマンド)を送信する(図2のステップS9)。
【0031】
撮像装置2は、同期クロックの送信開始後、種別情報要求コマンドの受信待ちを行い(図3のステップS2)、当該制御コマンドを受信すれば、自己の種別情報(画素数やフレームレート、カラー又は白黒など)を画像処理装置1に送信する(図3のステップS3)。
【0032】
画像取込部11は、撮像装置2から取得した種別情報に基づいて演算制御部14が設定した設定情報を送信する(図2のステップS10)。すなわち、本実施形態の画像処理装置1では、演算制御部14が設定部に相当する。
【0033】
撮像装置2は、種別情報の送信後、設定情報の受信待ちを行い(図3のステップS4)、設定情報を受信すれば、受信した設定情報に基づく設定処理を実行する(図3のステップS5)。
【0034】
画像取込部11は、画像の取込開始を指示するトリガ信号を撮像装置2に出力する(図2のステップS11)。
【0035】
撮像装置2は、設定処理の終了後、トリガ信号の受信待ちを行い(図3のステップS6)、画像取込部11からトリガ信号を受け取ったときに撮像素子を駆動して画像を撮像し、撮像した画像(画像データ)をケーブルを介して出力する(図3のステップS7)。
【0036】
上述のように本実施形態の画像処理装置1では、画像取込部11が、ケーブルを介してコネクタ10A,10Bに接続されている撮像装置2のインタフェース規格を判別し、判別したインタフェース規格に適合した方式で撮像装置2から画像を取り込む。したがって、画像取込部11により、互いに異なる種類のインタフェース規格(PoCL規格とPoCL-Lite規格)に準拠した撮像装置2から並行して画像を取り込むことができる。
【0037】
ここで、画像取込部11は、各コネクタ10A,10Bに接続されている各撮像装置2から並行して画像を取り込む状態と、各撮像装置2の中の何れか1つから画像を取り込む状態とを択一的に選択することができる。なお、画像取込部11が何れの状態を選択するかは、演算制御部14が検査の内容等に応じて決定する。
【符号の説明】
【0038】
1 画像処理装置
2 撮像装置
10A,10B コネクタ
11 画像取込部
12 画像処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置から取り込んだ画像に対して種々の画像処理を実行する画像処理装置において、一端に撮像装置が接続されたケーブルが挿抜自在に接続される複数のコネクタと、前記コネクタに接続されている前記ケーブルを介して前記撮像装置から画像を取り込む画像取込部と、前記画像取込部が取り込んだ前記画像に対して前記画像処理を実行する画像処理部とを備え、前記画像取込部は、前記ケーブルを介して前記コネクタに接続されている前記撮像装置のインタフェース規格を判別し、判別したインタフェース規格に適合した方式で前記撮像装置から前記画像を取り込むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記ケーブルを介して前記コネクタに接続されている前記撮像装置に対して、画像を撮像する際の撮像条件を設定する設定部を備えることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像取込部は、前記各コネクタに接続されている前記各撮像装置から並行して画像を取り込む状態と、前記各コネクタに接続されている前記各撮像装置の中の何れか1つから画像を取り込む状態とを択一的に選択することを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−58913(P2013−58913A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196113(P2011−196113)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000106221)パナソニック デバイスSUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】