説明

画像形成方法及び装置

【課題】原稿台やその他の場所に原稿を置き忘れた場合に秘密情報が漏洩するのを防止するとともに、復号キー誤入力による用紙への無駄な画像形成を防止し、また、復号可能な装置であるか否かを迅速に判定できるようにする。
【解決手段】暗号化モードでは、暗号化キーを用いて画像情報をコード列の暗号文に変換し、各コードに対応した小パターンを画像形成装置で用紙に記録させて小パターン列を形成し、該用紙と一体的な復号情報記録手段に該暗号化キー又はこれに対応したものを書き込ませる。復号モードでは、入力された復号キーが、電子タグから読み出した内容に対応していると判定した場合には(S13)、用紙に記録されている小パターン列をスキャナで読み取って(S15)コード列に変換し(S16)、該復号キーを用い該コード列を復号して(S17)元の画像情報を取得し画像を復元する(S18)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙を搬送して用紙に画像を形成する、プリンタ、複写機、ファクシミリ又は複合機等の画像形成方法及び方法に係り、特に、暗号化パターンを原稿に形成し復号する画像形成方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、画像情報を暗号パターンに変換して印刷することにより、印刷媒体が放置されても記載内容の秘密が保持されることが開示されている。
【0003】
しかし、復号させる際に復号キーを誤入力した場合には、判読不可能な内容が印刷されるので、用紙が無駄になるという問題がある。また、暗号化が弱いと、入力したキーと出力内容とを対応させて復号キーを推定することが可能になり、情報漏洩が生じる虞れがある。さらに、正しい復号キーを入力した場合であっても、画像形成装置により暗号化方式等が異なるので、不適合の画像形成装置で復号させようとした場合には、復号キーを誤入力したときと同じになる。
【0004】
また、下記特許文献2には、原稿にICチップを付し、このICチップにコピー禁止領域を格納しておき、該原稿をコピーした場合にはこの禁止領域を白紙部に変更して印刷することにより、コピー制限することが開示されている。
【0005】
しかし、原稿自体はそのままであるので、原稿が放置された場合に秘密情報漏洩の問題が生ずる。また、ICチップを原稿から取り除いた場合には、コピー制限が無くなる。
【0006】
さらに、下記特許文献3では、用紙の縁部にRFIDタグを設け、これにソフトウエアを書き込むと共に、用紙にこのソフトウエアのマニュアルを印刷することにより、ソフトウエアとそのマニュアルとを一体化させることが開示されている。しかし、秘密情報の漏洩防止については記載がない。
【特許文献1】特開2002−175169号公報
【特許文献2】特開2004−088586号公報
【特許文献3】特開2002−337426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、このような問題に鑑み、原稿を画像形成装置の原稿台やその他の場所に置き忘れた場合に原稿に記載された秘密情報が漏洩するのを防止するとともに、復号キーを誤入力することによる用紙への無駄な画像形成を防止することが可能な画像形成方法及び装置を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、前記置き忘れにより暗号文が解析されるのを防止することが可能な画像形成方法及び装置を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、ユーザが復号しようとしたときに復号可能な画像形成装置であるか否かを迅速に判定できるようにすることにより、無駄時間を削減することが可能な画像形成方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による画像形成方法の第1態様では、
暗号化キーを用いて画像情報を暗号化手段でコード列の暗号文に変換させ、各コードに対応した小パターンを画像形成手段で用紙に記録させて小パターン列(配列)を形成させ、該用紙と一体的な復号情報記録手段に該暗号化キー又はこれに対応したものを書き込ませる暗号化ステップと、
入力手段で復号キーを入力させ、該復号情報記録手段から記録情報を読み取らせ、該復号キーが該記録情報に対応しているか否かを判定し、対応していると判定した場合には該用紙に記録されている小パターン列を画像読取手段で読み取らせてコード列に変換し、該復号キーを用い該コード列を復号して元の画像情報を取得し、画像形成手段で該画像情報に基づいて用紙に画像を記録させる復号ステップとを有する。
【0011】
本発明による画像形成方法の第2態様では、第1態様において、
該暗号化ステップ又はその前のステップで該復号情報記録手段に固有情報を書き込ませ、
該復号ステップにおいて、該復号情報読出手段で該固有情報を読み取り、該固有情報が、予め固有情報記憶手段に格納されている固有情報と対応していると判定した場合に、該入力手段で復号キーを入力させる。
【0012】
本発明による画像形成方法の第3態様では、第1又は2態様において、該暗号化キー及び該復号キーをキー生成手段で生成させて該復号キーを出力させる。
【0013】
本発明による画像形成方法の第4態様では、第1乃至3態様のいずれか1つにおいて、
該復号情報記録手段は該用紙の縁部に取着された電子タグであり、
該暗号化ステップでは、タグライタで該電子タグに該暗号化キー又はこれに対応したものを書き込ませ、
該復号ステップでは、タグリーダで該電子タグから該暗号化キー又はこれに対応したものを読み取らせる。
【0014】
本発明による画像形成方法の第5態様では、第1乃至3態様のいずれか1つにおいて、
該復号情報記録手段は該用紙の一部であり、
該暗号化ステップでは、該暗号化キー又はこれに対応したもののコード列の各コードを小パターンに変換して該画像形成手段で該用紙の一部に小パターン列を記録させ、
該復号ステップでは、該用紙の一部から該小パターン列を該画像読取手段に読み取らせてコード列に変換することにより、該暗号化キー又はこれに対応したものを取得する。
【0015】
本発明による画像形成装置の第1態様では、
原稿台と、
該原稿台に載置された用紙の画像を読み取る画像読取手段と、
該原稿台に対応して配設された電子タグリーダと、
用紙が載置される給紙段と、
給紙される用紙に画像を形成する画像形成手段と、
該給紙段から該画像形成手段へ用紙を搬送し、該画像形成手段で画像が形成された用紙を搬送して排出する用紙搬送手段と、
該用紙搬送手段の用紙搬送路に対応して配置された電子タグライタと、
復号キーを入力する入力手段と、
制御手段と、
を有し、該制御手段は暗号化モードと復号モードとを有し、
暗号化モードでは、供給される画像情報を暗号化キーを用いてコード列の暗号文に変換し、各コードに対応した小パターンのデータを該画像形成手段に供給して用紙に小パターン列を形成させ、該電子タグライタに対し該用紙に取着された電子タグに該暗号化キー又はこれに対応したものを書き込ませ、
復号モードでは、該電子タグリーダに対し電子タグから記録情報を読み取らせ、該入力手段から入力された復号キーが該記録情報の一部又は全部に対応しているか否かを判定し、対応していると判定した場合には用紙に記録されている小パターン列を該画像読取手段に読み取らせてコード列に変換し、該復号キーを用い該コード列を復号して元の画像情報を取得し、該画像形成手段に対し該画像情報に基づいて用紙に画像を記録させる。
【0016】
本発明による画像形成装置の第2態様では、前記第1態様において、該制御手段は、該復号モードにおいて、該記録情報に固有情報が含まれているか否かを判定し、含まれていると判定した場合には該入力手段から復号キーを入力させる。
【0017】
本発明による画像形成装置の第3態様では、
原稿台と、
該原稿台に載置された用紙の画像を読み取る画像読取手段と、
用紙が載置される給紙段と、
給紙される用紙に画像を形成する画像形成手段と、
該給紙段から該画像形成手段へ用紙を搬送し、該画像形成手段で画像が形成された用紙を搬送して排出する用紙搬送手段と、
復号キーを入力する入力手段と、
制御手段と、
を有し、該制御手段は暗号化モードと復号モードとを有し、
該暗号化モードでは、供給される画像情報を暗号化キーを用いてコード列の暗号文に変換し、該コード列と記録情報としての該暗号化キー又はこれに対応したものを含むコード列に関し、各コードに対応した小パターンのデータを該画像形成手段に供給して用紙に小パターン列を形成させ、
該復号モードでは、該画像読取手段に対し該原稿台に載置された用紙から該記録情報に対応した小パターン列を読み取らせて第1のコード列に変換し、該入力手段から入力された復号キーが該第1のコード列の全部又は一部に対応しているか否かを判定し、対応していると判定した場合には該用紙に記録されている残りの小パターン列を該画像読取手段に対し読み取らせて第2のコード列に変換し、該復号キーを用い該第2のコード列を復号して元の画像情報を取得し、該画像形成手段に対し該画像情報に基づいて用紙に画像を記録させるを有する。
【0018】
本発明による画像形成装置の第4態様では、前記第3態様において、該制御手段は、該復号モードにおいて、該第1のコード列に固有情報が含まれているか否かを判定し、含まれていると判定した場合には該入力手段から復号キーを入力させる。
【0019】
本発明による画像形成装置の第5態様では、上記画像形成方法の第2乃至4態様のいずれか1つにおいて、該制御手段は、該暗号化キー及び該復号キーを生成し該復号キーを出力する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の画像形成方法の上記第1態様によれば、原稿を暗号化パターンに変換するので、原稿を画像形成装置の原稿台やその他の場所に置き忘れた場合に原稿に記載された秘密情報が漏洩するのを防止することができ、さらに、復号ステップにおいて、用紙と一体的な復号情報記録手段から暗号化キー又はこれに対応したもの(暗号化キー対応コード)を読み取り、ユーザが入力した復号キーが暗号化キー対応コードに対応していない場合には画像形成処理を行わないので、復号キーを誤入力することによる用紙への無駄な画像形成を防止することができるとともに、前記置き忘れにより暗号文が解析されるのを防止することができる。
【0021】
画像形成装置にハードディスク等を備え、暗号化キー又はこれに対応したものを該ハードディスクに格納した場合には、暗号化原稿を複数の互いに離れた場所で復号させる場合に、画像形成装置間で連係をとって記憶内容を同期させる必要があり、システムが複雑になるが、本発明の画像形成方法の上記第1態様によれば、用紙と一体的な復号情報記録手段に該暗号化キー対応コードを書き込ませるので、このような複雑化を回避でき、文章を含む画像情報保護機能を安価に利用することができる。
【0022】
本発明の画像形成方法の上記第2態様の構成によれば、復号ステップにおいてユーザが復号キーを入力する前に、該復号情報記録手段から固有情報を読み取り、該固有情報が、予め固有情報記憶手段に格納されている固有情報と対応していないと判定した場合には装置不適合であることをユーザに知らせるので、ユーザは復号しようとしたときに復号可能な画像形成装置であるか否かを迅速に判定でき、無駄時間を削減することができる。
【0023】
本発明の画像形成方法の上記第3態様の構成によれば、該暗号化キー及び該復号キーをキー生成手段で生成させて該復号キーを出力させるので、簡単な暗号化キーを用いて復号キーが推定されることにより復号されるのを防止することができる。
【0024】
本発明の他の目的、構成及び効果は以下の説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
ハウジング外または可能な限りハウジング側端部に近い位置からイメージを入力するという目的を、最小の部品点数で、光学系構成部品の厚みを損なわずに実現した。
【実施例1】
【0026】
図1は、本発明が適用された画像形成システムの概略構成を示す図である。
【0027】
このシステムは、画像形成装置10、例えば複合機に、ホストコンピュータHCが結合されて構成され、画像の暗号化及び復号による文書保護機能を備えている。以下では、暗号化原稿を作成する暗号化モードにおいて、画像形成装置10をプリンタとして利用し、暗号化原稿を平文原稿に復号する復号モードにおいて、画像形成装置10を複写機として利用する場合の構成について説明する。
【0028】
画像形成装置10をプリンタとして使用する場合、画像形成装置10は、ホストコンピュータHCから供給される画像情報と画像形成装置10で設定された情報とに基づいて、用紙に画像を形成する。
【0029】
画像形成装置10は3段の給紙段111〜113を備え、それぞれに用紙121〜123がセットされている。例えば用紙121と122は普通紙であり、用紙123は電子タグ付き用紙である。給紙段111〜113に対応して、それぞれ給紙ローラ131〜134が配設され、さらに給紙ローラ131〜134に対応して、それぞれ用紙搬送ローラ141〜143が配設されおり、用紙121〜123を給紙ローラ131〜134及び用紙搬送ローラ141〜143を介して画像書込部20へ給紙可能となっている。
【0030】
画像書込部20(本実施例ではプリントエンジン)では、感光体ドラム21の表面がチャージローラ22により一様に帯電され、レーザビームLBにより感光体ドラム21上の帯電が選択的に略消去されて感光体ドラム21上に静電潜像が形成され、現像器23によりにトナーが帯電部に付着されて該静電潜像が現像される。
【0031】
レジストレーションローラ24は、用紙搬送ローラ143から供給される用紙の搬送を一旦停止し、所定のタイミングで搬送を再開して静電転写ローラ25と感光体ドラム21との間に用紙を供給する。静電転写ローラ25は、感光体ドラム21上のトナー像を、給紙される用紙に静電転写させる。転写された用紙は、定着装置30を通って加熱・加圧され、これによりトナー像が用紙に定着される。感光体ドラム21上の転写後のトナー残りは、クリーナ26で除去される。
【0032】
定着後に用紙は、排紙ローラ145及び後処理装置16を通って、排紙トレイ15上に排出される。排紙ローラ145の近くには、排出用紙を検出するための排出紙センサ17が配設されている。
【0033】
原稿台31の下方にはスキャナ32が配設され、原稿台31に載置された原稿の画像を読み取り可能となっている。
【0034】
ここで、電子タグ付用紙は、図2に示すように、用紙121の隅部に電子タグ33が取着されている。
【0035】
図1に戻って、原稿台31の近くの電子タグ33に対応した位置にタグリーダ34が配設され、この電子タグ33の記憶内容を非接触で読み取り可能となっている。また、画像書込部20の下流側の用紙搬送路に対応してタグライタ35が配設され、用紙123に暗号化画像を形成する際に電子タグ33に、固有コード50及び暗号化キー対応コード51(図2)を書き込み可能となっている。なお、画像形成装置10のサイズや電波の飛距離によっては、タグリーダ34とタグライタ35を分離して配置せずにタグリーダライタを1箇所に配置してもよい。
【0036】
固有コード50及び暗号化キー対応コード51は、復号モードにおいて利用される。固有コード50は、原稿台31上の原稿12に形成された暗号パターンの復号に画像形成装置10が適合したものであるか否かを判定するためのものである。暗号化キー対応コード51は、操作部44から入力された復号キーが適正なものか否かを判定するためのものであり、暗号化キーに対応したものとして、暗号化キーを暗号化したものが格納される。
【0037】
画像形成装置10内を制御するため、画像形成装置10にはシステム制御装置40が備えられ、このシステム制御装置40に、スキャナ32、タグリーダ34、タグライタ35、画像情報メモリ(ワークエリアを含む)41、設定情報メモリ42、固有情報メモリ43、操作部44、搬送ローラ制御装置45及び画像書込部制御装置46が結合されている。
【0038】
画像形成装置10をプリンタとして使用する場合、システム制御装置40は、ホストコンピュータHCから供給される画像情報を一旦、画像情報メモリ41に格納させる。この画像情報は、アプリケーションプログラムの印刷ルーチンからプリンタドライバPDを介して供給されるものであり、デバイスの解像度等に依存しないPDL(ページ記述言語)で記述されている。
【0039】
画像形成装置10を複写機として利用する場合、システム制御装置40はスキャナ32に読取指令を供給し、スキャナ32はこれに応答して、原稿台31上の原稿画像を読み取りそのデータをシステム制御装置40に供給する。システム制御装置40は、このデータを一旦、画像情報メモリ41に格納させる。
【0040】
システム制御装置40は、ユーザが操作部44を操作して設定した情報を、設定情報メモリ42に格納させる。設定情報メモリ42は、フラッシュメモリなどの再書き込み可能な不揮発性メモリである。固有情報メモリ43はROMであり、画像形成装置10に固有の情報が格納され、この情報には上記固有コード50が含まれている。設定情報メモリ42及び固有情報メモリ43の替わりにハードディスクの所定領域を用いてもよい。
【0041】
ユーザは、画像形成装置10の文章保護機能を使用する前に、操作部44を操作して電子タグ付き用紙を給紙段111〜113のいずれにセットするかを設定する。図3及び図4はタッチパネルによるこの設定画面を示している。
【0042】
図3中の1〜3は給紙段識別番号であり、それぞれ図1中の給紙段111〜113に対応している。各給紙段を示す矩形内には、設定情報メモリ42の内容に基づいて、用紙のサイズ、向き及びタイプが表示される。この例では、給紙段1及び3がA4縦の普通紙用、給紙段2がA3横の再生紙用に設定している場合に、給紙段3をA4縦の電子タグ付き用紙用に変更する場合を示している。
【0043】
給紙段3を示す矩形内をタッチすると、図3に示す如く選択部分が白黒反転表示され(図3ではハッチング、以下同様。)、給紙段113にセットされる用紙のサイズ、向き及びタイプのプルダウンメニューが表示される。この状態で給紙段3を再度タッチすれば、該矩形内が白黒反転表示されて元の表示に戻るとともにプルダウンメニューが消える(他の選択動作でも同様。)。図3において、用紙のタイプを選択した場合には、図4に示すように、選択部分が白黒反転表示されるとともに、さらに下階層のプルダウンメニューが表示される。実際には多くの用紙タイプが表示されるが、図4では簡単化している。図4において、タグ付き普通紙を選択した場合には、給紙段3を示す矩形内の「普通紙」が「タグ付き普通紙」に変わる。ここで設定したデータは、メモリのワークエリアに保持される。表示画面の右上の「OK」ボタンをタッチすると、設定した情報がワークエリアから設定情報メモリ42に転記されて、設定情報が更新される。
【0044】
図1において、ホストコンピュータHCには、画像形成装置10用のプリンタドライバPDがインストールされており、これを起動させると印刷設定ダイアログが表示され、その中の一つのタブを選択すると、図5に示すような文章保護機能の設定パネルが表示される。
【0045】
文章を暗号化して印刷する場合には、ポインティングデバイスで「オン」のラジオボタンをポイントしてクリックすることにより、この機能を「オン」にし、そうでない場合には同様にして「オフ」にする。
【0046】
図4の「印刷」ボタンをタッチすると、印刷設定情報を含む画像情報がホストコンピュータHCからシステム制御装置40へ送信され、システム制御装置40はこれを一旦、画像情報メモリ41に格納させる。
【0047】
図6は、この格納後のシステム制御装置40による処理を示す概略フローチャートである。以下、括弧内は図6中のステップ識別符号である。
【0048】
(S0)システム制御装置40は、画像情報メモリ41の内容を参照し、上記文章保護機能の設定がオフであればステップS1へ進み、オンであればステップS2へ進む。
【0049】
(S1)文章保護機能と無関係な通常の印刷処理を行って処理を終了する。
【0050】
(S2)システム制御装置40は、乱数発生関数等を用いて暗号化キーを自動生成する。
【0051】
(S3)システム制御装置40は、画像情報メモリ41に格納されている画像情報を例えばトリプルDES方式で暗号化し、パターン変換指令とともにこの暗号化した画像情報をコード列として画像書込部制御装置46に供給する。
【0052】
(S4)画像書込部制御装置46はこれに応答して、このコード列の各コード、例えば4ビットコード毎を、予め定めた小パターンに変換する。例えば図7に示すように、4ビットの16進コード0〜Fをそれぞれ小パターン520〜52Fに変換する。図7中のメッシュは、理解を容易にするためのものであり、印字対象外である。各小パターンは5×5のドットパターンであり、このうち外側1周は隣の小パターンとの境界判別用で黒ドット無しとなっている。5×5の升目中に4個のドットを配置する仕方は126通りあり、そのなかの誤判別し難い16パターンが用いられる。
【0053】
(S5)システム制御装置40は、搬送ローラ制御装置45を介して、選択された給紙段113内の用紙123を給紙させ、固有情報メモリ43に格納されている固有コード50とステップS2で生成した暗号化キー対応コード51とを所定のタイミングで、タグライタ35を介し電子タグ33に書き込ませる。
【0054】
(S6、S7)画像書込部制御装置46は、レーザビームLBを感光体ドラム21上で走査させながら、上記小パターンの配列画像データに基づいて、レーザビームLBをオン・オフ制御することにより、感光体ドラム21上に小パターン配列画像の静電潜像を形成させる。システム制御装置40は画像書込部制御装置46からの状態情報及び用紙センサからの情報に基づいて搬送ローラ制御装置45を介し搬送装置を駆動させる。2頁目以降については、タグの付いていない用紙を給紙させる。全ページの印刷を完了すると、ステップS8へ進む。
【0055】
このようにして、暗号化された原稿が作成される。
【0056】
(S8)システム制御装置40は、ホストコンピュータHCに復号キーを送信する。プリンタドライバPDはこれに応答して、予め設定された宛先へ、復号キーを含む内容の文章を電子メール送信する。
【0057】
図8は、この暗号化モードで印刷された原稿12の画像を模式的に示す説明図である。
【0058】
図9は、復号モードでのシステム制御装置40による処理を示す概略フローチャートである。この処理は、操作部44の複写スタートボタンを押下することにより開始される。
【0059】
(S10)システム制御装置40はタグリーダ34を介し、原稿台31上に載置された原稿12の電子タグ33の記憶内容を読み出させる。この内容のうち、固有コード50が、固有情報メモリ43に格納されている固有コードと一致しなければステップS11へ進み、一致すればステップS12へ進む。
【0060】
(S11)この原稿が画像形成装置10での復号に適合していないことを示す情報を操作部44の画面に表示させるとともに、電子ブザー音を発し、処理を終了する。
【0061】
(S12)システム制御装置40は、操作部44を介してユーザに復号キーの入力を促す。ユーザはこれに応答して、復号キーを入力し、不図示の「照合」ボタンをタッチする。
【0062】
(S13)システム制御装置40はこれに応答して、この復号キーを暗号化し、これが暗号化キー対応コード51と一致するか否かを判定する。不一致であればステップS14へ進み、一致していればステップS15へ進む。
【0063】
(S14)入力エラーであることを操作部44の画面に表示させ、ステップS12へ戻る。
【0064】
(S15)システム制御装置40は、スキャナ32に原稿12の画像を読み取らせる。
【0065】
(S16)システム制御装置40は、読み取った画像データに基づいて、小パターン列の各小パターン(図7)を16進コードに変換する。
【0066】
(S17)変換されたコードを、復号キーを用いて復号することにより、PDLで記述された画像情報を復元し、画像情報メモリ41内の所定領域に一旦格納する。
【0067】
(S18)システム制御装置40はこの画像情報と設定情報メモリ42の内容とに基づいて搬送ローラ制御装置45及び画像書込部制御装置46を介し用紙を搬送させるとともに用紙に画像を形成させる。
【0068】
以上説明したように、本実施例では、原稿を暗号化パターンに変換するので、原稿を画像形成装置の原稿台やその他の場所に置き忘れた場合に原稿に記載された秘密情報が漏洩するのを防止することができ、さらに、復号モードにおいて、暗号化原稿12に取着された電子タグ33から暗号化キー対応コード51を読み取り、ユーザが入力した復号キーが暗号化キー対応コード51に対応していない場合には画像形成処理を行わないので、復号キーを誤入力することによる用紙への無駄な画像形成を防止することができるとともに、前記置き忘れにより暗号文が解析されるのを防止することができる。
【0069】
また、復号モードにおいてユーザが復号キーを入力する前に、暗号化原稿12に取着された電子タグ33から固有コード50を読み取り、固有情報メモリ43に格納されている固有情報と対応しないと判定した場合には装置不適合であることをユーザに知らせるので、ユーザは復号しようとしたときに復号可能な画像形成装置であるか否かを迅速に判定でき、無駄時間を削減することができる。
【0070】
さらに、画像形成装置10にハードディスクを備え、暗号化キー対応コード51を該ハードディスクに格納した場合には、暗号化原稿12を複数の互いに離れた場所で復号させる場合に、画像形成装置間で連係をとって記憶内容を同期させる必要があり、システムが複雑になるが、本発明では暗号化原稿12に取着された電子タグ33に暗号化キー対応コード51を書き込むので、このような複雑化を回避でき、文章保護機能を安価に利用することができる。
【0071】
また、暗号化キー及び復号キーを画像形成装置10が自動生成するので、簡単な暗号化キーを用いて復号キーが推定されることにより復号されるのを防止することができる。
【0072】
なお、本発明には外にも種々の変形例が含まれる。
【0073】
例えば、上記実施例では、印刷対象の画像情報を全て暗号化し、これを復号する場合について説明したが、次のような構成であってもよい。すなわち、文章全体のうち秘密にすべき範囲のみをホストコンピュータHCのアプリケーションプログラムで指定しておくことにより、暗号化モードにおいてシステム制御装置40で、図10に示すようにこの部分のみ暗号化するとともに、この範囲を示す情報を電子タグ33に書き込ませる。復号モードでは、この情報を読み取ってその範囲のみに対し上記復号処理を行い、その他の範囲については通常の処理を行う。
【0074】
さらに、小パターン列の開始部と終了部にそれぞれヘッダ及びフッタを設けることにより、暗号化部の範囲を示す情報を電子タグ33に格納させない構成であってもよい。
【0075】
また、暗号化キー対応コード51として非対称鍵方式の公開鍵を暗号化キーとして用い、暗号化キー対応コード51を公開鍵自体とし、復号キーとして該非対称鍵方式の秘密鍵を用いる構成であってもよい。
【0076】
また、2種以上の暗号方式を選択的に用いる画像形成装置では、2種以上の固有情報を持つことができ、この場合、図9のステップS10では、いずれかに一致する固有情報が電子タグ33に格納されていれば一致と判定する。
【0077】
また、上記実施例ではPDLで記述された画像情報を暗号化する場合を説明したが、ビットマップデータ又はこれに対応した画像圧縮データを暗号化する構成であってもよい。
【0078】
さらに、上記実施例では、復号情報記録手段として電子タグ33を用いる場合を説明したが、電子タグ33の代わりに、固有コード50及び暗号化キー対応コード51のコードを上述のように小パターンに変換して、図11に示すように原稿12の上部であるヘッダ53にパターン画像を形成する構成であってもよい。この場合、電子タグ33が不要であるので、ランニングコストが安価になるとともに、タグリーダ34の代わりにスキャナ32を用い、タグライタ35の代わりに画像書込部20を用いることができるので、タグリーダ34及びタグライタ35を画像形成装置10に備える必要がなく、画像形成装置10をより安価に構成することができる。
【0079】
電子タグ33又は前記ヘッダを、ページ毎に用紙に取着又は形成する構成であってもよい。
【0080】
また、小型プリンタでは表示部が比較的小さいので、本発明の設定手段はGUIを備えているものに限定されず、文字又は記号を表示させる手段を備えたものであってもよい。
【0081】
さらにまた、上記実施例では画像形成装置がプリンタ及び複写機である場合を説明したが、本発明はファクシミリであってもよい。
【0082】
また、画像形成手段は、供給される用紙に画像を形成するものであればよく、レーザ静電転写方式に限定されず、インクジェット方式等であってもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明が適用された画像形成システムの概略構成を示す図である。
【図2】電子タグが取着された用紙の平面図である。
【図3】給紙段設定画面説明図である。
【図4】給紙段設定画面説明図である。
【図5】文章保護機能の設定画面説明図である。
【図6】暗号化モードでのシステム制御装置による処理を示す概略フローチャートである。
【図7】暗号化パターンを構成する小パターンコードの説明図である。
【図8】暗号化モードで印刷された原稿画像を模式的に示す図である。
【図9】復号モードでのシステム制御装置による処理を示す概略フローチャートである。
【図10】本実施例の変形例説明図であって、画像情報の一部を暗号化した場合の原稿説明図である。
【図11】本実施例の他の変形例説明図であって、電子タグの替わりにパターン画像のヘッダを用いた場合の原稿説明図である。
【符号の説明】
【0084】
10 画像形成装置
111〜113 給紙段
121〜123 用紙
12 原稿
131〜133 給紙ローラ
141〜144 用紙搬送ローラ
145 排紙ローラ
15 排紙トレイ
17 排出紙センサ
20 画像書込部
21 感光体ドラム
22 チャージローラ
23 現像器
24 レジストレーションローラ
25 静電転写ローラ
30 定着装置
31 原稿台
32 スキャナ
33 電子タグ
34 タグリーダ
35 タグライタ
40 システム制御装置
41 画像情報メモリ
42 設定情報メモリ
43 固有情報メモリ
44 操作部
45 搬送ローラ制御装置
46 画像書込部制御装置
50 固有情報
51 暗号化キー対応コード
520 小パターン
53 ヘッダ
LB レーザビーム
HC ホストコンピュータ
PD プリンタドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗号化キーを用いて画像情報を暗号化手段でコード列の暗号文に変換させ、各コードに対応した小パターンを画像形成手段で用紙に記録させて小パターン列を形成させ、該用紙と一体的な復号情報記録手段に該暗号化キー又はこれに対応したものを書き込ませる暗号化ステップと、
入力手段で復号キーを入力させ、該復号情報記録手段から記録情報を読み取らせ、該復号キーが該記録情報に対応しているか否かを判定し、対応していると判定した場合には該用紙に記録されている小パターン列を画像読取手段で読み取らせてコード列に変換し、該復号キーを用い該コード列を復号して元の画像情報を取得し、画像形成手段で該画像情報に基づいて用紙に画像を記録させる復号ステップと、
を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
該暗号化ステップ又はその前のステップで該復号情報記録手段に固有情報を書き込ませ、
該復号ステップにおいて、該復号情報読出手段で該固有情報を読み取り、該固有情報が、予め固有情報記憶手段に格納されている固有情報と対応していると判定した場合に、該入力手段で復号キーを入力させる、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項3】
該暗号化キー及び該復号キーをキー生成手段で生成させて該復号キーを出力させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
該復号情報記録手段は該用紙の縁部に取着された電子タグであり、
該暗号化ステップでは、タグライタで該電子タグに該暗号化キー又はこれに対応したものを書き込ませ、
該復号ステップでは、タグリーダで該電子タグから該暗号化キー又はこれに対応したものを読み取らせる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の画像形成方法。
【請求項5】
該復号情報記録手段は該用紙の一部であり、
該暗号化ステップでは、該暗号化キー又はこれに対応したもののコード列の各コードを小パターンに変換して該画像形成手段で該用紙の一部に小パターン列を記録させ、
該復号ステップでは、該用紙の一部から該小パターン列を該画像読取手段に読み取らせてコード列に変換することにより、該暗号化キー又はこれに対応したものを取得する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の画像形成方法。
【請求項6】
原稿台と、
該原稿台に載置された用紙の画像を読み取る画像読取手段と、
該原稿台に対応して配設された電子タグリーダと、
用紙が載置される給紙段と、
給紙される用紙に画像を形成する画像形成手段と、
該給紙段から該画像形成手段へ用紙を搬送し、該画像形成手段で画像が形成された用紙を搬送して排出する用紙搬送手段と、
該用紙搬送手段の用紙搬送路に対応して配置された電子タグライタと、
復号キーを入力する入力手段と、
制御手段と、
を有し、該制御手段は暗号化モードと復号モードとを有し、
暗号化モードでは、供給される画像情報を暗号化キーを用いてコード列の暗号文に変換し、各コードに対応した小パターンのデータを該画像形成手段に供給して用紙に小パターン列を形成させ、該電子タグライタに対し該用紙に取着された電子タグに該暗号化キー又はこれに対応したものを書き込ませ、
復号モードでは、該電子タグリーダに対し電子タグから記録情報を読み取らせ、該入力手段から入力された復号キーが該記録情報の一部又は全部に対応しているか否かを判定し、対応していると判定した場合には用紙に記録されている小パターン列を該画像読取手段に読み取らせてコード列に変換し、該復号キーを用い該コード列を復号して元の画像情報を取得し、該画像形成手段に対し該画像情報に基づいて用紙に画像を記録させる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
該制御手段は、該復号モードにおいて、該記録情報に固有情報が含まれているか否かを判定し、含まれていると判定した場合には該入力手段から復号キーを入力させることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
原稿台と、
該原稿台に載置された用紙の画像を読み取る画像読取手段と、
用紙が載置される給紙段と、
給紙される用紙に画像を形成する画像形成手段と、
該給紙段から該画像形成手段へ用紙を搬送し、該画像形成手段で画像が形成された用紙を搬送して排出する用紙搬送手段と、
復号キーを入力する入力手段と、
制御手段と、
を有し、該制御手段は暗号化モードと復号モードとを有し、
該暗号化モードでは、供給される画像情報を暗号化キーを用いてコード列の暗号文に変換し、該コード列と記録情報としての該暗号化キー又はこれに対応したものを含むコード列に関し、各コードに対応した小パターンのデータを該画像形成手段に供給して用紙に小パターン列を形成させ、
該復号モードでは、該画像読取手段に対し該原稿台に載置された用紙から該記録情報に対応した小パターン列を読み取らせて第1のコード列に変換し、該入力手段から入力された復号キーが該第1のコード列の全部又は一部に対応しているか否かを判定し、対応していると判定した場合には該用紙に記録されている残りの小パターン列を該画像読取手段に対し読み取らせて第2のコード列に変換し、該復号キーを用い該第2のコード列を復号して元の画像情報を取得し、該画像形成手段に対し該画像情報に基づいて用紙に画像を記録させる、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
該制御手段は、該復号モードにおいて、該第1のコード列に固有情報が含まれているか否かを判定し、含まれていると判定した場合には該入力手段から復号キーを入力させることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
該制御手段は、該暗号化キー及び該復号キーを生成し該復号キーを出力することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1つに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−88548(P2007−88548A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−271514(P2005−271514)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】