説明

画像形成装置、画像形成方法およびプリント媒体

【課題】鮮鋭性を維持しつつ、高彩度の色再現画像を可能とした質感のあるカラープリントを作成する。
【解決手段】接着処理部306は、RGB信号の画素毎にエッジ量を抽出し、エッジ量を基に、画素毎に、光透過媒体と光反射媒体とを接着させるか否かを決定する。エッジ量が所定の閾値以上のとき、当該画素を接着させ、エッジ量が所定の閾値未満のとき、当該画素を接着させない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鮮鋭性を維持しつつ、高彩度の色再現画像を得ることが可能な画像形成装置、画像形成方法およびプリント媒体に関し、電子写真方式を用いたカラー複写機、カラープリンタ、カラーFAX等の画像形成装置に好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にカラー写真は、文字画像や線画像に比べて、画像の階調性、粒状性、色再現性などの画質面で優れた特性を有することが要求され、また写真表面の光沢性を有することが望まれる。即ち、鏡面に仕上げられ、光沢のある写真や絹目と称されるマット面に仕上げられた写真が望まれる。
【0003】
電子写真においても、画像表面を鏡面に仕上げるために、光透過媒体に画像を形成し、光透過媒体の画像担持面に裏打ち層を貼り合わせることにより、光沢性に富んだ写真を作成する方法が提案されている(特許文献1、2を参照)。
【0004】
特許文献1の装置は、光透過性基体に画像を形成し、光透過性基体の画像担持面に裏打ち層を貼り合わせることにより、光透過性基体の表面が写真の表面となる、光沢性に富んだ写真を作成し、特許文献2の装置は、光透過媒体と光反射媒体の何れか一方に色材層を形成し、他方には加熱により接着性を有する媒体を全体(一様)に付着し、両者を併せて定着することにより、一枚の光沢画像を作成する。
【0005】
上記したように、電子写真で光透過媒体に画像を形成したサンプルを反射サンプルとして扱う場合、特許文献1、2のように光透過媒体と光反射媒体とを光学的に密着させるのではなく、あえて光学的に密着させない方が再現色の彩度が向上することを、本発明者は実験などで確認した。
【0006】
光学密着について図1を用いて説明する。図1(a)は光学的に密着されている状態(以下、光学密着あり)、(b)は光学的に密着されていない状態(以下、光学密着なし)である。すなわち、通常の電子写真プロセスで作成されるサンプルは「光学密着あり」のサンプルに相当し、トナー(色材)層と紙との間に空気層が存在している場合は、「光学密着なし」のサンプルに相当する。
【0007】
また、電子写真で光透過媒体にCMYベタを画像形成したサンプルに対し「光学密着あり/なし」で反射サンプルを作成し、彩度を実測した例を図1(c)のa*b*平面に示す。図1(c)では、「光学密着なし」の方が彩度が向上していることが分かる。
【0008】
以下、その理由について説明する。
(1)「光学密着あり」よりも、「光学密着なし」の方が単位面積当たりで受光される光の強度が大きい。
【0009】
図2、図3(a)、(b)を用いて説明する。これらの図は45度で入射した光が0度で受光されるまでの光の進み方を表している(但し、理由(2)で後述する多重反射成分を含まず、反射率における第一項である)。図2は紙の上に空気層のみがある状態、図3(a)は紙とトナー層が光学密着ありの状態、図3(b)は光学密着なしの状態を示す。
図2、図3(a)、(b)のいずれの場合も、光は紙上で均等拡散し、立体角Ωにαの光束が含まれる。ここで図2の場合、拡散光は空気中を伝播するので、図中の面Aにはαの光束が通過する。
【0010】
図3(a)に示す、光学密着ありの場合、拡散光はトナー層から空気層に抜ける際に、フレネル則に従い空気中で立体角Ω1(>Ω)となり、拡がって伝播する。その結果として図2の面Aの面積よりも、n倍大きい面Bをαの光束が通過する。ここで、nはトナー層の屈折率である。つまり図3(a)の場合、光の強度(光の密度)は図2の場合よりも減少する。
【0011】
図3(b)に示す、光学密着なしの場合、拡散光は空気層からトナー層に抜ける際に、フレネル則に従いトナー層中で立体角Ω2(<Ω)となり、狭くなって伝播する。次に、トナー層から空気層に抜ける際にも再びフレネル則に従うため、空気中では立体角Ωにもどって伝播する。その結果として、図2の面Aの面積と同等の大きさである面Cをαの光束が通過する。つまり図3(b)の場合、光の強度(光の密度)は、図2の場合と同等であるので、「光学密着あり」よりも、「光学密着なし」の方が測定機器で受光される単位面積あたりの光の強度が大きく、反射率が高い。
【0012】
本発明者が簡単な光線追跡を用いて検証した結果、トナー層の屈折率が1.5で、「光学密着ありの反射率」に対する「光学密着なしの反射率」の比率(rate)は約2.14であった。
(2)反射光に占める多重反射光の比率が大きいほど、「光学密着あり、なし」の反射率の差分が小さくなる。
【0013】
図4(a)、(b)を用いて説明する。Williams&Clapper理論によると、本来、空気層とトナー層の間を光が往復運動を行う多重反射光が存在する。図4(a)は「光学密着あり」の多重反射を示し、図4(b)は「光学密着なし」の多重反射を示す。このとき、トナー層と空気層の界面において、フレネル内部反射により透過光が4〜5%損失する。多重反射の回数が同じでも、図4(b)に示す「光学密着なし」の場合は、図4(a)に示す「光学密着あり」の場合よりも、フレネル内部反射の回数が多いため透過光の減衰が早い。その結果、多重反射を繰り返した光が受光されると、前記の比率(rate)が一層小さくなる。つまり、受光される反射光に占める多重反射光の比率が大きいほど、「光学密着あり、なし」の反射率の差分が小さくなる、と考えられる。
(3)トナー層の透過率が高いほど、全反射光に対する多重反射光への寄与が大きい。
【0014】
図5(a)を用いて説明する。図5(a)は、Williams&Clapper理論を用いて、反射率における第一項(多重反射なし)の占める割合を透過率ごとに計算した結果であり、横軸が透過率、縦軸が第一項の占める比率である。図5(a)では、トナー層の透過率が高いほど第一項の占める割合が小さい。つまり、トナー層の透過率が高いほど多重反射光が占める割合が高い結果となった。
【0015】
これを上記(1)〜(3)を基に推測すると、「光学密着ありの反射率」に対する「光学密着なしの反射率」の比率は、トナー層の吸収帯域では約2倍で、トナー層の透過率が高くなると小さくなる。ここで、トナー層の吸収帯域は反射サンプルでも吸収帯域であり、トナー層の透過帯域は反射サンプルでは反射帯域である。
【0016】
これを図で表すと図5(b)となる。図5(b)の縦軸は反射率であり、図中のデータは「光学密着あり、なし」の結果である。上記説明した(1)〜(3)により、
「光学密着あり」の状態において、
・C(反射率が高い、すなわち反射帯域)では、多重反射光が占める割合が多いため「光学密着なし」の状態にしても反射率の変化が小さい。
・B(反射率が中程度)の帯域では、「光学密着なし」の状態にすると反射率が向上する。
・A(反射率が低い、すなわち吸収帯域)では、多重反射光が占める割合が小さいため「光学密着なし」の状態にすると反射率が約2倍高くなる。しかし、元々「光学密着あり」の状態で反射率が低いため、反射率の差分値は小さく、その結果、反射率のレンジである0〜100%に換算すると反射率の変化は小さいとみなせる。すなわち、「光学密着あり、なし」で反射率の変化が著しいのは、吸収帯域でも反射帯域でもない帯域、つまりBの帯域である。
【0017】
ここで分光反射率と彩度の関係を説明すると、彩度が高い、すなわちa*b*値が高くなるためには、分光反射率において反射帯域と吸収帯域の高低差が大きくなくてはならない。つまり、「光学密着あり」の状態から「光学密着なし」の状態にした時に、彩度が上がる理由は、吸収帯域において変化が少なく、かつ反射帯域において反射率が上がるためである。
【0018】
図6は、「光学密着あり、なし」の分光反射率の実測データである。図6では、特にシアントナーの効果が大きいことが分かる。従って、図6のシアンのように、反射帯域(図6のシアンの場合は約420〜570nm)において、元々反射率がそれほど高くなく、そのために彩度再現性が悪かった色材に対して、光学密着しないことにより、上記説明した理由によって彩度が向上する。また、彩度が出にくい色の他に、2次色にも効果が大きい。
【0019】
【特許文献1】特開平7−72695号公報
【特許文献2】特開2006−229085号公報
【特許文献3】特開2006−171607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
ところで、電子写真により写真画像を出力する際に、光沢性の他に、広い色再現域すなわち広域ガマットを確保することが必要である。しかし、電子写真では顔料色材を使用するため、インクジェットの染料色材と比較すると透明性で劣り、とりわけ混色の高彩度の再現が困難であった。また、インクジェットでは、総量規制を抑えつつ広域ガマットを実現するために容易にインク種類を増やすことが可能であるが、電子写真で色数を増やすには、感光体の数を増やして対応しなくてはならないため、構造が複雑化し、また安定性が低下し、現実的ではない。また、前述のように、光学密着しない方が広い再現域の確保が可能であるが、光学密着を行わないと、光透過媒体と光反射媒体との間に空気層がはいるため画像がぼけてしまい、鮮鋭性が確保できない。
【0021】
本発明は上記した課題に鑑みてなされたもので、
本発明の目的は、光透過媒体に画像を形成し、光透過媒体と光反射媒体とを接着する画像形成装置において、鮮鋭性を維持しつつ、高彩度の色再現画像を可能とした質感のあるカラープリントを作成できる画像形成装置、画像形成方法およびプリント媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、画像形成トナーを用いて光透過媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記画像の領域毎にエッジ量を抽出するエッジ抽出手段と、前記抽出されたエッジ量に応じて前記画像の領域毎に、前記光透過媒体と光反射媒体とを接着させるか否かを設定する接着処理手段と、前記光透過媒体の前記設定された接着領域に接着トナーを付着する付着手段と、前記光透過媒体に接着トナーが付着した面に前記光反射媒体が接するように整合し、定着する定着手段とを有することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1、7、8:画像を形成した光透過媒体を、光反射媒体に接着してプリント物を作成する際に、画像のエッジ情報を用いて光透過媒体と光反射媒体とを接着する領域を選択するため、高彩度の色再現で、かつ鮮鋭度が高いカラープリントを作成できる。
【0024】
請求項2:エッジ量が所定値以上の場合に、接着を設定するので、高彩度の色再現で、かつ鮮鋭度が高いカラープリントを作成できる。
【0025】
請求項3:画像のエッジ量を用いて接着面積率を制御するので、高彩度の色再現で、かつ鮮鋭度が高いカラープリントを作成できる。
【0026】
請求項4:入力画像全体のエッジ量を用いて接着の特性を変更するので、入力画像に適したカラープリントを作成できる。
【0027】
請求項5、6:エッジ情報と中間処理データを用いて接着ドット位置を選択しているので、鮮鋭性を維持しつつ、高彩度の色再現が可能なカラープリントを作成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、発明の実施の形態について図面により詳細に説明する。
図7は、本発明に係る画像形成システムの構成例を示す。画像形成システムは、コンピュータ1、画像表示装置(ディスプレイ)2、画像処理装置3、画像入力装置4、画像形成装置5から構成されている。
【0029】
ディスプレイ2と画像処理装置3は、コンピュータ1に直接接続され、画像入力装置4と画像形成装置5は、LANなどを介してコンピュータ1に接続されている。コンピュータ1には、各種情報処理、画像処理に関するデータ処理に用いる各種アプリケーションソフトや本発明が適用可能なプリンタドライバ等のソフトウェアが搭載されている。ディスプレイ2は、各種出力結果を表示するための表示装置である。画像処理装置3は、コンピュータ1から供給されるデバイス固有の色信号(RGB、CMY、CMYKなど)を、画像形成装置5に固有の色信号に変換する処理機能を有している。また、画像処理装置3は、光透過媒体に接着トナーを付着する領域を設定するための接着処理部を有している。画像入力装置4は、画像データを取り込むための入力装置であり、例えば、カラースキャナやデジタルカメラ等である。画像形成装置5は、画像データ(階調データ)に基づいて、OHPフィルムや透明フィルムなどの光透過媒体にカラー画像を形成する画像形成部と、接着トナーを付着する付着部と、定着によって用紙などの光反射媒体との一体化を行うための定着部を有している。画像形成装置5は、電子写真方式など、上記の方式で画像を形成する装置であれば特に限定されない。なお、コンピュータ1に接続される各種の入出力装置(画像表示装置、画像入力装置や画像形成装置など)の台数は上記の数に限定されない。
【0030】
画像形成システムにおけるコンピュータ1と画像処理装置3の処理機能について図8を用いて説明する。コンピュータ1には、ドキュメントデータ11を生成する各種アプリケーションソフト12と、アプリケーションソフト12から与えられるドキュメントデータ11を画像処理装置3が処理可能な描画コマンドに変換するなど、画像形成装置5で印刷を行うために必要な処理を行うプリンタドライバ13と、プリンタドライバ13からの描画コマンドを格納するためのディスク(記憶手段)14などを備えている。
【0031】
画像処理装置3には、コンピュータ1との間で送受信する描画コマンドのRGB形式の色データに対して色変換処理を行う色変換処理部31と、コマンド形式の画像データをラスタ形式の画像データに変換するレンダリング処理部32と、ラスタ形式の画像データを格納するバンドバッファ33と、バンドバッファ33に格納されたラスタ形式の画像データを格納するページメモリ34とを備え、コンピュータ1から送られた描画コマンドを画像形成装置5が処理可能なプリントデータに変換する機能を有している。また、色変換処理部31には、CMYなどの色情報を用いて選択的に接着トナーを付着する領域を設定する接着処理部が備えられている。
【0032】
この画像処理システムの動作について説明する。画像処理システムの動作の一つとして、コンピュータ1内部の画像データをディスプレイ2に表示しながら、カラー画像を形成可能な画像形成装置5によって画像を出力(印刷)させるために画像データを画像処理装置3に送出し、画像処理装置3から処理結果を受信して画像形成装置5に転送する動作がある。この場合、画像データは、一般的なカラーディスプレイにおける表示を行うための色の構成要素であるR(赤)、G(緑)、B(青)の色成分からなる色信号である。
【0033】
そこで、コンピュータ1は、このRGB信号を画像処理装置3に送出し、画像処理装置3は、画像形成装置5における制御信号である出力色成分からなる色信号であるC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の信号に変換する。同時に、画像処理装置3は、接着トナーを付着する領域が設定されている接着用データを画像形成装置5に転送する。これにより、画像形成装置5は、カラー画像および接着トナーを付着する画像を形成し、定着した後にプリント媒体を出力する。
【0034】
コンピュータ1が画像処理装置3に送出する描画コマンドを生成し、画像処理装置3が画像処理を行って画像形成装置5に画像データを出力するまでの動作を説明する。
【0035】
ユーザーによってコンピュータ1が操作されて、コンピュータ1のアプリケーションソフト12などを用いて画像データをディスプレイ2上に表示しながら編集が行われる。そして、編集作業が終了すると、出力する画像形成装置5を指定してアプリケーションソフト12上で印刷を選択する。コンピュータ1はアプリケーションソフト12で印刷が選択され、印刷プロパティで印刷が指示されると、アプリケーションソフト12で印刷が選択された画像データをプリンタドライバ13に渡し、プリンタドライバ13はドキュメントデータ11を画像処理装置3が受信可能な描画コマンドに変換し、ディスク14に逐次保存する。
【0036】
一方、画像処理装置3はコンピュータ1からの印刷指示を受けてプリンタドライバ13がディスク14に保存する描画コマンドを順次読み出して、色変換処理部31に描画コマンドの色データを転送する。色変換処理部31はRGB形式の色データに対して所定の色変換処理、および接着処理を行ってカラープリンタ等の画像形成装置5に適した形式のデータに変換し、このコマンド形式のデータをレンダリング処理部32によってラスタ形式の画像データに変換してバンドバッファ33に格納し、更に、バンドバッファ33に格納されるラスタ形式の画像データをページバッファ34に格納する。
【0037】
画像処理装置3のページバッファ34に格納された階調データをコンピュータ1によって読み出し、指定された画像形成装置5に転送することにより、画像形成装置5は被記録媒体に画像を形成して出力する。
【0038】
以上の説明では、画像処理装置3が、色変換処理、接着処理、レンダリング処理、階調処理などを行っているが、これらの処理機能は情報処理装置としてのコンピュータ内にソフトウェア(プログラム)として、あるいは、ASICなどの専用処理装置として搭載することができ、また、画像形成装置側の制御部に同様にして搭載することもでき、さらに、専用のプリントサーバのような画像形成装置とは独立した制御装置によって行うこともできる。
【0039】
図9は、本発明の画像形成装置の構成例を示す。画像形成装置5は、光透過媒体に画像形成用のカラートナーで画像を形成する画像形成部と、前記光透過媒体に接着トナーを付着する付着部と、前記光透過媒体を定着する第1の定着部と、前記定着された光透過媒体と光反射媒体を整合する整合部と、前記整合した光透過媒体と光反射媒体とを密着、接合する第2の定着部とからなる。
【0040】
図9(a)に示す画像形成装置において、画像形成部は色の異なるトナー像を形成する4個の画像形成ユニット、すなわち、イエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像をそれぞれ形成する画像形成ユニットY、M、C、Kからなり、接着トナー付着部は接着トナー用の画像形成ユニットSからなる。これらの画像形成ユニットY、M、C、K、Sは、トナーが異なる点を除いて、電子写真プロセスの構成、作用はほぼ同じである。本発明で使用するトナーは、特許文献3に記載の製造方法により製造したトナーであり、画像形成用トナーの定着適正温度は、各色とも160〜190℃である。また、接着トナーの定着適正温度は110〜190℃である。
【0041】
本発明の画像形成装置の動作を説明すると、各画像形成ユニットY、M、C、K、Sにおいて、41は像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、感光体)であり、図示しない駆動部によって矢印方向(反時計回り)に回転駆動される。42は帯電部であり、感光体41の表面を所定の極性および電位に一様に帯電する。43は露光部であり、感光体41の回転方向において、帯電部42の下流側に配置される。
【0042】
画像形成部における各ユニットY、M、C、Kでは、帯電部42で一様に帯電された感光体41の表面を画像処理装置3から送られた描画データに基づき光走査し、感光体41上に静電潜像を形成する。また、接着トナー付着部である画像形成ユニットSでは、帯電部42で一様に帯電された感光体41の表面を画像処理装置3から送られた接着用データに基づき光走査し、感光体41上に静電潜像を形成する。露光手段としては、レーザースキャナやLEDアレイ等が使用できる。44は現像器であり、感光体41の回転方向において、露光部43の下流側に配置され、感光体41上の静電潜像をトナーで現像する。45は一次転写部であり、一次転写位置T1で中間転写ベルト47を中にして感光体41に対向する位置に配置され、一次転写部45の転写電界により、中間転写ベルト47上に感光体41上のトナー像を一次転写する。46は感光体クリーニング部であり、転写部445で中間転写ベルト47に転写されなかった転写残トナーを感光体41の表面から除去する。5つの画像形成ユニットY、M、C、K、Sにおいて上記した動作が行われ、中間転写ベルト47上に、画像形成ユニットYで形成されるイエロートナー像、画像形成ユニットMで形成されるマゼンタトナー像、画像形成ユニットCで形成されるシアントナー像、画像形成ユニットKで形成されるブラックトナー像、画像形成ユニットSで形成される接着トナー像が、各画像形成ユニットの一次転写部T1において順に重畳されて一次転写される。これにより中間転写ベルト47上にはイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーの各像の重ね合わせからなる未定着のフルカラートナー画像が合成形成されるとともに、接着トナー像が形成される。
【0043】
中間転写体である中間転写ベルト47は、駆動ローラ48、従動ローラ49、50で懸架され、各画像形成ユニットY、M、C、K、Sの感光体41に接触して矢印の方向に回転駆動している。51は二次転写部であり、二次転写位置T2で中間転写ベルト47を中にして従動ローラ49に対向する位置に配置される。二次転写部51の転写電界により、図示しない給紙部から中間転写ベルト47上のトナー像にタイミングに合わせて二次転写位置T2に導入された光透過媒体Pに中間転写ベルト47上のトナー像を二次転写する。
【0044】
光透過媒体上には原稿のカラー画像に対応したカラーのトナー像が鏡像の状態に形成され、さらにその上に接着トナー像が形成される。52は中間転写ベルトクリーニング部であり、中間転写ベルト上の転写材に転写されずに残った転写残トナーを除去する。60は第1の定着部であり、転写材上のトナー像を加熱、加圧し、転写材上に定着する。定着ローラ61の内部にはヒータが配置され、温度が制御される。62は加圧ローラである。
【0045】
接着用トナーは画像形成トナーより低温で軟化する特性を付与しているが、前掲した特許文献3の技術によれば、高温での定着ローラオフセット性が画像形成トナーと同等であるため、画像形成用トナーと同じ定着ローラ温度で定着することができる。本発明では、第1の定着部における定着温度を180℃に設定した。
【0046】
図9(b)において、70は整合部であり、図9(a)における第1の定着部60から送られ、カラー画像が形成され、定着された光透過媒体Pは整合部70に送られる。図示しない給紙部から光透過媒体Pにタイミングに合わせて整合位置T3に導入された光反射媒体Qに対し、接着トナーにより接着部が形成された面に光反射媒体Qが接するように整合する。80は第2の定着部であり、整合部で整合された光透過媒体Pと光反射媒体Qを加熱、加圧し、接着トナーが付着されている接着部を接着する。第2の定着部に求められる機能は、画像形成装置の定着器と同じであり、本発明では、第1の定着部を流用して使用した。2つの媒体は第2の定着部80に搬送され、加熱されることで接着用トナーのみに接着性が発現し、加圧されることで接合される。定着ローラ81の内部にはヒータが配置され、温度が制御される。82は加圧ローラである。接合に最適な温度は必要とされる接着力や紙の熱容量で異なるため、定着ローラの温度は本体制御部で設定変更することができる。本発明では125℃に設定した。最後に、このカラートナー像、および接着トナー像の固着された媒体がプリント媒体として図示しない排紙トレイへ搬出される。
【0047】
上記の例では、画像形成部で光透過媒体上にカラー画像が形成され、接着トナー付着部で前記光透過媒体上に接着トナー画像が形成され、第1の定着部で上記光透過媒体が定着され、第2の定着部において上記光透過媒体と用紙トレイから搬送された光反射媒体とが整合され、接合されているが、例えば、画像形成部では光透過媒体上にカラー画像のみを形成、定着し、接着トナー付着部では光反射媒体上に接着トナー画像を形成、定着し、それらを接合する構成としても良い。
【0048】
実施例1
実施例1は、入力画像データの各画素においてエッジ抽出を行い、その結果を用いて画素毎に、光透過媒体と光反射媒体とを接着するか否かを決定する実施例である。
【0049】
図10は、実施例1の色変換処理部の構成を示す。図10において、色変換処理部31は、コンピュータ1のプリンタドライバ13によって、色変換パラメータを設定する色変換パラメータ設定部307と、墨処理パラメータを設定する墨処理パラメータ設定部308と、γ変換パラメータを設定するγ変換パラメータ設定部309と、総量規制パラメータを設定する総量規制パラメータ設定部310と、中間調処理パラメータを設定する中間調処理パラメータ設定部311と、接着処理パラメータを設定する接着処理パラメータ設定部312と、エッジ抽出パラメータを設定するエッジ抽出パラメータ設定部313を備えている。
【0050】
また、色変換処理部31は、一画素ごとのRGB画像信号からCMYK信号を生成出力するために、色変換パラメータ設定部307で設定された色変換パラメータを使用して、コンピュータ1から与えられる入力色信号(RGB形式の信号)をプリント色信号(CMY信号)に変換する色空間変換部301と、CMY信号成分からUCR、CUA率に応じてK成分を加えたCMYK信号に変換する墨処理部302と、CMYK信号に対して画像形成エンジン特性に応じたγを補正してC’M’Y’K’信号を生成出力するγ補正部303と、C’M’Y’K’信号に対し、画像形成装置5が画像形成できる記録色材の最大総量値に応じてC”M”Y”K”信号を生成出力する総量規制部304と、C”M”Y”K”信号に対しディザ処理などの中間調処理(階調処理)を施して画像形成装置5が処理可能な階調データ(プリントデータ)に変換する中間調処理部305とを備えている。
【0051】
また、色変換処理部31は、RGB信号を基にエッジ判定を行い、接着トナーを付着する画素を決定し、接着用データを画像形成装置5に送信するための接着処理部306を備えている。
【0052】
次に、接着処理の例を詳細に説明する。図1〜図6で説明したように、光透過媒体と光反射媒体を光学密着しない方が、彩度の再現性が向上するが、光学密着を行わないと鮮鋭度が落ちるため、エッジ領域を光学密着する。具体的には、画像のエッジ量を抽出し、エッジ量が所定値以上の場合は、光透過媒体と光反射媒体とを接着させる。
【0053】
図11(a)は、実施例1の接着処理部の構成例を示す。接着処理部306は、画素のエッジ量に基づいて、画素毎に接着するか否かを決定する。図11(a)に示すように、接着処理部306は、エッジ抽出部401と接着領域決定部402と解像度変換部403とを備える。
【0054】
エッジ抽出部401では、RGBデータから輝度値を算出し、エッジ量を算出し、その結果を接着領域決定部402に送信する。輝度値の算出は以下の式を用いる。
Y=0.299・R+0.587・G+0.114・B 式(1)
エッジ抽出フィルタは、図12(a)、(b)に示すように3×3や5×5のフィルタであり、フィルタ係数の合計が“0”となる微分フィルタである。フィルタ中央の注目画素に対し周辺の画素が存在する。フィルタ処理では、通常は正の値も負の値も同等な差分値とみなし、絶対値をエッジ量として出力する。エッジ抽出フィルタのフィルタ係数によりエッジの検出方向やエッジの抽出量が変わる。
【0055】
エッジ抽出パラメータ設定部313には、エッジ抽出用フィルタが設定されている。本実施例では、入力画像の種類に関わらず図12(a)、(b)に示すような固定のフィルタを用いるが、図12(c)に示す縦線抽出フィルタや図12(d)に示す横線抽出フィルタで縦線、横線部分を個々に抽出するなどしても良い。また、本実施例では、輝度値に対するフィルタ処理を行っているが、処理を簡単にするためG信号など輝度値以外の信号を使用しても構わない。
【0056】
接着領域決定部402では、接着処理パラメータ312を呼び出し、エッジ抽出部401で抽出されたエッジ量を基に、接着するか否かを画素毎に決定する。接着領域決定部402から出力されるデータとして2値(接着する/しない)の画像データを作成する。解像度変換部403では、接着領域決定部402で得られた画像データを画像形成装置5の解像度に変換し、変換後のデータを画像形成装置5に送信する。
【0057】
接着処理パラメータ312は、エッジ量を入力値とする矩形関数である。図11(b)は、入力値がエッジ量の場合の、接着処理パラメータの例を示す。ここで、エッジ量とは、エッジ抽出部401の出力値であり、値が大きいほど鮮鋭性が高い。矩形関数はエッジ量を入力すると、値が所定値未満(エッジ量<X)のとき、接着しないという判定結果を返し、値が所定値以上(X≦エッジ量)のとき接着するという判定結果を返す。あるいは、接着するを値1、接着しないを値0とした入力値の矩形関数をエッジ量について設定しても良いし、接着処理パラメータ312には、エッジ量を入力とした判定テーブルや閾値判定を定義しても良い。
【0058】
実施例2
実施例2は、入力画像データの各画素においてエッジ抽出を行い、エッジ量を用いて接着トナーを付着するための接着面積率を決定し、中間調処理後のN値(N≧3)画像データを基に、接着トナーを付着するドット位置を選択、決定する実施例である。
【0059】
図13は、実施例2の色変換処理部の構成を示す。図13において、色変換処理部31は、色変換パラメータ設定部507と、墨処理パラメータ設定部508と、γ変換パラメータ設定部509と、総量規制パラメータ設定部510と、中間調処理パラメータ設定部511と、接着処理パラメータを設定する接着処理パラメータ設定部512と、エッジ抽出パラメータを設定するエッジ抽出パラメータ設定部513とを備えている。
【0060】
また、色変換処理部31は、色空間変換部501と、墨処理部502と、γ補正部503と、総量規制部504と、中間調処理部505と、中間調処理後のN値データと画素のエッジ量を基に、接着トナーの打つドット位置を決定するための接着処理部506とを備えている。
【0061】
図14(a)は、接着処理部506の構成を示す。接着処理部506は、エッジ抽出部601と接着面積率決定部602と解像度変換部603と接着ドット決定部604とを備えている。エッジ抽出部601では、一画素毎に入力されるRGBデータから輝度値を算出し、エッジ量を算出する。接着面積率決定部602では、エッジ量から接着するための面積率データを得る。解像度変換部603では、入力画像データを画像形成装置5の解像度に変換する。接着ドット決定部604では、入力画像データの各画素における面積率と、中間調処理部505からのN値プリントデータを受けて、解像度変換後の画像データに対し接着ドットを決定し、接着用データとして画像形成装置5に転送する。
【0062】
次に、接着面積率決定部602における処理について説明する。接着面積率決定部602では、エッジ抽出部601で算出されたエッジ量を入力とし、接着するための面積率データを得る。図14(b)は、接着面積率を決定するための関数f(x)であり、入力エッジ量に対する接着面積率を決定する。接着面積率1とは全面接着であり、THは光透過媒体と光反射媒体を一体化するための最低面積率である。以上の処理により、各画素のエッジ量に応じた接着面積率が決定する。
【0063】
接着処理パラメータ312の例としては、図14(b)に示す関数f(x)の変換テーブルが保持されている。エッジ量の大きさに対し、連続性が保たれるように接着面積率が設定されている。
【0064】
次に、中間調処理部505における処理について説明する。中間調処理部505では、多値(M値>N値)データをN値データに変換するため、例えば、画像の低濃度部では図15(a)に示すようにドットが発生し、画像の中濃度部では図15(b)に示すようにドットが発生し、画像の高濃度部では図15(c)に示すようにドットが発生する。なお、図15(a)〜(c)は、各画素が16階調(4値)である(図中の黒丸は、1個のドットが打たれたこと(ドットオン)を示す)。
【0065】
次に、接着ドット決定部604における処理について説明する。エッジ情報を用いて、以下の規則に従って入力画素毎に接着トナーが打たれる(付着される)ドット位置を決める。
(1)入力画素がエッジ画素の場合は、鮮鋭性を重視する。エッジを強調するために、対象画素が高濃度の場合は、高濃度部分が接着されるように接着トナーを打つ。逆に、対象画素が低濃度の場合は、低濃度部分が接着されるように接着トナーを打つ。すなわち、カラートナーの打たれる/打たれないドットの面積率をみて、面積率の高い方のドットから優先的に接着トナーを付着させればよい。
(2)入力画素がエッジ画素ではない場合は、色再現性を重視する。色再現を重視した接着トナーの打ち方については、以下の規則に従って、画素毎に、接着トナーが打たれるドット位置を決める。
(2.1)最高彩度点(図16の点HP)近傍では、彩度向上のために、光透過媒体と光反射媒体を光学密着させない方が良いので、カラートナーの打たれないドット位置(ドットオフの位置)を選択し、その選択されたドットオフの位置に、接着トナーを打つ。
(2.2)ホワイトポイント(図16の点WP)近傍では、光透過媒体と光反射媒体を光学密着させない方が良いので、カラートナーの打たれるドット(ドットオンの位置)を選択し、その選択されたドットオンの位置に、接着トナーを打つ。
(2.3)シャドー部において、3色以上のカラートナーが打たれる場合は、そのドット位置に接着トナーが重なる方が良い。光学密着を行うことによって、2次色までのドットは彩度が下がってしまうが、3色以上の色が重なる場合は明度が下がるだけだからである。ブラックトナーが打たれる場合も同様である。ここで、3色以上の色とは、それらが重なった場合に分光特性がほぼフラットになる場合に限られる。
(2.4)(2.1)〜(2.3)以外の色域については、任意に接着トナーの打たれるドット位置を選択してよい。すなわち、ガマット内部では、光学密着あり/なしに関わらず色変換テーブルにより色の調整が対応可能であるので、接着トナーが打たれるドット位置を任意に選択してよい。
【0066】
つまり、対象画素が高濃度の場合は、カラートナーが打たれないドットから優先的に接着トナーを打ち、対象画素が低濃度の場合は、カラートナーが打たれるドットから接着トナーを打てばよい。
【0067】
ここで、接着面積率をf(x)=Rとする。図15(a)〜(c)で示す、一画素16ドット再現(16階調)の場合、接着面積率は1/16単位で制御され、数値計算を行う場合は四捨五入を行う。入力画素がエッジで高濃度と判断された場合、上記の規則に従い、接着トナーの付着は、カラートナーが打たれるドット位置を優先的に選択する。まず、カラートナーが打たれるドット位置を選択し、カラートナーが打たれるドット位置を全て選択した後に、カラートナーが打たれないドット位置を選択する。一画素を構成するドット数に対し、接着トナーの打たれるドット数が規定の接着面積率であるRを超えたところで接着トナーの付着を終了する。
【0068】
図17は、接着ドット決定部604の処理フローチャートである。入力データの対象画素のエッジ量が閾値以上で(S700)、カラートナーが打たれるドット数の方が多い(すなわち、高濃度)場合は(S701)、まずカラートナーが打たれるドット位置に接着トナーが打たれ(S702)、この時点で接着トナーが打たれる接着面積率が規定の値に達していない場合は(S703)、接着面積率が規定の値に達するまでカラートナーが打たれないドット位置に接着トナーが打たれる(S704)。
【0069】
また、入力データの対象画素のエッジ量が閾値以上で(S700)、カラートナーが打たれるドット数の方が少ない(すなわち、低濃度)場合は(S701)、まずカラートナーが打たれないドット位置に接着トナーが打たれ(S705)、この時点で、接着面積率が規定の値に達していない場合は(S706)、接着面積率が規定の値に達するまでカラートナーが打たれるドット位置に接着トナーが打たれる(S707)。
【0070】
一方、入力データの対象画素のエッジ量が閾値以上ではなく(S700)、カラートナーが打たれるドット数の方が多い(すなわち、高濃度)場合は(S708)、まずカラートナーが打たれないドット位置に接着トナーが打たれ(S709)、この時点で接着トナーが打たれる接着面積率が規定の値に達していない場合は(S710)、接着面積率が規定の値に達するまでカラートナーが打たれるドット位置に接着トナーが打たれる(S711)。
【0071】
また、入力データの対象画素のエッジ量が閾値以上ではなく(S700)、カラートナーが打たれるドット数の方が少ない(すなわち、低濃度)場合は(S708)、まずカラートナーが打たれるドット位置に接着トナーが打たれ(S712)、この時点で接着トナーが打たれる接着面積率が規定の値に達していない場合は(S713)、接着面積率が規定の値に達するまでカラートナーが打たれないドット位置に接着トナーが打たれる(S714)。
【0072】
このように、本実施例では、入力画像の画素毎のエッジ量に応じて、接着トナーの付着領域の接着面積率を決定することができる。また、本実施例では、接着トナーを付着させるドットを接着面積率やエッジ量に応じて選択することができる。また、図14(b)に示すf(x)は非線型関数であるが、線形関数でも良い。但し、エッジ量の増加に対し、単調増加関数でなくてはならない。
【0073】
実施例3
実施例3は、入力画像データ全体のエッジ度合いに応じて接着パラメータ(接着面積率)を変更する実施例である。
【0074】
例えば、入力画像データが全体的にエッジ度の低い画像である場合、つまり、図14(b)に示すように、常に固定の接着パラメータを使用していると、入力画像によっては光透過媒体と光反射媒体との接着強度が悪くなり、一体感がなくなってしまう。そこで、実施例3では、入力画像データの全体のエッジ度合いに応じて接着パラメータを変更する。
【0075】
図18は、実施例3の色変換処理部の構成を示す。図18において、接着処理パラメータを設定する接着処理パラメータ設定部812は、入力画像データを受け取って接着パラメータを書き換える。図19(a)は、接着処理パラメータ設定部の構成を示す。RGBデータを受け取ると、エッジ度算出部900は、入力画像データ全体のエッジ度合いを算出する。
例えば、(エッジ度合い)=(各画素のエッジ量の和)/(画素数)を算出する。ここで、平均は、使用した画素数についてとる。算出されたエッジ度合いを用いて、f(x)書き換え部901は、接着パラメータである関数f(x)を書き換える。例えば、図19(b)に示すように、横軸の画像データ全体のエッジ度合いに対する、図14(b)のTHを書き換える。
【0076】
画像全体のエッジ度合いが高いほど、接着面積率であるTHを低い値に設定する(接着面積率の最低値を低く設定する)ことで、任意の入力画像に対して接着面積率を最適に補正することが可能である。また、接着処理部806は、上記書き換えた接着パラメータを使った接着処理を行う。この接着処理は、前述した実施例1、2の処理と同様である。
【0077】
上記説明した接着トナーに使用される材質の屈折率は、カラートナーの屈折率と同等かそれ以下でなくてはならない。何故なら紙から反射される光の進行方向が変わることが原因で、光学密着あり/なしによって再現色が変わるためである。なお、カラートナーの構成は、
・ポリエステル樹脂 100重量部(屈折率1.63)
・パラフィンワックス 6重量部(屈折率1.40)
・シリカ 1.5重量部(屈折率1.46)
である。
【0078】
また、カラートナーの場合、上記の他にトナーの色を決める顔料が3〜6重量部入る。顔料によって屈折率は様々であるが、顔料の屈折率がバインダとなる樹脂の屈折率と大きく異なると、顔料とバインダの間で光の散乱が起こり、トナーとしての透明性が落ち、色再現範囲が狭まるので、トナーに使用される顔料の屈折率は樹脂の屈折率と同等のものを選択するのが一般的である。
【0079】
接着トナーの構成は、
・ポリエステル樹脂 100重量部(屈折率1.63)
・パラフィンワックス 12重量部(屈折率1.40)
・シリカ 5重量部(屈折率1.46)
である。
【0080】
最も屈折率が高いポリエステル樹脂の部数は変わらず、パラフィンワックスとシリカの重量部数が増えるが、両者の屈折率はポリエステルの屈折率と近い上、構成重量部数が少ないため、トナーとしての屈折率にほぼ影響がない。また、顔料選択の場合と同様で、主原料であるポリエステル樹脂の屈折率と大きく異なる屈折率を持つ組成材を混入すると、それらの間で光の散乱が起こりトナーとしての透明性が失われるため、その様な組成材は使用することができない。従って、接着トナーの屈折率はカラートナーと同等である。
【0081】
以上説明したように、本発明によれば、画像形成された光透過媒体に対し、エッジ情報に応じて接着領域を選択し、接着領域に接着トナーを付着し、光反射媒体と定着しているため、彩度、及び鮮鋭性の高い画像を出力することが可能となる。上記実施例では、画像形成に用いるトナーの色数を4色としたが、4色に限定されず何色でもよい。また上記実施例では電子写真を例に説明したが、光透過媒体に印刷ができるインクジェットプリンタなどにも適用可能である。また、接着処理装置に入力する画像信号をRGB信号とし、接着面積率等を決定したが、例えば補色であるCMY信号や、総量規制後のC”M”Y”K”信号を基に接着面積率を決定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】光学的に密着されている場合と、光学的に密着されていない場合の再現色の相違を説明する図である。
【図2】空気層のみの状態での受光量を説明する図である。
【図3】光学的に密着されている状態と、光学的に密着されていない状態での受光量を説明する図である。
【図4】光学的に密着されている状態と、光学的に密着されていない状態での多重反射を説明する図である。
【図5】透過率と多重反射との関係を説明する図である。
【図6】光学的に密着されている場合と、光学的に密着されていない場合の分光反射率を示す。
【図7】本発明に係る画像形成システムの構成例を示す。
【図8】画像形成システムにおけるコンピュータと画像処理装置の処理構成を示す。
【図9】本発明の画像形成装置の構成を示す。
【図10】実施例1の色変換処理部の構成を示す。
【図11】実施例1の接着処理部の構成例を示す。
【図12】エッジ抽出フィルタの例を示す。
【図13】実施例2の色変換処理部の構成を示す。
【図14】実施例2の接着処理部の構成を示す。
【図15】階調画像の例を示す。
【図16】色再現を重視した場合の、接着トナーが打たれるドット位置の選択を説明する図である。
【図17】実施例2の接着ドット決定部の処理フローチャートである。
【図18】実施例3の色変換処理部の構成を示す。
【図19】実施例3の接着処理パラメータ設定部の構成を示す。
【符号の説明】
【0083】
301 色空間変換部
302 墨処理部
303 γ補正部
304 総量規制部
305 中間調処理部
306 接着処理部
307 色変換パラメータ設定部
308 墨処理パラメータ設定部
309 γ変換パラメータ設定部
310 総量規制パラメータ設定部
311 中間調処理パラメータ設定部
312 接着処理パラメータ設定部
313 エッジ抽出パラメータ設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成トナーを用いて光透過媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記画像の領域毎にエッジ量を抽出するエッジ抽出手段と、前記抽出されたエッジ量に応じて前記画像の領域毎に、前記光透過媒体と光反射媒体とを接着させるか否かを設定する接着処理手段と、前記光透過媒体の前記設定された接着領域に接着トナーを付着する付着手段と、前記光透過媒体に接着トナーが付着した面に前記光反射媒体が接するように整合し、定着する定着手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記接着処理手段は、前記抽出されたエッジ量が所定値以上のとき、前記画像の領域を接着させる領域として設定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記接着処理手段は、前記抽出されたエッジ量に応じて接着トナーを付着するための接着面積率を設定し、前記エッジ量に対し接着面積率の連続性が保たれるように設定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像全体のエッジ度を算出するエッジ度算出手段を有し、前記算出されたエッジ度に応じて前記接着面積率を変更することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記接着処理手段は、前記抽出されたエッジ量に応じて前記接着トナーを付着するドット位置を設定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記接着処理手段は、前記エッジ量が所定値以上のとき、画像形成トナーの付着されるドットと付着されないドットの面積率を比較し、面積率の高い方のドット位置を、前記接着トナーを付着するドット位置として設定することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像形成トナーを用いて光透過媒体に画像を形成する画像形成工程と、前記画像の領域毎にエッジ量を抽出するエッジ抽出工程と、前記抽出されたエッジ量に応じて前記画像の領域毎に、前記光透過媒体と光反射媒体とを接着させるか否かを設定する接着処理工程と、前記光透過媒体の前記設定された接着領域に接着トナーを付着する付着工程と、前記光透過媒体に接着トナーが付着した面に前記光反射媒体が接するように整合し、定着する定着工程とを有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
請求項7記載の画像形成方法により作成されることを特徴とするプリント媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−26130(P2010−26130A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185629(P2008−185629)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】