画像形成装置および画像形成システム
【課題】記録媒体における濃度ムラの発生を抑制することができる画像形成装置および画像形成システムを提供すること。
【解決手段】図13に示すように、a≧0.24mm且つb/a<0.78を満たす場合に、濃度ムラが発生しない或いは濃度ムラが抑制され許容レベルである、という結果が得られた。また、a<0.24mm且つb/a>1.2を満たす場合に、濃度ムラが発生しない或いは濃度ムラが抑制され許容レベルである、という結果が得られた。
【解決手段】図13に示すように、a≧0.24mm且つb/a<0.78を満たす場合に、濃度ムラが発生しない或いは濃度ムラが抑制され許容レベルである、という結果が得られた。また、a<0.24mm且つb/a>1.2を満たす場合に、濃度ムラが発生しない或いは濃度ムラが抑制され許容レベルである、という結果が得られた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置は、帯電された感光ドラムにレーザ等の光源を照射し、その部位の電圧を変化させて、トナーを付着させる。そして、感光ドラム上に出来たトナー像を、感光ドラムとは逆の電圧がかかっている転写ロールにより記録紙に転写する。その後、定着ローラが熱と圧力でトナーを定着させる。このようにすれば、記録紙の上に印刷結果が得られる。
【0003】
ここで、画像の階調を擬似的に表現するために、ディザマトリクスを用いたハーフトーン処理を行う場合がある。ハーフトーン処理により、例えば256階調の入力画像データを2階調の出力画像データに変換し、その出力画像データに基づいて画像を形成することで、階調に応じたサイズのドットが一定のピッチで離散的に配置されることにより階調が擬似的に再現された画像を形成することできる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−215976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、感光ドラムがドラムギヤによって駆動される場合、駆動モータからの駆動力は、駆動ギヤ、これに噛合する上述のドラムギヤ等を介して、感光ドラムに伝達される。このような構成においては、駆動ギヤとドラムギヤとが噛み合うとき、回転ムラが生じる。ここで、ハーフトーン処理の結果として離散的に配置されるドットのピッチと、回転ムラの周期との関係によっては、これらの間で干渉が生じ、濃度ムラが発生してしまう場合があるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、記録媒体における濃度ムラの発生を抑制することができる画像形成装置および画像形成システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、請求項1記載の画像形成装置は、予め設定されたディザマトリクスを用いて画素の濃度を表す入力値の階調を変換し、画像データを生成する画像データ生成手段と、その画像データ生成手段により生成される画像データに応じて、像担持体を主走査方向に走査する走査手段と、駆動源から前記像担持体へ動力を伝達するギヤとを有するものであって、前記ディザマトリクスは、起点から1のドットが成長するように閾値が設定されたサブマトリクスを、複数個、規則的に配置して構成されるものであり、前記主走査方向に直交する副走査方向における、前記ギヤ1歯当たりの記録媒体の進行距離をaとし、ディザマトリクスを構成する複数個のサブマトリクスのうち、第1のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点と、その第1のサブマトリクスに対して所定の位置関係にある第2のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点との間の距離の副走査方向成分をbとすると、a≧0.24mm且つb/a<0.78、または、a<0.24mm且つb/a>1.2を満たすことを特徴とする。
【0007】
なお、「画素の濃度」とは、画素を構成する色成分の量(すなわち色の濃淡)を意味している。また、「画素の濃度が大」であるとは、色成分の量が大であり色が濃いことを意味している。
【0008】
請求項2記載の画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、前記ディザマトリクスを構成する複数個のサブマトリクスのうち、第1のサブマトリクスと第2のサブマトリクスとは、各サブマトリクスに由来して形成されるドットの起点間の距離と、その距離の副走査方向成分とに相関する濃度変化値に基づいて決定されることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の画像形成装置は、請求項2記載の画像形成装置において、前記濃度変化値は、前記ディザマトリクスを構成する複数個のサブマトリクスの中から、ドットの起点間の距離が小さく且つその距離の副走査方向成分が大きい関係にあるサブマトリクスが前記第1のサブマトリクスと前記第2のサブマトリクスとして決定されるように定義された値であることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の画像形成システムは、画像データに応じて像担持体を主走査方向に走査する走査手段と、駆動源から前記像担持体へ動力を伝達するギヤとを有する画像形成装置と、その画像形成装置と通信可能に接続されるコンピュータとを備えるシステムであって、前記コンピュータは、予め設定されたディザマトリクスを用いて画素の濃度を表す入力値の階調を変換し、前記画像データを生成する画像データ生成手段を備え、前記ディザマトリクスは、起点から1のドットが成長するように閾値が設定されたサブマトリクスを、複数個、規則的に配置して構成されるものであり、前記主走査方向に直交する副走査方向における、前記ギヤ1歯当たりの記録媒体の進行距離をaとし、ディザマトリクスを構成する複数個のサブマトリクスのうち、第1のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点と、その第1のサブマトリクスに対して所定の位置関係にある第2のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点との間の距離の副走査方向成分をbとすると、a≧0.24mm且つb/a<0.78、または、a<0.24mm且つb/a>1.2を満たすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の画像形成装置によれば、ギヤ1歯当たりの記録媒体の進行距離aと、ディザマトリクスを構成する複数個のサブマトリクスのうち、第1のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点と、その第1のサブマトリクスに対して所定の位置関係にある第2のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点との間の距離の副走査方向成分bとの関係が、a≧0.24mm且つb/a<0.78、または、a<0.24mm且つb/a>1.2を満たすように構成することにより、記録媒体における濃度ムラの発生を抑制することができるという効果がある。
【0012】
請求項2記載の画像形成装置によれば、請求項1記載の画像形成装置の奏する効果に加え、ディザマトリクスを構成する複数個のサブマトリクスのうち、濃度ムラの抑制に適切な2つのサブマトリクスが、第1のサブマトリクスと第2のサブマトリクスとして、濃度変化値に基づいて決定されるという効果がある。本発明者は、各サブマトリクスに由来して形成されるドットの起点間の距離と、その距離の副走査方向成分とに相関する濃度変化値に基づいて、第1のサブマトリクスと第2のサブマトリクスとを決定することにより、濃度ムラの発生をより適切に抑制できることを見いだしたのである。
【0013】
請求項3記載の画像形成装置によれば、請求項2記載の画像形成装置の奏する効果に加え、ディザマトリクスを構成する複数個のサブマトリクスの中から、ドットの起点間の距離が小さく且つその距離の副走査方向成分が大きい関係にあるサブマトリクスが第1のサブマトリクスと第2のサブマトリクスとして決定されるように濃度変化値が定義されているので、換言すれば、ドット起点間の距離が同一であれば、その距離の副走査方向成分が大きい関係にあるサブマトリクスが第1のサブマトリクスと第2のサブマトリクスとして決定され、ドット起点間の距離の副走査方向成分が同一であれば、そのドット起点間の距離が小さい関係にあるサブマトリクスが第1のサブマトリクスと第2のサブマトリクスとして決定されるように濃度変化値が定義されている。このようにして第1のサブマトリクスと第2のサブマトリクスを決定することにより、濃度ムラの発生をより適切に抑制することができることをという効果がある。
【0014】
請求項4記載の画像形成システムによれば、請求項1記載の画像形成装置と同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の画像形成装置の実施形態であるレーザプリンタ1の概略断面図である。図1に示すように、レーザプリンタ1は、上部ケーシング2と下部ケーシング3とからなるプリンタケーシング4と、上部ケーシング2に設けられたレーザスキャナ装置5と、下部ケーシング3に着脱自在に設けられたプロセスカートリッジ6と、転写帯電器7と除電針8などを備えた転写・分離装置9と、加熱ローラ10と加圧ローラ11などを備えた定着装置12と、給紙ローラ13、レジストローラ14、感光体ドラム28上の可視像を記録紙33に転写する転写ローラ36、搬送ローラ15及び排紙ローラ16などを備えた搬送装置17などで構成されている。
【0016】
レーザスキャナ装置5は、半導体レーザ22、6面体ミラー23、結像レンズ24、反射ミラー25及びレーザ光出口部26に配設された合成樹脂製のレンズ部材27などを備えている。プロセスカートリッジ6は下部ケーシング3に着脱自在に配設され、その内部には、感光体ドラム28、現像シリンダ30などが一体に組立てられている。
【0017】
次に、レーザプリンタ1の作動について簡単に説明する。半導体レーザ22から出射されて6面体ミラー23に入射したレーザ光35は、一定の高速度で回転する6面体ミラー23のミラー面毎に所定角度偏向されることにより所定角度範囲に亙って主走査され、次に結像レンズ24を経て反射ミラー25で鉛直下方に反射され、次にレーザ光35の走査方向に細長いレンズ部材27とを経て感光体ドラム28に入射する。感光体ドラム28に入射されたレーザ光35は、後述するドラム駆動機構40(図2参照)により一定速度で回転する感光体ドラム28により副走査されて、感光体ドラム28の周面上に静電潜像が形成される。レーザプリンタ1は、後述する画像データに応じて感光体ドラム28を走査することにより、画像データに応じた静電潜像を形成する。
【0018】
感光体ドラム28に形成された静電潜像は、現像シリンダ30から供給されるトナーにより現像され、記録紙33上に転写され、その後記録紙33は除電針8により感光体ドラム28から分離されて定着装置12に搬送される。定着装置12において、加熱ローラ10と加圧ローラ11により、トナーは記録紙33に溶着して定着され、その後搬送ローラ15及び排紙ローラ16を介して排紙トレー34上に搬送されるようになっている。
【0019】
図2は、ドラム駆動機構40を示す概略図である。前記感光体ドラム28のドラム軸28aには合成樹脂製で大径のドラムギヤ41が固着され、このドラムギヤ41に噛合する小径のドラム駆動ギヤ42は、図示外のメインモータ(駆動源)に連結された連結機構により回転駆動される。すなわち、ドラム駆動機構40には、メインモータから感光体ドラム28へ動力を伝達するギヤ41,42が設けられる。一方、図1を参照して説明した、給紙ローラ13、レジストローラ14、転写ローラ36、搬送ローラ15及び排紙ローラ16などはメインモータにより感光体ドラム28の回転速度と同期して回転駆動されるように構成されている。即ち、記録紙33は感光体ドラム28の回転と同期して搬送されるようになっている。
【0020】
ここで、前記ドラム駆動ギヤ42の回転によりドラムギヤ41つまり感光体ドラム28を回転駆動する場合、ドラム駆動ギヤ42のギヤ歯42aとドラムギヤ41のギヤ歯41aとの噛み合いによるものであることから、ギヤ歯41aに対するギヤ歯42aの噛み合い開始位相角から噛み合い終了位相角に亙る噛み合い動作が、ドラムギヤ41のギヤ歯41a毎に繰り返されるので、ドラムギヤ41の加工精度や材質などにより、ドラムギヤ41つまり感光体ドラム28の回転速度が、隣接する2つのギヤ歯41a間のピッチ角α毎に変化する。
【0021】
ここで、ドラムギヤ41がピッチ角α分回転したときに、すなわち、円ピッチ(ピッチ円を歯数で割ったもの)だけ回転したとき、感光ドラム28表面上の一点が移動する距離を、ギヤピッチaとして定義する。なお、ギヤピッチaの値は、mmの単位で求めることとする。感光体ドラム28には、ギヤ歯41aとギヤ歯42aとが噛み合うときに回転速度のムラが生じるから、そのムラに起因して、記録紙33上の印刷結果にはギヤピッチa毎の濃度ムラが生じることとなる。
【0022】
図3は、レーザプリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。図3に示すように、レーザプリンタ1のビデオコントローラ50は、CPU51と、種々の制御プログラムが格納されたROM52と、パーソナルコンピュータやホストコンピュータなどのデータ送信機器(図示せず)から送信された画像データを受けて格納する受信バッファなどの各種メモリが設けられたRAM53と、外部のデータ送信機器(図示せず)から送信されるデータを受信するシリアルインターフェース(S・I/F)54と、ビットイメージデータに変換された印刷情報を順次DCコントローラ58へ出力するビデオインターフェース(V・I/F)55とを有し、これらはCPU51に夫々接続されている。
【0023】
ここで、印刷機構PMには、前述したレーザスキャナ装置5、プロセスカートリッジ6、転写・分離装置9、定着装置12、搬送装置17が設けられる上、感光ドラム28や搬送装置17を駆動する為のメインモータ、加熱ローラ10の為の定着ヒータ、その他の電装品回路などが設けられており、前記DCコントローラ58は、これらメインモータ、定着ヒータ及び各種電装品回路に加えて、半導体レーザ22、6面体ミラー23を駆動するスキャナモータを駆動制御するように構成されている。
【0024】
ROM52には、通常のレーザプリンタが備える各種制御プログラムに加えて、予め設定されたディザマトリクス52aが格納されている。CPU51は、ROM52に格納された制御プログラムに従ってハーフトーン処理を実行することにより、画像データを生成する画像データ生成手段として機能する。
【0025】
ハーフトーン処理では、ディザマトリクス52aを入力画像に重ね合わせ、ディザマトリクス52aを構成する各要素を閾値として、入力画像の各画素の濃度を表す入力値とその閾値とを1対1で比較する。そして、入力値が閾値以上であれば、その入力値の画素にトナーを定着することを意味する「1」に変換し、入力値が閾値より小であればその入力値の画素にトナーを定着しないことを意味する「0」に変換することにより、256階調の入力値を、2階調の画像データに変換する。したがって、ディザマトリクス52aがカバーする範囲内の画素に、その入力値が閾値以上である画素が多いほど、その範囲内においてトナーを定着する画素が多くなり、画像の階調を擬似的に表現することができる。ここで、CPU51は、ハーフトーン処理と共に、ガンマ補正などの公知の画像処理により画像データを補正して出力するが、本発明のポイントではないため、詳細は省略する。
【0026】
図4は、レーザプリンタ1のROM52に格納されるディザマトリクス52aの一例を示す図である。なお、ハーフトーン処理においては、図4に示すディザマトリクス52aの横方向が主走査方向に一致し、ディザマトリクス52aの縦方向が副走査方向に一致する位置関係で入力画像にディザマトリクス52aを重ね合わせ、閾値と、画素の入力値とを比較する。
【0027】
図4に示すように、ディザマトリクス52aは、サブマトリクス60が16個分を1組として規則的に配置されることにより構成されている。
【0028】
各サブマトリクス60は、その最上行の左端に、そのサブマトリクス60内で最小の閾値(以下、単に最小閾値と称する)が配置される。そして、最上行には、左端から右端に向けて昇順に配列された1行分の閾値が割り当てられる。また、最上行の次の行には、最上行右端の閾値の次に大きい閾値から昇順に配列された1行分の閾値が割り当てられる。このように、下の行へ向かうにつれて、閾値が大となるように、閾値が順番に配列されている。
【0029】
すなわち、サブマトリクス60は、最小閾値に対応した起点に形成される1つのドットが、そのサブマトリクス60がカバーする範囲内の画素の濃度が大となるにつれて主走査方向に延びて棒状のドット形状を形成し、さらに濃度が大となると、その棒状のドットが副走査方向に太くなるように、閾値が設定されたものである。
【0030】
次に、ディザマトリクス52aを構成するサブマトリクス60の配置について説明する。図4に示すように、ディザマトリクス52aにおいては、横方向(主走査方向に相当)において互いに隣接するサブマトリクス60が、縦方向(副走査方向に相当)において1閾値分ずつずらして規則的に配置される。上述したように、1のサブマトリクス60に対応して1のドットが形成されるから、ディザマトリクス52aによれば、サブマトリクス60に基づく各ドットは、その起点が副走査方向に1画素分ずつずらされた規則的な配置で、形成されることとなる。
【0031】
図5(a)は、記録紙33に規則的に配置されるドットの起点61と、ディザマトリクス52aがカバーする範囲52bとの関係を示す概念図である。図4を参照して説明したように、1のディザマトリクス52aには16個のサブマトリクスが含まれるから、1のディザマトリクス52aがカバーする範囲52bには、図5(a)に示すように、最大で16個の起点61が離散的に形成されることとなる。各ドットは、ディザマトリクス52aがカバーする範囲内の画素の濃度が小の場合、すなわち淡部において、起点61から主走査方向に延びて棒状のドット形状に成長する。すなわち、図5(b)に示す矢印方向に棒状のドットが成長する。
【0032】
ここで、各種部品公差に起因する搬送誤差(ギヤピッチaの変動により生じる変移)により、ドット形成位置が副走査方向にずれてドットの粗密が生じ、周期的な濃度ムラとなって記録紙33に表れる場合がある。そして、その濃度ムラが僅かな目立たないものであったとしても、濃度ムラの発生周期と上述した起点61間の距離との関係によっては、干渉により濃度ムラが強調され、画質を著しく低下させる場合がある。本発明者は、ギヤピッチaの変動により生じる搬送誤差に起因する濃度ムラと、その濃度ムラの強調を引き起こしやすい位置関係にある起点61間の距離と、ギヤピッチaとの関係に注目した。
【0033】
図5(c)を参照して、搬送誤差に起因する濃度ムラを引き起こしやすい位置関係について説明する。図5(c)は、搬送誤差によるドット起点の形成位置のずれを示す図である。
【0034】
記録紙33の搬送誤差がないと仮定した場合、図5(c)に示すP2の位置に形成されるべきドットの起点は、実際には、搬送誤差の影響を受けて、副走査方向にσ分ずれた位置P2’に形成される。なお、σは、搬送誤差、すなわちギヤピッチaの変動により生じる変移想定量を表す。σは、各種部品公差などからその値を推定することができる。
【0035】
搬送誤差により、P1,P2間の距離Aが、P1,P2’間の距離Bに変動すると、この変動量が単位面積当たりの濃度変化を引き起こし、濃度ムラを知覚させる。
【0036】
本発明者は、ドット間に生じる濃度変化の程度を検証するために、濃度変化率を、以下のようにして算出することを想到した。まず、P1,P2間の距離Aの期待値を下記の式(1)で算出する。すなわち、距離Aの走査方向成分をXとし、副走査方向成分をYとする。
【0037】
【数1】
次に、P1,P2’間の距離Bの推定値を下記の式(2)で算出する。
【0038】
【数2】
この2点間の距離ABの変動割合が濃度ムラとして知覚される。よって、濃度変化率を(3)式のように定義する。
【0039】
【数3】
すなわち、2点間の距離が小さくY(2点間距離の副走査方向成分)が大きいものほど、濃度変化率が大となり、濃度ムラが生じやすいことが分かる。本発明者は、この濃度変化率が最大になるドットの起点の位置関係に注目した。
【0040】
具体的には、ディザマトリクス52aを構成する複数個のサブマトリクス60(図4参照)のうち、第1のサブマトリクスと、上記濃度変化率に基づいて定まる所定の位置関係にある第2のサブマトリクスを決定する。すなわち、第1のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点61と、第2のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点61との間の濃度変化率が最大となるように、第1のサブマトリクスと第2のサブマトリクスとを決定する。そして、その第1のサブマトリクスに由来するドットの起点61と、第2のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点61との間の距離の副走査方向成分をラインピッチbとし(図5(b)参照)、そのラインピッチbとギヤピッチaとの関係が、a≧0.24mm且つb/a<0.78、または、a<0.24mm且つb/a>1.2を満たすように、本実施形態のレーザプリンタ1を構成した。このようにすれば、濃度ムラの発生を適切に抑制することができる。なお、ラインピッチbの値は、mmの単位で求めることとする。
【0041】
上記濃度変化率を用いて第1のサブマトリクスと第2のサブマトリクスを決定することにより、濃度ムラが発生しやすい、すなわちドットの起点間の距離が小さく且つその距離の副走査方向成分が大きい関係にあるドット間距離の副走査方向成分をラインピッチbとすることができるから、濃度ムラを適切に抑制することができる。
【0042】
なお、図4,図5を参照して説明したディザマトリクス52aと構成が異なるディザマトリクスを採用する場合にも、上記数値範囲を適用することにより、同様に干渉縞抑制の効果が得られる。
【0043】
図6から図13を参照して、ディザマトリクス52aと構成が異なる様々なディザマトリクスを例示すると共に、図6から図13に示す各種ディザマトリクスについて上記の数値範囲を適用した場合に得られる効果を説明する。
【0044】
図6(a)は、3×3の要素で構成されるサブマトリクス64と、そのサブマトリクス64が4つ集合して作成される基本単位66との関係を示す図である。図6(a)に示すように、3×3の要素のサブマトリクス64を、主走査方向に3要素分、副走査方向に1要素分ずつずらして基本単位66を構成すれば、ドットの起点を結ぶ線が、主走査方向に対してなす角度(以下、スクリーン角度θと称する)を、約18°とすることができる。
【0045】
なお、サブマトリクス64で囲まれた、いずれのサブマトリクス64にも属さない閾値を、以下、サブマトリクス間セルCと称することとする。図6(a)に示すように、基本単位66は、1つのサブマトリクス間セルCを内包する構成である。
【0046】
図6(b)は、(a)に示すような基本単位66の組み合わせで作成されるディザマトリクス(以下、パターン1と称する)と、そのディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。600dpiの解像度で、パターン1のディザマトリクスを用いたハーフトーン処理を実行する場合、スクリーン線数は、約190lpi(line per inch)となり、ラインピッチbは4画素分の長さ(約0.169mm)となる。ここでいう「スクリーン線数」は、ドットの起点を結ぶ線Lに対して垂直な方向における1インチ当たりに含まれるドットの起点の数を示す値を意味している。
【0047】
図7(a)は、3×3の要素のサブマトリクス64と、そのサブマトリクス64が4つ集合して作成される基本単位68との関係を示す図である。図7(a)に示すように、3×3の要素のサブマトリクス64を、主走査方向に1要素分、副走査方向に3要素分ずつずらして作成される基本単位68によれば、スクリーン角度θを、約72°とすることができる。なお、図7(a)に示すように、基本単位68は、1つのサブマトリクス間セルCを内包する構成である。
【0048】
図7(b)は、(a)に示すような基本単位68の組み合わせで作成されるディザマトリクス(以下、パターン2と称する)がカバーする範囲を示す概念図である。600dpiの解像度で、パターン2のディザマトリクスを用いたハーフトーン処理を実行する場合、スクリーン線数は、約190lpiとなり、ラインピッチbは3画素分(約0.127mm)となる。
【0049】
図8(a)は、4×4の要素のサブマトリクス60と、そのサブマトリクス60が4つ集合して作成される基本単位70との関係を示す図である。図8(a)に示すように、4×4の要素のサブマトリクス60を、主走査方向に4要素分、副走査方向に1要素分ずつずらして作成される基本単位70によれば、スクリーン角度θを、約14°とすることができる。なお、基本単位70は、図8(a)に示すように、1つのサブマトリクス間セルCを内包する構成である。
【0050】
図8(b)は、(a)に示すような基本単位70の組み合わせで作成されるディザマトリクス(以下、パターン3と称する)がカバーする範囲を示す概念図である。600dpiの解像度で、パターン3のディザマトリクスを用いたハーフトーン処理を実行する場合、スクリーン線数は、約145lpiとなり、ラインピッチbは5画素分の長さ(約0.212mm)となる。
【0051】
図9(a)は、4×4の要素のサブマトリクス60と、そのサブマトリクス60の集合として作成される基本単位72との関係を示す図である。図9(a)に示すように、4×4の要素のサブマトリクス60を、主走査方向に1要素分、副走査方向に4要素分ずつずらして作成される基本単位72によれば、ドットの起点を結ぶ線が主走査方向に対してなす角度を、約76°とすることができる。なお、基本単位72は、縦方向に2つ、横方向に1つの合計2つの閾値を含むサブマトリクス間セルCを内包する構成である。
【0052】
図9(b)は、(a)に示すような基本単位72の組み合わせで作成されるディザマトリクス(以下、パターン4と称する)がカバーする範囲を示す概念図である。600dpiの解像度で、パターン4のディザマトリクスを用いたハーフトーン処理を実行する場合、スクリーン線数は、約137lpiとなり、ラインピッチbは4画素分の長さ(約0.169mm)となる。
【0053】
図10は、3×3の要素のサブマトリクス64を組み合わせて作成されるパターン5のディザマトリクスと、そのディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。図10に示すサブマトリクス64は、4つのサブマトリクス64の間に、横方向に2つ、縦方向に1つの合計2つの閾値を含むサブマトリクス間セルCを介して配置される。600dpiの解像度で、パターン5のディザマトリクスを用いたハーフトーン処理を実行する場合、スクリーン線数は約172lpiとなり、ラインピッチbは4画素分の長さ(約0.169mm)となる。また、スクリーン角度は約18.4°となる。
【0054】
図11は、4×4の要素のサブマトリクス60を組み合わせて作成されるパターン6のディザマトリクスと、そのディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。図11に示すサブマトリクス60は、4つのサブマトリクス64の間に、横方向に2つ、縦方向に1つの合計2つの閾値を含むサブマトリクス間セルCを介して配置される。このようなパターン6のディザマトリクスによれば、スクリーン線数は約137lpi、ラインピッチbは5画素分の長さ(約0.212mm)となる。また、スクリーン角度は約14°となる。
【0055】
図12(a)は、3×3の要素のサブマトリクス60を組み合わせて作成されるパターン7のディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。図12(a)に示すサブマトリクス60は、4つのサブマトリクス64の間に、横方向に3つ、縦方向に3つの合計9つの閾値を含むサブマトリクス間セルCを介して配置される。このようなパターン7のディザマトリクスによれば、スクリーン線数は約141lpi、ラインピッチbは6画素分の長さ(約0.254mm)となる。また、スクリーン角度は45°となる。
【0056】
図12(b)は、5×5の要素のサブマトリクス65を組み合わせて作成されるパターン8のディザマトリクスと、そのディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。図12(b)に示すサブマトリクス65は、4つのサブマトリクス65の間に、1つの閾値を含むサブマトリクス間セルCを介して配置される。このようなパターン8のディザマトリクスによれば、スクリーン線数は約118lpi、ラインピッチbは6画素分の長さ(約0.254mm)となる。また、スクリーン角度は約11°となる。
【0057】
図13は、図6から図12を参照して説明したパターン1からパターン6のディザマトリクスを適用する場合のラインピッチbの各々に対し、適切なギヤピッチaの範囲を調べた実験結果を表で示した図である。
【0058】
本発明者は、パターン1からパターン8のディザマトリクスを用いてハーフトーン処理した画像データをレーザプリンタによって600dpiの解像度で印刷出力して、その結果、濃度ムラが発生するか否かを実験した。なお、ギヤピッチaは、ギヤのモジュールを固定し、ギヤ外径を変えることにより、歯数を変え、それに応じてギヤピッチaを変化させた。
【0059】
図13に示す表において、○は濃度ムラが発生しない或いは濃度ムラが許容レベル内であることを示し、×は濃度ムラが発生し許容レベルを超えていることを示す。また、ラインピッチbをギヤピッチaで除算して得られる数値(b/a)は、評価結果を表すマーク○,×の上に記載している。
【0060】
図13に示すように、a≧0.24mm且つb/a<0.78を満たす場合に、濃度ムラが発生しない或いは濃度ムラが抑制され許容レベルである、という結果が得られた。また、a<0.24mm且つb/a>1.2を満たす場合に、濃度ムラが発生しない或いは濃度ムラが抑制され許容レベルである、という結果が得られた。
【0061】
次に、図14から図19を参照して、ディザマトリクスの設計の手順について説明する。ディザマトリクスを設計する際には、まず、目標とするスクリーン線数から、サブマトリックスのサイズ(要素数)を決定する。例えば、スクリーン線数が150lpiから200lpiの範囲を目標とする場合は、サブマトリクスのサイズとして3×3を決定する。また、スクリーン線数が120lpiから150lpiの範囲を目標とする場合は、サブマトリクスのサイズとして4×4を決定する。
【0062】
次に、目標とするスクリーン角度およびスクリーン線数から、基本単位を構成するサブマトリクスの配置を決定する。
【0063】
図14(a)は、4×4の要素からなるサブマトリクス60を4つ配置して構成される基本単位62を示す図である。図14(a)に示すようにサブマトリクス60を配置すれば、スクリーン角度θを約14°、スクリーン線数を約145lpiとすることができる。
【0064】
もちろん、サブマトリクスのサイズや、その配置を異ならせて基本単位を構成することにより、スクリーン角度θやスクリーン線数を適宜変更することができる。
【0065】
図14(b)は、3×3のサブマトリクス64間に、縦方向1要素分のサブマトリクス間セルCを介在させた例を示している。この場合、スクリーン角度θはいずれも約18°となる。また、サブマトリクス間セルCの横方向の要素数を増減させることにより、スクリーン線数を適宜変化させることができる。
【0066】
同様に、図14(c)は、3×3の一対のサブマトリクス64間に、横方向が1要素分のサブマトリクス間セルCを介在させた例を示している。この場合、スクリーン角度θはいずれも約72°となる。また、サブマトリクス間セルCの縦方向の要素数を増減させることにより、スクリーン線数を適宜変更することができる。
【0067】
図15を参照して、サブマトリクスの配置とスクリーン角度θとの関係についてさらに説明する。図15(a)は、約34°のスクリーン角度を形成するためのサブマトリクスの配置例を示す図である。図15(a)に示すように、3×3のサブマトリクス64間に、縦方向に2要素、横方向に1要素分のサブマトリクス間セルCを介在させて配置すれば、約34°のスクリーン角度を実現できる。
【0068】
図15(b)は、45°のスクリーン角度θを実現するためのサブマトリクスの配置例を説明する図である。図15(b)に示すように、3×3のサブマトリクス64を、横方向に3要素ずつ、縦方向に3要素ずつずらして配置することにより、45°のスクリーン角度を形成するための基本単位を構成することができる。なお、n×nのサブマトリクスを、横方向および縦方向にそれぞれn要素ずつずらして配置することにより、同様に45°のスクリーン角度θを実現することができる。
【0069】
図15(c)は、4×4のサブマトリクス60間に、縦方向に2要素分のサブマトリクス間セルCを介在させた例を示す図である。図15(c)に示すようにサブマトリクス60を配置することにより、スクリーン角度θを約27°とすることができる。
【0070】
図14,図15を参照して説明したように、サブマトリクスのサイズ、配置を調整することにより、スクリーン角度θおよびスクリーン線数を所望の値に調整することができる。
【0071】
図16(a)は、基本単位62と、その基本単位62の集合として構成されるディザマトリクス52aとの関係を示す図である。ここで、ディザマトリクス52a内の要素数は、ディザマトリクス52aがカバーする範囲で表現可能な階調数に等しい。よって、ディザマトリクス52aで表現しようとする所望の階調数と、基本単位62内の要素数とに基づいて、ディザマトリクス52aを構成する基本単位62の数を算出することができる。例えば、ディザマトリクス52aで表現したい階調数が256階調であり、1つの基本単位62内の要素数が、65個であれば、4つの基本単位62(すなわち16個のサブマトリクス60)で、1のディザマトリクス52aを構成すれば良いことが分かる。
【0072】
次に、各サブマトリクス60に、最小閾値として1から16までの値を割り振る。図16(b)は、各サブマトリクス60に割り当てられる最小閾値の一例を示す図である。ここで割り当てられる最小閾値は、ディザマトリクス52aに256段階の閾値を一様に割り当てるために、一時的に割り当てられる仮の最小閾値である。
【0073】
次に、図17に示すように、ディザマトリクス52aの集合から構成される大ディザ63のサイズを決定する。具体的には、同一の最小閾値が、同一の横方向位置、同一の縦方向位置に発生する箇所を探し、その箇所までの範囲をカバーするサイズを、大ディザ63のサイズとして決定する。例えば、図17に示すように、最小閾値「1」が発生する箇所X1を頂点とし、縦方向位置が箇所X1と同一で且つ同一の最小閾値「1」が発生する箇所X3と、横方向位置が箇所X1と同一で且つ同一の最小閾値「1」が発生する箇所X5とで規定される大きさを、大ディザ63のサイズとして決定する。
【0074】
箇所X1から箇所X3までの距離および箇所X1から箇所X5までの距離(すなわち、大ディザ63のサイズ)の算出手順を以下に説明する。まず、箇所X1と同一の最小閾値「1」が発生する箇所X2を探索する。図16に示す例では、箇所X1と箇所X2との間は、縦方向に16閾値分離隔し、横方向には4閾値分離隔する。また、箇所X2から同一の最小閾値「1」が発生する箇所X4までは、横方向に16閾値分、縦方向に4閾値分が存在する。
【0075】
したがって、16÷4=4より、箇所X3から箇所X2までの間には、4つのディザマトリクス52aを配置できることが分かる。したがって、箇所X2から箇所X3に至るまでの横方向に配置される閾値の数は、16×4=64より、64個と算出できる。
【0076】
また、箇所X1から箇所X2までは、横方向に4閾値分離隔する。したがって、64+4=68より、箇所X1から箇所X3までに含まれる閾値の数(すなわち、大ディザ63の横方向サイズ)を、68閾値と算出することができる。同様にして、箇所X1から箇所X5までに含まれる閾値の数(すなわち、大ディザの縦方向サイズ)を算出することができる。
【0077】
後述する処理によって設計されるディザマトリクスは、このようにして定めた大ディザの単位で、ROM12(図3参照)へ格納されることとなる。
【0078】
次に、各サブマトリクス60に対応して形成させるドットの形状を選択する。ドットの形状としては、具体的には「円」、「楕円」、「四角」、「菱形」などがあるが、用途や解像度に合ったドットの形状を選択すれば良い。ここでは、レーザプリンタ1に好適な棒状のドット形状を選択したものとして説明する。
【0079】
図18(a)は、主走査方向に平行な棒状のドットを形成するためのドットの成長順序の一例を示す図である。図18(a)ドットの成長順序が大であるほど、割り当てられる閾値が大となるように、換言すれば、ドットの成長順序に従って、閾値を小さい順に割り当ててサブマトリクス60、およびサブマトリクス間セルCを設計すれば、所望のドット形状をなすサブマトリクス60およびサブマトリクス間セルCを設計することができる。
【0080】
図18(a)に示すように、ドットの成長順序を定める場合、サブマトリクス60に対応して形成されるドットは、そのサブマトリクス60の左上隅に対応した位置を起点とし、主走査方向に延びて棒状のドット形状を形成する。
【0081】
図18(b)は、図16(b)に示す最小閾値、および図18(a)に示すドットの成長順序に従い、ディザマトリクス52aに割り当てた閾値の一例を示す図である。図16(b)に示すように割り当てられた最小閾値をサブマトリクス60の左上隅に配置し、その最小閾値に「16」を加算しつつ、図18(a)に示すドットの成長順序に従い、閾値を配置する(図18(b)参照)。このようにすれば、1から256までの閾値を分散して割り当てることができる。次に、このようにしてディザマトリクス52aに配置された閾値を微調整する。
【0082】
図19は、ディザマトリクス52aに配置された閾値の調整例を説明する図である。例えば、レーザプリンタ1においてトナーが定着し難いという特性が見られる場合は、ディザマトリクス52aに配置される閾値を小さくすることにより、トナーを付す画素を増加させることができるので、トナーが定着し難くても、適切な大きさのドットを形成することができる。
【0083】
よって、例えば、図19(a)に示すように、仮の最小閾値として、最初に「1,2,3,4」が割り当てられたサブマトリクスについては、最小閾値を「1」に変更する(サブマトリクス60A)。同様に、仮の最小閾値として、最初に「5,6,7,8」が割り当てられたサブマトリクスについては、最小閾値を「2」に変更する(サブマトリクス60B)。同様に、仮の最小閾値として、最初に「9,10,11,12,13,14,15,16」が割り当てられたサブマトリクスについては、最小閾値を「3」に変更する(サブマトリクス60C)。次に、変更後の最小閾値「1,2,3」の次に小さい閾値である「4」から「19」の閾値を、それぞれ、いずれかのサブマトリクスにおける最小閾値の右隣に割り当てる。そして、その割り当てた「4」から「19」の閾値を基準として、各サブマトリクス60内の残りの閾値を16おきの値とすることにより、サブマトリクス60内の閾値を設定し直す。
【0084】
図19(a)に示すように、各サブマトリクス60内の閾値を変更すると、ディザマトリクス52a内の閾値の最大値が255よりも小となる。例えば、図19(a)の場合では、最大閾値は243となる。この場合、入力値243の時点で、ディザマトリクスがカバーする範囲内の全ての画素の値が、トナーを定着することを意味する「1」に変換されるので、入力値243から入力値255までの階調を表現できないこととなる。
【0085】
よって、図19(b)に示すように、ディザマトリクス52a全体の閾値の最大値が、255となるように、閾値を調整する。具体的には、全閾値に対し、「閾値×255÷(図19(a)時点の最大閾値)」、例えば、図19(a)時点での最大閾値が243であれば、「閾値×255÷243」の計算を全閾値に対して実行し、255まで閾値を均等に割り振る。なお、演算結果の少数点以下は四捨五入する。
【0086】
このようにして閾値の最大値を調整した結果、例えば、いずれかの閾値が0になったり、或いは、例えば、閾値20の次が閾値27になるといった飛びが発生し、滑らかな階調表現ができないなどの不具合が生じた場合には、ディザマトリクス52a作成の作業者が、図14から図19に示した手順のいずれかに戻り、作業をやり直しても良い。
【0087】
作成したディザマトリクス52aは、図17で決定した大ディザ63の単位でROM12(図3参照)に格納する。このようにすれば、ハーフトーン処理においては、入力画像に、大ディザ63を重ねて閾値との比較処理を行うことにより、ディザマトリクス52a複数個分の範囲を一度に処理することができる。
【0088】
なお、図6から図12を参照して説明したパターン1からパターン6のディザマトリクスも同様の手順で設計することができる。
【0089】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0090】
例えば、本実施形態では、レーザプリンタ1がディザマトリクス52aを記憶するものであり、レーザプリンタ1においてハーフトーン処理が行われるものとして説明した。これに対し、パーソナルコンピュータなど、外部の情報処理機器においてハーフトーン処理を実行し、レーザプリンタに画像データを出力するように構成しても良い。この場合にも、本発明は適用可能である。
【0091】
図20は、パーソナルコンピュータ80(以下、PC80と称する)と、そのPC80と通信可能に接続されたレーザプリンタ90との電気的構成を示すブロック図である。レーザプリンタ90は、感光体ドラム、画像データに応じて感光体ドラムを主走査方向に走査するレーザスキャナ装置、駆動源から感光体ドラムへ動力を伝達するドラムギヤ、ドラム駆動ギヤを有する。なお、これら感光体ドラム、レーザスキャナ装置、ドラムギヤ、ドラム駆動ギヤの構成は、実施形態で説明したレーザプリンタ1と同一の構成で良いため、詳細な図示および説明は省略する。
【0092】
PC80は、CPU81,ROM82,RAM83,HDD(ハードディスクドライブ)84,レーザプリンタ90と接続するためのインターフェイス86を備える。
【0093】
図20に示すように、HDD84は、プリンタドライバ84a、およびハーフトーン処理に用いるディザマトリクス84bを記憶する。CPU81は、プリンタドライバ84aに従って、ディザマトリクス84bを用いたハーフトーン処理を実行することにより、画像データを生成する画像データ生成手段として機能する。
【0094】
ディザマトリクス84bは、実施形態のディザマトリクス52aと同様に、起点から主走査方向に向けてドットが棒状に成長するように閾値が設定されたサブマトリクスを、複数個、規則的に配置して構成される。
【0095】
このような場合においても、レーザプリンタ90の構成に基づいて定まるギヤピッチaと、PC80が記憶するディザマトリクスに基づいて定まるラインピッチbとが、a≧0.24mm且つb/a<0.78、または、a<0.24mm且つb/a>1.2を満たすように構成することにより、実施形態のレーザプリンタ1と同様に、記録紙における濃度ムラを抑制することができる。
【0096】
また、上記実施形態では、レーザプリンタ1における使用色が1色であるものとして説明したが、複数色のトナーで画像を形成するカラーレーザプリンタにおいても、本発明は適用可能である。複数色のトナーで画像を形成する場合、適用するディザマトリクスを色毎に異ならせ、スクリーン角度を色毎に異ならせることがある。この場合にも、各色のディザマトリクスから定まるラインピッチbとギヤピッチaとが、それぞれ、a≧0.24mm且つb/a<0.78、または、a<0.24mm且つb/a>1.2を満たすように構成することにより、実施形態のレーザプリンタ1と同様に、記録紙における干渉縞の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の画像形成装置の実施形態であるレーザプリンタの概略断面図である。
【図2】ドラム駆動機構を示す概略図である。
【図3】レーザプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】ディザマトリクスの一例を示す図である。
【図5】(a)は、記録紙に規則的に配置されるドットの起点と、ディザマトリクスがカバーする範囲との関係を示す概念図であり、(b)は、ギヤピッチbを示す図であり、(c)は、搬送誤差によるドット起点の形成位置のずれを示す図である。
【図6】(a)は、3×3の要素で構成されるサブマトリクスと、そのサブマトリクスの集合として作成される基本単位との関係を示す図である。(b)は、(a)に示す基本単位の組み合わせで作成されるパターン1のディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。
【図7】(a)は、3×3の要素のサブマトリクスと、そのサブマトリクスの集合として作成される基本単位との関係を示す図である。(b)は、(a)に示す基本単位の組み合わせで作成されるパターン2のディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。
【図8】(a)は、4×4の要素のサブマトリクスと、そのサブマトリクスの集合として作成される基本単位との関係を示す図である。(b)は、(a)に示す基本単位の組み合わせで作成されるパターン3のディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。
【図9】(a)は、4×4の要素のサブマトリクスと、そのサブマトリクスの集合として作成される基本単位との関係を示す図である。(b)は、(a)に示す基本単位の組み合わせで作成されるパターン4のディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。
【図10】パターン5のディザマトリクスと、そのディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。
【図11】パターン6のディザマトリクスと、そのディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。
【図12】(a)は、パターン7のディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図であり、(b)は、パターン8のディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。
【図13】図6から図12を参照して説明したパターン1からパターン8のディザマトリクスを適用する場合のラインピッチbの各々に対し、適切なギヤピッチaの範囲を調べた実験結果を表で示した図である。
【図14】(a)は、4×4の要素からなるサブマトリクスの集合として構成される基本単位を示す図である。(b),(c)は、サブマトリクスの配置と、スクリーン角度およびスクリーン線数との関係を説明する図である。
【図15】サブマトリクスの配置とスクリーン角度θとの関係を示す図である。
【図16】(a)は、基本単位と、その基本単位の集合として構成されるディザマトリクスとの関係を示す図である。(b)は、各サブマトリクスに割り当てられる最小閾値の一例を示す図である。
【図17】大ディザのサイズの決定方法を説明する図である。
【図18】(a)は、主走査方向に平行な棒状のドットを形成するためのドットの成長順序の一例を示す図である。(b)は、図16(b)に示す最小閾値、および図18(a)に示すドットの成長順序に従い、ディザマトリクスに割り当てた閾値の一例を示す図である。
【図19】ディザマトリクスに配置された閾値の調整例を説明する図である。
【図20】PCと、そのPCと通信可能に接続されたレーザプリンタとの電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0098】
1,90 レーザプリンタ(画像形成装置の一例)
5 レーザスキャナ装置(走査手段の一例)
28 感光体ドラム(像担持体の一例)
33 記録紙(記録媒体の一例)
41 ドラムギヤ(ギヤの一例)
51 画像データ生成手段の一例
52a,84a ディザマトリクス
60,64 サブマトリクス
61 起点
80 PC(コンピュータの一例)
81 画像データ生成手段の一例
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置は、帯電された感光ドラムにレーザ等の光源を照射し、その部位の電圧を変化させて、トナーを付着させる。そして、感光ドラム上に出来たトナー像を、感光ドラムとは逆の電圧がかかっている転写ロールにより記録紙に転写する。その後、定着ローラが熱と圧力でトナーを定着させる。このようにすれば、記録紙の上に印刷結果が得られる。
【0003】
ここで、画像の階調を擬似的に表現するために、ディザマトリクスを用いたハーフトーン処理を行う場合がある。ハーフトーン処理により、例えば256階調の入力画像データを2階調の出力画像データに変換し、その出力画像データに基づいて画像を形成することで、階調に応じたサイズのドットが一定のピッチで離散的に配置されることにより階調が擬似的に再現された画像を形成することできる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−215976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、感光ドラムがドラムギヤによって駆動される場合、駆動モータからの駆動力は、駆動ギヤ、これに噛合する上述のドラムギヤ等を介して、感光ドラムに伝達される。このような構成においては、駆動ギヤとドラムギヤとが噛み合うとき、回転ムラが生じる。ここで、ハーフトーン処理の結果として離散的に配置されるドットのピッチと、回転ムラの周期との関係によっては、これらの間で干渉が生じ、濃度ムラが発生してしまう場合があるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、記録媒体における濃度ムラの発生を抑制することができる画像形成装置および画像形成システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、請求項1記載の画像形成装置は、予め設定されたディザマトリクスを用いて画素の濃度を表す入力値の階調を変換し、画像データを生成する画像データ生成手段と、その画像データ生成手段により生成される画像データに応じて、像担持体を主走査方向に走査する走査手段と、駆動源から前記像担持体へ動力を伝達するギヤとを有するものであって、前記ディザマトリクスは、起点から1のドットが成長するように閾値が設定されたサブマトリクスを、複数個、規則的に配置して構成されるものであり、前記主走査方向に直交する副走査方向における、前記ギヤ1歯当たりの記録媒体の進行距離をaとし、ディザマトリクスを構成する複数個のサブマトリクスのうち、第1のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点と、その第1のサブマトリクスに対して所定の位置関係にある第2のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点との間の距離の副走査方向成分をbとすると、a≧0.24mm且つb/a<0.78、または、a<0.24mm且つb/a>1.2を満たすことを特徴とする。
【0007】
なお、「画素の濃度」とは、画素を構成する色成分の量(すなわち色の濃淡)を意味している。また、「画素の濃度が大」であるとは、色成分の量が大であり色が濃いことを意味している。
【0008】
請求項2記載の画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、前記ディザマトリクスを構成する複数個のサブマトリクスのうち、第1のサブマトリクスと第2のサブマトリクスとは、各サブマトリクスに由来して形成されるドットの起点間の距離と、その距離の副走査方向成分とに相関する濃度変化値に基づいて決定されることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の画像形成装置は、請求項2記載の画像形成装置において、前記濃度変化値は、前記ディザマトリクスを構成する複数個のサブマトリクスの中から、ドットの起点間の距離が小さく且つその距離の副走査方向成分が大きい関係にあるサブマトリクスが前記第1のサブマトリクスと前記第2のサブマトリクスとして決定されるように定義された値であることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の画像形成システムは、画像データに応じて像担持体を主走査方向に走査する走査手段と、駆動源から前記像担持体へ動力を伝達するギヤとを有する画像形成装置と、その画像形成装置と通信可能に接続されるコンピュータとを備えるシステムであって、前記コンピュータは、予め設定されたディザマトリクスを用いて画素の濃度を表す入力値の階調を変換し、前記画像データを生成する画像データ生成手段を備え、前記ディザマトリクスは、起点から1のドットが成長するように閾値が設定されたサブマトリクスを、複数個、規則的に配置して構成されるものであり、前記主走査方向に直交する副走査方向における、前記ギヤ1歯当たりの記録媒体の進行距離をaとし、ディザマトリクスを構成する複数個のサブマトリクスのうち、第1のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点と、その第1のサブマトリクスに対して所定の位置関係にある第2のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点との間の距離の副走査方向成分をbとすると、a≧0.24mm且つb/a<0.78、または、a<0.24mm且つb/a>1.2を満たすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の画像形成装置によれば、ギヤ1歯当たりの記録媒体の進行距離aと、ディザマトリクスを構成する複数個のサブマトリクスのうち、第1のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点と、その第1のサブマトリクスに対して所定の位置関係にある第2のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点との間の距離の副走査方向成分bとの関係が、a≧0.24mm且つb/a<0.78、または、a<0.24mm且つb/a>1.2を満たすように構成することにより、記録媒体における濃度ムラの発生を抑制することができるという効果がある。
【0012】
請求項2記載の画像形成装置によれば、請求項1記載の画像形成装置の奏する効果に加え、ディザマトリクスを構成する複数個のサブマトリクスのうち、濃度ムラの抑制に適切な2つのサブマトリクスが、第1のサブマトリクスと第2のサブマトリクスとして、濃度変化値に基づいて決定されるという効果がある。本発明者は、各サブマトリクスに由来して形成されるドットの起点間の距離と、その距離の副走査方向成分とに相関する濃度変化値に基づいて、第1のサブマトリクスと第2のサブマトリクスとを決定することにより、濃度ムラの発生をより適切に抑制できることを見いだしたのである。
【0013】
請求項3記載の画像形成装置によれば、請求項2記載の画像形成装置の奏する効果に加え、ディザマトリクスを構成する複数個のサブマトリクスの中から、ドットの起点間の距離が小さく且つその距離の副走査方向成分が大きい関係にあるサブマトリクスが第1のサブマトリクスと第2のサブマトリクスとして決定されるように濃度変化値が定義されているので、換言すれば、ドット起点間の距離が同一であれば、その距離の副走査方向成分が大きい関係にあるサブマトリクスが第1のサブマトリクスと第2のサブマトリクスとして決定され、ドット起点間の距離の副走査方向成分が同一であれば、そのドット起点間の距離が小さい関係にあるサブマトリクスが第1のサブマトリクスと第2のサブマトリクスとして決定されるように濃度変化値が定義されている。このようにして第1のサブマトリクスと第2のサブマトリクスを決定することにより、濃度ムラの発生をより適切に抑制することができることをという効果がある。
【0014】
請求項4記載の画像形成システムによれば、請求項1記載の画像形成装置と同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の画像形成装置の実施形態であるレーザプリンタ1の概略断面図である。図1に示すように、レーザプリンタ1は、上部ケーシング2と下部ケーシング3とからなるプリンタケーシング4と、上部ケーシング2に設けられたレーザスキャナ装置5と、下部ケーシング3に着脱自在に設けられたプロセスカートリッジ6と、転写帯電器7と除電針8などを備えた転写・分離装置9と、加熱ローラ10と加圧ローラ11などを備えた定着装置12と、給紙ローラ13、レジストローラ14、感光体ドラム28上の可視像を記録紙33に転写する転写ローラ36、搬送ローラ15及び排紙ローラ16などを備えた搬送装置17などで構成されている。
【0016】
レーザスキャナ装置5は、半導体レーザ22、6面体ミラー23、結像レンズ24、反射ミラー25及びレーザ光出口部26に配設された合成樹脂製のレンズ部材27などを備えている。プロセスカートリッジ6は下部ケーシング3に着脱自在に配設され、その内部には、感光体ドラム28、現像シリンダ30などが一体に組立てられている。
【0017】
次に、レーザプリンタ1の作動について簡単に説明する。半導体レーザ22から出射されて6面体ミラー23に入射したレーザ光35は、一定の高速度で回転する6面体ミラー23のミラー面毎に所定角度偏向されることにより所定角度範囲に亙って主走査され、次に結像レンズ24を経て反射ミラー25で鉛直下方に反射され、次にレーザ光35の走査方向に細長いレンズ部材27とを経て感光体ドラム28に入射する。感光体ドラム28に入射されたレーザ光35は、後述するドラム駆動機構40(図2参照)により一定速度で回転する感光体ドラム28により副走査されて、感光体ドラム28の周面上に静電潜像が形成される。レーザプリンタ1は、後述する画像データに応じて感光体ドラム28を走査することにより、画像データに応じた静電潜像を形成する。
【0018】
感光体ドラム28に形成された静電潜像は、現像シリンダ30から供給されるトナーにより現像され、記録紙33上に転写され、その後記録紙33は除電針8により感光体ドラム28から分離されて定着装置12に搬送される。定着装置12において、加熱ローラ10と加圧ローラ11により、トナーは記録紙33に溶着して定着され、その後搬送ローラ15及び排紙ローラ16を介して排紙トレー34上に搬送されるようになっている。
【0019】
図2は、ドラム駆動機構40を示す概略図である。前記感光体ドラム28のドラム軸28aには合成樹脂製で大径のドラムギヤ41が固着され、このドラムギヤ41に噛合する小径のドラム駆動ギヤ42は、図示外のメインモータ(駆動源)に連結された連結機構により回転駆動される。すなわち、ドラム駆動機構40には、メインモータから感光体ドラム28へ動力を伝達するギヤ41,42が設けられる。一方、図1を参照して説明した、給紙ローラ13、レジストローラ14、転写ローラ36、搬送ローラ15及び排紙ローラ16などはメインモータにより感光体ドラム28の回転速度と同期して回転駆動されるように構成されている。即ち、記録紙33は感光体ドラム28の回転と同期して搬送されるようになっている。
【0020】
ここで、前記ドラム駆動ギヤ42の回転によりドラムギヤ41つまり感光体ドラム28を回転駆動する場合、ドラム駆動ギヤ42のギヤ歯42aとドラムギヤ41のギヤ歯41aとの噛み合いによるものであることから、ギヤ歯41aに対するギヤ歯42aの噛み合い開始位相角から噛み合い終了位相角に亙る噛み合い動作が、ドラムギヤ41のギヤ歯41a毎に繰り返されるので、ドラムギヤ41の加工精度や材質などにより、ドラムギヤ41つまり感光体ドラム28の回転速度が、隣接する2つのギヤ歯41a間のピッチ角α毎に変化する。
【0021】
ここで、ドラムギヤ41がピッチ角α分回転したときに、すなわち、円ピッチ(ピッチ円を歯数で割ったもの)だけ回転したとき、感光ドラム28表面上の一点が移動する距離を、ギヤピッチaとして定義する。なお、ギヤピッチaの値は、mmの単位で求めることとする。感光体ドラム28には、ギヤ歯41aとギヤ歯42aとが噛み合うときに回転速度のムラが生じるから、そのムラに起因して、記録紙33上の印刷結果にはギヤピッチa毎の濃度ムラが生じることとなる。
【0022】
図3は、レーザプリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。図3に示すように、レーザプリンタ1のビデオコントローラ50は、CPU51と、種々の制御プログラムが格納されたROM52と、パーソナルコンピュータやホストコンピュータなどのデータ送信機器(図示せず)から送信された画像データを受けて格納する受信バッファなどの各種メモリが設けられたRAM53と、外部のデータ送信機器(図示せず)から送信されるデータを受信するシリアルインターフェース(S・I/F)54と、ビットイメージデータに変換された印刷情報を順次DCコントローラ58へ出力するビデオインターフェース(V・I/F)55とを有し、これらはCPU51に夫々接続されている。
【0023】
ここで、印刷機構PMには、前述したレーザスキャナ装置5、プロセスカートリッジ6、転写・分離装置9、定着装置12、搬送装置17が設けられる上、感光ドラム28や搬送装置17を駆動する為のメインモータ、加熱ローラ10の為の定着ヒータ、その他の電装品回路などが設けられており、前記DCコントローラ58は、これらメインモータ、定着ヒータ及び各種電装品回路に加えて、半導体レーザ22、6面体ミラー23を駆動するスキャナモータを駆動制御するように構成されている。
【0024】
ROM52には、通常のレーザプリンタが備える各種制御プログラムに加えて、予め設定されたディザマトリクス52aが格納されている。CPU51は、ROM52に格納された制御プログラムに従ってハーフトーン処理を実行することにより、画像データを生成する画像データ生成手段として機能する。
【0025】
ハーフトーン処理では、ディザマトリクス52aを入力画像に重ね合わせ、ディザマトリクス52aを構成する各要素を閾値として、入力画像の各画素の濃度を表す入力値とその閾値とを1対1で比較する。そして、入力値が閾値以上であれば、その入力値の画素にトナーを定着することを意味する「1」に変換し、入力値が閾値より小であればその入力値の画素にトナーを定着しないことを意味する「0」に変換することにより、256階調の入力値を、2階調の画像データに変換する。したがって、ディザマトリクス52aがカバーする範囲内の画素に、その入力値が閾値以上である画素が多いほど、その範囲内においてトナーを定着する画素が多くなり、画像の階調を擬似的に表現することができる。ここで、CPU51は、ハーフトーン処理と共に、ガンマ補正などの公知の画像処理により画像データを補正して出力するが、本発明のポイントではないため、詳細は省略する。
【0026】
図4は、レーザプリンタ1のROM52に格納されるディザマトリクス52aの一例を示す図である。なお、ハーフトーン処理においては、図4に示すディザマトリクス52aの横方向が主走査方向に一致し、ディザマトリクス52aの縦方向が副走査方向に一致する位置関係で入力画像にディザマトリクス52aを重ね合わせ、閾値と、画素の入力値とを比較する。
【0027】
図4に示すように、ディザマトリクス52aは、サブマトリクス60が16個分を1組として規則的に配置されることにより構成されている。
【0028】
各サブマトリクス60は、その最上行の左端に、そのサブマトリクス60内で最小の閾値(以下、単に最小閾値と称する)が配置される。そして、最上行には、左端から右端に向けて昇順に配列された1行分の閾値が割り当てられる。また、最上行の次の行には、最上行右端の閾値の次に大きい閾値から昇順に配列された1行分の閾値が割り当てられる。このように、下の行へ向かうにつれて、閾値が大となるように、閾値が順番に配列されている。
【0029】
すなわち、サブマトリクス60は、最小閾値に対応した起点に形成される1つのドットが、そのサブマトリクス60がカバーする範囲内の画素の濃度が大となるにつれて主走査方向に延びて棒状のドット形状を形成し、さらに濃度が大となると、その棒状のドットが副走査方向に太くなるように、閾値が設定されたものである。
【0030】
次に、ディザマトリクス52aを構成するサブマトリクス60の配置について説明する。図4に示すように、ディザマトリクス52aにおいては、横方向(主走査方向に相当)において互いに隣接するサブマトリクス60が、縦方向(副走査方向に相当)において1閾値分ずつずらして規則的に配置される。上述したように、1のサブマトリクス60に対応して1のドットが形成されるから、ディザマトリクス52aによれば、サブマトリクス60に基づく各ドットは、その起点が副走査方向に1画素分ずつずらされた規則的な配置で、形成されることとなる。
【0031】
図5(a)は、記録紙33に規則的に配置されるドットの起点61と、ディザマトリクス52aがカバーする範囲52bとの関係を示す概念図である。図4を参照して説明したように、1のディザマトリクス52aには16個のサブマトリクスが含まれるから、1のディザマトリクス52aがカバーする範囲52bには、図5(a)に示すように、最大で16個の起点61が離散的に形成されることとなる。各ドットは、ディザマトリクス52aがカバーする範囲内の画素の濃度が小の場合、すなわち淡部において、起点61から主走査方向に延びて棒状のドット形状に成長する。すなわち、図5(b)に示す矢印方向に棒状のドットが成長する。
【0032】
ここで、各種部品公差に起因する搬送誤差(ギヤピッチaの変動により生じる変移)により、ドット形成位置が副走査方向にずれてドットの粗密が生じ、周期的な濃度ムラとなって記録紙33に表れる場合がある。そして、その濃度ムラが僅かな目立たないものであったとしても、濃度ムラの発生周期と上述した起点61間の距離との関係によっては、干渉により濃度ムラが強調され、画質を著しく低下させる場合がある。本発明者は、ギヤピッチaの変動により生じる搬送誤差に起因する濃度ムラと、その濃度ムラの強調を引き起こしやすい位置関係にある起点61間の距離と、ギヤピッチaとの関係に注目した。
【0033】
図5(c)を参照して、搬送誤差に起因する濃度ムラを引き起こしやすい位置関係について説明する。図5(c)は、搬送誤差によるドット起点の形成位置のずれを示す図である。
【0034】
記録紙33の搬送誤差がないと仮定した場合、図5(c)に示すP2の位置に形成されるべきドットの起点は、実際には、搬送誤差の影響を受けて、副走査方向にσ分ずれた位置P2’に形成される。なお、σは、搬送誤差、すなわちギヤピッチaの変動により生じる変移想定量を表す。σは、各種部品公差などからその値を推定することができる。
【0035】
搬送誤差により、P1,P2間の距離Aが、P1,P2’間の距離Bに変動すると、この変動量が単位面積当たりの濃度変化を引き起こし、濃度ムラを知覚させる。
【0036】
本発明者は、ドット間に生じる濃度変化の程度を検証するために、濃度変化率を、以下のようにして算出することを想到した。まず、P1,P2間の距離Aの期待値を下記の式(1)で算出する。すなわち、距離Aの走査方向成分をXとし、副走査方向成分をYとする。
【0037】
【数1】
次に、P1,P2’間の距離Bの推定値を下記の式(2)で算出する。
【0038】
【数2】
この2点間の距離ABの変動割合が濃度ムラとして知覚される。よって、濃度変化率を(3)式のように定義する。
【0039】
【数3】
すなわち、2点間の距離が小さくY(2点間距離の副走査方向成分)が大きいものほど、濃度変化率が大となり、濃度ムラが生じやすいことが分かる。本発明者は、この濃度変化率が最大になるドットの起点の位置関係に注目した。
【0040】
具体的には、ディザマトリクス52aを構成する複数個のサブマトリクス60(図4参照)のうち、第1のサブマトリクスと、上記濃度変化率に基づいて定まる所定の位置関係にある第2のサブマトリクスを決定する。すなわち、第1のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点61と、第2のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点61との間の濃度変化率が最大となるように、第1のサブマトリクスと第2のサブマトリクスとを決定する。そして、その第1のサブマトリクスに由来するドットの起点61と、第2のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点61との間の距離の副走査方向成分をラインピッチbとし(図5(b)参照)、そのラインピッチbとギヤピッチaとの関係が、a≧0.24mm且つb/a<0.78、または、a<0.24mm且つb/a>1.2を満たすように、本実施形態のレーザプリンタ1を構成した。このようにすれば、濃度ムラの発生を適切に抑制することができる。なお、ラインピッチbの値は、mmの単位で求めることとする。
【0041】
上記濃度変化率を用いて第1のサブマトリクスと第2のサブマトリクスを決定することにより、濃度ムラが発生しやすい、すなわちドットの起点間の距離が小さく且つその距離の副走査方向成分が大きい関係にあるドット間距離の副走査方向成分をラインピッチbとすることができるから、濃度ムラを適切に抑制することができる。
【0042】
なお、図4,図5を参照して説明したディザマトリクス52aと構成が異なるディザマトリクスを採用する場合にも、上記数値範囲を適用することにより、同様に干渉縞抑制の効果が得られる。
【0043】
図6から図13を参照して、ディザマトリクス52aと構成が異なる様々なディザマトリクスを例示すると共に、図6から図13に示す各種ディザマトリクスについて上記の数値範囲を適用した場合に得られる効果を説明する。
【0044】
図6(a)は、3×3の要素で構成されるサブマトリクス64と、そのサブマトリクス64が4つ集合して作成される基本単位66との関係を示す図である。図6(a)に示すように、3×3の要素のサブマトリクス64を、主走査方向に3要素分、副走査方向に1要素分ずつずらして基本単位66を構成すれば、ドットの起点を結ぶ線が、主走査方向に対してなす角度(以下、スクリーン角度θと称する)を、約18°とすることができる。
【0045】
なお、サブマトリクス64で囲まれた、いずれのサブマトリクス64にも属さない閾値を、以下、サブマトリクス間セルCと称することとする。図6(a)に示すように、基本単位66は、1つのサブマトリクス間セルCを内包する構成である。
【0046】
図6(b)は、(a)に示すような基本単位66の組み合わせで作成されるディザマトリクス(以下、パターン1と称する)と、そのディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。600dpiの解像度で、パターン1のディザマトリクスを用いたハーフトーン処理を実行する場合、スクリーン線数は、約190lpi(line per inch)となり、ラインピッチbは4画素分の長さ(約0.169mm)となる。ここでいう「スクリーン線数」は、ドットの起点を結ぶ線Lに対して垂直な方向における1インチ当たりに含まれるドットの起点の数を示す値を意味している。
【0047】
図7(a)は、3×3の要素のサブマトリクス64と、そのサブマトリクス64が4つ集合して作成される基本単位68との関係を示す図である。図7(a)に示すように、3×3の要素のサブマトリクス64を、主走査方向に1要素分、副走査方向に3要素分ずつずらして作成される基本単位68によれば、スクリーン角度θを、約72°とすることができる。なお、図7(a)に示すように、基本単位68は、1つのサブマトリクス間セルCを内包する構成である。
【0048】
図7(b)は、(a)に示すような基本単位68の組み合わせで作成されるディザマトリクス(以下、パターン2と称する)がカバーする範囲を示す概念図である。600dpiの解像度で、パターン2のディザマトリクスを用いたハーフトーン処理を実行する場合、スクリーン線数は、約190lpiとなり、ラインピッチbは3画素分(約0.127mm)となる。
【0049】
図8(a)は、4×4の要素のサブマトリクス60と、そのサブマトリクス60が4つ集合して作成される基本単位70との関係を示す図である。図8(a)に示すように、4×4の要素のサブマトリクス60を、主走査方向に4要素分、副走査方向に1要素分ずつずらして作成される基本単位70によれば、スクリーン角度θを、約14°とすることができる。なお、基本単位70は、図8(a)に示すように、1つのサブマトリクス間セルCを内包する構成である。
【0050】
図8(b)は、(a)に示すような基本単位70の組み合わせで作成されるディザマトリクス(以下、パターン3と称する)がカバーする範囲を示す概念図である。600dpiの解像度で、パターン3のディザマトリクスを用いたハーフトーン処理を実行する場合、スクリーン線数は、約145lpiとなり、ラインピッチbは5画素分の長さ(約0.212mm)となる。
【0051】
図9(a)は、4×4の要素のサブマトリクス60と、そのサブマトリクス60の集合として作成される基本単位72との関係を示す図である。図9(a)に示すように、4×4の要素のサブマトリクス60を、主走査方向に1要素分、副走査方向に4要素分ずつずらして作成される基本単位72によれば、ドットの起点を結ぶ線が主走査方向に対してなす角度を、約76°とすることができる。なお、基本単位72は、縦方向に2つ、横方向に1つの合計2つの閾値を含むサブマトリクス間セルCを内包する構成である。
【0052】
図9(b)は、(a)に示すような基本単位72の組み合わせで作成されるディザマトリクス(以下、パターン4と称する)がカバーする範囲を示す概念図である。600dpiの解像度で、パターン4のディザマトリクスを用いたハーフトーン処理を実行する場合、スクリーン線数は、約137lpiとなり、ラインピッチbは4画素分の長さ(約0.169mm)となる。
【0053】
図10は、3×3の要素のサブマトリクス64を組み合わせて作成されるパターン5のディザマトリクスと、そのディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。図10に示すサブマトリクス64は、4つのサブマトリクス64の間に、横方向に2つ、縦方向に1つの合計2つの閾値を含むサブマトリクス間セルCを介して配置される。600dpiの解像度で、パターン5のディザマトリクスを用いたハーフトーン処理を実行する場合、スクリーン線数は約172lpiとなり、ラインピッチbは4画素分の長さ(約0.169mm)となる。また、スクリーン角度は約18.4°となる。
【0054】
図11は、4×4の要素のサブマトリクス60を組み合わせて作成されるパターン6のディザマトリクスと、そのディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。図11に示すサブマトリクス60は、4つのサブマトリクス64の間に、横方向に2つ、縦方向に1つの合計2つの閾値を含むサブマトリクス間セルCを介して配置される。このようなパターン6のディザマトリクスによれば、スクリーン線数は約137lpi、ラインピッチbは5画素分の長さ(約0.212mm)となる。また、スクリーン角度は約14°となる。
【0055】
図12(a)は、3×3の要素のサブマトリクス60を組み合わせて作成されるパターン7のディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。図12(a)に示すサブマトリクス60は、4つのサブマトリクス64の間に、横方向に3つ、縦方向に3つの合計9つの閾値を含むサブマトリクス間セルCを介して配置される。このようなパターン7のディザマトリクスによれば、スクリーン線数は約141lpi、ラインピッチbは6画素分の長さ(約0.254mm)となる。また、スクリーン角度は45°となる。
【0056】
図12(b)は、5×5の要素のサブマトリクス65を組み合わせて作成されるパターン8のディザマトリクスと、そのディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。図12(b)に示すサブマトリクス65は、4つのサブマトリクス65の間に、1つの閾値を含むサブマトリクス間セルCを介して配置される。このようなパターン8のディザマトリクスによれば、スクリーン線数は約118lpi、ラインピッチbは6画素分の長さ(約0.254mm)となる。また、スクリーン角度は約11°となる。
【0057】
図13は、図6から図12を参照して説明したパターン1からパターン6のディザマトリクスを適用する場合のラインピッチbの各々に対し、適切なギヤピッチaの範囲を調べた実験結果を表で示した図である。
【0058】
本発明者は、パターン1からパターン8のディザマトリクスを用いてハーフトーン処理した画像データをレーザプリンタによって600dpiの解像度で印刷出力して、その結果、濃度ムラが発生するか否かを実験した。なお、ギヤピッチaは、ギヤのモジュールを固定し、ギヤ外径を変えることにより、歯数を変え、それに応じてギヤピッチaを変化させた。
【0059】
図13に示す表において、○は濃度ムラが発生しない或いは濃度ムラが許容レベル内であることを示し、×は濃度ムラが発生し許容レベルを超えていることを示す。また、ラインピッチbをギヤピッチaで除算して得られる数値(b/a)は、評価結果を表すマーク○,×の上に記載している。
【0060】
図13に示すように、a≧0.24mm且つb/a<0.78を満たす場合に、濃度ムラが発生しない或いは濃度ムラが抑制され許容レベルである、という結果が得られた。また、a<0.24mm且つb/a>1.2を満たす場合に、濃度ムラが発生しない或いは濃度ムラが抑制され許容レベルである、という結果が得られた。
【0061】
次に、図14から図19を参照して、ディザマトリクスの設計の手順について説明する。ディザマトリクスを設計する際には、まず、目標とするスクリーン線数から、サブマトリックスのサイズ(要素数)を決定する。例えば、スクリーン線数が150lpiから200lpiの範囲を目標とする場合は、サブマトリクスのサイズとして3×3を決定する。また、スクリーン線数が120lpiから150lpiの範囲を目標とする場合は、サブマトリクスのサイズとして4×4を決定する。
【0062】
次に、目標とするスクリーン角度およびスクリーン線数から、基本単位を構成するサブマトリクスの配置を決定する。
【0063】
図14(a)は、4×4の要素からなるサブマトリクス60を4つ配置して構成される基本単位62を示す図である。図14(a)に示すようにサブマトリクス60を配置すれば、スクリーン角度θを約14°、スクリーン線数を約145lpiとすることができる。
【0064】
もちろん、サブマトリクスのサイズや、その配置を異ならせて基本単位を構成することにより、スクリーン角度θやスクリーン線数を適宜変更することができる。
【0065】
図14(b)は、3×3のサブマトリクス64間に、縦方向1要素分のサブマトリクス間セルCを介在させた例を示している。この場合、スクリーン角度θはいずれも約18°となる。また、サブマトリクス間セルCの横方向の要素数を増減させることにより、スクリーン線数を適宜変化させることができる。
【0066】
同様に、図14(c)は、3×3の一対のサブマトリクス64間に、横方向が1要素分のサブマトリクス間セルCを介在させた例を示している。この場合、スクリーン角度θはいずれも約72°となる。また、サブマトリクス間セルCの縦方向の要素数を増減させることにより、スクリーン線数を適宜変更することができる。
【0067】
図15を参照して、サブマトリクスの配置とスクリーン角度θとの関係についてさらに説明する。図15(a)は、約34°のスクリーン角度を形成するためのサブマトリクスの配置例を示す図である。図15(a)に示すように、3×3のサブマトリクス64間に、縦方向に2要素、横方向に1要素分のサブマトリクス間セルCを介在させて配置すれば、約34°のスクリーン角度を実現できる。
【0068】
図15(b)は、45°のスクリーン角度θを実現するためのサブマトリクスの配置例を説明する図である。図15(b)に示すように、3×3のサブマトリクス64を、横方向に3要素ずつ、縦方向に3要素ずつずらして配置することにより、45°のスクリーン角度を形成するための基本単位を構成することができる。なお、n×nのサブマトリクスを、横方向および縦方向にそれぞれn要素ずつずらして配置することにより、同様に45°のスクリーン角度θを実現することができる。
【0069】
図15(c)は、4×4のサブマトリクス60間に、縦方向に2要素分のサブマトリクス間セルCを介在させた例を示す図である。図15(c)に示すようにサブマトリクス60を配置することにより、スクリーン角度θを約27°とすることができる。
【0070】
図14,図15を参照して説明したように、サブマトリクスのサイズ、配置を調整することにより、スクリーン角度θおよびスクリーン線数を所望の値に調整することができる。
【0071】
図16(a)は、基本単位62と、その基本単位62の集合として構成されるディザマトリクス52aとの関係を示す図である。ここで、ディザマトリクス52a内の要素数は、ディザマトリクス52aがカバーする範囲で表現可能な階調数に等しい。よって、ディザマトリクス52aで表現しようとする所望の階調数と、基本単位62内の要素数とに基づいて、ディザマトリクス52aを構成する基本単位62の数を算出することができる。例えば、ディザマトリクス52aで表現したい階調数が256階調であり、1つの基本単位62内の要素数が、65個であれば、4つの基本単位62(すなわち16個のサブマトリクス60)で、1のディザマトリクス52aを構成すれば良いことが分かる。
【0072】
次に、各サブマトリクス60に、最小閾値として1から16までの値を割り振る。図16(b)は、各サブマトリクス60に割り当てられる最小閾値の一例を示す図である。ここで割り当てられる最小閾値は、ディザマトリクス52aに256段階の閾値を一様に割り当てるために、一時的に割り当てられる仮の最小閾値である。
【0073】
次に、図17に示すように、ディザマトリクス52aの集合から構成される大ディザ63のサイズを決定する。具体的には、同一の最小閾値が、同一の横方向位置、同一の縦方向位置に発生する箇所を探し、その箇所までの範囲をカバーするサイズを、大ディザ63のサイズとして決定する。例えば、図17に示すように、最小閾値「1」が発生する箇所X1を頂点とし、縦方向位置が箇所X1と同一で且つ同一の最小閾値「1」が発生する箇所X3と、横方向位置が箇所X1と同一で且つ同一の最小閾値「1」が発生する箇所X5とで規定される大きさを、大ディザ63のサイズとして決定する。
【0074】
箇所X1から箇所X3までの距離および箇所X1から箇所X5までの距離(すなわち、大ディザ63のサイズ)の算出手順を以下に説明する。まず、箇所X1と同一の最小閾値「1」が発生する箇所X2を探索する。図16に示す例では、箇所X1と箇所X2との間は、縦方向に16閾値分離隔し、横方向には4閾値分離隔する。また、箇所X2から同一の最小閾値「1」が発生する箇所X4までは、横方向に16閾値分、縦方向に4閾値分が存在する。
【0075】
したがって、16÷4=4より、箇所X3から箇所X2までの間には、4つのディザマトリクス52aを配置できることが分かる。したがって、箇所X2から箇所X3に至るまでの横方向に配置される閾値の数は、16×4=64より、64個と算出できる。
【0076】
また、箇所X1から箇所X2までは、横方向に4閾値分離隔する。したがって、64+4=68より、箇所X1から箇所X3までに含まれる閾値の数(すなわち、大ディザ63の横方向サイズ)を、68閾値と算出することができる。同様にして、箇所X1から箇所X5までに含まれる閾値の数(すなわち、大ディザの縦方向サイズ)を算出することができる。
【0077】
後述する処理によって設計されるディザマトリクスは、このようにして定めた大ディザの単位で、ROM12(図3参照)へ格納されることとなる。
【0078】
次に、各サブマトリクス60に対応して形成させるドットの形状を選択する。ドットの形状としては、具体的には「円」、「楕円」、「四角」、「菱形」などがあるが、用途や解像度に合ったドットの形状を選択すれば良い。ここでは、レーザプリンタ1に好適な棒状のドット形状を選択したものとして説明する。
【0079】
図18(a)は、主走査方向に平行な棒状のドットを形成するためのドットの成長順序の一例を示す図である。図18(a)ドットの成長順序が大であるほど、割り当てられる閾値が大となるように、換言すれば、ドットの成長順序に従って、閾値を小さい順に割り当ててサブマトリクス60、およびサブマトリクス間セルCを設計すれば、所望のドット形状をなすサブマトリクス60およびサブマトリクス間セルCを設計することができる。
【0080】
図18(a)に示すように、ドットの成長順序を定める場合、サブマトリクス60に対応して形成されるドットは、そのサブマトリクス60の左上隅に対応した位置を起点とし、主走査方向に延びて棒状のドット形状を形成する。
【0081】
図18(b)は、図16(b)に示す最小閾値、および図18(a)に示すドットの成長順序に従い、ディザマトリクス52aに割り当てた閾値の一例を示す図である。図16(b)に示すように割り当てられた最小閾値をサブマトリクス60の左上隅に配置し、その最小閾値に「16」を加算しつつ、図18(a)に示すドットの成長順序に従い、閾値を配置する(図18(b)参照)。このようにすれば、1から256までの閾値を分散して割り当てることができる。次に、このようにしてディザマトリクス52aに配置された閾値を微調整する。
【0082】
図19は、ディザマトリクス52aに配置された閾値の調整例を説明する図である。例えば、レーザプリンタ1においてトナーが定着し難いという特性が見られる場合は、ディザマトリクス52aに配置される閾値を小さくすることにより、トナーを付す画素を増加させることができるので、トナーが定着し難くても、適切な大きさのドットを形成することができる。
【0083】
よって、例えば、図19(a)に示すように、仮の最小閾値として、最初に「1,2,3,4」が割り当てられたサブマトリクスについては、最小閾値を「1」に変更する(サブマトリクス60A)。同様に、仮の最小閾値として、最初に「5,6,7,8」が割り当てられたサブマトリクスについては、最小閾値を「2」に変更する(サブマトリクス60B)。同様に、仮の最小閾値として、最初に「9,10,11,12,13,14,15,16」が割り当てられたサブマトリクスについては、最小閾値を「3」に変更する(サブマトリクス60C)。次に、変更後の最小閾値「1,2,3」の次に小さい閾値である「4」から「19」の閾値を、それぞれ、いずれかのサブマトリクスにおける最小閾値の右隣に割り当てる。そして、その割り当てた「4」から「19」の閾値を基準として、各サブマトリクス60内の残りの閾値を16おきの値とすることにより、サブマトリクス60内の閾値を設定し直す。
【0084】
図19(a)に示すように、各サブマトリクス60内の閾値を変更すると、ディザマトリクス52a内の閾値の最大値が255よりも小となる。例えば、図19(a)の場合では、最大閾値は243となる。この場合、入力値243の時点で、ディザマトリクスがカバーする範囲内の全ての画素の値が、トナーを定着することを意味する「1」に変換されるので、入力値243から入力値255までの階調を表現できないこととなる。
【0085】
よって、図19(b)に示すように、ディザマトリクス52a全体の閾値の最大値が、255となるように、閾値を調整する。具体的には、全閾値に対し、「閾値×255÷(図19(a)時点の最大閾値)」、例えば、図19(a)時点での最大閾値が243であれば、「閾値×255÷243」の計算を全閾値に対して実行し、255まで閾値を均等に割り振る。なお、演算結果の少数点以下は四捨五入する。
【0086】
このようにして閾値の最大値を調整した結果、例えば、いずれかの閾値が0になったり、或いは、例えば、閾値20の次が閾値27になるといった飛びが発生し、滑らかな階調表現ができないなどの不具合が生じた場合には、ディザマトリクス52a作成の作業者が、図14から図19に示した手順のいずれかに戻り、作業をやり直しても良い。
【0087】
作成したディザマトリクス52aは、図17で決定した大ディザ63の単位でROM12(図3参照)に格納する。このようにすれば、ハーフトーン処理においては、入力画像に、大ディザ63を重ねて閾値との比較処理を行うことにより、ディザマトリクス52a複数個分の範囲を一度に処理することができる。
【0088】
なお、図6から図12を参照して説明したパターン1からパターン6のディザマトリクスも同様の手順で設計することができる。
【0089】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0090】
例えば、本実施形態では、レーザプリンタ1がディザマトリクス52aを記憶するものであり、レーザプリンタ1においてハーフトーン処理が行われるものとして説明した。これに対し、パーソナルコンピュータなど、外部の情報処理機器においてハーフトーン処理を実行し、レーザプリンタに画像データを出力するように構成しても良い。この場合にも、本発明は適用可能である。
【0091】
図20は、パーソナルコンピュータ80(以下、PC80と称する)と、そのPC80と通信可能に接続されたレーザプリンタ90との電気的構成を示すブロック図である。レーザプリンタ90は、感光体ドラム、画像データに応じて感光体ドラムを主走査方向に走査するレーザスキャナ装置、駆動源から感光体ドラムへ動力を伝達するドラムギヤ、ドラム駆動ギヤを有する。なお、これら感光体ドラム、レーザスキャナ装置、ドラムギヤ、ドラム駆動ギヤの構成は、実施形態で説明したレーザプリンタ1と同一の構成で良いため、詳細な図示および説明は省略する。
【0092】
PC80は、CPU81,ROM82,RAM83,HDD(ハードディスクドライブ)84,レーザプリンタ90と接続するためのインターフェイス86を備える。
【0093】
図20に示すように、HDD84は、プリンタドライバ84a、およびハーフトーン処理に用いるディザマトリクス84bを記憶する。CPU81は、プリンタドライバ84aに従って、ディザマトリクス84bを用いたハーフトーン処理を実行することにより、画像データを生成する画像データ生成手段として機能する。
【0094】
ディザマトリクス84bは、実施形態のディザマトリクス52aと同様に、起点から主走査方向に向けてドットが棒状に成長するように閾値が設定されたサブマトリクスを、複数個、規則的に配置して構成される。
【0095】
このような場合においても、レーザプリンタ90の構成に基づいて定まるギヤピッチaと、PC80が記憶するディザマトリクスに基づいて定まるラインピッチbとが、a≧0.24mm且つb/a<0.78、または、a<0.24mm且つb/a>1.2を満たすように構成することにより、実施形態のレーザプリンタ1と同様に、記録紙における濃度ムラを抑制することができる。
【0096】
また、上記実施形態では、レーザプリンタ1における使用色が1色であるものとして説明したが、複数色のトナーで画像を形成するカラーレーザプリンタにおいても、本発明は適用可能である。複数色のトナーで画像を形成する場合、適用するディザマトリクスを色毎に異ならせ、スクリーン角度を色毎に異ならせることがある。この場合にも、各色のディザマトリクスから定まるラインピッチbとギヤピッチaとが、それぞれ、a≧0.24mm且つb/a<0.78、または、a<0.24mm且つb/a>1.2を満たすように構成することにより、実施形態のレーザプリンタ1と同様に、記録紙における干渉縞の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の画像形成装置の実施形態であるレーザプリンタの概略断面図である。
【図2】ドラム駆動機構を示す概略図である。
【図3】レーザプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】ディザマトリクスの一例を示す図である。
【図5】(a)は、記録紙に規則的に配置されるドットの起点と、ディザマトリクスがカバーする範囲との関係を示す概念図であり、(b)は、ギヤピッチbを示す図であり、(c)は、搬送誤差によるドット起点の形成位置のずれを示す図である。
【図6】(a)は、3×3の要素で構成されるサブマトリクスと、そのサブマトリクスの集合として作成される基本単位との関係を示す図である。(b)は、(a)に示す基本単位の組み合わせで作成されるパターン1のディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。
【図7】(a)は、3×3の要素のサブマトリクスと、そのサブマトリクスの集合として作成される基本単位との関係を示す図である。(b)は、(a)に示す基本単位の組み合わせで作成されるパターン2のディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。
【図8】(a)は、4×4の要素のサブマトリクスと、そのサブマトリクスの集合として作成される基本単位との関係を示す図である。(b)は、(a)に示す基本単位の組み合わせで作成されるパターン3のディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。
【図9】(a)は、4×4の要素のサブマトリクスと、そのサブマトリクスの集合として作成される基本単位との関係を示す図である。(b)は、(a)に示す基本単位の組み合わせで作成されるパターン4のディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。
【図10】パターン5のディザマトリクスと、そのディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。
【図11】パターン6のディザマトリクスと、そのディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。
【図12】(a)は、パターン7のディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図であり、(b)は、パターン8のディザマトリクスがカバーする範囲を示す概念図である。
【図13】図6から図12を参照して説明したパターン1からパターン8のディザマトリクスを適用する場合のラインピッチbの各々に対し、適切なギヤピッチaの範囲を調べた実験結果を表で示した図である。
【図14】(a)は、4×4の要素からなるサブマトリクスの集合として構成される基本単位を示す図である。(b),(c)は、サブマトリクスの配置と、スクリーン角度およびスクリーン線数との関係を説明する図である。
【図15】サブマトリクスの配置とスクリーン角度θとの関係を示す図である。
【図16】(a)は、基本単位と、その基本単位の集合として構成されるディザマトリクスとの関係を示す図である。(b)は、各サブマトリクスに割り当てられる最小閾値の一例を示す図である。
【図17】大ディザのサイズの決定方法を説明する図である。
【図18】(a)は、主走査方向に平行な棒状のドットを形成するためのドットの成長順序の一例を示す図である。(b)は、図16(b)に示す最小閾値、および図18(a)に示すドットの成長順序に従い、ディザマトリクスに割り当てた閾値の一例を示す図である。
【図19】ディザマトリクスに配置された閾値の調整例を説明する図である。
【図20】PCと、そのPCと通信可能に接続されたレーザプリンタとの電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0098】
1,90 レーザプリンタ(画像形成装置の一例)
5 レーザスキャナ装置(走査手段の一例)
28 感光体ドラム(像担持体の一例)
33 記録紙(記録媒体の一例)
41 ドラムギヤ(ギヤの一例)
51 画像データ生成手段の一例
52a,84a ディザマトリクス
60,64 サブマトリクス
61 起点
80 PC(コンピュータの一例)
81 画像データ生成手段の一例
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定されたディザマトリクスを用いて画素の濃度を表す入力値の階調を変換し、画像データを生成する画像データ生成手段と、
その画像データ生成手段により生成される画像データに応じて、像担持体を主走査方向に走査する走査手段と、
駆動源から前記像担持体へ動力を伝達するギヤとを有する画像形成装置において、
前記ディザマトリクスは、
起点から1のドットが成長するように閾値が設定されたサブマトリクスを、複数個、規則的に配置して構成されるものであり、
前記主走査方向に直交する副走査方向における、前記ギヤ1歯当たりの記録媒体の進行距離をaとし、
ディザマトリクスを構成する複数個のサブマトリクスのうち、第1のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点と、その第1のサブマトリクスに対して所定の位置関係にある第2のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点との間の距離の副走査方向成分をbとすると、
a≧0.24mm且つb/a<0.78、または、a<0.24mm且つb/a>1.2を満たすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ディザマトリクスを構成する複数個のサブマトリクスのうち、第1のサブマトリクスと第2のサブマトリクスとは、各サブマトリクスに由来して形成されるドットの起点間の距離と、その距離の副走査方向成分とに相関する濃度変化値に基づいて決定されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記濃度変化値は、前記ディザマトリクスを構成する複数個のサブマトリクスの中から、ドットの起点間の距離が小さく且つその距離の副走査方向成分が大きい関係にあるサブマトリクスが前記第1のサブマトリクスと前記第2のサブマトリクスとして決定されるように定義された値であることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像データに応じて像担持体を主走査方向に走査する走査手段と、駆動源から前記像担持体へ動力を伝達するギヤとを有する画像形成装置と、その画像形成装置と通信可能に接続されるコンピュータとを備える画像形成システムであって、
前記コンピュータは、
予め設定されたディザマトリクスを用いて画素の濃度を表す入力値の階調を変換し、前記画像データを生成する画像データ生成手段を備え、
前記ディザマトリクスは、
起点から1のドットが成長するように閾値が設定されたサブマトリクスを、複数個、規則的に配置して構成されるものであり、
前記主走査方向に直交する副走査方向における、前記ギヤ1歯当たりの記録媒体の進行距離をaとし、
ディザマトリクスを構成する複数個のサブマトリクスのうち、第1のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点と、その第1のサブマトリクスに対して所定の位置関係にある第2のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点との間の距離の副走査方向成分をbとすると、
a≧0.24mm且つb/a<0.78、または、a<0.24mm且つb/a>1.2を満たすことを特徴とする画像形成システム。
【請求項1】
予め設定されたディザマトリクスを用いて画素の濃度を表す入力値の階調を変換し、画像データを生成する画像データ生成手段と、
その画像データ生成手段により生成される画像データに応じて、像担持体を主走査方向に走査する走査手段と、
駆動源から前記像担持体へ動力を伝達するギヤとを有する画像形成装置において、
前記ディザマトリクスは、
起点から1のドットが成長するように閾値が設定されたサブマトリクスを、複数個、規則的に配置して構成されるものであり、
前記主走査方向に直交する副走査方向における、前記ギヤ1歯当たりの記録媒体の進行距離をaとし、
ディザマトリクスを構成する複数個のサブマトリクスのうち、第1のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点と、その第1のサブマトリクスに対して所定の位置関係にある第2のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点との間の距離の副走査方向成分をbとすると、
a≧0.24mm且つb/a<0.78、または、a<0.24mm且つb/a>1.2を満たすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ディザマトリクスを構成する複数個のサブマトリクスのうち、第1のサブマトリクスと第2のサブマトリクスとは、各サブマトリクスに由来して形成されるドットの起点間の距離と、その距離の副走査方向成分とに相関する濃度変化値に基づいて決定されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記濃度変化値は、前記ディザマトリクスを構成する複数個のサブマトリクスの中から、ドットの起点間の距離が小さく且つその距離の副走査方向成分が大きい関係にあるサブマトリクスが前記第1のサブマトリクスと前記第2のサブマトリクスとして決定されるように定義された値であることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像データに応じて像担持体を主走査方向に走査する走査手段と、駆動源から前記像担持体へ動力を伝達するギヤとを有する画像形成装置と、その画像形成装置と通信可能に接続されるコンピュータとを備える画像形成システムであって、
前記コンピュータは、
予め設定されたディザマトリクスを用いて画素の濃度を表す入力値の階調を変換し、前記画像データを生成する画像データ生成手段を備え、
前記ディザマトリクスは、
起点から1のドットが成長するように閾値が設定されたサブマトリクスを、複数個、規則的に配置して構成されるものであり、
前記主走査方向に直交する副走査方向における、前記ギヤ1歯当たりの記録媒体の進行距離をaとし、
ディザマトリクスを構成する複数個のサブマトリクスのうち、第1のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点と、その第1のサブマトリクスに対して所定の位置関係にある第2のサブマトリクスに由来して形成されるドットの起点との間の距離の副走査方向成分をbとすると、
a≧0.24mm且つb/a<0.78、または、a<0.24mm且つb/a>1.2を満たすことを特徴とする画像形成システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−60596(P2010−60596A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223181(P2008−223181)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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