画像形成装置および画像形成方法
【課題】 ランニングコストの上昇を招くことなく、しかも清掃手段の捲れを確実に防止する。
【解決手段】 中間転写ベルト71の表面のうち、通常の画像形成動作においてトナー像を形成される領域71a(破線で挟まれる領域)よりも外側の端部領域の両側に、端部パッチ画像Idp1を形成する。端部パッチ画像Idp1は、現像ローラからトナーを供給可能な幅Wdrいっぱいにまで形成する。端部パッチ画像を構成するトナーは中間転写ベルト71に当接するクリーナブレードにより掻き取られその先端部に堆積する。通常の画像形成動作においてトナーが供給される像形成領域71aについてはパッチ画像を形成しないことにより、無用なトナーの消費を抑えることができる。
【解決手段】 中間転写ベルト71の表面のうち、通常の画像形成動作においてトナー像を形成される領域71a(破線で挟まれる領域)よりも外側の端部領域の両側に、端部パッチ画像Idp1を形成する。端部パッチ画像Idp1は、現像ローラからトナーを供給可能な幅Wdrいっぱいにまで形成する。端部パッチ画像を構成するトナーは中間転写ベルト71に当接するクリーナブレードにより掻き取られその先端部に堆積する。通常の画像形成動作においてトナーが供給される像形成領域71aについてはパッチ画像を形成しないことにより、無用なトナーの消費を抑えることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トナー像を一時的に担持する中間転写体と、これに当接してトナーを除去する清掃手段とを備える画像形成装置および該装置を用いた画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、像担持体上に残留付着するトナーを清掃除去するための清掃ブレード(以下、単に「ブレード」ともいう)を設けたものがある。この種の装置では、像担持体と清掃ブレードとの摩擦に起因する像担持体の損耗やブレードの捲れ・破損が問題となることがある。これを防止するため、像担持体とブレードとの当接部分に常時トナーを堆積させることが行われている。例えば、特許文献1に記載の画像形成装置では、像担持体である感光体に当接するクリーニングブレードの幅いっぱいに出力パッチを形成し、クリーニングブレードにより掻き取らせている。こうすることで、ブレード端部からの捲れの発生を防止している。
【0003】
【特許文献1】特許第3026035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来技術では、出力パッチが、画像領域の内部も含めてクリーニングブレードの幅いっぱいに形成される。そのため、出力パッチの形成に大量のトナーを消費してしまい、装置のランニングコストが上昇してしまうという問題があった。また、出力パッチを形成する間、通常の画像形成を行うことができないので、画像形成のスループットが低下してしまうという問題も残されている。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、中間転写体およびこれに当接する清掃手段を備える画像形成装置および該装置を用いる画像形成方法において、ランニングコストの上昇を招くことなく、しかも清掃手段の捲れを確実に防止することのできる技術を提供することを第1の目的とする。さらに、画像形成のスループットを低下させることなく、しかも清掃手段の捲れを確実に防止することのできる技術を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる画像形成装置は、上記第1の目的を達成するため、静電潜像を担持可能な潜像担持体と、前記潜像担持体に担持された静電潜像をトナーにより顕像化してトナー像を形成する現像手段と、前記潜像担持体から前記トナー像を転写されて周回移動し、該トナー像を所定の転写位置まで搬送して記録材に転写する中間転写体と、前記中間転写体の表面に当接して、前記記録材への転写後に前記中間転写体表面に付着するトナーを除去する清掃手段と、前記中間転写体の移動方向に直交する方向を幅方向と定義したとき、前記中間転写体表面のうち、前記記録材のサイズに対応したトナー像を形成される像形成領域よりも前記幅方向における外側の端部領域に、所定のトナー像を端部パッチ画像として形成し、該端部パッチ画像を前記清掃手段により除去させるトナー堆積処理を実行する制御手段とを備えることを特徴としている。
【0007】
また、この発明にかかる画像形成方法は、潜像担持体に担持された静電潜像をトナーにより顕像化してトナー像を形成するとともに、該トナー像を中間転写体に転写して搬送し記録材に転写する画像形成方法であって、上記第1の目的を達成するため、前記中間転写体の移動方向に直交する方向を幅方向と定義したとき、前記中間転写体表面のうち、前記記録材のサイズに対応したトナー像を形成される像形成領域よりも前記幅方向における外側の端部領域に、所定のトナー像を端部パッチ画像として形成する工程と、該端部パッチ画像を、前記中間転写体に当接させた清掃手段により除去する工程とを備えるトナー堆積処理を実行することを特徴としている。
【0008】
これらの発明では、像形成領域よりも外側の端部領域に端部パッチ画像を形成し、清掃手段により掻き取らせている。中間転写体から記録材へのトナー像転写効率は100%未満であるから、画像形成動作を行うと、中間転写体表面のうち像形成領域の内部には記録材に転写しきれなかったトナーが残留することになる。こうしたトナーは清掃手段により除去され、そのうちの一部が中間転写体と清掃手段との当接部に堆積することとなる。つまり、像形成領域の内部に対しては、潤滑剤として作用させるためのトナーを改めて供給する必要は必ずしもない。そこで、この発明では、像形成領域よりも外側の端部領域にトナーを供給することにより、像形成領域の内部からその外側までの広い領域で、清掃手段の捲れを確実に防止することができる。また、従来技術よりも大幅にトナー消費量を削減することができるので、装置のランニングコストの上昇を抑えることができる。
【0009】
ここで、例えば、前記清掃手段の幅が、前記現像手段から前記潜像担持体を介して前記中間転写体上にトナーを付与可能な最大現像領域の幅よりも大きい場合には、前記端部パッチ画像の前記幅方向における最外側端部を、前記最大現像領域の前記幅方向における最外側端部を含むように形成するようにすることができる。清掃手段の捲れを確実に防止するためには、中間転写体と清掃手段との当接部の全域にトナーを送り込むのが好ましい。したがって、幅方向においてできるだけ外側にまでトナーを送り込むため、最大現像領域の最外側端部まで端部パッチ画像を形成することが望ましい。ただし、清掃手段の幅を超えてトナーを送り込むと、清掃手段により除去することができなくなり記録材を汚してしまうおそれがある。
【0010】
また、前記現像手段がトナーを貯留する現像器を複数個備える場合には、前記複数の現像器のそれぞれを使用して前記端部パッチ画像を形成するのが望ましい。現像器の寸法ばらつきやガタ等に起因して、上記した最大現像領域は現像器ごとに、幅方向に若干ずれる可能性がある。したがって、各現像器のそれぞれで端部パッチ画像を形成すれば、そのばらつきも含めて、幅方向においてトナーを最大限に広げることができる。
【0011】
ここで、端部パッチ画像を端部領域のみに形成する、つまり像形成領域内部を含まないように形成すれば、トナー消費量をさらに抑えることができる。一方、端部パッチ画像を、その一部が像形成領域内部にかかるように形成してもよい。こうすれば、端部領域と像形成領域との境界付近にトナーが送られてこない部分が生じることがなくなり、その部分からの清掃手段の捲れを確実に防止することができる。
【0012】
また、前記制御手段が、画像濃度に影響を与える濃度制御因子を変更設定しながら形成した制御用パッチ画像としてのトナー像の濃度検出結果に基づき濃度制御因子を最適化する濃度制御処理を実行する場合には、前記制御用パッチ画像を形成するときに、併せて前記端部パッチ画像の形成を行うようにしてもよい。このように、制御用パッチ画像を形成する際に併せて端部パッチ画像を形成することで、端部パッチ画像を形成するために画像形成動作を中断する必要がなくなり、画像形成のスループットを向上させることができる。これにより、上記第2の目的が達成される。
【0013】
この効果は、前記中間転写体の移動方向において前記転写位置よりも下流側で、前記制御用パッチ画像の画像濃度を検出する濃度検出手段をさらに備え、前記制御手段が、前記濃度検出手段による検出結果に基づいて前記濃度制御処理を実行するように構成された装置において特に顕著である。というのは、このように構成された装置では、制御用パッチ画像の濃度を検出するためには、記録材または他の部材に制御用パッチ画像を転写させずに転写位置を通過させるための措置を講ずる必要があり、このための措置は、端部パッチ画像を転写位置を通過させるためにも同じく有効であるからである。つまり、制御用パッチ画像と端部パッチ画像とは、装置の状態を変更することなく同時にあるいは相次いで形成することができ、こうすることで処理に要する時間をさらに短縮することができる。
【0014】
特に、前記潜像担持体が感光体であり、所定の表面電位に帯電された前記感光体表面に光ビームを照射して静電潜像を形成する露光手段をさらに備える装置においては、前記現像手段に印加する現像バイアスを前記濃度制御因子として最適した後に、最適化された現像バイアス条件下で前記光ビームの強度を前記濃度制御因子として最適化する処理を前記濃度制御処理として実行し、しかも、最適化された現像バイアス条件下で前記端部パッチ画像を形成することが望ましい。
【0015】
このように、最適化された現像バイアスの下で端部パッチ画像を形成することにより、端部パッチ画像を構成するトナーの量を安定させることができる。そのため、端部パッチ画像をむやみに大きくする必要はなくなり、中間転写体と清掃手段との当接部に送り込むトナー量の制御が簡単になる。
【0016】
また、前記清掃手段が、前記幅方向に延設されて前記像形成領域の幅より大きな幅を有し、前記中間転写体に当接してトナーを掻き取るブレード状の掻き取り部材と、前記掻き取り部材の前記幅方向の両端部に設けられて、前記中間転写体から掻き取られたトナーを前記清掃手段の先端近傍に貯留するトナー貯留部材とを有するように構成されるとともに、前記端部パッチ画像は、前記幅方向における前記トナー貯留部材が設けられた位置に対応する前記中間転写体の表面領域に形成されるようにしてもよい。
【0017】
このような構成によれば、端部パッチ画像が掻き取り部材によって掻き取られると、掻き取られたトナーがトナー貯留部材によって貯留され、清掃手段の先端部近傍に保持されることとなる。そのため、トナー堆積処理によるトナーの再補充の頻度を少なくすることができる。このトナー貯留部材は、幅方向における掻き取り部材の両端部から、少なくとも端部領域と像形成領域との境界部分まで延設されることが望ましい。こうすることで、中間転写体と清掃手段との当接部のうち、像形成領域よりも外側の部分については常時一定量のトナーを堆積させておくことができる。また、像形成領域内部については、画像形成動作により生じる残留トナーを掻き取って潤滑剤として使用することができる。これにより、トナー堆積処理により送り込むトナーの量を最小限に抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1はこの発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナー(現像剤)を重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてエンジンコントローラ10に設けられたCPU101がエンジン部EG各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、シートSに画像信号に対応する画像を形成する。
【0019】
このエンジン部EGでは、感光体22が図1の矢印方向D1に回転自在に設けられている。また、この感光体22の周りにその回転方向D1に沿って、帯電ユニット23、ロータリー現像ユニット4およびクリーニング部25がそれぞれ配置されている。帯電ユニット23は所定の帯電バイアスを印加されており、感光体22の外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。クリーニング部25は一次転写後に感光体22の表面に残留付着したトナーを除去し、内部に設けられた廃トナータンクに回収する。これらの感光体22、帯電ユニット23およびクリーニング部25は一体的に感光体カートリッジ2を構成しており、この感光体カートリッジ2は一体として装置本体に対し着脱自在となっている。
【0020】
そして、この帯電ユニット23によって帯電された感光体22の外周面に向けて露光ユニット6から光ビームLが照射される。この露光ユニット6は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームLを感光体22上に露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。
【0021】
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4によってトナー現像される。すなわち、この実施形態では、現像ユニット4は、図1紙面に直交する回転軸中心に回転自在に設けられた支持フレーム40、支持フレーム40に対して着脱自在のカートリッジとして構成されてそれぞれの色のトナーを内蔵するイエロー用の現像器4Y、シアン用の現像器4C、マゼンタ用の現像器4M、およびブラック用の現像器4Kを備えている。この現像ユニット4は、エンジンコントローラ10により制御されている。そして、このエンジンコントローラ10からの制御指令に基づいて、現像ユニット4が回転駆動されるとともにこれらの現像器4Y、4C、4M、4Kが選択的に感光体22と当接してまたは所定のギャップを隔てて対向する所定位置に位置決めされると、当該現像器に設けられて選択された色のトナーを担持する現像ローラ44が感光体22に対し対向配置され、その対向位置において現像ローラ44から感光体22の表面にトナーを付与する。これによって、感光体22上の静電潜像が選択トナー色で顕像化される。
【0022】
上記のようにして現像ユニット4で現像されたトナー像は、一次転写領域TR1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。転写ユニット7は、複数のローラ72〜75に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ73を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向D2に回転させる駆動部(図示省略)とを備えている。そして、カラー画像をシートSに転写する場合には、感光体22上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト71上に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、カセット8から1枚ずつ取り出され搬送経路Fに沿って二次転写領域TR2まで搬送されてくるシートS上にカラー画像を二次転写する。すなわち、中間転写ベルト71に担持されて二次転写領域TR2まで搬送されてきたトナー像は、中間転写ベルト71と二次転写ローラ80とのニップ部を通過するシートSに二次転写される。なお、二次転写ローラ80は中間転写ベルト71の表面に対し離当接自在に構成されており、二次転写ローラ80が中間転写ベルト71から離間された状態では、中間転写ベルト71上のトナー像は二次転写領域TR2をそのまま通過してさらに下流側へ搬送されることとなる。
【0023】
また、中間転写ベルト71上の画像をシートS上の所定位置に正しく転写するため、二次転写領域TR2にシートSを送り込むタイミングが管理されている。具体的には、搬送経路F上において二次転写領域TR2の手前側にゲートローラ81が設けられており、中間転写ベルト71の周回移動のタイミングに合わせてゲートローラ81が回転することにより、シートSが所定のタイミングで二次転写領域TR2に送り込まれる。
【0024】
また、こうしてカラー画像が形成されたシートSは定着ユニット9によりトナー像を定着され、排出前ローラ82および排出ローラ83を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部89に搬送される。また、シートSの両面に画像を形成する場合には、上記のようにして片面に画像を形成されたシートSの後端部が排出前ローラ82後方の反転位置PRまで搬送されてきた時点で排出ローラ83の回転方向を反転し、これによりシートSは反転搬送経路FRに沿って矢印D3方向に搬送される。そして、ゲートローラ81の手前で再び搬送経路Fに乗せられるが、このとき、二次転写領域TR2において中間転写ベルト71と当接し画像を転写されるシートSの面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、シートSの両面に画像を形成することができる。
【0025】
また、ローラ75の近傍には、クリーナ76が配置されている。このクリーナ76は図示を省略する電磁クラッチによってローラ75に対して近接・離間移動可能となっている。そして、ローラ75側に移動した状態でクリーナ76のブレードがローラ75に掛け渡された中間転写ベルト71の表面に当接し、二次転写後に中間転写ベルト71の外周面に残留付着しているトナーを除去する。
【0026】
このクリーナ76は、二次転写領域TR2においてシートSへの画像の転写が行われるときに、それと同じ周回において中間転写ベルト71上に残留付着するトナーを除去するように、離当接制御される。したがって、例えば装置がモノクロ画像を連続的に形成する場合には、一次転写領域TR1において中間転写ベルト71に転写された画像が直ちに二次転写領域TR2でシートSに転写されるので、クリーナ76は当接状態に保持される。一方、カラー画像を形成する場合には、各色のトナー像が互いに重ね合わされる間、クリーナ76を中間転写ベルト71から離間させておく必要がある。そして、各色のトナー像が互いに重ね合わされてフルカラー画像が完成し、シートSに二次転写されるのと同一の周回において、残留トナーを除去すべくクリーナ76が中間転写ベルト71に当接されることとなる。なお、クリーナ76の構成および動作については後に詳述する。
【0027】
また、ローラ75の近傍には濃度センサ60が配置されている。この濃度センサ60は、中間転写ベルト71の表面に対向して設けられており、必要に応じ、中間転写ベルト71の外周面に形成されるトナー像の画像濃度を測定する。そして、その測定結果に基づき、この装置では、画像品質に影響を与える装置各部の動作条件、例えば各現像カートリッジに与える現像バイアスや、光ビームLの強度などの調整を行っている。この濃度センサ60は、例えば反射型フォトセンサを用いて、中間転写ベルト71上の所定面積の領域の画像濃度に対応した信号を出力するように構成されている。そして、CPU101は、中間転写ベルト71を周回移動させながらこの濃度センサ60からの出力信号を定期的にサンプリングすることで、中間転写ベルト71上のトナー像各部の画像濃度を検出することができる。
【0028】
また、図2に示すように、各現像カートリッジ4Y,4C,4Mおよび4Kには該現像カートリッジの製造ロットや使用履歴、内蔵トナーの残量などに関するデータを記憶するメモリ91〜94がそれぞれ設けられている。さらに、各現像カートリッジ4Y,4C,4M、4Kには無線通信器49Y、49C、49M、49Kがそれぞれ設けられている。そして、必要に応じて、これらが選択的に本体側に設けられた無線通信器109と非接触にてデータ通信を行い、インターフェース105を介してCPU101と各メモリ91〜94との間でデータの送受を行って該現像カートリッジに関する消耗品管理等の各種情報の管理を行っている。なお、この実施形態では、無線通信等の電磁的手段を用いて非接触にてデータ送受を行っているが、本体側および各現像カートリッジ側にコネクタ等を設け、コネクタ等を機械的に嵌合させることで相互にデータ送受を行うようにしてもよい。
【0029】
また、この装置では、図2に示すように、メインコントローラ11のCPU111により制御される表示部12を備えている。この表示部12は、例えば液晶ディスプレイにより構成され、CPU111からの制御指令に応じて、ユーザへの操作案内や画像形成動作の進行状況、さらに装置の異常発生やいずれかのユニットの交換時期などを知らせるための所定のメッセージを表示する。
【0030】
なお、図2において、符号113はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリである。また、符号106はCPU101が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号107はCPU101における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
【0031】
また、この画像形成装置は、上記のようにそれぞれ異なる色のトナーを貯留する4個の現像器を装着されて使用されるほか、1個の現像器または同一色のトナーを貯留する複数の現像器を装着された状態で、モノクロ画像専用の画像形成装置としても使用される。つまり、この画像形成装置は、1個の現像器のみを装着した状態では、当該トナー色によるモノクロ画像を形成する装置として動作する。また、同一色のトナーを貯留する複数の現像器を装着された状態では、それらのうちの1個、あるいはそれらを適宜切り換えながら、当該トナー色によるモノクロ画像を形成する装置として動作する。
【0032】
図3はこの実施形態におけるクリーナの構造を示す図である。図3(a)に示すように、クリーナ76は、回動軸762中心に回動自在のアーム部材761に、中間転写ベルト71に接触してトナーを掻き落とすブレード763が取り付けられている。このブレード763は、例えばウレタンゴムなどの弾性材料からなり、中間転写ベルト71の移動方向に直交する幅方向(図3(a)紙面に直交する方向)に延びる板状に形成されている。また、ブレード763のローラ75に対向する面とは反対側の端面には、トナー溜めシート764が設けられている。トナー溜めシート764は、ブレード763を裏打ちするように設けられた樹脂製のシート状部材である。
【0033】
このように構成されたクリーナ76は、図示を省略する駆動機構によって回動軸762を中心として回動される。これにより、ブレード763は、中間転写ベルト71に対し当接した状態(図3(a))、該ベルト71から離間した状態(図3(b))の間で切り換えられる。より具体的には、クリーナ76がブレード763を中間転写ベルト71から離間させた待機位置(図3(b))にあるときに、回動軸762が図の時計回りに駆動されると、ブレード763の先端部が図の左方から右方へ移動し、中間転写ベルト71に接触する(クリーニング位置、図3(a))。この場合のブレード先端部は略水平方向の動きとなる。
【0034】
そして、中間転写ベルト71に当接した状態で、ブレード763が中間転写ベルト71上に付着したトナーを掻き落とす。掻き落とされたトナーTは、図3(a)に示すように、中間転写ベルト71の搬送方向において中間転写ベルト71とブレード763との当接部の上流側で、中間転写ベルト71、ブレード763およびトナー溜めシート764とに囲まれた空間に堆積する。この堆積トナーTは、中間転写ベルト71とブレード763との当接部において潤滑剤として作用して両者間の摩擦抵抗を軽減し、これにより中間転写ベルト71の磨耗やブレード763の捲れを防止する効果を発揮する。
【0035】
一方、クリーナ76が待機位置に移動すると、ブレード763が中間転写ベルト71から離間される。このとき、ブレード763の先端近傍に堆積していたトナーTは、トナー溜めシートを設けていない場合にはブレード763から落下してしまうが、この実施形態ではトナー溜めシート764を設けているためトナーは落下せず、図3(b)に示すように、ブレード763とトナー溜めシート764とで挟まれた空間(トナー貯留空間)SPに留まっている。
【0036】
このように、この実施形態では、ブレード763が中間転写ベルト71から離間した状態にあるときにも、ある程度の量のトナーがブレード763の先端近傍に堆積されている。そのため、ブレード763が再び中間転写ベルト71に向かって移動し中間転写ベルト71表面に当たって移動を停止したときには、その反動によって、その当接部あるいは中間転写ベルト71の移動方向において該当接部の上流側の領域に対し、トナー貯留空間SPに貯留されていたトナーTが送り込まれることとなる。このトナーの潤滑作用により、中間転写ベルト71の磨耗やブレード763の捲れの発生を大幅に低減することができる。
【0037】
図4はクリーナおよび中間転写ベルトの寸法を説明するための斜視図である。中間転写ベルト71上には、その幅方向いっぱいに画像が形成されるわけではなく、シートSのサイズに対応した所定の像形成領域(図4において2つの破線の間の領域)71aにのみ画像が形成される。そして、クリーナ76のブレード763の幅は、像形成領域71aの幅よりは大きく、かつ中間転写ベルト71の幅よりは小さくなるように設定される。すなわち、中間転写ベルト71の幅を符号Wtb、そのうちの像形成領域の幅を符号Wim、ブレード763の幅を符号Wclで表したとき、これらの間には次の関係:
Wtb>Wcl>Wim
が成り立っている。
【0038】
ブレード763の幅Wclを像形成領域71aの幅Wimよりも大きくすることによって、像形成領域内およびその周辺部に付着したトナーを確実に除去することができ、次に形成される画像を汚すことが防止される。しかしながら、ブレード763の幅を大きくしすぎて、例えば中間転写ベルト71の幅Wtbと同程度にまで広げると却って弊害を生じる場合がある。すなわち、中間転写ベルト71に当接するブレード763は、該ベルト71を回転駆動するモータ(図示せず)の負荷となり、しかもベルト71に対し離当接するので、中間転写ベルト71の回転速度を変動させてしまう要因となる。また、像形成領域71aの内部では、画像形成動作を行う際に二次転写領域TR2においてシートSに転写しきれなかった残留トナーが発生し、このようなトナーがブレード763により掻き取られて潤滑作用を果たす。これに対し、像形成領域71aよりも外側ではこのようなトナーが微量であるため、像形成領域71aよりも外側で中間転写ベルト71とブレード763との間の摩擦が大きくなり、この部分で中間転写ベルト71およびブレード763の磨耗や破損等を生じやすくなる。そこで、ブレード763の幅Wclは、できるだけ小さいことが望ましいが、像形成領域の幅71aよりは大きくする必要がある。
【0039】
なお、装置がサイズの異なる複数種のシートに対応している場合には、最も幅の広いシートに対応する像形成領域の幅よりも、ブレード763の幅の方が大きくなるようにすればよい。
【0040】
次に、トナー溜めシートの幅について考察する。中間転写ベルト71とブレード763との摩擦による中間転写ベルト71の磨耗やブレード763の捲れ等の問題は、両者が当接している領域の全域で生じうる。したがって、これを抑制するためのトナー溜めシート764も、ブレード763の幅方向いっぱいに設けられることが望ましい。すなわち、トナー溜めシート764の幅は、ブレード763の幅Wcl以上とすることが望ましい。ブレード763よりも外側にまで延びるようにしてもよい。
【0041】
図5は各部材の幅の大小関係を説明する図である。図5に示すように、感光体22は中間転写ベルト71の幅Wtbよりも大きい幅Wpcを有している。また、現像ローラ44の幅Wdrは、当然に中間転写ベルト71上の画像形成領域の幅Wimよりは大きく、かつクリーナブレード763の幅Wclよりは若干小さく作られている。逆に言えば、クリーナブレード763が現像ローラ44よりも幅広に形成されている。このようにするのは、クリーナブレード763を現像ローラ44よりも幅広にすることで、現像ローラ44から感光体22を経て中間転写ベルト71に移動したトナーを確実に清掃することができ、清掃しきれなかったトナーによりシートSや二次転写ローラ80を汚してしまうことを未然に防止することができるからである。なお、ここでいう現像ローラ幅Wdrは、現像ローラ44表面のトナー担持可能な領域の幅のことである。この実施形態では現像ローラ44の表面全体にトナーを担持するように構成しているので現像ローラの長さと現像ローラ幅Wdrとは等しくなるが、その全面にトナーを担持するように構成されていない現像ローラにおいては、実際の現像ローラの長さと現像ローラ幅Wdrとは必ずしも一致しない。これらをまとめると、各部材間には、以下の関係:
Wpc>Wtb>Wcl>Wdr>Wim
が成立する。
【0042】
このような寸法関係とした結果として、クリーナ76のブレード763は、像形成領域71aよりも外側の領域においても中間転写ベルト71の表面に当接することとなる。像形成領域71a内では、二次転写領域TR2においてシートSに転写されなかったトナーがブレード763との当接部に搬送されてくる。すなわち、中間転写ベルト71からシートSへのトナー像の転写効率は100%よりは小さいため、中間転写ベルト71上に担持されたトナー像を構成するトナーのうちの一部は中間転写ベルト71上に残留している。また、装置内部でシートSのジャム(シート搬送系路上での詰まり)が発生したときには、その時点で既に中間転写ベルト71上に担持されていたトナー像はシートに転写されることなくブレード763により掻き取られることとなる。このようなトナーは、中間転写ベルト71とブレード763との間に介在して摩擦を軽減させる作用を果たす。
【0043】
しかしながら、像形成領域71aよりも外側のでは、このようなトナーの発生はほとんどない。また、クリーナ76が中間転写ベルト71に対して離当接動作するため、ブレード先端部に堆積したトナーが飛散して失われやすい。このため、この部分では中間転写ベルト71との間の摩擦が大きくなりやすい。さらに、もともとブレード763の端部では応力集中による捲れや破損を生じやすい。
【0044】
そこで、この実施形態では、後で検討する所定のタイミングで、以下に説明する端部パッチ画像を中間転写ベルト71上に形成し、これをブレード763により掻き取ることで、ブレード763の端部に常時トナーを堆積させるようにしている。
【0045】
図6は端部パッチ画像の第1の例を示す図である。端部パッチ画像Idp1は、中間転写ベルト71表面の両端部、より詳しくは、中間転写ベルト71表面のうち、その移動方向D2に直交する幅方向において像形成領域71aよりも外側の領域(以下、「端部領域」という)のそれぞれに各1箇所ずつ形成される。幅方向において、端部パッチ画像Idp1の内側端部は、像形成領域71aと端部領域の境界(図6の破線)に設けられる。また、端部パッチ画像Idp1の外側端部は、現像ローラ44によりトナーを付着させることができる最大領域(最大現像領域:図6における幅Wdrの領域)いっぱいにまで延設される。
【0046】
端部パッチ画像Idp1の画像パターンおよびその長さLdp1は任意であるが、例えば次のようにするのがよい。端部パッチ画像Idp1の画像パターンは、ベタ画像あるいはこれに準ずる高濃度のものが好ましい。というのは、できるだけ多くのトナーを一気にブレード763先端部に送り込むことによって、掻き取られたトナーの一部がブレード763の稜線に沿って現像ローラ幅Wdrよりも外側にまで広がり、これによりブレード763の幅方向における端部にまでトナーが回り込むことが期待されるからである。特に、このような画像パターンとしてはベタ画像が最も簡易なものであり、画像形成が容易である。また、端部パッチ画像Idp1の長さLdp1については、画像パターンとの兼ね合いで、ブレード763に堆積させるトナーとして必要十分な量のトナーが中間転写ベルト71とブレード763との当接部に送られるような長さとすればよい。
【0047】
図7は端部パッチ画像の第2の例を示す図である。第2の例の端部パッチ画像Idp2は、その一部が像形成領域71aにかかっている点で上記した第1の例とは相違している。基本的に、像形成領域内では転写残りのトナーが送られてくるため端部パッチ画像は不要である。特に、上記のようにまとまった量のトナーを送り込むとその一部はブレード763の稜線に沿って側方まで広がるので、端部パッチ画像の内側端部については像形成領域71aの外縁(図6の破線)よりもいくらか外側に設けてもよい。しかしながら、この例のように、端部パッチ画像Idp2の内側端部を像形成領域71a内に設けるようにすれば、像形成領域と端部領域との境界にトナーが存在しない領域が生じるのを確実に防止することができる。
【0048】
なお、互いにサイズの異なる複数種のシートに対して画像を形成するように構成されている装置では、シートサイズごとに像形成領域の幅も異なることになる。このような装置においては、例えば次のようにすることができる。第1には、最も小さい最小サイズに対応する像形成領域に合わせて端部パッチ画像を形成する。こうすれば、実際に形成される画像がどのサイズであったとしても、中間転写ベルト71とブレード763との間にトナーが存在しない領域が生じるのを確実に防止することができる。
【0049】
第2には、各サイズのシートのうち最も使用頻度の高い1つを標準サイズとしておき、その標準サイズに対応する像形成領域に合わせて端部パッチ画像を形成する。標準サイズに対応する像形成領域内では、画像形成を行うことによる転写残りのトナーが高い頻度で発生する。したがって、それよりも外側に端部パッチ画像を形成すれば、中間転写ベルト71とブレード763との間にトナーが存在しない領域が発生するおそれは事実上なく、また上記した第1の場合よりも端部パッチ画像形成によるトナー消費量を低減することができる。
【0050】
図8はトナー溜めシートの変形例を示す図である。図8に示す変形例では、ブレード763の両端部にのみトナー溜めシート7641が設けられている。トナー溜めシート7641は、その内側端部7641aが中間転写ベルト71の像形成領域71aの端部(破線)よりも内側にまで延びている。一方、トナー溜めシート7641の外側端部7641bはブレード763の端部まで延びている。このようにする理由は以下の通りである。
【0051】
上記したように、中間転写ベルト71の像形成領域内においては、画像形成動作に伴って常時ある程度の残留トナーが搬送されてくるので、例えば二次転写効率がそれほど高くない装置においては、像形成領域とブレード763との当接部についてはトナー溜めシートを省いてもよい。一方、像形成領域よりも外側では残留トナーが送られてくることは期待できず、しかもブレード763の端部で捲れが発生しやすいので、捲れを防止するためのトナー溜めシートを設けることが望まれる。したがって、トナー溜めシート7641の外側端部7641bは、少なくともブレード763の端部にまで延設されていることが望ましい。また、貯留トナーを補給するために、トナー溜めシート7641の内側端部7641aは、少なくとも像形成領域の端部まで、より好ましくはその内側にまで延びていることが望ましい。こうしておけば、像形成領域内において掻き取られた残留トナーの一部が像形成領域外にまで回り込むので、このようなトナーを像形成領域外での潤滑剤として有効に利用することができる。
【0052】
このような構成の装置においては、図6に示した端部パッチ画像Idp1と同じ形状の端部パッチ画像Idp3が形成される。ブレード763により掻き取られたトナーは、トナー溜めシート7641の作用によりブレード763先端部に貯留される。クリーナ76が離当接動作をする場合にも、トナー溜めシート7641がトナーの落下を防止する。そのため、ブレード763の端部には常時トナーが堆積しており、この部分からのブレード763の捲れ発生が防止される。また、像形成領域71aの内側では、シートSに転写されなかったトナーがブレード763により掻き取られてブレード先端部に堆積し、この部分でのブレード捲れを防止する。
【0053】
図9は端部パッチ画像の第3の例を示す図である。図9の例は、その幅方向に対し斜めの継ぎ目を有する中間転写ベルト71を有する装置において特に有効である。中間転写ベルト71は無端状ベルトであり、その製造方法としては、押し出し成型等により初めからシームレスに形成する方法と、帯状に形成したベルト材料の両端部を継ぎ合わせる方法とがある。後者の方法は、異なる機能を有する材料を複合させた複雑な構造のベルトを形成することができるため広く用いられている。このような継ぎ目を有するベルトとしては、例えば特開2004−163503号公報に記載されたように、ベルト幅方向に対し継ぎ目を斜めにしたものがある。
【0054】
このような構造の中間転写ベルトを有する装置においては、図9に示すように、中間ベルト71の両端部に、継ぎ目711の傾きに対応させて、移動方向D2において互いに位置を異ならせた端部パッチ画像Idp4a、Idp4bを形成するようにしてもよい。
【0055】
次に、端部パッチ画像を形成するトナー堆積処理の実行タイミングについて検討する。上記したように、この実施形態の画像形成装置では、中間転写ベルト71に当接するクリーナブレード763に、その先端部にトナーを堆積させるためのトナー溜めシート764または7641を設けているので、ブレード先端部からのトナーの落下が防止されている。したがって、ブレード763先端にトナーを再供給するためのトナー堆積処理の頻度を低く抑えることができ、「背景技術」の項で説明した特許文献1に記載の装置のように、1枚ないし数枚の画像形成ごとの紙間に形成する必要はない。
【0056】
また、中間転写ベルト71上の端部パッチ画像については、二次転写位置TR2を通過させてブレード763との当接部にまで搬送されてくる必要があるので、端部パッチ画像形成時には二次転写領域TR2における二次転写が行われないようにする必要がある。例えば二次転写バイアスの極性を反転させたり、二次転写ローラ80を中間転写ベルト71から離間させることによってこのような状態を現出することができる。いずれにせよ、通常の画像形成動作とは異なる動作を必要とするので、通常の画像形成動作の中にトナー堆積処理を組み込もうとすると、画像形成動作はいったん中断されることとなり、あるいはトナー堆積処理の実行中には画像形成動作を行うことができなくなり、画像形成のスループットを低下させる原因となる。
【0057】
そこで、この実施形態では、装置の電源投入直後やスリープ復帰時などの所定のタイミングで実行される濃度制御動作と併せて、トナー堆積処理を実行するようにしている。この濃度制御動作は、画像濃度に影響を与える濃度制御因子を多段階に変更設定しながら所定の制御用パッチ画像を形成し、その濃度検出結果に基づいて、画像濃度を目標濃度と刷るための濃度制御因子の最適値を求める処理である。この実施形態では、現像ローラ44に与える現像バイアスと、露光ユニット6から感光体22に照射する露光ビームLの強度(露光パワー)とを濃度制御因子としている。以下、本実施形態における濃度制御動作につき説明する。
【0058】
図10はこの実施形態における濃度制御動作を示すフローチャートである。まず、現像バイアスの最適化を行う。最初に、現像ユニット4に装着された現像器のうち1つを感光体22と対向する現像位置に移動させる(ステップS101)。そして、この現像器に与える現像バイアスを多段階に変更設定しながら、各バイアス値で所定の制御用パッチ画像(例えばベタ画像)を形成する(ステップS102)。こうして形成した制御用パッチ画像については、中間転写ベルト71の移動により二次転写領域TR2を経て濃度センサ60との対向位置まで搬送し、濃度センサ60により各パッチ画像の濃度を検出する(ステップS103)。こうして検出されたパッチ画像濃度に基づき、画像濃度が目標濃度となる現像バイアスの最適値を算出する(ステップS104)。ステップS101ないしS104の処理を、全色について終了するまで各現像器を使用して繰り返し行う(ステップS105)。
【0059】
続いて、露光パワーの最適化を行う。現像器の1つを再び現像位置へ移動させ(ステップS106)、現像バイアスを先に求めた最適値に設定する一方(ステップS107)、露光パワーを多段階に変更設定しながら各露光パワーで所定の制御用パッチ画像(例えばハーフトーン画像)を形成する(ステップS108)。ここでは、感光体上に残る履歴の影響を防止するため、露光パワーは小さな値から次第に大きな値に変更するものとする。そして、最後の制御用パッチ画像と同じ画像形成条件で、つまり最適現像バイアスおよび最大露光パワー条件下で、端部パッチ用画像の形成を行う(ステップS109)。
【0060】
そして、現像バイアスを最適化する場合と同様に、各制御用パッチ画像の濃度を検出し(ステップS110)、それらの濃度検出結果に基づき最適露光パワーを算出する(ステップS111)。この一連の処理(ステップS106ないしS111)を、全色について終了するまで繰り返し行う(ステップS112)。
【0061】
図11は中間転写ベルト上に形成されたパッチ画像を示す図である。より詳しくは、図11は、上記した濃度制御動作がステップS109まで終了した時点での中間転写ベルト71表面を示す図である。この時点では、露光パワーを次第に増加させながら形成した複数の制御用パッチ画像Icpと、それに続いて両端部に形成された端部パッチ画像Idp5a、Idp5bが中間転写ベルト71表面に担持されている。
【0062】
このように、この実施形態では、濃度制御動作において形成されるパッチ画像Icpを形成する際に、これと併せて端部パッチ画像Idp5a、Idp5bを形成している。こうすることで、次のような利点が得られる。まず、制御用パッチ画像を形成するために装置は画像形成動作を実行するが、一連の画像形成動作で端部パッチ画像まで形成することにより、端部パッチ画像を形成するための動作を別途行う必要がないので、制御が容易になり、処理時間も短縮することができる。また、制御用パッチ画像Icpについては、その濃度を検出すため、二次転写領域TR2を通過させてさらに下流側にまで搬送される必要があり、装置はそれを可能とする状態、つまり二次転写が行われない状態に設定される。より具体的には、二次転写ローラ80が中間転写ベルト71表面から離間される。端部用パッチ画像についても、ブレード763との当接部にまで搬送するために二次転写領域TR2を通過させる必要がある。つまり、制御用パッチ画像、端部パッチ画像のいずれについても、二次転写が行われない状態で二次転写領域TR2を通過させる必要があるので、これらを一括して形成するに際して装置の状態を変える必要がない。
【0063】
そして、この実施形態では、最適化された現像バイアス下で、かつ最大露光パワー下で端部パッチ画像を形成している。このような条件で端部パッチ画像を形成する理由は次の通りである。端部パッチ画像を形成する目的は、まとまった量のトナーをブレード763の端部に送り込むことによって、ブレード先端部にトナーを堆積させることである。この点からは、端部パッチ画像を構成するトナーの量が適切に制御される必要がある。ここで、ベタ画像の濃度に対しては、現像バイアスの及ぼす影響が支配的であり、露光パワーが及ぼす影響は小さいことが知られている。したがって、ベタ画像またはこれに準ずる高濃度画像を端部パッチ画像として形成する際の画像形成条件としては、少なくとも現像バイアスについては最適値に設定されている必要がある。
【0064】
一方、露光パワーに関しては最適値である必要は必ずしもないが、露光パワーが小さすぎるとベタ画像濃度に影響を及ぼすこともあるので、比較的高い露光パワーが使用されることが望ましい。そこで、この実施形態では、露光パワーを最も大きく設定した状態で端部パッチ画像を形成するようにしている。なお、最適露光パワーで端部パッチ画像を形成してももちろんかまわないのであるが、こうするためには、各制御用パッチ画像の形成後、それらの濃度を検出して最適露光パワーを算出し、露光パワーをその最適値に設定し直した上で端部パッチ画像を形成する、という手順を必要とするので、処理時間が長くなってしまう。
【0065】
この実施形態においては、端部パッチ画像を形成するときには、現像バイアスについては最適値に設定することによって画像濃度を適正に制御する。このように、端部パッチ画像の濃度を制御することにより、ブレード763に送られるトナー量が安定し、中間転写ベルト71の移動方向D2に沿った端部パッチ画像の長さを必要最小限に抑えることができるので、無用なトナーの消費を抑えることができる。また、露光パワーについては、その最適値が算出されるのを待つことなく、最大値に設定した状態で端部パッチ画像を形成するので、一連の制御用パッチ画像Icpの形成に引き続いて端部パッチ画像を形成することができる。そのため、端部パッチ画像の形成のために余計な時間を消費することはなく、処理時間を短くすることができる。
【0066】
さらに、この実施形態では、端部パッチ画像を複数の現像器それぞれで形成している。端部パッチ画像はどのトナー色で形成されてもその効果に大差はなく、また少なくとも1つのトナー色で形成されれば十分であるが、この実施形態では全色のトナーそれぞれで端部パッチ画像を形成することで、以下の効果を得ている。まず、ブレード763に堆積させるトナーを各現像器から供給することで、特定の現像器のトナーのみが減ってしまうのを回避することができる。
【0067】
また、トナーはブレード763の最外側端部にまで堆積されることが望ましく、この点においても、上記のように複数の現像器で端部パッチ画像を形成することが有効となる。
というのは、装置の寸法ばらつきやガタ等に起因して現像位置における感光体22と現像ローラ44との位置関係は現像器ごとにばらついており、このばらつきのため中間転写ベルト71に形成される端部パッチ画像の位置は現像器ごとに微妙に異なるので、1つの現像器を使用した場合よりも広い範囲にトナーを送り込むことができるからである。
【0068】
以上のように、この実施形態では、ブレード763の幅方向における端部にトナーを送り込むための端部パッチ画像を形成しブレード763により掻き取るトナー堆積処理を行う一方、像形成領域71a内においては画像形成動作の過程で発生する残留トナーをブレード763により掻き取る。これにより、ブレード763の先端部の稜線にはその幅全体にトナーが堆積し、中間転写ベルト71との間の摩擦が低減される。このため、ブレード763の捲れが確実に防止される。また、中間転写ベルトの端部付近にのみパッチ画像を形成するのでトナー消費量が少なく、装置のランニングコストを低く抑えることができる。
【0069】
また、端部パッチ画像については、濃度制御動作において形成される制御用パッチ画像と併せて形成するようにしているので、端部パッチ画像形成のために改めて画像形成動作を行う必要がなく、処理に要する時間を短縮することができる。また、現像バイアスを最適値に設定する一方、露光パワーを最大値に設定して端部パッチ画像を形成するので、端部パッチ画像の画像濃度が適正に制御されているので、トナー量が安定しており、端部パッチ画像のサイズを必要最小限に抑えることができる。また、最適露光パワーが算出されるのを待つ必要がないので、処理時間をさらに短くすることができる。
【0070】
また、制御用パッチ画像および端部パッチ画像は、いずれも二次転写領域TR2を通過させるべき画像であるから、これらを一括して形成することで、装置の状態を変化させる動作(具体的には、二次転写ローラ80の離当接動作)を必要としない。
【0071】
以上説明したように、この実施形態においては、感光体22、ロータリー現像ユニット4および中間転写ベルト71が、それぞれ本発明の「潜像担持体」、「現像手段」および「中間転写体」として機能している。また、クリーナ76が本発明の「清掃手段」として機能している。そして、クリーナ76に設けられたブレード763が本発明の「掻き取り部材」として、またトナー溜めシート764および7641が本発明の「トナー貯留部材」として機能している。また、この実施形態では、エンジンコントローラ10が本発明の「制御手段」として機能している。また、この実施形態では、濃度センサ60および露光ユニット6がそれぞれ本発明の「濃度検出手段」および「露光手段」として機能している。
【0072】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態における端部パッチ画像はいずれも矩形であるが、端部パッチ画像の形状についてはこれに限定されるものでなく任意のものであってよい。また、中間転写ベルト71の両端部に形成されるパッチ画像が同一形状である必然性はなく、互いに異なる形状であってもよい。また、画像パターンについても、上記したベタ画像に限定されるものではなく、例えばハーフトーン画像やライン画像としてもよい。
【0073】
また、図11の例では、中間転写ベルト71の移動方向D2に沿って前後するように端部パッチ画像Idp5a、Idp5bを形成しているが、図6に示すように両端部の画像の形成位置を揃えてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、濃度制御動作を実行するときに併せてトナー堆積処理を実行するようにしているが、本発明において濃度制御動作は常に必要なものではなく、また端部パッチ画像についても、濃度制御動作とは異なるタイミングで形成するようにしてもよい。この場合においては、画像形成のスループットが低下するのを防止するため、画像形成動作の実行中とは異なるタイミングでトナー堆積処理を行うことが好ましい。例えば、画像形成枚数が所定枚数を超えたときであって、実行中のジョブが終了した後にトナー堆積処理を行うことができる。
【0075】
さらに、本発明は、上記実施形態のようにロータリー現像ユニットを備える装置のみならず、いわゆるタンデム方式の画像形成装置や、電子写真方式以外の原理により画像を形成する画像形成装置であっても、中間転写体と、これに当接してトナーを除去する清掃手段とを備える画像形成装置全般に対して適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】この発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図。
【図2】図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】第1実施形態のクリーナの構造を示す図。
【図4】クリーナおよび中間転写ベルトの寸法を説明するための斜視図。
【図5】各部材の幅の大小関係を説明する図。
【図6】端部パッチ画像の第1の例を示す図。
【図7】端部パッチ画像の第2の例を示す図。
【図8】トナー溜めシートの変形例を示す図。
【図9】端部パッチ画像の第3の例を示す図。
【図10】この実施形態における濃度制御動作を示すフローチャート。
【図11】中間転写ベルト上に形成されたパッチ画像を示す図。
【符号の説明】
【0077】
2…感光体カートリッジ、 4…現像ユニット(現像手段)、 4C,4K,4M,4Y…現像器、 6…露光ユニット(露光手段)、 10…エンジンコントローラ(制御手段)、 22…感光体(潜像担持体)、 60…濃度センサ(濃度検出手段)、 71…中間転写ベルト(中間転写体)、 76…クリーナ(清掃手段)、 763…ブレード(掻き取り部材)、 764,7641…トナー溜めシート(トナー貯留部材)、 Idp1〜Idp3…端部パッチ画像
【技術分野】
【0001】
この発明は、トナー像を一時的に担持する中間転写体と、これに当接してトナーを除去する清掃手段とを備える画像形成装置および該装置を用いた画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、像担持体上に残留付着するトナーを清掃除去するための清掃ブレード(以下、単に「ブレード」ともいう)を設けたものがある。この種の装置では、像担持体と清掃ブレードとの摩擦に起因する像担持体の損耗やブレードの捲れ・破損が問題となることがある。これを防止するため、像担持体とブレードとの当接部分に常時トナーを堆積させることが行われている。例えば、特許文献1に記載の画像形成装置では、像担持体である感光体に当接するクリーニングブレードの幅いっぱいに出力パッチを形成し、クリーニングブレードにより掻き取らせている。こうすることで、ブレード端部からの捲れの発生を防止している。
【0003】
【特許文献1】特許第3026035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来技術では、出力パッチが、画像領域の内部も含めてクリーニングブレードの幅いっぱいに形成される。そのため、出力パッチの形成に大量のトナーを消費してしまい、装置のランニングコストが上昇してしまうという問題があった。また、出力パッチを形成する間、通常の画像形成を行うことができないので、画像形成のスループットが低下してしまうという問題も残されている。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、中間転写体およびこれに当接する清掃手段を備える画像形成装置および該装置を用いる画像形成方法において、ランニングコストの上昇を招くことなく、しかも清掃手段の捲れを確実に防止することのできる技術を提供することを第1の目的とする。さらに、画像形成のスループットを低下させることなく、しかも清掃手段の捲れを確実に防止することのできる技術を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる画像形成装置は、上記第1の目的を達成するため、静電潜像を担持可能な潜像担持体と、前記潜像担持体に担持された静電潜像をトナーにより顕像化してトナー像を形成する現像手段と、前記潜像担持体から前記トナー像を転写されて周回移動し、該トナー像を所定の転写位置まで搬送して記録材に転写する中間転写体と、前記中間転写体の表面に当接して、前記記録材への転写後に前記中間転写体表面に付着するトナーを除去する清掃手段と、前記中間転写体の移動方向に直交する方向を幅方向と定義したとき、前記中間転写体表面のうち、前記記録材のサイズに対応したトナー像を形成される像形成領域よりも前記幅方向における外側の端部領域に、所定のトナー像を端部パッチ画像として形成し、該端部パッチ画像を前記清掃手段により除去させるトナー堆積処理を実行する制御手段とを備えることを特徴としている。
【0007】
また、この発明にかかる画像形成方法は、潜像担持体に担持された静電潜像をトナーにより顕像化してトナー像を形成するとともに、該トナー像を中間転写体に転写して搬送し記録材に転写する画像形成方法であって、上記第1の目的を達成するため、前記中間転写体の移動方向に直交する方向を幅方向と定義したとき、前記中間転写体表面のうち、前記記録材のサイズに対応したトナー像を形成される像形成領域よりも前記幅方向における外側の端部領域に、所定のトナー像を端部パッチ画像として形成する工程と、該端部パッチ画像を、前記中間転写体に当接させた清掃手段により除去する工程とを備えるトナー堆積処理を実行することを特徴としている。
【0008】
これらの発明では、像形成領域よりも外側の端部領域に端部パッチ画像を形成し、清掃手段により掻き取らせている。中間転写体から記録材へのトナー像転写効率は100%未満であるから、画像形成動作を行うと、中間転写体表面のうち像形成領域の内部には記録材に転写しきれなかったトナーが残留することになる。こうしたトナーは清掃手段により除去され、そのうちの一部が中間転写体と清掃手段との当接部に堆積することとなる。つまり、像形成領域の内部に対しては、潤滑剤として作用させるためのトナーを改めて供給する必要は必ずしもない。そこで、この発明では、像形成領域よりも外側の端部領域にトナーを供給することにより、像形成領域の内部からその外側までの広い領域で、清掃手段の捲れを確実に防止することができる。また、従来技術よりも大幅にトナー消費量を削減することができるので、装置のランニングコストの上昇を抑えることができる。
【0009】
ここで、例えば、前記清掃手段の幅が、前記現像手段から前記潜像担持体を介して前記中間転写体上にトナーを付与可能な最大現像領域の幅よりも大きい場合には、前記端部パッチ画像の前記幅方向における最外側端部を、前記最大現像領域の前記幅方向における最外側端部を含むように形成するようにすることができる。清掃手段の捲れを確実に防止するためには、中間転写体と清掃手段との当接部の全域にトナーを送り込むのが好ましい。したがって、幅方向においてできるだけ外側にまでトナーを送り込むため、最大現像領域の最外側端部まで端部パッチ画像を形成することが望ましい。ただし、清掃手段の幅を超えてトナーを送り込むと、清掃手段により除去することができなくなり記録材を汚してしまうおそれがある。
【0010】
また、前記現像手段がトナーを貯留する現像器を複数個備える場合には、前記複数の現像器のそれぞれを使用して前記端部パッチ画像を形成するのが望ましい。現像器の寸法ばらつきやガタ等に起因して、上記した最大現像領域は現像器ごとに、幅方向に若干ずれる可能性がある。したがって、各現像器のそれぞれで端部パッチ画像を形成すれば、そのばらつきも含めて、幅方向においてトナーを最大限に広げることができる。
【0011】
ここで、端部パッチ画像を端部領域のみに形成する、つまり像形成領域内部を含まないように形成すれば、トナー消費量をさらに抑えることができる。一方、端部パッチ画像を、その一部が像形成領域内部にかかるように形成してもよい。こうすれば、端部領域と像形成領域との境界付近にトナーが送られてこない部分が生じることがなくなり、その部分からの清掃手段の捲れを確実に防止することができる。
【0012】
また、前記制御手段が、画像濃度に影響を与える濃度制御因子を変更設定しながら形成した制御用パッチ画像としてのトナー像の濃度検出結果に基づき濃度制御因子を最適化する濃度制御処理を実行する場合には、前記制御用パッチ画像を形成するときに、併せて前記端部パッチ画像の形成を行うようにしてもよい。このように、制御用パッチ画像を形成する際に併せて端部パッチ画像を形成することで、端部パッチ画像を形成するために画像形成動作を中断する必要がなくなり、画像形成のスループットを向上させることができる。これにより、上記第2の目的が達成される。
【0013】
この効果は、前記中間転写体の移動方向において前記転写位置よりも下流側で、前記制御用パッチ画像の画像濃度を検出する濃度検出手段をさらに備え、前記制御手段が、前記濃度検出手段による検出結果に基づいて前記濃度制御処理を実行するように構成された装置において特に顕著である。というのは、このように構成された装置では、制御用パッチ画像の濃度を検出するためには、記録材または他の部材に制御用パッチ画像を転写させずに転写位置を通過させるための措置を講ずる必要があり、このための措置は、端部パッチ画像を転写位置を通過させるためにも同じく有効であるからである。つまり、制御用パッチ画像と端部パッチ画像とは、装置の状態を変更することなく同時にあるいは相次いで形成することができ、こうすることで処理に要する時間をさらに短縮することができる。
【0014】
特に、前記潜像担持体が感光体であり、所定の表面電位に帯電された前記感光体表面に光ビームを照射して静電潜像を形成する露光手段をさらに備える装置においては、前記現像手段に印加する現像バイアスを前記濃度制御因子として最適した後に、最適化された現像バイアス条件下で前記光ビームの強度を前記濃度制御因子として最適化する処理を前記濃度制御処理として実行し、しかも、最適化された現像バイアス条件下で前記端部パッチ画像を形成することが望ましい。
【0015】
このように、最適化された現像バイアスの下で端部パッチ画像を形成することにより、端部パッチ画像を構成するトナーの量を安定させることができる。そのため、端部パッチ画像をむやみに大きくする必要はなくなり、中間転写体と清掃手段との当接部に送り込むトナー量の制御が簡単になる。
【0016】
また、前記清掃手段が、前記幅方向に延設されて前記像形成領域の幅より大きな幅を有し、前記中間転写体に当接してトナーを掻き取るブレード状の掻き取り部材と、前記掻き取り部材の前記幅方向の両端部に設けられて、前記中間転写体から掻き取られたトナーを前記清掃手段の先端近傍に貯留するトナー貯留部材とを有するように構成されるとともに、前記端部パッチ画像は、前記幅方向における前記トナー貯留部材が設けられた位置に対応する前記中間転写体の表面領域に形成されるようにしてもよい。
【0017】
このような構成によれば、端部パッチ画像が掻き取り部材によって掻き取られると、掻き取られたトナーがトナー貯留部材によって貯留され、清掃手段の先端部近傍に保持されることとなる。そのため、トナー堆積処理によるトナーの再補充の頻度を少なくすることができる。このトナー貯留部材は、幅方向における掻き取り部材の両端部から、少なくとも端部領域と像形成領域との境界部分まで延設されることが望ましい。こうすることで、中間転写体と清掃手段との当接部のうち、像形成領域よりも外側の部分については常時一定量のトナーを堆積させておくことができる。また、像形成領域内部については、画像形成動作により生じる残留トナーを掻き取って潤滑剤として使用することができる。これにより、トナー堆積処理により送り込むトナーの量を最小限に抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1はこの発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナー(現像剤)を重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてエンジンコントローラ10に設けられたCPU101がエンジン部EG各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、シートSに画像信号に対応する画像を形成する。
【0019】
このエンジン部EGでは、感光体22が図1の矢印方向D1に回転自在に設けられている。また、この感光体22の周りにその回転方向D1に沿って、帯電ユニット23、ロータリー現像ユニット4およびクリーニング部25がそれぞれ配置されている。帯電ユニット23は所定の帯電バイアスを印加されており、感光体22の外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。クリーニング部25は一次転写後に感光体22の表面に残留付着したトナーを除去し、内部に設けられた廃トナータンクに回収する。これらの感光体22、帯電ユニット23およびクリーニング部25は一体的に感光体カートリッジ2を構成しており、この感光体カートリッジ2は一体として装置本体に対し着脱自在となっている。
【0020】
そして、この帯電ユニット23によって帯電された感光体22の外周面に向けて露光ユニット6から光ビームLが照射される。この露光ユニット6は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームLを感光体22上に露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。
【0021】
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4によってトナー現像される。すなわち、この実施形態では、現像ユニット4は、図1紙面に直交する回転軸中心に回転自在に設けられた支持フレーム40、支持フレーム40に対して着脱自在のカートリッジとして構成されてそれぞれの色のトナーを内蔵するイエロー用の現像器4Y、シアン用の現像器4C、マゼンタ用の現像器4M、およびブラック用の現像器4Kを備えている。この現像ユニット4は、エンジンコントローラ10により制御されている。そして、このエンジンコントローラ10からの制御指令に基づいて、現像ユニット4が回転駆動されるとともにこれらの現像器4Y、4C、4M、4Kが選択的に感光体22と当接してまたは所定のギャップを隔てて対向する所定位置に位置決めされると、当該現像器に設けられて選択された色のトナーを担持する現像ローラ44が感光体22に対し対向配置され、その対向位置において現像ローラ44から感光体22の表面にトナーを付与する。これによって、感光体22上の静電潜像が選択トナー色で顕像化される。
【0022】
上記のようにして現像ユニット4で現像されたトナー像は、一次転写領域TR1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。転写ユニット7は、複数のローラ72〜75に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ73を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向D2に回転させる駆動部(図示省略)とを備えている。そして、カラー画像をシートSに転写する場合には、感光体22上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト71上に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、カセット8から1枚ずつ取り出され搬送経路Fに沿って二次転写領域TR2まで搬送されてくるシートS上にカラー画像を二次転写する。すなわち、中間転写ベルト71に担持されて二次転写領域TR2まで搬送されてきたトナー像は、中間転写ベルト71と二次転写ローラ80とのニップ部を通過するシートSに二次転写される。なお、二次転写ローラ80は中間転写ベルト71の表面に対し離当接自在に構成されており、二次転写ローラ80が中間転写ベルト71から離間された状態では、中間転写ベルト71上のトナー像は二次転写領域TR2をそのまま通過してさらに下流側へ搬送されることとなる。
【0023】
また、中間転写ベルト71上の画像をシートS上の所定位置に正しく転写するため、二次転写領域TR2にシートSを送り込むタイミングが管理されている。具体的には、搬送経路F上において二次転写領域TR2の手前側にゲートローラ81が設けられており、中間転写ベルト71の周回移動のタイミングに合わせてゲートローラ81が回転することにより、シートSが所定のタイミングで二次転写領域TR2に送り込まれる。
【0024】
また、こうしてカラー画像が形成されたシートSは定着ユニット9によりトナー像を定着され、排出前ローラ82および排出ローラ83を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部89に搬送される。また、シートSの両面に画像を形成する場合には、上記のようにして片面に画像を形成されたシートSの後端部が排出前ローラ82後方の反転位置PRまで搬送されてきた時点で排出ローラ83の回転方向を反転し、これによりシートSは反転搬送経路FRに沿って矢印D3方向に搬送される。そして、ゲートローラ81の手前で再び搬送経路Fに乗せられるが、このとき、二次転写領域TR2において中間転写ベルト71と当接し画像を転写されるシートSの面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、シートSの両面に画像を形成することができる。
【0025】
また、ローラ75の近傍には、クリーナ76が配置されている。このクリーナ76は図示を省略する電磁クラッチによってローラ75に対して近接・離間移動可能となっている。そして、ローラ75側に移動した状態でクリーナ76のブレードがローラ75に掛け渡された中間転写ベルト71の表面に当接し、二次転写後に中間転写ベルト71の外周面に残留付着しているトナーを除去する。
【0026】
このクリーナ76は、二次転写領域TR2においてシートSへの画像の転写が行われるときに、それと同じ周回において中間転写ベルト71上に残留付着するトナーを除去するように、離当接制御される。したがって、例えば装置がモノクロ画像を連続的に形成する場合には、一次転写領域TR1において中間転写ベルト71に転写された画像が直ちに二次転写領域TR2でシートSに転写されるので、クリーナ76は当接状態に保持される。一方、カラー画像を形成する場合には、各色のトナー像が互いに重ね合わされる間、クリーナ76を中間転写ベルト71から離間させておく必要がある。そして、各色のトナー像が互いに重ね合わされてフルカラー画像が完成し、シートSに二次転写されるのと同一の周回において、残留トナーを除去すべくクリーナ76が中間転写ベルト71に当接されることとなる。なお、クリーナ76の構成および動作については後に詳述する。
【0027】
また、ローラ75の近傍には濃度センサ60が配置されている。この濃度センサ60は、中間転写ベルト71の表面に対向して設けられており、必要に応じ、中間転写ベルト71の外周面に形成されるトナー像の画像濃度を測定する。そして、その測定結果に基づき、この装置では、画像品質に影響を与える装置各部の動作条件、例えば各現像カートリッジに与える現像バイアスや、光ビームLの強度などの調整を行っている。この濃度センサ60は、例えば反射型フォトセンサを用いて、中間転写ベルト71上の所定面積の領域の画像濃度に対応した信号を出力するように構成されている。そして、CPU101は、中間転写ベルト71を周回移動させながらこの濃度センサ60からの出力信号を定期的にサンプリングすることで、中間転写ベルト71上のトナー像各部の画像濃度を検出することができる。
【0028】
また、図2に示すように、各現像カートリッジ4Y,4C,4Mおよび4Kには該現像カートリッジの製造ロットや使用履歴、内蔵トナーの残量などに関するデータを記憶するメモリ91〜94がそれぞれ設けられている。さらに、各現像カートリッジ4Y,4C,4M、4Kには無線通信器49Y、49C、49M、49Kがそれぞれ設けられている。そして、必要に応じて、これらが選択的に本体側に設けられた無線通信器109と非接触にてデータ通信を行い、インターフェース105を介してCPU101と各メモリ91〜94との間でデータの送受を行って該現像カートリッジに関する消耗品管理等の各種情報の管理を行っている。なお、この実施形態では、無線通信等の電磁的手段を用いて非接触にてデータ送受を行っているが、本体側および各現像カートリッジ側にコネクタ等を設け、コネクタ等を機械的に嵌合させることで相互にデータ送受を行うようにしてもよい。
【0029】
また、この装置では、図2に示すように、メインコントローラ11のCPU111により制御される表示部12を備えている。この表示部12は、例えば液晶ディスプレイにより構成され、CPU111からの制御指令に応じて、ユーザへの操作案内や画像形成動作の進行状況、さらに装置の異常発生やいずれかのユニットの交換時期などを知らせるための所定のメッセージを表示する。
【0030】
なお、図2において、符号113はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリである。また、符号106はCPU101が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号107はCPU101における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
【0031】
また、この画像形成装置は、上記のようにそれぞれ異なる色のトナーを貯留する4個の現像器を装着されて使用されるほか、1個の現像器または同一色のトナーを貯留する複数の現像器を装着された状態で、モノクロ画像専用の画像形成装置としても使用される。つまり、この画像形成装置は、1個の現像器のみを装着した状態では、当該トナー色によるモノクロ画像を形成する装置として動作する。また、同一色のトナーを貯留する複数の現像器を装着された状態では、それらのうちの1個、あるいはそれらを適宜切り換えながら、当該トナー色によるモノクロ画像を形成する装置として動作する。
【0032】
図3はこの実施形態におけるクリーナの構造を示す図である。図3(a)に示すように、クリーナ76は、回動軸762中心に回動自在のアーム部材761に、中間転写ベルト71に接触してトナーを掻き落とすブレード763が取り付けられている。このブレード763は、例えばウレタンゴムなどの弾性材料からなり、中間転写ベルト71の移動方向に直交する幅方向(図3(a)紙面に直交する方向)に延びる板状に形成されている。また、ブレード763のローラ75に対向する面とは反対側の端面には、トナー溜めシート764が設けられている。トナー溜めシート764は、ブレード763を裏打ちするように設けられた樹脂製のシート状部材である。
【0033】
このように構成されたクリーナ76は、図示を省略する駆動機構によって回動軸762を中心として回動される。これにより、ブレード763は、中間転写ベルト71に対し当接した状態(図3(a))、該ベルト71から離間した状態(図3(b))の間で切り換えられる。より具体的には、クリーナ76がブレード763を中間転写ベルト71から離間させた待機位置(図3(b))にあるときに、回動軸762が図の時計回りに駆動されると、ブレード763の先端部が図の左方から右方へ移動し、中間転写ベルト71に接触する(クリーニング位置、図3(a))。この場合のブレード先端部は略水平方向の動きとなる。
【0034】
そして、中間転写ベルト71に当接した状態で、ブレード763が中間転写ベルト71上に付着したトナーを掻き落とす。掻き落とされたトナーTは、図3(a)に示すように、中間転写ベルト71の搬送方向において中間転写ベルト71とブレード763との当接部の上流側で、中間転写ベルト71、ブレード763およびトナー溜めシート764とに囲まれた空間に堆積する。この堆積トナーTは、中間転写ベルト71とブレード763との当接部において潤滑剤として作用して両者間の摩擦抵抗を軽減し、これにより中間転写ベルト71の磨耗やブレード763の捲れを防止する効果を発揮する。
【0035】
一方、クリーナ76が待機位置に移動すると、ブレード763が中間転写ベルト71から離間される。このとき、ブレード763の先端近傍に堆積していたトナーTは、トナー溜めシートを設けていない場合にはブレード763から落下してしまうが、この実施形態ではトナー溜めシート764を設けているためトナーは落下せず、図3(b)に示すように、ブレード763とトナー溜めシート764とで挟まれた空間(トナー貯留空間)SPに留まっている。
【0036】
このように、この実施形態では、ブレード763が中間転写ベルト71から離間した状態にあるときにも、ある程度の量のトナーがブレード763の先端近傍に堆積されている。そのため、ブレード763が再び中間転写ベルト71に向かって移動し中間転写ベルト71表面に当たって移動を停止したときには、その反動によって、その当接部あるいは中間転写ベルト71の移動方向において該当接部の上流側の領域に対し、トナー貯留空間SPに貯留されていたトナーTが送り込まれることとなる。このトナーの潤滑作用により、中間転写ベルト71の磨耗やブレード763の捲れの発生を大幅に低減することができる。
【0037】
図4はクリーナおよび中間転写ベルトの寸法を説明するための斜視図である。中間転写ベルト71上には、その幅方向いっぱいに画像が形成されるわけではなく、シートSのサイズに対応した所定の像形成領域(図4において2つの破線の間の領域)71aにのみ画像が形成される。そして、クリーナ76のブレード763の幅は、像形成領域71aの幅よりは大きく、かつ中間転写ベルト71の幅よりは小さくなるように設定される。すなわち、中間転写ベルト71の幅を符号Wtb、そのうちの像形成領域の幅を符号Wim、ブレード763の幅を符号Wclで表したとき、これらの間には次の関係:
Wtb>Wcl>Wim
が成り立っている。
【0038】
ブレード763の幅Wclを像形成領域71aの幅Wimよりも大きくすることによって、像形成領域内およびその周辺部に付着したトナーを確実に除去することができ、次に形成される画像を汚すことが防止される。しかしながら、ブレード763の幅を大きくしすぎて、例えば中間転写ベルト71の幅Wtbと同程度にまで広げると却って弊害を生じる場合がある。すなわち、中間転写ベルト71に当接するブレード763は、該ベルト71を回転駆動するモータ(図示せず)の負荷となり、しかもベルト71に対し離当接するので、中間転写ベルト71の回転速度を変動させてしまう要因となる。また、像形成領域71aの内部では、画像形成動作を行う際に二次転写領域TR2においてシートSに転写しきれなかった残留トナーが発生し、このようなトナーがブレード763により掻き取られて潤滑作用を果たす。これに対し、像形成領域71aよりも外側ではこのようなトナーが微量であるため、像形成領域71aよりも外側で中間転写ベルト71とブレード763との間の摩擦が大きくなり、この部分で中間転写ベルト71およびブレード763の磨耗や破損等を生じやすくなる。そこで、ブレード763の幅Wclは、できるだけ小さいことが望ましいが、像形成領域の幅71aよりは大きくする必要がある。
【0039】
なお、装置がサイズの異なる複数種のシートに対応している場合には、最も幅の広いシートに対応する像形成領域の幅よりも、ブレード763の幅の方が大きくなるようにすればよい。
【0040】
次に、トナー溜めシートの幅について考察する。中間転写ベルト71とブレード763との摩擦による中間転写ベルト71の磨耗やブレード763の捲れ等の問題は、両者が当接している領域の全域で生じうる。したがって、これを抑制するためのトナー溜めシート764も、ブレード763の幅方向いっぱいに設けられることが望ましい。すなわち、トナー溜めシート764の幅は、ブレード763の幅Wcl以上とすることが望ましい。ブレード763よりも外側にまで延びるようにしてもよい。
【0041】
図5は各部材の幅の大小関係を説明する図である。図5に示すように、感光体22は中間転写ベルト71の幅Wtbよりも大きい幅Wpcを有している。また、現像ローラ44の幅Wdrは、当然に中間転写ベルト71上の画像形成領域の幅Wimよりは大きく、かつクリーナブレード763の幅Wclよりは若干小さく作られている。逆に言えば、クリーナブレード763が現像ローラ44よりも幅広に形成されている。このようにするのは、クリーナブレード763を現像ローラ44よりも幅広にすることで、現像ローラ44から感光体22を経て中間転写ベルト71に移動したトナーを確実に清掃することができ、清掃しきれなかったトナーによりシートSや二次転写ローラ80を汚してしまうことを未然に防止することができるからである。なお、ここでいう現像ローラ幅Wdrは、現像ローラ44表面のトナー担持可能な領域の幅のことである。この実施形態では現像ローラ44の表面全体にトナーを担持するように構成しているので現像ローラの長さと現像ローラ幅Wdrとは等しくなるが、その全面にトナーを担持するように構成されていない現像ローラにおいては、実際の現像ローラの長さと現像ローラ幅Wdrとは必ずしも一致しない。これらをまとめると、各部材間には、以下の関係:
Wpc>Wtb>Wcl>Wdr>Wim
が成立する。
【0042】
このような寸法関係とした結果として、クリーナ76のブレード763は、像形成領域71aよりも外側の領域においても中間転写ベルト71の表面に当接することとなる。像形成領域71a内では、二次転写領域TR2においてシートSに転写されなかったトナーがブレード763との当接部に搬送されてくる。すなわち、中間転写ベルト71からシートSへのトナー像の転写効率は100%よりは小さいため、中間転写ベルト71上に担持されたトナー像を構成するトナーのうちの一部は中間転写ベルト71上に残留している。また、装置内部でシートSのジャム(シート搬送系路上での詰まり)が発生したときには、その時点で既に中間転写ベルト71上に担持されていたトナー像はシートに転写されることなくブレード763により掻き取られることとなる。このようなトナーは、中間転写ベルト71とブレード763との間に介在して摩擦を軽減させる作用を果たす。
【0043】
しかしながら、像形成領域71aよりも外側のでは、このようなトナーの発生はほとんどない。また、クリーナ76が中間転写ベルト71に対して離当接動作するため、ブレード先端部に堆積したトナーが飛散して失われやすい。このため、この部分では中間転写ベルト71との間の摩擦が大きくなりやすい。さらに、もともとブレード763の端部では応力集中による捲れや破損を生じやすい。
【0044】
そこで、この実施形態では、後で検討する所定のタイミングで、以下に説明する端部パッチ画像を中間転写ベルト71上に形成し、これをブレード763により掻き取ることで、ブレード763の端部に常時トナーを堆積させるようにしている。
【0045】
図6は端部パッチ画像の第1の例を示す図である。端部パッチ画像Idp1は、中間転写ベルト71表面の両端部、より詳しくは、中間転写ベルト71表面のうち、その移動方向D2に直交する幅方向において像形成領域71aよりも外側の領域(以下、「端部領域」という)のそれぞれに各1箇所ずつ形成される。幅方向において、端部パッチ画像Idp1の内側端部は、像形成領域71aと端部領域の境界(図6の破線)に設けられる。また、端部パッチ画像Idp1の外側端部は、現像ローラ44によりトナーを付着させることができる最大領域(最大現像領域:図6における幅Wdrの領域)いっぱいにまで延設される。
【0046】
端部パッチ画像Idp1の画像パターンおよびその長さLdp1は任意であるが、例えば次のようにするのがよい。端部パッチ画像Idp1の画像パターンは、ベタ画像あるいはこれに準ずる高濃度のものが好ましい。というのは、できるだけ多くのトナーを一気にブレード763先端部に送り込むことによって、掻き取られたトナーの一部がブレード763の稜線に沿って現像ローラ幅Wdrよりも外側にまで広がり、これによりブレード763の幅方向における端部にまでトナーが回り込むことが期待されるからである。特に、このような画像パターンとしてはベタ画像が最も簡易なものであり、画像形成が容易である。また、端部パッチ画像Idp1の長さLdp1については、画像パターンとの兼ね合いで、ブレード763に堆積させるトナーとして必要十分な量のトナーが中間転写ベルト71とブレード763との当接部に送られるような長さとすればよい。
【0047】
図7は端部パッチ画像の第2の例を示す図である。第2の例の端部パッチ画像Idp2は、その一部が像形成領域71aにかかっている点で上記した第1の例とは相違している。基本的に、像形成領域内では転写残りのトナーが送られてくるため端部パッチ画像は不要である。特に、上記のようにまとまった量のトナーを送り込むとその一部はブレード763の稜線に沿って側方まで広がるので、端部パッチ画像の内側端部については像形成領域71aの外縁(図6の破線)よりもいくらか外側に設けてもよい。しかしながら、この例のように、端部パッチ画像Idp2の内側端部を像形成領域71a内に設けるようにすれば、像形成領域と端部領域との境界にトナーが存在しない領域が生じるのを確実に防止することができる。
【0048】
なお、互いにサイズの異なる複数種のシートに対して画像を形成するように構成されている装置では、シートサイズごとに像形成領域の幅も異なることになる。このような装置においては、例えば次のようにすることができる。第1には、最も小さい最小サイズに対応する像形成領域に合わせて端部パッチ画像を形成する。こうすれば、実際に形成される画像がどのサイズであったとしても、中間転写ベルト71とブレード763との間にトナーが存在しない領域が生じるのを確実に防止することができる。
【0049】
第2には、各サイズのシートのうち最も使用頻度の高い1つを標準サイズとしておき、その標準サイズに対応する像形成領域に合わせて端部パッチ画像を形成する。標準サイズに対応する像形成領域内では、画像形成を行うことによる転写残りのトナーが高い頻度で発生する。したがって、それよりも外側に端部パッチ画像を形成すれば、中間転写ベルト71とブレード763との間にトナーが存在しない領域が発生するおそれは事実上なく、また上記した第1の場合よりも端部パッチ画像形成によるトナー消費量を低減することができる。
【0050】
図8はトナー溜めシートの変形例を示す図である。図8に示す変形例では、ブレード763の両端部にのみトナー溜めシート7641が設けられている。トナー溜めシート7641は、その内側端部7641aが中間転写ベルト71の像形成領域71aの端部(破線)よりも内側にまで延びている。一方、トナー溜めシート7641の外側端部7641bはブレード763の端部まで延びている。このようにする理由は以下の通りである。
【0051】
上記したように、中間転写ベルト71の像形成領域内においては、画像形成動作に伴って常時ある程度の残留トナーが搬送されてくるので、例えば二次転写効率がそれほど高くない装置においては、像形成領域とブレード763との当接部についてはトナー溜めシートを省いてもよい。一方、像形成領域よりも外側では残留トナーが送られてくることは期待できず、しかもブレード763の端部で捲れが発生しやすいので、捲れを防止するためのトナー溜めシートを設けることが望まれる。したがって、トナー溜めシート7641の外側端部7641bは、少なくともブレード763の端部にまで延設されていることが望ましい。また、貯留トナーを補給するために、トナー溜めシート7641の内側端部7641aは、少なくとも像形成領域の端部まで、より好ましくはその内側にまで延びていることが望ましい。こうしておけば、像形成領域内において掻き取られた残留トナーの一部が像形成領域外にまで回り込むので、このようなトナーを像形成領域外での潤滑剤として有効に利用することができる。
【0052】
このような構成の装置においては、図6に示した端部パッチ画像Idp1と同じ形状の端部パッチ画像Idp3が形成される。ブレード763により掻き取られたトナーは、トナー溜めシート7641の作用によりブレード763先端部に貯留される。クリーナ76が離当接動作をする場合にも、トナー溜めシート7641がトナーの落下を防止する。そのため、ブレード763の端部には常時トナーが堆積しており、この部分からのブレード763の捲れ発生が防止される。また、像形成領域71aの内側では、シートSに転写されなかったトナーがブレード763により掻き取られてブレード先端部に堆積し、この部分でのブレード捲れを防止する。
【0053】
図9は端部パッチ画像の第3の例を示す図である。図9の例は、その幅方向に対し斜めの継ぎ目を有する中間転写ベルト71を有する装置において特に有効である。中間転写ベルト71は無端状ベルトであり、その製造方法としては、押し出し成型等により初めからシームレスに形成する方法と、帯状に形成したベルト材料の両端部を継ぎ合わせる方法とがある。後者の方法は、異なる機能を有する材料を複合させた複雑な構造のベルトを形成することができるため広く用いられている。このような継ぎ目を有するベルトとしては、例えば特開2004−163503号公報に記載されたように、ベルト幅方向に対し継ぎ目を斜めにしたものがある。
【0054】
このような構造の中間転写ベルトを有する装置においては、図9に示すように、中間ベルト71の両端部に、継ぎ目711の傾きに対応させて、移動方向D2において互いに位置を異ならせた端部パッチ画像Idp4a、Idp4bを形成するようにしてもよい。
【0055】
次に、端部パッチ画像を形成するトナー堆積処理の実行タイミングについて検討する。上記したように、この実施形態の画像形成装置では、中間転写ベルト71に当接するクリーナブレード763に、その先端部にトナーを堆積させるためのトナー溜めシート764または7641を設けているので、ブレード先端部からのトナーの落下が防止されている。したがって、ブレード763先端にトナーを再供給するためのトナー堆積処理の頻度を低く抑えることができ、「背景技術」の項で説明した特許文献1に記載の装置のように、1枚ないし数枚の画像形成ごとの紙間に形成する必要はない。
【0056】
また、中間転写ベルト71上の端部パッチ画像については、二次転写位置TR2を通過させてブレード763との当接部にまで搬送されてくる必要があるので、端部パッチ画像形成時には二次転写領域TR2における二次転写が行われないようにする必要がある。例えば二次転写バイアスの極性を反転させたり、二次転写ローラ80を中間転写ベルト71から離間させることによってこのような状態を現出することができる。いずれにせよ、通常の画像形成動作とは異なる動作を必要とするので、通常の画像形成動作の中にトナー堆積処理を組み込もうとすると、画像形成動作はいったん中断されることとなり、あるいはトナー堆積処理の実行中には画像形成動作を行うことができなくなり、画像形成のスループットを低下させる原因となる。
【0057】
そこで、この実施形態では、装置の電源投入直後やスリープ復帰時などの所定のタイミングで実行される濃度制御動作と併せて、トナー堆積処理を実行するようにしている。この濃度制御動作は、画像濃度に影響を与える濃度制御因子を多段階に変更設定しながら所定の制御用パッチ画像を形成し、その濃度検出結果に基づいて、画像濃度を目標濃度と刷るための濃度制御因子の最適値を求める処理である。この実施形態では、現像ローラ44に与える現像バイアスと、露光ユニット6から感光体22に照射する露光ビームLの強度(露光パワー)とを濃度制御因子としている。以下、本実施形態における濃度制御動作につき説明する。
【0058】
図10はこの実施形態における濃度制御動作を示すフローチャートである。まず、現像バイアスの最適化を行う。最初に、現像ユニット4に装着された現像器のうち1つを感光体22と対向する現像位置に移動させる(ステップS101)。そして、この現像器に与える現像バイアスを多段階に変更設定しながら、各バイアス値で所定の制御用パッチ画像(例えばベタ画像)を形成する(ステップS102)。こうして形成した制御用パッチ画像については、中間転写ベルト71の移動により二次転写領域TR2を経て濃度センサ60との対向位置まで搬送し、濃度センサ60により各パッチ画像の濃度を検出する(ステップS103)。こうして検出されたパッチ画像濃度に基づき、画像濃度が目標濃度となる現像バイアスの最適値を算出する(ステップS104)。ステップS101ないしS104の処理を、全色について終了するまで各現像器を使用して繰り返し行う(ステップS105)。
【0059】
続いて、露光パワーの最適化を行う。現像器の1つを再び現像位置へ移動させ(ステップS106)、現像バイアスを先に求めた最適値に設定する一方(ステップS107)、露光パワーを多段階に変更設定しながら各露光パワーで所定の制御用パッチ画像(例えばハーフトーン画像)を形成する(ステップS108)。ここでは、感光体上に残る履歴の影響を防止するため、露光パワーは小さな値から次第に大きな値に変更するものとする。そして、最後の制御用パッチ画像と同じ画像形成条件で、つまり最適現像バイアスおよび最大露光パワー条件下で、端部パッチ用画像の形成を行う(ステップS109)。
【0060】
そして、現像バイアスを最適化する場合と同様に、各制御用パッチ画像の濃度を検出し(ステップS110)、それらの濃度検出結果に基づき最適露光パワーを算出する(ステップS111)。この一連の処理(ステップS106ないしS111)を、全色について終了するまで繰り返し行う(ステップS112)。
【0061】
図11は中間転写ベルト上に形成されたパッチ画像を示す図である。より詳しくは、図11は、上記した濃度制御動作がステップS109まで終了した時点での中間転写ベルト71表面を示す図である。この時点では、露光パワーを次第に増加させながら形成した複数の制御用パッチ画像Icpと、それに続いて両端部に形成された端部パッチ画像Idp5a、Idp5bが中間転写ベルト71表面に担持されている。
【0062】
このように、この実施形態では、濃度制御動作において形成されるパッチ画像Icpを形成する際に、これと併せて端部パッチ画像Idp5a、Idp5bを形成している。こうすることで、次のような利点が得られる。まず、制御用パッチ画像を形成するために装置は画像形成動作を実行するが、一連の画像形成動作で端部パッチ画像まで形成することにより、端部パッチ画像を形成するための動作を別途行う必要がないので、制御が容易になり、処理時間も短縮することができる。また、制御用パッチ画像Icpについては、その濃度を検出すため、二次転写領域TR2を通過させてさらに下流側にまで搬送される必要があり、装置はそれを可能とする状態、つまり二次転写が行われない状態に設定される。より具体的には、二次転写ローラ80が中間転写ベルト71表面から離間される。端部用パッチ画像についても、ブレード763との当接部にまで搬送するために二次転写領域TR2を通過させる必要がある。つまり、制御用パッチ画像、端部パッチ画像のいずれについても、二次転写が行われない状態で二次転写領域TR2を通過させる必要があるので、これらを一括して形成するに際して装置の状態を変える必要がない。
【0063】
そして、この実施形態では、最適化された現像バイアス下で、かつ最大露光パワー下で端部パッチ画像を形成している。このような条件で端部パッチ画像を形成する理由は次の通りである。端部パッチ画像を形成する目的は、まとまった量のトナーをブレード763の端部に送り込むことによって、ブレード先端部にトナーを堆積させることである。この点からは、端部パッチ画像を構成するトナーの量が適切に制御される必要がある。ここで、ベタ画像の濃度に対しては、現像バイアスの及ぼす影響が支配的であり、露光パワーが及ぼす影響は小さいことが知られている。したがって、ベタ画像またはこれに準ずる高濃度画像を端部パッチ画像として形成する際の画像形成条件としては、少なくとも現像バイアスについては最適値に設定されている必要がある。
【0064】
一方、露光パワーに関しては最適値である必要は必ずしもないが、露光パワーが小さすぎるとベタ画像濃度に影響を及ぼすこともあるので、比較的高い露光パワーが使用されることが望ましい。そこで、この実施形態では、露光パワーを最も大きく設定した状態で端部パッチ画像を形成するようにしている。なお、最適露光パワーで端部パッチ画像を形成してももちろんかまわないのであるが、こうするためには、各制御用パッチ画像の形成後、それらの濃度を検出して最適露光パワーを算出し、露光パワーをその最適値に設定し直した上で端部パッチ画像を形成する、という手順を必要とするので、処理時間が長くなってしまう。
【0065】
この実施形態においては、端部パッチ画像を形成するときには、現像バイアスについては最適値に設定することによって画像濃度を適正に制御する。このように、端部パッチ画像の濃度を制御することにより、ブレード763に送られるトナー量が安定し、中間転写ベルト71の移動方向D2に沿った端部パッチ画像の長さを必要最小限に抑えることができるので、無用なトナーの消費を抑えることができる。また、露光パワーについては、その最適値が算出されるのを待つことなく、最大値に設定した状態で端部パッチ画像を形成するので、一連の制御用パッチ画像Icpの形成に引き続いて端部パッチ画像を形成することができる。そのため、端部パッチ画像の形成のために余計な時間を消費することはなく、処理時間を短くすることができる。
【0066】
さらに、この実施形態では、端部パッチ画像を複数の現像器それぞれで形成している。端部パッチ画像はどのトナー色で形成されてもその効果に大差はなく、また少なくとも1つのトナー色で形成されれば十分であるが、この実施形態では全色のトナーそれぞれで端部パッチ画像を形成することで、以下の効果を得ている。まず、ブレード763に堆積させるトナーを各現像器から供給することで、特定の現像器のトナーのみが減ってしまうのを回避することができる。
【0067】
また、トナーはブレード763の最外側端部にまで堆積されることが望ましく、この点においても、上記のように複数の現像器で端部パッチ画像を形成することが有効となる。
というのは、装置の寸法ばらつきやガタ等に起因して現像位置における感光体22と現像ローラ44との位置関係は現像器ごとにばらついており、このばらつきのため中間転写ベルト71に形成される端部パッチ画像の位置は現像器ごとに微妙に異なるので、1つの現像器を使用した場合よりも広い範囲にトナーを送り込むことができるからである。
【0068】
以上のように、この実施形態では、ブレード763の幅方向における端部にトナーを送り込むための端部パッチ画像を形成しブレード763により掻き取るトナー堆積処理を行う一方、像形成領域71a内においては画像形成動作の過程で発生する残留トナーをブレード763により掻き取る。これにより、ブレード763の先端部の稜線にはその幅全体にトナーが堆積し、中間転写ベルト71との間の摩擦が低減される。このため、ブレード763の捲れが確実に防止される。また、中間転写ベルトの端部付近にのみパッチ画像を形成するのでトナー消費量が少なく、装置のランニングコストを低く抑えることができる。
【0069】
また、端部パッチ画像については、濃度制御動作において形成される制御用パッチ画像と併せて形成するようにしているので、端部パッチ画像形成のために改めて画像形成動作を行う必要がなく、処理に要する時間を短縮することができる。また、現像バイアスを最適値に設定する一方、露光パワーを最大値に設定して端部パッチ画像を形成するので、端部パッチ画像の画像濃度が適正に制御されているので、トナー量が安定しており、端部パッチ画像のサイズを必要最小限に抑えることができる。また、最適露光パワーが算出されるのを待つ必要がないので、処理時間をさらに短くすることができる。
【0070】
また、制御用パッチ画像および端部パッチ画像は、いずれも二次転写領域TR2を通過させるべき画像であるから、これらを一括して形成することで、装置の状態を変化させる動作(具体的には、二次転写ローラ80の離当接動作)を必要としない。
【0071】
以上説明したように、この実施形態においては、感光体22、ロータリー現像ユニット4および中間転写ベルト71が、それぞれ本発明の「潜像担持体」、「現像手段」および「中間転写体」として機能している。また、クリーナ76が本発明の「清掃手段」として機能している。そして、クリーナ76に設けられたブレード763が本発明の「掻き取り部材」として、またトナー溜めシート764および7641が本発明の「トナー貯留部材」として機能している。また、この実施形態では、エンジンコントローラ10が本発明の「制御手段」として機能している。また、この実施形態では、濃度センサ60および露光ユニット6がそれぞれ本発明の「濃度検出手段」および「露光手段」として機能している。
【0072】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態における端部パッチ画像はいずれも矩形であるが、端部パッチ画像の形状についてはこれに限定されるものでなく任意のものであってよい。また、中間転写ベルト71の両端部に形成されるパッチ画像が同一形状である必然性はなく、互いに異なる形状であってもよい。また、画像パターンについても、上記したベタ画像に限定されるものではなく、例えばハーフトーン画像やライン画像としてもよい。
【0073】
また、図11の例では、中間転写ベルト71の移動方向D2に沿って前後するように端部パッチ画像Idp5a、Idp5bを形成しているが、図6に示すように両端部の画像の形成位置を揃えてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、濃度制御動作を実行するときに併せてトナー堆積処理を実行するようにしているが、本発明において濃度制御動作は常に必要なものではなく、また端部パッチ画像についても、濃度制御動作とは異なるタイミングで形成するようにしてもよい。この場合においては、画像形成のスループットが低下するのを防止するため、画像形成動作の実行中とは異なるタイミングでトナー堆積処理を行うことが好ましい。例えば、画像形成枚数が所定枚数を超えたときであって、実行中のジョブが終了した後にトナー堆積処理を行うことができる。
【0075】
さらに、本発明は、上記実施形態のようにロータリー現像ユニットを備える装置のみならず、いわゆるタンデム方式の画像形成装置や、電子写真方式以外の原理により画像を形成する画像形成装置であっても、中間転写体と、これに当接してトナーを除去する清掃手段とを備える画像形成装置全般に対して適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】この発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図。
【図2】図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】第1実施形態のクリーナの構造を示す図。
【図4】クリーナおよび中間転写ベルトの寸法を説明するための斜視図。
【図5】各部材の幅の大小関係を説明する図。
【図6】端部パッチ画像の第1の例を示す図。
【図7】端部パッチ画像の第2の例を示す図。
【図8】トナー溜めシートの変形例を示す図。
【図9】端部パッチ画像の第3の例を示す図。
【図10】この実施形態における濃度制御動作を示すフローチャート。
【図11】中間転写ベルト上に形成されたパッチ画像を示す図。
【符号の説明】
【0077】
2…感光体カートリッジ、 4…現像ユニット(現像手段)、 4C,4K,4M,4Y…現像器、 6…露光ユニット(露光手段)、 10…エンジンコントローラ(制御手段)、 22…感光体(潜像担持体)、 60…濃度センサ(濃度検出手段)、 71…中間転写ベルト(中間転写体)、 76…クリーナ(清掃手段)、 763…ブレード(掻き取り部材)、 764,7641…トナー溜めシート(トナー貯留部材)、 Idp1〜Idp3…端部パッチ画像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を担持可能な潜像担持体と、
前記潜像担持体に担持された静電潜像をトナーにより顕像化してトナー像を形成する現像手段と、
前記潜像担持体から前記トナー像を転写されて周回移動し、該トナー像を所定の転写位置まで搬送して記録材に転写する中間転写体と、
前記中間転写体の表面に当接して、前記記録材への転写後に前記中間転写体表面に付着するトナーを除去する清掃手段と、
前記中間転写体の移動方向に直交する方向を幅方向としたとき、
前記中間転写体表面のうち、前記記録材のサイズに対応したトナー像を形成される像形成領域よりも前記幅方向における外側の端部領域に、所定のトナー像を端部パッチ画像として形成し、該端部パッチ画像を前記清掃手段により除去させるトナー堆積処理を実行する制御手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記清掃手段の幅が、前記現像手段から前記潜像担持体を介して前記中間転写体上にトナーを付与可能な最大現像領域の幅よりも大きく、前記端部パッチ画像の前記幅方向における最外側端部は、前記最大現像領域の前記幅方向における最外側端部を含むように形成される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像手段は、トナーを貯留する現像器を複数個備え、
前記制御手段は、前記複数の現像器のそれぞれで前記端部パッチ画像を形成する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記端部パッチ画像は、前記端部領域のみに形成される請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記端部パッチ画像の一部が、前記像形成領域内に形成される請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、画像濃度に影響を与える濃度制御因子を変更設定しながら形成した制御用パッチ画像としてのトナー像の濃度検出結果に基づき濃度制御因子を最適化する濃度制御処理を実行可能に構成され、前記制御用パッチ画像を形成するときに、併せて前記端部パッチ画像の形成を行う請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記中間転写体の移動方向において前記転写位置よりも下流側で、前記制御用パッチ画像の画像濃度を検出する濃度検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記濃度検出手段による検出結果に基づいて前記濃度制御処理を実行する
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記潜像担持体が感光体であり、
所定の表面電位に帯電された前記感光体表面に光ビームを照射して静電潜像を形成する露光手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記現像手段に印加する現像バイアスを前記濃度制御因子として最適した後に、最適化された現像バイアス条件下で前記光ビームの強度を前記濃度制御因子として最適化する処理を前記濃度制御処理として実行し、しかも、最適化された現像バイアス条件下で前記端部パッチ画像を形成する請求項6または7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記清掃手段は、前記幅方向に延設されて前記像形成領域の幅より大きな幅を有し、前記中間転写体に当接してトナーを掻き取るブレード状の掻き取り部材と、前記掻き取り部材の前記幅方向の両端部に設けられて、前記中間転写体から掻き取られたトナーを前記清掃手段の先端近傍に貯留するトナー貯留部材とを有しており、
前記端部パッチ画像は、前記幅方向における前記トナー貯留部材が設けられた位置に対応する前記中間転写体の表面領域に形成される請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
潜像担持体に担持された静電潜像をトナーにより顕像化してトナー像を形成するとともに、該トナー像を中間転写体に転写して搬送し記録材に転写する画像形成方法において、
前記中間転写体の移動方向に直交する方向を幅方向としたとき、
前記中間転写体表面のうち、前記記録材のサイズに対応したトナー像を形成される像形成領域よりも前記幅方向における外側の端部領域に、所定のトナー像を端部パッチ画像として形成する工程と、
該端部パッチ画像を、前記中間転写体に当接させた清掃手段により除去する工程と
を備えるトナー堆積処理を実行することを特徴とする画像形成方法。
【請求項1】
静電潜像を担持可能な潜像担持体と、
前記潜像担持体に担持された静電潜像をトナーにより顕像化してトナー像を形成する現像手段と、
前記潜像担持体から前記トナー像を転写されて周回移動し、該トナー像を所定の転写位置まで搬送して記録材に転写する中間転写体と、
前記中間転写体の表面に当接して、前記記録材への転写後に前記中間転写体表面に付着するトナーを除去する清掃手段と、
前記中間転写体の移動方向に直交する方向を幅方向としたとき、
前記中間転写体表面のうち、前記記録材のサイズに対応したトナー像を形成される像形成領域よりも前記幅方向における外側の端部領域に、所定のトナー像を端部パッチ画像として形成し、該端部パッチ画像を前記清掃手段により除去させるトナー堆積処理を実行する制御手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記清掃手段の幅が、前記現像手段から前記潜像担持体を介して前記中間転写体上にトナーを付与可能な最大現像領域の幅よりも大きく、前記端部パッチ画像の前記幅方向における最外側端部は、前記最大現像領域の前記幅方向における最外側端部を含むように形成される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像手段は、トナーを貯留する現像器を複数個備え、
前記制御手段は、前記複数の現像器のそれぞれで前記端部パッチ画像を形成する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記端部パッチ画像は、前記端部領域のみに形成される請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記端部パッチ画像の一部が、前記像形成領域内に形成される請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、画像濃度に影響を与える濃度制御因子を変更設定しながら形成した制御用パッチ画像としてのトナー像の濃度検出結果に基づき濃度制御因子を最適化する濃度制御処理を実行可能に構成され、前記制御用パッチ画像を形成するときに、併せて前記端部パッチ画像の形成を行う請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記中間転写体の移動方向において前記転写位置よりも下流側で、前記制御用パッチ画像の画像濃度を検出する濃度検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記濃度検出手段による検出結果に基づいて前記濃度制御処理を実行する
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記潜像担持体が感光体であり、
所定の表面電位に帯電された前記感光体表面に光ビームを照射して静電潜像を形成する露光手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記現像手段に印加する現像バイアスを前記濃度制御因子として最適した後に、最適化された現像バイアス条件下で前記光ビームの強度を前記濃度制御因子として最適化する処理を前記濃度制御処理として実行し、しかも、最適化された現像バイアス条件下で前記端部パッチ画像を形成する請求項6または7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記清掃手段は、前記幅方向に延設されて前記像形成領域の幅より大きな幅を有し、前記中間転写体に当接してトナーを掻き取るブレード状の掻き取り部材と、前記掻き取り部材の前記幅方向の両端部に設けられて、前記中間転写体から掻き取られたトナーを前記清掃手段の先端近傍に貯留するトナー貯留部材とを有しており、
前記端部パッチ画像は、前記幅方向における前記トナー貯留部材が設けられた位置に対応する前記中間転写体の表面領域に形成される請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
潜像担持体に担持された静電潜像をトナーにより顕像化してトナー像を形成するとともに、該トナー像を中間転写体に転写して搬送し記録材に転写する画像形成方法において、
前記中間転写体の移動方向に直交する方向を幅方向としたとき、
前記中間転写体表面のうち、前記記録材のサイズに対応したトナー像を形成される像形成領域よりも前記幅方向における外側の端部領域に、所定のトナー像を端部パッチ画像として形成する工程と、
該端部パッチ画像を、前記中間転写体に当接させた清掃手段により除去する工程と
を備えるトナー堆積処理を実行することを特徴とする画像形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−47554(P2007−47554A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233086(P2005−233086)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]