説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】併置配置印刷において用紙種の違いによる中間色の色再現性の違いを小さくし、異なる用紙種間でも安定した色再現性を確保できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】少なくともシアントナー、マゼンタトナー、イエロートナーの3原色およびブラックトナーを用いてカラー画像を併置配置作像にて形成する画像形成装置において、中間色の形成は、トナーのうちの2色を併置印刷することで実現し、かつ、シート状支持体の光拡散特性に応じて、2色の構成ドットのドット数(線数)を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加法混色と減方混色とでフルカラー画像を再現する併置作像技術を採用した画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、電子写真印刷、インクジェット印刷ならびにオフセット印刷におけるフルカラー印刷では、まず印刷対象のカラー原稿画像を色分解して各色版(C、M、Y、BK版)を作成し、印刷における色再現(特に中間色の色再現)はシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3原色の重ね合せ(減法混色)により実現される。例えば、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の印刷は、夫々、MとY、CとY、CとMの積層印刷で実現している。また、カラー印刷においてはC、M、Yトナーの使用量の低減や印刷画像の調子(色調および濃度諧調)の強調などの観点から、墨版(BK版)を使用することが一般に行われている。
【0003】
また、中間色再現の方法としては、上記減法混色以外に、C、M、Yトナー画像を併置配置し、加法混色にて実現する方法がある。本併置配置印刷方式は、トナー重ねを行わないため、全ての色をトナー単層で表現するため印刷に要するトナー量を少なくできる特長があり、電子写真方式のプリンタとしてはOce社CPS700が本方法を採用している。
【0004】
一方、併置配置印刷における加法混色での問題は、各トナーを重ねないため色彩度が低くなり、色再現域が小さくなることである。この併置配置印刷における再現域を拡大させる方法としては、ドットマトリクス内のドットの個数、配置を変えて中間調表現を行う方法や、高彩度の単色ブルートナーとC、M、Yトナーの4色トナーの併置配置印刷方法(例えば特許文献1参照)が知られている。また、各色ドットの一部を物理的に混ぜ合わせ、減法混色により彩度向上を図る方法(例えば特許文献2参照)が知られている。
【0005】
ここで、併置配置作像の特徴として、用紙の光拡散特性の違いにより色再現域が異なり、特に中間色の色相に違いが生じることが上げられる。これは、併置配置作像による混色では各単色画像からの反射光による加法混色の他に、異なる色境界部では紙中の光拡散に起因する減法混色も生じるからである。この紙中の光拡散に起因する減法混色の程度は紙の光拡散特性により異なり、特に併置配置作像ではその色再域への影響が大きくなる。そのため、上述したような併置配置作像に関する従来技術では、使用する紙の違いにより色再現性(特に色彩度)が大きく変化してしまうという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明が解決しようとする課題は、併置配置作像を用いた印刷において、使用するシート状支持体(例えば紙)の光散乱特性の違いにより生じる色変動、特に中間色の色彩の不安定性に関する。そして、本発明の目的は、使用するシート状支持体の光散乱特性に応じた作像条件を設定することで、安定した色再現性を確保できる画像形成装置及び画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、少なくともシアントナー、マゼンタトナー、イエロートナーの3原色およびブラックトナーを用いてカラー画像を併置配置作像にて形成する画像形成装置において、中間色の形成は、トナーのうちの2色を併置印刷することで実現し、かつ、シート状支持体の光拡散特性に応じて、2色の構成ドットの線数を変化させることを特徴とする。
【0008】
本発明の画像形成装置において、シート状支持体の光拡散特性を計測する計測装置を備え、シート状支持体の光拡散特性を印刷実行前に計測し、当該計測値に基づき中間色画像を形成する構成ドットの線数を設定することを特徴とする。
【0009】
本発明の画像形成装置において、シート状支持体の光拡散特性の計測結果をシート状支持体情報として光拡散特性データテーブルで記録、保管することを特徴とする。
【0010】
本発明の画像形成装置において、印刷前に数種類の構成ドットの線数で作成した中間色評価パッチを印刷し、当該評価パッチの色相計測結果を用いて、印刷時の線数の選定を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明の画像形成装置において、数種類の構成ドットの線数で作成した中間色評価パッチの測色装置を内部に具備することを特徴とする。
【0012】
本発明の画像形成方法は、少なくともシアントナー、マゼンタトナー、イエロートナーの3原色およびブラックトナーを用いてカラー画像を併置配置作像にて形成する画像形成方法において、中間色の形成は、トナーのうちの2色を併置印刷することで実現し、かつ、シート状支持体の光拡散特性に応じて、2色の構成ドットの線数を変化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、使用するシート状支持体の種類による色再現範囲、特に中間色の差異を小さくでき、安定した色再現性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す側断面図である。
【図2】完全併置配置印刷物の光反射経路の説明図である。
【図3】用紙光拡散特性計測装置の概略図である。
【図4】ビームプロファイルの計測例を示すグラフである。
【図5】構成ドット数を2ドット×2ドット〜6ドット×6ドットで変化させた際の中間色画像の断面概略図である。
【図6】用紙種、構成ドット数を変えて印刷した中間色ブルーの彩度測定結果を示す表である。
【図7】構成ドット数と彩度の関係を示すグラフである。
【図8】光拡散特性計数Nと必要構成ドット数の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
〔実施形態1〕
図1は、本実施形態の画像形成装置の構成例を示す図である。図1に示す本実施形態の画像形成装置は、中間転写ベルトを有した代表的なタンデム型電子写真装置である。図1に示される各符号は、以下の通りである。1は、画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機の装置本体である。2は、入力画像情報に基づいたレーザー光を発する書込み部である。3は、原稿Dを原稿読込部4に搬送する原稿搬送部である。4は、原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部である。5は、搬送された原稿Dが載置されるコンタクトガラスである。7は転写紙等の記録媒体Pが収容される給紙部である。9は、記録媒体Pの搬送タイミングを調整するレジストローラである。11Y、11M、11C、11BKは、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される感光体ドラムである。12は、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上を帯電する帯電部である。13は、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成される静電潜像を現像する現像部である。14は、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成されたトナー像を記録媒体P上に重ねて転写する転写バイアスローラである。15は、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の未転写トナーを回収するクリーニング部である。16は、転写ベルト17を清掃する転写ベルトクリーニング部である。17は、複数色のトナー像が記録媒体P上に重ねて担持されるように記録媒体Pを搬送する転写ベルトである。18は、記録媒体Pを転写ベルト17から分離させる分離チャージャである。19は、記録媒体P上のトナー像(未定着画像)を定着する電磁誘導加熱方式の定着装置(加熱装置)である。
【0017】
以上のように構成された本実施形態の画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について、以下に説明する。
【0018】
まず、原稿Dは、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印aの方向に搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス5上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス5上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス5上の原稿Dの画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿Dにて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿Dのカラー画像情報は、カラーセンサにてR、G、B(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号を基にして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)のカラー画像情報を得る。
【0019】
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザー光(露光光)が、それぞれ、対応する感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に向けて発せられる。
【0020】
一方、4つの感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKは、それぞれ、図1において時計回り方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、帯電部12との対向部で、一様に帯電される(帯電工程)。こうして、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれのレーザー光の照射位置に達する。
【0021】
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザー光が各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザー光の解像度は2400dpiで、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程)。
【0022】
イエロー成分に対応したレーザー光は、紙面左側から1番目の感光体ドラム11Y表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザー光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム11Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電部12にて帯電された後の感光体ドラム11Y上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
【0023】
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザー光は、紙面左から2番目の感光体ドラム11M表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザー光は、紙面左から3番目の感光体ドラム11C表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザー光は、紙面左から4番目の感光体ドラム11BK表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0024】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、現像部13との対向位置に達する。そして、各現像部13から感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の潜像が現像される(現像工程)。
【0025】
その後、現像工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、転写ベルト17との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、転写ベルト17の内周面に当接するように転写バイアスローラ14が設置されている。そして、転写バイアスローラ14の位置で、転写ベルト17上の記録媒体Pに、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成された各色のトナー像が、順次転写される(転写工程)。
【0026】
そして、転写工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、クリーニング部15との対向位置に達する。そして、クリーニング部15で、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程)。
【0027】
その後、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
【0028】
他方、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の各色のトナーが転写(担持)された記録媒体Pは、図中の矢印bの方向に走行して、分離チャージャ18との対向位置に達する。そして、分離チャージャ18との対向位置で、記録媒体Pに蓄積された電荷が中和されて、トナーのちり等を生じさせることなく記録媒体Pが転写ベルト17から分離される。
【0029】
その後、転写ベルト17表面は、転写ベルトクリーニング部16の位置に達する。そして、転写ベルト17上に付着した付着物が転写ベルトクリーニング部16に回収される。ここで、転写ベルト17上に搬送される記録媒体Pは、給紙部7からレジストローラ9等を経由して搬送されたものである。詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送された記録媒体Pが、不図示の搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ9に導かれる。レジストローラ9に達した記録媒体Pは、タイミングを合わせて、転写ベルト17の位置に向けて搬送される。
【0030】
そして、フルカラー画像が転写された記録媒体Pは、転写ベルト17から分離された後に定着装置19に導かれる。定着装置19では、定着ローラと加圧ローラとのニップにて、カラー画像(トナー)が記録媒体P上に定着される。
【0031】
そして、定着工程後の記録媒体Pは、不図示の排紙ローラによって、装置本体1外に出力画像として図中の矢印cの方向に排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0032】
ここで、本実施形態におけるフルカラー画像形成では、転写ベルト17上へのC,M,Y,Kトナー画像を併置に配置して形成する。但し、図2に示すような各色トナー像(例えばマゼンタトナー像201とシアントナー像202)の重ね合せを行わない併置作像では、画像面に入射される光203の殆どが単色トナー層のみからの反射光204、205のみとなり、隣接する色間(マゼンタトナー像201とシアントナー像202の間)を伝播した後に画像面から返ってくる光206の量は微量となる。よって、併置配置作像での混色は反射光204、205による加法混色が大半を占めるため、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)などの中間色の彩度が低くなる問題があった。
【0033】
ここで、上記したように併置配置作像では、各色トナー像の隣接部において紙中の光拡散に起因する減法混色による発色が存在する。但し、この減法混色量は紙の光拡散特性に大きく変化するため印刷に使用する画像支持体(シート状支持体。例えば紙)200の種類により、中間色の色相(特に彩度)が異なる。本実施形態においては、この用紙の光拡散特性値は紙に垂直に照射したレーザー光の拡散光(影)の大きさ(径)と紙を介さないレーザースポット径より算出した。具体的には、図3に示すような、レーザー光301(波長:780nMの半導体レーザー)、14ビットデジタルのCCDカメラ302、ビームプロファイル計測装置(ビームプロファイル解析装置)303を用いた。
【0034】
図4にビームプロファイル計測装置303で出力されるビームプロファイルの例を示す。用紙200が無い状態のビーム強度プロファイル401と、レーザー光301と間に用紙200を設置した際にその用紙200を透過したビーム光強度プロファイル402とを計測し、スポット径の比により紙の光散乱特性を定義した。ここで、レーザースポット径X1と用紙透過スポット径X2は、CCDカメラ302で検出した光強度のピーク値の1/e2(13.5%)レベルの光強度の幅と定義し、用紙の光拡散係数Nはその比のX2/X1とした。
【0035】
なお、本実施形態では用紙200にはコート紙(用紙A)、上質紙(用紙B)、再生紙(用紙C)の3種類の紙を用い、色再現域計測のためのカラーチャート(C,M,Y,BK、R、G、Bのベタパッチ)印刷を行った。また、カラーチャート印刷の中間色R,G,Bは、単色C,M,Yのチェッカーフラッグパターンの併置配置印刷で作製した。チェッカーフラッグパターンの各色構成ドットは解像度2400dpi、構成ドットサイズは2ドット×2ドット、3ドット×3ドット、4ドット×4ドット、5ドット×5ドット、6ドット×6ドットの5種類のパターンを印刷した。本実施形態では、中間色の補正の一例として、ブルー(MトナードットとCトナードットとの併置配置で作成したB)の用紙種間の色補正について述べる。図5は、中間色ブルーBの上記5種類の印刷パターンの断面模式図である。
【0036】
上記用紙A、用紙B、用紙Cを用いて構成ドット数を変えて印刷した上記評価チャートの用紙の光拡散特性係数Nと評価チャートの彩度Cの計測結果を図6に、構成ドット数と中間色Bの彩度C*の関係を図7に示す。
【0037】
図7に示すように、使用する用紙の光拡散特性係数Nが大きいほど、彩度Cは大きくなる。つまり、同一画像パターンを印刷した場合、使用する用紙の種類(用紙の光拡散特性)によりその中間色の色目(彩度)が違ってくることになる。また、中間色を構成する2色の構成ドット数(サイズ)を小さくすると、彩度は増加することが分かる。これは並置作像で中間色を構成するドット数(ドットサイズ)が増えることにより、中間色を構成する2色が隣接する領域が増え、上述した各色トナー像の隣接部において紙中の光拡散に起因する減法混色が増えたためと考えられる。
【0038】
上記データを用い、2次多項近似によりブルーBの彩度Cを30、35、40を得る際の用紙の光拡散特性計数Nと中間調Bを構成するドット数との関係で整理すると、図8のような関係となる。
【0039】
例えば、最も光拡散特性が異なる用紙A(N=0.051)と用紙C(N=0.089)での中間色ブルーBの彩度Cを35にする場合には、CとMの構成ドット数は、用紙Aには5ドット、用紙Cには6〜7ドットに設定することになる。用紙Aの構成ドットを5ドット×5ドット、用紙Cの構成ドットを7ドット×7ドットで印刷した結果、中間色Bの彩度C*は用紙Aが34.78、用紙Cの彩度は34.62となり略等しい値となった。また、同様の方法により、レッド:Rとグリーン:Gの彩度を補正も可能であった。
【0040】
以上、本実施形態の画像形成装置及び画像形成方法によれば、使用する用紙の光拡散特性が異なる場合でも、用紙の光拡散特性係数Nを計測し、その係数に応じた構成ドット数を設定することで、紙種間の中間色の色再現性(彩度)の違いを補正することが可能となる。
【0041】
〔実施形態2〕
図3に示す用紙光拡散測定装置を図1中のレジストローラ9の上流または下流側に設置することで、印刷に用いる各用紙全数の光拡散特性の計測が可能となるが、用紙200の光拡散特性は同種の用紙であれば略同じである。本実施形態では、上記用紙拡散特性係数Nの測定を、画像形成装置外の別装置で行い、測定した用紙光拡散係数Nの情報を用紙のデータベースを登録しておくこととした。その結果、印刷開始前の上記色再現補正をより短時間で行うことが可能となった。また、本実施形態の構成では画像形成装置に用紙光拡散測定装置が含まれないため、装置の大幅なコストダウンが可能となる。
【0042】
〔実施形態3〕
本実施形態では、図1中に示すの画像形成装置内の定着装置19の下流に測色計を設置し、上記図5に示すような中間色の構成ドット数と彩度のデータの自動計測を行い、定期的(例えば2000頁印刷毎)に実施形態1で示した方法により構成ドット数の自動選定を行った。その結果、現像剤や感光体の経時劣化や温度、湿度などの印刷環境が変化した場合にも高い精度での中間色の補正が可能であることを確認した。
【0043】
以上説明した本発明の各実施形態における画像形成装置及び画像形成方法について、以下にまとめる。
【0044】
本発明の一実施形態としての画像形成装置及び画像形成方法は、少なくともシアントナー、マゼンタトナー、イエロートナーの3原色およびブラックトナーを用いてカラー画像を併置配置作像にて形成する画像形成装置において、中間色の形成は、上記各トナーの内2色を併置印刷することで実現し、かつ、シート状支持体の光拡散特性に応じて、上記2色の構成ドットのドット数(線数)を変化させることを特徴とする。これにより、使用するシート状支持体の種類による色再現範囲、特に中間色の差異を小さくでき、安定した色再現性を確保できる。
【0045】
本発明の一実施形態としての画像形成装置及び画像形成方法は、シート状支持体の光拡散特性を計測する計測装置を備え、シート状支持体の光拡散特性を印刷実行前に計測し、その計測値に基づき中間色画像を形成する構成ドットの線数を設定することを特徴とする。これにより、使用するシート状支持体自体の光学特性を計測するため、例えば同一紙種におけるロット間での光学特性の違いを計測することが可能となり、安定な色再現範囲差の補正が可能となる。
【0046】
本発明の一実施形態としての画像形成装置及び画像形成方法は、シート状支持体の光拡散特性の計測結果をシート状支持体情報として光拡散特性データテーブルで記録、保管することを特徴とする。これにより、画像形成装置内にシート状支持体の光拡散特性計測手段を有することなく、色再現範囲差の補正が可能となり、装置の低コスト化が図れる。
【0047】
本発明の一実施形態としての画像形成装置及び画像形成方法は、印刷前に複数種類の構成ドットの線数で作成した中間色評価パッチを印刷し、この評価パッチの色相計測結果を用いて、印刷時の線数の選定を行うことを特徴とする。これにより、現像剤や感光体の経時劣化や環境変化(温度、湿度)でのエンジン特性の変化による色再現変化を小さくでき、長期間にわたり安定した色再現性を確保できる。
【0048】
本発明の一実施形態としての画像形成装置及び画像形成方法は、複数種類の構成ドットの線数で作成した中間色評価パッチの測色装置を画像形成装置内に具備することを特徴とする。これにより、印刷を行いながら中間色の計測が可能となり、生産性を落とすことなく、安定した色再現性条件を選定することが可能となる。
【0049】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、カラートナーを用いた電子写真作像技術だが、インクジェット印刷やオフセット印刷など、その他の印刷方式への応用が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 画像形成装置
2 書込み部
3 原稿搬送部
4 原稿読込部
5 コンタクトガラス
7 給紙部
9 レジストローラ
11 感光体ドラム
12 帯電部
13 現像部
14 転写バイアスローラ
15 クリーニング部
16 転写ベルトクリーニング部
17 転写ベルト
18 分離チャージャ
19 定着装置(加熱装置)
200 用紙(シート状支持体の一例)
201 マゼンタトナー像
202 シアントナー像
203 画像への入射光
204 マゼンタトナー像からの反射光
205 シアントナー像からの反射光
206 マゼンタトナーから入射しシアントナーから放射される光
301 レーザー光
302 CCDカメラ
303 ビームプロファイル計測(解析)装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特開平6−115174号公報
【特許文献2】特許第3058695号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともシアントナー、マゼンタトナー、イエロートナーの3原色およびブラックトナーを用いてカラー画像を併置配置作像にて形成する画像形成装置において、
中間色の形成は、前記トナーのうちの2色を併置印刷することで実現し、かつ、シート状支持体の光拡散特性に応じて、前記2色の構成ドットの線数を変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シート状支持体の光拡散特性を計測する計測装置を備え、
前記シート状支持体の光拡散特性を印刷実行前に計測し、当該計測値に基づき中間色画像を形成する構成ドットの線数を設定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記シート状支持体の光拡散特性の計測結果をシート状支持体情報として光拡散特性データテーブルで記録、保管することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
印刷前に数種類の構成ドットの線数で作成した中間色評価パッチを印刷し、当該評価パッチの色相計測結果を用いて、印刷時の線数の選定を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記数種類の構成ドットの線数で作成した中間色評価パッチの測色装置を内部に具備することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
少なくともシアントナー、マゼンタトナー、イエロートナーの3原色およびブラックトナーを用いてカラー画像を併置配置作像にて形成する画像形成方法において、
中間色の形成は、前記トナーのうちの2色を併置印刷することで実現し、かつ、シート状支持体の光拡散特性に応じて、前記2色の構成ドットの線数を変化させることを特徴とする画像形成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−42750(P2012−42750A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184310(P2010−184310)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】