説明

画像形成装置及び電源制御方法

【課題】省電力の有効性を制限することになった従来技術における要因が生じないような方法で対処することにより、省電力の有効性をより高めること。
【解決手段】コントローラ110は、センサ172によるAC電源のON/OFFの監視、操作部140の操作状態等のステータスを把握し、移行条件を満たす場合、通常動作⇔省電力動作の移行を行う。省電力のレベルを最も高くする場合、AC電源をOFFし、電源セレクタ177はPSU175から二次電池179へ供給元を切り替えて、DC電源をコントローラ110へ供給する。二次電池179の充電は、コントローラ110から充電のON/OFF制御信号及び充電元をPSU175又はコントローラ110、即ち外部インターフェースとしての通信I/F制御部115のいずれにするかを示す制御信号を受け、これらの制御信号によって供給元を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力動作を可能とした複写機、プリンタ、複合機等の画像形成装置に関し、より詳しくは、省電力動作の間、主電源の供給をオフし、補助電源としての二次電池によって所定の動作部へ電源を供給し続ける電源制御を行う画像形成装置及び電源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機、プリンタ、複合機等の画像形成装置では、環境への関心の高まりから、省電力が求められ、待機時に最低限必要な電源供給を行う以外の電源供給を停止する制御によって、電力消費を削減する省電力動作を行っている。
また、上記省電力動作を行うための方法として、省電力動作時に通常動作時に主電源として用いるAC電源をオフし、他の電源を供給することによって、省電力効果をより高める方法が提案されており、例えば、特許文献1及び2を挙げることができる。
【0003】
特許文献1には、情報処理装置の動作に必要な消費電力を見積もって、主電源としてのAC電源の効率が落ちる所定の省電力時に比較的効率の良いUSB(Universal Serial Bus)やPoE(Power over Ethernet(登録商標))電源へAC電源から切り替える電源制御を行うことが記載されている。
また、特許文献2には、二次電池を有する補助電源部からの電源をできる限り用いる電源制御を行うことにより省エネルギー化を図る画像形成装置が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、省電力の動作が指示された場合に、USB又はPoE電源を常に利用できるとは限らないので、省電力の有効性に限界が生じる。
また、特許文献2に記載の方法では、使用可能な二次電池からの電源は、使用開始時に二次電池に貯められた量に限られ、この量を超えて消費される場合、主電源をオンすることになり、省電力の有効性に限界が生じる。
本発明は、上記した従来技術の問題に鑑みてなされたもので、その目的は、省電力の有効性を制限することになった従来技術における要因が生じないような方法で対処することにより、省電力の有効性をより高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、主電源と、前記主電源に対し補助電源として機能する二次電池と、前記主電源の供給オン/オフ及び前記二次電池の充電/放電を制御する電源制御手段を有する画像形成装置であって、機器間で相互に通信をする通信機能に加え、接続する機器間で相互に電源を供給する給電機能を備えた外部インターフェースを有し、前記電源制御手段は、前記外部インターフェースを介して機器の二次電池から供給される電源により前記二次電池を充電し、かつ前記外部インターフェースを介して前記機器の二次電池へ充電用電源を供給するために前記二次電池を放電する制御を行うことを特徴とする。
本発明は、主電源と、前記主電源に対し補助電源として機能する二次電池と、機器間で相互に通信をする通信機能に加え、接続する機器間で相互に電源を供給する給電機能を備えた外部インターフェースを有する画像形成装置における電源制御方法であって、前記外部インターフェースを介して機器の二次電池から供給される電源により前記補助電源として機能する二次電池を充電する制御工程と、前記外部インターフェースを介して前記機器の二次電池へ充電用電源を供給するために前記補助電源として機能する二次電池を放電する制御工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、機器間で相互に通信をする通信機能に加え、接続する機器間で相互に電源を供給する給電機能を備えた外部インターフェースを介して相互に二次電池に蓄える電力を融通し最適な供給状態を保つことで、省電力の有効性を制限することになった従来技術における要因が生じ難くなり、省電力の有効性をより高めることができ、システム全体の最適な省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る画像形成装置を含む機器を要素としてネットワーク上に構成する画像処理システムの1例を示す図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置のハードウェア構成の1例を示す概略図である。
【図3】外部インターフェースを介して外部機器から供給される電源により二次電池を充電する時の制御フローを示す図である。
【図4】図3の制御フローの実行に用いる各画像形成装置の付属情報を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る画像形成装置の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
本発明に係る画像形成装置は、補助電源として機能する二次電池を有するとともに、機器間で相互に電源を供給する給電機能を持つ外部インターフェースを構成要素として有する。これらを構成要素とする機器同士を接続することで、蓄電レベルが低く所定の動作を行わせるために必要な電力が不足するおそれのある機器の二次電池へ外部インターフェースを介して、蓄電量に余裕のある外部機器が有する二次電池から充電することができる。
なお、外部インターフェースを介して接続される外部機器は、画像形成装置と同等の機能を持つ画像形成装置が好適であるが、上記給電機能を相互に利用できる機器であれば、適用する機器の種類は限定されない。
【0009】
画像形成装置、外部機器それぞれが有する二次電池間で相互に電源を供給する上記給電機能による動作は、各画像形成装置が二次電池に対する電源制御及び外部インターフェースを常時働かせておく条件の下に、随時二次電池間で電源の授受を行うことができ、蓄電量の補充によって、所定の動作を行わせるために必要な二次電池からの電源供給を延ばすことができ、さらに、電源供給が可能な複数の機器がある場合、後述する調整方法を適用し定められる機器を対象に給電を行うことで、画像形成装置と外部インターフェースで接続される機器群を要素として構成する画像処理システムの動作を最適化することができる。
また、画像形成装置と機器間で相互に電源を供給するこの機能は、画像形成装置における省電力動作時に働く二次電池、即ち、主電源であるAC電源をオフする間でも、常時電源の供給を必要とする動作部に電源を供給する二次電池に適用することによって、省電力効果をより高めることができる。
【0010】
[画像処理システム]
上記の給電機能を利用するためには、外部インターフェースを介して画像形成装置を含む機器同士を接続し画像処理システムを構成する必要がある。
図1は、本発明に係る画像形成装置を含む機器を要素としてネットワーク上に構成する画像処理システムの1例を示す図である。
図1の画像処理システムは、LAN(Local Area Network)350にプリンタA100a、プリンタB100b、プリンタC100c、プリンタD100d、プリンタE100eの各画像形成装置と、プリンタA〜Eに印刷等のジョブの処理要求を行うクライアントA200a、クライアントB200b、クライアントC200cの各PC(Personal computer)を接続することにより構成する。
【0011】
LAN350に接続されたプリンタ及びPCは、IEEE802.3afとして標準化された「Power over Ethernet(登録商標)(PoE)」に準拠するネットワークインターフェースを有する。PoEは、イーサネット(登録商標)のLANケーブルを使い他のLAN機器に電力を供給して動かすための技術である。LANケーブル上で同時にデータ送受信と給電を実行しても、データのやりとりに影響がないように仕様が定められている。
また、本発明の実施に用いることができるデータ送受信と給電を同時に行うことができるインターフェースには、USBバスパワーがある。USBバスパワーは、USBケーブルを通じてコンピュータ本体から周辺機器に給電するための技術である。この技術も対応する機器は電源コードを別に用意することが不要で、インターフェースケーブルをつなぐだけで動作するため、設置の自由度が大幅に向上する。
上記以外にも、給電を可能とする通信インターフェース技術としてIEEE1394、電話回線、無線LAN等のワイヤレス給電などを用いることにより実施することができる。
なお、以下の実施形態は、実際の機器間のLAN接続が、PoE(登録商標)の給電/受電機能を有したスイッチングハブによって仲介される形態を主に説明する。
【0012】
[画像形成装置の構成]
次に、画像処理システム(図1)の構成要素となる画像形成装置の構成について説明する。なお、図1においては、画像形成装置としてプリンタを例示したが、以下に示す例では、プリンタ機能のほかコピー機能、スキャナ機能等を持つ複合機を本発明に係る画像形成装置の実施形態とする例を示す。
図2は、この実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の1例を示す概略図である。図2に示す画像形成装置100は、データ処理ユニット150と、このデータ処理ユニット150にDC電源を供給する電源関係の要素を有する。
【0013】
データ処理ユニット150は、画像形成装置全体を制御するコントローラ110を有し、複写、プリンタ、スキャナ等の機能を利用する際、或いは後述する省電力動作を行う際に必要となる各種デバイスの動作、電源供給等をコントローラ110が制御する。
コントローラ110は、内部にCPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)113等よりなるコンピュータを搭載する。このコンピュータは、ROM112に格納された制御プログラム、制御データに基づきRAM113をワークメモリに用いて、上記制御動作に求められる処理を実行する。
【0014】
データ処理ユニット150は、コントローラ110のほか、ユーザーが処理を要求して行う入力操作を受付け、かつ画像形成装置の機器状態をユーザーに知らせるユーザーインターフェースとして機能する操作部140、原稿をスキャナで読み取り画像を電子データ化する画像読み取り部120、画像データをもとにプリント出力を行う画像書き込み部130の各データ処理部を有する。
また、コントローラ110が有する通信I/F制御部115は、コントローラ110に搭載されたコンピュータの制御下で、図1を参照して上記[画像処理システム]で述べた外部インターフェースとしての機能を実現するための手段である。
【0015】
画像形成装置100は、データ処理ユニット150にDC電源を供給する電源関連の要素として、電源プラグ190、主電源スイッチ171、AC ON/OFFセンサ172、ACカット装置173、PSU(パワーサプライユニット)175、電源セレクタ177及び二次電池179を有する。
電源プラグ190は、主電源としての商用AC電源を給電するためのプラグである。
主電源スイッチ171は、主電源としての商用AC電源を手動でON/OFFする。
AC ON/OFFセンサ172は、主電源のON/OFFを検知し、検知信号をコントローラ110に伝える。
ACカット装置173は、コントローラ110から主電源を遮断するか否かを制御する信号を受けてリレー等を開閉し、入力主電源の供給をON/OFFする。
【0016】
PSU175は、入力AC電源をデータ処理ユニット150、二次電池179等に供給するDC電源に変換する。
二次電池179は、PSU175と外部インターフェースとしての通信I/F制御部115を介して外部機器の双方から供給される電源によって充電が可能であり、このための充電制御部を持つ。この充電制御部は、コントローラ110からの電源セレクト信号及び充電のON/OFF制御信号によって二次電池179の動作を制御する。
電源セレクタ177は、コントローラ110からの電源セレクト信号によってPSU175又は二次電池179から供給される電源を選択してデータ処理ユニット150にDC電源を供給する。
この実施形態では、コントローラ110には、PSU175又は二次電池179のいずれかからDC電源が常時供給される。
【0017】
コントローラ110は、電源プラグ190を通して供給されるAC電源のAC ON/OFFセンサ172による監視、操作部140の操作状態等を含め画像形成装置のステータスを把握し、画像形成装置のステータスが省電力モードの移行条件を満たす場合に、通常動作を省電力動作に移行させる。省電力のレベルを最も高くする実質「0W」の動作状態になる場合には、AC電源がACカット装置173によってOFFされる。
AC電源を0FFし「0W」の動作を行う場合、AC電源のOFFと同時に、コントローラ110は、電源セレクト信号を電源セレクタ177と二次電池179に制御信号として送る。この電源セレクト信号に応えて、二次電池179は電源セレクタ177へDC電源を放電し、電源セレクタ177はPSU175から二次電池179へ供給元を切り替えて、DC電源をコントローラ110へ供給する。
【0018】
他方、AC電源がONの間、PSU175にて変換されたDC電源は二次電池179もしくは電源セレクタ177へ供給される。この場合、二次電池179の充電制御部が、コントローラ110から充電のON/OFF制御信号及び充電元をPSU175又はコントローラ110のいずれにするかを示す制御信号を受け、これらの制御信号によって上記の動作を決定する。
上記の動作でコントローラ110から充電を行う場合とは、上記[画像処理システム]で述べた外部インターフェースからの給電が行われる場合、即ち図2の通信I/F制御部115を介して外部機器からDC電源が供給される場合である。なお、二次電池179を充電するために外部インターフェースから行われる給電は、PSU175からの充電が行われていない間であれば、随時行うことが可能である。
【0019】
[システムにおける省電力の最適化]
次に、複数の機器を対象に、外部インターフェースを介して機器相互間で上述の給電機能を働かせることで、電源の授受を可能とするシステム(図1の画像処理システム、参照)において、省電力の最適化を可能とする給電動作について説明する。
図1に示す画像処理システムが構成される場合、LAN上の画像形成装置は、例えは省電力モードに移行した際などに主電源としてのAC電源をOFFし、二次電池から供給される電源に切り替わり、実質「0W」の動作状態となる。ただ、個々の画像形成装置で搭載している二次電池の容量には限りがあるため、従来、蓄電した量が全部消費されたときにはAC電源をONして通常動作モードに復帰して、動作の継続、二次電池への充電等を行わなければならなかった。この通常動作モードへの復帰を行うと、各機器のPSUの変換効率にも依存するが、電力を大きく消費することになり、省電力効率を低下させる。省電力効率を高めるためには、二次電池からできるだけ長く給電できることが必要になる。
【0020】
このため、通常動作モードに復帰してAC給電によることなく二次電池を充電する方法として、外部からDC電源を供給可能とする外部インターフェースを介して行うPoE(登録商標)等の給電機能を利用する。
なお、PoEを対接続されたスイッチングハブの形態で利用する場合、スイッチングハブが生成する電力を用いて給電を行う方法をとることが可能であるが、この方法では、スイッチングハブがAC電力を消費してしまい、LANで接続された画像処理システム全体の省電力効率は結局下がってしまう。
この問題を解決するため、この実施形態では、LANで接続された画像処理システムを構成する各画像形成装置が補助電源として二次電池と上述の給電機能を持つ外部インターフェースを有し、且つ画像処理システム全体の省電力効率を高めるための電源供給の実行条件を定め、この実行条件によって供給の適否を判定し、判定結果に従い給電機能により機器間の二次電池の充電/放電でDC電源の授受を行う。
【0021】
以下、画像処理システム全体の省電力の効率向上を図る給電動作の実施形態の1例を図3の制御フローを参照して説明する。
図3は、外部インターフェースを介して外部機器から供給される電源により二次電池を充電する時の制御フローを示す図である。この制御フローは、例えば、図1に示した画像処理システムを構成する画像形成装置(プリンタA〜E)それぞれのコントローラ110が、基本的には随時行うことが可能である。ただ、処理負担を伴うので、所定の期間を定めて定期的に、もしくは蓄電レベルが低下し、充電が必要になったタイミングで行うように管理するとよい。
各画像形成装置は、この制御フローを上記タイミングで実行することによって、二次電池への電源供給の適否を判定し、判定結果として給電が必要で、給電に最適な外部機器を選定した場合には、当該外部機器の二次電池から放電される電源の供給を受け、自身の二次電池を充電する。このような制御動作を行わせることで、画像処理システムを構成する画像形成装置の二次電池が全て有効に活用され、システム全体としての省電力を最も高い状態に保つことができる。
【0022】
図3の制御フローは、二次電池への電源供給の実行条件を確認し、電源供給の適否を判定し、判定結果として給電に最適な外部機器を選定する処理を行う。
ここで、図3の制御フローの実行の前提となる、二次電池への電源供給の実行条件とその情報の処理について、詳細に説明する。
図4は、図3の制御フローの実行に用いる各画像形成装置の付属情報を示す表である。
図4に示す表は、LAN上の画像処理システム(図1)を構成する画像形成装置(プリンタA〜E)全部について、充電の必要性等を示す付属情報をまとめたものである。
図4に示す充電の必要性等を示す付属情報をもとに、画像形成装置(プリンタA〜E)は、それぞれの実行条件を確認し、給電に最適な外部機器を選定する。
【0023】
図4の表中に示した付属情報は、本実施形態では、「二次電池の蓄電レベル」「ユーザー設定による優先度」「個体情報」よりなる。
「二次電池の蓄電レベル」は、例えば、蓄電レベルの高低を判断するために予め所定レベルを定めておき、現在の蓄電レベルがこの所定レベル以上であれば、「高い」と判断し、所定レベル未満であれば、「低い」と判断する、といった方法により求め、定められる。蓄電レベルが低いと判断された機器へ高いと判断された機器から供給される電源で充電を行うために、この付属情報を用いる。
「ユーザー設定による優先度」は、機器の使用状態等を知っているユーザーの判断によって定められる。優先度を「高い」と設定することで、蓄電レベルが同じように低い機器でも優先度によって、高いほうを優先させることができる。
「個体情報」は、機器の特性等をもとに各機器における充電の必要性の順位をシリアル番号,MAC(Media Access Control)アドレスにて定められる。
【0024】
図1に示した画像処理システムを構成する画像形成装置のどの画像形成装置が、図3の制御フローを実行しても、得られる結果に矛盾が生じないようにする必要があり、このために図4の付属情報は、最新の情報を各画像形成装置で共有し、管理する必要がある。
このため、LAN上の画像処理システムを構成する画像形成装置同士でSNMP(Simple Network Management Protocol)プロトコルを用いて、MIB(Management Information Base)情報をやり取りし、上記付属情報を得る必要がある。
なお、SNMPは、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)ネットワークにおいて、ルータやコンピュータ、端末など、ネットワークに接続された機器をネットワーク経由で監視・制御するプロトコルである。SNMPによる動作では、制御の対象となる機器はMIBと呼ばれる管理情報データベースを持っており、対象機器のMIBに基づいて制御をする側の機器から適切な設定を行なうことで対象機器を管理できる。また、MIBは、SNMPで管理されるネットワーク機器が、自分の状態を外部に知らせるために公開する情報であり、RFC(Request for Comment)1156として規定されているMIB1と、RFC1213で規定されているMIB2があり、現在では後者を使うのが一般的である。
【0025】
図3の制御フローが起動されると、先ず、図4に示した各画像形成装置の付属情報である「二次電池の蓄電レベル」を参照して、蓄電レベルの高低を確認する(ステップS101)。
ここで、蓄電レベルが高ければ(ステップS101-高い)、充電が不要であるから、直ちにこの制御フローを終了する。
他方、蓄電レベルが低ければ(ステップS101-低い)、充電が必要であるから、図4に示した「二次電池の蓄電レベル」を再び参照して、次の実行条件をクリアするために他に電源を供給可能な機器があるか否かを確認する(ステップS102)。例えば、プリンタAでこの制御フローが実行されたとする(以下、同様にこの例を引く)と、図4の表に示すように、プリンタAは蓄電レベルが低く、充電が必要であるから、次のステップS102に進む。
ステップS102で、他に蓄電レベルが低い機器がなければ(ステップS102-ない)、充電が実行可能であるから、充電を実行するステップS107に移行する。なお、ステップS107については、後記で詳述する。
【0026】
他方、ステップS102で他に蓄電レベルが低い機器があれば(ステップS102-ある)、充電が必要な機器が複数あるので、図4に示した「ユーザー設定による優先度」を参照して、次の実行条件であるユーザー設定による優先度を確認する(ステップS103)。プリンタAの場合、「二次電池の蓄電レベル」を参照すると、プリンタAの他にプリンタB,Cも蓄電レベルが低いので、ステップS103に進む。
ステップS103で、ユーザー設定による優先度が低ければ(ステップS103-低い)、この制御フローでは、充電が不要とみなし、直ちにこの制御フローを終了する。
他方、ステップS103でユーザー設定による優先度が高ければ(ステップS103-高い)、「ユーザー設定による優先度」を再び参照して、次の実行条件をクリアするために他にユーザー設定による優先度が高い機器があるか否かを確認する(ステップS104)。プリンタAの場合、図4の「ユーザー設定による優先度」に示すように、プリンタAは、優先度が高いので、ステップS104に進む。
【0027】
ステップS104で、他にユーザー設定による優先度が高い機器がなければ(ステップS104-ない)、充電が実行可能であるから、充電を実行するステップS107に移行する。なお、ステップS107については、後記で詳述する。
他方、ステップS104で他にユーザー設定による優先度が高い機器があれば(ステップS104-ある)、図4に示した「個体情報」を参照して、次の実行条件である機器ごとに個別に定められた優先順位を確認する(ステップS105)。プリンタAの場合、プリンタAの他にプリンタBも優先度が高いので、ステップS105に進む。
ステップS105で、個体情報による優先度が低ければ(ステップS105-低い)、この制御フローでは、充電が不要とみなし、直ちにこの制御フローを終了する。
【0028】
ステップS105の優先度の確認を、上記では、図4に示した「個体情報」を参照して行うとしたが、次に示す方法で機器ごとに定められる優先度により実行条件を確認する手順を追加もしくは置換することでステップS105の判定を行うことができる。
1つは、充電を必要とする機器がいずれもすでに二次電池で省電力動作を行っている状態にある場合の選択度である。この場合、システム全体の省電力を図るためには、システム全体で省電力動作状態にある機器ができるだけ長く二次電池からの電源で動作を継続できるようにすることが必要である。このためには、省電力動作状態にある機器の中でも、二次電池による省電力の動作時間が長い機器、つまり蓄電量がより少ない機器を優先して充電することにより、上記の動作の継続を可能にする。なお、この優先度の有効性は、給電される機器における省電力動作時の電力消費がそれほど違わないことが条件となる。
このように、充電を必要とする機器が複数あっても、上記のような優先度を定めることによって、二次電池からの電源で動作をより長く継続でき、省電力効果を高めることができる。
【0029】
もう1つは、充電を必要とする機器がいずれも主電源で通常動作を行っている状態にある場合の選択度である。この場合も、システム全体の省電力を図るためには、システム全体で省電力動作状態にある機器ができるだけ長く二次電池からの電源で動作を継続できるようにすることが必要である。このためには、通常動作状態にある機器の中でも、主電源の供給を受け二次電池充電用の電源へ変換する電源変換手段の変換効率が低い機器、つまり二次電池へ供給するDC電源を生成する能力の低い機器を優先して充電することにより、上記の動作の継続を可能にする。
このように、主電源で通常動作を行っているが、充電を必要とする機器が複数あった場合にも、上記のような優先度を定めることによって、二次電池からの電源で動作をより長く継続でき、省電力効果を高めることができる。
【0030】
図3の制御フローに戻ると、ステップS105で個体情報等による優先度が高ければ(ステップS105-高い)、ここまでのステップで実行条件が確認された当該機器に対して、外部インターフェースを介して行う給電に対応する機器があるか否か、つまりPoE等の給電機能を利用して二次電池からの給電を受けるための機器を備えているか否かを最終段の実行条件として確認する(ステップS106)。プリンタAの場合、図4の「個体情報」に示すように、プリンタAの方がプリンタBよりもシリアル番号が若く、より充電の必要性が高く優先されるので、ステップS106に進む。
ステップS106で給電対応機器が無いと判断されれば(ステップS106-ない)、充電が実行できないので、直ちにこの制御フローを終了する。
他方、ステップS106で給電対応機器があると判断されれば(ステップS106-ある)、実行条件の全てをクリアするので、充電を実行するステップS107に進む。
【0031】
ステップS107に進む機器は、この制御フローを起動した時点で充電の必要性が最も高い機器であり、PoE(登録商標)等の給電機能を利用して供給元である外部機器からの給電を受け、二次電池の充電を実行する(ステップS107)。
ステップS107でLAN等のネットワークに接続された外部機器(画像形成装置)からの給電を受ける際、供給元として複数の機器が存在する場合には、下記の〈選択条件1〜3〉によって、給電を実行する供給元の機器を選択することにより画像形成装置システム(図1、参照)全体の省電力を図ることができる。
【0032】
〈選択条件1〉
各機器の二次電池の充電レベルは、図4に示す表を参照して上記で説明したように、常時監視され、蓄電レベルが高い機器を給電が可能な機器として把握することができるが、給電が可能な機器が複数ある場合、給電を実行する供給元の機器を一つ選ぶ必要がある。
システム全体の省電力を図るためには、システム全体で省電力動作状態にある機器ができるだけ長く二次電池からの電源で動作を継続できるようにすることが必要である。このためには二次電池の蓄電量を多く確保することが必要で、給電を要求された時点で選択対象となる供給元の機器の動作状態がかぎとなる。
つまり、主電源で通常動作を行っている機器を選ぶ方が、二次電池で省電力動作を行っている方を選ぶより有利である。これは、前者の通常動作を行っている機器では、二次電池の充電ができても、後者の省電力動作を行っている機器では、二次電池の充電ができず、一方的に消費されることになるからである。
よって、複数の供給元がこのような動作状態であった場合には、主電源で通常動作を行っている機器を給電が必要な実行機器として選択することによって、二次電池からの電源で動作をより長く継続でき、省電力効果を高めることができる。
【0033】
〈選択条件2〉
上記と同様に、給電が可能な機器が複数あり、選択対象となる機器がいずれも省電力動作状態にある場合の選択条件である。
この場合、システム全体の省電力を図るためには、システム全体で省電力動作状態にある機器ができるだけ長く二次電池からの電源で動作を継続できるようにすることが必要である。このためには、省電力動作状態にある機器の中でも、二次電池による省電力の動作時間が短い機器、つまり蓄電量がより多くある機器を優先して選択することにより、上記の動作の継続を可能にする。なお、この選択の有効性は、給電を要求された時点で選択対象となる供給元の機器における省電力動作時の電力消費がそれほど違わないことが条件となる。
このように、複数の供給元が省電力状態にあっても、上記のような選択を行うことによって、二次電池からの電源で動作をより長く継続でき、省電力効果を高めることができる。
【0034】
〈選択条件3〉
上記と同様に、給電が可能な機器が複数あり、選択対象となる機器がいずれも主電源で通常動作を行っている状態にある場合の選択条件である。
この場合、システム全体の省電力を図るためには、システム全体で省電力動作状態にある機器ができるだけ長く二次電池からの電源で動作を継続できるようにすることが必要である。このためには、通常動作状態にある機器の中でも、主電源の供給を受け二次電池充電用の電源へ変換する電源変換手段の変換効率が高い機器、つまり二次電池へ供給するDC電源をより多く生成できる能力を持つ機器を優先して選択することにより、上記の動作の継続を可能にする。
このように、複数の供給元がいずれも主電源で通常動作を行っている状態にあっても、上記のような選択を行うことによって、二次電池からの電源で動作をより長く継続でき、省電力効果を高めることができる。
【符号の説明】
【0035】
100・・画像形成装置、110・・コントローラ、140・・操作部、150・・データ処理ユニット、115・・通信I/F制御部、175・・PSU、177・・電源セレクタ、179・・充電制御部を持つ二次電池。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0036】
【特許文献1】特開2007−26083号公報
【特許文献2】特開2008−234061号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電源と、前記主電源に対し補助電源として機能する二次電池と、前記主電源の供給オン/オフ及び前記二次電池の充電/放電を制御する電源制御手段を有する画像形成装置であって、
機器間で相互に通信をする通信機能に加え、接続する機器間で相互に電源を供給する給電機能を備えた外部インターフェースを有し、
前記電源制御手段は、前記外部インターフェースを介して機器の二次電池から供給される電源により前記二次電池を充電し、かつ前記外部インターフェースを介して前記機器の二次電池へ充電用電源を供給するために前記二次電池を放電する制御を行う
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像形成装置において、
前記電源制御手段は、省電力動作が指示される間に前記主電源の供給をオフするとともに、前記主電源の供給オフ時にも所定の動作部へ電源を供給し続けるように前記二次電池を放電する制御を行う
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された画像形成装置において、
前記外部インターフェースを介して機器から電源が供給される際及び機器へ電源を供給する際に、所定の電源供給実行条件によって実行適否を判定する供給適否判定手段を有し、
前記電源制御手段は、前記供給適否判定手段の判定結果に従い前記二次電池の充電/放電の制御を実行する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載された画像形成装置において、
前記供給適否判定手段は、前記二次電池と前記機器の二次電池の蓄電レベルの一方が所定レベルに満たず、他方が該所定レベル以上の関係になることを前記所定の電源供給実行条件とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載された画像形成装置において、
前記供給適否判定手段は、複数の機器から電源が供給可能と判定されるときに、主電源によって通常動作を行っている機器を優先させることを前記所定の電源供給実行条件とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項3又は4に記載された画像形成装置において、
前記供給適否判定手段は、複数の機器から電源が供給可能と判定されるときに、二次電池による省電力の動作時間が短い機器を優先させることを前記所定の電源供給実行条件とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項3又は4に記載された画像形成装置において、
前記供給適否判定手段は、複数の機器から電源が供給可能と判定されるときに、主電源の供給を受け二次電池充電用の電源へ変換する電源変換手段の変換効率が高い機器を優先させることを前記所定の電源供給実行条件とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項3又は4に記載された画像形成装置において、
前記供給適否判定手段は、複数の機器へ電源を供給可能と判定されるときに、二次電池による省電力の動作時間が長い機器を優先させることを前記所定の電源供給実行条件とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項3又は4に記載された画像形成装置において、
前記供給適否判定手段は、複数の機器へ電源を供給可能と判定されるときに、主電源の供給を受け二次電池充電用の電源へ変換する電源変換手段の変換効率が低い機器を優先させることを前記所定の電源供給実行条件とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
主電源と、前記主電源に対し補助電源として機能する二次電池と、機器間で相互に通信をする通信機能に加え、接続する機器間で相互に電源を供給する給電機能を備えた外部インターフェースを有する画像形成装置における電源制御方法であって、
前記外部インターフェースを介して機器の二次電池から供給される電源により前記補助電源として機能する二次電池を充電する制御工程と、
前記外部インターフェースを介して前記機器の二次電池へ充電用電源を供給するために前記補助電源として機能する二次電池を放電する制御工程を
有することを特徴とする電源制御方法。
【請求項11】
請求項10に記載された電源制御方法において、
省電力動作が指示される間に前記主電源の供給をオフするとともに、前記主電源の供給オフ時にも所定の動作部へ電源を供給し続けるように前記補助電源として機能する二次電池を放電する制御を行う制御工程を
有することを特徴とする電源制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−245626(P2011−245626A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117693(P2010−117693)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】