説明

画像形成装置

【課題】 現像剤に種々の外添剤を添加して使用する場合であっても、回収した現像剤中の外添剤濃度が上昇して、帯電障害を引き起こし、低濃度やカブリといった画質欠陥が発生するのを防止することが可能な画像形成装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 クリーニング手段18は、前記像担持体15の回転方向上流側に接触配置され、当該像担持体上に残留したトナーを静電的に回収する導電性ブラシ部材52と、前記導電性ブラシ部材52の下流側に接触配置された弾性ブレード53とを備え、前記導電性ブラシ部材52によって回収したトナーは、現像手段17へ供給して画像形成に再度使用するとともに、前記弾性ブレード53によって回収したトナーは廃棄するように構成して課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子写真方式等を採用した複写機やプリンタ、あるいはファクシミリ等の画像形成装置に関し、特にクリーニング手段によって回収されたトナーを再度画像形成に使用(リクレーム)する画像形成装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2000−250371号公報
【特許文献2】特開2001−312132号公報
【0003】
従来、この種の電子写真方式等を採用した複写機やプリンタ、あるいはファクシミリ等の画像形成装置において、クリーニング手段によって回収されたトナーを再度画像形成に使用(リクレーム)する技術としては、例えば、特開2000−250371号公報に開示されているものがある。
【0004】
この特開2000−250371号公報に係るクリーニング装置は、回転可能な像担持体に近接して配置されて、転写後の像担持体上に残留するトナーを除去するクリーニング装置において、像担持体に当接する弾性ブレードと、弾性ブレードよりも像担持体回転方向上流側で該像担持体に対向しかつ非接触に設けられて、トナーを撹拌し搬送する回転可能な撹拌搬送部材と、撹拌搬送部材の上方に設けられてトナーを回収する第1トナー回収部材と、撹拌搬送部材の下方に設けられてトナーを回収する第2トナー回収部材とを備えるように構成したものである。
【0005】
ところが、上記特開2000−250371号公報に係るクリーニング装置の場合には、像担持体に当接する弾性ブレードによってトナーを回収するように構成したものであるが、当該弾性ブレードによるクリーニング方式では、ブレード先端にトナー溜まりができて凝集体を形成しやすく、また、凝集体は電界では分離することができないため、現像機に供給されると、像担持体上に形成されるトナー像中に混入して、周囲にトナー像が存在する場合には、転写不良による白抜けとなって現れ、周囲にトナー像が存在しない場合には、色点となって現れて、画像欠陥を発生させるという問題点を有していた。
【0006】
また、上記クリーニング装置において、トナーの凝集体が形成されるを防止し得るクリーニング方式としては、ブラシクリーナーを用いたものがあるが、ブラシクリーナーの場合には、クリーニング能力の点で弾性ブレードに劣るという新たな問題点を有している。
【0007】
さらに、近年、上記複写機やプリンタ、あるいはファクシミリ等の画像形成装置においては、高画質化や長寿命化が求められており、現像剤には、転写助剤やクリーニング助剤といった種々の外添剤を、種類及び量ともに多く添加する傾向にある。
【0008】
しかしながら、クリーニング装置によって回収したトナーを再使用するリクレーム方式の画像形成装置においては、これら多くの種類及び量の外添剤が、その帯電極性や付着性に起因して、用紙に転写されずに像担持体上に残ってしまい、クリーニング装置により回収されて現像機に再び供給されると、結果的に現像剤中の外添剤濃度が上昇してしまい、帯電障害を引き起こし、低濃度やカブリといった画質欠陥を発生させるという問題点を有していた。
【0009】
そこで、かかる問題点を解決し得る技術としては、特開2001−312132号公報に開示されているものが既に提案されている。
【0010】
この特開2001−312132号公報に係る現像装置は、装置本体内に収容された少なくともトナーと流動性微粒子とを含む現像剤を現像剤搬送部材により像担持体と対向する現像領域に導き、この現像剤中のトナーを像担持体の表面に供給して像担持体にトナー像を形成する一方、上記のトナー像を転写媒体に転写させた後における像担持体の表面に残留するトナー等の残留物を回収して戻し手段により装置本体内に戻すと共に、トナー補給装置から新たなトナーを装置本体内に補給するようになった現像装置において、上記のトナーとして、ステアリン酸金属塩が添加された負帯電性トナーを用い、装置本体内に補給する新たなトナーに添加させるステアリン酸金属塩の量を、補給前における初期のトナーに添加させるステアリン酸金属塩の量より少なくしたものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわち、上記特開2001−312132号公報に係る現像装置の場合には、新たなトナーに添加させるクリーニング助剤としてのステアリン酸金属塩の量を、補給前における初期のトナーに添加させるステアリン酸金属塩の量より少なくしたものであるが、上述したように、リクレームする際にクリーニング助剤が現像装置の現像剤中に蓄積されること自体を防止することはできず、また、クリーニング助剤の最適な量は、トナーの種類や量によって変化するため、新たなトナーに添加させるクリーニング助剤としてのステアリン酸金属塩の量を、補給前における初期のトナーに添加させるステアリン酸金属塩の量より少なくしても、延命的な効果は多少期待できるものの、現像剤中の外添剤濃度が結果的に上昇してしまい、帯電障害を引き起こし、低濃度やカブリといった画質欠陥が発生するという問題点を根本的に解決することができない。
【0012】
そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、現像剤に種々の外添剤を添加して使用する場合であっても、回収した現像剤中の外添剤濃度が上昇して、帯電障害を引き起こし、低濃度やカブリといった画質欠陥が発生するのを防止することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、請求項1に記載された発明は、像担持体上に残留したトナーをクリーニング手段によって回収し、当該クリーニング手段によって回収したトナーを再度現像手段へ供給して、画像形成に使用する画像形成装置において、
前記クリーニング手段は、前記像担持体の回転方向上流側に接触配置され、当該像担持体上に残留したトナーを静電的に回収する導電性ブラシ部材と、
前記導電性ブラシ部材の下流側に接触配置された弾性ブレードとを備え、
前記導電性ブラシ部材によって回収したトナーは、現像手段へ供給して画像形成に再度使用するとともに、前記弾性ブレードによって回収したトナーは廃棄することを特徴とする画像形成装置である。
【0014】
また、請求項2に記載された発明は、前記トナーにクリーニング助剤を外添し、当該クリーニング助剤は、トナーと逆極性に帯電することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
【0015】
さらに、請求項3に記載された発明は、前記導電性ブラシ部材を弾性ブレードよりも重力方向に対して上方に配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置である。
【0016】
又、請求項4に記載された発明は、前記導電性ブラシ部材によって回収したトナーは、当該導電性ブラシ部材の表面に当接する掻き落し部材によって掻き落し、再使用用の搬送経路に導くことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
【0017】
更に、請求項5に記載された発明は、前記像担持体上に多量のトナーが残留する条件下では、導電性ブラシ部材に印加する電圧を、当該像担持体上に残留したトナーを回収しないように設定したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、現像剤に種々の外添剤を添加して使用する場合であっても、回収した現像剤中の外添剤濃度が上昇して、帯電障害を引き起こし、低濃度やカブリといった画質欠陥が発生するのを防止することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのカラー複合機を示す構成図である。なお、このカラー複合機は、複写機やプリンタ、あるいはファクシミリとしての機能を兼ね備えている。
【0021】
このカラー複合機1は、図2に示すように、その上部に画像読取装置としてのスキャナー2を備えているとともに、図示しないネットワークを介して図示しないパーソナルコンピュータ等を接続されている。
【0022】
そして、上記カラー複合機は、スキャナーで読み取った文書の画像を複写したり、パーソナルコンピュータから送られてきた画像データに基づいてプリントしたり、電話回線を介して画像データを送受信するファックスとして機能するようになっている。
【0023】
図2において、1はカラー複合機の本体を示すものであり、このカラー複合機本体1の上部には、図示しない原稿を一枚ずつ分離した状態で自動的に搬送する自動原稿搬送装置(ADF)2と、当該自動原稿搬送装置2によって搬送される原稿の画像を読み取る画像入力装置(IIT)3が配設されている。上記画像入力装置3は、プラテンガラス4上に載置された原稿を光源5によって照明し、原稿からの反射光像を、フルレートミラー6及びハーフレートミラー7、8及び結像レンズ9からなる縮小光学系11を介してCCD等からなる画像読取素子10上に走査露光して、この画像読取素子10によって原稿の色材反射光像を所定のドット密度(例えば、16ドット/mm)で読み取るようになっている。
【0024】
上記画像入力装置3によって読み取られた原稿の反射光像は、例えば、赤(R)、緑 (G)、青(B)(各8bit)の3色の反射率データとして画像処理装置12(IPS)に送られ、この画像処理装置12では、原稿の画像データに対して、必要に応じて、シェーデイング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の処理を含め、後述するように所定の画像処理が施される。また、この画像処理装置12は、図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像データに対しても、所定の画像処理を行なうようになっている。
【0025】
そして、上記画像処理装置12で所定の画像処理が施された画像データは、同じく画像処理装置12によって、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック (K)(各8ビット)の4色の階調データに変換され、次に述べるように、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kに共通するROS(RaserOutputScanner)14に送られ、この画像露光装置としてのROS14では、所定の色の階調データに応じてレーザ光LBによる画像露光が行われる。なお、カラー画像に限らず、白黒の画像のみを形成しても勿論良い。
【0026】
ところで、上記カラー複合機本体1の内部には、図2に示すように、画像形成手段Aが配設されており、この画像形成手段Aには、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kが、水平方向に一定の間隔をおいて並列的に配置されている。
【0027】
これらの4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kは、すべて同様に構成されており、大別して、所定の速度で回転駆動される像担持体としての感光体ドラム15と、この感光体ドラム15の表面を一様に帯電する一次帯電用の帯電ロール16と、当該感光体ドラム15の表面に所定の色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する画像露光装置としてのROS14と、感光体ドラム15上に形成された静電潜像を所定の色のトナーで現像する現像器17と、感光体ドラム15の表面を清掃するクリーニング装置18とから構成されている。これらの感光体ドラム15と周辺に配置される画像形成部材は、一体的にユニット化されており、カラ―複合機本体1から個別に交換可能に構成されている。
【0028】
上記ROS14は、図2に示すように、4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kに共通に構成されており、図示しない4つの半導体レーザを各色の階調データに応じて変調して、これらの半導体レーザからレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kを階調データに応じて出射するように構成されている。なお、上記ROS14は、複数の画像形成ユニット毎に個別に構成しても勿論よい。上記半導体レーザから出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、図示しないf−θレンズを介してポリゴンミラー19に照射され、このポリゴンミラー19によって偏向走査される。上記ポリゴンミラー19によって偏向走査されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、図示しない結像レンズ及び複数枚のミラーを介して、感光体ドラム15上の露光ポイントに、斜め下方から走査露光される。
【0029】
上記ROS14は、図2に示すように、下方から感光体ドラム15上に画像を走査露光するものであるため、このROS14には、上方に位置する4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの現像器17などからトナー等が落下して、汚損される虞れを有している。そのため、ROS14は、その周囲が直方体状のフレーム20によって密閉されているとともに、当該フレーム20の上部には、4本のレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kを、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム15上に露光するため、シールド部材としての透明なガラス製のウインドウ21Y、21M、21C、21Kが設けられている。
【0030】
上記画像データ処理装置12からは、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kに共通して設けられたROS14に、各色の画像データが順次出力され、このROS14から画像データに応じて出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、対応する感光体ドラム15の表面に走査露光され、静電潜像が形成される。上記感光体ドラム15上に形成された静電潜像は、現像器17Y、17M、17C、17Kによって、それぞれイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像として現像される。
【0031】
上記各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム15上に、順次形成されたイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像は、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの上方にわたって配置された転写ユニット22の中間転写ベルト25上に、4つの一次転写ロール26Y、26M、26C、26Kによって多重に転写される。これらの一次転写ロール26Y、26M、26C、26Kは、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム15に対応した中間転写ベルト25の裏面側に配設されている。この実施の形態における一次転写ロール26Y、26M、26C、26Kの体積抵抗値は、105 〜108 Ωcmに抵抗調整されたものを使用している。そして、一次転写ロール26Y、26M、26C、26Kには、転写バイアス電源(図示しない)が接続されており、所定のトナー極性とは逆極性(本実施の形態では正極性)の転写バイアスが所定のタイミングで印加されるようになっている。
【0032】
また、上記中間転写ベルト25は、図2に示すように、ドライブロール27と、テンションロール24と、バックアップロール28との間に一定のテンションで掛け回されており、図示しない定速性に優れた専用の駆動モーターによって回転駆動されるドライブロール27により、矢印方向に所定の速度で循環駆動されるようになっている。上記中間転写ベルト25は、例えば、チャージアップを起こさないべルト素材(ゴムまたは樹脂)にて構成されている。
【0033】
上記中間転写ベルト25上に多重に転写されたイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像は、図2に示すように、バックアップロール28に圧接する二次転写ロール29によって、シート材としての用紙30上に二次転写され、これらの各色のトナー像が転写された用紙30は、上方に位置する定着器40へと搬送される。上記二次転写ロール29は、バックアップロール28の側方に圧接しており、下方から上方に搬送される用紙30上に、各色のトナー像を二次転写するようになっている。
【0034】
上記用紙30は、カラー複合機本体1の下部に複数段配設された給紙トレイ31、32、33、34のいずれかから所定サイズのものが、フィードロール35及びリタードロール36等によって一枚ずつ分離された状態で、搬送ロール37を備えた用紙搬送路38を介して給紙される。そして、上記給紙トレイ31、32、33、34のいずれかから給紙された用紙30は、レジストロール39で一旦停止され、中間転写ベルト25上の画像と同期して、当該レジストロール29によって中間転写ベルト25の二次転写位置へと再度給紙される。
【0035】
そして、上記各色のトナー像が転写された用紙30は、図2に示すように、定着器40によって熱及び圧力で定着処理を受けた後、搬送ロール41によって、画像形成面を下にして第1の排出トレイとしてのフェイスダウントレイ42に排出するための第1の用紙搬送路43を介して、当該第1の用紙搬送路43の出口に設けられた排出ロール44によって、装置本体1の上部に設けられたフェイスダウントレイ42上に排出される。
【0036】
また、上記の如く画像が形成された用紙30を、画像形成面を上にして排出する場合には、図2に示すように、画像形成面を上にして第2の排出トレイとしてのファイスアップトレイ45に排出するための第2の用紙搬送路46を介して、当該第2の用紙搬送路46の出口に設けられた排出ロール47によって、装置本体1の側部(図中、左側面)に設けられるフェイスアップトレイ45上に排出されるようになっている。
【0037】
なお、上記カラー複合機において、フルカラー等の両面コピーをとる場合には、図2に示すように、片面に画像が定着された用紙30を、排出ロール44によってフェイスダウントレイ42上にそのまま排出せずに、図示しない切替ゲートによって搬送方向を切り替えるとともに、排出ロール44を一旦停止させた後に逆転して、当該排出ロール44によって両面用の用紙搬送路48へと搬送する。そして、この両面用の用紙搬送路48には、当該搬送路48に沿って設けられた搬送ローラ49により、用紙30の表裏が反転された状態で、再度レジストロール39へと搬送され、今度は、当該用紙30の裏面に画像が転写・定着された後、第1の用紙搬送路43又は第2の用紙搬送路46を介して、フェイスダウントレイ42又はフェイスアップトレイ45のいずれかに排出される。
【0038】
図2中、50Y、50M、50C、50Kは、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の現像器17に、所定の色のトナーを供給するトナーカートリッジを、51は中間転写ベルト25の表面をクリーニングするクリーニング装置をそれぞれ示している。
【0039】
図3は上記カラー複合機の各画像形成ユニットを示すものである。
【0040】
上記イエロー色、マジェンタ色、シアン色及び黒色の4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kは、図3に示すように、すべて同様に構成されており、これらの4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kでは、上述したように、それぞれイエロー色、マジェンタ色、シアン色及び黒色のトナー像が所定のタイミングで順次形成されるように構成されている。上記各色の画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kは、上述したように、それぞれ感光体ドラム15を備えており、この感光体ドラム15の表面は、一次帯電用の帯電ロール16によって一様に帯電される。その後、上記感光体ドラム15の表面は、ROS14から画像データに応じて出射される画像形成用のレーザ光LBが走査露光されて、各色に対応した静電潜像が形成される。上記感光体ドラム15上に走査露光されるレーザ光LBは、当該感光体ドラム15の直下よりやや右側寄りの斜め下方から露光されるように設定されている。上記感光体ドラム15上に形成された静電潜像は、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの現像器17の現像ロール17aによってそれぞれイエロー色、マジェンタ色、シアン色、黒色の各色のトナーにより現像されて可視トナー像となり、これらの可視トナー像は、一次転写ロール26の帯電によって中間転写ベルト25上に順次多重に転写される。上記各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの現像器17は、トナーとキャリアとからなる二成分系の現像剤を使用するものであっても、トナーのみからなる一成分系の現像剤を使用するものであっても良い。また、上記トナーには、クリーニング性を向上させるため、ZnstやCeO2 等のクリーニング助剤が外添されており、当該クリーニング助剤は、トナーと逆極性の正極性に帯電するようになっている。
【0041】
ところで、トナー像の転写工程が終了した後の感光体ドラム15の表面は、クリーニング手段としてのクリーニング装置18によって残留トナー等が除去されて、次の画像形成プロセスに備える。上記クリーニング装置18によって回収された転写残トナーは、対応する現像器17へと搬送されて、再度現像工程に使用されるように構成されている。
【0042】
この実施の形態1に係る画像形成装置は、像担持体上に残留したトナーをクリーニング手段によって回収し、当該クリーニング手段によって回収したトナーを再度現像手段へ供給して、画像形成に使用する画像形成装置において、前記クリーニング手段は、前記像担持体の回転方向上流側に接触配置され、当該像担持体上に残留したトナーを静電的に回収する導電性ブラシ部材と、前記導電性ブラシ部材の下流側に接触配置された弾性ブレードとを備え、前記導電性ブラシ部材によって回収したトナーは、現像手段へ供給して画像形成に再度使用するとともに、前記弾性ブレードによって回収したトナーは廃棄するように構成されている。
【0043】
また、この実施の形態1に係る画像形成装置は、前記トナーにクリーニング助剤を外添し、当該クリーニング助剤は、トナーと逆極性に帯電するように構成されている。
【0044】
さらに、この実施の形態1に係る画像形成装置は、前記導電性ブラシ部材を弾性ブレードよりも重力方向に対して上方に配置するように構成されている。
【0045】
又、この実施の形態1に係る画像形成装置は、前記導電性ブラシ部材によって回収したトナーは、当該導電性ブラシ部材の表面に当接する掻き落し部材によって掻き落し、再使用用の搬送経路に導くように構成されている。
【0046】
更に、この実施の形態1に係る画像形成装置は、前記像担持体上に多量のトナーが残留する条件下では、導電性ブラシ部材に印加する電圧を、当該像担持体上に残留したトナーを回収しないように設定するように構成されている。
【0047】
すなわち、上記画像形成装置は、図2及び図3に示すように、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kによって、感光体ドラム15Y、15M、15C、15K上に形成された各色のトナー像を、一次転写ロール26Y、26M、26C、26Kによって中間転写ベルト25上に多重に転写した後、当該感光体ドラム15Y、15M、15C、15K上に残留した転写残トナー等を回収するクリーニング装置18を備えている。
【0048】
上記各クリーニング装置18は、図1及び図3に示すように、感光体ドラム15の回転方向上流側に接触配置され、当該感光体ドラム15上に残留した転写残トナーを静電的に回収する導電性ブラシ部材としての導電性ブラシ52を備えている。上記導電性ブラシ52は、直径φが12〜14mm程度に設定され、図示しない駆動源によって、感光体ドラム15表面と逆方向に所定の回転速度で回転駆動されるように配置されている。この導電性ブラシ52は、円筒状の導電性基材の表面に、例えば、太さ2デニールの毛足が細くて長い導電性繊維を、20万本/inch2 程度の密度で密に植毛して構成されており、当該導電性ブラシ52は、その表面が1.0mm程度、感光体ドラム15の表面に食い込むように当接されている。また、上記導電性ブラシ52の周速は、例えば、感光体周速の1.5倍〜2.0倍に設定されている。
【0049】
さらに、上記導電性ブラシ52には、バイアス電源53によって所定の極性の電圧が印加されるようになっている。この導電性ブラシ52に印加される電圧としては、例えば、トナーの帯電極性と逆極性であって、しかも当該トナーに外添されるZnstやCeO2 等のクリーニング助剤と同極性の正極性の電圧が印加され、電圧の値は+400V程度に設定されるが、これよりも低い+100〜+300V程度であっても良いし、接地電位 (0V)に設定しても良い。また、上記バイアス電源53は、後述するように、導電性ブラシ52にトナーの帯電極性と同極性の負極性の電圧を、所定のタイミングで印加することが可能となるように構成しても良い。
【0050】
また、上記導電性ブラシ52の表面には、掻き落し部材としてのフリッカーバー54が当接しており、導電性ブラシ52によって回収された転写残トナーは、フリッカーバー54によって機械的に掻き落されるように構成されている。上記フリッカーバー54によって導電性ブラシ52の表面から掻き落された転写残トナーは、オーガ等からなる再使用 (リクレーム)用の搬送手段55によって、円筒状の搬送部材によって構成されるリクレーム用搬送経路56を介して現像器17へと搬送され、当該現像器17に新しいトナーとともに、又は新しいトナーと別個に供給されて、再度、現像工程に使用されるようになっている。
【0051】
さらに、上記クリーニング装置18の内部は、仕切り壁57によって上下に区画されており、導電性ブラシ52の重力方向に沿った下方には、弾性ブレードとしてのクリーニングブレード58が配設されている。このクリーニングブレード58は、ウレタン等の弾性部材によって形成されており、感光体ドラム15の表面に、当該感光体ドラム15の回転方向の逆方向から当接することにより、感光体ドラム15の表面に残留する転写残トナーやクリーニング助剤等の付着物を、効率良く除去・回収することが可能となっている。そして、上記クリーニングブレード58によって回収された転写残トナーやクリーニング助剤等の付着物は、オーガ等からなる廃棄トナー用の搬送手段59によって、廃棄用搬送経路60を介して図示しない廃棄ボックスへと搬送され、廃棄されるようになっている。
【0052】
上記導電性ブラシ52は、感光体ドラム15の回転方向の上流側であって、しかも重力方向に対して上方に配置されているため、導電性ブラシ52では、クリーニングブレード58よりも優先的に転写残トナーを回収することができ、しかもクリーニングブレード58による回収トナー等が導電性ブラシ52側へ混入するのを防止することが可能となっている。
【0053】
また、この実施の形態では、用紙30のジャム等が発生した場合や、連続してプリント動作を行った場合のように、感光体ドラム15上に多量の転写残トナーが存在する条件下では、導電性ブラシ51に印加する電圧を、当該感光体ドラム15上に残留したトナーを回収しないように、転写残トナーと同極性の負極性に設定するように構成されている。
【0054】
こうすることによって、導電性ブラシ51に付着した多量のトナーを吐き出して、当該導電性ブラシ51に多量のトナーが付着するのを防止し、導電性ブラシ51に多量のトナーが堆積することによって、トナーの回収効率が低下するのを防止するように構成されている。
【0055】
以上の構成において、この実施の形態に係る画像形成装置においては、次のようにして、現像剤に種々の外添剤を添加して使用する場合であっても、回収した現像剤中の外添剤濃度が上昇して、帯電障害を引き起こし、低濃度やカブリといった画質欠陥が発生するのを防止することが可能となっている。
【0056】
すなわち、この実施の形態に係る画像形成装置では、図2及び図3に示すように、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kによって、感光体ドラム15Y、15M、15C、15K上に各色のトナー像が形成され、これら各感光体ドラム15Y、15M、15C、15K上に形成された各色のトナー像を、一次転写ロール26Y、26M、26C、26Kによって中間転写ベルト25上に多重に転写した後、当該中間転写ベルト25上に多重に転写されたイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等の各色のトナー像を、一括して用紙30上に転写・定着することによって、フルカラーや白黒の画像を形成するようになっている。
【0057】
そして、上記イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kでは、感光体ドラム15Y、15M、15C、15K上に残留した転写残トナー等を、クリーニング装置18によって回収し、その一部を再使用するように構成されている。
【0058】
上記各クリーニング装置18は、図1に示すように、感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの回転方向に沿った上流側であって、なお且つ、重力方向に対して上方側に、導電性ブラシ52を備えており、当該導電性ブラシ52には、トナーと逆極性の正極性の電圧が印加されている。そのため、上記感光体ドラム15上に残留した転写残トナーは、主に、導電性ブラシ52の静電的な吸引力、及び機械的な掻き落し力によって、感光体ドラム15の表面から除去・回収されるようになっている。その際、上記導電性ブラシ52の機械的な掻き落し力は、クリーニングブレード58に比較して低いため、トナーと逆極性の正極性に帯電するZnstやCeO2 等のクリーニング助剤は、ほとんど回収されずに、通過することになる。
【0059】
上記導電性ブラシ52によって回収された転写残トナーは、オーガ等からなる再使用 (リクレーム)用の搬送手段55によって、リクレーム用搬送経路56を介して現像器17へと搬送され、当該現像器17に新しいトナーとともに、又は新しいトナーと別個に供給されて、再度、現像工程に使用されるようになっている。
【0060】
一方、上記各クリーニング装置18は、導電性ブラシ52の下流側に、クリーニングブレード58を備えているため、感光体ドラム15の表面に残留した逆極性に帯電したトナーや、ZnstやCeO2 等のクリーニング助剤などの付着物は、クリーニングブレード58によって除去・回収され、オーガ等からなる廃棄トナー用の搬送手段59によって、廃棄用搬送経路60を介して図示しない廃棄ボックスへと搬送され、廃棄されるようになっている。
【0061】
このように、上記実施の形態に係る画像形成装置では、トナーにZnstやCeO2 等のクリーニング助剤など種々の外添剤を添加して使用する場合であっても、上流側の導電性ブラシ52によって転写残トナーのみが選択的に回収されて再使用され、ZnstやCeO2 等のクリーニング助剤などは、下流側のクリーニングブレード58によって回収されることになる。そのため、トナーに種々の外添剤を添加して使用する場合であっても、回収した現像剤中の外添剤濃度が上昇して、帯電障害を引き起こし、低濃度やカブリといった画質欠陥が発生するのを防止することが可能となっている。
【0062】
また、用紙30のジャム等が発生した場合や、連続してプリント動作を行った場合のように、感光体ドラム15上に多量のトナーが残留する条件下では、導電性ブラシ51に印加する電圧を、当該感光体ドラム15上に残留したトナーを回収しないように、転写残トナーと同極性の負極性に設定するようになっている。
【0063】
その際、上記導電性ブラシ51に印加する電圧は、転写残トナーと同極性の負極性に設定しても良いが、グランドに落として接地電位(0V)に設定することによっても、感光体ドラム15上に残留したトナーを回収しないようにすることができる。
【0064】
さらに、上記導電性ブラシ51に印加する電圧は、導電性ブラシ51の1回転又は複数回転毎に、転写残トナーと同極性の負極性、正極性、負極性、正極性とサイクル的に変化させることによって、当該導電性ブラシ51に付着した正規帯電トナーや逆極性帯電トナーを効率良く除去することができ、本来のトナー回収効率を長期間良好に維持することが可能となり、導電性ブラシ51上に残留したトナーによるフィルミング等を防止することが可能となる。
【0065】
実施の形態2
図4はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、フルカラーの画像形成装置ではなく、白黒の画像形成装置に適用するように構成されている。
【0066】
すなわち、この実施の形態2に係る画像形成装置は、図4に示すように、感光体ドラム15を1つのみ備えており、当該感光体ドラム15の周囲には、一次帯電器16と、露光装置14と、現像器17と、転写ローラ26と、クリーニング装置18とが、感光体ドラム15の回転方向に沿って配設されている。また、用紙30は、感光体ドラム15の側面に沿って下方から上方へ搬送されるようになっている。
【0067】
また、上記画像形成装置では、図4に示すように、感光体ドラム15の上方にクリーニング装置18が配設されており、当該クリーニング装置18には、感光体ドラム15の回転方向の上流側であって、重力方向に対して上方に導電性ブラシ52が配設されているとともに、当該導電性ブラシ52の下流側に、クリーニングブレード58が配設されている。
【0068】
そのため、上記導電性ブラシ52では、クリーニングブレード58よりも優先的に転写残トナーを回収することができ、しかもクリーニングブレード58による回収トナー等が導電性ブラシ52側へ混入するのを防止することが可能となっている。
【0069】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのカラー複合機の要部を示す構成図である。
【図2】図2はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのカラー複合機を示す全体構成図である。
【図3】図3はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのカラー複合機の画像形成部を示す構成図である。
【図4】図4はこの発明の実施の形態2に係る画像形成装置の要部を示す構成図である。
【符号の説明】
【0071】
15:感光体ドラム、18:クリーニング装置、52:導電性ブラシ、58:クリーニングブレード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に残留したトナーをクリーニング手段によって回収し、当該クリーニング手段によって回収したトナーを再度現像手段へ供給して、画像形成に使用する画像形成装置において、
前記クリーニング手段は、前記像担持体の回転方向上流側に接触配置され、当該像担持体上に残留したトナーを静電的に回収する導電性ブラシ部材と、
前記導電性ブラシ部材の下流側に接触配置された弾性ブレードとを備え、
前記導電性ブラシ部材によって回収したトナーは、現像手段へ供給して画像形成に再度使用するとともに、前記弾性ブレードによって回収したトナーは廃棄することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナーにクリーニング助剤を外添し、当該クリーニング助剤は、トナーと逆極性に帯電することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記導電性ブラシ部材を弾性ブレードよりも重力方向に対して上方に配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記導電性ブラシ部材によって回収したトナーは、当該導電性ブラシ部材の表面に当接する掻き落し部材によって掻き落し、再使用用の搬送経路に導くことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記像担持体上に多量のトナーが残留する条件下では、導電性ブラシ部材に印加する電圧を、当該像担持体上に残留したトナーを回収しないように設定したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−251137(P2006−251137A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−65234(P2005−65234)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】